近年、パチンコ遊技機やスロットルマシン等の遊技機は、遊技盤に設けられる各種入賞装置や図柄変動表示装置等を制御して、遊技の興趣を盛り上げるようにしたものが主流となっており、これらの入賞装置や図柄変動装置等の制御は、ICやLSI等の多数の電子部品を配設したロジック制御の回路基板、あるいはマイクロコンピュータを備えた制御基板等により行われる。このような遊技機の遊技内容を制御する制御基板は、一般的に遊技盤の裏面側に取り付けられた基板収納ボックス内に収納される。
従来用いられてきた基板収納ボックスにおける制御基板をその内部に封止する構造は、カバー体とケース体とをビス止め組付けした後、それらの合わせ目に封印シールを貼ったり、基板収納ボックスをアクリルなどの透明な合成樹脂材料により形成して、内部に収容されている制御基板の状態が外部から視認できるようにして不正行為が確認できるようにしていたが、本物そっくりの偽封印シールや特殊な剥離剤などを使用する不正行為者に対しては効果がなかった。
このような行為を防止するために、基板収納ボックスを開封不可能あるいは開封が極めて困難な構造にして、ボックスそのものを破壊するしか開封する方法がないように封止することも考えられるが、公的機関によるROM検査や修理等のメンテナンス性を考えると現実的でない。
そこで、一旦封止が開封されると、開封された痕跡が残るように、カバー体とケース体にそれぞれ一体的に連結して設けられた封止部同士を別部材である封止部材(特殊な形状のピンやネジなど)を用いて固着させ、その封止・開封が複数回行うことができる構造のものが提案されている。
このカバー体及びケース体とそれぞれの封止部との連結部分のうち少なくとも一方がニッパ等の工具で容易に切断可能に形成されており、その連結部分を切断して、封止部同士が固着された部分を分離させることで、開封することが可能な構造になっており、開封が容易な上に開封すれば確実にその切断による痕跡を残すことができるので、不正行為を防止できて取り扱いも良いということから広く採用されている。
また、前述の公的機関によるROM検査や修理等のメンテナンス性を考慮して複数回の封止・開封を行うことができるように、封止の箇所が複数設けられている。この場合、封止部同士の固着に使用された封止部材は再度の封止に用いることができないので、カバー体の封止部、ケース体の封止部及び封止部材を一組とする封止箇所を、複数備えることでこれを実現している。例えば封止箇所が8つあれば、そのうち2つを封止のために使用するものとすれば、計4回の封止・開封を行うことができる。
このような基板収納ボックスの例を図を用いて詳細に説明する。図17は基板収納ボックス200の外観斜視図、図18はその分解斜視図、図19は封止部の上面図、図20は基板収納ボックス200の側面に設けられた封止部201のA−A断面である横断面図、図21はその縦断面図を示している。
図示されるように、この基板収納ボックス200は、主制御基板203が収容されるケース体201と、そのケース体201に被着されるカバー体202と、これらを用いて内部に制御基板203を封止するための封止部材として挿入ピン211とから構成される。
ケース体201はアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、その底面に載置された主制御基板203の4隅角部をネジ204止めにより収容固定している。この主制御基板203を収容するケース体201の左右両外側面(図面では片側のみ図示)には、ケース側封止部205として上面が開口された長手ボックス形状の固定具収容台212がケース体201と一体的に設けられ、その内部には図20及び図21で示すような金属製板材により折り曲げ形成されたピン固定具213がタッピンネジ207によって固定具収容台212の内部にネジ止め固定されている。
このピン固定具213には、挿入ピン211の先端部211aが挿入された際には、抜脱不能に係合する係合孔213aが形成されている。その係合孔213aの内周縁には、挿入ピン211の先端部211aに周設された凹状の係合溝211bに係合する係合片213bがやや斜め下向きに突設して形成されている。
また、このケース体201に被着されるカバー体202の左右両外側面(図面では片側のみ図示)には、カバー側封止部206として複数個(この例では4個)のピン挿入台215が切断可能に形成された連結部218を介して一体的に整列して設けられると共に、それらピン挿入台215の両サイドには前述のピン固定具213をネジ止め固定したタッピンネジ207を上方から覆うネジ隠し片217,217が設けられている。
整列して設けられたピン挿入台215,215,・・には、図21に示すように挿入ピン211が予め装着されている。この挿入ピン211はアルミ等の金属製棒材により切削形成又は合成樹脂材料により一体成形されたもので、フランジ状の頭部211eと円柱状の本体部211dを備えている。円柱状の本体部211dの途中位置には、その本体部211d外径よりもやや太径にローレット状のリング部211cが形成されており、挿入ピン211を遊挿させた状態でピン挿入台215に挿入させておくことができる。これにより、例えばパチンコホールの管理者等が挿入ピンを別途保管しておく必要はなく、従って紛失あるいは盗難のおそれがないので取り扱いが便利である。
また、これらピン挿入台215,215,・・とカバー体202の側壁とを連結している連結部218,218,・・はニッパ等の工具によって簡便に切断可能な形状に形成されており、この連結部218,218,・・のうち封止された箇所の連結部218を切断することで、封止箇所のピン挿入台215はカバー体202から分離させることができる。
このような構造の基板収納ボックス200は、その内部への主制御基板203の封止・開封を複数回行うことができるようになっている。図17に示されるようにカバー体202の上面左右には、対角になるように番号表示(この場合1〜4)がされており、例えば、初めて封止するときは左右の番号「1」が附された2箇所の挿入ピン211を叩き込んで封止する。主制御基板203のROM等を検査するために開けるには、封止に用いられた左右の番号「1」が附された2箇所の連結部218を切断することで開封することができる。
そして再度封止するには、左右の番号「2」が附された2箇所の挿入ピン211を叩き込むことで再び主制御基板203をボックス内に閉じ込めることができる。このように収納されている主制御基板203のROM検査や修理などの正当の理由による開封・封止が複数回行うことができるので、メンテナンス性も良いというものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。 図1は、遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の概略構成の正面図を示したものである。図示されるようにパチンコ遊技機10は、遊技機本体の側部を構成する外枠11と前面部のベースとなる内枠12とを備える。この内枠12の開口部周縁には額縁状の金枠13が嵌められており、その内側には遊技盤14の前面を覆うガラス扉15が設けられる。
ガラス扉15の下方位置には、遊技球を貯留するための上受け皿16とその上受け皿16から溢れた遊技球を貯留するための下受け皿17が縦列して設けられる。この上受け皿16には球抜きボタン18が設けられ、これを操作すると上受け皿16内の遊技球が下受け皿17に向けて抜き落とされる。又、下受け皿17の図中右側位置には、遊技球を発射するための発射レバー20が設けられ、その回動操作量に応じて打球の強さが調整されると共に図示しない発射モータの電源が投入される。更に発射レバー20には遊技球を単発発射させるための単発スイッチ21も備えられており、遊技状況に応じて使い分けることが可能に構成されている。
また、このパチンコ遊技機10の左側部にはプリペイドカードによる球の貸し出しを行うプリペイドカードユニット22が並設されており、その操作は上受け皿16の前面部に設けられた球貸し操作部23によって行われる。球貸し操作部23には、プリペイドカードによる遊技球の貸出しを操作する球貸しボタン24、その貸出しの可否状態を示す球貸しランプ25、カード挿入口26からプリペイドカードを排出させるカード返却ボタン27、プリペイドカードの残高表示及びエラー表示を行う度数表示部28等が備えられる。
遊技盤14面のほぼ中央には特別図柄表示装置50が設けられており、その画面には数字やキャラクタ等の図柄が動画表示される。この特別図柄表示装置50の真下位置には常時入賞可能な第一始動入賞口52aと、可変翼が開放された時にのみ入賞可能となる第二始動入賞口52bを備える始動入賞口52が設けられており、始動入賞口52に遊技球が入賞すると特別図柄表示装置50に表示される図柄が変動を開始する。
また、始動入賞口52の真下位置には通常は閉鎖されている大入賞口53が設けられており、その内部には大入賞口53が開放された時にのみ入賞可能となる特定入賞口54が設けられている。又、大入賞口53の左右位置には普通入賞口である左落し入賞口60、右落し入賞口61が、それらの上方位置には左袖入賞口62、右袖入賞口63が各々設けられ、これらの入賞口へ遊技球が入賞すると所定個数の賞品球が払出される。
特別図柄表示装置50の周囲には装飾枠体64が設けられる。この装飾枠体64の上部に形成された半円弧形状の装飾枠部には、普通図柄表示装置65が設けられ、「0」から「9」までの数字が7セグメントでもってデジタル表示される。更に、本遊技盤14面には遊技球の落下方向を無作為に変更させたり、その流下速度を変化させる風車やランプ風車、左ゲート66、右ゲート67が設けられ、このゲート66、67を遊技球が通過すると普通図柄表示装置65が変動を開始し、所定図柄が表示確定されると前述の始動入賞口52の第二始動入賞口52bが一定時間開放される。
始動入賞口52に遊技球が入賞すると、特別図柄表示装置50に表示される判定用図柄が変動を開始し、所定時間(例えば5秒間)が経過すると停止して図柄が表示確定される。ここで確定された図柄の組み合わせが予め設定された所定の組み合わせと一致すると、それまで閉鎖されていた大入賞口53が開放され、いわゆる「大当たり」と称される特別な遊技状況が開始されることになる。
このように、遊技盤14面に設けられる各入賞口に遊技球が入賞(又は通過)すると諸処の遊技状況が発生する契機となると共に、所定個数の賞品球が上受け皿16の左側上部に設けられる球出口29から払い出される。但し、何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技盤14面の最下部に設けられる排出口68から遊技盤14の裏面へと排出されることになる。
図2は、前記パチンコ遊技機10の裏面図である。パチンコ遊技機10の裏面には、各種装置等を取り付けるための裏セット板71が設けられ、その裏セット板71の上方には、図示しない遊技場内に設置された球供給装置から供給される遊技球を一時貯留する球タンク72が設けられる。この球タンク72には球誘導樋73が連接して設けられる。球誘導樋73にはその球誘導樋73上における遊技球の貯留状態を検知する補給スイッチ74が設けられる。このスイッチ74は、球誘導樋73上での球切れ状態が発生した時に作動し、図示しない遊技場内の球供給装置から球タンク72に遊技球が供給されていないことを遊技場へ報知するように構成されている。
この球誘導樋73は図示しない屈曲樋に接続され、この屈曲樋はその下流域でおいて枝分かれして賞球払出装置75と球貸払出装置76に連接される。又、この図示しない屈曲樋にはその屈曲樋内における遊技球の流下状態を検知して賞球払出装置75及び球貸払出装置76の空動作を未然に防止する空切り防止スイッチ77が設けられる。
また、遊技機10の裏面には、遊技に関わる制御を行うための多様な制御基板が設けられており、これらにより遊技盤14面に設けられる各装置等の動作が設定制御される。遊技機10と外部の各種装置とを接続する外部出力端子78aを含む外部出力端子基板78、空切り防止スイッチ77の作動を設定制御する空切り防止スイッチ基板79、更に、前述の賞球払出装置75及び貸球払出装置76の作動を設定制御するCR賞球払出制御基板80、本遊技機10の側部に設けられるプリペイドカードユニット22と遊技機10間における情報の授受を行うカードインターフェイス接続部81が設けられる。
更に、これらの制御基板等の動作を設定制御する主制御基板82が裏面左下方部に設けられる。主制御基板82は、基板収納ボックス90に収納されており、この基板収納ボックス90を開封しなければ主制御基板82に触れることができないようになっている。基板収納ボックス90は、下側のケース体91とそのケース体91に被着されるカバー体92とからなり、そのケース体91内に主制御基板82を載置して固定し、その上面をカバー体92で覆うことで外部から触れることができないように主制御基板82を収容している。
そのほかに本遊技機10には上記以外にも多様な制御基板が設けられており、これらにより遊技盤14面に設けられる各装置等の動作が設定制御される。例えば、打球発射に関する設定制御を行う発射装置制御基板83や、遊技盤14面上に設けられるランプの点灯及び消灯に関わる設定制御を行うランプ制御基板84、遊技状況に応じて発する音声や音楽等を制御する音声制御基板85といった各種制御基板も同様に設けられる。図3のブロック図に示されるように、これら制御基板等は直接又は間接的に主制御基板82と接続され、その動作は主制御基板82に制御されるようになっている。これらについての概要は周知であるので、ここでは詳細説明を省略する。
次に、第1の実施形態(参考例)に係るパチンコ遊技機に備えられた不正行為防止のための基板収納ボックスついて図4〜図9を参照して説明する。図4は遊技機本体の裏面に設けられる前述の基板収納ボックス90の分解斜視図、図5はケース側封止部の詳細図、図6は図5の断面図、図7は未使用封止部材の付属構造を示した分解斜視図、図8及び図9は封止・開封の手順を示した断面図である。
図4に示されるように、この基板収納ボックス90は、前述の主制御基板82が収容されるケース体91、そのケース体91がスライドして装着されるカバー体92、これら両部材を封止箇所で固着させるための挿入ピン95とから構成されている。
カバー体92はアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、手前側のスライド装着入り口92aからほぼ上面全体に亘って大きく開口している。左右側壁92b,92bの上端には内側に向かって延設されたスライド片92c,92cがほぼ奥行き方向全体に亘って設けられており、後述するケース体91の左右に段状に設けられた段部91a,91aがスライドして挿入されるスライド溝92d,92dが形成されている。
また、カバー体92の後端側には、箱形状の封止台92eが立設されている。この封止台92eの内側のスペースに後述するケース体91のケース側封止部93,93,・・が設けられた部分がスライド装着されると収容されるようになっている。封止台92eの上面には、複数のカバー側封止部94,94,・・がその上面の一部を切欠したように形成されている。このカバー側封止部94は、略正方形状のピン挿入台96と、切断可能に形成された連結部96aとで構成されている。
カバー側封止部94,94,・・のそれぞれのピン挿入台96,96,・・には、後述する挿入ピン95が挿入されるピン挿入孔96bが貫通して設けられており、その内径は挿入ピン95のフランジ状の頭部95aの外径よりも小さく挿入ピン95の本体部95bの外径よりやや大きく形成されている。
封止に用いられる挿入ピン95はアルミ等の金属製棒材から切削形成又は合成樹脂材料から一体成形されたもので、フランジ状の頭部95aと円柱状の本体部95bを備えており、本体部95bの先端部95cには凹状の係合溝95dが周設されている。
このカバー体92にスライドして装着されるケース体91も同様にアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、カバー体92よりも幅狭に形成され、下面が大きく開口している。図4に示されるように主制御基板82は下方から取り付けられ、左右に段状に設けられた段部91a,91aの内側に設けられた図示しないボス部に主制御基板82の4隅角部をネジ97止めにより収容固定する。また、この段部91a,91aの上面には開口したコネクタ挿入口91bが複数形成されており、収容固定した主制御基板82に設けられた他の各種電気装置と電気接続するためのコネクタ部82aがコネクタ挿入口91bから露出されるようになっている。各種配線をこれらコネクタ部82aに差し込むことにより、それぞれ接続された電気装置に関わる制御が可能になっている。
さらに、段部91a,91aの奥側の左右外壁には、同じくカバー体92の奥側の左右内壁に形成された凹部92f,92fに弾発的に係合する凸部91c,91cが形成されており(片側のみ図示)、これらによりカバー体92はケース体91にスライド装着後は容易に外れないように仮固定される。また、段部91a,91aの手前側の端部には、外側方向に突出して形成されたストッパー91d,91dが設けられており、カバー体92にスライド装着した際には、このストッパー91d、91dがカバー体92のスライド装着入り口92aの左右側壁の前端面に当接して、それ以上奥へのスライドが規制されるようになっている。この場合、これら凹部92f,92fと凸部91c,91cとが係合する位置と、ストッパー91d,91dによってスライド規制される位置を、丁度ケース側封止部93とカバー側封止部94が封止のために重ね合わさる位置となるように設定すれば、その位置決めが容易になる。
また、ケース体91の奥側の上面には、右から順に番号「1」〜「4」が附されたケース側封止部93,93,・・が設けられている。このケース側封止部93は、図5及び図6に示されるように、前述の挿入ピン95が挿通される挿通孔93aと、挿入ピン95の先端部95cに嵌合するピン固定具98と、そのピン固定具98を収容固定する収容溝99aを備えた固定具収容台99とで構成される。
ピン固定具98は、弾性変形可能な金属製板ばね部材により長方形状に成形されたもので、図示されるように挿入ピン95の先端部95cに係合する係合孔98aが複数(この実施例では4つ)開口して形成されている。この係合孔98aの内周縁には、挿入ピン95の先端部95cに凹状に周設された係合溝95dに係合する係合爪98bがやや斜め下向きに突設して形成されており、係合の際には先端部95cを抜脱不能に固定する。
また、このピン固定具98の両端には、固定具収容台99の両端に凹設された係合凹部99b,99bに係合する係合片98c,98cが形成されており、ピン固定具98は収容溝99aに収容された際には、この係合凹部99bに係合して固定される(図6参照)。これによりピン固定具98は、固定具収容台99とケース体91の上壁との間に形成された収容溝99aに挟み込むように収容して固定される。
また、このピン固定具98が収容される固定具収容台99には、挿入ピン95が挿入される挿入ピン95の先端部95cを臨ませる逃げ孔99c,99c,・・が形成されている。
図4及び図7に示されるように、ケース体91の手前側には、ケース体91とカバー体92の封止に用いる挿入ピン95のうち未使用のものが基板収納ボックス90の付属部品として備えられている。この実施例では、封止・開封を計4回行えるように、挿入ピン95が4つ用いられるので、最初の封止に用いる1本の挿入ピン95以外の残り3本の挿入ピン95(つまり、2回目以降の封止に使用される挿入ピン95)は、カバー体92の片側上面から側面に亘って大きく凹設された凹部101の底面101aに、保持部材100によって集約して取り付けられている。
保持部材100は合成樹脂材料により形成されており、底面101aに固定されるための固着部100aと、挿入ピン95が挿入される収容孔100eが形成された収容部100bと、それら固着部100aと収容部100bを連結する連結部100cとで構成される。固着部100aには、底面101aに設けられた支持部102の突状部102aが挿入される貫通孔100dが形成されている。
収容部100bは、挿入ピン95の本体部95bが挿通される収容孔100eを有したドーナツ形状に形成されており、その収容孔100eの内径は、挿入される挿入ピン95のフランジ状頭部95aの外径より小さく本体部95bの外径よりもやや大きく形成されている。これら固着部100aと収容部100bを連結している連結部100cは、ニッパ等の工具によって切断可能に形成されている。
次に、このような構成の基板収納ボックス90の組付け及び挿入ピン95を操作して、主制御基板82をボックス内に封止する手順について図8及び図9を用いて説明する。
まず、図8(a)に示されるように、ケース体91のケース側封止部93,93,・・に設けられた固定具収容台99の収容溝99aへ、ピン固定具98を収容固定すると共に、主制御基板82をケース体91内にネジ止め固定した後、カバー体92内にスライド装着させる。
カバー側封止部94とケース側封止部93が重なるように装着した後(つまりカバー側封止部94のピン挿入孔96bの中心とケース側封止部93の挿通孔93aの中心が同軸上に並んだ状態)、図8(b)に示されるように、上方から挿入ピン95を番号「1」が附された箇所のピン挿入台96に挿入する。そして、挿入された挿入ピン95の頭部95aをネジ回しドライバー等の工具を用いて、上方から叩き込む等の押圧動作により、先端部95cの係合溝95dがピン固定具98の係合孔98aの内周縁に形成された係合爪98bが嵌り込んで係合する(図9(a)参照)。
このように挿入ピン95によって、カバー体92に設けられたピン挿入台96と、ケース体91に設けられた固定具収容台99の収容溝99aに係合して収容固定されたピン固定具98とが、固く連結されることで、ケース体91とカバー体92はスライド不能になり、主制御基板82はボックス内に封止されることになる。
また、ピン固定具98は図示されているように、ケース体の上壁に覆われて収容溝99aに収容されているので、ピン固定具98が収容溝99a内で係合している部分である係合凹部99c等への不正行為によって、その係合を外すことは、その覆っている上壁等を破壊することが必要になる。そのような破壊は確実にその痕跡を残すことができる上に、その痕跡を消す為の復元も極めて困難であるので、収納されている制御基板への不正行為のために開封が行われた場合には早期に発見されるとともに、不正行為の痕跡を消すこともできないので、このような不正行為者による不正開封の行為を抑制することができる。
このように封止された基盤収納ボックス90を主制御基板82のROMの検査やメンテナス等の正当な理由で開封するには、図9(b)に示されるように、挿入ピン95が叩き込まれた番号「1」が附されたピン挿入台96のカバー体92と連結している箇所の連結部96aを切断して、カバー体92と挿入ピン95が叩き込まれたピン挿入台96とを分離させることで開封することができる。そしてケース体91からカバー体92を外し、開放された主制御基板82の検査等を行う。
ROMの検査やメンテナス等が終わった後、再び封止するには、保持部材100に取り付けられている未使用の挿入ピン95のうち1本を連結部100cを切断して取り出す。取り出した新たな挿入ピン95を、前述と同様の手順で今度は番号「2」が附されたピン挿入台96に挿入し、ネジ回しドライバー等の工具を用いて、上方から叩き込むことで再び主制御基板82を基板収納ボックス90内に再度封止することができる。
このように基板収納ボックス90は、収納されている主制御基板82のROM検査や修理などの正規の理由による開封・封止が複数回(この実施例では4回)行うことができる上に、その1回の開封・封止のための封止箇所への操作が一箇所で済むことになるので、作業性が良い。また、それに伴い、上述した従来技術のように、封止・開封を計4回行えるように封止箇所を8つも設ける必要がなく、4つの封止箇所で済むので、ボックスの製作に掛かるコストも低く抑えることが可能になる。
次に、第2の実施形態(参考例)に係るパチンコ遊技機に備えられた不正行為防止のための基板収納ボックスついて図10〜図12を参照して説明する。図10は遊技機本体の裏面に設けられる基板収納ボックス110の分解斜視図、図11及び図12は封止・開封の手順を示した断面図を示したものでである。尚、この基板収納ボックスは、第1の実施形態のものとはカバー側封止部とケース側封止部の構成のみが異なっているだけなので、第1の実施形態と同一の構成については同符号を附して説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
第1の実施形態の説明では、挿入ピン95の封止のための挿入方向が上方から(スライド方向に対して垂直)だったのに対し、この基板収納ボックス110では、図示されるように挿入ピン95の挿入方向が側方から(スライド方向に対して平行)になっており、それに伴って第1の実施の形態と同様の構成のケース側封止部113とカバー側封止部114はそれぞれ垂直になるように手前側の壁面に設けられている。
このような構成の基板収納ボックス100の組付け及び挿入ピン95を操作して、主制御基板82をボックス内に封止する手順について図11及び図12を用いて説明する。
第1の実施形態の説明と同様に、まず、ケース体111のケース側封止部113,113,・・に設けられた固定具収容台99の収容溝99aへ、ピン固定具98を収容固定すると共に、主制御基板82をケース体111内にネジ止め固定した後、カバー体112内にスライド装着させる(図11(a)参照)。
カバー側封止部114とケース側封止部113が重なるように装着した後(つまりカバー側封止部114のピン挿入孔96bの中心とケース側封止部113の挿通孔93aの中心が同軸上に並んだ状態)、図11(b)に示されるように、側方から挿入ピン95を番号「1」が附された箇所のピン挿入台96に挿入する。そして、挿入された挿入ピン95の頭部95aをネジ回しドライバー等の工具を用いて、側方から叩き込む等の押圧動作により、先端部95cの係合溝95dがピン固定具98の係合孔98aの内周縁に形成された係合爪98bが嵌り込んで係合させる(図12(a)参照)。
このように挿入ピン95によって、カバー体112に設けられたピン挿入台96と、ケース体111に設けられた固定具収容台99の収容溝99aに係合して収容固定されたピン固定具98とが、固く連結されることで、ケース体111とカバー体112はスライド不能になり、主制御基板82はボックス内に封止されることになる。
このように封止された基盤収納ボックス100を主制御基板82のROMの検査やメンテナス等の正当な理由で開封するには、図12(b)に示されるように、挿入ピン95が叩き込まれた番号「1」が附されたピン挿入台96のカバー体112と連結している箇所の連結部96aを切断して、カバー体112と挿入ピン95が叩き込まれたピン挿入台96とを分離させる。そしてケース体111からカバー体112を外し、開放された主制御基板82の検査等を行う。
ROMの検査やメンテナス等が終わった後、再び封止するには、保持部材100に取り付けられている未使用の挿入ピン95のうち1本を取り出す。取り出した新たな挿入ピン95を、前述と同様の手順で今度は番号「2」が附されたピン挿入台96に挿入し、ネジ回しドライバー等の工具を用いて、側方から叩き込むことで再び主制御基板82を基板収納ボックス110内に再度封止することができる。
このように基板収納ボックス110は、収納されている主制御基板82のROM検査や修理などの正規の理由による開封・封止が複数回(この実施例では4回)行うことができる上に、その1回の開封・封止のための封止部への操作が一箇所で済むことになるので、作業性が良い。また、それに伴い、上述した従来技術のように、封止・開封を計4回行えるように封止箇所を8つも設ける必要がなく、4つの封止箇所で済むので、ボックスの製作に掛かるコストも低く抑えることが可能になる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るパチンコ遊技機に備えられた不正行為防止のための基板収納ボックスついて図13〜図16を参照して説明する。図13は遊技機本体の裏面に設けられる基板収納ボックス120の分解斜視図、図14はカバー側封止部の横断面図、図15及び図16は封止・開封の手順を示した断面図を示したものでである。尚、この基板収納ボックスも同様に、第1の実施形態のものとはカバー側封止部とケース側封止部の構成のみが異なっているだけなので、第1の実施形態と同一の構成については同符号を附して説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
この基板収納ボックスでは、第1の実施形態の場合と同様に、挿入ピン95の封止のための挿入方向が上方からである点については同じだが、第1の実施の形態では、開封のために切断される連結部を有したピン挿入台96がカバー側に設けられた構成だったものが、この第3の実施形態の基板収納ボックスではケース側に設けられた構成になっている点と、それに伴ってピン固定具がカバー側に備えられる構成になっている点で大きく異なる。
カバー体122の手前側の壁面には、カバー側封止部124,124,・・として上面が開口された長手ボックス形状の固定具収容台125がカバー体122と一体的に設けられ、その内部には図14で示すような金属製板材により折り曲げ形成されたピン固定具126がタッピンネジ127によって固定具収容台125の内部にネジ止め固定されている。
このピン固定具126には、挿入ピン95の先端部95cが挿入された際には、抜脱不能に係合する係合孔98aが設けられている。その係合孔98aの内周縁には、挿入ピン95の先端部95cに周設された凹状の係合溝95dに係合する係合爪98bがやや斜め下向きに突設して形成されている。
また、カバー体122の手前側の壁面には開口した封止部挿通口124aが形成されており、後述するケース側封止部123,123,・・及びネジ隠し片1128,128がピン固定具126上方に位置するように挿入される。
ケース体121の手前側の壁面には、ケース側封止部123,123,・・としてのピン挿入台96,96,・・が切断可能に形成された連結部96aを介して一体的に整列して設けられると共に、それらピン挿入台96,96,・・の両サイドには前述のピン固定具126をネジ止め固定したタッピンネジ127を上方から覆うネジ隠し片128,128が設けられている。
このような構成の基板収納ボックス120の組付け及び挿入ピン95を操作して、主制御基板82をボックス内に封止する手順について図15及び図16を用いて説明する。
まず、カバー体122のカバー側封止部124,124,・・に設けられた固定具収容台125の内部へ、ピン固定具126を収容固定すると共に、主制御基板82をケース体121内にネジ止め固定する。そして、カバー体122内にスライド装着させる(図15(a)参照)。
ケース側封止部123とカバー側封止部124が重なるように装着した後(つまりケース側封止部123のピン挿入孔96bの中心とカバー側封止部124のピン固定具126の係合孔98aの中心が同軸上に並んだ状態)、図15(b)に示されるように、上方から挿入ピン95を番号「1」が附された箇所のピン挿入台96に挿入する。そして、挿入された挿入ピン95の頭部95aをネジ回しドライバー等の工具を用いて、上方から叩き込む等の押圧動作により、先端部95cの係合溝95dがピン固定具126の係合孔98aの内周縁に形成された係合爪98bが嵌り込んで係合させる(図16(a)参照)。
このように挿入ピン95によって、ケース体121に設けられたピン挿入台96と、カバー体122に設けられた固定具収容台125に固定されたピン固定具126とが、固く連結されることで、ケース体121とカバー体122はスライド不能になり、主制御基板82はボックス内に封止されることになる。
このように封止された基盤収納ボックス120を主制御基板82のROMの検査やメンテナス等の正当な理由で開封するには、図16(b)に示されるように、挿入ピン95が叩き込まれた番号「1」が附されたピン挿入台96のケース体121と連結している箇所の連結部96aを切断して、ケース体121と挿入ピン95が叩き込まれたピン挿入台96とを分離させる。そしてカバー体122からケース体121を外し、開放された主制御基板82の検査等を行う。
ROMの検査やメンテナス等が終わった後、再び封止するには、保持部材100に取り付けられている未使用の挿入ピン95のうち1本を取り出す。取り出した新たな挿入ピン95を、前述と同様の手順で今度は番号「2」が附されたピン挿入台96に挿入し、ネジ回しドライバー等の工具を用いて、上方から叩き込むことで再び主制御基板82を基板収納ボックス120内に再度封止することができる。
このように基板収納ボックス120は、収納されている主制御基板82のROM検査や修理などの正規の理由による開封・封止が複数回(この実施例では4回)行うことができる上に、その1回の開封・封止のための封止部への操作が一箇所で済むことになるので、作業性が良い。また、それに伴い、上述した従来技術のように、封止・開封を計4回行えるように封止箇所を8つも設ける必要がなく、4つの封止箇所で済むので、ボックスの製作に掛かるコストも低く抑えることが可能になる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、上記各実施例では、カバー側封止部およびケース側封止部をそれぞれスライド装着入り口とは反対の側に設けた構成を示したが、スライド装着入口側やスライドの途中位置に設けた構成等でも適用できることは言うまでもない。要は、スライドを禁止するための手段がカバー体およびケース体のそれぞれに設けられている構成であれば良い。
尚、上記実施例では、この遊技機の遊技内容を制御するメインの制御基板である主制御基板の基板収納ボックスに適用した例を示したが、遊技機に備えられるそれ以外の制御基板等を収納するボックスについても適用可能なのは言うまでもない。