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JP4755443B2 - 乗員検知装置 - Google Patents

乗員検知装置 Download PDF

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Description

本発明は、荷重センサの出力値を用いて車両のシートに着座する乗員の状態、特にチャイルドシートが装着されている否かを判定する乗員検知装置に関するものである。
従来、図2に示すように、シート1を支持する支持部3,・・・に荷重センサ4A〜4Dを取り付け、その出力値によって乗員が大人であるか子供であるかまたは空席であるかを判定する乗員検知装置が知られている。
また、特許文献1,2などに開示されているように、シート1上に図3に示されているようなチャイルドシート5が取り付けられているか否かを判定し、チャイルドシート5が取り付けられている場合はエアバッグ(図示せず)の圧力でチャイルドシート5に衝撃を与えることがないように、エアバッグを不展開とする制御をおこなう乗員検知装置も知られている。
この特許文献1,2に開示された装置は、いずれもチャイルドシート5装着後に検出される荷重の変動特性によってチャイルドシート5が装着されているか否かを判定している。
特開2003−237535号公報 特開2001−191830号公報
しかしながら、従来の乗員検知装置ではチャイルドシート5の装着時に手や足で荷重をかけたり、シートベルト6(図3参照)の増し締めをしたり、体重の軽い大人がシート1の片側に寄って着座したりする場合などに誤判定をするおそれがある。
そこで、本発明は、チャイルドシートが装着されているか否かを正確に判定できる乗員検知装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明は、車両のシートを支持する支持部に、前記シート後部の車幅方向外側に設けられる後部外側センサを含めて複数の荷重センサが設けられ、これらの荷重センサの出力値によって前記シート上の乗員状態の判別をおこなう乗員判定部を有する乗員検知装置であって、前記荷重センサの出力値の総和がチャイルドシートの規定荷重範囲内になったときに前記出力値の総和と前記後部外側センサの出力値を初期値として記憶する記憶部と、前記荷重センサの出力値が安定状態にあることを判定する安定判定部と、前記安定判定部によって安定と判定されたときに前記荷重センサの出力値の総和と前記後部外側センサの出力値とを検出して前記記憶部に記憶された前記初期値と比較する比較部とを備え、前記比較部によって出力値の比較をおこなって前記荷重センサの出力値の総和の増加量に比べて前記後部外側センサの出力値の増加量が同等あるいは同等以上であるときに前記乗員判定部は前記チャイルドシートが装着されたと判定する乗員検知装置であることを特徴とする。
ここで、同等とは、2つの値が同程度の大きさであることを指し、どちらの値が小さい場合でも所定の範囲内であれば同等とする。
また、前記比較部において、前記初期値として記憶された前記出力値の総和と前記安定判定部によって安定と判定されたときに検出された出力値の総和とを比較し、その変化量が所定値以下の場合には前記チャイルドシートが装着されたか否かの判定をおこなわないようにすることもできる。
このように構成された本発明は、前記荷重センサの出力値の総和がチャイルドシートの規定荷重範囲内に入った場合にだけチャイルドシートが装着されている否かの判定をおこなう。
そして、チャイルドシートの装着によって顕著に変化する後部外側センサの出力値とすべての荷重センサの出力値の総和の変動量の関係に着目して再度、判定をおこなう。
このため、体重が軽くても大人が着座しているような場合にはチャイルドシート装着の判定をおこなわないので、誤判定することなく正確な判定をおこなうことができる。
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示す本実施の形態による乗員検知装置10は、図2に示すシート1上に図3に示すチャイルドシート5が装着されているか否かの判定をおこなう。
このシート1は、シートクッション部1aとシートバック部1bとから形成され、図2に示すように車室内フロアに平行に固定されたシートレール2,2上に、支持部3,・・・を介して取り付けられている。
また、シート1の前後及び車幅方向の内側及び外側の4箇所の支持部3,・・・には、荷重センサとしての前部内側センサ4A、前部外側センサ4B、後部内側センサ4C、後部外側センサ4Dが取り付けられている。
さらに、支持部3,・・・は、シートレール2,2に沿ってスライド移動できるように構成されており、シート1から支持部3,・・・に伝達される乗員またはチャイルドシート5及びシート1の荷重は、支持部3,・・・を介してシートレール2,2に伝達される。
この荷重センサ4A〜4Dには、歪み式の荷重センサが用いられ、支持部3,・・・に作用した荷重によって生じた歪みに比例した出力値W〜Wが出力される。
このシート1上に装着されるチャイルドシート5は、図3に示すように座部と背凭れの境界付近に、車幅方向に貫通する挿通孔5aを備えており、この挿通孔5aに通したシートベルト6によってチャイルドシート5をシート1に固定する。
この取り付け方法を詳細に説明すると、まず、バックル(図示せず)に嵌め合わせるシートベルト6のタングプレート6cをゆっくりと引っ張ってシートベルト6をセンタピラー(図示せず)の上部から引き出す。
そして、そのタングプレート6cを頂点にしてシートベルト6を二つ折りにし、その根元にロッキングプレート6bを装着する。
次いで、チャイルドシート5の挿通孔5aにタングプレート6cを挿入して、車幅方向内側からタングプレート6cを引き出し、バックル(図示せず)に嵌め合わせる。この状態では、まだチャイルドシート5はシート1上に載せられただけで固定されておらず、チャイルドシート5の重量のみが荷重として追加される。
そして、タングプレート6cをバックルに嵌め合わせた状態でチャイルドシート5を手や膝でシート1に押し付けながらシートベルト6を引き上げると、タングプレート6cと係止部6a間で二つ折りにされた下側のシートベルト6が締め付けられて、チャイルドシート5がシートクッション部1aに押し付けられて固定される。
この状態では、チャイルドシート5の重量に加えて締付け力が荷重として追加される。特に、係止部6aに近接する後部外側センサ4Dの出力値が大幅に増加することになる。
本実施の形態の乗員検知装置10は、図1に示すような荷重センサ(前部内側センサ4A、前部外側センサ4B、後部内側センサ4C、後部外側センサ4D)と、これらの出力値によってチャイルドシート5の装着の有無も含めたシート1上の乗員状態の判別をおこなう乗員判定部11と、規定荷重判定部12において荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsが所定の条件を満たしていると判定されたときに初期値として出力値の総和Ws(0)と後部外側センサ4Dの出力値W(0)を記憶するRAMなどの記憶部15と、荷重センサ4A〜4Dの出力値が安定状態にあるかどうかを判定する安定判定部13と、安定判定部13によって安定と判定されたときに荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Ws(n)と後部外側センサ4Dの出力値W(n)とを検出して記憶部15に記憶された初期値Ws(0),W(0)と比較する比較部14と、各判定をおこなう際の各種閾値を記憶させるEEPROM16とを備えている。
この乗員検知装置10によって装着の有無を判別するチャイルドシート5は、製品によって重量が異なるが、例えば米国法規FMVSS208によって規定されているチャイルドシート5の重量は2.58〜8.48kgの範囲内にあるため、例えば2.0〜9.0kgを規定荷重範囲とすることができる。
そして、荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsがこの規定荷重範囲内にあるか否かを規定荷重判定部12で判定し、その範囲内にあればチャイルドシート5が装着される可能性があるものとして次の処理に移行する。
また、チャイルドシート5の装着時や装着後は、確実にチャイルドシート5をシート1に固定させるために、手や足でチャイルドシート5を押さえ付けたり、シートベルト6を必要以上に引き上げて強く締め付けたり、一旦締め付けた後に増し締めしたりすることがあるため、短時間の間に荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wが大幅に増減する可能性がある。
このためチャイルドシート5の装着時や装着直後の荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wでは、チャイルドシート5が取り付けられたか否かを正確に判断することができないため、荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wが安定するまで判定を先送りする。
この荷重センサ4A〜4Dの出力値が安定したかどうかを判定するのが安定判定部13であり、例えば安定していると判断できる幅をEEPROM16に許容幅として記憶させておき、各荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wが一定時間、許容幅の範囲に収まっていることが確認できれば出力値が安定したと判定させる。
さらに、比較部14では、チャイルドシート5のシートベルト6による締付け前後の荷重変動量に着目して、チャイルドシート5の装着の有無を判定する。
図4及び図5には、(a)チャイルドシート5を載せた状態(締付け前)の荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜W,Wsと、(b)チャイルドシート5をシートベルト6で締め付けた状態(締付け後)の荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜W,Wsとを示した。
また、図4(a)は、シート1を車両後方にスライド移動させて最後方の位置に合わせて、締付け前の各荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wとその総和Wsを示した図であり、図4(b)は締付け後の出力値W〜Wと総和Wsを示した図である。ここで、図4(a)の縦軸は0.0〜3.5kgの範囲とし、図4(b)の縦軸は-5.0〜20.0kgの範囲とした。
この2つの図を比較すると、締付け前は後部外側センサ4Dの出力値W(=1.1kg)は他の出力値と同程度の値であるが、締付け後に出力値W(=13.0kg)は他の出力値に比べて大幅に増加し、この増加量(13.0−1.1=11.9kg)は総和Wsの増加量(17.0−3.3=13.7kg)よりも小さいもののほぼ同程度の大きな値となっていることがわかる。
また前部外側センサ4Bの出力値Wも増加していることから、シートベルト6の締付けによってチャイルドシート5が車両外側に押し付けられていることがわかる。
これに対して図5は、シート1を車両前方にスライド移動させて最前方の位置に合わせたときの各荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wとその総和Wsを示した図である。
この2つの図を比較すると、図5(a)に示した締付け前の後部外側センサ4Dの出力値W(=0.9kg)は、他の出力値と同程度の値であるが、図5(b)の締付け後には大幅に増加(W=17.5kg)し、その増加量(17.5−0.9=16.6kg)は総和Wsの増加量(17.0−3.6=13.4kg)よりも大きな値となっていることがわかる。
これは、シートベルト6の締付けによって、チャイルドシート5が車両後方外側に傾いて、後部外側センサ4Dの対角線上にある前部内側センサ4A付近が浮き上がり、出力値Wがマイナスとなって総和Wsが後部外側センサ4Dの出力値Wよりも小さくなったためである。
このように、チャイルドシート5のシートベルト6による締付け前後の荷重の変化量をみると、シート1が最後方の位置にある場合も最前方の位置にある場合も、後部外側センサ4Dの出力値Wの増加量はすべての荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsの増加量と同等あるいはそれ以上となっているので、いずれのシート1の位置でチャイルドシート5を装着してもこの出力値の傾向は変わらないものといえる。
そして、この乗員判定部11によってチャイルドシート5が装着されていると判定されたときは、エアバッグ制御部17に信号が送られて、エアバッグ19の展開が停止されると共に、乗員状態表示ランプ18が点灯してチャイルドシート5が装着されたと判定されたことが乗員に知らされる。
次に、図6に示したフローチャートを参照しながら、上記した乗員検知装置10の作用について説明する。
乗員が車両のドア(図示せず)を開けたときに発生するドア開信号、あるいはシートベルト6のタングプレート6cをバックル(図示せず)に挿入したときに発生するバックルオン信号を検出した後に、荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの検出を開始する。
チャイルドシート5を装着する際に、タングプレート6cをバックルに挿入するのは、チャイルドシート5をシート1上に載せて挿通孔5aにシートベルト6を通した後であるため、この時点でチャイルドシート5の重量を検出することができる。
一方、大人の乗員がシート1に着座してタングプレート6cをバックルに挿入した場合は、チャイルドシート5の重量よりも大きな荷重が最初に検出されることになる。
そこで、ステップS1では、荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsがチャイルドシート5の規定荷重範囲(例えば2.0〜9.0kg)内であれば、チャイルドシート5をシート1上に載せた可能性があるものとして、その時点の出力値を初期値(総和Ws(0)、後部外側センサ4Dの出力値W(0))として記憶部15に記憶させる(S2)。
また、チャイルドシート5を装着する場合は、シートベルト6の締付け作業がおこなわれ、その間は各荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wは頻繁に変動することになるので、各出力値W〜Wが一定時間、EEPROM16に記憶させた許容幅の範囲に収まっていることが確認できれば、各出力値W〜Wが安定し(S3)、この時点(n)の各出力値W〜Wの総和Ws(n)と後部外側センサ4Dの出力値W(n)の検出をおこなう(S4)。
そして、記憶部15に記憶された総和Ws(0)にEEPROM16に記憶させた閾値Wthを加えた値と総和Ws(n)とを比較し、総和Ws(n)の方が大きい場合はチャイルドシート5に締付け力が付与されたとして次の処理に進む(S5)。
さらに、ステップS6では、総和の増加量(Ws(n)−Ws(0))と後部外側センサ4Dの出力値の増加量(W(n)−W(0))とを比較して、後部外側センサ4Dの出力値の増加量が総和の増加量と比べて同等以上であればチャイルドシート5が装着されたと判定し(S7)、それ以外はチャイルドシート5が装着されていないものとして、シート1に大人が着座しているのか、子供が着座しているのか、又は空席であるのかをステップS8で判定する。
以上において説明した本実施の形態では、荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsがチャイルドシート5の規定荷重範囲内に入った場合にだけチャイルドシート5が装着されている否かの判定をおこなう。このため、誤判定が発生する可能性を低減することができる。
また、チャイルドシート5の装着によって顕著に変化する後部外側センサ4Dの出力値Wとすべての荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsの変動量の関係に特化して着目することで、少ない処理で正確な判定をおこなうことができる。
さらに、体重の軽い大人がシート1の車外側に片側に寄って着座した場合や腕を付いて着座した場合など、変動量のみで判定をおこなった場合に誤判定の原因となるおそれのあるような場合でも、荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsが規定荷重範囲内に入ることを条件に加えているため、どのような使用状態であっても誤判定をおこなう可能性が極めて低い。
また、図4、図5に示したように、シート1の位置によって後部外側センサ4Dの出力値Wとすべての荷重センサ4A〜4Dの出力値W〜Wの総和Wsの関係が異なるので、これらの出力値W,Wsからシート1の位置を推定することができる。
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、安定判定部13は各荷重センサ4A〜4Dの実際の出力値W〜Wから安定しているか否かの判定をしたが、これに限定されるものではなく、安定判定部13をタイマーによって構成し、記憶部15に初期値を記憶した時点から所定時間が経過したときには荷重センサ4A〜4Dの出力値が安定しているという前提で時間の経過を判定基準にするものであってもよい。
また、前記実施の形態では、荷重センサ4A〜4Dの数を4箇所にしたが、これに限定されるものではなく、少なくともシート1後部の車幅方向外側に後部外側センサ4Dが設けられていれば、他の荷重センサの数、取り付け位置は任意に設定することができる。
さらに、前記実施の形態では、荷重センサ4A〜4Dとして歪み式荷重センサを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば液圧式の荷重センサを使用することもできる。
本発明の最良の実施の形態の乗員検知装置の構成を説明するブロック図である。 シートと荷重センサの位置関係を示した斜視図である。 シート上にチャイルドシートを載せた状態を示した斜視図である。 シート位置が最後方のときの各荷重センサの出力値を示した図であり、(a)はシートベルトによる締付け前、(b)はシートベルトによる締付け後の図である。 シート位置が最前方のときの各荷重センサの出力値を示した図であり、(a)はシートベルトによる締付け前、(b)はシートベルトによる締付け後の図である。 乗員検知装置の処理の流れを示したフローチャートである。
符号の説明
1 シート
3 支持部
4A 前部内側センサ(荷重センサ)
4B 前部外側センサ(荷重センサ)
4C 後部内側センサ(荷重センサ)
4D 後部外側センサ(荷重センサ)
5 チャイルドシート
10 乗員検知装置
11 乗員判定部
12 規定荷重判定部
13 安定判定部
14 比較部
15 記憶部
〜W 出力値
Ws 出力値の総和

Claims (2)

  1. 車両のシートを支持する支持部に、前記シート後部の車幅方向外側に設けられる後部外側センサを含めて複数の荷重センサが設けられ、これらの荷重センサの出力値によって前記シート上の乗員状態の判別をおこなう乗員判定部を有する乗員検知装置であって、
    前記荷重センサの出力値の総和がチャイルドシートの規定荷重範囲内になったときに前記出力値の総和と前記後部外側センサの出力値を初期値として記憶する記憶部と、前記荷重センサの出力値が安定状態にあることを判定する安定判定部と、前記安定判定部によって安定と判定されたときに前記荷重センサの出力値の総和と前記後部外側センサの出力値とを検出して前記記憶部に記憶された前記初期値と比較する比較部とを備え、前記比較部によって出力値の比較をおこなって前記荷重センサの出力値の総和の増加量に比べて前記後部外側センサの出力値の増加量が同等あるいは同等以上であるときに前記乗員判定部は前記チャイルドシートが装着されたと判定することを特徴とする乗員検知装置。
  2. 前記比較部において、前記初期値として記憶された前記出力値の総和と前記安定判定部によって安定と判定されたときに検出された出力値の総和とを比較し、その変化量が所定値以下の場合には前記チャイルドシートが装着されたか否かの判定をおこなわないことを特徴とする請求項1記載の乗員検知装置。
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