以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更され得る。
1.全体構成と本実施形態の特徴点
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。図2は、この複合機10のプリンタ部11の構造を示す縦断面図である。
複合機10は、プリンタ部11及びスキャナ部12を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。本発明に係る画像記録装置は、複合機10のプリンタ部11として実施されている。したがって、複合機10においてプリンタ機能以外の機能は任意のものである。
図1が示すように、複合機10の下部がプリンタ部11である。図2が示すように、プリンタ部11の内部に搬送路23及び反転案内部16が形成されている。被記録媒体としての記録用紙は、搬送路23に沿って搬送される。プリンタ部11は、記録用紙を搬送路23に送り出す給送部15と、記録用紙に画像を記録する記録部24と、排紙部としての排紙トレイ21とを備えている。本実施形態に係る複合機10は、記録用紙の表裏両面に画像を記録することができる。記録用紙の裏面にも画像が記録される場合には、表面に画像が記録された記録用紙が搬送路23から反転案内部16に戻される。すなわち、記録用紙が再び搬送路23に送り込まれて表裏反転され、記録部24によって裏面に画像が記録される。
本実施形態に係る複合機10の特徴とするところは、ガイド部76及び経路切換部41を備えている点である。経路切換部41は、両面記録がなされる際に記録用紙を確実に且つ円滑に反転案内部16へ案内する。そして、ガイド部76が記録用紙の記録面に当接し、この記録用紙を撓ませる。これにより、記録用紙は、後述される第1ローラ45及び第2ローラ46(図4参照)に巻き付けられるため、記録用紙は、確実に反転案内部16に送られる。なお、画像記録が完了された記録用紙は、上記排紙トレイ21へ排出される。この排紙トレイ21は、搬送路23の搬送方向下流側に隣接している。
図1が示すように、複合機10の上部がスキャナ部12である。スキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。原稿カバー30が複合機10の天板として設けられている。同図では示されていないが、原稿カバー30の下にプラテンガラスが配置されている。原稿は、プラテンガラス上に載置され、原稿カバー30に覆われた状態で画像として読み取られる。
複合機10の正面上部に操作パネル40が設けられている。操作パネル40は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するための装置である。また、複合機10は、スロット部43を備えている。記憶媒体である各種小型メモリカードがスロット部43に装填され得るようになっている。例えば、スロット部43に小型メモリカードが装填された状態でユーザーが操作パネル40の操作を行うことにより、小型メモリカードに記憶された画像データが読み出され、記録用紙に記録される。
2.プリンタ部
以下、複合機10の内部構成、特にプリンタ部11の構成について説明される。
[2−1 給送部]
図1が示すように、プリンタ部11の正面に開口13が設けられている。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、開口13の内側に上下2段に設けられている。図2が示すように、給送部15は、給紙トレイ20と、給紙アーム26及び給紙ローラ25と、給紙ローラ25を駆動するための動力伝達機構27とを備えている。
給紙トレイ20は、記録用紙を貯蔵する。給紙トレイ20に収容された記録用紙は、プリンタ部11の内部へ給送される。給紙トレイ20は、プリンタ部11の底側に配置されている。給紙トレイ20の奥側に分離傾斜板22が設けられている。分離傾斜板22は、上記搬送路23と連続している。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から重送された記録用紙を分離して、最上位置の記録用紙を上方へ案内する。搬送路23は、分離傾斜板22から上方へ向かった後、正面側へU字状に曲がっている。搬送路23は、複合機10の背面側(同図において左側)から正面側(同図において右側)へと延び、記録部24を経て排紙トレイ21へ通じている。したがって、給紙トレイ20に収容された記録用紙は、用紙搬送路23に沿って下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至り、この記録部24によって画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
図3は、プリンタ部11の部分拡大断面図である。
図3が示すように、給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25が配置されている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙を搬送路23へ供給する。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端に軸支されている。給紙ローラ25は、図示されていないモータを駆動源として動力伝達機構27を介して回転駆動される。この駆動伝達機構27は複数のギアを有し、これらが噛合されることにより構成されている。
給紙アーム26は、基軸28に支持されている。給紙アーム26の基端部は、基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回転することができるようになっている。このため、給紙アーム26は、給紙トレイ20に対して接離可能に上下動することができる。給紙アーム26は、自重により又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。このため、給紙アーム26は、通常において給紙トレイ20に接触し、給紙トレイ20が挿抜される際に上側へ退避するようになっている。給紙アーム26が下側へ回動付勢されることにより、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙と圧接する。その状態で、給紙ローラ25が回転されると、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力により、最上位置の記録用紙が分離傾斜板22の方へ送り出される。記録用紙は、その先端が分離傾斜板22に当接した後に上方へ案内され、搬送路23へ矢印14に沿って送り込まれる。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合があるが、この記録用紙は分離傾斜板22との当接によって制止される。
搬送路23は、記録部24等が配設されている箇所以外では、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、複合機10の背面側の搬送路23の湾曲部17は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19が装置フレームに固定されることにより構成されている。この場合、外側ガイド部材18が外側ガイド面を構成し、内側ガイド部材19が内側ガイド面を構成している。外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19は、所定間隔で対向配置されている。搬送路23が曲がっている箇所には、回転コロ29が設けられている。この回転コロ29は、回転自在である。回転コロ29のローラ面は、外側ガイド面に露出されている。したがって、搬送路23が曲がっている箇所においても、記録用紙が円滑に搬送される。
[2−2 記録部]
記録部24は、同図が示すように搬送路23の途中に配置されている。記録部24は、キャリッジ38及びインクジェット記録ヘッド39とを備えている。インクジェット記録ヘッド39は、キャリッジ38に搭載されている。キャリッジ38は、主走査方向(同図において紙面に垂直な方向)に往復動するようになっている。なお、複合機10の内部にインクジェット記録ヘッド39とは独立してインクカートリッジが配置されている。図3は、インクカートリッジを図示していない。このインクカートリッジからインクチューブを通じてインクがインクジェット記録ヘッド39に供給される。キャリッジ38が往復動される間に、インクジェット記録ヘッド39からインクが微小なインク滴として吐出され、これにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像が記録される。
[2−3 反転案内部]
反転案内部16は、搬送路23に接続されている。反転案内部16は、記録部24よりも搬送路23の下流側部位36に連続している。反転案内部16は、一方の面に画像が記録された記録用紙を再び給紙トレイ20上に導く反転経路を構成している。この反転経路は、第1ガイド面32と第2ガイド面33とによって区画形成されている。本実施形態では、第1ガイド面32及び第2ガイド面33は、それぞれ、複合機10の本体フレームの内部に配置されたガイド部材34及びガイド部材35の表面により構成されている。各ガイド部材34、35は、所定間隔で対向配置されており、第1ガイド面32及び第2ガイド面33は、上記搬送路23の下流側部位36から給紙ローラ25の方へ斜め下方に延びている。
したがって、本実施形態では、上記一方の面に画像が記録された記録用紙は、給紙ローラ25によって再び搬送路23の上流側部位37に送られる。そして、この記録用紙は、前述のように矢印14の方向に沿ってU字状に搬送され、記録部24によって他方の面にも画像が記録される。なお、本実施形態では、反転案内部16は、上記記録用紙を給紙トレイ20上に戻すように構成されているが、これに限定されるものではない。反転案内部16は、要するに搬送路23の下流側部位36と上流側部位37とを接続することができれば十分であり、したがって、上記記録用紙は、上記上流側部位37よりも給紙トレイ20側に戻されればよい。
[2−4 用紙搬送系]
図3が示すように、記録部24よりも搬送路23の上流側に搬送ローラ60及びピンチローラ31が設けられている。これらは排出ローラ対を構成し、ピンチローラ31は、搬送ローラ60の下側に圧接するように配置されている。搬送ローラ60及びピンチローラ31は、搬送路23を搬送される記録用紙を狭持してプラテン42上へ送る。また、記録部24よりも搬送路23の下流側に排紙ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。排紙ローラ62及び拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙を狭持して搬送路23からさらに搬送方向下流側へ(排紙トレイ21側へ)搬送する。搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、上記モータを駆動源として駆動される。搬送ローラ60及び排紙ローラ62の駆動は同期され、これらは間欠駆動される。これにより、記録用紙は所定の改行幅で送られる。なお、図示されていないが、搬送ローラ60にロータリーエンコーダが設けられている。このロータリーエンコーダは、搬送ローラ60と共に回転するエンコーダディスク(不図示)のパターンを光学センサで検知する。この検知信号に基づいて、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転が制御されるようになっている。
拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙と圧接する。記録用紙に記録された画像が劣化しないように、拍車ローラ63のローラ面は、拍車状に凹凸している。拍車ローラ63は、排紙ローラ62と接離する方向にスライド移動可能に設けられている。拍車ローラ63は、排紙ローラ62に圧接するように付勢されている。拍車ローラ63を排紙ローラ62に付勢する手段は、典型的にはコイルバネが採用される。排紙ローラ62と拍車ローラ63との間に記録用紙が進入すると、拍車ローラ63は、記録用紙の厚み分だけコイルバネの付勢力に抗して退避する。記録用紙は排紙ローラ62に圧接され、排紙ローラ62の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。また、上記ピンチローラ31も搬送ローラ60に対して同様に弾性付勢されている。したがって、記録用紙は、搬送ローラ60に圧接され、搬送ローラ60の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。
この複合機10では、上記モータは、給紙トレイ20からの記録用紙の給紙のための駆動源となっており、また、プラテン42上に位置する記録用紙の搬送や記録済みの記録用紙を排紙トレイ21へ排出するための駆動源となっている。すなわち、モータは、搬送ローラ60を駆動すると共に、前述のように駆動伝達機構27を介して給紙ローラ25を駆動する。さらに、モータは、所定の動力伝達機構を介して排紙ローラ62を駆動するようになっている。この動力伝達機構は、例えば歯車列により構成されていてもよいし、組付スペースの関係上、タイミングベルト等が使用されてもよい。
[2−5 経路切換部]
図4は、図3における要部拡大図であって、経路切換部41の断面構造を詳細に示している。図5は、経路切換部41の駆動機構44の斜視図である。また、図6及び図7は、それぞれ、図5におけるVI−矢視図及びVII−矢視図である。
図3及び図4が示すように、経路切換部41は、搬送路23において上記記録部24よりも下流側に配置されている。具体的には、経路切換部41は、上記下流側部位36、すなわち搬送路23と反転案内部16との境界部分における搬送方向下流側に配置されている。経路切換部41は、第1ローラ45及び第2ローラ46を有するローラ対と、第2ローラ46に並設された補助ローラ47とを有する。第2ローラ46及び補助ローラ47は、フレーム48に取り付けられている。このフレーム48は、複合機10の左右方向(図3において紙面に垂直な方向)に延びている。ただし、フレーム48の断面形状は、図4が示すように略L字状に形成されており、これにより、フレーム48の所要の曲げ剛性が確保されている。
図4及び図5が示すように、フレーム48は8つのサブフレーム49を備えている。各サブフレーム49は、複合機10の中心を基準として上記左右方向に対称に配置されている。各サブフレーム49は、それぞれ一つの第2ローラ46及び補助ローラ47を備えている。したがって、フレーム48は、それぞれ8つの第2ローラ46及び補助ローラ47を備えていることになる。第2ローラ46及び補助ローラ47は、各サブフレーム49に設けられた支持軸50、51(図4参照)に支持され、当該支持軸50、51の回りに回転自在となっている。本実施形態では、第2ローラ46及び補助ローラ47は、拍車状に形成されている。補助ローラ47は、第2ローラ46よりも所定距離だけ搬送方向上流側に配置されている。各第2ローラ46は、図示されていない弾性部材としてのバネにより図4において下方に付勢されている。したがって、各第2ローラ46は、常に第1ローラ45に弾性的に押し付けられている。
第1ローラ45は、上記モータを駆動源として回転される。各図に表されていないが、第1ローラ45は、所要の駆動伝達機構を介して上記モータと連結されている。図5が示すように、第1ローラ45は、中心軸52を備えている。中心軸52は、複合機10の本体フレーム53側に支持されている。この中心軸52に、図示されていない上記駆動伝達機構が接続されている。なお、中心軸52に所要のブラケットが設けられていてもよい。このブラケットが例えばねじにより本体フレーム53側に締結されることにより、中心軸52は、本体フレーム53に確実に支持される。
この第1ローラ47の上に第2ローラ46が載置されている。第1ローラ45は、単一の細長円柱状に形成されていてもよく、また、8つのローラがそれぞれ各第2ローラ47と対向配置されていてもよい。第1ローラ45は、上記モータによって正転及び逆転される。搬送路23に沿って搬送された記録用紙は、第1ローラ45と第2ローラ46とによって挟持される。第1ローラ45が正転すると、上記記録用紙は第1ローラ45と第2ローラ46とによって挟持されたまま搬送方向下流側へ搬送され、排紙トレイ21に排出される。他方、第1ローラ45が逆転すると、上記記録用紙は第1ローラ45と第2ローラ46とによって挟持されたまま搬送方向上流側へ戻される。
図5ないし図7が示すように、駆動機構44は、中心軸52に設けられた従動ギア54と、これと噛み合う駆動ギア55と、駆動ギア55がピン56を介して連結されたガイド板57とを有する。なお、ガイド板57は、図7にのみ図示されている。このガイド板57は、回転駆動軸58を備えており、この回転駆動軸58は、上記モータを駆動源として駆動される。図7が示すように、ガイド板57に案内溝59が設けられている。この案内溝59は、回転駆動軸58の回りに環状に形成されている。具体的には、案内溝59は、回転駆動軸58を中心とする小円弧部69及び大円弧部70と、小円弧部69の一端及び大円弧部70の一端を連結する連結溝72と、小円弧部69の他端及び大円弧部70の他端を連結する連結溝73とを有する。上記ピン56は、案内溝59に嵌合しており、当該嵌合溝59に沿ってスライド自在となっている。
図5及び図6が示すように、従動ギア54は、歯部64とフランジ部65とを有する。歯部64は、上記中心軸52を中心とするインボリュート歯車として構成されている。歯部64は、上記中心軸52に嵌め込まれ、当該中心軸52の回りに回転することができるようになっている。また、フランジ部65は、歯部64と一体的に形成されており、上記フレーム48と連結されている。したがって、歯部64が回転すると、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第2ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転するようになっている。
駆動ギア55は、支持軸66に回動自在に支持されている。この支持軸66は、本体フレーム53に設けられている。駆動ギア55は、歯部67とアーム68とを備えており、上記ピン56は、このアーム68に突設されている。歯部67は、上記支持軸66を中心とするインボリュート歯車として構成されており、上記歯部64と噛み合っている。歯部67が回転することにより歯部64が回転し、その結果、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第2ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転する。
図8は、フレーム48、サブフレーム49、第2ローラ46及び補助ローラ47が回転した状態における経路切換部41の駆動機構44の斜視図である。図9及び図10は、それぞれ、図8におけるIX−矢視図及びX−矢視図である。また、図11は、図3における要部拡大図であって、経路切換部41が中心軸52を中心として回転した状態を示している。
図7が示すように、ガイド板57が回転すると、ピン56は案内溝59に沿って相対的に移動し、特に、上記連結溝72、73に沿ってスライドするときは、当該ピン56は、ガイド板57の径方向に移動することになる。このため、図7においてガイド板57が時計回り(矢印82の方向)に回転されたときは、ピン56が連結溝73、大円弧部70及び連結溝72に順に移動する。したがって、駆動ギア55は、図6において時計方向に回転する。その結果、従動ギア54は、図6において中心軸52を中心として反時計方向に回転する。前述のように、従動ギア54はフレーム48と連結されているから、従動ギア54が回転することにより、中心軸52を回転中心としてフレーム48、サブフレーム49、第1ローラ46及び補助ローラ47が一体的に回転し、図8ないし図10が示す状態となる。なお、ガイド板57が図8ないし図10が示す状態から、図10において反時計回り(矢印83の方向)に回転されたときは、ピン56は、連結溝72、大円弧部70及び連結溝73に順に移動する。したがって、駆動ギア55は、図9において反時計回りに回転する。その結果、従動ギア54は、図9において中心軸52を中心として時計回りに回転する。
このとき、フレーム48、サブフレーム49、第2ローラ46及び補助ローラ47は、中心軸52を中心に回転する。したがって、図4及び図11が示すように、第2ローラ46は、第1ローラ45の周面上を転動することになる。本実施形態において、図4が示すような経路切換部41の姿勢は「被記録媒体排出姿勢」と定義され、図11が示すような経路切換部41の姿勢は「被記録媒体反転姿勢」と定義される。経路切換部41が被記録媒体排出姿勢であるときは、搬送路23に沿って搬送される記録用紙は、そのまま排紙トレイ21側へ送られる。また、経路切換部41が被記録媒体反転姿勢であるときは、図11が示すように、記録用紙74が搬送方向上流側へ戻され、反転案内部16へ案内されるようになっている。経路切換部41が被記録媒体排出姿勢から被記録媒体反転姿勢に変化するときは、補助ローラ47が記録用紙74を押さえつけて反転案内部16側へ案内する。
[2−6 ガイド部]
図4及び図11が示すように、ガイド部76は、経路切換部41よりも搬送方向下流側に設けられている。本体フレーム53に支持板75が取り付けられており、この支持板75にガイド部76が設けられている。このガイド部76は、支持板75の下面に固定された基部77と、基部77に支持されたガイドローラ78とを備えている。基部77は支軸79を備えており、ガイドローラ78は、この支軸79に回転自在に支持されている。本実施形態では、このガイドローラ78は拍車状に形成されている。
このガイド部76は、所定の位置に配置されている。すなわち、ガイド部76は、上記第1ローラ45及び第2ローラ46が逆転して記録用紙74が反転案内部16へ送られているときに当該記録用紙74の記録面に接触する。また、ガイド部76は、上記第1ローラ45及び第2ローラ46が正転して記録用紙74が反転案内部16へ送られているときは、当該記録用紙74に接触しない。具体的には、図3が示すように、ガイド部76は、第1ローラ45及び第2ローラ46の接点と、排紙ローラ62及び拍車ローラ63の接点とを結ぶ仮想線82(本明細書において「仮想通紙経路」と定義される。)と接触しない位置に設けられている。
後述されるように、記録用紙74は、搬送方向の向きが変えられて反転案内部16に送られる。この記録用紙74のうち第1ローラ45及び第2ローラ46よりも下流側の部分は、記録用紙74の剛性によって反転案内部16と平行な方向に向きが変えられようとする。しかし、本実施形態では、上記ガイドローラ78が記録用紙74の記録面に当接し、この記録用紙74を撓ませる。これにより、記録用紙74は、第1ローラ45及び第2ローラ46に巻き付けられるため、記録用紙74は、確実に反転案内部16に送られる。
3.本実施形態に係る複合機の利点
図3が示すように、給紙トレイ20から引き出された記録用紙は、矢印14の方向に沿って搬送され、記録部24によって一方の面に画像が記録される。この記録用紙は、経路切換部41の第1ローラ45及び第2ローラ46によって挟持される。記録用紙の一方の面にのみ画像が記録される場合は、図4が示すように、経路切換部41が記録用紙排出姿勢となる。そして、第1ローラ45及び第2ローラ46が正転し、これにより、記録用紙は排紙トレイ21へ排出される。
また、上記記録用紙の他方の面にも画像が記録される場合は、当該記録用紙は、次のように搬送される。まず、経路切換部41が記録用紙排出姿勢となり、上記第1ローラ45及び第2ローラ46が記録用紙を挟持して正転する。これにより、記録用紙は排紙トレイ21側へ搬送される。そして、この記録用紙の後端部が補助ローラ47よりも上流の規定位置に到達したとき、すなわち、図4が示すように、記録用紙74の後端部81が補助ローラ47に達したときに、経路切換部41は記録用紙反転姿勢となる。これにより、記録用紙74の後端部81は、補助ローラ47によって押圧され、反転案内部16側に向けられる。第1ローラ45及び第2ローラ46が逆転することにより、記録用紙74は搬送方向が変えられて反転案内部16に送られる。
経路切換部41が記録用紙反転姿勢へ変化するときは、第1ローラ45の支持軸50を中心として揺動する。すなわち、第2ローラ46は、記録用紙74を挟持したままで第1ローラ45の周面上を転動し、補助ローラ47が記録用紙74を押圧する。言い換えると、第2ローラ46は、記録用紙74を第1ローラ45の周面に巻き付かせるように第1ローラ45の周面を転動する。これにより、記録用紙74の向きは、容易に反転案内部16の方に変えられる。
記録用紙74の後端部81が第1ローラ45及び第2ローラ46によって挟持されたときに、第1ローラ45及び第2ローラ46が逆転する。これにより、記録用紙74は、搬送方向が変えられて反転案内部16に進入する。このとき、記録用紙74のうち第1ローラ45及び第2ローラ46よりも下流側の部分は、記録用紙74の剛性によって反転案内部16と平行な方向に向きが変えられようとする。しかし、本実施形態では、ガイドローラ78が記録用紙74の記録面に当接して記録用紙を撓ませる。これにより、記録用紙は、第1ローラ45及び第2ローラ46に巻き付けられる。その結果、記録用紙74は、確実に反転案内部16に送られる。
反転案内部16に送られた記録用紙74は、給紙ローラ25によて搬送路23へ送られ、記録部24へ再度送られる。搬送路23は前述のようにU字状に形成されているから、記録用紙74の他方の面に画像が記録される。両面に画像が記録された記録用紙74は、第1ローラ45及び第2ローラ46によって挟持され、第1ローラ45及び第2ローラ46が正転することによって排紙トレイ21へ送られる。このとき、ガイド部76は、記録用紙74と接触しないため、搬送抵抗が大きくなることはない。
本実施形態に係る複合機10によれば、一方の面に画像が記録された記録用紙74が反転案内部16に送られる際に、ガイド部76が記録用紙74の記録面の端部83を押圧して記録用紙74を第1ローラ45に巻き付ける。したがって、記録用紙74は確実に反転案内部16に送られる。また、記録用紙74の排紙時は、ガイド部76が記録用紙74に当接しないため、搬送抵抗が低減され得る。
特に本実施形態では、反転案内部へ送られる記録用紙74は、ガイドローラ78と転がり接触する。したがって、記録用紙74の搬送抵抗が低減されるという利点がある。しかも、ガイドローラ78が拍車状に形成されているから、ガイドローラ78が記録用紙74と接触した際に、記録された画像が劣化することが防止される。
上記ガイド部76は、上記仮想線82に接触しない位置に配置されているから、記録用紙74が排紙トレイ21へ排出される際に、ガイドローラ78が記録用紙74と接触することがない。したがって、記録された画像の劣化が防止される。
記録用紙74が反転案内部16に送られるときは、第2ローラ46が第1ローラ45の周面上を転動して記録用紙74を第1ローラ45に巻き付けながら、補助ローラ47が記録用紙74の端部81を押圧する。したがって、第1ローラ45及び第2ローラ46の駆動力が増大されなくとも、記録用紙74は確実に反転案内部16へ送られる。第1ローラ45及び第2ローラ46の駆動力の増大が不要であることから、記録用紙74を搬送するために大型のモータ等が採用される必要はなく、複合機10の小型化も実現される。
また、本実施形態では、第2ローラ46が第1ローラ45側へ弾性付勢されているので、記録用紙74は、より確実に第1ローラ45及び第2ローラ46によって挟持され、搬送されるという利点がある。
しかも、補助ローラ47及び第2ローラ46が拍車状に形成されていることから、補助ローラ47が記録用紙74を押圧した際に、及び記録用紙74が排紙トレイ21へ排出される際に、記録用紙74に記録された画像が補助ローラ47及び第2ローラ46と接触することにより劣化することが防止される。
なお、本実施形態では、経路切換部41が姿勢変化するときに第2ローラ46が第1ローラ45の周面を転動するが、第1ローラ45が第2ローラ46の周面を転動するように構成されていてもよい。この場合、一方の面に画像が記録された記録用紙74が反転案内部16に送られる際に、第2ローラ46が第1ローラ45の周面上を転動して記録用紙74を第1ローラ45に巻き付けながら、補助ローラ47が記録用紙74の後端部81を押圧する。このとき、記録用紙74の剛性により、当該記録用紙74は第1ローラ45及び第2ローラ46へ押し付けられる。したがって、第1ローラ45及び第2ローラ46の駆動力が増大されなくとも、記録用紙74は確実に第1ローラ45及び第2ローラ46によって挟持され、反転案内部16へ送られる。第1ローラ45及び第2ローラ46の駆動力の増大が不要であることから、記録用紙74を搬送するために大型のモータ等が採用される必要はなく、記録用紙74の破損が防止されると共に複合機10の小型化も妨げられない。また、本実施形態では、第2ローラ46が弾性部材によって第1ローラ45側へ付勢されているが、第1ローラ45が第2ローラ46側へ弾性付勢されていてもよい。