JP4798622B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
詳しくは、第1発熱層は、その固有抵抗が第2発熱層のものより高く、その肉厚が第2発熱層のものより厚くなるように形成されている。この技術は、非磁性材料からなる第2発熱層を主たる発熱層として、磁性材料からなる第1発熱層を設けることで磁束発生手段から発せられた磁束が定着ローラの軸芯に達しないようにするものである。
一般的な画像形成装置は、幅方向のサイズが異なる数種類の記録媒体に対して、画像形成ができるように構成されている。ここで、幅方向サイズの異なる記録媒体とは、JIS寸法のA列やB列における種々の定形サイズの記録媒体の他に、不定形サイズの記録媒体も含まれる。また、同一サイズ(例えば、A4サイズである。)の記録媒体であっても、長手方向を搬送方向にした場合と、短手方向(長手方向に直交する方向である。)を搬送方向にした場合とでは、幅方向サイズの異なる記録媒体を扱っていることになる。
しかし、その場合、発熱部材の昇温はキューリー点近傍で鈍化してしまうために、キューリー点が目標の定着温度(例えば、180℃である。)に対してはるかに高くなっている磁性材料(例えば、軟鉄のキューリー点は790℃である。)を用いた発熱部材に比べて、目標の定着温度に達するまでの立ち上げ時間が長くなってしまうという問題が生じる。
すなわち、所定のキューリー点を有する第1発熱層に加えて、第1発熱層に比べて体積抵抗率が低い第2発熱層を発熱部材に設けることによって、第1発熱層のみで発熱部材を構成するときに比べて、発熱部材における発熱効率を低下させることなく、高い自己温度制御能力(自己温度制御性)を維持することができる。特に、発熱部材の表裏面を挟むようにコイルを配設する場合には、コイルを発熱部材の片面側にのみ対向させて配設したときに比べて、その発熱効率及び自己温度制御性が高められる。さらに、立ち上げ時間が短くなるように第1発熱層のキューリー点を高めに設定した場合(画像形成装置を高速化する場合等である。)であっても、第2発熱層の層厚又は/及び体積抵抗率が幅方向の位置によって異なるように形成することで、小サイズ紙を連続通紙したときの発熱部材の幅方向両端部の過昇温を確実に抑止することができる。
図1〜図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、18は像担持体としての感光体ドラム、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
なお、図示は省略するが、プロセスカートリッジ4には、感光体ドラム18、感光体ドラム18上を帯電する帯電部、トナー(現像剤)が収容されていて感光体ドラム18上に形成された静電潜像を現像する現像部、感光体ドラム18上に残存する未転写トナーを除去するクリーニング部、等が一体的に設けられている。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置20は、定着補助ローラ21、定着ベルト22、支持ローラ23、誘導加熱部24、加圧ローラ30、サーミスタ38、ガイド板35、分離板36、等で構成される。
このように、所定のキューリー点を有する整磁合金からなる第1発熱層23aを支持ローラ23に設けることで、支持ローラ23は電磁誘導によって過昇温されることなく加熱されることになる。
3×δ1≦D1≦17×δ1 …式(1)
なる関係が成立するように設定されている。これによって、支持ローラ23における発熱効率及び自己温度制御性が向上することになる。
D2≦δ2 …式(2)
なる関係が成立するように設定されている。これによって、支持ローラ23における発熱効率及び自己温度制御性が向上することになる。
なお、本実施の形態1では、支持ローラ23を第1発熱層23a及び第2発熱層23bで構成したが、支持ローラ23の発熱層23a、23b上に補強層、弾性層、断熱層等を設けることもできる。
また、第2発熱層23bの防錆性を高めるために、第2発熱層23b上に層厚が0.5μm程度のニッケル層を設けることもできる。
図2を参照して、発熱部材としての定着ベルト22(定着部材)は、支持ローラ23と定着補助ローラ21とに張架・支持されている。
図3(A)に示すように、定着ベルト22は、基材22a上に発熱層22b、弾性層22c、離型層22dが順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材22aは、絶縁性の耐熱樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等を用いることができる。基材22aの層厚は、熱容量及び強度の点から、30〜200μmに形成されている。
ここで、発熱層22bの材料として、ニッケル、ステンレス鋼等の磁性導電性材料を用いることができる。本実施の形態1では、発熱層22bの材料として、キューリー点が定着目標温度以上であって350℃以下となる整磁合金を用いている。具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とを調整することで所望のキューリー点を得ることができる。このように、キューリー点が定着ベルト22の定着温度近傍となる磁性導電性材料にて発熱層22bを形成することで、発熱層22bは電磁誘導によって過昇温されることなく加熱されることになる。これについては、後で詳しく説明する。
なお、定着ベルト22の発熱層22bも、支持ローラ23と同様に、所定のキューリー点を有する第1発熱層と、低体積抵抗率の材料からなる第2発熱層と、で構成することができる。
なお、定着ベルト22の各層22a〜22dの間に、プライマ層等を設けることもできる。
図3(B)の定着ベルト22は、発熱層22b、弾性層22c、離型層22dからなる。ここで、発熱層22bは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の樹脂材料に、磁性導電性粒子を分散したものを用いることもできる。その場合、樹脂材料に対して磁性導電性粒子を20〜98重量%の範囲内で添加する。具体的には、ワニス状態の樹脂材料中に、ロールミル、サンドミル、遠心脱泡装置等の分散装置を用いて磁性導電性粒子を分散する。これを溶剤により適当な粘度に調整して、金型により所望の層厚に成形する。
図3(D)の定着ベルト22は、基材22a上に複数の発熱層22bを備えた弾性層22cを形成して、さらに表面層として離型層22dを形成している。
これらの定着ベルト22を用いた場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
ここで、磁束発生手段としてのコイル25は、発熱部材としての定着ベルト22及び支持ローラ23の表裏面(内周面及び外周面である。)を1回挟むように離間して巻回された励磁コイルである。換言すると、定着ベルト22及び支持ローラ23の一部が、ループ状のコイル25のループ内に挟入されている。図4に示すように、コイル25は、定着ベルト22及び支持ローラ23の幅方向に平行に延設されている。コイル25の幅方向の一端は内周面側と外周面(発熱主面である。)側とを結ぶ折返し部になっていて、他端には高周波電源部40が接続されている。そして、高周波電源部40から、10k〜1MHz(好ましくは、20k〜300kHzである。)の交番電流がコイル25に印加される。
δ=503・〔ρ/(μf)〕1/2
上式において、ρは材料の体積固有抵抗率(体積抵抗率)であり、μは材料の比透磁率であり、fは材料を励磁する交番電流の周波数である。
なお、本実施の形態1では、コイル25をリッツ線で構成したが、コイル25を1本の導線で構成することもできる。
また、コイル25が支持ローラ23及び定着ベルト22の表裏面に対向しない領域において漏れ磁場が形成されるのを抑止するために、コアを設置して磁路を整形したり、銅やアルミ等の非磁性低抵抗の導電体カバーを設置したりすることもできる。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、コイル25との対向位置(支持ローラ23の位置である。)で加熱される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23及び発熱層22bの温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23(第1発熱層23a)及び発熱層22bが磁性を失うために、表面近傍での渦電流の発生が制限される。これにより、支持ローラ23及び発熱層22bにおけるジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
そして、第2発熱層23bは、その層厚が幅方向の位置によって異なるように形成されている。具体的には、外周面側の第2発熱層23bは、幅方向中央部のみに形成されていて、幅方向両端部には形成されていない。なお、本実施の形態1では、外周面側の第2発熱層23bが中央210mmに形成されている(A4サイズの短手方向に対応している。)。
これに対して、第1発熱層23aは、その層厚(又は体積抵抗率)が幅方向の全域(本実施の形態1では326mmである。)にわたって均一になるように形成されている。
第1発熱層23aの表面に体積抵抗率が第1発熱層23aよりも低い第2発熱層23bを設けることで、支持ローラ23(発熱部材)の発熱量や反磁界が大きくなる。反磁界が大きくなると、外部磁界(コイル電流)が大きい場合やキューリー点近傍で透磁率や飽和磁束密度が低下した場合であっても、第1発熱層23aが磁気的に飽和しにくくなる。したがって、キューリー点近傍の高温域において、第2発熱層23bを設けていない幅方向両端部では、第2発熱層23bを設けている幅方向中央部に比べて、発熱量が小さくなって、小サイズ紙を連続通紙したときの支持ローラ23(発熱部材)の非通紙領域における過昇温の発生を抑止することができる。
なお、以上述べた効果を示す実験例については、後で図15及び図16にて説明する。
詳しくは、図7(A)に示すように、外周面側の第2発熱層23bを幅方向全域に形成して、内周面側の第2発熱層23bを幅方向中央部のみに形成することもできる。
また、図7(B)に示すように、内周面側に第2発熱層23bを形成しないこともできる。ただし、この場合には、上述した内周面側に第2発熱層23bを設けたことによる効果は低下してしまう。
また、図7(C)に示すように、外周面側の第2発熱層23bを、幅方向中央部の層厚M1が幅方向両端部の層厚M2よりも厚くなるように形成することもできる(M1>M2である。)。この場合にも、幅方向両端部に比べて幅方向中央部の発熱量や反磁界が大きくなることになる。
特に、支持ローラ23のみを発熱部材とする場合には、定着ベルト22の発熱層22bが不要になるとともに、支持ローラ23が単層構造(発熱層のみの構造である。)になるために、定着装置20全体の構成が一層簡易なものになる。
図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8は、実施の形態2における画像形成装置の要部を示す断面図である。本実施の形態2の画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置である点と、発熱部材として定着ローラ31を用いている点とが、前記実施の形態1のものとは相違する。
転写ベルト8は、矢印方向から搬送される記録媒体Pを、各感光体ドラム18Y、18M、18C、18BKとの対向位置に順次搬送する。このとき、バイアスローラ9に印加される転写バイアスによって、記録媒体P上に各色のトナー像が重ねて転写される。こうして、記録媒体P上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、フルカラーのトナー像が形成された記録媒体Pは、転写ベルト8から分離されて、定着装置20に向けて搬送されることになる。
定着ローラ31は、第1発熱層及び第2発熱層からなる発熱層22b、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物等からなる離型層、等で構成される。定着ローラ31の発熱層22bは、前記実施の形態1と同様に、所定のキューリー点を有する第1発熱層と、第1発熱層よりも低い体積抵抗率を有する第2発熱層と、で構成されている。定着ローラ31は、加圧ローラ30の加圧力に抗するだけの機械的強度をもつ。
そして、コイル25に10k〜1MHzの交番電流が供給されることで、コイル25のループ内に交番磁界が生成されて、定着ローラ31が電磁誘導加熱される。このようにして、電磁誘導加熱された定着ローラ31は、矢印方向から搬送される記録媒体P上のトナー像を加熱・溶融して記録媒体Pに定着する。
図9にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図9は、実施の形態3における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1の図2に相当する図である。本実施の形態3の定着装置は、誘導加熱部24の位置が、前記実施の形態1のものとは相違する。
支持ローラ23は、前記実施の形態1と同様に、所定のキューリー点を有する第1発熱層23aと、第1発熱層よりも低い体積抵抗率を有する第2発熱層23bと、で構成されている。
図10にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図10は、実施の形態4における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1の図2に相当する図である。本実施の形態4の定着装置は、誘導加熱部24の位置が、前記実施の形態1のものとは相違する。
加熱板28は、前記実施の形態1における支持ローラ23と同様に、所定のキューリー点を有する第1発熱層と、第1発熱層よりも低い体積抵抗率を有する第2発熱層と、で構成されている。加熱板28は、定着ニップ部の上流側(定着ベルト22の走行方向の上流側である。)であって、定着ベルト22の内周面に所定の圧力で当接している。
なお、本実施の形態4では、定着ベルト22に発熱層を設けずに第1発熱層及び第2発熱層を有する加熱板28を設置したが、加熱板28を設けずに定着ベルト22(誘導加熱部24が本実施の形態4と同じように配設されている。)に第1発熱層及び第2発熱層を設けることもできる。その場合にも、本実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
図11にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図11は、実施の形態5における定着装置を示す断面図である。本実施の形態5の定着装置は、誘導加熱部24に対向する定着部材として円筒状の定着ベルト22を用いている点が、誘導加熱部24に対向する定着部材として定着ローラ31を用いている前記実施の形態2のものとは相違する。
そして、コイル25に10k〜1MHzの交番電流が供給されることで、コイル25のループ内に交番磁界が生成されて、定着ベルト22が電磁誘導加熱される。このようにして、電磁誘導加熱された定着ベルト22は、矢印方向から搬送される記録媒体P上のトナー像を加熱・溶融して記録媒体Pに定着する。
図12〜図16にて、前記各実施の形態で述べた効果を確認するための実験例について説明する。
まず、図12〜図14にて、発熱部材の表裏面を挟むように磁束発生手段を離間して配設することによって発熱部材における自己温度制御能力が高まる効果を確認する実験例について説明する。
図12(A)及び図12(B)は、実験装置を示す概略図である。図12(A)の実験装置は、発熱層33を有するテストピース(前記各実施の形態の発熱部材に相当するものである。)の表裏面を挟むようにコイル25を離間させたものである(前記各実施の形態における定着装置の構成である。)。図12(B)の実験装置は、発熱層33を有するテストピースの発熱主面にコイル25を対向させたものである(従来の定着装置の構成である。)。
図13は図12(A)の実験装置を用いたときの実験結果であり、図14は図12(B)の実験装置を用いたときの実験結果である。
これに対して、図14(A)より、励磁周波数を36kHzにすると、厚さが0.8mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。同様に、図14(B)より、励磁周波数を130kHzにすると、厚さが0.3mm以上の非磁性導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。このように、コイル25を発熱部材(発熱層33)の発熱主面に対向させる場合には、発熱主面の反対側に低抵抗率の非磁性導電層を設ける必要がある。このことは、特開2003−215956号公報等にある記載内容にも一致するものである。
なお、上述の効果は、発熱層33を、整磁合金からなり所定のキューリー点を有する第1発熱層と、第1発熱層よりも低い体積抵抗率を有する第2発熱層と、で構成することで、さらに高められることになる。
図15及び図16に関わる実験は、実施の形態1の画像形成装置を用いて小サイズ紙を連続通紙したときの定着ベルト22の幅方向両端部(非通紙領域)及び幅方向中央部(通紙領域)の昇温特性を測定したものである。詳しくは、第2発熱層23bが幅方向中央部にのみ形成されたもの(前記実施の形態1の構成である。)と、第2発熱層23bが幅方向全域にわたって形成されたものと、を用意して、それぞれの幅方向両端部及び幅方向中央部における昇温特性を測定した。
なお、実験において、定着ベルト22の幅方向中央部に当接したサーミスタ38によって、定着ベルト22上の定着温度が160℃になるように温度調整制御した。また、定着ニップ部における線速は205mm/秒に設定し、連続通紙における紙間は61mmに設定し、記録媒体Pは90K紙(A4縦)を用いた。
図15に関わる実験では、第2発熱層23bが幅方向中央部にのみ形成された支持ローラ23(前記実施の形態1の構成である。)が用いられている。図15において、実線W1は定着ベルト22の幅方向中央部における昇温特性を示し、実線W2は定着ベルト22の幅方向両端部における昇温特性を示す。
これに対して、図16に関わる実験では、第2発熱層23bが幅方向全域にわたって形成された支持ローラ23が用いられている。図16において、実線Z1は定着ベルト22の幅方向中央部における昇温特性を示し、実線Z2は定着ベルト22の幅方向両端部における昇温特性を示す。
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(定着部材)、 22a 基材、
22b 発熱層、 22c 弾性層、 22d 離型層、
23 支持ローラ(発熱部材、加熱部材)、
23a 第1発熱層、 23b 第2発熱層、
24 誘導加熱部(磁束発生手段)、
25 コイル、 28 加熱板(発熱部材、加熱部材)、
30 加圧ローラ、
31 定着ローラ(発熱部材、定着部材)、
33 発熱層(発熱部材)、 34 非磁性導電層、
38 サーミスタ、 40 高周波電源部。
Claims (16)
- トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁束によって発熱する発熱部材と、を備え、
前記磁束発生手段は、前記発熱部材の表裏面にそれぞれ対向するように配設され、
前記発熱部材は、所定のキューリー点を有する第1発熱層と、該第1発熱層の体積抵抗率よりも低い体積抵抗率を有する第2発熱層と、を具備し、
前記第2発熱層は、幅方向中央部の体積抵抗率が幅方向両端部の体積抵抗率よりも低くなるように形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記第2発熱層は、幅方向中央部の層厚が幅方向両端部の層厚よりも厚くなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記第2発熱層は、非磁性材料からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記第1発熱層は、層厚及び体積抵抗率が幅方向の全域にわたって均一になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記第1発熱層は、整磁合金からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、前記第1発熱層に対して前記表裏面の側にそれぞれ前記第2発熱層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記磁束発生手段は、前記発熱部材の前記表裏面を1回又は複数回挟むように離間して巻回されたコイルであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記磁束発生手段は、交番電流が印加されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材を加熱する加熱部材であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、
前記磁束発生手段は、前記定着ベルトの外周面に対向するとともに、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項9に記載の定着装置。 - 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであって、
前記磁束発生手段は、前記定着ローラの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項11に記載の定着装置。 - 前記定着部材は、周状に張架された定着ベルトであって、
前記磁束発生手段は、前記定着ベルトの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項11に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトは、支持ローラと定着補助ローラとに張架され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項13に記載の定着装置。 - 前記磁束発生手段は、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項14に記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項15のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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