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JP4640003B2 - スラストニードル軸受を備えた回転支持部 - Google Patents

スラストニードル軸受を備えた回転支持部 Download PDF

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JP4640003B2 JP2005201377A JP2005201377A JP4640003B2 JP 4640003 B2 JP4640003 B2 JP 4640003B2 JP 2005201377 A JP2005201377 A JP 2005201377A JP 2005201377 A JP2005201377 A JP 2005201377A JP 4640003 B2 JP4640003 B2 JP 4640003B2
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Description

本発明は、自動車用(手動或いは自動)変速機、エアコンディショナ用のコンプレッサ等の補機、エアコンプレッサ等の各種一般産業用機械装置を構成する、スラストニードル軸受を備えた回転支持部の改良に関する。
各種機械装置の回転支持部で、運転時にスラスト荷重が加わる部分に組み込む軸受として、スラストニードル軸受が、例えば特許文献1〜3に記載されている様に、従来から広く使用されている。図1は、このうちの特許文献1に記載されている、スラストニードル軸受を備えた回転支持部の1例を示している。この図1に示した構造は、自動車用手動変速機に組み込まれるメインシャフトにギヤを回転自在に支持する回転支持部に関するものである。図示しないクラッチ機構を介してエンジンのクランクシャフトに結合されたメインシャフト1は、大径部2と小径部3とを段部4で連続させた外周面形状を有する。又、全体を環状に形成されたギヤ5は、上記メインシャフト1の小径部3の外径よりも大きな内径を有する。
このギヤ5の内周面と上記小径部3の外周面との間にはラジアルニードル軸受6を、上記段部4とギヤ5の端面5aとの間にはスラストニードル軸受7を、それぞれ設ける事により、メインシャフト1に対するギヤ5の回転を自在としている。上記ラジアルニードル軸受6を構成する複数のニードル8は保持器9により、スラストニードル軸受7を構成する複数のニードル10は保持器11により、それぞれ転動自在に保持している。更に、上記スラストニードル軸受7を構成するニードル10とメインシャフト1の段部4との間には、肌焼鋼等の硬質金属板製で円輪状のレース12を設けている。
このレース12の内周部分は、上記段部4と反対側に折れ曲がった折れ曲がり部13を形成し、この折れ曲がり部13の先端面を上記ラジアルニードル軸受6の保持器9に近接させると共に、上記スラストニードル軸受7を構成する保持器11の内周縁を上記折れ曲がり部13の外周面に近接させて、これら両保持器9、11同士の干渉を防止し、干渉により両軸受6、7の機能が損なわれない様にしている。
上述の様な回転支持部を構成する、上記スラストニードル軸受7に組み込む、上記レース12の厚さ寸法に就いて従来は、摩耗防止の面からは特に考慮していなかった。この理由は、上記レース12を添設する上記段部4が平坦面であり、このレース12のうちで、上記各ニードル10の転動面が転がり接触しているスラスト軌道面14と反対側部分はその全面に亙って、上記段部4に当接している為である。即ち、このスラスト軌道面14部分は、この段部4により全面に亙ってバックアップされていると考えて、上記レース12の厚さ寸法を小さく抑え、上記内周部分の折れ曲がり部13や、外周縁部分の円筒部15の加工を容易に行なえる様にしている。
これに対して、レースを添設する面の一部に凹溝等の、当該レースをバックアップしない部分(非バックアップ部)が存在する場合には、スラスト転がり軸受の軌道輪に曲げ応力が加わる事が、例えば非特許文献1に記載される等により従来から知られている。この為、上記非バックアップ部が存在する構造に使用するスラスト転がり軸受用のレースの場合には、その厚さ寸法を大きくする事が、従来から行なわれている。但し、例えば図1に示す様に、スラスト軌道面14全体がバックアップされている構造の場合には、加工容易性の面から、レースの厚さ寸法を小さく、具体的には、この厚さ寸法を、このレースと組み合わされるニードルの直径の0.3〜0.4倍程度に抑えていた。
上記スラスト軌道面全体がバックアップされている構造の場合に、上記厚さ寸法を上述の程度に抑えている理由は、次の通りである。即ち、ニードルの転動面とレースの軌道面との接触部の如き転がり接触下での、最大剪断応力の発生位置は、ニードル(転動体)の直径Daの2%程度と考えられている。この場合に、通常のヘルツ理論では、上記最大剪断応力の発生位置を計算するのに、転がり接触下の深さを半無限大とするが、上記スラスト軌道面がバックアップされている場合には、最大剪断応力発生位置の10倍、即ち、軌道表面からニードルの直径Daの0.2倍程度の深さ位置迄を考慮すれば良い事が、経験的に知られている(例えば特許文献4の明細書の段落番号[0013]部分参照)。要するに、最大剪断応力の発生位置より深部でも剪断応力が発生し、レースの疲れ寿命に影響を及ぼすが、このレースが支えられている(バックアップされている)場合には、軌道表面からニードルの直径Daの0.2倍程度の深さ位置迄の剪断応力に就いて考慮すれば、レースの耐久性確保の面から特に問題はない事が、経験的に知られている。そこで、安全率を考慮して、上述の様に、レースの厚さ寸法をニードルの直径の0.3〜0.4倍程度にしていた。
前述の様な事情により、スラストニードル軸受を構成するレースを添設する部分に、凹溝、油孔等の非バックアップ部が存在する場合には、従来からこのレースの厚さ寸法を大きくする様にしていた。これに対して、上記部分にこの様な非バックアップ部が存在しない場合には、上述の様に、転がり接触に基づく剪断応力が影響する深さを大きく越えてまで、上記厚さ寸法を大きくする必要はないと考えられていた。ところが、本発明者等の研究により、上記非バックアップ部が存在しない、言い換えれば、レースを添設するバックアップ面がこのレースに対し、軌道面と反対側部分で全面に亙って当接していても、条件によっては、このレースの耐久性とは別に、上記バックアップ面が摩耗する可能性がある事が分かった。
この様なバックアップ面の摩耗が発生する理由に就いて、図2〜3により説明する。レース12は、ニードル10から加えられるスラスト荷重に基づき、図2に誇張して示す様に弾性変形する。従来は、上記レース12のスラスト軌道面14全体がバックアップされていれば、この様な弾性変形は殆ど生じないものと考えられていたが、実際上は生じる事が分かった。特に、肌焼鋼、浸炭鋼等の硬質金属により造られる上記レース12の硬度はHv600〜800であるのに対し、このレース12をバックアップする、メインシャフト1(図1参照)や補機のハウジングを構成する金属材料の硬度はこれよりも低い。例えば、上記メインシャフト1等を構成する炭素鋼の硬度はHv200〜400程度、上記ハウジングを構成するアルミニウム合金の硬度はHv50〜200程度であり、何れも上記レース12の硬度よりも低い。
従って、上記レース12のスラスト軌道面14全体が、上記メインシャフト1或いはハウジング等、スラスト荷重を支承する部材にバックアップされていたとしても、スラスト荷重が大きくなると、上記ニードル10の転動に伴って上記レース12が、図2に誇張して示す様に弾性変形する。スラストニードル軸受には、図3に示す様に複数本のニードル10、10が円周方向に関して等間隔に、放射状に配置されており、スラストニードル軸受の運転時には、上述の様な弾性変形が頻繁に繰り返される。即ち、上記レース12は、図3に示す様に、上記各ニードル10、10が転がり接触している部分で、上記スラスト軌道面14側が凹面となる方向に弾性変形し、円周方向に隣り合うニードル10、10同士の間では、平坦な状態にまで弾性的に復元する。
要するに、上記スラストニードル軸受の運転時に上記レース12は、上記各ニードル10、10の公転運動に伴って、弾性変形した部分が円周方向に移動する。この弾性変形した部分は、上記メインシャフト1或いはハウジング等、スラスト荷重を支承する部材の側が凸面となる。この為、上記スラストニードル軸受の運転時に、上記レース12と上記部材の表面(バックアップ面)との当接部は、頻繁に押し付けと解除とを繰り返す。そして、上記レース12は、超音波モータの如き(或いは尺取虫の如き)挙動で、上記スラスト荷重を支承する部材に対し、緩徐に(低速で)回転する。この回転は緩徐ではあるが、接触面圧が高い為、長期間に亙る使用に伴って、(レース12に比べて硬度が低い)上記スラスト荷重を支承する部材側のバックアップ面が摩耗する。前記非特許文献1には、この様な原因で発生するバックアップ面の摩耗に就いては記載されていない。
剛性の低いハウジングに軌道輪を組み付けた場合に、この軌道輪の弾性変形を防止する為の技術としては、特許文献4に記載されている技術が、従来から知られている。この従来技術の場合、ベルト式無段変速機のプーリを支持する為のラジアル転がり軸受の外輪の最小肉厚を、転動体の直径の0.4〜0.8倍とするものである。この最小肉厚をこの範囲に規制する事で、上記外輪の大型化を防止しつつ、外輪の弾性変形を抑え、転がり接触部を構成する各面の剥離寿命を確保できる。但し、上記特許文献4に記載された構造は、あくまでもラジアル転がり軸受内部の剥離寿命確保を図るものであって、スラストニードル軸受を構成するレースのバックアップ面の摩耗を防止する事に就いては、全く考慮していない。
特開平2−163509号公報 特開平8−109925号公報 特開2001−41252号公報 特開2004−52966号公報 武村浩道、村上保夫、古村恭三郎、「曲げ応力下における転がり寿命」トライボロジー会議予稿集(盛岡、1992−10)、社団法人日本トライボロジー学会、1992年10月、p.793−796
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、スラストニードル軸受を構成するレースのバックアップ面の剛性が低い場合でも、このバックアップ面の摩耗を防止できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のスラストニードル軸受を備えた回転支持部は、互いに相対回転する1対の部材の一部に設けられた、互いに平行な1対の平面同士の間に、スラストニードル軸受を設置する事により構成している。
このうちのスラストニードル軸受は、金属板製で円輪状に形成され、軸方向片側面をスラスト軌道面とした、少なくとも1枚のレースと、それぞれの中心軸をこのレースの直径方向に一致させた状態で、上記スラスト軌道面に沿って放射状に配列された複数本のニードルとを備える。
そして、上記レースの軸方向他側面のうちで少なくともスラスト軌道面と反対側部分を、このレースに対向する平面に対し全面に亙って当接させた状態で上記両平面同士の間に設けられ、これら両平面を設けた1対の部材同士の間に加わるスラスト荷重を支承しつつこれら両部材の相対回転を許容する。
特に、本発明のスラストニードル軸受を備えた回転支持部に於いては、上記レースの軸方向他側面を当接させる平面を有する部材が、補機のハウジングの如き、アルミニウム合金製であって、この平面の硬さがHv200以下である。そして、上記レースの厚さをTとし、上記各ニードルの直径をDaとした場合に、1.5mm≦T≦5mmで、且つ、0.5Da≦T≦1.5Daを満たす
上述の様に構成する本発明のスラストニードル軸受を備えた回転支持部は、図4に示す様に、レース12aの厚さをTとし、上記各ニードルの直径をDaとした場合に、1.5mm≦T≦5mmで、且つ、0.5Da≦T≦1.5Daを満たす様に、十分に大きくしているので、このレース12aを添設するバックアップ面である平面を有する部材がアルミニウム合金製であって、この平面の硬さがHv200以下と、このバックアップ面の剛性が低い場合でも、このバックアップ面の摩耗を防止できる。尚、上記レース12aの厚さTを、上記各ニードル10の直径Daとの関係で、1.5mm≦T≦5mmで、且つ、0.5Da≦T≦1.5Daにすれば、上記バックアップ面の摩耗を抑えられる事は、後述する実験結果からも明らかであるが、理論的には、次の様に考えられる。
本発明の対象となる回転支持部に組み込むスラストニードル軸受は、前述の特許文献4に記載された発明の対象となるラジアル転がり軸受とは異なり、負荷圏と非負荷圏との概念が存在しない。言い換えれば、スラストニードル軸受の場合、全周が負荷圏であり、総てのニードル10がスラスト荷重を負荷する。この面から、スラストニードル軸受の使用状態は、ラジアル転がり軸受の場合に比べて厳しいと言える。そこで、転がり接触下の深さを、前述した、従来から考えられている値である、最大剪断応力発生位置の10倍の更に2.5倍(合計で25倍)確保すれば、図4に示す様に、レース12aのスラスト軌道面14の弾性変形が、このスラスト軌道面14と反対側の面である、上記バックアップ面との当接面16に迄は伝わらなくなると考えられる。
上記最大剪断応力発生位置は、前述した通り、上記各ニードル10の直径Daの2%(0.02倍)であるから、上記レース12aの厚さTを、上記最大剪断応力発生位置の25倍、即ち、上記各ニードル10の直径Daの0.5倍(0.5Da=0.02Da×25)以上、或は1.5mm以上確保すれば、これら各ニードル10の転動面との転がり接触に基づく、上記レース12aのスラスト軌道面14の変形が、上記バックアップ面との当接面16に迄達する事を防止して、上記レース12aがこのバックアップ面を設けた部材に対し回転する事を防止し、このバックアップ面の摩耗を防止できる。
又、上記厚さ寸法Tを5mm以下に抑える事で、上記レース12aの重量が徒に嵩む事を防止できる。即ち、上記当接面16の変形防止の面からは、上記厚さ寸法Tは大きい程良いが、この厚さ寸法Tを徒に大きくしても、効果が飽和し、重量が嵩むだけになる。又、厚さ寸法Tが5mmを越えるレース12aを造る場合、このレース12aのスラスト軌道面14を平坦に加工する事が難しくなり、このスラスト軌道面14に微妙なうねりが生じ易い。そして、うねりが生じた場合には、うねりの頂部並びに上記ニードル10の転動面に過大な面圧が作用し、当該部分で早期剥離等の損傷が発生し易くなる。
これに対して、上記厚さ寸法Tを5mm以下に抑えれば、重量が徒に嵩む事を防止できるだけでなく、上記スラスト軌道面14を平坦に加工し易くなって、上述の様な不都合を何れも解消できる。尚、上記厚さ寸法Tを5mm以下に抑え、しかもT≧0.5Daなる条件を満たす為に、上記各ニードル10の直径Daは、10.0mm以下に抑える。
又、直径Daが小さなニードル10を使用する場合にも、T≧0.5Daに関係なく、上記厚さ寸法Tを1.5mm以上確保する事により、上記ニードル10の転動面との接触部の弾性変形が、上記レース12aのスラスト軌道面14と反対側の面である、バックアップ面との当接面16に迄伝わる事を有効に防止できる。
又、上記厚さ寸法Tと上記直径Daとの関係を、T≦1.5Daとしているので、この直径Daが比較的小さい場合にも、重量が徒に嵩む事を防止できる。尚、上記厚さ寸法Tを1.5mm以上確保し、しかもT≦1.5Daなる条件を満たす為に、上記各ニードル10の直径Daは、1.0mm以上確保する。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記各ニードル10の長さ寸法をLを、上記直径Daの1.6〜4倍(1.6Da≦L≦4Da)とする。
本発明を実施してその作用・効果を得る場合に於いて、上記長さ寸法Lと直径Daとの比L/Daの値は、本来は直接関係しないが、この比L/Daが小さ過ぎた(L/Da<1.6である)場合には、上記各ニードル10の挙動が不安定になり易い(スキューし易い)。又、上記比L/Daが大き過ぎた(L/Da>4である)場合には、上記各ニードル10の転動面と前記スラスト軌道面14との転がり接触部の差動滑りが大きくなる。
この為、何れの場合でも、本発明が解決しようとしている、バックアップ面の摩耗防止とは別の観点から、回転支持部の耐久性確保が難しくなる。
これに対して、1.6Da≦L≦4Daなる要件を満たせば、上記各ニードル10の挙動を安定させると共に、上記転がり接触部の差動滑りを低く抑えて、上記回転支持部の耐久性確保が容易になる。
本発明の効果を確認する為に行なった実験に就いて説明する。
この実験に使用したスラストニードル軸受は、内径が50mm、外径が80mm、各ニードル10のピッチ円直径が65mm、これら各ニードル10の直径Daが2.5mm、長さLが8mm、これら各ニードルの数Zが45個、基本動定格荷重Caが31500N、基本静定格荷重Coaが183000Nである標準仕様を基準として、複数種類用意した。具体的には、この標準仕様を基準として、上記各ニードル10の直径Daと数Zとを異ならせて、基本動定格荷重Caがほぼ同じ値になる様に、各供試スラストニードル軸受の仕様を調整した。具体的には、次の(1) 〜(5) に示す5種類の仕様のものを用意した。
(1) 直径Daが2mm、数Zが66個
(2) 直径Daが2.5mm、数Zが45個
(3) 直径Daが3mm、数Zが33個
(5) 直径Daが4mm、数Zが20個
(6) 直径Daが5mm、数Zが14個
試験荷重Paは基本動定格荷重Caの1/2(P/C=0.5)とし、レース12aを静止したまま、このレース12aのスラスト軌道面14に対向する相手側軌道面を、3000min-1 で回転させた。使用した潤滑油はオートマチックフルード(ATF)、試験温度は100℃とした。この条件での計算寿命は56時間である為、50時間で実験を終了した。又、上記レース12aの当接面16を当接させるバックアップ面を有する部材は、アルミニウム合金(ADCl2、硬さ:Hv100〜200)とし、試験後に上記バックアップ面の摩耗を測定した。
この様な条件で行なった実験の結果を、下記の表1に示す。
Figure 0004640003
この表1の記載から明らかな通り、前記レース12aの厚さTが前記各ニードル10の直径Da以上(T/Da≧1)である場合(実施例1、3、5、9、11)には、前記バックアップ面の摩耗は見られなかった。これは、上記レース12aが上記各ニードル10の転動に伴って、上記バックアップ面に対し回転(クリープ)しなかった為と考えられる。上記レース12aの厚さTが上記各ニードル10の直径Da未満であるが、この直径Daの0.5倍以上(0.5≦T/Da<1)である場合(実施例2、4、6〜8、10)には、上記バックアップ面に多少の摩耗が認められたが、その値は1〜2μm程度の僅少値に留まった。これは、上記レース12aが上記各ニードル10の公転運動に伴って上記バックアップ面に対し回転するが、その回転速度が極低速で、回転トルクも低い為と考えられる。又、何れの実施例に就いても、スラスト軌道面14及び各ニードル10の転動面に、剥離等の重大な損傷は認められなかった。
上述の様な、本発明の技術的範囲に属する各実施例に対して、本発明の技術的範囲からは外れる比較例1〜5の場合には、厚さTが1.0mm以下で、上記各ニードル10の直径Daに対する比も0.4以下(0.5未満)である為、上記バックアップ面に20μmを超える摩耗が認められた。そして、実験の終了間際に於いては、スラストニードル軸受の運転時に発生する振動の値が、初期値の2倍以上に高くなった。特に、上記レース12aの厚さTが上記各ニードル10の直径Daの0.2倍しかない、比較例5の場合には、上記バックアップ面の摩耗が200μmにも達した。そして、摩耗紛がスラストニードル軸受の内部に侵入し、実験開始後25時間経過した時点で、上記スラスト軌道面14に、異物起点による表面損傷剥離が発生した。
更に、比較例6の場合には、上記レース12aの厚さが6mmと大きい為、このレース12aをプレスにより加工する過程で、上記スラスト軌道面14にうねりが発生した。この結果、上記バックアップ面に摩耗は発生しなかったが、50時間経過して実験を終了した時点でスラストニードル軸受を分解して内部を観察したところ、上記スラスト軌道面14及び上記各ニードル10の転動面に、剥離が認められた。
以上の実験結果を考察すれば、特許請求の範囲に記載した構造により、レース12aを添設するバックアップ面の剛性が低い場合でも、このバックアップ面の摩耗を防止できる事が分かる。
スラストニードル軸受の使用状態の1例を示す部分断面図。 ニードルとの接触に基づくレースの弾性変形状態を誇張して示す、図1のA−A断面に相当する部分拡大断面図。 同じく、隣り合うニードル同士の間部分の状態も含めて示す、図2と同様の図。 本発明の場合に於ける、ニードルとの接触に基づくレースの弾性変形状態を誇張して示す、図2と同様の図。
1 メインシャフト
2 大径部
3 小径部
4 段部
5 ギヤ
5a 端面
6 ラジアルニードル軸受
7 スラストニードル軸受
8 ニードル
9 保持器
10 ニードル
11 保持器
12、12a レース
13 折れ曲がり部
14 スラスト軌道面
15 円筒部
16 当接面

Claims (2)

  1. 互いに相対回転する1対の部材の一部に設けられた、互いに平行な1対の平面同士の間に、スラストニードル軸受を設置する事により構成され、
    このうちのスラストニードル軸受は、金属板製で円輪状に形成され、軸方向片側面をスラスト軌道面とした、少なくとも1枚のレースと、それぞれの中心軸の方向をこのレースの直径方向に一致させた状態で、上記スラスト軌道面に沿って放射状に配列された複数本のニードルとを備え、
    上記レースの軸方向他側面のうちで少なくともスラスト軌道面と反対側部分を、このレースに対向する平面に対し全面に亙って当接させた状態で上記両平面同士の間に設けられ、これら両平面を設けた1対の部材同士の間に加わるスラスト荷重を支承しつつこれら両部材の相対回転を許容するスラストニードル軸受を備えた回転支持部に於いて、
    上記レースの軸方向他側面を当接させる平面を有する部材がアルミニウム合金製であって、この平面の硬さがHv200以下であり、
    上記レースの厚さをTとし、上記各ニードルの直径をDaとした場合に、1.5mm≦T≦5mmで、且つ、0.5Da≦T≦1.5Daを満たす事を特徴とするスラストニードル軸受を備えた回転支持部。
  2. 各ニードルの長さ寸法をLとした場合に、1.6Da≦L≦4Daを満たす、請求項1に記載したスラストニードル軸受を備えた回転支持部。
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