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JP4753922B2 - 化粧料用原料 - Google Patents

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本発明は、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン形成抑制能およびコラーゲン合成促進能を有する化粧料用原料に関する。
従来、皮膚外用剤にプロテオグリカンが利用されてきた。例えば、プロテオグリカン抽出液にL−アスコルビン酸リン酸塩を配合した美白化粧料が知られている(特許文献1)。また、皮膚外用剤に用いられるプロテオグリカンとして、サメ軟骨由来のプロテオグリカンを得る方法が知られている(特許文献2)。従来使用されていた牛、豚等の高等動物由来のプロテオグリカンと比べ、サメ軟骨由来のプロテオグリカンは透明性が高く、皮膚外用剤の原料として有効であり、シミ、皺、タルミの改善を目的として、このサメ軟骨由来プロテオグリカンにメラニン生成抑制剤や活性酸素消去作用を有する生薬抽出物を組み合わせることが知られている(特許文献3)。
また、酸化防止剤として、サレン−金属錯体を用いることが知られている(特許文献4)。
皮膚外用剤、特に化粧料において求められる効果は、基本的には実際の年齢より若くみせたいという要求を叶えることである。年齢が高く見える理由には、シミもあるが、皺やタルミが占める割合が高い。皺やタルミの原因として、活性酸素の作用によりDNA中のグアニン塩基が酸化損傷を受けることによる8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(以下、「8−OHdG」という)の形成や、細胞外マトリックス成分であるコラーゲンの減少などが挙げられる。
しかし、8−OHdG形成を抑制すると共にコラーゲン合成を促進することができる化粧料用原料は知られておらず、また、この化粧料用原料を用いて、皺やタルミを減少させて肌荒れ改善効果に優れた化粧料は知られていない。
特開平4−210614号公報 特開2003−246740号公報 特開2003−300858号公報 特表平8−504211号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、特に肌の皺やタルミなどの改善を目的として、8−OHdG形成抑制能およびコラーゲン合成促進能を有する化粧料用原料の提供を目的とする。
本発明の化粧料用原料は、サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンとエチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドとを含むコラーゲン合成促進能および8−OHdG形成抑制能を有することを特徴とする。
さらに1種以上のアミノ酸を配合することを特徴とする。上記アミノ酸がグリシン、グルタミン酸、およびアルギニンから選ばれた少なくとも1つのアミノ酸であることを特徴とする。
本発明の化粧料用原料は、サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンと、サレン金属錯体であるエチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドとを含む。これら2成分を合わせることにより、抗酸化成分である後者の活性酸素を無害化する作用と、前者のマトリックスメタロプロテアーゼ活性を阻害する作用が相乗効果をもたらし、それぞれ単独に用いたものと比較して、優れた8−OHdG形成抑制能を有すると共にコラーゲン合成促進能を有する化粧料用原料が得られる。さらにアミノ酸を配合するので、8−OHdG形成抑制能およびコラーゲン合成促進能が更に向上する。
その結果、この化粧料用原料を配合した化粧料は肌荒れ改善効果が非常に高く、皺に対して非常に有効性が高い。
上記課題に対して研究の結果、サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンとエチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドを配合することで問題を解決できた。
プロテオグリカンは蛋白質コアに 100〜200 本のムコ多糖が結合した物質であり、軟骨、皮膚などの結合組織中に存在し、これらの組織構造を維持するために必要な物質である。皮膚外用剤には牛、豚より得られたプロテオグリカンも利用されているが、サメの軟骨より得られたプロテオグリカンの方がマトリックスメタロプロテアーゼ活性を阻害する効果が高かった。本発明の化粧料用原料に使用できるサメの種類に限定はなく、軟骨魚綱に属するサメであればよいが、実際には漁獲高が多く、他の用途にも利用され、漁法が確立しているヨシキリザメ、ネズミザメ、アオザメ等を利用することが多い。これらのサメはその鰭の部分に軟骨が多く、抽出も容易であるが、他のサメや他の部位を用いても問題はない。サメ軟骨からのプロテオグリカンの抽出は常法に従って実施することができる。なお、抽出により得られるプロテオグリカンの純度は特に問題にならないので用途や用法によってその程度を選択することができる。
サメ軟骨よりプロテオグリカンを得る方法を例示すれば、サメの鰭を細断し、水、水と低分子アルコール、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸グアニジン等の塩の1種または混合物を加えた液を用いて抽出する。
さらに、必要に応じて濃縮、脱塩、脱色、溶媒除去、乾燥(噴霧、凍結)、分子量分画、タンパク分解酵素処理等を行なう。
また、サメ軟骨のプロテオグリカンは化粧品原料として市販されているものを用いることができる。
サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンの配合量は用途等によって変化するが、本発明の化粧料用原料全量に対して、固形分として 0.0001〜10 重量%、好ましくは 0.001〜5 重量%配合する。
サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンに加えて、エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドを配合する。
エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドは、化学名 Chloro[[2,2'-[1,2-ethanediylbis[(nitrilo-κN)methylidyne]]bis[6-methoxyphenolato-κN]]]-manganese で、市販品としては、ATRIUM社製 商品名 EUK−134などを利用できる。
エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドの配合量は、本発明の化粧料用原料全量に対し、0.00001〜1.0 重量%、好ましくは 0.0001〜0.1 重量% 配合する。
エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドは、スーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼのような働きがあり、傷害性の高い活性酸素や中間生成物でもある過酸化水素を生体に無害な水と酸素に変換することができ、非常に強い活性酸素消去効果が得られる。また、自己再生特性機能を有し、上記効果を持続して得ることができる。さらには広義の活性酸素である一酸化窒素等の消去作用も有する。
エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドにサメ軟骨より抽出したプロテオグリカンを加えると、エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドがもつ遺伝子損傷抑制効果(8−OHdG形成抑制)およびコラーゲン合成促進作用が相乗的に強化された。
さらに、アミノ酸を配合するとより効果を発揮する。アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンのような中性アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸のような酸性アミノ酸、リシン、アルギニン、ヒスチジンのような塩基性アミノ酸が挙げられる。これらの中でグリシン、グルタミン酸、およびアルギニンが好ましい。本発明の化粧料用原料では、これらの1種以上を配合する。本発明者らが検討した結果、複数の種類のアミノ酸を混合して用いると効果が高くなることが判明した。特に、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸のそれぞれ1種以上を配合すると非常に効果的なことがわかった。また、大豆やコラーゲン等の加水分解物のようにアミノ酸が混合させた状態の原料を用いることもできる。
サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のうち、MMP−2,MMP−9の活性を阻害する。これらの酵素はVII型コラーゲンやエラスチン等の分解に関与しており、皮膚の細胞外マトリックスを萎縮させる酵素である。これは動物性コラーゲナーゼと呼ばれるが、このほかにも細菌性コラーゲナーゼが存在し、これらに対してアミノ酸が有効であることが知られている。また、サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンとアミノ酸を組み合わせることにより、多くの種類のマトリックスメタロプロテアーゼの作用を抑制し、皮膚のマトリックスであるコラーゲンの合成を促進して、コラーゲンの維持や強化を行ない、皺の予防、減少、タルミの防止等を効果的に行なうことができる。
エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドおよびサメ軟骨より抽出したプロテオグリカンに、さらにアミノ酸を配合することによって、8−OHdG形成抑制能、および特にコラーゲン合成促進作用が相乗的に効果を増すことが本発明者によって見出された。
アミノ酸の配合量は、用途、用法によって大きく異なるので、一概には示すことはできないが、本発明の化粧料原料全量に対し、0.1〜5 重量%程度配合されることが好ましい。
上述した化粧料用原料のほかに必要な原料を加えて、化粧料を作製する。その中で、他の有効性物質、例えば、アスコルビン酸およびその誘導体、ビタミンAおよびその誘導体、類似体、ヒアルロン酸およびその塩、各種植物抽出物等を併用することは本発明の付加価値を高めるので配合することがより好ましい。
また本発明の化粧料は、用途等によって、クリーム、乳液、ローション、パック、スプレー、ジェル等任意の剤型より選択することは、なんら問題はない。また、医薬品、医薬部外品、化粧品のいずれでもよく、皮膚に適用するものであれば、入浴剤、ファンデーション等の形態をとってもよい。
以下に実施例を記載するが、当然これに限定させるものではない。なお、以下表中の配合量は重量部で表した。
実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4
表1および表2に示す原料を、表1および表2に示す配合割合で攪拌混合し、化粧料用原料を得た。なお、サメ軟骨抽出液はAETERNA社製 商品名 MDICOMPLEX(有効成分含量: 0.4 重量%)を用いた。また、エチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドとして、ATRIUM社製 商品名 EUK−134(有効成分含量: 95 重量%以上)を用いた。
得られた化粧料用原料を用いて、以下に示す8−OHdG形成抑制試験およびコラーゲン合成促進試験を行なった。
Figure 0004753922
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試験1 8−OHdG形成抑制試験
ヒト由来のケラチノサイト培養細胞を使用し、上述の実施例1〜4および比較例1〜4の化粧料用原料を用いて、8−OHdG形成抑制効果を調べた。
各実施例および比較例の化粧料用原料の最終濃度が 0.01 %または 0.1 %になるようにした培地で4日間培養した。その後、それぞれ 0 mJ/cm2(未照射)、50 mJ/cm2、100 mJ/cm2 の紫外線を照射し、ケラチノサイトからDNAを抽出し、イムノドットブロット法を用いて、8−OHdG形成率を測定した。
また、同様に育成した培養細胞をホルマリン固定後、1 %クリスタルバイオレット溶液に添加し染色した。各化粧料用原料の各濃度に対する細胞育成率を、モノセレーター(オリンパス社製)で測定した。
これらの結果を表3〜表10に示す。表中、数値は8−OHdG形成率を、また括弧内の数値は細胞育成率を示し、いずれも実施例(または比較例)を含まない紫外線量が0 mJ/cm2(未照射)のときを1として表示した。
Figure 0004753922
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実施例1〜4の化粧料用原料を用いた培地で培養した細胞では比較例を用いた細胞に比べて、紫外線量を増大しても8−OHdG形成が行なわれにくく、優れた8−OHdG形成抑制効果がみられた。また、実施例1〜4を用いた培地で培養したものは比較例を用いたものに比べて、紫外線量を増大しても細胞育成率の低下率が低く、細胞育成能の劣化についても抑制効果がみられた。
試験2 コラーゲン合成促進試験
ヒト皮膚線維芽細胞(ATCC CCL 110)を用い、96穴プレートにヒト皮膚線維芽細胞を 5000 cells/well 播種し、10 %ウシ胎仔血清を含むEagle's MEM培地にて、37 ℃、5 % CO2条件下でコンフルエントの状態になるまで4日間培養した。これに実施例1〜4および比較例1〜4を、培養濃度を 1.0 %となるように調整した無血清のEagle's MEM( 50 μg/ml L−アスコルビン酸、50 μg/ml β−アミノプロピオニトリル、18.5 KBq 3H−プロリン含有)に交換し、24時間培養した。その後、直ちに各 well にペプシン溶液を加えインキュベーションした後、3H−プロリン標識されたコラーゲンを抽出した。塩析により精製した後、コラーゲンタンパク中の放射活性を液体シンチレーションカウンターにより測定した。各試料とも 5 well ずつ測定し、試料無添加のものをコントロールとして用い、これを1としてコラーゲン合成促進倍率を表した。結果を表11に示す。
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実施例1〜4では、比較例に比べ、コラーゲン合成促進倍率において良好な結果を得た。特に、アミノ酸であるグリシン、グルタミン酸およびアルギニンの3種全てを使用した実施例4では、優れたコラーゲン合成促進能を有していた。
実施例5〜実施例8および比較例5〜比較例6
表12および表13に示す配合で、A成分とB成分とをそれぞれ計量し、それぞれを 70 ℃まで加温して、B成分にA成分を攪拌しつつ徐々に加えたのち、ゆっくり攪拌しつつ 30 ℃まで冷却して化粧料を得た。
得られた化粧料を用いて、以下に示す肌荒れ改善試験を行なった。
Figure 0004753922
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試験3 肌荒れ改善試験
ハイドロフィリック エクザフレックス親水性ビニルシリコーン印象材を用いて、女性健常人の顔面の皮膚表面形態のレプリカを取り、実態顕微鏡にて観察した。表14に示す基準に従って肌荒れ評価4と5と判断された者60名を3班に分け、顔面左右半々に、実施例および比較例を1日2回ずつ1ヶ月間塗布した。
1ヶ月後、再び上記のレプリカ法によって顔面の皮膚表面形態を観察し、表14の判定基準に従って評価した。第1班の結果を表15に、第2班の結果を表16に、第3班の結果を表17に示す。
Figure 0004753922
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本発明の化粧料用原料は、8−OHdG形成抑制能およびコラーゲン合成促進能を有するため、肌荒れ改善効果の非常に高い化粧料を得ることができ、クリーム、乳液、ローション、パック、スプレー、ジェル、入浴剤、ファンデーション等の化粧品、医薬品、または医薬部外品として好適に利用できる。

Claims (4)

  1. サメ軟骨より抽出したプロテオグリカンとエチルビスイミノメチルグアヤコールマンガンクロリドとを含むコラーゲン合成促進能および8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン形成抑制能を有する化粧料用原料。
  2. さらに1種以上のアミノ酸を配合することを特徴とする請求項1記載の化粧料用原料。
  3. 前記アミノ酸が、グリシン、グルタミン酸、およびアルギニンから選ばれた少なくとも1つのアミノ酸であることを特徴とする請求項記載の化粧料用原料。
  4. 前記アミノ酸が、グリシン、グルタミン酸、およびアルギニンであることを特徴とする請求項記載の化粧料用原料。
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