JP3761420B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技機に関し、さらに詳しくは、パチンコ遊技機やスロットルマシン等の遊技機の遊技盤裏面等に遊技に関する制御を行う制御基板を収容した状態で取り付けられる基板収納ボックスを備えたものにおいて、その基板収納ボックスの不正開封を防止する不正行為防止対策が施されたその不正防止機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パチンコ遊技機やスロットルマシン等の遊技機は、遊技盤に設けられる各種入賞装置や図柄変動表示装置等を制御して、遊技の興趣を盛り上げるようにしたものが主流となっており、これらの入賞装置や図柄変動装置等の制御は、ICやLSI等の多数の電子部品を配設したロジック制御の回路基板、あるいはマイクロコンピュータを備えた制御基板等により行われる。このような遊技機の遊技内容を制御する制御基板は、一般的に遊技盤の裏面側に取り付けられた基板収納ボックス内に収納される。
【0003】
基板収納ボックスは樹脂製又は金属製で形成されており、ICや抵抗等の各種電子部品が多数実装された制御基板等をボックス内に収容して、基板上のプリント回路の短絡を防ぐために、埃等のゴミが侵入しないように保護しており、主に遊技機裏面の機構板等に取り付けられる。例えば、役物制御装置においては、制御回路内にCPU、ROM、RAM等が設けられており、ROMに記憶された制御プログラムに従って遊技機の制御が行われ、大当たり等もここで制御されている。
【0004】
このような制御基板を収容する基板収納ボックスは、カバー体とケース体とを重ね合わせたボックス構造を有して、他の各種電気装置と電気接続される制御基板のコネクタ部分がボックスから露出されるように設けられており、各種配線をそのコネクタ部に差し込むことにより、それぞれ電気装置に関わる制御が可能になっている。
【0005】
この制御基板を収容する基板収納ボックスに対する不正行為は、上蓋となるカバー体をケース体から外して、開放された制御基板に備えられたROM等の電子部品を交換、あるいはデータ内容の書き換えを行うことにより、通常の遊技制御と比較して、例えば大当たりを頻繁に発生させる等の不正な遊技制御を行わせるようなものである。
【0006】
従来用いられてきた基板収納ボックスにおける制御基板を封止する構造は、一旦封止が開封されると、開封された痕跡が残るように、カバー体とケース体とをビス止め組付けした後、それらの合わせ目に封印シールを貼ったり、基板収納ボックスをアクリルなどの透明な合成樹脂材料により形成して、内部に収容されている制御基板の状態が外部から視認できるようにして不正行為が確認できるようにしていたが、本物そっくりの偽封印シールや特殊な剥離剤などを使用する不正行為者に対しては効果がないのが実状である。
【0007】
このような不正行為を防止するために、基板収納ボックスを開封不可能あるいは開封が極めて困難な構造にして、ボックスそのものを破壊するしか開封する方法がないように封止することも考えられるが、公的機関によるROM検査や修理等のメンテナンス性を考えると現実的でない。そこで、これらの対策として、図15〜図19に示されるような基板収納ボックスの封止構造のものが提案されている。図15は基板収納ボックス200の外観斜視図、図16はその分解斜視図、図17は上面図、図18は基板収納ボックス200の側面に設けられた封止部201のA−A断面である横断面図、図19はその縦断面図を示している。
【0008】
図示されるように、この基板収納ボックス200は、主制御基板203が収容されるケース体201、そのケース体201に被着されるカバー体202、これらを連結するための挿入ピン211とから構成される。
【009】
ケース体201はアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、その底面に載置された主制御基板203の4隅角部をネジ204止めにより収容固定している。この主制御基板203を収容するケース体201の左右両外側面(図面では片側のみ図示)には、ケース側封止部205として上面が開口された長手ボックス形状の固定具収容台212がケース体201と一体的に連結して設けられ、その内部には図18及び図19で示すような金属製板材により折り曲げ形成されたピン固定具213がタッピンネジ207によって固定具収容台212の内部にネジ止め固定されている。
【0010】
このピン固定具213には、挿入ピン211の先端部211aが挿入された際には、抜脱不能に係合する係合孔213aが設けられている。その係合孔213aの内周縁には、挿入ピン211の先端部211aに周設された凹状の係合溝211bに係合する係合片213bがやや斜め下向きに突設して形成されている。
【0011】
また、このケース体201に被着されるカバー体202の左右両外側面(図面では片側のみ図示)には、カバー側封止部206として複数個(この例では4個)のピン挿入台215が切断可能に形成された連結部218を介して一体的に整列して設けられると共に、それらピン挿入台215の両サイドには前述のピン固定具213をネジ止め固定したタッピンネジ207を上方から覆うネジ隠し片217,217が設けられている。
【0012】
整列して設けられたピン挿入台215,215,・・には、図19に示すように挿入ピン211が予め装着されている。この挿入ピン211はアルミ等の金属製棒材により切削形成又は合成樹脂材料により一体成形されたもので、フランジ状の頭部211eと円柱状の本体部211dを備えている。円柱状の本体部211dの途中位置には、その本体部211d外径よりもやや太径にローレット状のリング部211cが形成されており、挿入ピン211を遊挿させた状態でピン挿入台215に挿入させておくことができる。
【0013】
また、これらピン挿入台215,215,・・とカバー体202の側壁とを連結している連結部218,218,・・はニッパ等の工具によって簡便に切断可能な形状に形成されており、この連結部218,218,・・のうち封止された箇所の連結部218を切断することで、封止箇所のピン挿入台215はカバー体202から離れることになる。
【0014】
このような構造の基板収納ボックス200は、その内部への主制御基板203の封止・開封を複数回行うことができるようになっている。図15に示されるようにカバー体202の上面左右には、対角になるように番号表示(この場合1〜4)がされており、例えば、初めて封止するときは左右の番号「1」が附された部分の挿入ピン211を叩き込んで封止する。主制御基板203のROM等を検査するときは、左右の番号「1」が附された部分の連結部218を切断することで開封することができる。そして再度封止するには、左右の番号「2」が附された部分の押圧ピン211を叩き込むことで封止することができる。このように収納されている主制御基板203のROM検査や修理などの正規の理由による開封・封止が複数回行うことができるので、メンテナンス性も良いというものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の基板収納ボックス200では、挿入ピン211と係合するピン固定具213はその両端部をケース体201の固定具収容台212にタッピンネジ207によってネジ止め固定するのが一般的であるが、製造工程においては、このようなネジ止め作業は手間や時間も掛かるため、組付けの作業性の向上を図って低コスト化することが難しいという問題があった。
【0016】
また、ネジ止めした部分を隠すために、被着されるカバー体202に設けられたネジ隠し片217,217で覆う構成となっているため、このネジ隠し片217,217を復元可能に巧妙にカバー体202から切断して、ネジを外してボックスを開封してしまったり、さらには、固定具収容台212下面のネジ止め位置に孔を開け特殊な工具を挿入して、ネジを強引に外してしまうことも不可能ではなく、セキュリティー性の向上も図ることが困難であった。
【0017】
本発明の解決しようとする課題は、遊技機本体の裏面や遊技盤裏面に設けられる制御基板が収容される基板収納ボックスの組付けが容易で、さらには痕跡を残さないで開封することを困難にしてセキュリティー性を向上させ、遊技機に対する不正行為を未然に防止することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明に係る遊技機は請求項1に記載のように、遊技に関する制御を行う制御基板が収容されるケース体と、該ケース体に被着されるカバー体とからなる基板収容ボックスを備えた遊技機において、前記カバー体とケース体のいずれか一方には、挿入ピンが挿通されるピン挿入孔が形成された複数個のピン挿入台が切断可能に設けられ、他方には、前記各ピン挿入台のピン挿入孔に対応した位置に前記挿入ピンが係合される複数のピン係合孔が形成された弾性変形可能なピン固定具を収容する固定具収容台が設けられ、該固定具収容台には前記ピン固定具の少なくともピン挿入側を覆いながら係合して収容可能な収容溝が設けられ、該収容溝には、前記ピン固定具の収容が係合位置でない状態ではピン固定具を弾性変形させ、係合位置では復帰変形させて係合させる変形誘導部が形成されていることを要旨とするものである。
【0019】
上記構成を有する基板収納ボックスによれば、ケース体にカバー体を被着して、いずれか一方に設けられたピン挿入台と、他方に設けられた固定具収容台の収容溝に係合して収容固定されたピン固定具とを、挿入ピンによって連結させることで、制御基板をボックス内に封止する。
【0020】
ピン固定具は、固定具収容台の収容溝に係合して収容されることにより固定されているので、従来技術のようなネジ止めによる固定よりも組付けが容易で作業性の向上を図ることができる上に、従来技術のようなネジ隠し片のようなものがネジと共に不要となりコストダウンになる。
【0021】
さらに、ピン固定具はその少なくともピン挿入側が覆われながら収容溝に係合して収容されているので、ピン固定具が収容溝内で係合している部分への不正行為によって、その係合を外すことは、その覆っている収容溝つまり固定具収容台そのものを破壊することになるため、確実にその不正行為の痕跡を残すことができる上に、その痕跡を消す為の復元も極めて困難である。さらに前記収容溝は、前記ピン固定具の少なくともピン挿入側全体を覆いながら係合して収容可能に形成されているので、それらがより困難なものになる。従って、収納されている制御基板への不正行為のために開封が行われた場合には早期に発見されるとともに、不正行為の痕跡を消すこともできないので、このような不正行為者による不正開封の行為を抑制することができる。
【0022】
この場合、前記固定具収容台の収容溝には、前記ピン固定具の収容が係合位置でない状態では、ピン固定具を弾性変形させ、係合位置では復帰変形させて係合させる変形誘導部が形成されているので、ピン固定具の収容溝への収容が弾性変形によって容易になるばかりか、ピン固定具の収容が係合位置でない状態では、ピン固定具を弾性変形させ、係合位置では復帰変形させて係合させる変形誘導部によって、係合がより強固になり外れにくくなる。
【0023】
また、請求項2に記載のように、前記固定具収容台の収容溝には、前記ピン固定具を収容案内するための案内部が形成されている構成にすれば、ピン固定具の収容溝への収容の際に、ずれることなく溝内へ案内されるので収容し易い。
【0024】
さらに、請求項3に記載のように、前記ピン固定具には係合片が形成されると共に、前記固定具収容台には該係合片が係合する係合凹部が形成されていれば、従来のようにネジ止め作業の手間や時間が掛からないし、組付け作業性は向上し、作業コストの低廉化も実現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。 図1は、遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の概略構成の正面図を示したものである。図示されるようにパチンコ遊技機10は、遊技機本体の側部を構成する外枠11と前面部のベースとなる内枠12とを備える。この内枠12の開口部周縁には額縁状の金枠13が嵌められており、その内側には遊技盤14の前面を覆うガラス扉15が設けられる。
【0026】
ガラス扉15の下方位置には、遊技球を貯留するための上受け皿16とその上受け皿16から溢れた遊技球を貯留するための下受け皿17が縦列して設けられる。この上受け皿16には球抜きボタン18が設けられ、これを操作すると上受け皿16内の遊技球が下受け皿17に向けて抜き落とされる。又、下受け皿17の図中右側位置には、遊技球を発射するための発射レバー20が設けられ、その回動操作量に応じて打球の強さが調整されると共に図示しない発射モータの電源が投入される。更に発射レバー20には遊技球を単発発射させるための単発スイッチ21も備えられており、遊技状況に応じて使い分けることが可能に構成されている。
【0027】
また、このパチンコ遊技機10の左側部にはプリペイドカードによる球の貸し出しを行うプリペイドカードユニット22が並設されており、その操作は上受け皿16の前面部に設けられた球貸し操作部23によって行われる。球貸し操作部23には、プリペイドカードによる遊技球の貸出しを操作する球貸しボタン24、その貸出しの可否状態を示す球貸しランプ25、カード挿入口26からプリペイドカードを排出させるカード返却ボタン27、プリペイドカードの残高表示及びエラー表示を行う度数表示部28等が備えられる。
【0028】
遊技盤14面のほぼ中央には特別図柄表示装置50が設けられており、その画面には数字やキャラクタ等の図柄が動画表示される。この特別図柄表示装置50の真下位置には常時入賞可能な第一始動入賞口52aと、可変翼が開放された時にのみ入賞可能となる第二始動入賞口52bを備える始動入賞口52が設けられており、始動入賞口52に遊技球が入賞すると特別図柄表示装置50に表示される図柄が変動を開始する。
【0029】
また、始動入賞口52の真下位置には通常は閉鎖されている大入賞口53が設けられており、その内部には大入賞口53が開放された時にのみ入賞可能となる特定入賞口54が設けられている。又、大入賞口53の左右位置には普通入賞口である左落し入賞口60、右落し入賞口61が、それらの上方位置には左袖入賞口62、右袖入賞口63が各々設けられ、これらの入賞口へ遊技球が入賞すると所定個数の賞品球が払出される。
【0030】
特別図柄表示装置50の周囲には装飾枠体64が設けられる。この装飾枠体64の上部に形成された半円弧形状の装飾枠部には、普通図柄表示装置65が設けられ、「0」から「9」までの数字が7セグメントでもってデジタル表示される。更に、本遊技盤14面には遊技球の落下方向を無作為に変更させたり、その流下速度を変化させる風車やランプ風車、左ゲート66、右ゲート67が設けられ、このゲート66、67を遊技球が通過すると普通図柄表示装置65が変動を開始し、所定図柄が表示確定されると前述の始動入賞口52の第二始動入賞口52bが一定時間開放される。
【0031】
始動入賞口52に遊技球が入賞すると、特別図柄表示装置50に表示される判定用図柄が変動を開始し、所定時間(例えば5秒間)が経過すると停止して図柄が表示確定される。ここで確定された図柄の組み合わせが予め設定された所定の組み合わせと一致すると、それまで閉鎖されていた大入賞口53が開放され、いわゆる「大当たり」と称される特別な遊技状況が開始されることになる。
【0032】
このように、遊技盤14面に設けられる各入賞口に遊技球が入賞(又は通過)すると諸処の遊技状況が発生する契機となると共に、所定個数の賞品球が上受け皿16の左側上部に設けられる球出口29から払い出される。但し、何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技盤14面の最下部に設けられる排出口68から遊技盤14の裏面へと排出されることになる。
【0033】
図2は、前記パチンコ遊技機10の裏面図である。パチンコ遊技機10の裏面には、各種装置等を取り付けるための裏セット板71が設けられ、その裏セット板71の上方には、図示しない遊技場内に設置された球供給装置から供給される遊技球を一時貯留する球タンク72が設けられる。この球タンク72には球誘導樋73が連接して設けられる。球誘導樋73にはその球誘導樋73上における遊技球の貯留状態を検知する補給スイッチ74が設けられる。このスイッチ74は、球誘導樋73上での球切れ状態が発生した時に作動し、図示しない遊技場内の球供給装置から球タンク72に遊技球を供給させるように構成されている。
【0034】
この球誘導樋73は図示しない屈曲樋に接続され、この屈曲樋はその下流域でおいて枝分かれして賞球払出装置75と球貸払出装置76に連接される。又、この図示しない屈曲樋にはその屈曲樋内における遊技球の流下状態を検知して賞球払出装置75及び球貸払出装置76の空動作を未然に防止する空切り防止スイッチ77が設けられる。
【0035】
また、遊技機10の裏面には、遊技に関わる制御を行うための多様な制御基板が設けられており、これらにより遊技盤14面に設けられる各装置等の動作が設定制御される。遊技機10と外部の各種装置とを接続する外部出力端子78aを含む外部出力端子基板78、空切り防止スイッチ77の作動を設定制御する空切り防止スイッチ基板79、更に、前述の賞球払出装置75及び貸球払出装置76の作動を設定制御するCR賞球払出制御基板80、本遊技機10の側部に設けられるプリペイドカードユニット22と遊技機10間における情報の授受を行うカードインターフェイス接続部81が設けられる。
【0036】
更に、これらの制御基板等の動作を設定制御する主制御基板82が裏面左下方部に設けられる。主制御基板82は、基板収納ボックス90に収納されており、この基板収納ボックス90を開封しなければ主制御基板82に触れることができないようになっている。基板収納ボックス90は、下側のケース体91とそのケース体91に被着されるカバー体92とからなり、そのケース体91内に主制御基板82を載置して固定し、その上面をカバー体92で覆うことで外部から触れることができないように主制御基板82を収容している。
【0037】
そのほかに本遊技機10には上記以外にも多様な制御基板が設けられており、これらにより遊技盤14面に設けられる各装置等の動作が設定制御される。例えば、打球発射に関する設定制御を行う発射装置制御基板83や、遊技盤14面上に設けられるランプの点灯及び消灯に関わる設定制御を行うランプ制御基板84、遊技状況に応じて発する音声や音楽等を制御する音声制御基板85といった各種制御基板も同様に設けられる。図3のブロック図に示されるように、これら制御基板等は直接又は間接的に主制御基板82と接続され、その動作は主制御基板82に制御されるようになっている。これらについての概要は周知であるので、ここでは詳細説明を省略する。
【0038】
次に、本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機に備えられた不正行為防止のための基板収納ボックスついて図4〜図12を参照して説明する。図4は遊技機本体の裏面に設けられる前述の基板収納ボックス90の外観斜視図、図5及び図6は基板収納ボックスの分解斜視図、図7は両封止部の縦断面斜視図、図8はケース側の封止部の上面図、図9及び図10は両封止部の縦断面図、図11及び図12は両封止部の横断面図を示した図である。
【0039】
図示されるように、この基板収納ボックス90は、前述の主制御基板82が収容されるケース体91、そのケース体91に被着されるカバー体92、これら両部材を連結するための挿入ピン95とから構成される。
【0040】
カバー体92はアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、その左右両外側(図面では片側のみ図示)には、カバー側封止部94が設けられている。このカバー側封止部94には、複数個(この実施例では4個)のピン挿入台96,96,・・が切断可能に形成された連結部96a,96a,・・を介して設けられている。
【0041】
このピン挿入台96,96,・・には、後述する挿入ピン95が挿入されるピン挿入孔96bが貫通して設けられており、挿入ピン95のフランジ状の頭部95aが収容される収容部96cと挿入ピン95の本体部95bが挿通される挿通部96dが形成されている。
【0042】
挿入ピン95はアルミ等の金属製棒材により切削形成又は合成樹脂材料から成形されたもので、フランジ状の頭部95aと円柱状の本体部95bを備えている。また、本体部95bの先端部95cには凹状の係合溝95dが周設されている。尚、図5及び図6に示されるように、封止に用いない挿入ピン95(実施例では3本)がカバー体92の上壁に取付部材91bによって取り付けられており、封止・開封が複数回行われる場合には適宜取り外されて用いられるようになっている。
【0043】
主制御基板82を収容するケース体91も同様にアクリル等の透明な合成樹脂材料により略箱形状に形成されており、その底面に載置された主制御基板82の4隅角部をネジ97止めにより収容固定する。
【0044】
このケース体91の側壁には、被着されるカバー体92の段部92aに弾発的に係合する係合爪片91a,91aが形成されており、これらによりカバー体92はケース体91に被着の際に容易に外れないように仮固定される。
【0045】
ケース体91の左右両外側(図面では片側のみ図示)には、ケース側封止部93が設けられている。このケース側封止部93には図示されるように、前述の挿入ピン95の先端部95cに係合するピン固定具98と、そのピン固定具98を収容固定する収容溝99aを備えた固定具収容台99とで構成される。
【0046】
ピン固定具98は、弾性変形可能な金属製板ばね部材により長方形状に成形されたもので、挿入ピン95の先端部95cに係合する係合孔98aが複数(この実施例では4つ)開口して形成されている。この係合孔98aの内周縁には、挿入ピン95の先端部95cに周設された係合溝95dに係合する係合爪98bが形成されており、係合の際には先端部95cを抜脱不能に保持する。
【0047】
また、このピン固定具98の両端部には、固定具収容台99の前台99bに凹設された係合凹部99c,99cに係合する係合片98c,98cが形成されており、ピン固定具98は収容溝99aに収容された際には、この係合凹部99cに係合して収容される。
【0048】
このピン固定具98が収容される固定具収容台99は、挿入ピン95が挿入される挿入孔99dを複数(この実施例では4つ)有する前台99bと、同じく挿入ピン95の先端部95cが挿入される後台99eとで構成されており、これら2つの台がピン固定具98を挟み込むように設けられ、その間に収容溝99aが形成されている。
【0049】
収容されるピン固定具98を収容溝99a内で固定するため、前台99bの両側端部には係合凹部99c,99cが凹設されており、ピン固定具98は収容溝99aに収容された際には、係合片98c,98cがこの係合凹部99c,99cに係合して収容固定される。
【0050】
また、この収容溝99aは図8に示されるように、ピン固定具98を収容溝99aに収容する際に、そのピン固定具98の収容が係合位置でない途中位置の状態、つまり係合片98c,98cが係合凹部99c,99cの位置まで到達していない状態では、ピン固定具98を弾性変形させ、係合する位置まで到達すると復帰変形させて係合させるスペースとして変形誘導部99fが前台99bと後台99eとによって形成されている。この場合図示されるように、ピン固定具98を収容溝99aに挿入すると、ピン固定具98の中央部分を膨らませるように弾性変形させ、、ピン固定具98の係合片98c,98cが前台99bの係合凹部99c,99c位置まで挿入されると、ピン固定具98を復帰変形させて係合片98c,98cが係合凹部99c,99cに係合して収容される。このような構造にすることにより強固に収容固定されるので外れにくい。
【0051】
さらに、固定具収容台99の前台99bに形成された係合凹部99c,99cの外側には、収容されるピン固定具98を収容溝99aへ挿入案内するための案内部99g,99gが凸設されており、収容をスムーズに行い易くなっている。
【0052】
次に、このような構成の基板収納ボックス90の組付け及び挿入ピン95を操作して、主制御基板82をボックス内に封止する手順について図9〜図12を用いて説明する。
【0053】
まず、図9(a)に示されるように、ケース体91のケース側封止部93に設けられた固定具収容台99の収容溝99aへ、ピン固定具98を収容固定すると共に、主制御基板82をケース体91内にネジ止め固定する。そして、図9(b)に示されるように、カバー体92を上方から、被着する。
【0054】
被着した後、図10(a)及び図11に示されるように、側方から挿入ピン95をカバー体92のピン挿入台96に挿入する。そして、図10(b)及び図12に示されるように、挿入された挿入ピン95の頭部95aをネジ回しドライバー等の工具を用いて、側方から叩き込む等の押圧動作により、先端部95cの係合溝95dがピン固定具98の係合孔98aの内周縁に形成された係合爪98bが嵌り込んで係合する。
【0055】
このようにして、カバー体92に設けられたピン挿入台96と、ケース体91に設けられた固定具収容台99の収容溝99aに係合して収容固定されたピン固定具98とが、挿入ピン95によって連結されることで、主制御基板82はボックス内に封止される。
【0056】
ピン固定具98は、固定具収容台99の収容溝99aに係合して収容されることにより固定されているので、従来技術のようなネジ止めによる固定よりも組付けが容易で作業性の向上を図ることができる上に、従来技術のようなネジ隠し片のようなものがネジと共に不要となる。さらには、ネジによる固定を採用しないことにより、巧妙にネジが外されていまうということがなくなる。
【0057】
また、ピン固定具98は図示されるように、その挿入ピン95が挿入される側全体が、前台99bに覆われて収容溝99aに収容されているので、ピン固定具98が収容溝99a内で係合している部分である係合凹部99c等への不正行為によって、その係合を外すことは、その覆っている前台99bや収容溝99a、つまり固定具収容台99そのものを破壊することが必要になる。そのような破壊は確実にその痕跡を残すことができる上に、その痕跡を消す為の復元も極めて困難である。
【0058】
従って、収納されている制御基板への不正行為のために開封が行われた場合には早期に発見されるとともに、不正行為の痕跡を消すこともできないので、このような不正行為者による不正開封の行為を抑制することができる。
【0059】
尚、ピン挿入台が切断可能な連結部96aを介して複数設けられていると共に、ピン固定具98の挿入ピン95との係合孔98aも複数設けられているので、基板収納ボックス90の開封・封止を複数回行うことができるようになり、主制御基板82の公的機関によるROM検査や修理などの正当な理由によって開封した場合でも再度収納して封止することが可能になり、メンテナンス性も良くなる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態として、従来技術で説明した基板収納ボックス200に第1の実施形態で説明した封止構造を適用させた場合のものについて図13及び図14を参照して説明する。図13は基板収納ボックスの分解斜視図、図14は両封止部の縦断面を示した図である。尚、この基板収納ボックスは、従来例のものとはケース体の封止部の構造のみ異なっているだけなので、従来例と同一の構成については同符号を付して説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0061】
図示されるように、この基板収納ボックス110のケース体201の左右両外側(図面では片側のみ図示)には、ケース側封止部113が設けられている。このケース側封止部113には図示されるように、挿入ピン211の先端部211aに係合するピン固定具118と、そのピン固定具118を収容固定する収容溝119aを備えた長手ボックス形状の固定具収容台119とで構成される。
【0062】
ピン固定具118は、弾性変形可能な金属製板ばね部材により長方形状に成形されたもので、挿入ピン211の先端部211aに係合する係合孔118aが複数(この実施例では4つ)開口して形成されている。この係合孔118aの内周縁には、挿入ピン211の先端部211aに周設された係合溝211bに係合する係合爪118bが形成されており、係合の際には先端部211aを抜脱不能に保持する。
【0063】
また、このピン固定具118の両端部には、固定具収容台119の下台119eに凹設された係合凹部119c,119cに係合する係合片118c,118cが形成されており、ピン固定具118は収容溝119aに収容された際には、この係合凹部119cに係合して収容される。
【0064】
このピン固定具118が収容される固定具収容台119は、挿入ピン211が挿入される挿入孔119dを複数(この実施例では4つ)有する上台119bと、同じく挿入ピン211の先端部211aが挿入される下台119eとで構成されており、これら2つの台がピン固定具118を挟み込むように設けられ、その間に収容溝119aが形成されている。
【0065】
収容されるピン固定具118を収容溝119a内で固定するため、下台119eの両側には係合凹部119c,119cが凹設されており、ピン固定具118は収容溝119aに収容された際には、係合片118c,118cがこの係合凹部119c,119cに係合して収容固定される。
【0066】
また、この収容溝119aには図示しないが前述の変形誘導部と同様のものがに形成されており、ピン固定具118を収容溝119aに挿入すると、ピン固定具118を弾性変形させ、、ピン固定具118の係合片118c,118cが下台119eの係合凹部119c,119c位置まで挿入されると、ピン固定具118を復帰変形させて係合片118c,118cが係合凹部119c,119cに係合して収容される。このような構造にすることにより強固に収容固定されるので外れにくい。
【0067】
次に、このような構成の基板収納ボックス110の組付け及び挿入ピン211を操作して、主制御基板82をボックス内に封止する手順について説明する。
【0068】
まず、ケース体201のケース側封止部113に設けられた固定具収容台119の収容溝119aへ、ピン固定具118を収容固定すると共に、主制御基板203をケース体201内にネジ止め固定し、カバー体202を上方から被着する。
【0069】
被着した後、図14に示されるように、予めピン挿入台215に挿入された挿入ピン211の頭部211aをネジ回しドライバー等の工具を用いて、上方から叩き込む等の押圧動作により、先端部211aの係合溝211dがピン固定具118の係合孔118aの内周縁に形成された係合爪118b嵌り込んで係合する。
【0070】
このようにして、カバー体202に設けられたピン挿入台215と、ケース体201に設けられた固定具収容台119の収容溝119aに係合して収容固定されたピン固定具118とが、挿入ピン211によって連結されることで、主制御基板203はボックス内に封止される。
【0071】
ピン固定具118は、固定具収容台119の収容溝119aに係合して収容されることにより固定されているので、従来技術のようなネジ止めによる固定よりも組付けが容易で作業性の向上を図ることができる上に、従来技術のようなネジ隠し片のようなものがネジと共に不要となる。さらには、ネジによる固定を採用しないことにより、巧妙にネジが外されていまうということがなくなる。
【0072】
また、ピン固定具118は図示されるように、その挿入ピン211が挿入される側全体が、上台119bに覆われて収容溝119aに収容されているので、ピン固定具118が収容溝119a内で係合している部分である係合凹部119c等への不正行為によって、その係合を外すことは、その覆っている上台119bや収容溝119a、つまり固定具収容台119そのものを破壊することが必要になる。そのような破壊は確実にその痕跡を残すことができる上に、その痕跡を消す為の復元も極めて困難となり、収納されている制御基板への不正行為のために開封が行われた場合には早期に発見されるとともに、不正行為の痕跡を消すこともできないので、このような不正行為者による不正開封の行為を抑制することができる。
【0073】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、ピン挿入台において挿入ピンの封止方向への移動を規制する構造として上述のものでは、挿入ピンのフランジ状の頭部と、ピン挿入台の収容部によって挿入方向への移動を規制した構造を示したが、上記実施例のように限定されるものではなく、要は封止に用いられた挿入ピンによってカバー体が確実に開封方向への移動が規制される(つまり開封できない)構造のものであれば良い。
【0074】
また、上記実施例では、この遊技機の遊技内容を制御するメインの制御基板である主制御基板の基板収納ボックスに適用した例を示したが、遊技機に備えられるそれ以外の制御基板等を収納するボックスについても適用可能なのは言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】
本発明に係る遊技機によれば、基板収納ボックスを部分的に壊すなどしない限り、制御基板を取り出すことが不可能で、痕跡を残すことなく不正行為をすることはできない上に、その痕跡修復などして消すことが非常に困難であり、さらにはその組付けが容易な構造なので、作業性の向上を図って低コスト化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】図1に示されたパチンコ遊技機の裏面を示した図である。
【図3】制御基板の接続を示したブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基板収納ボックスの外観斜視図を示した図である。
【図5】図4の基板収納ボックスを外側から見た分解斜視図。
【図6】図4の基板収納ボックスを内側から見た分解斜視図。
【図7】封止部の縦断面を示した斜視図である。
【図8】ケース側の封止部の上面図を示した図である。
【図9】基板収納ボックスの組付け手順を示した縦断面図である。
【図10】基板収納ボックスの封止手順を示した縦断面図である。
【図11】基板収納ボックスの封止手順を示した横断面図である。
【図12】図11の基板収納ボックスの次の封止手順を示した横断面図である。
【図13】他の実施形態に係る基板収納ボックスの分解斜視図を示した図である。
【図14】図13の基板収納ボックスの封止部の横断面図を示した図である。
【図15】従来一般に知られる基板収納ボックスの外観斜視図を示した図である。
【図16】図15の基板収納ボックスの分解斜視図を示した図である。
【図17】図15の基板収納ボックスの上面図を示した図である。
【図18】封止部の縦断面図を示した図である。
【図19】封止部の横断面図を示した図である。
【符号の説明】
10 パチンコ遊技機
82 制御基板
90 基板収納ボックス
91 ケース体
92 カバー体
93 ケース側封止部
94 カバー側封止部
95 挿入ピン
96 ピン挿入台
98 ピン固定具
98a 係合片
99 固定具収容台
99a 収容溝
99b 前台
99c 係合凹部
Claims (3)
- 遊技に関する制御を行う制御基板が収容されるケース体と、該ケース体に被着されるカバー体とからなる基板収容ボックスを備えた遊技機において、前記カバー体とケース体のいずれか一方には、挿入ピンが挿通されるピン挿入孔が形成された複数個のピン挿入台が切断可能に設けられ、他方には、前記各ピン挿入台のピン挿入孔に対応した位置に前記挿入ピンが係合される複数のピン係合孔が形成された弾性変形可能なピン固定具を収容する固定具収容台が設けられ、該固定具収容台には前記ピン固定具の少なくともピン挿入側を覆いながら係合して収容可能な収容溝が設けられ、該収容溝には、前記ピン固定具の収容が係合位置でない状態ではピン固定具を弾性変形させ、係合位置では復帰変形させて係合させる変形誘導部が形成されていることを特徴とする遊技機。
- 前記固定具収容台の収容溝には、前記ピン固定具を収容案内するための案内部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
- 前記ピン固定具には係合片が形成されると共に、前記固定具収容台には該係合片が係合する係合凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
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