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JP4693779B2 - インクジェット用記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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JP4693779B2 JP2006541008A JP2006541008A JP4693779B2 JP 4693779 B2 JP4693779 B2 JP 4693779B2 JP 2006541008 A JP2006541008 A JP 2006541008A JP 2006541008 A JP2006541008 A JP 2006541008A JP 4693779 B2 JP4693779 B2 JP 4693779B2
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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、微細多孔質体部位を有する物品(写真画像が形成される媒体や通常印刷されるラベル等の被印刷媒体、或いは弾性微細多孔質体や膨潤可能な微細多孔質体及びこれらを部分的に有する物品)における黄変防止技術に関する。特に、水性インクを使用したインク記録に適する、高画質で且つ長期にわたって黄変防止能力のある記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、微細多孔質層内への含イオウ有機酸の拡散方法、それを利用した水性インクを使用したインク記録に適する記録媒体の製造方法に関する。
特に本発明は、印字後の印字品質を損なわず、長期にわたる画像保存性とファイルホルダでの保管時の白地黄変防止機能を有し、少なくとも製造後から印字までの商品寿命に相当する物流保存期間において黄変防止性能の維持できる、多孔質部位をアルミナ水和物で構成したインクジェット用記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
微細多孔質体部位を有する物品は、多くの分野で採用されている。その代表的な分野がインクジェット記録分野である。インクジェット記録方法は、インク等の記録用の液体(記録液)の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、微細多孔質体部位を有する記録媒体に付着させ、画像や文字等の高画質プリントを行なう。近年のデジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナー、パーソナルコンピューター等の普及は、このような特徴を有するインクジェット記録方式を採用したプリンタの需要を増大させている。
【0004】
一方、インク記録分野では、記録媒体に対して、印字品位は勿論、印字後樹脂ファイルホルダに長期保管した際の白地黄変防止効果の維持、及び、少なくとも製造後海外まで海上輸送するのにかかる物流期間内は黄変を防止できる性能が求められている。したがってインクジェット用の記録媒体には、高い速乾性、色材の優れた発色性、高い表面光沢性そして高い解像性を有する画像形成を可能にする特性が要求される。銀塩系写真と遜色のない画像を提供可能である記録媒体として、シリカやアルミナ等の微細な無機顔料とそのためのバインダーからなる、高い空隙率を持つ微細多孔質体部位をインク受容層として支持体上に層状に設けたインクジェット用記録媒体が実用化されている。
【0005】
特開平7−232475号公報(特許文献1)には、正電荷を持っているためインク中の染料の定着が良く且つ発色性に優れた画像が得られるので、インク受容層に用いる材料としてアルミナ水和物は好ましい旨が記載されている。アルミナ水和物の中でもベーマイト構造を有するものは、染料の吸着性とインク吸収性および透明性とが良いのでより好ましい。
【0006】
しかしながら、多くの微細な空隙を含み構成される多孔質体部位をインク受容層として設けた従来の記録媒体を各種ファイルホルダ内に保管すると、経時的に画像の白地部分が黄変する場合がある。上記のような構造の記録媒体の微細多孔質体部位は多くの空隙を微小空隙を有することから、樹脂製のファイルに挿入して保管した場合に、ファイルホルダから記録媒体のインク受容層にBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール)に代表されるフェノール系酸化防止剤が吸着して、次第に酸化されて黄色の酸化物になり、黄変が発生することが知られている。このBHTに起因する黄変については、例えば、Polymer Degradation and Stability 50(1995)313〜317(非特許文献1)、Textil Praxis International Oktober(1980)1213〜1215(非特許文献2)、Textile Chemist and Colorist April(1983) Vol.15 No4 52〜56(非特許文献3)及びText.Progr.15(1987)16(非特許文献4)に、フェノール系酸化防止剤が酸化されてキノンメチド構造となり、二量化され、更に酸化されてスチルベンキノンキノン構造をなす黄色の化合物となることが記載されている。
【0007】
特開平11−34484号公報(特許文献2)にはこの黄変対策として、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物からなるインク受容層の表面及び内部pHを、マレイン酸,塩酸等の有機酸及び無機酸等の酸類を使用して4.0以上5.4以下の範囲とする発明が記載されている。 特開2003−1931号公報(特許文献3)及び特開2002−96546号公報(特許文献4)には、非吸水性支持体上に積層したインク受容層(シリカ含有)に、チオエーテル系化合物,チオウレア系化合物,ジスルフィド系化合物,メルカプト系化合物,スルフィン酸系化合物,チオスルフィン酸系化合物等の含イオウ有機化合物を列挙するものの実施例レベルでは単に酸による塗工層の膜面pHを4.2に調整された記録媒体が記載されている。尚、これらの明細書中には、理由は不明であるが、この膜面pHとして2〜6、好ましくは3〜5とする示唆のみはある。
【0008】
特許文献3には、上記含イオウ有機化合物を上層部よりも下層部に多く含むインク吸収層、及び、非吸水性支持体上にバインダ及び同含イオウ有機化合物を含む塗工液と無機微粒子及びバインダを含む塗工液とを塗工することからなる同インク吸収層の製造方法が記載されている。さらに同文献には、pH4.2を達成するための酸の添加量を増やすとインク吸収性が低下するため、含イオウ有機化合物等の添加剤を含まないかまたは0.1〜0.3g/m2の量を添加することが記載されている。
【0009】
特許文献4では、非吸水性支持体上にインク吸収層と上記含イオウ有機化合物を含む上層とを設け、インク受容層の上部に含イオウ有機酸を高濃度で存在させた記録材料について記載がある。また、その製造方法として、非吸水性支持体上にインク吸収層を設けた後に同含イオウ化合物を含む水溶液を塗布する方法、及び、インク吸収層上にシリカと同含イオウ化合物とを含む塗工液を塗工する方法が記載されている。
【0010】
特開2003−291513号公報(特許文献5)には、インク受容層に耐黄色性向上を目的としてアンモニウム塩と酸を添加することが記載されている。アンモニウム塩と酸は、色材受容層形成用の水溶性樹脂を硬化させた後の塗布時の乾燥により飛散し、結果として、酸のアニオンが系中に残存することで、色材受像(色材受容)層のpHを低下させる点が記載されている。さらに同文献には、顔料としてシリカ微粒子、ポリビニルアルコール、ホウ酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びイオン交換水を含むpH3.5の塗工液200mlを色材受容層に塗工し乾燥した後、塩化アンモニウム塩および酸の状態でスルホン酸を加えた塗工液を20g/m2塗工して作成したインクジェット用記録シートが記載されている。しかし、この文献では、塩化アンモニウム塩および酸を加えたことにより、保有しているBHTの単に酸化割合を減じているに過ぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者たちは特許文献1に基づき、インク受容層の表面及び内部pHを下げた特許文献1の記録媒体について評価検討を行ったところ、表面調整後3ヶ月は良好に黄変を防止したが、6ヶ月以上の長期間経過後は許容できるほどには黄変を防止出来なかった。また、低表面pHによるインク吸収性低下が起き、黄変防止と印字品位を同時に満足することもできなかった。さらに、製造後から印字するまでの商品の使用期限に相当する期間保存すると、湿気等の外的要因で紙面pHが上昇し、フェノール系酸化防止剤の反応活性が回復されて黄変を引起し、実用上満足できるレベルではなかった。このことから、特許文献1での技術内容とは、インク受容層の表面及び内部pHを下げることで、BHTに代表されるフェノール系酸化防止剤自体の黄変化を抑制するものであることが判った。
【0012】
更に本発明者らが、特許文献3の実施例に基づき、インク吸収性が低下しない量の含イオウ有機化合物をインク吸収層に加えた、表面及び内部pH4.2のインクジェット用記録媒体について評価したところ、この記録媒体も、受容層形成直後は良好な黄変防止効果を示すものの、商品寿命に相当する期間、商品形態で保管した後は、許容できないほど黄変していた。加えて、この記録媒体も表面及び内部pHが4.2と低いことに起因するインク吸収性が低下し、黄変防止と印字品位を同時に満足できるものではなかった。また、シリカをアルミナに替えた上で特許文献3のインク受容層、即ち、インク受容層に含イオウ有機酸を含み、インク受容層の上層より下層に多く含むインク受容層を作成し評価した。この際、インク受容層形成用塗工液の調製のため、アルミナ水和物ゾルに含イオウ有機酸塩を加えたところ、塗工液中でアルミナ水和物が凝集によるゲル化が生じて塗工適性が低下し、生産管理の面で好ましくなかった。また、前記含イオウ有機酸塩とアルミナを含む塗工液を用いてインク受容層の上層より下層に多く含むインク受容層を形成後、紙面pHを4.2に調整したインク受容層について評価したところ、凝集による印字濃度低下が起き、満足出来る印字品位は得られず、長期にわたる画像保存性の点でも満足できるものではない場合があった。
【0013】
また本発明者らは、特許文献4に基づき、バインダー、架橋剤、含イオウ有機酸塩を含み、ただし顔料をシリカからアルミナ水和物に替えてインク受容層を形成後、含イオウ有機化合物の水溶液を塗工して紙面pHを4.2に調整した記録媒体について評価検討を行ったところ、特許文献1と同様に3ヶ月は良好な黄変防止能力を示したが、6ヶ月経過後は許容できないほど黄変していた。また、紙面pHが低いこと及び受容層表面のインク定着域に含イオウ有機化合物が分布することによるインク吸収性の低下が起き、満足出来る印字品位が得られない。
【0014】
従って、本発明の第一乃至第五課題は以下のものである。
第一課題は、従来技術のような、微細多孔質体部位に進入してきたBHTに代表されるフェノール系酸化防止剤を単に保有するのでなく、黄変の危険を排除できる微細多孔質体部位を新規な発想により提供することである。
【0015】
第二課題は、長期にわたり連続して微細多孔質体部位に進入してくるBHTに代表されるフェノール系酸化防止剤に適正に対応でき、効率よく黄変の危険を排除できる微細多孔質体部位を提供することである。
【0016】
第三課題は、アルミナ水和物を含む微細多孔質体部位のインク記録画像の特性を低下させることなく黄変の危険を排除できる、即ち、黄変防止と印字品位を同時に満足することができる微細多孔質体部位を提供することである。
【0017】
第四課題は、微細多孔質体部位としてのインク受容層中の顔料にアルミナ水和物と含イオウ有機酸を共存させ、(1)ファイルホルダなどでの印字後のインクジェット用記録媒体を保存した時の白地の黄変防止と、(2)印字品位と、(3)製造後から商品寿命に相当する期間、(1)の効果の維持を同時に満足することが出来るインクジェット用記録媒体の提供と、この特性を確実に実現できる製造方法を提供することである。
【0018】
第五課題は、含イオウ有機酸を微細多孔質体部位内に効果的に拡散させることのできる積層構造、その製造方法及び拡散方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、第一課題について検討を行った結果、スルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物であれば、BHT等のフェノール系酸化防止剤が黄変する過程で生成するキノンメチドと反応して、還元かつ不活性化した構造に変化させ、その結果二量化及びスチルベンキノンの生成を抑制して、白地の黄変が根本的に抑制される反応メカニズムを見出した。そして、この不活性化した化合物は、外的条件に影響を受けず、黄変しない安定な構造であるという知見に至った。
【0020】
ところが、さらに本発明者らが第二課題について検討したところ、微細多孔質体部位に存在させたスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物に、特許文献2乃至5に記載されるような低pH状態を経由させると、構造が不安定(加熱による分解及び希酸により容易に分解)となり、結果として上記の反応メカニズムを得ることができない、ということが判明した。
【0021】
そこで本発明者らは鋭意検討した結果、スルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物(以下略して「特定含イオウ有機酸」と言う)を拡散可能な状態即ち塩またはイオン解離した状態で微細多孔質体部位内に存在させれば、上記反応メカニズムを実行できることを見出した。さらに本発明者らは、上記反応メカニズムにより消費された特定含イオウ有機酸を補えるように、周辺に存在している拡散可能な特定含イオウ有機酸を微細多孔質体部位内部に適切な分布で存在させれば、微細多孔質体部位を備える物品を樹脂ファイルファイルホルダへ保管した時に、微細多孔質体部位に進入してくるBHT等のフェノール系酸化防止剤に長期間に亙り対処できる(以下「黄変防止維持効果」と言う)環境を微細多孔質体部位内部に形成できることを見出した。この、物品の白地部に相当する微細多孔質体部位に対する黄変防止維持効果が生じる理由は、次のように推測される。樹脂ファイルホルダ保管時、微細多孔質体部位の表面に到来したフェノール系酸化防止剤は同部位内のスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物が不活性化する。そのようにして同化合物が消費されると、同部位(好ましくはインク受容層)の内部或いは表面に濃度勾配が生じて非平衡状態になる。すると、同部位中の拡散可能な状態で存在している特定含イオウ有機酸は、系を平衡状態に戻そうとして微細多孔質体部位の表面付近へと拡散移動する。そして、記録用のインクなど微細多孔質体部位に付与される液体(空気中の水分や記録用のインク等)の存在によって特定含イオウ有機酸が新たに供給される。
【0022】
しかし、特許文献3のように、アルミナ水和物を含む塗工液に前記含イオウ有機酸塩を添加すると、アルミナ水和物が前記含イオウ有機酸塩と電気的に結合して凝集してしまい印字品位を極端に低下するため、上記方法は実用的でないことが判った。また、ファイル保存時の黄変は、受容層の表面部であるインク定着域にBHTが吸着されて黄変が起きており、この黄変を長期にわたって防止するためには、BHTの吸着位置である受容のインク定着域に黄変防止剤を必要量存在させて前記黄変防止反応を進める必要があるが、インク定着域に必要量添加することでインク吸収性の低下等の印字品位に悪影響を与えてしまう場合がある。
【0023】
そこで本発明者らは、依って、支持体上にスルフィン酸化合物の塩及びチオスルホン酸から選ばれる少なくとも一つを含む第一塗工液を支持体に塗工し、その上にアルミナ水和物及びバインダを含む第二塗工液を塗工して直ちに乾燥させてインク受容層を形成することで、インクが定着する領域(以下「インク定着域」と言う)、これは通常、同部位のうち支持体から遠い、表層側であるが、でアルミナ水和物の凝集及び凝集に伴う印字品位の低下を起こさず、インク受容層中にアルミナ水和物と前記特定含イオウ有機酸を拡散可能な状態で存在させることが出来ることを見出した。この方法で形成したインク受容層は、そのインク定着域には印字品位に影響を与えない量の特定含イオウ有機酸を添加し、且つ、支持体及び微細多孔質体部位のうちの支持体付近の部分、ここは通常はインク定着域以外であるが、長期保存に必要な量の特定含イオウ有機酸を存在させることが出来、印字品位と長期にわたり黄変を防止できる。この第一及び第二塗工液を用いる態様では、インク定着域で特定含イオウ有機酸がフェノール系酸化防止剤を不活性化して消費され、インク定着域に生じた濃度勾配を平衡に近づけるため、支持体又は支持体付近に拡散可能な状態で存在している特定含イオウ有機酸がインク定着域へと拡散し、インク受容層に付与される液体(空気中の水分や記録用のインク等)の存在によって特定含イオウ有機酸が新たに供給されるためであると推測される。
【0024】
さらに、インク受容層形直後から印字するまでの商品の使用期限に相当する期間、さらに良好な白地黄変防止能力を維持するためには、インク受容層のpHをスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物の解離pH以上にすることで、長期間インク受容層内でスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物が安定な状態で存在させることが出来、前記使用期限内で白地部の黄変抑制効果を維持できることが判明した。また、前記受容層pHをスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物の解離pH以上、すなわち6.0より大きなpHにしたことで、インク吸収性が良好になり、印字品位に良好に作用する。
【0025】
以上の発見に基づいて本発明者らは、第1乃至第5の課題を解決する以下の態様(1)乃至(7)の本発明を考案した。
(1)多孔質体部位として支持体上にインク受容層を設けたインクジェット用記録媒体において、
前記インク受容層に、アルミナ水和物とバインダー及び拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸を有し、
前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して、前記含イオウ有機酸が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、
前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも記録面側に位置し、
前記インク受容層の表面及び内部pHが5.0以上8.5以下であることを特徴とするインクジエット用記録媒体。
【0026】
(2)前記拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸が、前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して20μmの範囲に、アルミナに換算した前記アルミナ水和物に対して1.0重量%以上8重量%以下の範囲内で存在する上記(1)に記載のインクジェット用記録媒体
【0027】
(3)前記支持体は吸水性支持体であり、前記吸水性支持体が、拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つを含有する上記(1)または(2)に記載のインクジェット用記録媒体
【0028】
(4)スルフィン酸化合物及びチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸イオン及び前記含イオウ有機酸イオンと塩の形成が可能なカチオンを含む第一塗工液を支持体上に塗工する第1の塗工工程と、
前記第1の塗工工程後の塗工面に多孔質体を形成するアルミナ水和物とバインダーを含む第二塗工液を塗工する第2の塗工工程と、
乾燥により前記アルミナ水和物とバインダーからなる多孔質体部位を形成する工程と、
前記多孔質体部位を吸湿する工程とを有し、
第一塗工液のpHが6.0以上10.0以下であること特徴とする多孔質体部位を含むインクジェット用記録媒体の製造方法
【0029】
(5) 上記(4)に記載の製造方法によって作られた、前記多孔質体部位として支持体上にインク受容層を設けたインクジエット用記録媒体であって、
前記インク受容層に、アルミナ水和物とバインダー及び拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸を有し、
前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して、前記含イオウ有機酸が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、
前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも記録面側に位置しており、
前記支持体は吸水性支持体であり、前記吸水性支持体が、拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とするインクジエット用記録媒体。
【0030】
(6)前記拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸が、前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して20μmの範囲に、アルミナに換算した前記アルミナ水和物に対して1.0重量%以上8重量%以下の範囲内で存在する上記(5)に記載のインクジェット用記録媒体。
【0031】
(7)前記支持体は吸水性支持体であり、前記吸水性支持体が、拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つを含有する上記(5)または(6)に記載のインクジェット用記録媒体。
【発明の効果】
【0032】
第一課題及び第二課題は主として、態様(1)乃至(4)によって解決される。
第四課題は主として、態様(5)乃至(7)によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A−F】図1A、1B、1C、1D、1E及び1Fは、本発明のオーバーコートによるスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物の添加にかかわる記録媒体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2A−D】図2A、2B、2C及び2Dは、本発明にかかわる記録媒体の黄変防止メカニズムを示す図である。
【図3A−F】図3A、3B、3C、3D、3E及び3Fは、本発明のプレコートによるスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物の添加にかかわる記録媒体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図4A−D】図4A、4B、4C及び4Dは、本発明にかかわる記録媒体の黄変防止メカニズムを示す図である。
【図5A−H】図5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G及び5Hは、本発明のプレコートおよびオーバーコートによるスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物の添加にかかわる記録媒体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6A−D】図6A、6B、6C及び6Dは、本発明にかかわる記録媒体の黄変防止メカニズムを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の物品の最良の形態は、インクジェット用記録媒体のインク受容層が、アルミナ水和物で構成される微細多孔質体部位に拡散可能な特定含イオウ有機酸を有することである。ここで、インク受容層内で「拡散可能」とは、インク受容層形成後のインク受容層内に含イオウ有機酸を塩の状態またはイオン解離した状態で存在させたことで、水性インク等の付与を介した水分の供給や湿度等の外的要因により拡散し得る状態にあることを言う。また、特定含イオウ有機酸は、特定含イオウ有機酸の解離pHより高いpHのインク受容層中に存在させることが好ましく、塩またはイオン解離した拡散可能な状態でより安定して存在させることが可能であり、長期間黄変防止効果を維持した状態で保存可能である。アルミナ水和物を含む塗工液の塗工工程とは別に特定含イオウ有機酸を含む塗工液の塗工工程を設けて、特定含イオウ有機酸をインク受容層の支持体付近に拡散可能な状態で存在させることで、印字品位と樹脂ファイルホルダ保管時の黄変防止を達成可能である。
【0035】
本発明の物品の製造方法はスルフィン酸化合物及びチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸イオンと、該含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを含む含イオウ有機酸供給用の層の上に、インクジェット記録の場合は微細多孔質体部位を積層した積層構造を、微細多孔質体部位内における水分移動とともに含イオウ有機酸供給用の層から微細多孔質体部位内へ含イオウ有機酸を効果的に拡散できるとの知見に基づいてなされたものである。この水分移動としては、水分を含んだ空気の微細多孔質内での移動、微細多孔質内への水分の付与に起因して起きるものが利用できる。微細多孔質体部位が少なくとも積層方向(積層方向に交差する方向での水分移動が生じるものであってもよい)での一方の面から他方の面への透水性を有することで、含イオウ有機酸を少なくとも積層方向に拡散させることができる。即ち、吸湿可能にするか、又は吸水可能にすることによって、上記含イオウ有機酸塩またはイオンを多孔質体層内に拡散できることである。含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを含む含イオウ有機酸供給用の層の一部あるいは全部が微細多孔質体部位内に設けられていてもよい。
【0036】
以下、微細多孔質構造としてインク受容層を用いた場合について本発明を説明する。
本発明の物品の製造方法最良の形態は、インクジェット用記録媒体のインク受容層が、アルミナ水和物で構成されるインク受容層内に拡散可能な特定含イオウ有機酸を有することである。ここで、インク受容層内で「拡散可能」とは、インク受容層形成後のインク受容層内に含イオウ有機酸を塩の状態またはイオン解離した状態で存在させたことで、水性インク等の付与を介した水分の供給や湿度等の外的要因により拡散し得る状態及びその状態を製造する方法を言う。
【0037】
一方、インク受容層形成塗布液中にアルミナ水和物と含イオウ有機酸を混合する、すなわちアルミナ水和物を含む塗工液に含イオウ有機酸イオンを添加すると、塗工液中でアルミナ水和物と含イオウ有機酸が電気的に結合し、凝集体を形成していまい、インク受容層形成時にこの状態でバインダーにより結着されるため、含イオウ有機酸イオンはインク受容層中を自由に拡散できない。従って、従来技術に基づいてアルミナ水和物を含む塗工液に単に含イオウ有機酸を添加するだけでは、記録媒体の記録特性を維持しつつ効果的な黄変防止を行ことが困難な場合があった。
【0038】
また、特定含イオウ有機酸は、特定含イオウ有機酸の解離pHより高いpHのインク受容層中に存在させることが好ましく、塩またはイオン解離した拡散可能な状態で、より安定して存在させることが可能であり、長期間黄変防止効果を維持した状態で保存可能である。アルミナ水和物を含む塗工液の塗工工程とは別に特定含イオウ有機酸を含む塗工液の塗工工程を設けて、特定含イオウ有機酸をインク受容層の支持体付近に拡散可能な状態で存在させることで、印字品位と樹脂ファイルホルダ保管時の黄変防止を達成可能である。
【0039】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
[アルミナ水和物]
本発明で使用されるアルミナ水和物としては、例えば、下記一般式(X)により表されるものを好適に利用できる。
【0040】
【化1】
Figure 0004693779
【0041】
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る。)アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型の水酸化アルミナからγ、σ、η、θ、α型のアルミナ酸化物に転移していくことが知られている。本発明に於いては、これらいずれの結晶構造のものも使用可能である。本発明において好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造若しくは非晶質を示すアルミナ水和物であって、特に、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物が挙げられる。
【0042】
前記アルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整がなされるが、前記インク受容層のBET比表面積、細孔容積を満たすためには、細孔容積が0.3〜1.0ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは0.35〜0.9ml/gである。この範囲の細孔容積を有するアルミナ水和物はインク受容層の細孔容積を前記規定範囲内にする上でより好適である。また、BET比表面積については、50〜350ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは100〜250ml/gである。この範囲のBET比表面積のアルミナ水和物は、インク受容層の比表面積を前記規定範囲にする上でより好適である。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0043】
[特定含イオウ有機酸]
特定含イオウ有機酸としては、先に記載したスルフィン酸化合物及びチオスルホン酸から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。以下に、スルフィン酸化合物及びチオスルホン酸化合物は下記一般式(I)及び(II)で表される。
【0044】
【化2】
Figure 0004693779
【0045】
(式(I)中R1は、置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換のアリール、又は置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、酸素、イオウ、N−R2またはN−NR34を表し、Z3は酸素又はイオウを表し;MはZ3の負の電荷を相殺することが出来る対イオンであり(但し、Z1、Z2及びZ3が全て酸素であることはない)、R2は置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖又は水酸基を示し、R3及びR4はそれぞれ独立して、置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、あるいは置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖を表す。
【0046】
【化3】
Figure 0004693779
【0047】
(式(II)中R5は、置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換のアリール又は置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、Z4、は独立にO、S、N−R6またはN−NR78を表し、Z5は酸素又はイオウを表し、MはZ5の負の電荷を相殺することが出来る対イオンであり、R6は置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖又は水酸基を示し、R7及びR8はそれぞれ独立して置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖あるいは置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖を表す。)
【0048】
1及びR5が置換されている場合における置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、エステル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ハロゲン原子などの置換基を挙げることができ、これらの1種、または2種以上が置換されていてもよい。これらの置換基は互いに連結して環を形成していてもよい。またこれらの置換基はホモポリマー又はコポリマー鎖の一部となっていてもよい。
【0049】
一般式(I)の化合物の中で好ましいものとしては、チオスルホノ=O−酸,チオスルホノ=S−酸,ジチオスルホノ=O−酸,ジチオノスルホノ=S−酸,スルホノトリチオ酸,スルホンイミド酸,スルホンイミドチオ=O−酸,スルホンイミドチオ=S−酸,スルホノヒドラゾン酸,スルホンイミド酸,スルホノジイミド酸及びスルホノヒドラゾンイミド酸を挙げることができる。
【0050】
一般式(II)の化合物の中で好ましいものとしては、チオスルフィノ=O−酸,チオスルフィノ=S−酸,ジチオスルフィノ=O−酸,ジチオノスルフィノ=S−酸,スルフィノトリチオ酸,スルホンイミド酸,スルホンイミドチオ=O−酸,スルホンイミドチオ=S−酸,スルフィノヒドラゾン酸,スルホンイミド酸,スルフィノジイミド酸及びスルフィノヒドラゾンイミド酸を挙げることができる。
【0051】
一般式(I)及び(II)の更に好ましい化合物として下記の化合物が挙げられ、特に好ましくはI−1、I−2、I−3、I−4、II−1、II−2、II−3及びII−4が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0052】
【化4】
Figure 0004693779
【0053】
また、前記特定含イオウ有機酸と塩をなす対イオンとして、金属、アンモニア等が用いられ、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属である。また、特定含イオウ有機酸塩は水和物であっても良い。
【0054】
樹脂ファイルホルダに保管した際に、樹脂ファイルホルダ中のフェノール系酸化防止剤がインク受容層に吸着後、経時で酸化されてキノンメチド(式5)となり、二量化後、スチルベンキノンとなり白地部の黄変が起きることが公知であり、インク受容層に前記特定含イオウ有機酸を添加した場合、特定含イオウ有機酸はキノンメチドとの反応により、キノンメチドの還元と不活性化を行う。一例として、一般式(II)−1による 不活性化反応及び反応生成物(式6)を以下に記載した。
【0055】
【化5】
Figure 0004693779
【0056】
経時酸化で黄変を起こさない無色の化合物となり、黄変を防止することが可能になる。不活性化されて無色化した化合物例を以下に記載したが、これに限らない。
【0057】
【化6】
Figure 0004693779
【0058】
R1、R2は水素または置換若しくは無置換アルキル基を示し、R3は置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換のアリール又は置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表す。
【0059】
【化7】
Figure 0004693779
【0060】
Rは水素または置換若しくは無置換アルキル基を示し、R4は置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換のアリール又は置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表す。
【0061】
また、チオスルホン酸化合物もスルフィン酸化合物と同様に、キノンメチドとの反応により(式7),(式8)に記載の化合物またはチオスルホン酸のエステルとなり還元と不活性化を行うものと推測される。
【0062】
また、インク受容層内で上記化合物の存在を確認するためには、インク受容層にアルミナ及び拡散可能な特定含イオウ有機酸を含む記録媒体を樹脂ファイルホルダ内で長期保管後、エタノール、メタノール等のアルコールに1hr程度浸漬し、浸出した液をLC−MSまたはNMRを使用することで確認することが出来る。
【0063】
特定含イオウ有機酸は、それ自体、それらの解離pHより低い場合は不安定であり、容易に分解を起こし、一般式(II)の化合物は、経時で黄変防止効果がないスルホン酸とジスルホキシドに分解して黄変防止能力が低下し、一般式(I)に記載の化合物はスルフィン酸とイオウに分解されて白地の黄変を引き起こす可能性がある黄色のイオウがインク受容層内に発生する。このため、インク受容層の表面及び内部pHが、特定含イオウ有機酸の解離pHより高めにすることで、商品の形態で製造後、海上輸送で海外まで輸送するのにかかる期間(物流期間)保存しても、インク受容層内で拡散可能な特定含イオウ有機酸が分解せず、黄変防止効果がより一層長期的に維持可能である。
【0064】
また、インク受容層の表面及び内部pHが解離pH領域の場合、支持体に特定含イオウ有機酸を含む塗工液を塗工した後に行われる乾燥工程において、乾燥初期は特定含イオウ有機酸の遊離酸とイオン解離したものが平衡状態で混在しているが、乾燥が進むにつれて遊離酸が析出し、イオン解離状態の特定含イオウ有機酸が遊離酸になって平衡状態を維持するため、乾燥後、インク受容層中で特定含イオウ有機酸が酸の状態、すなわち拡散不可な不安定な状態でインク受容層に多く存在することとなり、物流期間内で特定含イオウ有機酸の分解による黄変防止効果の低減またはファイルホルダ保管時の黄変防止効果の維持が困難である事がわかった。一方、特定含イオウ有機酸を含むインク受容層形成後、特定含イオウ有機酸の解離pH以下に調整する場合も、同様に乾燥過程で拡散不可の酸が遊離して、受容層中の特定含イオウ有機酸の安定性低下及び黄変防止期間が短くなる。また、インク受容層の表面及び内部pHを解離pH域に調整する場合、インク受容層の形成工程中の乾燥過程において、特定含イオウ有機酸の多くは酸の状態に移行し、形成後のインク受容層中に酸の状態で存在する。
【0065】
従って、インク受容層の紙面pHは特定含イオウ有機酸の解離pHより高い値に調整し、インク受容層中で特定含イオウ有機酸が塩またはイオン解離した拡散可能な状態で存在させるのが好ましい。特定含イオウ有機酸が塩またはイオン解離した拡散可能な状態で存在していることを確認するためには、インク受容層の表面及び内部pHを測定して確認することが出来る。また、特定含イオウ有機酸が拡散可能な状態である場合、記録媒体を塩酸または水酸化ナトリウムでインク受容層の表面及び内部pHに調整したイオン交換水に、25℃,3分間浸漬後、LC−MS,HPLC等を使用して浸出液の中に特定含イオウ有機酸を検出することが出来る。
【0066】
また、前記特定含イオウ有機酸の解離pHより大きい領域となる表面及び内部pHとして、5.0以上が好ましく、より好ましくは6.0以上である。インク受容層pHは黄変防止能力の面で8.5以下にすることが好ましく、より好ましくは7.5以下である。また、インク受容層のpHを5.0より高くすることで、インク吸収性の向上及び印字品位の面で有効に作用する。このためにも、インク受容層の表面及び内部pHは6.0以上8.5以下であることが好ましく、より好ましくは6.0以上7.5以下である。
【0067】
なお、インク受容層形成工程後のインク受容層の表面及び内部pHは、各塗工液のpH調整によって行っても良いし、インク受容層形成工程後にアルカリ又は酸を塗工して所定の表面及び内部pHに調整しても良い。pH調整用として用いられる酸は、硝酸、硫酸、塩酸、燐酸等の無機酸であっても有機酸でもよいが、これらに限定されることはない。好ましいアルカリ剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが、これに限定されることはない。
【0068】
表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面及び内部pHの測定の内A法(塗布法)により、測定を行う。例えば、前記A法に相当する株式会社共立理化研究所製の紙面用pH測定キット(形式MPC)を使用して、インク受容層の表面pHを測定することが出来る。また、インク受容層の内部pHは、上記方法で表面pH測定後にミクロトームで作製した断面をマイクロスコープを用いることで、測定可能であり、表面pH測定の際に、上記方法で検査キットの塗布液がインク受容層に完全に浸透するように塗布後、ミクロトームで作製した断面をマイクロスコープで確認し、記録面から支持体までの範囲の呈色レベルを検査キットの色見本と目視で比較することで、測定できる。
【0069】
一方、インク受容層の顔料にシリカ(一般的にシリカ自体は色材を定着するものではなく、微細多孔質を形成するものである)を使用し、充分なインク定着能力を持たせた場合、シリカ以外に色材定着のためカチオン性ポリマーの添加が必須であり、カチオン性を有するためには、インク受容層pHを4.5付近に設定する必要があるため、前述した理由から特定含イオウ有機酸塩の安定保持の点で好ましくない。逆に、アルミナ水和物を用いてインク受容層とした場合、アルミナ水和物は特定含イオウ有機酸塩の解離pH以上でも有効なインク定着性を示すため、インク受容層での特定含イオウ有機酸の安定保持と印字品位を同時荷の達成することが可能であるため、特定含イオウ有機酸塩の組合せる含量としてアルミナ水和物が好ましい。
【0070】
拡散可能な特定含イオウ有機酸はインク受容層中に、アルミナ水和物に対して特定含イオウ有機酸濃度を過剰に添加すると、印字濃度が低下して印字品位を下げるため、良好な印字濃度を得るためには、インク定着域での特定含イオウ有機酸濃度を13質量%以下含有することが好ましい。より好ましくは、10質量%以下である。一方、黄変防止効果の面で、アルミナに換算したアルミナ水和物中のアルミナに対して1.1質量%以上が添加することが好ましい。
【0071】
また、特定含イオウ有機酸の添加量は、黄変防止の面で0.31g/m2以上が好ましく、より好ましくは0.36g/m2以上であり、インク吸収性等の印字品位の面では3.6g/m2以下が好ましく、より好ましくは2.9g/m2以下である。
【0072】
前記、インク受容層中のインク定着域での、アルミナ水和物中のアルミナに対する特定含イオウ有機酸の質量%は、ミクロトームを用いて作製した断面について、TOF−SIMSを用いたイオウとアルミナの存在比の測定と特定含イオウ有機酸中のイオウ含有量及びアルミナ水和物中のアルミナ含有量より、インク定着域に拡散可能な状態で存在する特定含イオウ有機酸のアルミナ水和物に対する質量%が定量可能である。
【0073】
インク受容層中の特定含イオウ有機酸は、樹脂ファイルホルダ単位面積あたりに含まれるフェノール系酸化防止剤等に対して、モル比1以上400以下含有することが好ましく、モル比10以上100以下含有することがより好ましい。樹脂ファイルホルダ単位面積当たりのフェノール系酸化防止剤の含有量はヘッドスペースGC−MSを使用して定量可能である。
【0074】
拡散可能な特定含イオウ有機酸を含むインク受容層の形成方法としては、非吸水性または吸水性支持体上にインク受容層形成後、特定含イオウ有機酸を含む塗工液を塗工しインク受容層に特定含イオウ有機酸を含有させる方法であり、同一塗工液中に特定含イオウ有機酸とアルミナ水和物の両方を含有させることはない。
【0075】
本発明でイオウ特定含イオウ有機酸を含むインク受容層の形成方法としては、以下の3つの方法を挙げることができる。
(1)支持体上にアルミナ水和物とバインダーを含む塗工層を形成する第一の塗工工程と、前記塗工層を乾燥する第一の乾燥工程と、前記インク受容層にスルフィン酸化合物及びチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸イオン及び含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを含む第二の塗工液を塗工する第二の塗工工程と、拡散可能な特定含イオウ有機酸が存在するインク受容層を得る第二の乾燥工程と、を有する方法。
【0076】
(2)支持体上にスルフィン酸化合物及びチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸イオン及び含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを含む第一の塗工液を塗工する第一の塗工工程と、第一の塗工工程後に、第一の塗工液の塗工面上に、アルミナ水和物とバインダーを含む塗工層を形成する第二の塗工工程と、前記塗工層を乾燥して拡散可能な前記含イオウ有機酸が存在するインク受容層を得る乾燥工程と、を有する方法。
【0077】
(3)支持体上にスルフィン酸化合物及びチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸イオン及び含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを含む第一の塗工液を塗工する第一の塗工工程と、前記の第一の塗工工程後に、第一の塗工液の塗工面上にアルミナ水和物とバインダーを含む塗工層を形成する第二の塗工工程と、
前記塗工層を乾燥する第一の乾燥工程と、前記インク受容層に前記含イオウ有機酸及び含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを含む第二の塗工液を塗工する第三の塗工工程と、拡散可能な前記含イオウ有機酸が存在するインク受容層を得る第二の乾燥工程と、を有する方法。
【0078】
上記方法(2)は含イオウ有機酸イオンと含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを予め付与し、その付与部上にインク受容層を形成する方法であり、上記(2)の方法は、含イオウ有機酸イオンと含イオウ有機酸イオンと塩を形成するためのカチオンを予め付与し、その付与部上にインク受容層を形成後、更に含イオウ有機酸塩を添加する方法である。いずれの方法においても、同一塗工液中に含イオウ有機酸とアルミナ水和物の両方を含有させることはない。
【0079】
以下、それぞれの方法について説明する。
<方法(1)>
まず、支持体上に、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗布して塗工層を形成し、これを乾燥させてインク受容層とする。この乾燥工程は、塗工層中に含まれるアルミナ水和物の粒子同士をバインダーによって結着し、インク受容層としての特性を有する多孔質構造を確定するために行なわれるもので、この多孔質構造の確定に必要な温度及び時間などの条件下で行なわれる。塗工液にバインダーの架橋剤を含む場合には、この架橋剤によってバインダーの結着機能を強化してインク受容層の構造をより強固なものとすることができる。このようにしてインク受容層としての構造が確定した段階で、黄変防止用の特定含イオウ有機酸を塩の形で含む塗工液をインク受容層に塗工し、特定含イオウ有機酸塩をインク受容層内に添加する。アルミナ水和物の粒子はバインダーによってインク受容層内に固定されているので、先に述べたような特定含イオウ有機酸塩の塗工液への添加(内添)による凝集を生じることはなく、インク受容層の構造が維持される。これに対して、インク受容層形成用塗工液の塗工直後等の塗工層が液状であるうち、あるいは所望とする多孔質構造が確定していない段階で、特定含イオウ有機酸溶液をインク受容層となる塗工層にオーバーコートするとアルミナ水和物と特定含イオウ有機酸が塩を形成して、アルミナ水和物の凝集を生じさせて印字品位に悪影響を与えてしまう。
【0080】
この方法よるインク受容層の形成方法としては、以下の工程を含む方法を好ましいものとして挙げることができる。
工程A:プレコート液(特定含イオウ有機酸塩は含有しない)を塗工する表面処理工程
工程B:アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液を塗工する工程
工程C:特定含イオウ有機酸塩を溶解した塗工液を塗工する工程
上記の塗工工程A及びCのいずれか1つの工程は一回塗工で行っても良く、また、塗工液組成が異なる塗工液、又は同一組成の塗工液を複数回に分けて塗工する工程としても良い。工程Cの代替として、特定含イオウ有機酸を含む塗工液を塗工後、前記特定含イオウ有機酸と対イオンをなし、塩の形成が可能なイオンを含む塗工液を塗工しても良い。乾燥工程は全塗工工程完了後にインク受容層を乾燥するための工程であるが、各工程間のいずれにも挿入可能な工程である。このときの乾燥温度は80℃以上170℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上150℃以下である。また、表面及び内部pHが特定含イオウ有機酸の解離pHより低いインク受容層に特定含イオウ有機酸を添加した場合、50℃以上の温度で容易に分解し、黄変防止効果が低下する。このため、上記乾燥条件での黄変防止能力の低下を防止するためにも、インク受容層の表面及び内部pHは特定含イオウ有機酸の解離pHより高く、6.0より高い表面及び内部pHにすることが好ましい。
【0081】
支持体の表面処理工程は、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含むプレコート液を塗工する工程Aであり、必要に応じて行なわれる。この架橋剤の付与は、インク受容層におけるアルミナ水和物を主体として形成された多孔質体部位の所望とするインク受容層としての構造をより強固なものとする上で、この架橋剤の使用が好ましい。また、表面処理工程Aは、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含むプレコート液を塗工する工程であり、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液であるプレコート液を支持体に塗工する工程である。プレコート液は前記架橋剤を含む水溶液であり、架橋剤を1質量%以上10質量%含むことが好ましい。
【0082】
表面処理工程では、吸水性支持体に塗工後に基材表面を乾燥せず、基材表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を保った状態で、次のインク受容層を形成するための塗工液を塗工する工程である。プレコート液の塗れ性を向上するため、プレコート液に界面活性剤,アルコール等を添加して、表面張力及び吸水度の調整を行っても良い。また、表面処理工程でのプレコート液の塗工量は硼酸及び硼酸塩の固形分換算で0.05g/m2以上3.0g/m2以下である。
【0083】
この方法の一例を図1A〜1Fに示す。まず、図1Aに示す吸水性の支持体1を用意し、図1Bに示すように特定含イオウ有機酸塩を含まないプレコート液2を支持体のインク受容層形成面に塗工する。次に、図1Cに示すように、インク受容層を形成するためのアルミナ水和物及びバインダーを少なくとも含む塗工液4をプレコート液2塗工面上に塗工し、乾燥処理を経て図1Dに示すようにインク受容層6を形成する。この乾燥処理によって所望とする多孔質構造が確定しているインク受容層を得る。次に、図1Eに示すように、特定含イオウ有機酸5を塩の形で添加した塗工液をインク受容層6に塗工し、乾燥させて、図1Fに示すインク受容層に拡散可能な特定含イオウ有機酸が分布したインクジェット用記録媒体を得る。
【0084】
工程Cで用いられる塗工液は、特定含イオウ有機酸を溶媒に溶解したものであり、溶媒は使用する特定含イオウ有機酸に合わせて選択可能であるが、好ましくは特定含イオウ有機酸塩の水溶液である。工程Cでは特定含イオウ有機酸をインク受容層表面から塗工するため、高濃度の特定含イオウ有機酸塩溶液を使用すると、特定含イオウ有機酸濃度が上昇して、印字濃度低下が起きる。本方法で良好な印字濃度を得るためには、特定含イオウ有機酸濃度を20質量%以下に調整した塗工液が好ましく、特に好ましくは2質量%以上10質量%以下のものである。工程Cで用いられる塗工液は、前記特定含イオウ有機酸と前記特定含イオウ有機酸と塩の形成が可能な物質が共に溶存しており、塗工液中の前記特定含イオウ有機酸に対するカチオンの比は1.0以上が好ましい。前記有機酸塩の溶解に使用する溶媒は、前記有機酸塩が溶解可能であれば良く、好ましくはイオン交換水、メタノール、エタノール等であり、より好ましくはイオン交換水であるが、これに限定されるものではない。また、水系と溶剤系の複数の溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いて、前記有機酸塩と後述するヒンダードアミン等のその他の添加剤を同時に溶解した塗工液を使用すると、生産効率の向上の点で好ましい。前記有機酸塩を溶媒に溶解した塗工液のpHに制限はないが、4.0〜10.0が好ましい。より好ましくは6.0以上8.5以下である。
【0085】
まず、図2Aに示すように樹脂ファイルホルダなどに含まれるフェノール系酸化防止剤などの黄変原因物8が、支持体1、その上に付与されたプレコート液からなる層2、及びその上に配置されたインク受容層6からなる記録媒体の表面から吸着され、図2Bに示すようにインク受容層中に侵入すると、インク受容層6中に予め含有させておいた特定含イオウ有機酸塩5がこれと反応し、黄変原因物質を変化させて反応物9とし無色化する。更に、特定含イオウ有機酸塩5はインク受容層内を拡散(移動)可能にインク受容層中に含まれているので、図2Cから図2Dに示すように、特定含イオウ有機酸塩5が無色化のために消費された領域と支持体付近の特定含イオウ有機酸を含有する領域間に起きた濃度勾配を平衡状態に近づけるため、特定含イオウ有機酸塩5が無色化のために消費された領域に未反応の特定含イオウ有機酸塩5が拡散して、図2Bで不活性化しきれなかった黄変原因物質の不活性化を行い、黄変原因物質が吸着する記録面付近に供給され黄変防止効果が維持される。
【0086】
<方法(2)>
まず、支持体上にスルフィン酸化合物又はチオスルフィン酸化合物及びこれらの有機酸と塩の形成が可能なカチオンを含む塗工液を塗工後、アルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗工して塗工層を形成し、これを乾燥させてインク受容層とする。
【0087】
インク受容層となる塗工層の乾燥工程は、塗工層中に含まれるアルミナ水和物の粒子同士をバインダーによって結着し、インク受容層としての特性を有する多孔質構造を確定するために行なわれるもので、支持体上に予め付与した含イオウ有機酸塩又はイオンがインク受容層の所望とする多孔質構造の形成に影響を及ぼす前にこの多孔質構造を確定するために必要な温度及び時間などの条件下で行なわれる。塗工液にバインダーの架橋剤を含む場合には、この架橋剤によってバインダーの結着機能を強化してインク受容層の構造をより強固なものとすることができる。このようにしてインク受容層の多孔質構造を確定しておくことで、この多孔質構造を維持しつつ、その下層に供給された含イオウ有機酸塩又はイオンがインク受容層内に移動可能となる。その結果、含イオウ有機酸塩の塗工液への添加による凝集を生じることはなく、インク受容層の構造が維持され、含イオウ有機酸が塩の状態で、あるいはイオン解離した状態でインク受容層中に存在することで、湿度などの外的要因による水分の付加によってインク受容層内を移動可能となっており、インク受容層内における黄変防止効果を効率よく発揮することが可能となる。
【0088】
なお、含イオウ有機酸が塩の状態で添加されることで、受容層内に含イオウ有機酸と対イオンが存在するため、含イオウ有機酸がアルミナ水和物に電気的に結合することがない点も、含イオウ有機酸がインク受容層内で移動可能であることの一因となっていると考えられる。
【0089】
一方、インク受容層の形成が遅いと、下層に添加した含イオウ有機酸塩が塗工層中に分散して、塗工液中に含イオウ有機酸塩または含イオウ有機酸とアルミナ水和物とを混在させた場合と同じ状態が形成され、含イオウ有機酸を分散可能にインク受容層に存在させることができなくなるばかりか、アルミナ水和物と含イオウ有機酸が塗工層中で凝集を起こし、粒径の大きな凝集体を含むインク受容層が形成され、このため、ヘイズ及びOD低下が起き、仕上り品質がなわれる場合が生じる。よって、アルミナ水和物を含む塗工液を塗工後、速やかに乾燥を行い、受容層のインクが定着する深さ域、すなわち受容層表面から20μmの範囲でアルミナ水和物の凝集を起こさないようにするのが好ましい。
【0090】
この方法(2)によるインク受容層の形成方法としては、以下の工程を含む方法を好ましいものとして挙げることができる。
工程A1:プレコート液(含イオウ化合物を含有しない)を塗工する表面処理工程
工程A2:含イオウ化合物及び塩を形成するためのカチオンを含む塗工液を塗工する表面処理工程
工程B:アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液を塗工する工程
乾燥工程:塗工液を乾燥して、受容層を形成する工程
【0091】
上記塗工手順は工程A1、工程A2終了後に工程Bを行い、工程A1、A2はどちらを先に塗工しても良く、また、工程A1のプレコート液にスルフィン酸化合物塩、及び、又はチオスルホン酸化合物塩を添加して工程A1、A2を一つの工程としても良い。工程A1、A2を一つの工程した場合及び工程A2塗工後に工程A1を塗工してもよく、また、工程A1、A2及びBの各工程は一回塗工で行っても良い。また、塗工液組成が異なる塗工液、又は同一組成の塗工液を複数回に分けて塗工する工程としても良い。また、工程A2の代替として、スルフィン酸化合物及び又はチオスルホン酸化合物を含む塗工液を塗工後、前記特定含イオウ有機酸と対イオンをなし、塩の形成が可能なイオンを含む塗工液を塗工しても良い。また、この塩の形成が可能なイオンを含む塗工液は、工程Bより前の工程間及びインク受容層形成後に設けることが出来る。また、塩の形成が可能な塗工液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム溶液等が挙げられるが、これらに限るものではない。
【0092】
尚、工程A2処理後、表面処理層が完全に乾燥してから工程Bによりインク受容層となるべき層を塗工すると、表面処理層に存在している特定含イオウ有機酸がインク受容層となるべき層に拡散しにくくなるので好ましくない。一方、表面に液だまりがある状態で工程Bを行うと場合によってインク受容層にクラックが発生する可能性がある。そこで、工程A2処理後、工程Bの開始時間としては、5〜80秒が好ましく、より好ましくは10〜20秒である。
【0093】
全塗工工程完了後にインク受容層を乾燥するために乾燥工程を行なう。また、各工程間のいずれにも必要に応じて乾燥工程を挿入可能である。ただし、インク受容層の形成のための乾燥工程は工程Bでの塗工直後に設けた方が、インク受容層の多孔質構造への悪影響を減らせるので好ましい。各乾燥工程における乾燥温度は80℃以上170℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上150℃以下である。また、表面及び内部pHが特定含イオウ有機酸の解離pHより低いインク受容層に特定含イオウ有機酸を添加した場合、50℃以上の温度で容易に分解し、黄変防止効果が低下する。このため、上記乾燥条件での黄変防止能力の低下を防止するためにも、インク受容層の表面及び内部pHは特定含イオウ有機酸の解離pHより高く、5.0より高い表面及び内部pHにすることが好ましい。前記工程A1及び含イオウ化合物塩を含む工程A2の塗工液のpHに制限はないが、4.0〜11.0が好ましい。より好ましくは6.0以上10以下である。
【0094】
支持体の表面処理工程のひとつは、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含むプレコート液を塗工する工程A1であり、必要に応じて行なわれる。この架橋剤の付与は、インク受容層におけるアルミナ水和物を主体として形成された多孔質体部位の所望とするインク受容層としての構造をより強固なものとする上で、この架橋剤の使用が好ましい。好ましくは、表面処理工程A1は、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤として、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液であるプレコート液を支持体に塗工する工程である。プレコート液は前記架橋剤を含む水溶液であり、架橋剤を1重量%以上10重量%含むことが好ましい。
【0095】
工程A1、A2を一つの工程とした場合及び工程A2塗工後に工程A1を塗工すると、工程A1のプレコート液中のホウ酸及びホウ酸塩が浸透し易くなり、インク受容層を形成後のクラック発生を抑制でき、歩留の向上し、生産効率の面で有効である。
【0096】
表面処理工程では吸水性支持体に塗工後に基材表面を乾燥せず、基材表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を保った状態とし、次のインク受容層を形成するための塗工液を塗工することが好ましい。プレコート液の塗れ性を向上するため、プレコート液に界面活性剤,アルコール等を添加して、表面張力及び吸水度の調整を行っても良い。また、表面処理工程でのプレコート液の塗工量は硼酸及び硼酸塩の固形分換算で0.05g/m2以上3.0g/m2以下である。
【0097】
この方法(2)の一例を図3A〜3Fに示す。まず、図3Aに示す支持体1を用意し、図3Bに示すように含イオウ有機酸塩又は含イオウ有機酸イオンと、塩を形成するためのカチオンと、を含むプレコート液3を支持体のインク受容層形成面に塗工する。次に、図3Cに示すように、インク受容層を形成するためのアルミナ水和物及びバインダーを少なくとも含む塗工液4をプレコート液2からなる塗工層上に塗工し、乾燥処理を塗工層表面から実施する。この乾燥処理によって塗工層は表面から深さ方向に乾燥していき、多孔質構造の形成が深さ方向に進行する。一方、プレコート液3によって予め付与された含イオウ有機酸5は塗工層6a中に分散してその部分のアルミナ水和物の凝集反応を起す。図3Dの段階では、塗工層6aの表面部分が乾燥した状態にあり、支持体1側の部分に含イオウ有機酸が分散している。更に乾燥が進むと、図3Eの段階では、含イオウ有機酸が拡散してくる前に乾燥によりインク受容層6となった部分と、含イオウ有機酸によるアルミナ水和物凝集層7とが形成されている。更に、乾燥が進むと、アルミナ水和物凝集層7からの水分がインク受容層6表面方向へも移動して表面から放出されるようになり、この水分の移動にともなって含イオウ有機酸5が塩の状態あるいは遊離状態でインク受容層中へ分散していく。こうして、図3Fに示す構成のインクジェット用記録媒体を得る。
【0098】
図3A〜3Fを用いて説明した方法で得られた記録媒体では、アルミナ水和物の凝集層7(図3Eで示した領域)に相対的に多く存在する。この記録媒体における黄変防止機能は図4A〜4Dで模式的に示す作用による考えられる。まず、図4Aに示すように樹脂ファイルホルダなどに含まれるフェノール系酸化防止剤などの黄変原因物8が記録媒体表面から吸着され、図4Bに示すようにインク受容層中に侵入すると、インク受容層中に予め含有させておいた特定含イオウ有機酸塩5がこれと反応し、黄変原因物質を変化させて反応物9とし無色化する。更に、特定含イオウ有機酸塩5はインク受容層内を拡散(移動)可能にインク受容層中に含まれているので、図4Cから図4Dに示すように、特定含イオウ有機酸塩5が無色化のために消費された領域と支持体付近の特定含イオウ有機酸を含有する領域間に起きた濃度勾配を平衡状態に近づけるため、特定含イオウ有機酸塩5が無色化のために消費された領域に未反応の特定含イオウ有機酸塩5が拡散して、図4Bで不活性化しきれなかった黄変原因物質の不活性化を行い、黄変原因物質が吸着する記録面付近に供給され黄変防止効果が維持される。従って、黄変防止機能の持続期間はインク受容層に含有される含イオウ有機酸塩の全体量、特に支持体側のアルミナ水和物凝集領域における含イオウ有機酸塩の保持量に依存する。
【0099】
<方法(3)>
上記の方法(2)で形成したインク受容層に、更に、スルフィン酸化合物塩及び又はチオスルフィン酸イオン及び塩を形成するためのカチオンをオーバーコート方式で供給しても良い。その際、オーバーコート液は印字品位に悪影響を与えない濃度に調整したものを塗工するのが好ましい。また、インク受容層にオーバーコートする含イオウ有機酸塩と支持体に工程A2によって予め付与しておく含イオウ有機酸塩は同一であっても、異なるものでもよい。更に、インク受容層形成前の支持体に適用される塗工液と、インク受容層に適用される塗工液に含有させる含イオウ有機酸の量は、インク受容層における黄変防止効果を得るために十分な量が記録媒体に供給されるように設定すればよいが、インク受容層形成前の支持体に塗工する含イオウ化合物塩を相対的に多くして、オーバーコートで供給する含イオウ化合物塩を相対的に少なくすることで、印字品位と黄変防止を同時達成可能である記録面側から深さ方向に対して、含イオウ有機酸の濃度が上がるような分布を得られるため好ましい。
【0100】
この方法(3)としては、以下の工程を含む方法を好ましいものとして挙げることができる。
工程A1:プレコート液(含イオウ有機酸を含有しない)を塗工する表面処理工程
工程A2:含イオウ有機酸化合物及び塩を形成するためのカチオンを含む塗工液を塗工する表面処理工程
工程B:アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液を塗工する工程
工程C:含イオウ有機酸塩を溶解した塗工液を塗工するオーバーコート工程
【0101】
上記塗工手順は工程A1、工程A2終了後に工程Bを行い、乾燥工程を経て、オーバーコート工程である工程Cを設ける。工程A1、A2、B及び乾燥工程は方法(2)での記載内容に準じて行なうことができる。また、工程A2の代替として方法(2)と同様に、スルフィン酸化合物及び又はチオスルホン酸化合物を含む塗工液を塗工後、前記特定含イオウ有機酸と対イオンをなし、塩の形成が可能なイオンを含む塗工液を塗工しても良い。また、この塩の形成が可能なイオンを含む塗工液は、工程Bより前の工程間、インク受容層形成後及びオーバーコート工程後(工程C)後に設けることが出来る。
尚、工程A2処理後、表面処理層が完全に乾燥してから工程Bによりインク受容層となるべき層を塗工すると、表面処理層に存在している特定含イオウ有機酸がインク受容層となるべき層に拡散しにくくなるので好ましくない。一方、表面に液だまりがある状態で工程Bを行うと場合によってインク受容層にクラックが発生する可能性がある。そこで、工程A2処理後、工程Bの開始時間としては、5〜80秒が好ましく、より好ましくは10〜20秒である。
【0102】
上記のA2及びCの塗工工程については、上記の外添法及び内添法と同様に、1回の塗工で行ってもよいし、複数回の塗工により、行ってもよい。
【0103】
この方法(3)の一例を図5A〜5Hに示す。まず、図5Aに示す支持体1を用意し、図5Bに示すように含イオウ有機酸塩又は含イオウ有機酸イオンと、塩を形成するためのカチオンと、を含むプレコート液3を支持体のインク受容層形成面に塗工する。次に、図5Cに示すように、インク受容層を形成するためのアルミナ水和物及びバインダーを少なくとも含む塗工液4をプレコート液3からなる塗工層上に塗工し、乾燥処理を塗工層表面から実施する。この乾燥処理によって塗工層は表面から深さ方向に乾燥していき、多孔質構造の形成が深さ方向に進行する。一方、プレコート液3によって予め付与された含イオウ有機酸5は塗工層6a中に分散してその部分のアルミナ水和物の凝集反応を起す。図5Dの段階では、塗工層6aの表面部分が乾燥した状態にあり、支持体1側の部分に含イオウ有機酸が分散している。更に乾燥が進むと、図5Eの段階では、含イオウ有機酸が拡散してくる前に乾燥によりインク受容層6となった部分と、含イオウ有機酸によるアルミナ水和物凝集層7とが形成されている。更に、乾燥が進むと、アルミナ水和物凝集層7からの水分がインク受容層6表面方向へも移動して表面から放出されるようになり、この水分の移動にともなって含イオウ有機酸5が塩の状態あるいは遊離状態でインク受容層中へ分散していく。次に図5Fに示すように、特定含イオウ有機酸5を塩の形で添加した塗工液をインク受容層6に塗工し、乾燥させて、図5Hに示すインク受容層に拡散可能な特定含イオウ有機酸が分布したインクジェット用記録媒体を得る。
【0104】
図5A〜5Hを用いて説明した方法で得られた記録媒体では拡散可能な特定含イオウ有機酸がアルミナ水和物の凝集層7(図5Eで示した領域)に相対的に多く存在するものの、方法(2)に比較してインク受容層全般に存在している。この記録媒体における黄変防止機能は図6A〜4Dで模式的に示す作用による考えられる。まず、図6Aに示すように樹脂ファイルホルダなどに含まれるフェノール系酸化防止剤などの黄変原因物8が記録媒体表面から吸着され、図6Bに示すようにインク受容層中に侵入すると、インク受容層中に予め含有させておいた特定含イオウ有機酸塩5がこれと反応し、黄変原因物質を変化させて反応物9とし無色化する。更に、特定含イオウ有機酸塩5はインク受容層内を拡散(移動)可能にインク受容層中に含まれているので、図6Cから図6Dに示すように、特定含イオウ有機酸塩5が無色化のために消費された領域と支持体付近の特定含イオウ有機酸を含有する領域間に起きた濃度勾配を平衡状態に近づけるため、特定含イオウ有機酸塩5が無色化のために消費された領域に未反応の特定含イオウ有機酸塩5が拡散して、図6Bで不活性化しきれなかった黄変原因物質の不活性化を行い、黄変原因物質が吸着する記録面付近に供給され黄変防止効果が維持される。
【0105】
工程Cで用いられる塗工液は、スルフィン酸化合物の塩又はチオスルホン酸化合物の塩を溶媒に溶解したものであり、溶媒は使用する特定含イオウ有機酸に合わせて選択可能であるが、好ましくはスルフィン酸化合物塩又はチオスルホン酸化合物塩の水溶液である。
工程Cでは特定含イオウ有機酸の塩をインク受容層表面に供給することになり、高濃度の特定含イオウ有機酸塩溶液を使用すると、受容層表層のインク定着域での特定含イオウ有機酸の塩類濃度が高くなり、印字濃度低下が起きる等の印字品位の低下が起きやすい。よって、良好な印字濃度を得るためには、特定含イオウ有機酸の塩濃度が10重量%以下に調整した塗工液が好ましく、特に好ましくは1重量%以上8重量%以下のものである。
【0106】
また、印字品位に影響する受容層の表面から深さ方向に20μmの範囲すなわちインク定着域の含イオウ化合物濃度はオーバーコート液中の含イオウ化合物濃度に依存する。このため、本方法の工程A2で過剰量の含イオウ化合物を添加した際に、インク定着域中の前記有機酸濃度が印字品位に影響するレベルまで上昇しても、オーバーコート液中の含イオウ有機酸の塩濃度を調整等の工程Cの塗工条件を調整することで、受容層表面付近の拡散可能な含イオウ化合物量を印字品位の面で最適値に調整でき、黄変防止と印字品位を同時に達成することが可能である。
【0107】
工程Cで用いられる塗工液は、前記特定含イオウ有機酸と前記特定含イオウ有機酸と塩の形成が可能な物質が共に溶存しており、塗工液中の前記特定含イオウ有機酸に対するカチオンの比は1.0以上が好ましい。前記有機酸及び塩形成可能なカチオンの溶解に使用する溶媒は、前記有機酸塩が溶解可能であれば良く、好ましくはイオン交換水、メタノール、エタノール等であり、より好ましくはイオン交換水であるが、これに限定されるものではない。また、水系と溶剤系の複数の溶媒を組合せた混合溶媒を用いて、前記有機酸塩と後述するヒンダードアミン等のその他の添加剤を同時に溶解した塗工液を使用すると、生産効率の向上の点で好ましい。前記有機酸塩を溶媒に溶解した塗工液のpHに制限はないが、4.0〜11.0が好ましい。より好ましくは6.0以上10以下である。
【0108】
[支持体]
本発明に用いる支持体としては、特に限定されないが、プラスチック等の透明材料よりなる非吸水性支持体、紙等の不透明材料からなる吸水性支持体のいずれをも使用できる。一方、黄変防止機能の持続期間は記録媒体に含有される特定含イオウ有機酸塩の全体量に依存するため、印字品位に影響を与えず特定含イオウ有機酸を保持可能である吸水性支持体が好ましい。
【0109】
特に、吸水性支持体にスルフィン酸化合物及び又はチオスルフィン酸化合物を含有した吸水性支持体は、黄変防止及び受容層形成時のクラック発生を抑制するため好ましい。吸水性支持体へのスルフィン酸化合物及び又はチオスルフィン酸化合物の添加方法は、前記含イオウ化合物の溶解液を塗工する方法でもよく、また、吸水性支持体を前記溶解液に浸漬しても良い。
【0110】
染料などの色材を受容してこれを固定するインク受容層の透明性を生かす上では、透明材料からなる非吸水性支持体又は高光沢性の不透明な非吸水性支持体を用いることが好ましい。また、記録媒体の表面にキャスト工程を施し、光沢面を形成する場合は、水や溶剤成分が基材裏面から蒸発するので、繊維状支持体、即ち、紙からなる吸水性支持体が好ましい。紙からなる吸水性支持体には、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスを原紙上に施したものや、原紙上にコート層を設けた、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙等も含まれる。
【0111】
吸水性支持体として紙を用いた場合は、紙(原紙)のセルロースパルプ繊維や地合いが完全に覆われるような厚みのコート層がインク受容層の下塗り層として設けられていることが好ましい。覆われていない場合、インク受容層の塗工時に、その繊維や地合いに起因する塗りムラ(スジ状欠陥等)が生じ易く、インク受容層中、若しくはインク受容層表面近傍や表面にセルロースパルプ繊維が存在していることになるので、記録媒体の表面にキャスト処理を施したとしても、良好且つ均質なキャスト面、即ち、写真調の高光沢面を得ることが困難となる場合がある。紙からなる吸水性支持体のセルロースパルプを覆うためには、コート層の乾燥塗工量が10g/m2以上、更には15g/m2以上であることが好ましい。
【0112】
紙からなる吸水性支持体を用いる場合には、ステキヒトサイズ度100〜400秒、ベック平滑度100〜500秒とすることが好適である。また銀塩写真同様の質感、高級感のある記録媒体を得るためには、紙からなる吸水性支持体の坪量としては160〜230g/m2、ガーレー剛度(J.Tappi No.40、縦目)が7〜15mNになるようにすることが好ましい。
【0113】
[インク受容層]
アルミナ水和物を含む塗工液は、少なくともアルミナ水和物、バインダーおよび必要に応じて架橋剤を含む塗工液であり、インク受容層用塗工液の調製においては、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上をアルミナ水和物分散液と混合し、得られた混合液と、バインダーであるポリビニルアルコール水溶液とを塗工の直前で混合して塗工液とするミキシング装置を使用することが好ましい。このようにすれば、製造工程中に生じる塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減することができるので、生産効率の向上を図ることができる。上記で使用するアルミナ水和物分散液中のアルミナ水和物にかかる固形分濃度は、10〜30重量%であることが好ましい。上記範囲を超える場合は、アルミナ水和物分散液の粘度が高くなり、インク受容層の粘度も高くなるので、塗工性に問題が生じる場合がある。
【0114】
後述する下塗り層や、上記のインク受容層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤等を、必要に応じて適宜に含有させることができる。後述する下塗り層や、上記のインク受容層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤等を、必要に応じて適宜に含有させることができる。
【0115】
本発明において好適なバインダーとして水溶性樹脂が好ましく、特にポリビニルアルコール樹脂が好ましい。好ましいポリビニルアルコールとして、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコールが好ましい。また、ポリビニルアルコールの含有量はアルミナ水和物に対して、5〜20重量%になるようにするのが好ましい。
【0116】
本発明において好適に使用される架橋剤として、前記バインダーと架橋反応を起こして硬化可能なものが好ましい。特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、塗工液の経時安定性と、クラック発生の抑制効果の点から硼酸を用いることが好ましい。又、その使用量としては、インク受容層中のポリビニルアルコールに対して、硼酸固形分1.0〜15.0重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0117】
支持体上に特定含イオウ有機酸塩を含むインク受容層を形成した後、キャスト法で、インク受容層の表面に光沢面を形成することができる。その製造方法について説明する。キャスト法とは、湿潤状態、又は可塑性を有している状態にあるインク受容層を、加熱された鏡面状のドラム(キャストドラム)面に圧着し、圧着した状態で乾燥し、その鏡面をインク受容層表面に写し取る方法であり、代表的な方法として、直接法、リウェット法(間接法)、凝固法の3つの方法がある。これらのキャスト法は、何れも、利用できるが、前記工程でインク受容層内に添加した特定含イオウ有機酸塩は前記受容層に水分を供給することで受容層内で特定含イオウ有機酸塩を良好に拡散する効果が確認されているため、ウエットキャスト法がより好ましい。このウエットキャスト法を用いることによってインク受容層表面に高光沢性が得られるとともに黄変防止効果を更に向上させることができるので、より好ましい。
【0118】
インク受容層、表面処理工程などにおける各塗工液の塗工は、適正塗工量が得られるように、例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーター、サイズプレス等の各種塗工装置を適宜選択して用い、オンマシン、オフマシンで塗工される。塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。塗工後の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
【0119】
高インク吸収性、高定着性等の目的及び効果を達成する上で、その細孔物性が、下記の条件を満足するものであることが好ましい。先ず、インク受容層の細孔容積は、0.1〜1.0cm3/gの範囲内にあることが好ましい。即ち、細孔容積が、上記範囲に満たない場合は、十分なインク吸収性能が得られず、インク吸収性の劣ったインク受容層となり、場合によっては、インクが溢れ、画像に滲みが発生する恐れがある。一方、上記範囲を超える場合は、インク受容層に、クラックや粉落ちが生じ易くなるという傾向がある。又、インク受容層のBET比表面積は、20〜450m2/gであることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、十分な光沢性が得られないことがあり、又、ヘイズが増加するため(透明性が低下するため)、画像自体に白もやが見られる恐れがある。更に、この場合には、インク中の染料の吸着性の低下を生じる恐れもあるので好ましくない。一方、上記範囲を超えると、インク受容層にクラックが生じ易くなるので好ましくない。尚、細孔容積、BET比表面積の値は、窒素吸着脱離法により求められる。
【0120】
又、インク受容層の乾燥塗工量は30〜50g/m2となるようにすることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、特に、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクに、ブラックインクの他、複数の淡色インクが加えられているようなプリンターに用いた場合に、十分なインク吸収性が得られず、即ち、インク溢れが生じ、ブリーディングとなる場合が発生したり、基材にまでインク染料が拡散し、印字濃度が低下する場合があるので好ましくない。一方、上記範囲を超える場合には、クラックの発生を抑え切れないことが生じる恐れがある。更には、30g/m2より多いと、高温高湿環境下においても十分なインク吸収性を示すインク受容層が得られるので好ましく、乾燥塗工量を50g/m2以下とすると、インク受容層の塗工ムラが生じにくくなり、安定した厚みのインク受容層を製造できる。
【0121】
本発明のインクジェット用記録媒体に色材防止剤を添加してもよい。色材劣化防止材とはインク受容層中に染料とともに存在したさい、ガス及び光などの染料を劣化させる要因より染料を守り、染料の耐候性を向上させる化合物のことを言う。一般的な例を挙げると、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、チオウレア系化合物、チウラム系化合物、ホスファイト系化合物などが挙げられ、特にヒンダードアミン化合物が好ましくもちいられるが、これらのものに限定されるものではない。
【0122】
上記のインク受容層における、ヒンダードアミンの好ましい含有量としては、顔料固形分に対して0.5〜10重量%の範囲内が好ましい。上記の下限以上にすることで、十分な褪色抑制効果が得られる。また、上記の上限以下とすることで、インク吸収性の低下が起こるのを防ぐことができる。
【0123】
本発明における色材劣化防止材は溶媒に溶解した調整液を、前記形成後の受容層にコーバーコートにより、受容層内に添加することが好ましい。前記色剤劣化防止剤を溶解する溶剤は、前記色剤劣化防止剤が溶解可能であれば良く、各種溶剤の使用出来る。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類、イソプロパノール、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。また、前記色材劣化防止材を含むオーバーコート液に特定含イオウ有機酸塩を溶解し、特定含イオウ有機酸をオーバーコート工程で受容層に添加しても良い。前記色材劣化防止材と特定含イオウ有機酸塩の溶解には複数の溶媒を使用した混合溶媒を用いても良い。
【0124】
以上説明した本発明製造方法によれば、インク受容層中に拡散可能な特定含イオウ有機酸を塩の状態あるいは解離状態でアルミナ水和物と電気的に結合することなく、拡散可能な状態で存在させることが可能である。
【実施例】
【0125】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。先ず、本発明において使用した各種の物性値の測定方法や、評価方法について説明する。
【0126】
<物流保存>
記録媒体の製造後から商品が販売店に納品されるまでに期間(物流期間)に相当する保存環境と同等の保存条件で保存する方式とした。前記物流保存条件は日本国内で製造後、海上輸送でアムステルダムに輸送したのと同等条件に相当する。保存方法は記録媒体をPETフィルム容器に入れて、50℃、80%R.H.の環境で10日間保存する方式とした。
【0127】
<ファイルホルダ保管時の白地部の黄変評価>
評価方法は50mm×80mmの未印字の試験片を樹脂ファイルホルダ(コクヨ製NAME CARD HOLDER60)に前記試験片を樹脂ファイルホルダから50mm×10mm出した状態で保管して室内で3ヶ月間保存する方式とした。
この際に、ファイルホルダ保管時の白地部の黄変評価は、前記試験片の白地部で樹脂ファイルホルダから出した50mm×10mmの部分を目視で評価した。
A:黄変が認められず、保存前の白地と比較して差が見られない良好なレベル
B:黄変が判らないが、保存前の白地と比較して黄変が確認される程度の実用可能レベル
C:試験片の周辺部分に黄変が認められ、白いふちが有る画像では実用化できないレベル
D:黄変が酷く、実用化できないレベル
【0128】
<BHT暴露時の白地部の黄変評価>
評価方法は25mm×200mmの未印字の試験片を、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール(BHT)を5g入れたサンプル管瓶(口径27mm、深さ120mm)に、サンプル管瓶から試験片を80mmを出した状態で保管して、50℃、120時間保存,120時間保存及び240時間保存を行う方式とした。また、前記保存条件は、樹脂ファイルホルダ内で50℃,120時間の保管は室温保存6ヶ月に相当し、240時間保存は1年相当する加速劣化試験条件である。
【0129】
この際に、ファイルホルダ保管時の白地部の黄変評価は、前記試験片の白地部で樹脂ファイルホルダから出した50mm×10mmの部分を分光光度計・スペクロトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定結果と保管前の白地濃度の濃度差を用いて、白地黄変レベルを評価した。
白地黄変レベル(Δb*)=保管前のb*−保管後のb*
A:Δb*≦2目視で黄変が認められず、良好なレベル
B:2<Δb*≦3目視で黄変がまったく気にならないレベル
C:3<Δb*≦6目視で黄変が判るが、実用上可能なレベル
D:Δb*>6 黄変が酷く、実用化できないレベル
【0130】
<印字濃度の評価>
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:PIXUS 950iキヤノン製)を用いて、上記の各記録媒体の記録面にブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、の100%Dutyのベタバッチを印字し、25℃,50%R.H.環境で3日間保存後、分光光度計・スペクトロリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測色を行いOD値を評価した。
A:OD値が2.20以上であり、高濃度部の階調再現性が非常に良く、実用性が高いもの。
B:OD値か2.10以上2.20未満であり、Aより高濃度部の階調再現性が落ちるが、実用上問題がないレベル
C:OD値が2.00以上2.10未満であり、高濃度部の階調再現性が低いが、実用可能なレベル
D:OD値が1.90以上1.90未満であり、高濃度部の階調再現性は悪く、印字濃度が薄く実用化できないレベル
【0131】
<インク吸収性の評価>
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:PIXUS 950iキヤノン製)を用いて、上記各記録媒体の記録面に2次色のグリーンを100%から240%まで20%ずつ打ち込み量を変化させて、ビーディングが起きていない打ち込み量を目視で評価した。
A:打ち込み量が140%以上でもビーディングが無く、実用上良好なレベル。
B:打ち込み量が120%以上140%未満でビーディングが無く、問題なく実用可能なレベル。
C:打ち込み量が100%以上120%未満で、ビーディングが無く、実用可能なレベル
D:打ち込み量100%未満でビーディングがないが、実用上、実用困難なレベル。
【0132】
<塗工適正(クラック)の評価>
インク受容層形成後の記録媒体(A4サイズ)について、受容層表面のクラックを目視で評価した。
A:クラック数が6未満であり、実用上良好なレベル。
B:クラック数が6以上10未満であり、実用困難なレベル。
C:クラック数が10以上で、実用不可レベル。
【0133】
<総合評価>
総合評価は下記のように行った。
◎:前記全ての評価項目でCランクが無く、実用性が高いもの
○:一部の評価でCを含むが、前記全ての項目でDがなく、実用可能なもの
×:前記評価項目で一つ以上のDを含み、実用困難なもの
【0134】
[実施例1]
<支持体の作製>
先ず、下記のようにして支持体を作製した。濾水度450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80重量部、濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20重量部からなるパルプスラリーに、カチオン化澱粉0.60重量部、重質炭酸カルシウム10重量部、軽質炭酸カルシウム15重量部、アルキルケテンダイマー0.10重量部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03重量部を外添して紙料を調整後、長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、酸化澱粉水溶液を固形分で1.0g/m2となるように含浸し、乾燥後、マシンカレンダー仕上げをし、坪量155g/m2、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの支持体を得た。
【0135】
次に、上記で得た支持体上に、以下のようにして下塗り層を形成した。先ず、下塗り層の形成に使用する塗工液として、カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard社製)/酸化亜鉛/水酸化アルミナの、重量比65/10/25からなる填量100重量部と、市販のポリアクリル酸系分散剤0.1重量部とからなる固形分濃度70重量%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7重量部を添加して、固形分60重量%になるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/m2になるように、ブレードコーターで、支持体の両面に塗工し、乾燥した。その後、マシンカレンダー仕上げをし(線圧150kgf/cm)、坪量185g/m2、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き支持体を得た。下塗り層付き支持体の白色度は、断裁されたA4サイズ5枚のサンプルに対して各々測定し、その平均値として求めた。その結果、L*:95、a*:0、b*:−2であった(JIS Z 8729の色相として求めた)。
【0136】
(表面処理工程)
上記で得た下塗り層に対して、下記の工程からなる表面処理を行なった。先ず、30℃に加温した下記組成のプレコート液を、エアーナイフコータでウェットの塗工量16g/m2(乾燥させた場合の塗工量は0.8g/m2である)になるよう、毎分30mで塗工した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
(アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液の塗工工程:工程B)
【0137】
次に、インク受容層を形成したが、上記の表面処理工程での塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、そのまま下塗り層上にインク受容層を形成した。その際の、インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。
【0138】
アルミナ水和物AとしてDisperal HP13(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が5重量%になるように分散させ、次いで、これに塩酸を加え、pH値を4に調整してしばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、その温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま苛性ソーダによりpH値を10に調整し、10時間攪拌を行ない、その後、分散液の温度を室温に戻し、pH値を7〜8に調整した。更に脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理して、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折により測定したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。又、この時のBET比表面積は143g/m2、細孔容積は0.8cm3/gであり、電子顕微鏡での観察では、平板状であった。
【0139】
一方、ポリビニルアルコールPVA117(クラレ(株)製)をイオン交換水に溶解して、固形分9重量%の水溶液を得た。そして、上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して22.5重量%の分散液を作製し、そこに3%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50重量%になるように添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比が100:8になるように混合し、その直後に、これをインク受容層用の塗工液とし、これをダイコータで乾燥塗工量で35g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。
【0140】
(オーバーコート工程)
次に、下記オーバーコート液をダイコータで塗工をおこないウエット塗工量で30g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、120℃で乾燥してインク受容層を形成した。
(オーバーコート液処方)
化合物II−1:2.2g
イオン交換水を用いて希釈後、0.05N硝酸を用いて塗工液pHを5.0に調整し、イオン交換水を用いて総量100gに調整
【0141】
<裏面の形成>
次に、支持体のインク受容層を設けたとは反対側の面の下塗り層上に、以下のようにして裏面層を形成した。アルミナ水和物としてDisperal HP13/2(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が18重量%になるように分散させ、その後、遠心分離処理を施した。この分散液と、インク受容層の形成に用いたと同様のポリビニルアルコール水溶液とをスタティックミキサで、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合後、すぐにダイコータで乾燥塗工量が23g/m2になるように毎分35mで塗工した。そして、170℃で乾燥し、裏面層を形成して記録媒体を得た。
【0142】
[実施例2]
実施例1のオーバーコート液pHが6.0になるように0.05N硝酸で調整後、イオン交換水を用いて総量100gに調整したオーバーコート液に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0143】
[実施例3]
実施例1のオーバーコート液pHが6.2になるように0.05N硝酸で調整後、イオン交換水を用いて総量100gに調整したオーバーコート液に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0144】
[実施例4]
実施例1のオーバーコート液pHが7.3になるように0.05N硝酸で調整後、イオン交換水を用いて総量100gに調整したオーバーコート液に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0145】
[実施例5]
実施例1のオーバーコート液pHが8.3になるように0.05N硝酸で調整後、イオン交換水を用いて総量100gに調整したオーバーコート液に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0146】
[実施例6]
実施例2のオーバーコート液処方中の化合物II−1の添加量を2.2gから0.55gに変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0147】
[実施例7]
実施例2のオーバーコート液処方中の化合物II−1の添加量を2.2gから1.1gに変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0148】
[実施例8]
実施例2のオーバーコート液処方中の化合物II−1の添加量を2.2gから1.65gに変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0149】
[実施例9]
実施例2のオーバーコート液処方中の化合物II−1の添加量を2.2gから8.8gに変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0150】
[実施例10]
実施例2のオーバーコート液処方中の化合物II−1の添加量を2.2gから13.2gに変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0151】
[実施例11]
実施例2のオーバーコート液処方中の化合物II−1の添加量を2.2gから17.6gに変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0152】
[実施例12]
実施例2の化合物II−1を化合物II−2に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0153】
[実施例13]
実施例2の化合物II−1を化合物I−1に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0154】
[実施例14]
実施例2の化合物II−1を化合物I−2に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0155】
[比較例1]
実施例1のオーバーコート液を下記のものに変更し以外、同様にインク受容層を形成した。
(オーバーコート液組成)
p−トルエンスルフィン酸:2.2g
エタノールを用いて総量100gに調整
【0156】
[比較例2]
実施例1のオーバーコート液を下記のものに変更し以外、同様にインク受容層を形成した。
(オーバーコート液組成)
p−トルエンスルフィン酸:8.8g
エタノールを用いて総量100gに調整
【0157】
[比較例3]
実施例1のオーバーコート液pHが3.0になるように0.05N硝酸で調整後、イオン交換水を用いて総量100gに調整したオーバーコート液に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。その後、0.05N硝酸をメイヤーバーで塗工して、表面及び内部pHが3.0に調整した。
【0158】
[比較例4]
実施例1のオーバーコート液pHが4.2になるように0.05N硝酸で調整後、イオン交換水を用いて総量100gに調整したオーバーコート液に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。その後、0.05N硝酸をメイヤーバーで塗工して、表面及び内部pHが4.2に調整した。
【0159】
[比較例5]
実施例1のオーバーコート工程を除いた以外、同様にインク受容層を形成後、0.05N硝酸をメイヤーバーで塗工して、表面及び内部pHが4.2に調整した。
【0160】
[比較例6]
支持体に実施例1に記載のプレコート液を下記プレコート液に替えて塗工後、アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液の塗工工程(工程B)で下記塗工液Bをダイコータで乾燥塗工量で35g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。このとき、塗工液B調液の際に、アルミナが凝集して固化したため、支持体上への塗工不可となり、受容層が形成できなかった。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
(塗工液B)
実施例1に記載のコロイダルゾルを濃縮して22.5重量%の分散液 444.44gポリビニルアルコールPVA117(クラレ(株)製) 88.88g
ホウ酸 0.50g
化合物II−1 4.00
【0161】
[比較例7]
支持体に実施例1に記載のプレコート液を下記プレコート液に替えて塗工後、アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液の塗工工程(工程B)において下記塗工液Bをダイコータで乾燥塗工量で35g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
(塗工液B)
実施例1に記載のコロイダルゾルを濃縮して22.5重量%の分散液 444.44gポリビニルアルコールPVA117(クラレ(株)製) 88.88g
ホウ酸 0.50g
化合物II−1 0.40g
得られた実施例1〜14、比較例1〜7のインクジェット用記録媒体について、ファイルホルダ保管時の白地部の黄変評価、印字濃度、インク滲み、耐水性及び外観評価を実施した結果を表1に記載した。
【0162】
【表1】
Figure 0004693779
【0163】
実施例1は実用レベルであるが、受容層の表面及び内部pHを相対的に低めにしたことで、受容層内で化合物II−1の一部が酸として存在しているため、本発明の好ましい条件を示す実施例2,3,4より長期保存性能が劣る。また、実施例5は実用レベルであるが、受容層の表面及び内部pHを相対的に高くしたことで、化合物II−1の実施例2,3,4より黄変防止能力が劣った。これらから、本発明にとってインク受容層の表面及び内部pHは6.0以上7.5以下が特に好ましいといえる。
【0164】
一方、実施例6は実用レベルであるが、実施例2より黄変防止能力が劣る結果となり、また、実施例10,11も実用レベルであるが、記録媒体中の化合物II−1の高濃度化に起因すると推測される、印字濃度の低下が起きた。この印字濃度低下は、化合物II−1を通常使用では必要のないレベルまで過剰に添加したことによりインク受容層の透明性が低くなったためと推測している。これは、逆に、多量に添加しても、本発明の拡散効果が得られていることを示し、同時に、インク吸収性を所望の範囲にする程度に添加すれば実用レベルを得ることを示す。従って、拡散可能な特定含イオウ有機酸は、該アルミナ水和物に対してアルミナ換算で1.0質量%以上13質量%以下の範囲内で存在させることが特に好ましいといえる。
【0165】
尚、得られたインク用記録媒体中のアルミナ水和物に対する拡散可能な特定含イオウ有機酸の質量%及びインク定着域でのアルミナ水和物に対する特定含イオウ有機酸の質量%は、ミクロトームを用いて作製した記録媒体断面について、TOF−SIMSを用いたアルミナとイオウの存在比率の測定結果を基に、インク受容層中のアルミナ量に対する特定含イオウ有機酸の質量%の測定を行ったものである。上記で得たインク受容層の表面及び内部pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面及び内部pHの測定の内A法(塗布法)により、測定をおこない、前記A法に相当する株式会社共立理化研究所製の紙面用pH測定キット(形式MPC)を使用して、インク受容層の表面及び内部pHを測定を行った。また、インク受容層の内部pHは、上記方法で表面及び内部pH測定後にミクロトームで作製した断面をマイクロスコープで確認し、検査キットの塗布液がインク受容層に完全に浸透していること及び記録面から支持体までの範囲で、色むらが無く均一に呈色していることより、インク受容層の内部pHは表面及び内部pHと同一であることを確認したものである。
【0166】
[実施例15]
実施例1と同様にして支持体を作成した。
(表面処理工程:工程A2)
上記で得た支持体の下塗り層に対して、下記の工程からなる表面処理を行なった。先ず、30℃に加温した下記組成のプレコート液を、エアーナイフコータでウェットの塗工量16g/m2(乾燥させた場合の塗工量は0.8g/m2である)になるよう、毎分30mで塗工した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
化合物(II−1):4.1g
イソプロパノール:0.15g
【0167】
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
(アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液の塗工工程:工程B)
次に、インク受容層を形成したが、上記の表面処理工程での塗工後13秒後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、そのまま下塗り層上にインク受容層を形成した。その際の、インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、実施例1と同様である。
<裏面の形成>
次に、実施例1と同様の方法にて裏面層を形成した。
【0168】
[実施例16]
実施例15のプレコート液を下記組成に変更し、液温を30℃に管理した状態で塗工した。
以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
化合物(II−1):8.3g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0169】
[実施例17]
実施例15のプレコート液を下記組成に変更し、液温を40℃に管理した状態で、塗工と乾燥を3回繰り返して塗工した以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:1.7g
化合物(II−1):8.3g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0170】
[実施例18]
実施例15のプレコート液を下記組成に変更し、液温を40℃に管理した状態で、塗工と乾燥を4回繰り返して塗工した以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:1.25g
化合物(II−1):8.25g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0171】
[実施例19]
実施例16の支持体を白色PETフィルムに替えた以外、同様にインク受容層を形成した 。
【0172】
[実施例20]
実施例15のプレコート液を下記プレコート液と含イオウ有機酸塩の溶解液に変更して、含イオウ有機酸塩の溶解液を塗工後、プレコート液を塗工した以外、同様に受容層の形成を行った。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
(含イオウ有機酸塩の溶解液)
化合物(II−1):8.3g
イオン交換水:90g
0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0173】
[実施例21]
実施例15のプレコート液を下記プレコート液と含イオウ有機酸塩の溶解液に変更して、プレコート液を塗工後、含イオウ有機酸塩の溶解液を塗工した以外、同様に受容層の形成を行った。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整
(含イオウ有機酸塩の溶解液)
化合物(II−1):8.3g
イオン交換水:90g
0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整して、総量100gに調整
【0174】
[実施例22]
実施例16の支持体を化合物II−1溶液(5重量%)に30秒間浸漬して、支持対中に化合物II−1を1.25g/m2含有したものに替えて、下記のプレコート液に替えた以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0175】
[実施例23]
実施例17で得た受容層に、下記オーバーコート液をダイコータで塗工をおこないウエット塗工量で30g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、120℃で乾燥してインク受容層を形成した。
(オーバーコート液処方)
化合物II−1:4.4g
イオン交換水を用いて希釈後、0.05N硝酸を用いて塗工液pHを6.0に調整し、イオン交換水を用いて総量100gに調整
【0176】
[実施例24]
実施例16の支持体を化合物II−1溶液(10重量%)に90秒間浸漬して、支持対中に化合物II−1を6.7g/m2含有したものに替えて、下記のプレコート液に替えた以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH9.5に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0177】
[実施例25]
実施例15のプレコート液を下記の組成に替えた以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
化合物(II−1):8.3g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH5.0に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0178】
[実施例26]
実施例15のプレコート液を下記の組成に替えた以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
化合物(II−1):8.3g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH7.2に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
【0179】
[実施例27]
実施例15のプレコート液を下記の組成に替えた以外、同様にインク受容層を形成した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
化合物(II−1):8.3g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH8.1に調整して、イオン交換水を加えて総量100gに調整
【0180】
[実施例28]
実施例15の化合物II−1を化合物I−1に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0181】
[実施例29]
実施例1の化合物II−1を化合物II−2に変更した以外、同様にインク受容層を形成した。
【0182】
[比較例8]
実施例15の支持体に下記プレコート液を塗工して、下記オーバーコート液を塗工して120℃で乾燥を行い、その上に実施例1と同様にしてインク受容層を形成した後、0.05N硝酸を塗工してインク受容層のpHを4.2に調整した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH5.0に調整し、イオン交換水で総量100gに調整
(オーバーコート液組成)
p−トルエンスルフィン酸:0.6g
エタノールを用いて総量100gに調整
【0183】
[比較例9]
オーバーコート液を下記オーバーコート液に変更した以外は比較例9と同様にインク受容層を形成した後、0.05N硝酸を塗工してインク受容層のpHを4.2に調整した。
(オーバーコート液組成)
p−トルエンスルフィン酸4.4gをイオン交換水に溶解して総量90gに調整後、0.05Nの硝酸でpH4.2に調整後、イオン交換水で総量を100gに調整した。
【0184】
[比較例10]
オーバーコート液を下記オーバーコート液に変更した以外は比較例9と同様にインク受容層形成後、0.05N硝酸を塗工してインク受容層のpHを4.2に調整した。
(オーバーコート液組成)
p−トルエンスルフィン酸:22.1gをイオン交換水に溶解して総量90gに調整後、0.05Nの硝酸でpH4.2に調整後、イオン交換水で総量を100gに調整した。
【0185】
[比較例11]
プレコート液を下記に変更した以外、実施例15と同様にインク受容層を形成した後、0.05N硝酸を塗工してインク受容層のpHを4.2に調整した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
化合物(II−1):4.1g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH3.8に調整して、イオン交換水で総量100gに調整。
【0186】
[比較例12]
プレコート液を下記プレコート液に変更した以外は実施例18と同様にしてインク受容層を形成した後、0.05N硝酸を塗工してインク受容層のpHを4.2に調整した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:1.25g
化合物(II−1):8.25g
イソプロパノール:0.15g
上記の各成分とイオン交換水を混合して総量90gに調整後、0.05N硝酸及び0.05N水酸化ナトリウムを用いてpH3.8に調整して、イオン交換水で総量100gに調整。
【0187】
得られた夫々のインクジェット用記録媒体について、ファイルホルダ保管時の白地部の黄変評価、印字濃度、インク滲み、耐水性及び外観評価を実施した結果を表1に記載した。また、得られたインク用記録媒体中のアルミナ水和物に対する含イオウ有機酸の重量%及びインク定着域でのアルミナ水和物に対する含イオウ有機酸の重量%は、ミクロトームを用いて作製した記録媒体断面について、TOF−SIMSを用いたアルミナとイオウの存在比率の測定結果を基に、インク受容層中のアルミナ量に対する含イオウ有機酸の重量%の測定を行った。
【0188】
上記で得たインク受容層の表面及び内部pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面及び内部pHの測定の内A法(塗布法)により測定をおこない、前記A法に相当する株式会社共立理化研究所製の紙面用pH測定キット(形式MPC)を使用して、インク受容層の表面及び内部pHの測定を行った。また、インク受容層の内部pHは、上記方法で表面及び内部pH測定後にミクロトームで作製した断面をマイクロスコープで確認し、検査キットの塗布液がインク受容層に完全に浸透していること及び記録面から支持体までの範囲で、色むらが無く均一に呈色していることより、インク受容層の内部pHは表面及び内部pHと同一であることを確認した。
【0189】
得られた夫々のインクジェット用記録媒体について、ファイルホルダ保管時の白地部の黄変、印字濃度、インク吸収性、クラックを評価した結果を表2に記載した。
【0190】
【表2】
Figure 0004693779
【0191】
実施例25は実用レベルであるが、受容層の表面及び内部pHを相対的に低めにしたことで、受容層内で化合物II−1の一部が酸として存在しているため、本発明の好ましい条件を示す実施例15、26との対比の範囲においてインク吸収性が低下していた。また、実施例27は実用レベルであるが、受容層の表面及び内部pHを相対的に高くしたことで、化合物II−1の実施例16、17、18との対比の範囲において印字濃度が低くなった。これらから、本発明にとってインク受容層の表面及び内部pHは6.0以上7.5以下が、特に好ましいといえる。
【0192】
【産業上の利用可能性】
本発明の技術思想からすれば、BHTが吸着されるような微細孔を有する物品に対して、拡散可能なスルフィン酸及びチオスルホン酸を導入することによって、BHTの不活性化が実施でき、結果として、長期の格別な黄変防止効果を得ることができる。この点からすると、本発明の応用は多分野に展開でき、アルミナ水和物以外の微細多孔質体にも応用できることは当事者ならば、十分理解できるものである。
【0193】
この出願は2004年10月15日に出願された日本国特許出願番号第2004−301819及び2004年11月19日に出願された日本国特許出願番号第2004−336605からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。

Claims (7)

  1. 多孔質体部位として支持体上にインク受容層を設けたインクジェット用記録媒体において、
    前記インク受容層に、アルミナ水和物とバインダー及び拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸を有し、
    前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して、前記含イオウ有機酸が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、
    前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも記録面側に位置し、
    前記インク受容層の表面及び内部pHが5.0以上8.5以下であることを特徴とするインクジエット用記録媒体。
  2. 前記拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸が、前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して20μmの範囲に、アルミナに換算した前記アルミナ水和物に対して1.0重量%以上8重量%以下の範囲内で存在する請求項1に記載のインクジェット用記録媒体
  3. 前記支持体は吸水性支持体であり、前記吸水性支持体が、拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1または2に記載のインクジェット用記録媒体
  4. スルフィン酸化合物及びチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸イオン及び前記含イオウ有機酸イオンと塩の形成が可能なカチオンを含む第一塗工液を支持体上に塗工する第1の塗工工程と、
    前記第1の塗工工程後の塗工面に多孔質体を形成するアルミナ水和物とバインダーを含む第二塗工液を塗工する第2の塗工工程と、
    乾燥により前記アルミナ水和物とバインダーからなる多孔質体部位を形成する工程と、
    前記多孔質体部位を吸湿する工程とを有し、
    第一塗工液のpHが6.0以上10.0以下であること特徴とする多孔質体部位を含むインクジェット用記録媒体の製造方法
  5. 請求項4に記載の製造方法によって作られた、前記多孔質体部位として支持体上にインク受容層を設けたインクジエット用記録媒体であって、
    前記インク受容層に、アルミナ水和物とバインダー及び拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸を有し、
    前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して、前記含イオウ有機酸が相対的に濃度の高い高濃度部位と相対的に濃度が低い低濃度部位を含み、
    前記高濃度部位が、前記低濃度部位よりも記録面側に位置しており、
    前記支持体は吸水性支持体であり、前記吸水性支持体が、拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とするインクジエット用記録媒体。
  6. 前記拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも一つの含イオウ有機酸が、前記インク受容層の記録面側から深さ方向に対して20μmの範囲に、アルミナに換算した前記アルミナ水和物に対して1.0重量%以上8重量%以下の範囲内で存在する請求項5に記載のインクジェット用記録媒体。
  7. 前記支持体は吸水性支持体であり、前記吸水性支持体が、拡散可能なスルフィン酸化合物及び拡散可能なチオスルフィン酸化合物から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項5または6に記載のインクジェット用記録媒体。
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