JP4753167B2 - ポリイミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、銅箔を代表とする金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体として使用されるか、またはフレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルムとして使用されるのに適したポリイミドフィルム及びその製造方法に関する。より具体的には、フィルム表面に付着する欠点が改善されたポリイミドフィルムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドフィルムは高耐熱性、高電気絶縁性を有することから耐熱性を必要とする電気絶縁素材として広範な産業分野で使用されており、特に銅箔が積層された電気配線板の支持体としての用途においては例えばIC等の電気部品と銅箔との接続にはんだを使用することができ、電気配線の小型軽量化が可能となった。これに伴い、フレキシブル印刷回路基板は、その使用に範囲が広がり、ポリイミドフィルムの需要も伸びている。しかしながら電気配線板の用途の多様化と共に配線数の高密度化の進展に伴って電気絶縁支持体としての性能の向上及び加工性改善の要求が高まってきた。ポリイミドフィルムは従来より、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、略等モル、有機極性溶媒中で重合したポリアミド酸溶液をキャスティングドラム、ベルトの支持体上に押出しにより口金からキャストして、加熱し、化学的または、熱的に閉環または、乾燥して自己支持性を備える程度に固化させた後、キャスティングドラム又はエンドレスベルトからフィルム状の樹脂を剥離させてテンターで加熱、延伸、熱処理され製造されていた。
【0003】
しかし、ポリイミドフィルム表面の欠点の生成は、その大部分がフィルム中に存在するポリマー変性成状物やイミド化変性状物に起因した突起物と穴と気泡であり、フィルム表面欠点となる問題があった。
【0004】
ポリマー変性状物とはポリイミドの前駆体であるポリアミド酸重合中に発生する高粘度ゲル状物であり、イミド変性状物とは、重合完了後のポリアミド酸溶液に脱水剤と脱水触媒を混合時発生する部分イミド化した不溶性ポリアミド酸である。 ポリイミドフィルムは、耐熱フレキシブル印刷回路(FPC)等の電子部品などに使用される場合は、耐熱接着剤をポリイミドフィルム表面に塗布すると塗布ムラ、接着剤ハジキとなり、歩留まりの低下をきたしていた。
【0005】
一方、特開昭62−156132号には、100ポイズ以下の低粘度重合液を金属短繊維焼結金属フィルターで異物を除去する例が示されているが、この例では、溶媒中の異物や微少なポリマー変性状物を除去には有効であるもの、300ポイズ以上の粘度で発生する高粘度ポリマー変性物除去には効果がなく、FPC等の歩留まり改善効果がない。また、特開平5−154892号では熱可塑性ポリイミド樹脂の押し出し成形に空孔径が3μm〜50μmの金属焼結フィルターを用いる例があるが、熱可塑性ポリイミドフィルムは、はんだ耐熱性が悪く不十分であり、かつ金属粉末燒結金属フィルターを使用していなく、ポリマー変性状物の除去には有効でない。欠点の少ないポリエステルフィルムが、フレキシブルプリント回路に使用されることもあるが、はんだ耐熱性が悪く不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかるポリイミドフィルムの問題点を根本的に解決し、従来のポリイミドフィルとは異なるフィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点が改良されたポリイミドフィルムとその製造法を提供するものである。
【0007】
すなわち、本発明はフィルム表面上の下記測定方法で測定した欠点の密度が、6.0×10-3個/m2以下であり、ポリイミドのアミン成分がパラフェニレンジアミンを含んでいることを特徴とするポリイミドフィルムであり、また、アミン成分としてパラフェニレンジアミンを含み、20℃における粘度が100ポイズ以上であるポリアミド酸溶液を押し出して、化学的、熱的に閉環してポリイミドフィルムを製膜する過程において、フィルターとして目開きが1〜30μm、空隙率が25〜80%の金属粉末焼結金属フィルターを用いてポリアミド酸溶液を濾過後、脱水剤、脱水触媒を混合し、さらに目開きが2〜35μmのフィルターを用いて濾過後口金から押し出して製膜することを特徴とする上記ポリイミドフィルムの製造方法である。
【0008】
本発明の方法を持ちいて製造されたポリイミドフィルムの表面上のポリマー変性状物とイミド化変性状物起因による欠点を、6.0×10-3個/m2以下以下にすることにより、フレキシブルプリント回路で問題となる接着剤はじきの発生が大幅に減少し、歩留まりが改善できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因による欠点の密度とは、フィルム上に現れる突起及び穴の数の密度であり、次のようにして測定できる。
<欠点の密度の測定方法>
白熱光又は偏光をフィルム表面に当て、少なくとも170m2以上の表面上に存在する長径300μm以上の突起物と長径さ75μm以上の穴と気泡の数を表面検査装置でカウントし、この数を欠点の数として、欠点の密度を計算する。
【0010】
本発明においてはこの欠点の密度が、6.0×10-3個/m2以下であることが必要である。
【0011】
本発明におけるポリイミドの先駆体であるポリアミド酸は芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とからなり次の式1に示される繰り返し単位で構成されものである。
【0012】
【化1】
上記式においてR1は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基で、その炭素数は25以下であるものとしてR1に結合する2つのカルボキシル基の夫々はR1における芳香族環のアミド基が結合する炭素原子とは相隣接する炭素原子に結合しているものであり、またR2は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基で、その炭素数は25以下であるものとし、アミノ基はR2における芳香族環の炭素原子に結合しているものである。
【0013】
上記の芳香族テトラカルボン酸類の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジンー2,3,5,6−テトラカルボン酸及びこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。ポリアミド酸の製造にあたってはこれらの酸無水物が好ましく使用される。
【0014】
上記の芳香族ジアミン類の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニル)ベンゼン及びこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。中でも、少なくともパラフェニレンジアミンを含有させることが好ましい。
【0015】
本発明で使用される有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなども有機極性アミド系溶媒が挙げられ、これらの有機溶媒は単独で、又は2つ又はそれ以上を組み合わせて使用しても、又はベンゼン、トルエン、キシレンのような非溶媒と組み合わせて使用してもよい。本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は固形分を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%を含有しており、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定値で500〜20000ポイズ、好ましくは、1000〜10000ポイズのものが安定した送液のために好ましい。また有機溶媒溶液中のポリアミド酸は部分的にイミド化されてもよく、少量の無機化合物を含有してもよい。
【0016】
本発明において芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とはそれぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるかその一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されてもよい。重合反応は有機溶媒中で攪拌そして/または混合しながら0〜80度の温度の範囲で10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。重合反応中に真空脱法することは良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御することを行ってもよい。
【0017】
本発明で使用される閉環触媒の具体例としてはトリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン、及びイソキノリン、ピリジン、ベータピコリン等の複組環第3級アミンがあげられるが、複組環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種類のアミンを使用するのが好ましい。
【0018】
本発明で使用される脱水剤の具体例としては無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物があげられるが無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。
【0019】
ポリアミド酸に対する閉環触媒及び脱水剤の含有量は次の式1、2
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
となるようにするのが好ましい。またアセチルアセトン等のゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0022】
ポリアミド酸の有機溶媒からポリイミドフィルムを製造する方法としては、閉環触媒及び脱水剤を含有しなポリアミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとなしたる後、支持体より剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法、及び閉環触媒及び脱水剤を含有せしめたポリアミド酸の有機溶媒をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学閉環法が代表的な方法である。本発明では、どちらの閉環方法を採用してもよいが、化学閉環法はポリアミド酸の有機溶媒溶液に閉環触媒および脱水剤を含有設備を必要とするが、自己支持性を有するゲルフィルムが短時間で得られるのでより好ましい。
【0023】
ポリアミド酸に閉環触媒及び脱水剤を含有せしめる方法としては、ポリアミド酸の有機溶媒溶液と閉環触媒及び脱水剤を回転式混合機で混合する方法、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を静的混合機に送り込みながら該静的混合機の直前で閉館触媒及び脱水剤を注入する方法、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延した後閉環触媒及び脱水剤に接触させる方法等があげられるが、閉環触媒及び脱水剤の含有量及びその均一性の面から混合機で混合して閉環触媒と脱水剤とポリアミド酸の有機溶媒溶液との混合液をスリット状口金に送り込む方法が好ましい。該混合液の粘度が100〜10000ポイズとなるように固形分濃度と温度を調整する必要がある。該混合液はポリアミド酸が熱閉環反応し粘度が著しく高くなり口金から吐出できなくなる性質を持っているため、低温(例えば−10℃)に保持する必要がある。
【0024】
該混合液はスリット状口金を通ってフィルム状に成型され、加熱された支持体上に流延され、支持体上で熱閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。支持体は金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体または気体の熱媒により、および/または電気ヒーター等の輻射熱により制御される。
【0025】
ゲルフィルムは支持体からの受熱および/または熱風や電気ヒータ等の熱源からの受熱により30〜200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離される。
【0026】
支持体から剥離されたゲルフィルムは回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向に延伸されるのが好ましい。延伸は140℃以下の温度で1.05〜1.9倍、好ましくは、1.1〜1.6倍、さらに好ましくは、1.1〜1.5倍の倍率で実施される。
【0027】
走行方向に延伸されたゲルフィルムは、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方向へ延伸される。乾燥ゾーンで、ゲルフィルムは、乾燥される。
【0028】
以下、本発明の濾過方法を説明する。
【0029】
本発明で使用するフィルターは、金属粉末を均一に積層焼結されたものであり、目開きが1〜30μmの範囲にあることが好ましく、そして空隙率が25〜80%の範囲にあることが好ましい。目開きが1μm以下では、フィルターの圧力損失が大きくなりすぎて、生産性が低下する。また目開きが30μmを超えるとポリマー変性状物の除去が悪くなり、欠点の減少に効果がない。金属粉末は、耐腐食性のあるものであれば良いが、ステンレス綱やハステロイ系等が好ましい。更に、フィルター形状は、スクリーン型、リーフ型、ペンシル型等、押し出しの形態やゲル量やフィルターの寿命に応じて選ぶことができる。また、金属粉末焼結金属フィルター前後に他の種類のフィルター、例えば金属短繊維金属フィルターを組み合わせて使用してよい。金属短繊維燒結金属フィルターは、繊維を焼結しているため、高粘度のポリアミド酸溶液を濾過した場合にフィルターの濾圧が高くなり、金属繊維で形成された網状構造が変形して、ポリマー変性状物のように柔軟な構造を持つものを通してしまうが、金属粉末焼結金属フィルターは、微細な粉体が3次元編み目構造状に結合しているため、金属繊維に比べ、高圧で変形することなく、ポリマー変性状物を破砕、捕捉してしまい、ポリアミド酸溶液のポリマー変成状物の除去には有効である。ポリマー濾過方法は、粘度100〜10000ポイズのポリアミド酸溶液の濾過に金属粉末焼結金属フィルターを使用する。好ましくは、重合完了後の500〜10000ポイズのアミド酸溶液を金属粉末焼結金属フィルターで濾過する。重合完了前の100ポイズ未満の低粘度のアミド酸溶液を濾過すると、その後の重合で高重合なポリマー変性状物が形成されるので効果がない。
【0030】
また、化学閉環プロセスでは、脱水剤、脱水触媒等を混合して口金から支持体にキャストされるため、ポリアミド酸溶液を金属粉末焼結金属フィルターで濾過後、脱水剤と脱水触媒等を混合後口金の間で、目開きが2〜35μmのフィルターを用いて濾過することが好ましい。この工程では、イミド化が進行してイミド変性状物が発生する。フィルターについては、耐腐食性のあるものであれば良いが、ステンレス綱やハステロイ系等が好ましい。目開きが2μm以下では、フィルターの圧力損失が大きくなりすぎて、生産性が低下する。また目開きが35μmを超えるとイミド変性状物の除去が悪くなり、欠点の減少に効果がない。フィルターの形式は、金属繊維焼結金属、金属粉末焼結金属どちらのタイプでも良い。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例の説明の前に実施例において使用する評価法を説明する。
<欠点の密度の測定方法>
白熱光又は偏光をフィルム表面に当て、市販のフィルム検査装置(ヒューテック社製)を用いてフィルムを走行させ、少なくとも170m2以上の表面上に存在する長径300μm以上の突起物と長径さ75μm以上の穴と気泡の数を表面検査装置でカウントし、この数を欠点の数として、欠点の密度を計算した。
【0032】
実施例1
乾燥したN、N−ジメチルアセトアミド1900.6kg中に4,4’−ジアミノジフェニールエーテル200.024kg(1kmol)を溶解し、20℃で攪拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物218.12kg(1kmol)を少量ずつ添加し、1時間攪拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は、20℃で3500ポイスの粘度であった。このポリアミド酸溶液を第1フィルターとして20μmの目開きで空隙率36%の金属粉末焼結金属フィルターで濾過後、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5mol、ピリジンをポリアミド酸単位に対して2.0molを冷却しながら混合し、第2フィルターとして20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターで濾過後ポリアミド有機溶媒溶液を得た。このポリアミド酸の有機溶液を−10℃に冷却して、定量供給して製膜した。口金スリット幅は、1.3mm、長さ1800mmのTダイから押し出した。90℃の金属エンドレスベルト上に流延し、自己支持性のあるゲルフィルムを得た。ゲルフィルムを金属エンドレスベル上から剥離して、65℃の温度で、走行方向に延伸してついでテンタで幅方向に延伸した。ゲルフィルムは、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理して、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、フィルム表面を市販のウエブクリーナでクリーニング後、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0033】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数をカウントしたところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、3個で、密度が、3.0×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、少なく 良好な歩留まりを得た。
【0034】
実施例2
実施例1において方法は同様にして、第1フィルターの金属繊維焼結金属フィルターの目開きを30μmとした。口金スリット幅は、1.5mm、長さ1500mmのTダイから押し出した。ゲルフィルムは、260℃の温度で5分間乾燥し、ついで430℃で10分間熱処理して、冷却ゾーンでリラックスさせながら60秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅1400mm、厚さ125μmのポリイミドフィルムを300m得た。
【0035】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因による欠点の個数は、2個で、密度が、4.8×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、少なく良好な歩留まりを得た。
【0036】
実施例3
実施例1において方法は同様にして、第1フィルターの金属繊維焼結金属フィルターの目開きを5μmとした。口金スリット幅は、1.2mm、長さ1800mmのTダイから押し出した。ゲルフィルムは、260℃の温度で20分間乾燥し、ついで450℃で30秒間熱処理して、冷却ゾーンでリラックスさせながら10秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2000mm、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを1000m得た。
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、7個で、密度が、3.5×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、少なく良好な歩留まりを得た。
【0037】
実施例4
実施例1において方法は同様にして、第2フィルターの20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターの代わりに、35μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターを使用した。
幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0038】
このフィルムの表面欠点の種類を測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、5個で、密度が、5.0×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、少なく良好な歩留まりを得た。
【0039】
実施例5
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド1906kg中に、4,4’−ジアミノジフェニールエーテル140.02kg(0.7kmol)とパラフェニレンジアミン32.36kg(0.3kmol)を溶解し、20℃で攪拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物218.12kg(1kmol)を少量ずつ添加し、1時間攪拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は、20℃で3500ポイスの粘度であった。このポリアミド酸溶液を第1フィルターとして20μmの目開きで空隙率36%の金属粉末焼結金属フィルターで濾過後、このポリアミド酸溶液に、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5mol、ピリジンをポリアミド酸単位に対して2.0molを冷却しながら混合し、第2フィルターとして20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターで濾過後ポリアミド有機溶媒溶液を得た。このポリアミド酸の有機溶液を−10℃に冷却して、定量供給して性膜した。口金スリット幅は、1.3mm、長さ1800mmのTダイから押し出した。90℃の金属エンドレスベルト上に流延し、自己支持性のあるゲルフィルムを得た。ゲルフィルムを金属エンドレスベル上から剥離して、65℃の温度で、走行方向に延伸してついで図−1に示すテンタ装置に導入した。テンタで幅方向に延伸した。ゲルフィルムは、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理して、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0040】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、0個で、密度が、0.0×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、少なく 良好な歩留まりを得た。
【0041】
実施例6
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド1942kg中に、4,4’−ジアミノジフェニールエーテル160.02kg(0.8kmol)とパラフェニレンジアミン21.58kg(0.2kmol)を溶解し、20℃で攪拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物141.78kg(0.65kmol)と3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸・二無水物102.98(0.35kmol)を少量ずつ添加し、1時間攪拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は、20℃で3500ポイスの粘度であった。このポリアミド酸溶液を第1フィルターとして20μmの目開きで空隙率36%の金属粉末焼結金属フィルターで濾過後、このポリアミド酸溶液に、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5mol、ピリジンをポリアミド酸単位に対して2.0molを冷却しながら混合し、第2フィルターとして20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターで濾過後ポリアミド有機溶媒溶液を得た。このポリアミド酸の有機溶液を−10℃に冷却して、定量供給して性膜した。口金スリット幅は、1.3mm、長さ1800mmのTダイから押し出した。90℃の金属エンドレスベルト上に流延し、自己支持性のあるゲルフィルムを得た。ゲルフィルムを金属エンドレスベル上から剥離して、65℃の温度で、走行方向に延伸してついでテンタ装置に導入した。テンタで幅方向に延伸した。ゲルフィルムは、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理して、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0042】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、0個で、密度が、0.0×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、少なく良好な歩留まりを得た。
【0043】
上記実施例の結果を表1にまとめた。
【0044】
【表1】
比較例1
実施例5において方法は同様にして、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5mol、ピリジンをポリアミド酸単位に対して2.0molを冷却しながら混合し、第1フィルターの20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターを使用しないで、ポリアミド有機溶媒溶液を得た。幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを500m得た。
【0045】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、60個で、密度が、60.0×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、多発して、歩留まりは悪かった。
【0046】
比較例2
実施例5において方法は同様にして、第1フィルターの20μmの目開きで空隙率36%の金属粉末繊維焼結金属フィルターの代わりに、20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターを使用して、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを1000m得た。
【0047】
このフィルムの表面欠点の種類と長さ測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、65個で、密度が、32.5×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、多発して、歩留まりは悪かった。
【0048】
比較例3
実施例5において方法は同様にして、第1フィルターの20μmの目開きで空隙率36%の金属粉末繊維焼結金属フィルターの代わりに、35μmの目開きで空隙36%の金属粉末焼結金属フィルターを使用して、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを1000m得た。
【0049】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、20個で、密度が、10×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、多発して、歩留まりは悪かった。
【0050】
比較例4
実施例6において方法は同様にして、第1フィルターの20μmの目開きで空隙率36%の金属粉末繊維焼結金属フィルターの代わりに、0.9μmの目開きで空隙10%の金属粉末焼結金属フィルターを使用した。濾過圧が上がりすぎて、製膜が安定しなく、ポリイミドフィルムを得ることができなかった。
【0051】
比較例5
実施例6において方法は同様にして、第2フィルターの20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターの代わりに、40μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターを使用した。幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルムを1000m得た。
【0052】
このフィルムの表面欠点の種類と長さを測定して、個数を数たところ、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性状物起因の欠点の個数は、20個で、密度が、10×10-3個/m2であった。また、このフィルムに、ポリエステル/エポキシ系の接着剤をロールコータで塗布して、160℃でドライヤーで乾燥した。このフィルムの該接着面を塗布した面に電解銅箔を130℃で加圧ラミネートし、24時間キュアーしてフレキシブル銅張りポリイミドシ−トを得た。接着剤のはじきは、多発して、歩留まりは悪かった。
【0053】
比較例6
実施例6において方法は同様にして、第2フィルターの20μmの目開きで空隙率71%の金属繊維焼結金属フィルターの代わりに、1μmの目開きで空隙率50%の金属繊維焼結金属フィルターを使用した。濾過圧が上がりすぎて、製膜が安定しなく、ポリイミドフィルムを得ることができなかった。
【0054】
上記比較例の結果を表2にまとめた。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
ポリアミド酸溶液を押し出して、化学的、熱的に閉環してポリイミドフィルムを製膜する過程において、フィルターとして目開きが1〜30μmの金属粉末焼結金属フィルターを用いて濾過するを特徴とするすることにより、フィルム表面上のポリマー変成状物起因の欠点少ない良好なポリイミドフィルムができ、更に、フィルム表面上のポリマー変性状物とイミド変性物起因による欠点個数が、6.0×10-3個/m2以下にすることにより、微少な表面付着物により引き起こされる接着剤はじき欠点も大幅に減少して、FPCとして歩留まりも良好であり、優れた効果を奏するものである。
Claims (2)
- フィルム表面上の下記測定方法で測定した欠点の密度が、6.0×10-3個/m2以下であり、ポリイミドのアミン成分がパラフェニレンジアミンを含んでいることを特徴とするポリイミドフィルム。
<欠点の密度の測定方法>
白熱光又は偏光をフィルム表面に当て、少なくとも170m2以上の表面上に存在する長径300μm以上の突起物と長径75μm以上の穴と気泡の数を表面検査装置でカウントし、この数を欠点の数として、欠点の密度を計算する。 - アミン成分としてパラフェニレンジアミンを含み、20℃における粘度が100ポイズ以上であるポリアミド酸溶液を押し出して、化学的、熱的に閉環してポリイミドフィルムを製膜する過程において、フィルターとして目開きが1〜30μm、空隙率が25〜80%の金属粉末焼結金属フィルターを用いてポリアミド酸溶液を濾過後、脱水剤、脱水触媒を混合し、さらに目開きが2〜35μmのフィルターを用いて濾過後口金から押し出して製膜することを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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