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JP4870223B1 - ペースト状銀粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および金属製部材接合体 - Google Patents

ペースト状銀粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および金属製部材接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】金属製部材を強固に熱衝撃性よく接合できるペースト状銀粒子組成物、接合強度と熱衝撃性が優れた金属製部材接合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)平均粒径が0.3μmを越え10μm以下であり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が5以上100以下である加熱焼結性フレーク状銀粒子と、(B)平均粒径(メディアン径D50)が0.005μm以上0.1μm未満である加熱焼結性銀微粒子と((A)と(B)の質量比が、50:50から95:5の範囲内である)、(C)揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物、該ペースト状銀粒子組成物の加熱焼結により複数の金属製部材を接合する金属製部材接合体の製造方法、その製造方法による金属製部材接合体。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱焼結性銀粒子と揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物、ペースト状銀粒子組成物の焼結物により複数の金属製部材を接合してなる金属製部材接合体の製造方法、および、複数の金属製部材がペースト状銀粒子組成物の焼結物により接合された金属製部材接合体に関する。
銀、銅、ニッケルなどの金属粉末を液状熱硬化性樹脂組成物中に分散させてなる導電性・熱伝導性ペーストは、加熱により硬化して導電性・熱伝導性被膜が形成される。したがって、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接着、太陽電池の電極の形成、特に、アモルファスシリコン半導体を用いているために、高温処理のできない太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に使用されている。
近年、チップ部品の高性能化により、チップ部品からの発熱量が増え、電気伝導性はもとより、熱伝導性の向上が要求される。したがって、金属粒子の含有率を可能な限り増加することにより電気伝導性、熱伝導性を向上しようとする。ところが、そうすると、ペーストの粘度が上昇し、作業性が著しく低下するという問題がある。
このような問題を解決するため、本発明者らは、銀粉末と揮発性分散媒とからなるペースト状銀組成物は、加熱すると当該揮発性分散媒が揮発し銀粉末が焼結して、極めて高い導電性と熱伝導性を有する固形状銀となること、および、金属製部材の接合や、導電回路の形成に有用なことを見出して国際出願した(WO2006/126614、WO2007/034833)。
しかしながら、WO2006/126614やWO2007/034833に開示された銀粉末と揮発性分散媒とからなるペースト状銀組成物を金属製部材同士の接合に用いた場合、当該焼結物は多数の銀粒子同士が複数の接点で焼結して連結した不規則な網目構造を有する多孔質体となるが、銀粒子と金属製部材間の接合部が脆弱なため熱衝撃を受けた後の接合強度が劣るという問題があることに、本発明者らは気付いた。
特開2005-251542には、エポキシ樹脂と平均粒径が0.5〜50μmの鱗片状銀粉末と表面が有機物で被覆された平均粒径が1μm以下の球状銀粉末を含む導電性ペーストが開示されており、印刷してパターンを形成し焼き付けることにより導体配線等が形成できると記載されている。ところが、この導電性ペーストの加熱焼結物は導電性がある程度優れ、金属製部材同士の接合に用いた場合に初期接合強度がある程度優れているが不十分であり、熱伝導性が著しく劣るという問題、この導電性ペーストを金属製部材同士の接合に用いた場合に熱衝撃を受けた後の接合強度が著しく劣るという問題があることに、本発明者らは気付いた。
WO2006/126614 WO2007/034833 特開2005-251542号公報
本発明者らは上記の問題点を解決するため鋭意研究した結果、フレーク状銀粒子と微粒子状加熱焼結性銀粒子および揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物は、加熱焼結性銀粒子同士が十分に加熱焼結して当該焼結物が複数の金属製部材を強固に接合し、かつ、当該金属製部材接合体が熱衝撃を受けた後でも強固な接合強度を保持することができること、当該焼結物は銀本来の極めて優れた導電性と熱導電性を保持していることを見出して、本発明に到達した。
本発明の目的は、加熱により揮発性分散媒が揮散し、銀粒子が容易かつ十分に焼結して導電性と熱導電性が極めて優れた固体状の銀焼結物となるペースト状銀粒子組成物、当該ペースト状銀粒子組成物を使用して複数の金属製部材を強固に接合する金属製部材接合体の製造方法、および、熱衝撃を受けた後でも強固な接合強度を保持することができる金属製部材接合体を提供することにある。
この目的は、
「[1] (A)平均粒径が0.3μmを越え10μm以下であり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が5以上100以下である加熱焼結性フレーク状銀粒子、(B)平均粒径(メディアン径D50)が0.005μm以上0.1μm未満の加熱焼結性銀微粒子(ただし、(A):(B)が質量比で、50:50から95:5の範囲内である)、および、(C)揮発性分散媒からなることを特徴とする、ペースト状銀粒子組成物。
[1-1] ペースト状銀粒子組成物が金属製部材の接合用であることを特徴とする、[1]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[2] 加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)が単結晶であり、加熱焼結性銀微粒子(B)が球状または粒状であり,多結晶であることを特徴とする、[1]に記載のペースト状銀粒子組成物。
[3] 70℃以上400℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ、該銀粒子同士を加熱焼結せしめて生成した焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のペースト状銀粒子組成物。」により達成される。
また、この目的は、
「[4] [1]または[2]に記載のペースト状銀粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上400℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ、該銀粒子同士を加熱焼結せしめて生成した焼結物により複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
[5] 焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする、[4]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[6] 金属製部材の金属が、銅、銀、金、白金、パラジウム、または、これら各金属の合金であることを特徴とする、[4]または[5] に記載の金属製部材接合体の製造方法。」により達成される。
また、この目的は、
「[7] 複数の金属製部材が、(A)平均粒径が0.3μmを越え10μm以下であり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が5以上100以下である加熱焼結性フレーク状銀粒子と(B)平均粒径(メディアン径D50)が0.005μm以上0.1μm未満の加熱焼結性銀微粒子(ただし、(A):(B)が質量比で、50:50から95:5の範囲内である)の加熱焼結物により接合され、該加熱焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする、金属製部材接合体。
[7-1] 加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)が単結晶であり、加熱焼結性銀微粒子(B)が球状または粒状であり,多結晶であることを特徴とする、[7]に記載の金属製部材接合体。
[8] 金属製部材が金属系基板または金属部分を有する電子部品であることを特徴とする、[7]に記載の金属製部材接合体。」により達成される。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、70℃以上400℃以下での加熱により揮発性分散媒が揮散し、銀粒子同士が容易かつ十分に焼結して導電性と熱導電性が極めて優れた固体状の銀焼結物となる。本発明のペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上400℃以下で加熱すると、該揮発性分散媒が揮散し、該銀粒子同士が焼結して複数の金属製部材同士が強固に接合しており、耐熱衝撃性に優れた金属製部材接合体を容易に製造することができる。
本発明の金属製部材接合体は、複数の金属製部材同士が導電性および熱電伝導性が優れた銀焼結物により強固に接合しており、耐熱衝撃性に優れている。
実施例におけるせん断接着強さ測定用試験体Aの平面図である。銀基板1と銀チップ3とが、銀粒子の加熱焼結物である固体状銀により接合されている。 図1におけるX−X線断面図である。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、(A)平均粒径が0.3μmを越え10μm以下であり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が5以上100以下である加熱焼結性フレーク状銀粒子、(B)平均粒径(メディアン径D50)が0.005μm以上0.1μm未満の加熱焼結性銀微粒子(ただし、(A):(B)が質量比で、50:50から95:5の範囲内である)、および、(C)揮発性分散媒からなることを特徴とする。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)は、本発明のペースト状銀粒子組成物の主成分である。この平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法または電子顕微鏡観察により得られる一次粒子の平均粒径である。加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)の平均粒径が10μmを越えると、加熱焼結性が低下するため平均粒子径は小さい方が好ましい。このため10μm以下であることが必要であり、好ましくは7μm以下である。しかし、平均粒径が0.3μm以下であると、フレーク形状の特徴が発揮できなくなるため、平均粒径は0.3μmを越えることが必要であり、好ましくは0.5μm以上である。
フレーク状は片状ともいい、多角形であり板のような形状である(JIS Z 2500)。多角形は三角形、四角形、五角形、六角形などが例示されるが、概略そのような形状であれば良く、周縁の一部が欠けた多角形でも良い。さらに複数の多角形の混合物であっても良い。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)における平均粒径と平均厚さの比であるアスペクト比は5以上100以下である。アスペクト比が5未満であると、フレーク形状の特徴が発揮できなくなるためであり、好ましくは10以上である。また、アスペクト比が100を越えると、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)の加熱焼結性が乏しくなり、本発明のペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材の接合に使用したとき、十分な接合強度を得られないからである。加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)の平均厚さは、0.01μm以上0.5μm以下であり、より好ましくは0.02μm以上0.2μm以下である。なお、フレーク状銀粒子の平均厚さは電子顕微鏡観察により得られる一次粒子の平均厚さである。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)は、結晶であることが好ましい。結晶の銀粒子は加熱焼結性に優れ、また本発明のペースト状銀粒子組成物を金属製部材同士の接合に用いた場合、優れた接合強度を有し、この金属製部材接合体は優れた耐熱衝撃性を有する。結晶形態は単結晶でもよく多結晶でもよいが、単結晶の方が焼結性に優れ、接合強度が高いので好ましい。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)は公知の方法で製造できる。例えば、銀塩のアンミン錯体及び還元反応の際に媒晶剤として機能する重金属塩のアンミン錯体を含むスラリーと、還元剤である亜硫酸カリ及び保護コロイドとしてのゼラチンを含有する溶液とを一時に混合して該銀塩のアンミン錯体を還元し、生成した銀粒子を回収することにより製造することができる(特開平11−106806)。また、例えば、保護コロイドとして作用し得るタンパク質、高分子アミノ化合物、ゴム質多糖類及びチオール化合物からなる群より選ばれる保護コロイドの存在下で、銀塩のアンミン錯体のスラリーと、水溶性亜硫酸塩又はグルコースを含む還元剤の水溶液とを一時に混合して銀塩のアンミン錯体を還元し、生成した銀粒子を回収すること、保護コロイド中の水とスラリー中の水と還元剤水溶液中の水との合計量1L当たり、保護コロイド粒子の量が2〜5gとなる量で用い、銀塩のアンミン錯体の量が銀として計算して50g以下となる量で用いることにより製造することができる(特開2004−183010)。また、例えば、硝酸銀溶液と還元剤溶液とを、(A)エチレンジアミン四酢酸および/またはその塩、(B)カルボン酸、カルボン酸金属塩、カルボン酸無水物およびカルボン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、および(C)銅化合物の存在下で反応させることにより製造することができる(特開2006−111903)。これらの方法によって製造されたフレーク状銀粒子は結晶であり、特には単結晶である。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)が結晶であることは、公知の分析方法により確認することができ、分析方法としてエックス線回折分析、電子後方散乱解析像分析が例示される。
加熱焼結性銀微粒子(B)の平均粒径は0.005μm以上0.1μm未満である。この平均粒径はレーザー回折散乱式粒度分布測定法によって得られる一次粒子の平均粒径である。平均粒径が0.005μm未満である銀微粒子は入手困難なので、0.005μm以上であることが必要である。平均粒径が0.010μm未満であると、銀微粒子が凝集して分散性が低下しやすいことがあるため、好ましくは0.010μm以上である。また平均粒径が0.1μm以上であると、本発明のペースト状銀粒子組成物の加熱焼結性が低下するため0.1μm未満であることが必要であり、好ましくは0.08μm以下である。加熱焼結性銀微粒子(B)の形状は限定されないが、特に球状または粒状であることが好ましい。球状および粒状の形状についてはJIS Z 2500による。加熱焼結性銀微粒子(B)は単結晶と多結晶のいずれでもよいが、製造が容易な多結晶であることが好ましい。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)および加熱焼結性銀微粒子(B)は、凝集防止のため表面が有機物で被覆ないし処理されていることが好ましい。そのような有機物としては、高・中級脂肪酸、高・中級脂肪酸金属塩、高・中級脂肪酸アミド、高・中級脂肪酸エステル、アルキルアミン類、アルカンチオール、アルカンジオール、アルカントリオールが例示される。被覆効果、処理効果の点で特には高・中級脂肪酸、アルキルアミン類が好ましい。
高級脂肪酸は炭素原子数が15以上の脂肪酸であり、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシステアリン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソステアリン酸等の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
また、中級脂肪酸は炭素原子数が5〜14の脂肪酸であり、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオクタン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸等の分枝飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、10−ウンデセン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。高・中級脂肪酸金属塩の金属は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、インジウムが例示される。
アルキルアミン類は、炭素原子数が4〜20の1級アルキルアミン、2級アルキルアミン、3級アルキルアミン、ポリオキシアルキルアミン、ジアルキレンアミン、ヒロドキシアルキルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが例示される。
アルカンチオールは、炭素原子数が8〜18の高・中級アルカンチオールが例示される。
アルカンジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールが例示され、アルカントリオールはグリセリンが例示される。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)および加熱焼結性銀微粒子(B)の表面を被覆している有機物の量は、銀粒子の粒径、比表面積、形状などにより変わる。加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)の表面を被覆している有機物の量は0.01〜3質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。少なすぎると加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)が凝集しやすくなって保存安定性が低下し、ひいては加熱焼結時の接合強度が不均一になり、多すぎると加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)粒子の加熱焼結性が低下するからである。
加熱焼結性銀微粒子(B)の表面を被覆している有機物の量は0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。少なすぎると加熱焼結性銀微粒子(B)が凝集しやすくなって保存安定性が低下し、ひいては加熱焼結時の接合強度が不均一になり、多すぎると加熱焼結性銀微粒子(B)の加熱焼結性が低下するからである。
有機物の量は通常の方法で測定できる。例えば、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)または加熱焼結性銀微粒子(B)を窒素ガス中で撥水性有機物の沸点または熱分解温度以上に加熱して重量減少を測定する方法、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)または加熱焼結性銀微粒子(B)を酸素気流中で加熱して加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)または加熱焼結性銀微粒子(B)に付着していた有機物中の炭素を炭酸ガスに変え、赤外線吸収スペクトル法により定量分析する方法が例示される。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)および加熱焼結性銀微粒子(B)の表面は、このような有機物により表面の半分以上が被覆されていればよいが、全部が被覆されていることが好ましい。
本発明の加熱焼結性銀粒子組成物において加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合比率は、質量比で50:50から95:5の範囲内である。加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)の比率がこれより小さいと、本発明のペースト状銀粒子組成物の焼結物で接合した金属製部材接合体は熱衝撃試験を行った後の接合強度の低下が大きいからである。また、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)の比率がこれより大きいと、金属製部材接合体の接合強度が充分に得られないからである。このため、より好ましくは加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合比率は質量比で60:40から90:10の範囲内である。
本発明の加熱焼結性銀粒子組成物および金属製部材接合体の製造方法においては、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)を上記比率で併用することにより、複数の金属製部材同士が強固に接合し、耐熱衝撃性に優れた金属製部材接合体を製造することが可能になる。
(C)揮発性分散媒は、粉状である加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)からなる加熱焼結性銀粒子をペースト状にするために配合される。なお、ペースト状はクリーム状やスラリー状を含むものである。加熱時に加熱焼結性銀粒子が焼結可能とするため、あるいは、ペースト状銀粒子組成物を加熱による接合剤として使用可能にするためには、非揮発性ではなく、揮発性であることが必要である。加熱焼結性銀粒子は焼結する際に分散媒が揮散すると、金属粒子が焼結しやすくなり、接合剤として利用しやすくなるからである。揮発性分散媒の沸点は、150℃〜300℃であることが好ましい。沸点が150℃未満であると、ペースト状銀粒子組成物を調製する作業中に溶媒が揮散しやすく、沸点が300℃より大であると、加熱後も揮発性分散媒が残留しかねないからである。
そのような(C)揮発性分散媒は、炭素原子および水素原子からなる揮発性炭化水素化合物、炭素原子、水素原子および酸素原子からなる揮発性有機化合物、炭素原子、水素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物、炭素原子、水素原子、酸素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物、前記揮発性有機化合物のうちの親水性揮発性有機化合物と水との混合物などから選択される。これらはいずれも常温において液状である。
水は純水が好ましく、その電気伝導度は100μS/cm以下が好ましく、10μS/cm以下がより好ましい。純水の製造方法は、通常の方法で良く、イオン交換法、逆浸透法、蒸留法が例示される。
具体的には、炭素原子、水素原子および酸素原子からなる揮発性有機化合物として、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール等の脂肪族一価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ、メチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エメチルセロソルブ、エチルカルビトール)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルセロソルブ、プロピルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール等のエーテル結合を有する脂肪族一価アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコールなどのフェニルアルキルアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール;プレノール、テルピネオール、3-メチル-3-ブテン-2-オール、ファルネソール、シトロネロール、ネロリドール、スクラレオールなどのテルペン系アルコールが例示される。
さらにはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3、5、5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイブチルケトン(2、6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性脂肪族ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチル、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2−ジアセトキシエタンのような脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2−ビス(2−ジエトキシ)エタン、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル等の脂肪族エーテルが例示される。その他に、酢酸2−(2ブトキシエトキシ)エタンのようなエステルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコールが例示される。
炭素原子および水素原子からなる揮発性炭化水素化合物として、炭素原子数が好ましくは6から16のn−パラフィン、イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の炭素原子数が好ましくは6から16の揮発性芳香族炭化水素;リモネン、カズマレン、α−ピネン等のテルペン系炭化水素が例示される。
炭素原子、水素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物として、アセトニトリル、プロピオニトリルのような揮発性アルキルニトリルが例示される。
炭素原子、水素原子、酸素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物として、アセトアミド、N、N-ジメチルホルムアミドのような揮発性脂肪族カルボン酸アミドが例示される。その他に、低分子量の揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示される。
これらの揮発性分散媒(C)は、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)とからなる加熱焼結性銀粒子の焼結性が優れるという点で、一分子中に1個以上3個以下の水酸基を有する脂肪族一価アルコールと脂肪族多価アルコール、フェニルアルキルアルコール、テルペン系アルコールであることが好ましく、特にテルペン系アルコールであることが好ましい。
揮発性分散媒(C)の配合量は、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)からなる加熱焼結性銀粒子を常温においてペースト状にするのに十分な量である。加熱焼結性銀粒子の粒径、表面積、形状、配合比率など、および、揮発性分散媒の種類、粘度などにより、ペースト状にするのに十分な量は変動するが、具体的には、例えば、加熱焼結性銀粒子100質量部当たり3〜30質量部である。
本発明のペースト状銀粒子組成物には、本発明の目的に反せず効果を低下させない限り、すなわち、加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性を阻害せず、加熱焼結物の導電性や熱伝導性を低下させない限り、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)以外の金属系の粉体、非金属系の粉体、金属化合物、金属錯体、金属粒子の分散性向上剤、チクソ剤、安定剤、着色剤等の添加物を少量ないし微量含有しても良い。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)と揮発性分散媒(C)を、ミキサーに投入し、均一なペースト状になるまで撹拌混合することにより、容易に製造することができる。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)と揮発性分散媒(C)の混合物であり、常温でペースト状である。なお、ペースト状はクリーム状やスラリー状を含む。ペースト化することによりシリンダーやノズルから細い線状に吐出でき、また、メタルマスクによる印刷塗布が容易である。複数の金属製部材間に介在させるペースト状銀粒子組成物の厚さは、フレーク状銀粒子と加熱焼結性銀微粒子の混合物の加熱焼結により必要な接合強度が発現する厚さであれば、特に限定されないが、通常、5μm以上、1200μm以下である。
本発明のペースト状銀粒子組成物を70℃以上400℃以下で加熱すると、ペースト状銀粒子組成物中の(C)揮発性分散媒が揮散し、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結した焼結物となる。
このようにして得られた焼結物は、数多くの微細な空孔や連続した空孔、すなわち、細孔を有しており、多孔質である。その空間の割合を示す空孔率は、固体状銀の断面における面積比で20%以下であることが好ましい。また空孔率の下限値は限定されないが、面積比で2%以上である。
空孔率の測定は通常の測定方法が利用できる。焼結体の断面を電子顕微鏡で写真撮影し、画像解析ソフトにより、写真における銀部分と空間部分の面積比率を求める方法、電子顕微鏡により撮影した写真を均質な紙等に印刷し、銀部分と空間部分をはさみ等で切り分けて各々の質量を測定し、その質量比率を面積比率とする方法が例示される。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が加熱焼結して生成した焼結物は固体状銀であり、優れた導電性と熱伝導性を有する。導電性は体積抵抗率で示され、1×10−5Ω・cm以下であり、6×10−6Ω・cm以下であることが好ましい。熱伝導率は50W/mK以上であり、100W/mK以上であることが好ましい。
体積抵抗率はJIS K 7194に規定されている方法より測定ができる。また熱伝導率は通常の方法で測定でき、例えば、レーザーフラッシュ法、熱抵抗測定法が例示される。
本発明の金属製部材接合体の製造方法で使用する金属製部材は、塗布されたペースト状銀粒子組成物が加熱により該組成物中の揮発性分散媒が揮発し、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結した焼結物により接合する被接合体である。金属製部材の材質としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、アルミニウム、および、これら各金属の合金が例示される。これらのうちでは導電性、接合性の点で、銅、銀、金、白金、パラジウムまたはこれら各金属の合金が好ましい。金属製部材は前記金属でメッキされたものであってもよい。金属製部材としては、全体または一部が金属で形成されたリードフレーム、プリント基板、半導体チップ、放熱板が例示される。
本発明の金属製部材接合体の製造方法では、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)と揮発性分散媒(C)とからなるペースト状銀粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上400℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物を焼結せしめて生成した多孔質焼結物により複数の金属製部材同士を接合させる。このときの雰囲気ガスは、該銀粒子同士の焼結を阻害しなければ特に限定されないが、金属製部材が銅または銅合金のように酸化されやすい材質の場合には、酸素ガスを含まない、窒素ガス等の不活性ガス、水素ガスを含む還元性ガスが好ましい。このうち水素ガス5〜25体積%と窒素ガス95〜75体積%からなるフォーミングガスと称される還元性ガスが特に好ましい。金属製部材が銀または銀合金からなる場合は、酸素ガスを含む酸化性ガスが好ましく、特に空気が好ましい。空気は水分を低減した乾燥空気であっても良い。
本発明の金属製部材接合体の製造方法で使用するペースト状銀粒子組成物は、70℃以上400℃以下で加熱することにより揮発性分散媒(C)が揮散し、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結して、導電性と熱伝導性が優れた固形状銀となり金属製部材同士を強固に接合する。ペースト状銀粒子組成物の加熱時に圧力や超音波振動を加えても良い。
この際、揮発性分散媒(C)が揮散し、ついで加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結してもよく、(C)揮発性分散媒の揮散と共に加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結してもよい。加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物の加熱焼結物は、特許文献3に記載の導電性ペースト状物の加熱焼結物と違って有機物残渣を含まないので、銀は本来きわめて高い電気伝導性と熱伝導性を有する。
この際の加熱温度は、揮発性分散媒(C)が揮散し、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結できる温度であればよく、通常70℃以上であり、200℃以上がより好ましい。しかし、400℃を越えると揮発性分散媒が突沸的に蒸発して、固形状銀の形状に悪影響が出る可能性があるため、400℃以下であることが必要であり、より好ましくは350℃以下である。
複数の金属製部材間の銀粒子の加熱焼結物は、数多くの微細な空孔や連続した空孔すなわち、細孔を有した多孔質であり、その空孔率は断面における面積比で20%以下であることが好ましい。また、空孔率の下限値は限定されないが、面積比で2%以上である。
本発明のペースト状銀粒子組成物を加熱する際に、金属製部材の片側または両側から圧力を加えることにより、容易に空孔を減らすことができ、この場合、空孔率を5%以下にすることができ、さらには0%にすることもできる。
複数の金属製部材間の銀粒子の加熱焼結物の特徴は、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)が適度の質量比で組み合わされるため、空孔が少なく、かつ、空孔の分布が固体状銀の断面においてほぼ均一であることである。このため、本発明の金属製部材接合体は熱衝撃を受けても、その応力を固体状銀が分散するため、熱衝撃を加えた後でも強固な接合強度を維持することができる。なお、接合強度は通常の方法、例えば西進商事株式会社製のボンドテスターで測定することができる。
熱衝撃は通常の方法で加えることができ、通常はサーマルサイクル試験と言われるものである。その際、熱衝撃のかけ方は、低温と高温を交互にかける2ゾーン型、低温と高温の間に常温を入れる3ゾーン型が例示されるが、2ゾーン型のほうが好ましい。
試験体は低温と高温に交互に曝されることによりその温度差に相当する熱衝撃を受ける。低温側の温度は通常−20℃から−55℃の範囲であり、高温側の温度は通常100℃から150℃の範囲である。試験体はそれぞれの温度に通常10分間から60分間、暴露される。
本発明のペースト状銀粒子組成物は、加熱により揮発性分散媒(C)が揮散し、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が焼結する。複数の金属製部材間の接合に用いた場合、加熱焼結物は、焼結時に接触していた金属製部材、例えば金メッキ基板、銀基板、銀メッキ金属基板、銅基板、アルミニウム基板、ニッケルメッキ基板、スズメッキ金属基板等の金属系基板へ強固に接着し、電気絶縁性基板上の電極等金属部分へ強固に接着する。さらに多孔質の焼結物である固体状金属は空孔率が小さく、しかも空孔の分布の均一性が高いため、熱衝撃による応力緩和性に優れている。このため本発明の金属製部材接合体の製造方法は、金属系基板や金属部分を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の金属製部材接合体の製造に有用である。
そのような接合として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合、ダイオード、トランジスタ、メモリ、IC、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合、高発熱のCPUチップと冷却板との接合等が例示される。
本発明の金属製部材接合体は、複数の金属製部材が、加熱焼結性銀粒子加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が加熱焼結して生成した空孔の少ない多孔質焼結物である銀層により強固に接合されており、しかも多孔質焼結物である銀層は空孔の分布の均一性が高く、クラックがないため熱衝撃に対する応力緩和性に優れていることを特徴とする。
加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物が加熱焼結して生成した焼結物は固体状銀であり、優れた導電性と熱伝導性を有する。導電性は体積抵抗率で示され、1×10−5Ω・cm以下であり、6×10−6Ω・cm以下であることが好ましい。熱伝導率は50W/mK以上であり、100W/mK以上であることが好ましい。
ペースト状銀粒子組成物、加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)、加熱焼結条件、多孔質焼結物、空孔率、金属製部材については、金属製部材接合体の製造方法に関して説明したとおりである。複数の金属製部材間に介在している加熱焼結した銀層の厚さは、必要な接合強度が発現する厚さであれば、特に限定されない。通常、3μm以上、1000μm以下である。
複数の金属製部材が加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物の加熱焼結物により、強固に、しかも熱衝撃に対する応力緩和性よく接合している本発明の金属製部材接合体として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合体、ダイオード、メモリ、トランジスタ、IC、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合体、高発熱のCPUチップと冷却板との接合体が例示される。
本発明の実施例と比較例を掲げる。ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率、および、空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、当該金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル前後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率は下記のとおりに測定した。なお、特に記載のない場合の温度は23℃であり、沸点は常圧での沸点である。
[ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ]
ポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に15mm角の開口部を有する厚さ1mmのステンレス製のマスクを置き、ペースト状銀粒子組成物を印刷塗布した。
これを熱風循環式オーブン中で、300℃で1時間加熱してペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物を焼結し、当該オーブンから取り出した。
得られた焼結物をポリテトラフルオロエチレン樹脂板からはずして硬さ測定用試験体とした。2個の試験体についてJIS Z2244(ビッカース硬さ試験)に準拠して硬さを測定し、その平均値を焼結物の硬さとした。
[ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の体積抵抗率]
ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さの測定に用いた試験体について、JIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
[ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の熱伝導率]
ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さの測定に用いた試験体について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/mK)を測定した。
[ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の空孔率]
ポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に15mm角の開口部を有する厚さ1mmのステンレス製のマスクを置き、ペースト状銀粒子組成物を印刷塗布した。
これを熱風循環式オーブン中で、300℃で1時間加熱してペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)と加熱焼結性銀微粒子(B)の混合物を焼結し、当該オーブンから取り出した。
得られた焼結物をポリテトラフルオロエチレン板からはずして空孔率測定用試験体とした。得られた空孔率測定用試験体の断面を電子顕微鏡で撮影し、PPC用紙(上質紙・中性紙)に印刷した。次いで、写真の空孔部分と非空孔部分を切り分けてそれぞれの質量を測定し、断面における空孔部分の面積の割合を算出し、その百分率を空孔率とした。
[ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ]
幅25mm×長さ70mm、厚さ1.0mmの銀基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの開口部(2.5mm×2.5mm)を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を印刷塗布し、その上にサイズが2.5mm×2.5mm×0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)を乗せた。
これを熱風循環式オーブン中で、300℃で1時間加熱して銀基板と銀チップを接合した。
得られた接合強度測定用試験体を、接着強さ試験機の試験体取付け具にセットし、該銀チップの側面を接着強さ試験機の押圧棒により押厚速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。4個の試験体についての平均値をせん断接着強さとした。
[金属製部材接合体の冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ]
金属製部材の接合強度測定用試験体を冷熱衝撃試験機に入れて、−40℃で30分間放置と+125℃で30分間放置を1サイクルとする冷熱衝撃を1000サイクルおこなった。かくして得られた冷熱サイクルにかけた接合強度測定用試験体を接着強さ試験機の試験体取付け具にセットし、該銀チップの側面を接着強さ試験機の押圧棒により押厚速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。4個の平均値をせん断接着強さとした。
[冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率]
冷熱サイクル後のせん断接着強さが、冷熱サイクル前のせん断接着強さをどの程度を保持しているかを示す保持率を次の計算式により計算した。
([金属製部材接合体の冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ]÷[金属製部材接合体の冷熱サイクルにかける前のせん断接着強さ])×100(%)
[実施例1]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が2.0μmであり,アスペクト比が20(平均厚さが0.1μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子80質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子20質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)9.5質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法が金属製部材同士を強固に接合し、耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得るのに有用なことがわかった。
[実施例2]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が0.5μmであり,アスペクト比が10(平均厚さが0.05μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子90質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子10質量部、および、沸点が205℃であるベンジルアルコール(関東化学株式会社製)9質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法が金属製部材同士を強固に接合し、耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得るのに有用なことがわかった。
[実施例3]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が7.0μmであり,アスペクト比が50(平均厚さが0.14μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子70質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子30質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)10質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法が金属製部材同士を強固に接合し、耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得るのに有用なことがわかった。
[実施例4]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が10.0μmであり,アスペクト比が91(平均厚さが0.11μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子60質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子40質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)10質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表2にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法が金属製部材同士を強固に接合し、耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得るのに有用なことがわかった。
[実施例5]
実施例1において、平均粒径が0.017μmの加熱焼結性銀微粒子の代わりに、平均粒径が0.060μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子を用いた以外は同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表2にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法が金属製部材同士を強固に接合し、耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得るのに有用なことがわかった。
[比較例1]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が0.3μmであり,アスペクト比が4.3(平均厚さが0.07μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子90質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子10質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)9質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表3にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例2]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が12.0μmであり,アスペクト比が120(平均厚さが0.1μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子60質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子40質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)10質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表3にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例3]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が2.0μmであり,アスペクト比が20(平均厚さが0.1μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子80質量部、平均粒径が1.0μmの粒状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子20質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)9.5質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表3にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例4]
実施例2において、平均粒径が0.5μmであり,単結晶のフレーク状銀の代わりに、多結晶であり,平均粒径が1.0μmであり,粒状である加熱焼結性銀粒子を用いた以外は同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表4にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例5]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が2.0μmであり,アスペクト比が20(平均厚さが0.1μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子40質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子60質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)16質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表4にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例6]
単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が2.0μmであり,アスペクト比が20(平均厚さが0.1μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子99質量部、平均粒径が0.017μmであり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子1質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)9質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表4にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例7]
多結晶の球状銀であり,平均粒径が1.8μmである加熱焼結性銀粒子100質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)10質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表5にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例8]
多結晶の粒状銀であり,平均粒径が1.0μmである加熱焼結性銀粒子100質量部、および、沸点が219℃であるα−テルピネオール(関東化学株式会社製)10質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表5にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例9]
実施例2において、平均粒径が0.5μmであり,単結晶のフレーク状銀の代わりに、多結晶であり,平均粒径が1.0μmであり,球状である加熱焼結性銀粒子を用いた以外は同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表5にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例10]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量380、硬化物のTg110℃)10質量部、単結晶のフレーク状銀であり、平面方向の平均粒径が5.0μmであり,アスペクト比が42(平均厚さが0.12μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子80質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子20質量部、エポキシ樹脂の理論当量分の2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化剤)、および、沸点が247℃である酢酸ブチルカルビトール(関東化学株式会社製)9質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表6にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では導電性、熱伝導性および耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
[比較例11]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(分子量500、硬化物のTg75℃)10質量部、単結晶のフレーク状銀であり,平面方向の平均粒径が10.0μmであり,アスペクト比が91(平均厚さが0.11μm)の,多角形である加熱焼結性銀粒子80質量部、平均粒径が0.017μmの球状であり,多結晶である加熱焼結性銀微粒子20質量部、エポキシ樹脂の理論当量分のジエチレントリアミン(硬化剤)、および、沸点が80℃であるメチルエチルケトン(関東化学株式会社製)9質量部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
上記ペースト状銀粒子組成物について、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の焼結物の硬さ、体積抵抗率、熱伝導率および空孔率、ペースト状銀粒子組成物中の加熱焼結性銀粒子の加熱焼結により接合された金属製部材接合体のせん断接着強さ、金属製部材接合体を冷熱サイクルにかけた後のせん断接着強さ、および、冷熱サイクル後の金属製部材接合体のせん断接着強さの保持率を測定し、結果を表6にまとめて示した。以上の結果により、この接合方法では導電性、熱伝導性および耐熱衝撃性に優れる金属製部材接合体を得ることができないことがわかった。
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本発明のペースト状銀粒子組成物は、複数の金属製部材を強固に接合でき、耐熱衝撃性に優れた金属製部材接合体を製造するのに有用である。本発明の金属製部材接合体の製造方法は、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接合体、放熱用部材の接合体などの製造に有用である。
本発明の金属製部材接合体は、電子部品、電子装置、電気部品、電気装置などに有用である。
A せん断接着強さ測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状銀粒子組成物(加熱焼結後は固形状銀焼結物)
3 銀チップ

Claims (8)

  1. (A)平均粒径が0.3μmを越え10μm以下であり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が5以上100以下である加熱焼結性フレーク状銀粒子、(B)平均粒径(メディアン径D50)が0.005μm以上0.1μm未満の加熱焼結性銀微粒子(ただし、(A):(B)が質量比で、50:50から95:5の範囲内である)、および、(C)揮発性分散媒とからなることを特徴とする、ペースト状銀粒子組成物。
  2. 加熱焼結性フレーク状銀粒子(A)が単結晶であり、加熱焼結性銀微粒子(B)が球状または粒状であり,多結晶であることを特徴とする、請求項1に記載のペースト状銀粒子組成物。
  3. 70℃以上400℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ、該銀粒子同士を加熱焼結せしめて生成した焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のペースト状銀粒子組成物。
  4. 請求項1または請求項2に記載のペースト状銀粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上400℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ、該銀粒子同士を加熱焼結せしめて生成した焼結物により複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
  5. 焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする、請求項4に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  6. 金属製部材の金属が、銅、銀、金、白金、パラジウム、または、これら各金属の合金であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  7. 複数の金属製部材が、(A)平均粒径が0.3μmを越え10μm以下であり、アスペクト比(平均粒径/平均厚さ)が5以上100以下である加熱焼結性フレーク状銀粒子と(B)平均粒径(メディアン径D50)が0.005μm以上0.1μm未満の加熱焼結性銀微粒子(ただし、(A):(B)が質量比で、50:50から95:5の範囲内である)の加熱焼結物により接合され、該加熱焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする、金属製部材接合体。
  8. 金属製部材が金属系基板または金属部分を有する電子部品であることを特徴とする、請求項7に記載の金属製部材接合体。
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