JP4779191B2 - 播種作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圃場に播種する播種装置を装備した播種作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来例としては特開平8−154430号公報に示すように、種子ホッパ内の種子を種子繰出部で繰り出して、その種子をブロワによる圧風にて播種作溝器まで移送する播種装置とその播種装置を装備した播種作業機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の播種装置は、種子繰出部で繰り出された種子をブロワによる圧風にて播種作溝器まで移送するものである為に、ブロワによる圧風にて播種作溝器まで移送する間(長い距離を空気搬送される間)に種子が連続した状態となって移送され、圃場に種子は条列をなした状態で播種される。すると、発芽して苗が成育する際に、苗は列状に接した状態で成育することとなり、過密状態での成育であるから、風とおしが悪くて成育不良を起こして茎が細くなり倒れ易く、倒れてしまうと、稲は実ができたとしても品質が悪く、最悪の場合、水につかって枯れてしまうこともある。また、病気や害虫が発生した時に苗は列状に接している為にすぐに隣の苗にも病気や害虫がうつってしまうと謂う問題点があった。そこで、この発明は、圃場に種子を適切な深さで点播することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、播種装置を、乗用型走行車体(3)の後部に昇降リンク機構(26)を介して上下昇降自在で且つローリング軸(33)回りに左右にローリングする主フレーム(34)を介して左右ローリング自在に設けて、接地センサ(31)及びローリングセンサ(100)により播種深さが一定になるように乗用型走行車体(3)に対して昇降及びローリング制御する機構を設けると共に、前記播種装置には、種子ホッパ(70)内の種子を所定量づつ繰り出す種子繰出部(71)と、該種子繰出部(71)から繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して放出する種子放出装置(73)と、該種子放出装置(73)から加速放出された種子を播種作溝器(81)まで案内する種子案内体(75)と、圃場に吐出した種子に覆土する播種覆土器(83)を設けると共に、上記種子放出装置(73)を播種作溝器(81)の上方近くに配置し、主フレーム(34)に下端を固定した播種部支持フレーム(A)を設け、該播種部支持フレーム(A)にて種子ホッパ(70)、種子繰出部(71)及び種子放出装置(73)を支持し、主フレーム(34)から上方に前記播種部支持フレーム(A)とは別の支持フレーム(104)を設け、該支持フレーム(104)に電動シリンダー(105)を装着し、回転横軸(110)にアーム(112)の基部を固定し、電動シリンダー(105)の伸縮部(106)をアーム(112)に連結し、回転横軸(110)の回転により調節ワイヤ(89)及び回動調節アーム(88)を介して播種覆土器(83)の角度を変更する構成とし、左右の接地回転体(98,99)の上下位置を角度検出センサ(101)にて検出して泥土の硬軟を検出し、この硬軟の検出に基づいて電動シリンダ(105)を制御して播種覆土器(83)の角度を制御する構成とし、主フレーム(34)の左右両側部に基部を固着した前記播種部支持フレーム(A)及び前記支持フレーム(104)とは別の正面視門型フレーム(B)を設け、該正面視門型フレーム(B)の左右中央上部にローリングセンサ(100)を設け、種子が落下してくるのを検出する衝撃センサ(S)を、播種作溝器(81)の上部に設けたことを特徴とする播種作業機としたものである。
【0005】
【発明の作用効果】
請求項1記載の発明は、種子ホッパ(70)内の種子を所定量づつ繰り出す種子繰出部(71)と、該種子繰出部(71)から繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して放出する種子放出装置(73)と、該種子放出装置(73)から加速放出された種子を播種作溝器(81)まで案内する種子案内体(75)と、圃場に吐出した種子に覆土する播種覆土器(83)を設けると共に、上記種子放出装置(73)を播種作溝器(81)の上方近くに配置し、主フレーム(34)に下端を固定した播種部支持フレーム(A)を設け、該播種部支持フレーム(A)にて種子ホッパ(70)、種子繰出部(71)及び種子放出装置(73)を支持し、主フレーム(34)から上方に前記播種部支持フレーム(A)とは別の支持フレーム(104)を設け、該支持フレーム(104)に電動シリンダー(105)を装着し、回転横軸(110)にアーム(112)の基部を固定し、電動シリンダー(105)の伸縮部(106)をアーム(112)に連結し、回転横軸(110)の回転により調節ワイヤ(89)及び回動調節アーム(88)を介して播種覆土器(83)の角度を変更する構成とし、左右の接地回転体(98,99)の上下位置を角度検出センサ(101)にて検出して泥土の硬軟を検出し、この硬軟の検出に基づいて電動シリンダ(105)を制御して播種覆土器(83)の角度を制御する構成とし、主フレーム(34)の左右両側部に基部を固着した前記播種部支持フレーム(A)及び前記支持フレーム(104)とは別の正面視門型フレーム(B)を設け、該正面視門型フレーム(B)の左右中央上部にローリングセンサ(100)を設けたものであるから、種子繰出部(71)から繰り出された種子を播種作溝器(81)の上方近くに配置した種子放出装置(73)が一旦受け止めて下方に向けて順次加速して放出するので、圃場に種子を間歇的に播種することができて、点播状態での播種作業が良好に行なわれる。然も、播種作溝器(81)にて圃場に適切な深さに形成した溝内に点播状態で播種できるので、播種深さが適切な一定の深さでの点播となり、発芽率が向上し然も良好な苗の育成が行なえ、従来例の課題を適切に解消することができる。また、播種覆土器(83)の角度を泥土の硬軟に拘らず適正な覆土量となるように制御できる。
【0006】
更に、播種装置を、乗用型走行車体(3)の後部に昇降リンク機構(26)を介して上下昇降自在で且つローリング軸(33)回りに左右にローリングする主フレーム(34)を介して左右ローリング自在に設けて、接地センサ(31)及びローリングセンサ(100)により播種深さが一定になるように乗用型走行車体(3)に対して昇降及びローリング制御する機構を設ける播種作業機としたものであるから、播種装置を圃場面に対して適切な位置に自動制御にて保持できるので、左右方向に播種装置を並列して設けて複数条の播種装置とした場合も全ての播種深さが適切なものとなり、良好な播種作業が行なえる。従って、発芽率も良く、苗の成育も良好なものとなる。また、播種作溝器81の上部で、衝撃センサSにより種子が落下してくるのを検出することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施例である水田に種籾(カルパーコーティングされた種子でもよい)を播種する乗用型播種機を図面に基づき詳細に説明する。
【0008】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1は、水田に直接種籾を播種する播種機に粒状の肥料の施肥を行う施肥装置1が装着された施肥播種機2を示している。この施肥播種機2は、主として乗用型走行車体3と8条分の施肥装置1及び播種装置4とで構成される。
【0009】
乗用型走行車体3の前後左右略中央に駆動源であるエンジン5を備え、このエンジン5からの動力によりエンジン出力ベルト6を介して2連プ−リ7と一体回転する中継軸8を駆動する。この中継軸8には油圧ポンプ9を設けており、この油圧ポンプ9はエンジン5の駆動に伴って駆動するようになっている。また、前記2連プ−リ7の他側となる駆動プ−リ7aから伝動ベルト10を介して主ミッションケ−ス11の入力軸11aと一体回転する従動プ−リ12を駆動することにより、主ミッションケ−ス11内に動力を伝達する構成となっている。尚、前記駆動プ−リ7a及び前記従動プ−リ12は割りプ−リで構成されて、該駆動プ−リ7a、該従動プ−リ12及び前記伝動ベルト10はこれらのプ−リ7a,12の割り幅を変更して主ミッションケ−ス11内への伝動の伝達比を無段変速する無段変速装置13となっている。そして、主ミッションケ−ス11内の動力により、該主ミッションケ−ス11の左右両端部に突出した前輪駆動軸14a,14aにて左右の前輪14,14を駆動回転すると共に、主ミッションケ−ス11から左右それぞれの後輪伝動軸15,15を介して左右の後輪伝動ケ−ス16,16内に伝動し該後輪伝動ケ−ス16,16に設けた後輪駆動軸17a,17aにて左右の後輪17,17を駆動するようになっている。従って、乗用型走行車体3は、前記前輪14,14及び後輪17,17を駆動して走行する構成となっている。また、前記主ミッションケ−ス11からの動力が、前記エンジン5の右側方を通過するように設けた播種伝動軸18により播種装置4へ動力を伝達するようになっている。
【0010】
尚、前記播種伝動軸18の中途部にはクラッチケ−ス19を設け、該クラッチケ−ス19により分岐して取り出される動力を施肥装置1へ伝達する構成となっている。そして、クラッチケ−ス19内には、播種装置4及び施肥装置1の駆動の入切を行うクラッチ(図示せず)を設けている。
【0011】
また、乗用型走行車体3には、前記エンジン5の上側に操縦席20を設け、該操縦席20の前側にステアリングハンドル21を設けている。該ステアリングハンドル21の右側には、前記無段変速装置13の変速操作を行う副変速レバ−22を設けている。また、前記ステアリングハンドル21の左側には主変速レバ−23を設け、この主変速レバ−23の操作により主ミッションケ−ス11内のギヤの噛み合いを切り替えて機体の車速を「路上走行速」、「播種作業速」及び「後進速」に切り替えるようになっている。前記ステアリングハンドル21の下方の左側には主クラッチペダル24を設け、この主クラッチペダル24の踏み込み操作により主ミッションケ−ス11内の主クラッチ(図示せず)を操作して走行車輪14,14,17,17、播種装置4及び施肥装置1への伝動を断つようになっている。操縦席20の右側には、前記クラッチケ−ス19内のクラッチを操作することで播種装置4及び施肥装置1への伝動の入切が可能な播種・昇降レバ−25を設けている。
【0012】
また、この乗用型走行車体3の後部には、昇降リンク機構26が枢支されている。この昇降リンク機構26は、1本の上リンク26aと平面視左右方向において前記上リンク26aを挟むように配設された2本の下リンク26b,26bとで構成される。播種装置4は、前記昇降リンク機構26の後端部に設けた縦リンク26cを介して乗用型走行車体3の後側に装着された構成となっている。前記播種装置4は、油圧ポンプ9からの油圧により油圧バルブを介して作動する油圧昇降シリンダ27の伸縮により前記昇降リンク機構26が上下に回動することによって昇降するように設けている。尚、前記播種・昇降レバ−25の操作により、前記油圧バルブを手動操作して昇降リンク機構26を回動させて、播種装置4を昇降できるようになっている。
【0013】
施肥装置1は、粒状の肥料を貯留する肥料ホッパ40、該肥料ホッパ40内の肥料を所定量づつ繰り出す各条の肥料繰出部41…、該肥料繰出部41…から繰り出される肥料の移送を案内する各条の案内管42…、該案内管42…に圧力風を供給する施肥エアチャンバ−43及び該施肥エアチャンバ−43に圧力風を供給する施肥用送風機44を備えて構成される。また、前記施肥用送風機44は、乗用型走行車体3の前部に配置したバッテリ−45を駆動源として駆動する構成となっている。
【0014】
そして、施肥装置1は、肥料繰出部41…から繰り出される肥料を案内管42…に落下供給し、施肥エアチャンバ−43からの圧力風により案内管42…及び各条の肥料案内管46…を介して該肥料案内管46終端に設けた各条の施肥部47…へ肥料を移送して、圃場に8条分の施肥を行う構成となっている。尚、前記肥料案内管46…は、フレキシブルなチュ−ブにより構成されている。
【0015】
前記施肥部47は、前記肥料案内管46とブ−ツ48により接続され、圃場面を滑走する整地フロート31,31,32,32に取付ボルトにより取り付けられている。前記施肥部47の前方には、該施肥部47と一体的に施肥作溝器50を設けている。この施肥作溝器50は、整地フロート31,31,32,32の底面より下方に突出する突起で構成され、機体の前進に伴って圃場の泥土を左右方向及び下方向に押し分けて作溝する。そして、その作溝された溝内に施肥エアチャンバ−43からの圧力風により肥料が施肥部47から吐出して供給されるようになっている。また、施肥部47の後方にはそれぞれプレートで構成される施肥覆土器51を設け、この施肥覆土器51により機体の前進に伴って前記施肥作溝器50が作った溝を埋めて圃場に施肥された肥料に覆土するようになっている。尚、前記施肥覆土器51は、整地フロート31,31,32,32にそれぞれ取り付けられている。
【0016】
各条の肥料繰出部41…を構成する繰出部ケ−ス41a…と案内管42…とは、前記施肥エアチャンバ−43に溶接された取付台(図示せず)にそれぞれボルトにより取付固定されている。そして、肥料ホッパ40を前記繰出部ケ−ス41a…に取り付けた構成となっている。尚、前記施肥エアチャンバ−43は、乗用型走行車体3の後部の縦フレ−ム52,52に取り付けられている。従って、肥料繰出部41…は、乗用型走行車体3の後部に配置された構成となっている。
【0017】
各条の肥料繰出部41…の前側には、作業終了後等に肥料ホッパ40内の肥料を取り出すための肥料取出口53…を設けている。この肥料取出口53…を前記肥料繰出部41…の前側に設けているので、作業者が乗用型走行車体側から肥料ホッパ40内の肥料の取出作業を容易に行える。
【0018】
ここで、肥料繰出部41…への駆動構成について説明すると、クラッチケ−ス19からの駆動により回転駆動する施肥駆動ア−ム(図示せず)に連結された施肥駆動ロッド54が上下動することにより、施肥繰出駆動ア−ム55を駆動し施肥駆動軸56に伝動する。尚、該施肥駆動軸56と前記施肥繰出駆動ア−ム55との間には一方向クラッチを設け、前記施肥駆動ロッド54の上動に伴って施肥駆動軸56が一定方向にしか回動しないようになっている。そして、施肥駆動軸56により肥料繰出しロール41b…を駆動する構成となっている。
【0019】
次に、播種装置4について、説明する。
播種装置4の種子繰出部71は、クラッチケ−ス19からの動力が入力される播種伝動ケース30からの動力の伝達により作動する構成となっている。また、播種装置4の下方には2つのセンタ−整地フロート31,31と左右両側部のサイド整地フロート32,32が設けられており、これらの整地フロート31,31,32,32が播種作業時に圃場面を滑走するようになっている。整地フロート31,31,32,32は、昇降リンク機構26の縦リンク26cに対してロ−リング軸33回りに左右にロ−リングする主フレーム34からそれぞれ後方に延びる左右のフロート支持プレ−ト35,35…を介して設けられ、該フロート支持プレ−ト35,35…の後端部に前記整地フロート31,31,32,32の左右にそれぞれ固着したフロート取付プレ−ト36,36…に備える左右方向の回動軸37,37…回りに回動自在に支持され、前後傾斜姿勢が自由に変更する構成となっている。播種装置4による播種作業を行うべく前記播種・昇降レバ−25により播種装置4を下降させて前記整地フロート31,31,32,32を圃場面に接地させ乗用型走行車体3を走行させると、接地センサとしてのセンタ−整地フロート31,31の前後傾斜姿勢が所定の傾斜姿勢となるよう該整地フロート31,31前部上方の圃場面感知機構38の作動に基づいて油圧バルブを切替えて前記昇降リンク機構26を回動させることにより、播種装置4を適正位置に昇降制御する構成となっている。
【0020】
ここで、圃場面感知機構38の構成を更に詳述する。前記主フレーム34より前方に向けて設けた取付け板34aに基部が枢支された上部アーム38aと下部アーム38bの先端部に縦アーム38cを枢着して平行リンクを構成し、上部アーム38aの基部側には一体に揺動する下方に向かうアーム38dを設けて、該アーム38d下端部を主フレーム34側に固定したロッド38e先端螺子部に外嵌合して、アーム38d下端部両側よりボルト38fにて固定することにより、上部アーム38a・下部アーム38b・縦アーム38cよりなる平行リンクは固定されている。そして、整地フロート31,31の前部を連結したフレームより前方に向けて延設されたアーム38gは、上部アーム38a先端の枢支軸38hに枢支されたアーム38iの後端部と連結アーム38jにて連結されている。一方、縦アーム38cの上部には角度検出センサ38kが設けられており、この角度検出センサ38kのアーム38mの先端がアーム38iの先端に連結ロッド38nにて連結されている。
【0021】
従って、センタ−整地フロート31,31は共にその前後が上下動する構成となっており、そのセンタ−整地フロート31,31前部の上下動にて切替えられる角度検出センサ38kにて油圧バルブが制御されて、常に、センタ−整地フロート31,31が所定の姿勢になるように播種装置4を適正位置に昇降制御する。
【0022】
尚、38pは感度調節ワイヤであって、ステアリングハンドル21近傍に設けた昇降感度調節レバーの操作にて、イ−ロ方向に押し引きされて感度調節ワイヤ38pの先端とアーム38iとの間に設けた引張バネqを伸縮させて、センタ−整地フロート31,31前部の上下動によるアーム38iの回動力を変更できる構成となっている。即ち、イ方向に感度調節ワイヤ38pを引くと引張バネqを伸ばすのでセンタ−整地フロート31,31前部が上がりにくくなり制御感度は鈍感になる。逆に、ロ方向に感度調節ワイヤ38pを緩めると引張バネqを縮めるのでセンタ−整地フロート31,31前部が上がり易くなり制御感度は敏感になる。一方、前記ロッド38e先端螺子部に外嵌合したアーム38d下端部両側のボルト38fの位置を前後方向に位置調節して固定することにより、アーム38dの角度が変更できるので、アーム38dと一体の上部アーム38aも角度変更され、上部アーム38aの先端に枢支したアーム38iの上下位置が変更できる構成となっている。従って、この調節によりセンタ−整地フロート31,31の制御基準姿勢の変更を行なうことができ、昇降制御感度を変更することができる。
【0023】
播種装置4の播種部は、種子を貯留する種子ホッパ70、該種子ホッパ70内の種子を所定量づつ繰り出す各条の種子繰出部71…、該種子繰出部71…から繰り出される種子の移送を案内する各条の案内管72…、該案内管72…の繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して放出する種子放出装置73…と、該種子放出装置73…から加速放出された種子を播種作溝器81…まで案内する種子案内体75…等を備えている。従って、種子ホッパ70内より種子繰出部71…にて繰り出される種子を案内管72…に落下供給し、その種子を種子放出装置73…が一旦受け止めてから下方に向けて加速して放出し、各条の種子案内管75…を介して該種子案内管75…終端に設けた各条の播種部76…へ種子を搬送して、圃場に8条分の播種を行う構成となっている。尚、前記種子案内管75…は、フレキシブルなチュ−ブにより構成されている。また、種子ホッパ70・種子繰出部71・種子放出装置73は、主フレーム34に下端が固定された播種部支持フレームAにて支持されている。
【0024】
種子繰出部71…への駆動構成について説明すると、播種伝動ケ−ス30からの駆動により回転駆動する播種駆動ア−ム94に連結された播種駆動ロッド95が上下動することにより、播種繰出駆動ア−ム96を駆動し播種駆動軸97に伝動する。該播種駆動軸97と前記播種繰出駆動ア−ム96との間には一方向クラッチを設け、前記播種駆動ロッド95の上動に伴って播種駆動軸97が一定方向にしか回動しないようになっている。そして、播種駆動軸97には各条毎に繰り出しロール71a…が設けられており、その繰り出しロール71a…には各々3つの凹部71bが形成されていて、繰り出しロール71a…がハ方向に駆動回転されることにより種子ホッパ70下部より該凹部71b内に種子が入り下方に所定量づつ間隔をあけて種子が繰り出される構成となっている。尚、播種駆動軸97には、2条毎の駆動クラッチを設けてあり、2条単位で駆動の入り切り操作をできるようにしてあり、端数条の播種作業が行なえる構成となっている。
【0025】
種子放出装置73…は、所定幅の薄い円柱形状のケーシング73a内に、モータ(図示せず)により回転する回転軸73bを介して、所定幅を有する薄い円柱形状の回転体73cを、ニ方向に回転するよう軸支している。回転体73cの外周部には、案内管72から供給された種子を受け止めて収容する側面視鋸歯状をなす多数の種子収容溝73dを設けている。そして、回転体73cの回転により種子収容溝73dに収容された種子を周方向に加速させて放出し、加速された種子を種子案内管75を介して該種子案内管75終端に設けた播種部76の播種作溝器81で形成した溝内へ種子を搬送して、圃場に8条分の播種を行う構成となっている。
【0026】
上記回転体73cの外周部に設けられる種子収容溝73dの側面視鋸歯状の個々の形状は、回転体73cの回転方向に対しそれぞれ鋭角をなす形状となっている。また、図2において、回転体73cの回転方向に対して、種子収容溝73dが下向きになって下降する部分、即ち、回転軸73bの中心を通る垂線から左側部分の上部位置に案内管72の下端部を開口させ、その下方位置に種子案内管75を種子収容溝73dの幅に近似させて開口している。
【0027】
尚、種子放出装置73の主要部分の寸法及び諸元は、以下のとおりである。ケーシング73aの直径=200mm、回転体73cの直径=180〜186mm、回転体73cの外周とケーシング73aの内周との間隙22=3〜6mm、種子収容溝73dの幅=20〜30mm、案内管72の内径=16mm、粒体種子案内管75の内径=22〜30mm、回転体73cにおける鋸歯状をなす種子収容溝73dの個数=32個、鋸歯状をなす種子収容溝73dの深さ=15mm、粒体種子案内管75のケーシング73aへの取付け角度=15°、回転体73cの材質は発泡性のゴムが好ましい。
【0028】
播種部76は、整地フロート31,31,32,32の底面より下方に突出する突起で構成され機体の前進に伴って圃場の泥土を左右方向及び下方向に押し分けて作溝する播種作溝器81と該播種作溝器81の上部に形成された平面視で後方が開放されたコ字状の種子案内部81aとにより構成されている。そして、種子案内部81aの上部が種子案内管75とブ−ツ78により連結されている。
【0029】
播種部76の後方にはそれぞれ播種覆土器83を設け、この播種覆土器83により機体の前進に伴って前記播種作溝器81が作った溝を埋めて圃場に吐出した種子に覆土するようになっている。この播種覆土器83は、左右方向において播種作溝器81側に傾斜した平面である覆土面を備え、機体の前進に伴って該覆土面により土壌が種子の上方位置まで押されて覆土するようになっている。
【0030】
ここで、上記播種覆土器83の構成及びその作動制御を詳細に説明する。
各整地フロート31,31,32,32の後部上面の左右両側に筒状部79を有する左右取付け座84・84をボルト85にて各々固定し、その取付け座84・84の各上部に横フレーム86をボルトにて固定し、これら横フレーム86と取付け座84の筒状部79を貫通して回動軸87を回動自在に装着し、この回動軸87の下部に播種覆土器83を固定している。また、回動軸87の上部には回動調節アーム88を固定し、この回動調節アーム88の一端側に調節ワイヤ89のインナーワイヤ89a先端側を連結し、横フレーム86に固定のアウター受け部材90に調節ワイヤ89のアウターを係止している。また、回動調節アーム88の他端側とアウター受け部材90との間に引張バネ91を装着している。一方、調節ワイヤ89の基端側のインナーワイヤは、主フレーム34に基部が固着されたアームに回転自在に設けた回転横軸110に基部が固定したアーム111の先端に連結されている。
【0031】
一方、主フレーム34より前方に向けて設けた支持フレーム92の前端部に移動調節フレーム93を移動調節フレーム93の長穴93aを介してボルト94により上下位置調節自在に固定し、この移動調節フレーム93の下端部に支持軸95を設けている。支持軸95には左回動体96と右回動体97を回動自在に枢支し、各回動体96・97の下端部には左右接地回転体98・99が回転自在に設けている。この左接地回転体98は先端が尖った円盤状で、泥面が軟らかいと泥土中に入っていくような形状になっており、右接地回転体99は先端に広い接地平面を有する円柱状で、泥土面に接して回転するような形状になっている。
【0032】
そして、右回動体97の上部には角度検出センサ101が設けられており、該角度検出センサ101の検出アーム101aの先端が左回動体96の上部に連結されている。尚、右回動体97の角度検出センサ101の下方にはコ字状の鉄板102が溶接されており、その鉄板102の両端部に位置調節用のボルト103・103が装着されており、コ字状の間隔内でボルト103・103間を左回動体96の上部は回動できるようになっている。即ち、ボルト103・103の調節で左回動体96上部の回動量を調節できるようになっている。
【0033】
従って、泥土が硬いと左右接地回転体98・99は略同じ位置にあるので、左回動体96の上部と角度検出センサ101の検出アーム101aは、図4の実線の状態となっている。泥土が軟らかくなるにつれて、左接地回転体98は泥土中に入っていくので、左回動体96の上部は、図4の仮想線の状態となって、それを角度検出センサ101が検出する。尚、角度検出センサ101の検出アーム101aは、ホ方向にバネで付勢されており、検出アーム101aは左回動体96の上部に追従して回動するように構成されている。
【0034】
一方、主フレーム34より上方に向けて設けた支持フレーム104の上端部に電動シリンダー105が装着されており、この電動シリンダー105のヘ−ト方向に伸縮する伸縮部106の先端を前記回転横軸110に基部が固定したアーム112の先端に連結し、電動シリンダー105の伸縮部106のヘ−ト方向の伸縮により回転横軸110を回転させて、調節ワイヤ89のインナーワイヤを押し引きして、前記回動調節アーム88を回動させて、播種覆土器83の角度を変更して覆土量が調節できる構成となっている。
【0035】
以上要するに、泥土の硬軟により左右接地回転体98・99の上下位置が変わることを角度検出センサ101にて検出して、その検出結果に応じて、電動シリンダー105を制御して、播種覆土器83の角度を泥土の硬軟に拘らず適正な覆土量となるように制御できるものである。即ち、泥土が軟らかい場合は、播種覆土器83を機体進行方向と略同じ方向にして覆土量が少なくなるようにし、逆に、泥土が硬い場合は、播種覆土器83を機体進行方向に対して横を向く方向に回動させて覆土量が多くなるようにしている。
【0036】
ところで、施肥装置1の施肥部47は、播種装置4の播種部76と機体の左右方向において所定量異ならせて配置されている。従って、この施肥播種機2は、圃場内を乗用型走行車体3を走行させて播種装置4により8条分の播種を行うと共に、前記播種装置4の播種位置の側方の所定位置に施肥装置1により8条分の施肥を行う構成となっている。
【0037】
尚、Sは種子が落下してくることを検出する衝撃センサであって、播種作溝器81の上部の種子案内部81aに設けられており、種子案内部81a内に泥土や種子が詰まって播種ができなくなった時や上方の種子繰出部71に種子が詰まって種子が繰り出されなくなった時に、播種されていないことを検出して、作業者の前方の運転パネルに播種されていない条が判るように警報を発する為のものである。作業者は、この警報が発せられると、直ぐに、機体を停止させて、異常部分を確認して、それを正して播種作業を再開する。また、Lは左右後輪17,17の通過跡を整地する為の整地用レーキである。
【0038】
最後に、播種装置4を圃場面に対して常に水平に維持するローリング制御について説明する。
100はローリングセンサとしての一般的な水平センサであって、播種装置4側の主フレーム34の左右両側部に基部が固着された正面視門型フレームBの左右中央上部に設けられている。
【0039】
120はローリング用電動モータであって、昇降リンク機構26の縦リンク26cに固定されており、その回転駆動軸121に駆動ギヤ122を固定している。そして、その駆動ギヤ122に噛み合う従動扇ギヤ123を縦リンク26cに枢支軸124にて回動自在に枢支している。一方、従動扇ギヤ123には、回動アーム125が溶接固着され、従動扇ギヤ123と共に上記枢支軸124に回動自在に枢支されている。そして、回動アーム125の上端部と上記播種装置4側の正面視門型フレームBの左右側部との間には、左右バネ126・126が装着されている。
【0040】
然して、圃場にて播種装置4を下降接地させて播種及び施肥作業を行なう場合、泥土面の左右傾斜や凹凸により播種装置4が左右傾斜した時、水平センサ100が播種装置4の左右傾斜を検出して、該検出結果によりローリング用電動モータ120を駆動制御して回動アーム125を左右所定の方向へ回動させて左右バネ126・126を介して播種装置4を水平になるように制御する。例えば、機体正面視で播種装置4の左側が低くなるように傾斜した場合には、ローリング用電動モータ120を駆動制御して回動アーム125の上部が右方向に回動するようにして、播種装置4が水平になる位置まで回動アーム125を回動させる。
【0041】
以上により、この施肥播種機2は、乗用型走行車体3を走行させながら施肥装置1の肥料繰出部41…、播種装置4の種子繰出部71…及び施肥用送風機44、種子放出装置73を作動させることにより、乗用型走行車体3の後方の整地フロート31,31,32,32に設けた施肥部47…から肥料を吐出すると共に前記整地フロート31,31,32,32に設けた播種部76…から種子を吐出し圃場に施肥及び播種を行っていく。この時、種子ホッパ70内の種子を所定量づつ繰り出す種子繰出部71と、該種子繰出部71から繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して放出する種子放出装置73と、該種子放出装置73から加速放出された種子を播種作溝器81まで案内する種子案内体75とを設けると共に、上記種子放出装置73を播種作溝器81の上方近くに配置した播種装置としたものであるから、種子繰出部71から繰り出された種子を播種作溝器81の上方近くに配置した種子放出装置73が一旦受け止めて下方に向けて順次加速して放出するので、圃場に種子を間歇的に播種することができて、点播状態での播種作業が良好に行なわれる。然も、播種作溝器81にて圃場に適切な深さに形成した溝内に点播状態で播種できるので、播種深さが適切な一定の深さでの点播となり、発芽率が向上し然も良好な苗の育成が行なえる。また、適切な点播が行なえるので、風とおしが良くて成育が極めて順調となり茎の太い倒れにくい稲となり、品質の良い米が収穫できる。また、病気や害虫が発生した時にも、苗株は離れているので、急速に病気や害虫が広がることが少なくて、被害の少ない初期段階で殺菌剤や殺虫剤の散布が行なえる。
【0042】
そして、圃場面の凹凸に拘らず、センタ−整地フロート31・31の前後傾斜姿勢が所定の傾斜姿勢となるよう該整地フロート31・31前部上方の圃場面感知機構38の作動に基づいて前記昇降リンク機構26を回動させ前記センタ−整地フロート31,31及び左右のサイド整地フロート32,32が圃場面に対して所定の高さに維持されるように播種装置4を昇降制御する。そして、泥土面の左右傾斜や凹凸により播種装置4が左右傾斜した時、水平センサ100が播種装置4の左右傾斜を検出して、該検出結果によりローリング用電動モータ120を駆動制御して回動アーム125を左右所定の方向へ回動させて左右バネ126・126を介して播種装置4を水平になるように制御する。従って、播種装置4を圃場面に対して適切な位置に自動制御にて保持できるので、複数条の播種装置としたにも拘らず全ての播種深さが適切なものとなり、良好な播種作業が行なえる。従って、発芽率も良く、苗の成育も良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】施肥播種機の全体側面図である。
【図2】播種装置の一部断面側面図である。
【図3】播種装置の要部平面図である。
【図4】泥土の硬軟を検出する部分の側面図である。
【図5】泥土の硬軟を検出する部分の一部断面平面図である。
【符号の説明】
3 乗用型走行車体
4 播種装置
26 昇降リンク機構
31 接地センサ(センタ−整地フロート)
70 種子ホッパ
71 種子繰出部
73 種子放出装置
75 種子案内体
81 播種作溝器
83 播種覆土器
100 ローリングセンサ(水平センサ)
Claims (1)
- 播種装置を、乗用型走行車体(3)の後部に昇降リンク機構(26)を介して上下昇降自在で且つローリング軸(33)回りに左右にローリングする主フレーム(34)を介して左右ローリング自在に設けて、接地センサ(31)及びローリングセンサ(100)により播種深さが一定になるように乗用型走行車体(3)に対して昇降及びローリング制御する機構を設けると共に、前記播種装置には、種子ホッパ(70)内の種子を所定量づつ繰り出す種子繰出部(71)と、該種子繰出部(71)から繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して放出する種子放出装置(73)と、該種子放出装置(73)から加速放出された種子を播種作溝器(81)まで案内する種子案内体(75)と、圃場に吐出した種子に覆土する播種覆土器(83)を設けると共に、上記種子放出装置(73)を播種作溝器(81)の上方近くに配置し、主フレーム(34)に下端を固定した播種部支持フレーム(A)を設け、該播種部支持フレーム(A)にて種子ホッパ(70)、種子繰出部(71)及び種子放出装置(73)を支持し、主フレーム(34)から上方に前記播種部支持フレーム(A)とは別の支持フレーム(104)を設け、該支持フレーム(104)に電動シリンダー(105)を装着し、回転横軸(110)にアーム(112)の基部を固定し、電動シリンダー(105)の伸縮部(106)をアーム(112)に連結し、回転横軸(110)の回転により調節ワイヤ(89)及び回動調節アーム(88)を介して播種覆土器(83)の角度を変更する構成とし、左右の接地回転体(98,99)の上下位置を角度検出センサ(101)にて検出して泥土の硬軟を検出し、この硬軟の検出に基づいて電動シリンダ(105)を制御して播種覆土器(83)の角度を制御する構成とし、主フレーム(34)の左右両側部に基部を固着した前記播種部支持フレーム(A)及び前記支持フレーム(104)とは別の正面視門型フレーム(B)を設け、該正面視門型フレーム(B)の左右中央上部にローリングセンサ(100)を設け、種子が落下してくるのを検出する衝撃センサ(S)を、播種作溝器(81)の上部に設けたことを特徴とする播種作業機。
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