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JP4594143B2 - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

車両用ブレーキ装置 Download PDF

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JP4594143B2
JP4594143B2 JP2005090239A JP2005090239A JP4594143B2 JP 4594143 B2 JP4594143 B2 JP 4594143B2 JP 2005090239 A JP2005090239 A JP 2005090239A JP 2005090239 A JP2005090239 A JP 2005090239A JP 4594143 B2 JP4594143 B2 JP 4594143B2
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Description

本発明は車両用ブレーキ装置に係り、特に、モータの回転力を減速機およびスラスト変換機構に伝えることによりブレーキ機構を作動させる車両用ブレーキ装置に関する。
車両用ブレーキ装置のなかには、電動モータの駆動力でブレーキピストンを作動させ、ブレーキピストンでブレーキパッドをディスクロータに押し付ける電動駆動式のブレーキ装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−321599号公報
特許文献1の車両用ブレーキ装置によれば、電動モータを駆動して、電動モータの回転力を減速機を介してスラスト変換機構に伝え、スラスト変換機構で回転力を軸方向のスラスト力に変換する。
このスラスト力でブレーキピストンを作動させ、ブレーキピストンの押圧力でブレーキパッドをディスクロータに押し付ける。ブレーキパッドをディスクロータに押し付けることで、車輪に制動力をかける。
この車両用ブレーキ装置はパーキングブレーキとして兼用するケースが多い。ここで、車両用ブレーキ装置をパーキングブレーキとして使用し、車両を長期間停車させた場合、例えば、バッテリが自然放電し、電動モータを駆動させることができない虞がある。
このため、万が一、電動モータを駆動させることができない場合でも、ブレーキ作動状態を解除することができる車両用ブレーキ装置の実用化が望まれていた。
本発明は、モータを駆動させずに、ブレーキ作動状態を解除することができる車両用ブレーキ装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、モータの回転力を伝達する駆動軸の回転力を減速機に設けられたシャフトを介してスラスト変換機構のスクリューシャフトに伝え、このスラスト変換機構のスクリューシャフトの回転力を押圧力に変換し、この押圧力でブレーキ機構を作動させるように構成し、前記減速機は、前記スラスト変換機構側から回転力が作用した際に、作用した回転力がモータ側に伝わらないようにロック状態を保つセルフロック機能を備え、前記スラスト変換機構は、前記ブレーキ機構側から反力が作用した際に、作用した反力で作動可能な機能を備えた車両用ブレーキ装置において、前記シャフトと前記スクリューシャフトとの軸方向の間に、減速機とスラスト変換機構との連結を操作レバーの操作により解除可能なクラッチ部を介在させ、このクラッチ部は、前記減速機側の回転を前記スラスト変換機構に伝達可能であり、操作ケーブルを介して前記操作レバーに連結され、前記操作ケーブルに対して、前記クラッチ部を回転自在に連結したことを特徴とする。
減速機とスラスト変換機構との間にクラッチ部を介在させ、このクラッチ部を人力により作動させて、減速機とスラスト変換機構との連結を解除可能に構成する。
このスラスト変換機構は、ブレーキ機構側からの押圧力で作動可能な機構である。
よって、ブレーキ作動状態において、減速機とスラスト変換機構との連結を解除すると、ブレーキ機構からの反力でスラスト変換機構が作動する。
スラスト変換機構が作動することで、スラスト変換機構から押圧力を除去し、ブレーキ作動状態を解除することができる。
ここで言う「人力により解除可能」とは、人が直接クラッチを作動させるものだけではなく、動力源を備えた工具を人が操作して、該工具によりクラッチを作動させるものも含む。
また、請求項2に係る発明は、前記クラッチ部は、前記シャフト内にシリンダが形成され、このシリンダ内にロック部材が摺動自在に配置され、このロック部材が前記操作ケーブルに対して回転自在に連結されたことを特徴とする。
さらに、請求項3に係る発明は、前記クラッチ部は、前記ロック部材の先端部は先細状のテーパ面を有し、このテーパ面の外周に球体を配置し、前記球体で前記シャフトおよび前記スクリューシャフトを連結可能としたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、人力でクラッチ部を操作することで、モータを駆動させずにブレーキ作動状態を解除することができるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る車両用ブレーキ装置を示す概略図である。
車両用ブレーキ装置10は、ディスクブレーキ11と、ディスクブレーキ11を操作するブレーキペダル12と、ブレーキペダル12のストロークを検知するペダルストロークセンサー13と、ペダルストロークセンサー13からのストローク信号に基づいてディスクブレーキ11に作動信号を送る制御部14と、ディスクブレーキ11に内蔵したクラッチ部15と、クラッチ部15を操作するクラッチ操作部16とを備える。
ディスクブレーキ11は、ディスクロータ21の外周側にキャリパボディ24を配置し、キャリパボディ24をキャリパーブラケット(図示せず)に水平方向にスライド自在に支持するとともに、このキャリパーブラケットを介して車体に取り付け、このキャリパーブラケットで内側パッド25および外側パッド26を水平方向にスライド自在に支え、内側パッド25を押圧するブレーキピストン27をキャリパボディ24に内蔵し、ブレーキピストン27を作動させる作動機構28を備える。
ここで、キャリパボディ24、ブレーキピストン27、内側パッド25および外側パッド26でブレーキ機構22を構成する。
ディスクロータ21は、車両の車輪(図示せず)に同軸上に取り付けられ、車輪と一体に回転する部材である。
内側パッド25は、内側裏金に内側摩擦パッドを固定したものである。
外側パッド26は、外側裏金に外側摩擦パッドを固定したものである。
作動機構28は、キャリパボディ24に電動モータ(モータ)31を設け、この電動モータ31に減速機32を連結し、この減速機32にスラスト変換機構33を連結し、スラスト変換機構33をブレーキピストン27に連結したものである。
減速機32は、電動モータ31の駆動軸31aにウォーム35を設け、ウォーム35にウォームホイール36を噛み合わせ、ウォームホイール36をシャフト37に設け、シャフト37を一対の軸受38,38で回転自在に支えたものである。
この減速機32は、ウォーム35にウォームホイール36を噛み合わせることでセルフロック機能を備える。
セルフロック機能とは、スラスト変換機構33側からシャフト37に回転力が作用した際に、作用した回転力が電動モータ31側に伝わらないようにロック状態を保つ機能である。
スラスト変換機構33は、ブレーキピストン27内にナット部材41を一体的に設け、ナット部材41にスクリューシャフト42を回転自在に設けたものである。
スクリューシャフト42が軸受44で回転自在に支持され、このスクリューシャフト42にフランジ42bが形成されている。
フランジ42bとキャリパボディ24との間にスラスト軸受43を配置することで、スクリューシャフト42がシャフト37に向けて軸方向に移動することを防止する。
スラスト変換機構33によれば、スクリューシャフト42が右回転することで、ナット部材41がスクリューシャフト42の先端に近づく方向に向けて前進移動する。
これにより、ナット部材41と一体にブレーキピストン27が移動し、ブレーキピストン27で内側パッド25をディスクロータ21に向けて押圧する。
一方、スクリューシャフト42が左回転することで、ナット部材41がスクリューシャフト42の先端から離れる方向に向けて後進移動する。
これにより、ナット部材41と一体にブレーキピストン27が移動し、ブレーキピストン27による内側パッド25への押圧力を解除する。
このスラスト変換機構33は、ブレーキ機構22のブレーキピストン27からナット部材41に反力F1が作用した際に、作用した反力F1で作動可能な機能を備える。
この機能により、ブレーキピストン27からナット部材41に反力F1が作用した際に、作用した反力F1でスクリューシャフト42が左回転可能である。
ここで、反力F1とは、ブレーキピストン27で内側パッド25をディスクロータ21に押圧した際に、ディスクロータ21から内側パッド25およびブレーキピストン27に作用する反作用による力である。
ディスクブレーキ11にはクラッチ部15が内蔵されている。クラッチ部15は、減速機32とスラスト変換機構33との間に介在されている。
クラッチ部15は、通常の状態において、減速機32とスラスト変換機構33とを接続した状態に保ち、減速機32とスラスト変換機構33との連結を人力により解除可能な部材である。
車両用ブレーキ装置10によれば、ブレーキペダル12を踏んで矢印Aの如く移動すると、ブレーキペダル12のストロークをペダルストロークセンサー13で検知し、検知した信号を制御部14に伝える。
制御部14は、ペダルストロークセンサー13からのストローク信号に基づいて電動モータ31に駆動信号を伝える。
電動モータ31が駆動することにより、駆動軸31aの回転が減速機32のウォーム35に伝わる。
ウォーム35の回転がウォームホイール36に伝わり、ウォームホイール36の回転がシャフト37に伝わる。シャフト37に伝わった回転はクラッチ部15を介してスラスト変換機構33のスクリューシャフト42に伝わる。
スクリューシャフト42が右回転することで、ナット部材41が前進移動する。ナット部材41が前進移動することで、ブレーキピストン27で内側パッド25を矢印Bの如く押圧する。
内側パッド25をディスクロータ21に押し付けることで、キャリパボディ24が矢印Cの如く移動して外側パッド26をディスクロータ21に押し付ける。
すなわち、車両用ブレーキ装置10は、電動モータ31の回転力を減速機32を介してスラスト変換機構33に伝え、このスラスト変換機構33で回転力をスラスト力(すなわち、押圧力)に変換し、この押圧力でブレーキ機構22を作動させるように構成したものである。
クラッチ部15はクラッチ操作部16で操作される。クラッチ操作部16は、クラッチ部15を操作ケーブル45を介してレバー46に連結し、レバー46を支持軸47を介して車体48に連結し、支持軸47に操作レバー49を連結したものである。
操作ケーブル45は、アウターケーブル51の基端部51aを取付ブラケット53を介して車体48に取り付け、アウターケーブル51の先端部51bを取付ブラケット54を介して車体48に取り付ける。
アウターケーブル51内にインナーケーブル55をスライド自在に収納し、アウターケーブル51の基端部51aからインナーケーブル55の基端部55aを突出させ、アウターケーブル51の先端部51bからインナーケーブル55の先端部55bを突出させる。
インナーケーブル55の基端部55aをクラッチ部15に連結し、インナーケーブル55の先端部55bをレバー46に連結する。
クラッチ操作部16によれば、操作レバー49を支持軸47を軸にして矢印Dの如く人力で操作することにより、レバー46が支持軸47を軸に矢印Eの如くスイング移動する。
レバー46でインナーケーブル55を矢印Fの如く移動して、クラッチ部15を操作することにより、減速機32とスラスト変換機構33との連結を解除する。
図2は本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を示す断面図、図3は本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を示す分解斜視図である。
クラッチ部15は、スクリューシャフト42の端部42aに第1収納凹部61が形成され、シャフト37の端部37aに第2収納凹部62が形成され、第2収納凹部62を第1収納凹部61に臨ませて各々の収納凹部61,62で収納空間63が形成されている。
レバー46は、車室内の適所に配置することができ、好ましくは車両運転者が運転席に座った状態で操作が可能な位置に配置する。
その際、このレバー46は、電動モータ31を電気的に駆動できない故障(バッテリや制御部14の故障)時に操作するものであるから、運転席と助手席の間のコンソールボックス内やインストルメントパネルの下面(運転者の膝上の位置)などの普段の運転操作には邪魔にならず、また見え難い位置に配置することが好ましい。
これにより、車室内のレイアウト性、デザイン性が向上するとともに、誤解除の防止にも役立つ。
さらに、クラッチ部15は、第2の収納凹部62に連通させてシャフト37内にシリンダ65が形成され、シリンダ65内にロック部材66が摺動自在に配置され、ロック部材66の先端部を先細状に形成することでテーパ面66aとし、テーパ面66aの先端から突起66bが突出され、テーパ面66aおよび突起66bを収納空間63に配置し、テーパ面66aの外周側に4個の球体68…を一定間隔(すなわち、90度の間隔)をおいて配置したものである。
第1収納凹部61を形成する内面は、スクリューシャフト42の端縁に向けて徐々に拡径するように傾斜面72に形成され、4個の第1切欠き73…が等間隔(すなわち、90度の間隔)に形成されている。
第2凹部62を形成する内面は、シャフト37の端縁に向けて徐々に拡径するように傾斜面76に形成され、4個の第2切欠き77…が等間隔(すなわち、90度の間隔)に形成されている。
第1、第2の切欠き73…,77…は略コ字形に形成されている。
第2収納凹部62を第1収納凹部61に臨ませる際に、第1、第2の切欠き73…,77…を互いに対向させた状態に配置する。第1、第2の切欠き73…,77…に球体68…をそれぞれ合わせて配置する。
各々の球体68…は、ロック部材66のテーパ面66aや突起66bで支えられることで、第1、第2の切欠き73…,77…に保持される。
ロック部材66は、断面円形に形成され、先端部がテーパ面66aとされ、テーパ面66aの先端から突起66bが突出され、基端部に小径部66cが形成されている。
加えて、クラッチ部15は、ロック部材66の小径部66cに、連結ロッド81がロック部材66と同軸上に連結され、ロック部材66とシリンダ65の底部66aとの間に圧縮ばね82が設けられている。
圧縮ばね82は、ロック部材66を収納空間63に向けて押し出すための部材である。
クラッチ部15によれば、圧縮ばね82のばね力でロック部材66を収納空間63に向けて押し出すことで、ロック部材66のテーパ面66aで球体68…を半径方向外側に向けて押し出す。
外側に押し出された球体68…が、第1収納凹部61の傾斜面72および第2凹部62の傾斜面76に押圧される。
よって、シャフト37とスクリューシャフト42とが球体68…で連結される。
これにより、シャフト37の回転を、スクリューシャフト42に球体68…を介して伝えることができる。
連結ロッド81の端部には拡径部81aが円板状に形成され、拡径部81aに、インナーケーブル55の嵌合部55cが回転自在に連結されている。
嵌合部55cは、インナーケーブル55の基端部55aに形成されている。よって、インナーケーブル55の基端部55aは、連結ロッド81の拡径部81aに回転自在に連結されている。
これにより、万が一、ロック部材66が回転した場合でも、連結ロッド81の回転がインナーケーブル55に伝わることを防止する。
インナーケーブル55を矢印Fの如く引っ張ることにより、圧縮ばね82のばね力に抗してロック部材66を矢印Gの如く後進移動させる。
ロック部材66が矢印Gの如く後進移動することで、球体68…が半径方向内側に移動する。
これにより、球体68…が、第1収納凹部61の傾斜面72および第2収納凹部62の傾斜面76から離れ、シャフト37とスクリューシャフト42との連結、すなわち減速機32とスラスト変換機構33との連結が解除される。
次に、車両用ブレーキ装置10の作用を図4〜図7に基づいて説明する。
先ず、車両用ブレーキ装置10をブレーキペダルで操作する例を図4に基づいて説明する。
図4(a),(b)は本発明に係る車両用ブレーキ装置をブレーキペダルで操作する例を説明する図である。
(a)において、ブレーキペダル12を踏むことにより、ブレーキペダル12に踏力が作用し、ブレーキペダル12が矢印Aの如く移動する。
ブレーキペダル12の移動ストロークをペダルストロークセンサー13で検知する。検知した信号を制御部14に伝え、制御部14から電動モータ31に駆動信号を伝える。
電動モータ31の駆動軸31aが正転して、駆動軸31aの回転が減速機32を介してシャフト37に伝わる。シャフト37に伝わった回転はクラッチ部15を介してスラスト変換機構33のスクリューシャフト42に伝わる。
スクリューシャフト42が矢印の如く右回転することで、ナット部材41がスクリューシャフト42の先端に向けて前進移動する。ナット部材41と一体にブレーキピストン27が移動し、ブレーキピストン27で内側パッド25を矢印Bの如く押圧する。
内側パッド25をディスクロータ21に押し付けることで、キャリパボディ24が矢印Cの如く移動して外側パッド26をディスクロータ21に押し付ける。
このように、内側パッド25および外側パッド26をディスクロータ21の両側に押し付けることで、車輪に制動力が作用する。
(b)において、ブレーキペダル12への踏力を解除することにより、ブレーキペダル12がリターンスプリング84のばね力で矢印Hの如くブレーキをかける前の状態に復帰する。
ブレーキペダル12のストロークをペダルストロークセンサー13で検知する。
検知した信号を制御部14に伝え、制御部14から電動モータ31に駆動信号を伝える。
電動モータ31の駆動軸31aが逆転して、駆動軸31aの回転が減速機32を介してシャフト37に伝わる。シャフト37に伝わった回転はクラッチ部15を介してスラスト変換機構33のスクリューシャフト42に伝わる。
スクリューシャフト42が矢印の如く左回転することで、ナット部材41がスクリューシャフト42の先端から離れる方向に後進移動する。
ナット部材41と一体にブレーキピストン27が移動し、ブレーキピストン27による内側パッド25への押圧力を解除する。
これにより、内側パッド25がディスクロータ21から矢印Iの如く離れるとともに、キャリパボディ24が矢印Jの如く元の位置に復帰して外側パッド26がディスクロータ21から離れる。
このように、内側パッド25および外側パッド26がディスクロータ21の両側から離れることで、車輪に作用していた制動力が解除される。
次に、車両用ブレーキ装置10のブレーキ作動状態を人力で解除する例を図5〜図7に基づいて説明する。
図5(a),(b)は本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を解放状態にする例を説明する図である。
(a)において、操作レバー49を支持軸47を軸にして矢印Dの如く人力で操作することにより、レバー46が支持軸47を軸にE矢印の如くスイング移動する。
レバー46でインナーケーブル55を引っ張ることにより、インナーケーブル55で連結ロッド81を矢印の如く引っ張る。
(b)において、連結ロッド81を矢印の如く引っ張ることで、圧縮ばね82のばね力に抗してロック部材66を矢印Gの如く後進移動する。
ロック部材66が後進移動することで、球体68…が半径方向内側に移動する。
よって、球体68…が、第1収納凹部61の傾斜面72および第2収納凹部62の傾斜面76から離れ、クラッチ部15の接続状態を解放する。
これにより、シャフト37とスクリューシャフト42との連結、すなわち減速機32とスラスト変換機構33との連結が解除される。
図6(a),(b)は本発明に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ作動状態を人力で解除する例を説明する図である。
(a)において、ブレーキ作動状態のとき、ディスクロータ21から内側パッド25および外側パッド26に、ブレーキ力の反力F1、F2がそれぞれ作用している。
加えて、ピストンシリンダ85内のシール材86が外側に向けて弾性変形している。
この状態で、減速機32とスラスト変換機構33との連結を解除すると、反力F1およびシール材86の復元力で、スクリューシャフト42が矢印の如く左回転する。
スクリューシャフト42が左回転することにより、ナット部材41およびブレーキピストン27が矢印Kの如く移動する。
ナット部材41およびブレーキピストン27が矢印Kの如く移動することで、内側パッド25がディスクロータ21から離れる。
内側パッド25がディスクロータ21から離れることにより、反力F2で、キャリパボディ24が矢印Lの如く元の位置に復帰して外側パッド26がディスクロータ21から離れる。
(b)において、内側パッド25および外側パッド26がディスクロータ21の両側から離れることで、車輪に作用していた制動力が解除される。
以上説明したように、本発明に係る車両用ブレーキ装置10は、減速機32とスラスト変換機構33との間にクラッチ部15を介在させ、このクラッチ部15を人力により作動させて、減速機32とスラスト変換機構33との連結を解除可能に構成されている。
そして、このスラスト変換機構33は、ブレーキ機構22側からの押圧力で作動可能な機構である。
よって、ブレーキ作動状態において、減速機32とスラスト変換機構33との連結を解除すると、ブレーキ機構22からの反力でスラスト変換機構33が作動する。
スラスト変換機構33が作動することで、スラスト変換機構33から押圧力を除去し、ブレーキ作動状態を解除することができる。
図7(a),(b)は本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を接続状態に復帰する例を説明する図である。
(a)において、操作レバー49を支持軸47を軸にして矢印Mの如く人力で操作することにより、レバー46が支持軸47を軸に矢印Nの如くスイング移動する。
圧縮ばね82のばね力でインナーケーブル55を矢印Oの如く引っ張るとともに、ロック部材66が矢印Pの如く前進移動する。
(b)において、ロック部材66が矢印Pの如く前進移動することで、ロック部材66のテーパ面66aで球体68…を半径方向外側に向けて押し出す。
外側に押し出された球体68…が、第1収納凹部61の傾斜面72および第2凹部62の傾斜面76に押圧される。
よって、シャフト37とスクリューシャフト42とが球体68…で連結され、クラッチ部15が接続状態になる。
これにより、シャフト37の回転を、球体68…を介してスクリューシャフト42に伝えることが可能になる。
(a)に戻って、球体68…が、第1収納凹部61の傾斜面72を押圧することで、スクリューシャフト42に前進移動させる力が作用する。
しかし、圧縮ばね82のばね力は、傾斜面72で径方向の分力と、軸方向の分力とに分けられる。そして、軸方向の分力が、スクリューシャフト42に前進移動させる力になる。
このため、圧縮ばね82のばね力で、スクリューシャフト42に前進移動させる力が作用しても、スクリューシャフト42は回転しない。
よって、クラッチ部15が接続状態になった際に、ブレーキピストン27を静止状態に保ち、ブレーキピストン27で内側パッド25を押圧することはない。
なお、前記実施の形態では、レバー46を車室内に配置したが、その他にエンジンルームやトランクルーム(荷室)に配置してもよい。
特に、本発明の電動モータ31を用いたブレーキ装置を、パーキングブレーキ専用として後輪用ブレーキに適用する場合には(この場合は、サービスブレーキは従来型の液圧式ブレーキを前後輪に用いる)、レバー46をトランクルーム(荷室)に配置するとよい。
それにより、前記のレイアウト性、デザイン性の向上、誤解除防止に加え、ケーブルの全長を短縮することができる。
また、前記実施の形態では、第1、第2の切欠き73…,77…を略コ字形に形成した例について形成したが、これに限らないで、例えば、第1、第2の切欠き73…,77…を略V字状に形成することも可能である。
さらに、前記実施の形態では、クラッチ部15の球体68…を4個備えた例について説明したが、これに限らないで、例えば、球体68…の個数を3個などに適宜変更することが可能である。
また、前記実施の形態では、クラッチ部15として球体68…を用いたものを例に説明したが、これに限らないで、例えば、クラッチ部としてシャフト37の端部37aとスクリューシャフト42の端部42aとにそれぞれ噛合歯を形成し、通常の状態において、各々の噛合歯を噛み合わせた状態を保ち、人力で各々の噛合歯の噛み合いを解除するように構成することも可能である。
さらに、前記実施の形態では、操作レバー49を人力で上方に操作してブレーキ作動状態を解放する例について説明したが、これに限らないで、例えば、操作レバー49を人力で下方に操作してブレーキ作動状態を解放するように構成することも可能である。
また、前記実施の形態では、車両用ブレーキ装置10をディスクブレーキ11に適用させた例について説明したが、これに限らないで、例えば、車両用ブレーキ装置10をドラムブレーキに適用することも可能である。
本発明は、モータの回転力を減速機およびスラスト変換機構に伝えることでブレーキ機構を作動させる車両用ブレーキ装置への適用に好適である。
本発明に係る車両用ブレーキ装置を示す概略図である。 本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を示す断面図である。 本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を示す分解斜視図である。 本発明に係る車両用ブレーキ装置をブレーキペダルで操作する例を説明する図である。 本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を解放状態にする例を説明する図である。 本発明に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ作動状態を人力で解除する例を説明する図である。 本発明に係る車両用ブレーキ装置のクラッチ部を接続状態に復帰する例を説明する図である。
符号の説明
10…車両用ブレーキ装置、15…クラッチ部、22…ブレーキ機構、31…電動モータ(モータ)、31a…駆動軸、32…減速機、33…スラスト変換機構、37…シャフト、42…スクリューシャフト、65…シリンダ、66…ロック部材、66a…テーパ面、68…球体

Claims (3)

  1. モータの回転力を伝達する駆動軸の回転力を減速機に設けられたシャフトを介してスラスト変換機構のスクリューシャフトに伝え、このスラスト変換機構のスクリューシャフトの回転力を押圧力に変換し、この押圧力でブレーキ機構を作動させるように構成し、
    前記減速機は、前記スラスト変換機構側から回転力が作用した際に、作用した回転力がモータ側に伝わらないようにロック状態を保つセルフロック機能を備え、
    前記スラスト変換機構は、前記ブレーキ機構側から反力が作用した際に、作用した反力で作動可能な機能を備えた車両用ブレーキ装置において、
    前記シャフトと前記スクリューシャフトとの軸方向の間に、減速機とスラスト変換機構との連結を操作レバーの操作により解除可能なクラッチ部を介在させ、
    このクラッチ部は、前記減速機側の回転を前記スラスト変換機構に伝達可能であり、操作ケーブルを介して前記操作レバーに連結され、
    前記操作ケーブルに対して、前記クラッチ部を回転自在に連結したことを特徴とする車両用ブレーキ装置。
  2. 前記クラッチ部は、
    前記シャフト内にシリンダが形成され、このシリンダ内にロック部材が摺動自在に配置され、このロック部材が前記操作ケーブルに対して回転自在に連結されたことを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ装置。
  3. 前記クラッチ部は、
    前記ロック部材の先端部は先細状のテーパ面を有し、このテーパ面の外周に球体を配置し、前記球体で前記シャフトおよび前記スクリューシャフトを連結可能としたことを特徴とする請求項2記載の車両用ブレーキ装置
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