JP3968516B2 - 農作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圃場に排水用の溝を形成する溝切り装置を装着した農作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来例として、圃場から排水(落水)したり圃場に水を貯めるのには長時間を要するために、播種機に排水用の溝切り装置を装着したものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−287509号公報(第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の播種機は、溝切り装置が隣接する整地フロートの間に設けられており、例えば水田にて溝切り装置で作溝しても軟弱な泥土が直ぐに溝内に戻ってしまい綺麗な溝を形成することは困難であり、更に、機体の前進に伴って側方に位置する整地フロートが泥水を押し出すので、せっかく溝切り装置が形成した溝を埋め戻してしまうような事態が多々あって、圃場に排水用の溝を良好に形成することができないという課題があった。また、元来の薬液を間歇的に圃場に点滴する形態の薬剤散布機は、水田圃場で水の表面に点滴して、水の表面で拡散して圃場全体に薬剤が広がるような散布形態である。ところが、圃場によっては、水の量が少なくて(圃場全体で水が水溜り状に点在したような圃場)、薬剤散布機にて薬剤を点滴しても殆どが泥土上に落ちて拡散せず、うまく薬液散布が行えない場合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、エンジン(5)及び油圧ポンプ(9)を設けた走行車体(3)と、該走行車体(3)の後方に設けた6条植えの苗植付部(200)と、表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように前記苗植付部(200)の下部に回動自在に取り付けられて表土面を整地するセンターフロート(208)及びサイドフロート(209)と、該センターフロート(208)の前端側の上下動を検出する検出機構(38)と、走行車体(3)と苗植付部(200)の間に位置し、前記検出機構(38)による検出結果に基づいて前記油圧ポンプ(9)からの油圧により油圧バルブを介して伸縮作動する油圧昇降シリンダ(27)と、苗植付部(200)の前方であって前記油圧昇降シリンダ(27)の後部に接続され前記油圧昇降シリンダ(27)の伸縮により前記苗植付部(200)を昇降させる昇降リンク機構(26)と、該昇降リンク機構(26)と前記苗植付部(200)間に接続して前記苗植付部(200)を左右方向にローリングさせるローリング軸(33)と、前記苗植付部(200)の前方に設けた圃場に6条分の施肥を行うための施肥装置(1)とを備えた農作業機であって、前記施肥装置(1)は、肥料を貯蔵する肥料ホッパ(40)と、該肥料ホッパ(40)内の肥料を所定量づつ繰り出す肥料繰出部(41)と、該肥料繰出部(41)から繰り出される肥料の移送を案内する案内管(42)並びに各条の肥料案内管(46)と、肥料案内管(46)に接続されたブーツ(48)と、前記案内管(42)に圧力風を供給する施肥エアチャンバー(43)と、該施肥エアチャンバー(43)に圧力風を供給する施肥用送風機(44)と、前記ブーツ(48)に接続され前記整地フロート(208、209)に取付ボルトにより取り付けられた施肥部(47)とを備え、前記施肥エアチャンバー(43)からの圧力風により前記案内管(42)と肥料案内管(46)を介して前記施肥部(47)に肥料を移送する構成を有し、前記苗植付部(200)は、前記エンジン(5)からの動力を受ける動力伝動ケース(201)と、該伝動ケース(201)上方に設けられた苗を載せる苗載台(205)と、該苗載台(205)に供給された苗を前記動力伝動ケース(201)からの動力により圃場に植付ける動作をする苗植付装置(206)と、次工程における走行車体(3)の進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(207)とを有し、更に、前記施肥部(47)の前方に設けられ、該施肥部(47)と一体である施肥作溝器(50)と、前記施肥部(47)の後方に設けられ、前記施肥作溝器(50)が作った溝を埋めて圃場に施肥された肥料に覆土する施肥覆土器(51)と、前記センターフロート(208)底面部の左右中央部に装着され、圃場面に排水用の溝を形成する溝切り装置(140)と、前記センターフロート(208)の上方であって前記動力伝動ケース(201)の後端部に設けられ、前記溝切り装置(140)により圃場に形成された溝上に薬液を間歇的に点滴する薬剤散布機(210)と
を設けた農作業機としたものである。
【0006】
従って、農作業時に、溝切り装置(140)にて水田圃場に同時に排水用の溝が形成されるので、農作業を終えた後に、圃場の水管理を行う場合に、その溝により圃場の水を容易に排水することができ、また、圃場に水を入れる場合にも圃場全体に水が略均等に迅速に行き渡るので、圃場の水管理作業が容易になる。そして、特に、この溝切り装置(140)は、センターフロート(208)の底面に設けられているので、センターフロート(208)の整地作用と同時に溝の形成が行えるから、他の部材が圃場面に与えた影響が溝の形成に及ぶことをセンターフロート(208)が防止して、安定した溝の形成が行える。また、溝切り装置(140)により圃場に形成した溝上に薬剤散布機(210)にて薬液を間歇的に圃場に点滴する構成としているので、圃場に水が少なくても、圃場に形成した溝には少なくとも水がすじ状に溜まるから、少なくともすじ状に圃場全体に広がり、うまく薬液散布が行える。
【0007】
【発明の効果】
この発明は、圃場面に排水用の溝を形成する溝切り装置(140)をセンターフロート(208)底面部の左右中央部に装着した農作業機としたものであるから、センターフロート(208)の整地作用と同時に溝の形成が行え、他の部材が圃場面に与えた影響が溝の形成に及ぶことをセンターフロート(208)が防止して、安定した溝の形成が行える。
【0008】
従って、従来例の課題を適切に解消できて、農作業時に、溝切り装置(140)により水田圃場に同時に排水用の溝が良好に形成されるので、農作業を終えた後に、圃場の水管理を行う場合に、その溝により圃場の水を容易に排水することができ、また、圃場に水を入れる場合にも圃場全体に水が略均等に迅速に行き渡るので、圃場の水管理作業が容易になる。また、溝切り装置(140)により圃場に形成した溝上に薬剤散布機(210)にて薬液を間歇的に圃場に点滴する構成としているので、圃場に水が少なくても、圃場に形成した溝には少なくとも水がすじ状に溜まるから、少なくともすじ状に圃場全体に広がり、うまく薬液散布が行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施例である水田に種籾(カルパーコーティングされた種子でもよい)を播種する乗用型播種機を図面に基づき詳細に説明する。
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。図1は、水田に直接種籾を播種する播種機に粒状の肥料の施肥を行う施肥装置1が装着された施肥播種機2を示している。この施肥播種機2は、主として乗用型走行車体3と8条分の施肥装置1及び播種装置4とで構成される。
【0010】
乗用型走行車体3の前後左右略中央に駆動源であるエンジン5を備え、このエンジン5からの動力によりエンジン出力ベルト6を介して2連プーリ7と一体回転する中継軸8を駆動する。この中継軸8には油圧ポンプ9を設けており、この油圧ポンプ9はエンジン5の駆動に伴って駆動するようになっている。また、前記2連プーリ7の他側となる駆動プーリ7aから伝動ベルト10を介して主ミッションケース11の入力軸11aと一体回転する従動プーリ12を駆動することにより、主ミッションケース11内に動力を伝達する構成となっている。なお、前記駆動プーリ7a及び前記従動プーリ12は割りプーリで構成されて、該駆動プーリ7a、該従動プーリ12及び前記伝動ベルト10はこれらのプーリ7a,12の割り幅を変更して主ミッションケース11内への伝動の伝達比を無段変速する無段変速装置13となっている。
【0011】
無段変速装置13から主ミッションケース11への入力軸11aの回転動力は、湿式多板クラッチ構成の主クラッチ11bによって伝動入・切可能に主ミッションケース11に入力される。主ミッションケース11に入力された動力の一部は、前進2段・後進1段の変速位置を有する主変速装置11cへ伝達され、ここで変速された後に、後輪用動力と前輪用動力に分岐する。
【0012】
後輪用動力は、後輪デファレンシャル装置11dと後輪クラッチ・ブレーキ装置11e,11eを経由して主ミッションケース11の背面部に取り出され、そこから後輪伝動軸15,15を介して後輪伝動ケース16,16に伝動され、後輪駆動軸17a,17aにて左右の後輪17,17を回転駆動する。後輪デファレンシャル装置11dは公知構成のもので、これが機能している状態では、左右の後輪17,17の駆動力が均等になるように動力が分配され、地面から受ける負荷に応じて左右の後輪17,17の回転数比が変動する。上記機能を規制する後輪デフロック装置11fを作用状態にすると、左右の後輪17,17の回転数比が一定(通常は1:1)に固定される。後輪デフロック装置11fは、操縦席20近傍に設けた後輪デフロックペダルにより作用状態と非作用状態とに切り替える。また、左右後輪クラッチ・ブレーキ装置11e,11eを各々作動させると、後輪17に伝動するクラッチが各々切れると共に、後輪17に各々ブレーキがかかるようになっている。この左右後輪クラッチ・ブレーキ装置11e,11eは、操縦席20前方に設けた左右ブレーキペダルにて各々操作される。
【0013】
前輪用動力は、前輪デファレンシャル装置11gを経由して前輪ファイナルケース11h,11hに伝動され、前輪駆動軸11i,11iにて左右の前輪14,14を回転駆動する。前輪デファレンシャル装置11gも、前記後輪デファレンシャル装置11dと同様の機能を有し、その機能を前輪デフロック装置11jで規制できるようになっている。前輪デフロック装置11jも、操縦席20近傍に設けた前輪デフロックペダルにより作用状態と非作用状態とに切り替える。
【0014】
従って、乗用型走行車体3は、前記前輪14,14及び後輪17,17を駆動して走行する構成となっている。
【0015】
後輪用動力及び前輪用動力以外の残りの動力は、外部取出動力として、株間変速装置11kによって変速された後に、安全クラッチ11mと播種装置4及び施肥装置1の駆動の入切を行う播種施肥クラッチ11nを経由して主ミッションケース11から外部に取り出された播種伝動軸18により、前記エンジン5の右側方を通過して播種装置4へ動力を伝達するようになっている。
【0016】
なお、前記播種伝動軸18の中途部には動力分岐ケース19を設け、該動力分岐ケース19により分岐して取り出される動力を施肥装置1へ伝達する構成となっている。
【0017】
また、乗用型走行車体3には、前記エンジン5の上側に操縦席20を設け、該操縦席20の前側にステアリングハンドル21を設けている。該ステアリングハンドル21の右側には、前記無段変速装置13の変速操作を行う副変速レバー22を設けている。また、前記ステアリングハンドル21の左側には主変速レバー23を設け、この主変速レバー23の操作により主ミッションケース11内の主変速装置11cのギヤの噛み合いを切り替えて機体の車速を「路上走行速」、「播種作業速」及び「後進速」に切り替えるようになっている。前記ステアリングハンドル21の下方の左側には主クラッチペダル24を設け、この主クラッチペダル24の踏み込み操作により主ミッションケース11内の主クラッチ11bを操作して走行車輪14,14,17,17、播種装置4及び施肥装置1への伝動を断つようになっている。操縦席20の右側には、前記播種施肥クラッチ11nを操作することで播種装置4及び施肥装置1への伝動の入切が可能な播種・昇降レバー25を設けている。
【0018】
また、この乗用型走行車体3の後部には、昇降リンク機構26が枢支されている。この昇降リンク機構26は、1本の上リンク26aと平面視左右方向において前記上リンク26aを挟むように配設された2本の下リンク26b,26bとで構成される。播種装置4は、前記昇降リンク機構26の後端部に設けた縦リンク26cを介して乗用型走行車体3の後側に装着された構成となっている。前記播種装置4は、油圧ポンプ9からの油圧により油圧バルブを介して作動する油圧昇降シリンダ27の伸縮により前記昇降リンク機構26が上下に回動することによって昇降するように設けている。なお、前記播種・昇降レバー25の操作により、前記油圧バルブを手動操作して昇降リンク機構26を回動させて、播種装置4を昇降できるようになっている。
【0019】
施肥装置1は、粒状の肥料を貯留する肥料ホッパ40、該肥料ホッパ40内の肥料を所定量づつ繰り出す各条の肥料繰出部41…、該肥料繰出部41…から繰り出される肥料の移送を案内する各条の案内管42…、該案内管42…に圧力風を供給する施肥エアチャンバー43及び該施肥エアチャンバー43に圧力風を供給する施肥用送風機44を備えて構成される。また、前記施肥用送風機44は、乗用型走行車体3の前部に配置したバッテリー45を駆動源として駆動する構成となっている。
【0020】
そして、施肥装置1は、肥料繰出部41…から繰り出される肥料を案内管42…に落下供給し、施肥エアチャンバー43からの圧力風により案内管42…及び各条の肥料案内管46…を介して該肥料案内管46終端に設けた各条の施肥部47…へ肥料を移送して、圃場に8条分の施肥を行う構成となっている。なお、前記肥料案内管46…は、フレキシブルなチューブにより構成されている。
【0021】
前記施肥部47は、前記肥料案内管46とブーツ48により接続され、圃場面を滑走する整地フロート31,31,32,32に取付ボルトにより取り付けられている。前記施肥部47の前方には、該施肥部47と一体的に施肥作溝器50を設けている。この施肥作溝器50は、整地フロート31,31,32,32の底面より下方に突出する突起で構成され、機体の前進に伴って圃場の泥土を左右方向及び下方向に押し分けて作溝する。そして、その作溝された溝内に施肥エアチャンバー43からの圧力風により肥料が施肥部47から吐出して供給されるようになっている。また、施肥部47の後方にはそれぞれプレートで構成される施肥覆土器51を設け、この施肥覆土器51により機体の前進に伴って前記施肥作溝器50が作った溝を埋めて圃場に施肥された肥料に覆土するようになっている。なお、前記施肥覆土器51は、整地フロート31,31,32,32にそれぞれ取り付けられている。
【0022】
各条の肥料繰出部41…を構成する繰出部ケース41a…と案内管42…とは、前記施肥エアチャンバー43に溶接された取付台(図示せず)にそれぞれボルトにより取付固定されている。そして、肥料ホッパ40を前記繰出部ケース41a…に取り付けた構成となっている。なお、前記施肥エアチャンバー43は、乗用型走行車体3の後部の縦フレーム52,52に取り付けられている。従って、肥料繰出部41…は、乗用型走行車体3の後部に配置された構成となっている。
【0023】
各条の肥料繰出部41…の前側には、作業終了後等に肥料ホッパ40内の肥料を取り出すための肥料取出口53…を設けている。この肥料取出口53…を前記肥料繰出部41…の前側に設けているので、作業者が乗用型走行車体側から肥料ホッパ40内の肥料の取出作業を容易に行える。
【0024】
ここで、肥料繰出部41…への駆動構成について説明すると、動力分岐ケース19からの駆動により回転駆動する施肥駆動アーム(図示せず)に連結された施肥駆動ロッド54が上下動することにより、施肥繰出駆動アーム55を駆動し施肥駆動軸56に伝動する。なお、該施肥駆動軸56と前記施肥繰出駆動アーム55との間には一方向クラッチを設け、前記施肥駆動ロッド54の上動に伴って施肥駆動軸56が一定方向にしか回動しないようになっている。そして、施肥駆動軸56により肥料繰出しロール41b…を駆動する構成となっている。
【0025】
次に、播種装置4について、説明する。
播種装置4の種子繰出部71は、動力分岐ケース19からの動力が入力される播種伝動ケース30からの動力の伝達により作動する構成となっている。また、播種装置4の下方には2つのセンター整地フロート31,31と左右両側部のサイド整地フロート32,32が設けられており、これらの整地フロート31,31,32,32が播種作業時に圃場面を滑走するようになっている。整地フロート31,31,32,32は、昇降リンク機構26の縦リンク26cに対してローリング軸33回りに左右にローリングする主フレーム34からそれぞれ後方に延びる左右のフロート支持プレート35,35…を介して設けられ、該フロート支持プレート35,35…の後端部に前記整地フロート31,31,32,32の左右にそれぞれ固着したフロート取付プレート36,36…に備える左右方向の回動軸37,37…回りに回動自在に支持され、前後傾斜姿勢が自由に変更する構成となっている。播種装置4による播種作業を行うべく前記播種・昇降レバー25により播種装置4を下降させて前記整地フロート31,31,32,32を圃場面に接地させ乗用型走行車体3を走行させると、センター整地フロート31,31の前後傾斜姿勢が所定の傾斜姿勢となるよう該整地フロート31,31前部上方の圃場面感知機構38の作動に基づいて油圧バルブを切替えて前記昇降リンク機構26を回動させることにより、播種装置4を適正位置に昇降制御する構成となっている。
【0026】
ここで、圃場面感知機構38の構成を更に詳述する。前記主フレーム34より前方に向けて設けた取付け板34aに基部が枢支された上部アーム38aと下部アーム38bの先端部に縦アーム38cを枢着して平行リンクを構成し、上部アーム38aの基部側には一体に揺動する下方に向かうアーム38dを設けて、該アーム38d下端部を主フレーム34側に固定したロッド38e先端螺子部に外嵌合して、アーム38d下端部両側よりボルト38fにて固定することにより、上部アーム38a・下部アーム38b・縦アーム38cよりなる平行リンクは固定されている。そして、整地フロート31,31の前部を連結したフレームより前方に向けて延設されたアーム38gは、上部アーム38a先端の枢支軸38hに枢支されたアーム38iの後端部と連結アーム38jにて連結されている。一方、縦アーム38cの上部には角度検出センサ38kが設けられており、この角度検出センサ38kのアーム38mの先端がアーム38iの先端に連結ロッド38nにて連結されている。
【0027】
従って、センター整地フロート31,31は共にその前後が上下動する構成となっており、そのセンター整地フロート31,31前部の上下動にて切替えられる角度検出センサ38kにて油圧バルブが制御されて、常に、センター整地フロート31,31が所定の姿勢になるように播種装置4を適正位置に昇降制御する。
【0028】
なお、38pは感度調節ワイヤであって、ステアリングハンドル21近傍に設けた昇降感度調節レバーの操作にて、イ−ロ方向に押し引きされて感度調節ワイヤ38pの先端とアーム38iとの間に設けた引張バネqを伸縮させて、センター整地フロート31,31前部の上下動によるアーム38iの回動力を変更できる構成となっている。即ち、イ方向に感度調節ワイヤ38pを引くと引張バネqを伸ばすのでセンター整地フロート31,31前部が上がりにくくなり制御感度は鈍感になる。逆に、ロ方向に感度調節ワイヤ38pを緩めると引張バネqを縮めるのでセンター整地フロート31,31前部が上がり易くなり制御感度は敏感になる。一方、前記ロッド38e先端螺子部に外嵌合したアーム38d下端部両側のボルト38fの位置を前後方向に位置調節して固定することにより、アーム38dの角度が変更できるので、アーム38dと一体の上部アーム38aも角度変更され、上部アーム38aの先端に枢支したアーム38iの上下位置が変更できる構成となっている。従って、この調節によりセンター整地フロート31,31の制御基準姿勢の変更を行なうことができ、昇降制御感度を変更することができる。
【0029】
播種装置4の播種部は、種子を貯留する種子ホッパ70、該種子ホッパ70内の種子を所定量づつ繰り出す各条の種子繰出部71…、該種子繰出部71…から繰り出される種子の移送を案内する各条の案内管72…、該案内管72…の繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して種子案内管75…から放出する種子放出装置73…と、圃場に播種溝を形成して上記種子放出装置73…の種子案内管75…から加速放出された種子を受けて播種溝内に案内する播種作溝器81…等を備えている。従って、種子ホッパ70内より種子繰出部71…にて繰り出される種子を案内管72…に落下供給し、その種子を種子放出装置73…が一旦受け止めてから下方に向けて加速して種子案内管75…から放出し、各播種作溝器81…等よりなる各条の播種部76…へ種子を搬送して、圃場に8条分の播種を行う構成となっている。
【0030】
Aは播種部支持フレームであって、その下部が主フレーム34に溶接固定されている。そして、該播種部支持フレームAには、上下2つの支持プレートA1・A2が後方に向けて設けられており、各支持プレートA1・A2に設けた前後方向の長孔A3・A4に種子ホッパ70・種子繰出部71・種子放出装置73側より前方に向けて延出した作業機側プレートA5の丸孔A6・A7を対応させて、上下ボルトA8・A9を挿通してナットにて締め付けて両プレートA1・A2とA5を固定している。更に、播種部支持フレームAには、機体左右方向に設けた角パイプ材よりなるレールA10を溶接固定してあり、前記作業機側プレートA5に基部がボルトにより固定された角パイプ材の一辺部を溝状に切り抜いた外嵌部材A11が、このレールA10に機体左右外側方から外嵌させて設けてある。
【0031】
従って、播種部支持フレームAに種子ホッパ70・種子繰出部71・種子放出装置73等の作業部を装着する場合には、図9及び図10に示すように、播種部支持フレームAのレールA10の右側外側から右種子ホッパ70・種子繰出部71・種子放出装置73等の右作業部に固定された外嵌部材A11を外嵌させて機体内方にスライドさせて、右作業部を所定の位置に配置して前後角度を決めた後に上下ボルトA8・A9を両プレートA1・A2とA5に挿通してナットにて締め付けて固定する。同様に、播種部支持フレームAのレールA10の左側外側から左種子ホッパ70・種子繰出部71・種子放出装置73等の左作業部に固定された外嵌部材A11を外嵌させて機体内方にスライドさせて、左作業部を所定の位置に配置して前後角度を決めた後に上下ボルトA8・A9を両プレートA1・A2とA5に挿通してナットにて締め付けて固定する。この時、前後方向の長孔A3・A4分だけ、種子ホッパ70・種子繰出部71・種子放出装置73は、播種部支持フレームAに対して前後傾斜角度が変更できるようにして固定支持されている。これは、播種作溝器81の上部に形成された種子案内部81aに対して、種子案内管75の角度を調節できるようにするためのものである。即ち、種子放出装置73により加速されて種子案内管75から放出される種子が種子案内部81aで受けて案内される際に、適切に圃場に播種されるように種子案内管75から放出される種子が播種作溝器81の溝を形成する部位の後端側の壁81b近くに来るように角度調節する。(播種作溝器81が形成する溝において、播種作溝器81の後端側の壁81b近くに播種すると、播種深さが安定するので良好な播種作業が行える。)
なお、図7等にて明らかな如く、各種子案内管75…の下端と各播種作溝器81の上部に形成された種子案内部81a上端との間には間隔があけられており、右種子ホッパ70・右側4つの種子繰出部71・右側4つの種子放出装置73・右側4つの種子案内管75よりなる右作業部及び左種子ホッパ70・左側4つの種子繰出部71・左側4つの種子放出装置73・左側4つの種子案内管75よりなる左作業部は、播種部支持フレームAのレールA10に沿って左右方向に移動させられる構成となっている。
【0032】
よって、例えば、左右作業部が機体の左右に出っ張っているために、機体をトラックに積み込む場合や納屋に収納する場合に支障となる時には、上下ボルトA8・A9を外して左右作業部を播種部支持フレームAのレールA10に沿って機体内方に移動させれば、機体左右幅を狭くすることができ、上記機体をトラックに積み込むことが可能となり、また、狭い納屋に収納することも可能となる。
【0033】
種子繰出部71…への駆動構成について説明すると、前記動力分岐ケース19を経由した播種伝動軸18の駆動を変速する播種伝動ケース30より外方に突出させた駆動軸94aに設けた駆動スプロケット94bと播種駆動軸97に設けた従動スプロケット97aとの間に伝動チェーン95aを設けて、その周りを伝動チェーンケース95bで覆っている。なお、駆動スプロケット94bと従動スプロケット97aとは同じ歯数で駆動軸94aと播種駆動軸97とは同速回転する。
【0034】
そして、播種駆動軸97には各条毎に繰り出しロール71a…が設けられており、その繰り出しロール71a…には各々3つの凹部71bが形成されていて、繰り出しロール71a…がハ方向に駆動回転されることにより種子ホッパ70下部より該凹部71b内に種子が入り下方に所定量づつ間隔をあけて種子が繰り出される構成となっている。なお、播種駆動軸97には、2条毎の駆動クラッチを設けてあり、2条単位で駆動の入り切り操作をできるようにしてあり、端数条の播種作業が行なえる構成となっている。
【0035】
種子放出装置73…は、所定幅の薄い円柱形状のケーシング73a内に所定幅を有する薄い円柱形状の回転体73cを回転軸73bによりニ方向に駆動回転されるように軸支して構成している。そして、播種伝動ケース30より外方に突出させた駆動軸94cに設けた駆動スプロケット94dと回転軸73bに設けた従動スプロケット94eとの間に伝動チェーン95cを設けて、その周りを伝動チェーンケース95dで覆っている。なお、駆動スプロケット94dは従動スプロケット94eよりもはるかに多い歯数を有し、駆動軸94cにより回転軸73bは増速回転する構成となっている。
【0036】
そして、回転体73cの外周部には、案内管72から供給された種子を受け止めて収容する側面視鋸歯状をなす多数の種子収容溝73dを設けている。そして、回転体73cの回転により種子収容溝73dに収容された種子を周方向に加速させて、加速された種子を種子案内管75を介して該種子案内管75終端より放出し、それを播種部76の播種作溝器81で受けて圃場に形成した溝内に案内し、圃場に8条分の播種を行う構成となっている。
【0037】
上記回転体73cの外周部に設けられる種子収容溝73dの側面視鋸歯状の個々の形状は、回転体73cの回転方向に対しそれぞれ鋭角をなす形状となっている。また、図3において、回転体73cの回転方向に対して、種子収容溝73dが下向きになって下降する部分、即ち、回転軸73bの中心を通る垂線から左側部分の上部位置に案内管72の下端部を開口させ、その下方位置に種子案内管75を種子収容溝73dの幅に近似させて開口している。
【0038】
なお、種子放出装置73の主要部分の寸法及び諸元は、以下のとおりである。ケーシング73aの直径=200mm、回転体73cの直径=180〜186mm、回転体73cの外周とケーシング73aの内周との間隙22=3〜6mm、種子収容溝73dの幅=20〜30mm、案内管72の内径=16mm、粒体種子案内管75の内径=22〜30mm、回転体73cにおける鋸歯状をなす種子収容溝73dの個数=32個、鋸歯状をなす種子収容溝73dの深さ=15mm、種子案内管75のケーシング73aへの取付け角度=15°、回転体73cの材質は発泡性のゴムが好ましい。
【0039】
ところで、機体の播種作業前進速度を変更すべく、副変速レバー22の変速操作により無段変速装置13の変速を行なうと、図12の伝動機構図に示すように、前輪14,14・後輪17,17の駆動回転を変更して機体の前進速度を変更させると共に、株間変速装置11kにも比例して変速された駆動回転が入力されるので、播種伝動軸18の回転速度も前輪14,14・後輪17,17への回転速度に比例して変更されて、繰り出しロール71a…及び回転体73cの回転速度が前輪14,14・後輪17,17への回転速度に比例して変更される。
【0040】
播種部76は、整地フロート31,31,32,32の底面より下方に突出する突起で構成され機体の前進に伴って圃場の泥土を左右方向及び下方向に押し分けて作溝する播種作溝器81と該播種作溝器81の上部に形成された平面視で後方が開放されたコ字状の種子案内部81aとにより構成されている。そして、種子案内部81aの上部が種子案内管75より放出された種子を受けて圃場に案内する構成となっている。
【0041】
播種部76の後方にはそれぞれ播種覆土器83を設け、この播種覆土器83により機体の前進に伴って前記播種作溝器81が作った溝を埋めて圃場に吐出した種子に覆土するようになっている。この播種覆土器83は、左右方向において播種作溝器81側に傾斜した平面である覆土面を備え、機体の前進に伴って該覆土面により土壌が種子の上方位置まで押されて覆土するようになっている。
【0042】
ここで、上記播種覆土器83の構成及びその作動制御を詳細に説明する。
各整地フロート31,31,32,32の後部上面の左右両側に筒状部79を有する左右取付け座84・84をボルト85にて各々固定し、その取付け座84・84の各上部に横フレーム86をボルトにて固定し、これら横フレーム86と取付け座84の筒状部79を貫通して回動軸87を回動自在に装着し、この回動軸87の下部に播種覆土器83を固定している。また、回動軸87の上部には回動調節アーム88を固定し、この回動調節アーム88の一端側に調節ワイヤ89のインナーワイヤ89a先端側を連結し、横フレーム86に固定のアウター受け部材90に調節ワイヤ89のアウターを係止している。また、回動調節アーム88の他端側とアウター受け部材90との間に引張バネ91を装着している。一方、調節ワイヤ89の基端側のインナーワイヤは、主フレーム34に基部が固着されたアームに回転自在に設けた回転横軸110に基部が固定したアーム111の先端に連結されている。
【0043】
一方、主フレーム34より前方に向けて設けた支持フレーム92の前端部に移動調節フレーム93を移動調節フレーム93の長穴93aを介してボルト94により上下位置調節自在に固定し、この移動調節フレーム93の下端部に支持軸95を設けている。支持軸95には左回動体96と右回動体97を回動自在に枢支し、各回動体96・97の下端部には左右接地回転体98・99が回転自在に設けている。この左接地回転体98は先端が尖った円盤状で、泥面が軟らかいと泥土中に入っていくような形状になっており、右接地回転体99は先端に広い接地平面を有する円柱状で、泥土面に接して回転するような形状になっている。
【0044】
そして、右回動体97の上部には角度検出センサ101が設けられており、該角度検出センサ101の検出アーム101aの先端が左回動体96の上部に連結されている。なお、右回動体97の角度検出センサ101の下方にはコ字状の鉄板102が溶接されており、その鉄板102の両端部に位置調節用のボルト103・103が装着されており、コ字状の間隔内でボルト103・103間を左回動体96の上部は回動できるようになっている。即ち、ボルト103・103の調節で左回動体96上部の回動量を調節できるようになっている。
【0045】
従って、泥土が硬いと左右接地回転体98・99は略同じ位置にあるので、左回動体96の上部と角度検出センサ101の検出アーム101aは、図13の実線の状態となっている。泥土が軟らかくなるにつれて、左接地回転体98は泥土中に入っていくので、左回動体96の上部は回動し、それを角度検出センサ101が検出する。なお、角度検出センサ101の検出アーム101aは、ホ方向にバネで付勢されており、検出アーム101aは左回動体96の上部に追従して回動するように構成されている。
【0046】
一方、主フレーム34より上方に向けて設けた支持フレーム104の上端部に電動シリンダー105が装着されており、この電動シリンダー105のヘ−ト方向に伸縮する伸縮部106の先端を前記回転横軸110に基部が固定したアーム112の先端に連結し、電動シリンダー105の伸縮部106のヘ−ト方向の伸縮により回転横軸110を回転させて、調節ワイヤ89のインナーワイヤを押し引きして、前記回動調節アーム88を回動させて、播種覆土器83の角度を変更して覆土量が調節できる構成となっている。
【0047】
以上要するに、泥土の硬軟により左右接地回転体98・99の上下位置が変わることを角度検出センサ101にて検出して、その検出結果に応じて、電動シリンダー105を制御して、播種覆土器83の角度を泥土の硬軟に拘らず適正な覆土量となるように制御できるものである。即ち、泥土が軟らかい場合は、播種覆土器83を機体進行方向と略同じ方向にして覆土量が少なくなるようにし、逆に、泥土が硬い場合は、播種覆土器83を機体進行方向に対して横を向く方向に回動させて覆土量が多くなるようにしている。
【0048】
ところで、施肥装置1の施肥部47は、播種装置4の播種部76と機体の左右方向において所定量異ならせて配置されている。従って、この施肥播種機2は、圃場内を乗用型走行車体3を走行させて播種装置4により8条分の播種を行うと共に、前記播種装置4の播種位置の側方の所定位置に施肥装置1により8条分の施肥を行う構成となっている。
【0049】
S1〜S8は播種装置4の種子ホッパ70から各種子繰出部71にて繰り出される種子を検出する衝撃センサであって、各条の種子繰出部71と種子放出装置73との間に位置して各々設けられており、各条の各種子繰出部71にて繰り出される種子が繰り出されなくなった時に、播種されていないことを検出して、作業者の前方の運転パネルに播種されていない条が判るように対応する警報ランプL1〜L8を点灯させると共に、警報ブザーBZを鳴らすように構成している。
【0050】
即ち、例えば、各種子繰出部71…にて繰り出される種子を各衝撃センサS1〜S8が検出している間は、正常な繰出状態であるので、警報ランプL1〜L8は点灯されず、警報ブザーBZも鳴らさないように制御装置にて制御されている。ところが、各種子繰出部71…の何れかが詰まって種子を繰り出さなくなった場合には、その種子繰出部71に対応する衝撃センサ(例えば、S1)が種子を検出しなくなるので、それに対応する警報ランプ(例えば、L1)が点灯し、警報ブザーBZが鳴るように制御されている。なお、衝撃センサS1〜S8が、種子の欠粒を検出する欠粒センサとなっている。
【0051】
作業者は、この警報が発せられると、直ぐに、機体を停止させて、異常部分を確認して、それを正して播種作業を再開する。
【0052】
140・140は左右最外側位置に配設された左右整地フロート32,32の底面部に各々装着された左右溝切り装置であって、その上面を各整地フロート32,32の底面に接当させた状態で各整地フロート32,32と共にフロート取付プレート36,36にボルトにて共締めされて固定されている。この左右溝切り装置140・140にて播種作業時に水田圃場に同時に溝が形成されるので、播種作業を終えた後に、圃場の水管理を行う場合に、その溝により圃場の水を容易に排水することができ、また、圃場に水を入れる場合にも圃場全体に水が略均等に迅速に行き渡るので、圃場の水管理作業が容易になる。
【0053】
そして、この左右溝切り装置140・140は、左右整地フロート32,32の底面部で左右整地フロート32,32の機体への取り付け位置に配設(フロート取付プレート36,36にボルトにて共締めされて固定)されているので、播種装置4の重量が掛かり左右溝切り装置140・140による溝の形成が容易で安定した作溝が行える。更に、左右溝切り装置140・140は、各左右整地フロート32,32の左右中央位置に配設されており、従って、溝切り装置140の側方には播種部76に覆土する播種覆土器83が位置することとなり、溝切り装置140が作溝して側方に排出した泥土をこの播種覆土器83が播種部76に覆土する構成となっているので、播種部76に播種された種子に適切に覆土することができ、作業後の発芽及び苗の成育が良好である。
【0054】
次に、播種装置4を圃場面に対して常に水平に維持するローリング制御について説明する。
播種装置4側の主フレーム34の左右両側部に基部が固着された正面視門型フレームBの左右中央上部に一般的な水平センサ100が設けられている。
【0055】
ローリング用電動モータ120は、昇降リンク機構26の縦リンク26cに固定されており、その回転駆動軸121に駆動ギヤ122を固定している。そして、その駆動ギヤ122に噛み合う従動扇ギヤ123を縦リンク26cに枢支軸124にて回動自在に枢支している。一方、従動扇ギヤ123には、回動アーム125が溶接固着され、従動扇ギヤ123と共に上記枢支軸124に回動自在に枢支されている。そして、回動アーム125の上端部と上記播種装置4側の正面視門型フレームBの左右側部との間には、左右バネ126・126が装着されている。
【0056】
そして、圃場にて播種装置4を下降接地させて播種及び施肥作業を行なう場合、泥土面の左右傾斜や凹凸により播種装置4が左右傾斜した時、水平センサ100が播種装置4の左右傾斜を検出して、該検出結果によりローリング用電動モータ120を駆動制御して回動アーム125を左右所定の方向へ回動させて左右バネ126・126を介して播種装置4を水平になるように制御する。例えば、機体正面視で播種装置4の左側が低くなるように傾斜した場合には、ローリング用電動モータ120を駆動制御して回動アーム125の上部が右方向に回動するようにして、播種装置4が水平になる位置まで回動アーム125を回動させる。
【0057】
左右線引きマーカー130・130は、走行機体に基部が固着されたマーカー支持フレーム131の先端部に上下回動自在に枢着されている。そして、この左右線引きマーカー130・130は、圃場内で往復走行して播種作業するときに、作業走行中に未播種側の泥土面に線引きマーカー体130aを滑走させて、次行程作業走行路のセンターラインを線引き作用するものである。
【0058】
乗用型走行車体3の前端部左右中央位置に設けられたセンターマスコット132は、このセンターマスコット132を前行程で線引きマーカー130にて線引きされたセンターラインに合わせて播種作業走行すれば、前行程作業走行時に播種された播種条に対して所定の条間隔で播種作業走行することができる。
【0059】
一方、播種装置4を上動すべく昇降リンク機構26が上動されると左右線引きマーカー130・130は上方に収納された位置となり、播種作業のために播種装置4を下動すべく昇降リンク機構26が下動されると周知の左右選択機構にて左右何れかの選択された側のマーカー130が下動して線引き作用位置となるように構成されている。
【0060】
以上により、この施肥播種機2は、乗用型走行車体3を走行させながら施肥装置1の肥料繰出部41…、播種装置4の種子繰出部71…及び施肥用送風機44、種子放出装置73を作動させることにより、乗用型走行車体3の後方の整地フロート31,31,32,32に設けた施肥部47…から肥料を吐出すると共に前記整地フロート31,31,32,32に設けた播種部76…から種子を吐出し圃場に施肥及び播種を行っていく。この時、種子ホッパ70内の種子を所定量づつ繰り出す種子繰出部71と、該種子繰出部71から繰り出された種子を受けて下方に向けて加速して放出する種子放出装置73と、該種子放出装置73から加速された種子を下方の播種作溝器81に向けて放出する種子案内管75とを設けると共に、上記種子放出装置73を播種作溝器81の上方近くに配置した播種装置4としているので、種子繰出部71から繰り出された種子を播種作溝器81の上方近くに配置した種子放出装置73が一旦受け止めて下方に向けて順次加速して放出し、圃場に種子を間歇的に播種することができて、点播状態での播種作業が良好に行なわれる。しかも、播種作溝器81にて圃場に適切な深さに形成した溝内に点播状態で播種できるので、播種深さが適切な一定の深さでの点播となり、発芽率が向上し然も良好な苗の育成が行なえる。また、適切な点播が行なえるので、風とおしが良くて成育が極めて順調となり茎の太い倒れにくい稲となり、品質の良い米が収穫できる。また、病気や害虫が発生した時にも、苗株は離れているので、急速に病気や害虫が広がることが少なくて、被害の少ない初期段階で殺菌剤や殺虫剤の散布が行なえる。
【0061】
そして、圃場面の凹凸に拘らず、センター整地フロート31・31の前後傾斜姿勢が所定の傾斜姿勢となるよう該整地フロート31・31前部上方の圃場面感知機構38の作動に基づいて前記昇降リンク機構26を回動させ前記センター整地フロート31,31及び左右のサイド整地フロート32,32が圃場面に対して所定の高さに維持されるように播種装置4を昇降制御する。そして、泥土面の左右傾斜や凹凸により播種装置4が左右傾斜した時、水平センサ100が播種装置4の左右傾斜を検出して、該検出結果によりローリング用電動モータ120を駆動制御して回動アーム125を左右所定の方向へ回動させて左右バネ126・126を介して播種装置4を水平になるように制御する。従って、播種装置4を圃場面に対して適切な位置に自動制御にて保持できるので、複数条の播種装置としたにも拘らず全ての播種深さが適切なものとなり、良好な播種作業が行なえる。従って、発芽率も良く、苗の成育も良好なものとなる。
【0062】
そして、特に、前輪14,14・後輪17,17の駆動回転に対して、種子繰出部71の繰り出し体71aの回転と種子放出装置73の放出体73cの回転とを連携させた播種作業機としたものであるから、スロットルレバーによるエンジン回転数の変更や無段変速装置13の変速操作を行う副変速レバー22の変速操作によって前輪14,14・後輪17,17の駆動回転を変更して機体の前進速度を変更させても、機体の前進速度の変更に応じて種子放出装置73の放出体73cの回転数も変更されて、機体の前進速度にかかわりなく一定の間隔で適切な点播が行なえ、良好に発芽して苗の育成は良好である。
【0063】
即ち、機体の前進速度が速くなったのに繰り出し体71aの回転と放出体73cの回転が変わらないと、圃場に種子が点播される間隔(距離)が長くなり株間が広くなってしまい、逆に、機体の前進速度が遅くなったのに繰り出し体71aの回転と放出体73cの回転が変わらないと、圃場に種子が点播される間隔(距離)が短くなり株間が狭くなってしまうのであるが、この実施例によると、機体の前進速度の変更に対応して種子放出装置73の放出体73cの回転数も変更されるので、機体の前進速度にかかわりなく一定の間隔で点播が行なえ発芽した後の苗株の間隔は所望の間隔に揃い、良好な苗の育成が行なえる。
【0064】
次に、この発明を田植機に実施した例を図15・図16に基づき説明する。
乗用型走行車体3は、上記実施例と全く同じであって、6条植えの苗植付部200が昇降リンク機構26の縦リンク26cに対してローリング軸33回りに左右にローリングするように装着されている。施肥装置1は、上記実施例が8条用であるのに対して、このものは6条用である点が異なるが、基本的な構成は同じである。
【0065】
苗植付部200は6条植えの構成で、フレームを兼ねる伝動ケース201、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の後記苗受け板202の苗取出口203…に供給するとともに横一列分の苗を全て下側苗受け板202に供給する苗送りベルト204…等によりなる苗載台205、苗取出口203…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置206…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ207,207等を備えている。苗植付部200の下部には中央にセンターフロート208、その左右両側にサイドフロート209,209がそれぞれ設けられている。これらフロート208,209,209を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート208,209,209が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置206…により苗が植付けられる。各フロート208,209,209は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート208の前部の上下動が上下動検出機構により検出され、その検出結果が制御装置に入力されて苗植付部昇降手段にて前記油圧昇降シリンダ27を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部200を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0066】
そして、上記実施例と同じ溝切り装置140が、センターフロート208の底面部の左右中央部に装着されている。即ち、溝切り装置140の上面をセンターフロート208の底面に接当させた状態でセンターフロート208と共にフロート取付プレート36にボルトにて共締めされて固定されている。この溝切り装置140にて田植作業時に水田圃場に同時に溝が形成されるので、田植作業を終えた後に、圃場の水管理を行う場合に、その溝により圃場の水を容易に排水することができ、また、圃場に水を入れる場合にも圃場全体に水が略均等に迅速に行き渡るので、圃場の水管理作業が容易になる。
【0067】
そして、この溝切り装置140は、センターフロート208の底面部でセンターフロート208の機体への取り付け位置に配設(フロート取付プレート36にボルトにて共締めされて固定)されているので、苗植付部200の重量が掛かり溝切り装置140による溝の形成が容易で安定した作溝が行える。また、フロート取付プレート36はセンターフロート208の回動支点を有しているので、センターフロート208が傾斜しても回動支点の下方に位置する溝切り装置140の変化量は少なくて、作溝深さも安定し良好な作溝が行える。なお、この溝切り装置140は、フロート取付プレート36にボルトにて共締めされて固定されているので、不要な場合は容易に取り外して田植作業を行うこともできる。
【0068】
薬剤散布機210は、センターフロート208の上方に配置して伝動ケース201後端部に装着している。この薬剤散布機210は、薬液を間歇的に圃場に点滴するよく知られた形態の構成であって、前記溝切り装置140にて圃場に形成された溝上に薬液を点滴するようにしている。
【0069】
元来、この種の薬液を間歇的に圃場に点滴する形態の薬剤散布機210は、水田圃場で水の表面に点滴して、水の表面で拡散して圃場全体に薬剤が広がるような散布形態である。ところが、圃場によっては、水の量が少なくて(圃場全体で水が水溜り状に点在したような圃場)、薬剤散布機210にて薬剤を点滴しても殆どが泥土上に落ちて拡散せず、うまく薬液散布が行えない場合がある。そこで、この実施例では、溝切り装置140にて圃場に形成した溝上に薬剤散布機210にて薬液を間歇的に圃場に点滴する構成としているので、圃場に水が少なくても、圃場に形成した溝には少なくとも水がすじ状に溜まるから、少なくともすじ状に圃場全体に広がり、うまく薬液散布が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の施肥播種機の全体側面図である。
【図2】 図1の施肥播種機の全体平面図である。
【図3】 図1の施肥播種機の播種装置の一部断面側面図である。
【図4】 図1の施肥播種機の播種装置の要部平面図である。
【図5】 図4のA−A断面図である。
【図6】 図4のB−B断面図である。
【図7】 図1の施肥播種機の播種装置の要部の拡大一部断面側面図である。
【図8】 図1の施肥播種機の播種装置の要部の拡大背面図である。
【図9】 図1の施肥播種機の播種装置の要部の作用説明用側面図である。
【図10】 図1の施肥播種機の播種装置の要部の作用説明用側面図である。
【図11】 図1の施肥播種機の警報の制御説明図である。
【図12】 図1の施肥播種機の伝動機構図である。
【図13】 図1の施肥播種機の泥土の硬軟を検出する部分の側面図である。
【図14】 図1の施肥播種機の泥土の硬軟を検出する部分の一部断面平面図である。
【図15】 本発明の第2実施例を示す乗用施肥田植機の側面図である。
【図16】 図15の乗用施肥田植機の平面図である。
【符号の説明】
3:乗用型走行車体
4:播種装置
26:昇降リンク機構
32:整地フロート
70:種子ホッパ
71:種子繰出部
73:種子放出装置
75:種子案内管
81:播種作溝器
83:播種覆土器
140:溝切り装置
200:苗植付部
210:薬剤散布機
Claims (1)
- エンジン(5)及び油圧ポンプ(9)を設けた走行車体(3)と、
該走行車体(3)の後方に設けた6条植えの苗植付部(200)と、
表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように前記苗植付部(200)の下部に回動自在に取り付けられて表土面を整地するセンターフロート(208)及びサイドフロート(209)と、
該センターフロート(208)の前端側の上下動を検出する検出機構(38)と、
走行車体(3)と苗植付部(200)の間に位置し、前記検出機構(38)による検出結果に基づいて前記油圧ポンプ(9)からの油圧により油圧バルブを介して伸縮作動する油圧昇降シリンダ(27)と、
苗植付部(200)の前方であって前記油圧昇降シリンダ(27)の後部に接続され前記油圧昇降シリンダ(27)の伸縮により前記苗植付部(200)を昇降させる昇降リンク機構(26)と、
該昇降リンク機構(26)と前記苗植付部(200)間に接続して前記苗植付部(200)を左右方向にローリングさせるローリング軸(33)と、
前記苗植付部(200)の前方に設けた圃場に6条分の施肥を行うための施肥装置(1)と
を備えた農作業機であって、
前記施肥装置(1)は、肥料を貯蔵する肥料ホッパ(40)と、該肥料ホッパ(40)内の肥料を所定量づつ繰り出す肥料繰出部(41)と、該肥料繰出部(41)から繰り出される肥料の移送を案内する案内管(42)並びに各条の肥料案内管(46)と、肥料案内管(46)に接続されたブーツ(48)と、前記案内管(42)に圧力風を供給する施肥エアチャンバー(43)と、該施肥エアチャンバー(43)に圧力風を供給する施肥用送風機(44)と、前記ブーツ(48)に接続され前記整地フロート(208、209)に取付ボルトにより取り付けられた施肥部(47)とを備え、前記施肥エアチャンバー(43)からの圧力風により前記案内管(42)と肥料案内管(46)を介して前記施肥部(47)に肥料を移送する構成を有し、
前記苗植付部(200)は、前記エンジン(5)からの動力を受ける動力伝動ケース(201)と、該伝動ケース(201)上方に設けられた苗を載せる苗載台(205)と、該苗載台(205)に供給された苗を前記動力伝動ケース(201)からの動力により圃場に植付ける動作をする苗植付装置(206)と、次工程における走行車体(3)の進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(207)とを有し、
更に、前記施肥部(47)の前方に設けられ、該施肥部(47)と一体である施肥作溝器(50)と、
前記施肥部(47)の後方に設けられ、前記施肥作溝器(50)が作った溝を埋めて圃場に施肥された肥料に覆土する施肥覆土器(51)と、
前記センターフロート(208)底面部の左右中央部に装着され、圃場面に排水用の溝を形成する溝切り装置(140)と、
前記センターフロート(208)の上方であって前記動力伝動ケース(201)の後端部に設けられ、前記溝切り装置(140)により圃場に形成された溝上に薬液を間歇的に点滴する薬剤散布機(210)と
を設けたことを特徴とする農作業機。
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