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JP4587649B2 - 畜肉加工食品 - Google Patents

畜肉加工食品 Download PDF

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JP4587649B2
JP4587649B2 JP2003159818A JP2003159818A JP4587649B2 JP 4587649 B2 JP4587649 B2 JP 4587649B2 JP 2003159818 A JP2003159818 A JP 2003159818A JP 2003159818 A JP2003159818 A JP 2003159818A JP 4587649 B2 JP4587649 B2 JP 4587649B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトな食感が付与され、かつ畜肉加工食品本来のおいしさが維持又は増強されたソーセージやミートボール等の畜肉加工食品、並びにその製造方法に関する。また本発明は、ソフトな食感が付与された畜肉加工食品であって、しかも従来のものと比べて脂肪分が低減されて低カロリーであるにも拘わらず、畜肉加工食品本来のおいしさが維持又は増強されてなる畜肉加工食品、並びにその製造方法に関する。
【0002】
さらに本発明は低脂肪乃至は低カロリーの畜肉加工食品を製造するために有効に用いられる、畜肉加工食品の脂肪代替方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、各種食品について食感のソフト化が求められるようになってきているが、近年、ハム、ソーセージ及びミートボール等といった畜肉加工食品についてもこうした傾向と違わず、ソフトな食感を有する製品が要望されている。
【0004】
畜肉加工食品にソフト感を付与する方法として、畜肉加工食品中に気泡を含有させる方法が種々提案されている。例えば、特許文献1等には畜肉を塩ずりし、攪拌により起泡させた後に成型して加熱することによってソフトで軽い食感を有する気泡入り畜肉加工食品を製造する方法が提案されており、さらに上記攪拌に際して山芋、卵白、グァーガム等の増粘多糖類や乳化剤を起泡剤として添加できることが記載されている。また例えば特許文献2等には、畜肉に加水分解した大豆蛋白を加えて混練、ホイップして含気させた後、成形、加熱してソフトな食感を有する食肉加工食品を製造することが、さらに例えば特許文献3等には、細砕した食肉と起泡性を有する植物蛋白質(小麦蛋白質、大豆蛋白質)の酵素分解物と多糖類粘質物とを混練した後、成形、加熱してソフトな食感を有する食肉加工食品を製造することが記載されている。
【0005】
しかしながら、起泡剤として上記の山芋や大豆蛋白質(加水分解物を含む)等の植物蛋白質または卵白を用いた場合、畜肉内に安定して気泡を保持させることが難しい。具体的には、これらの成分を起泡剤として用いた場合は、畜肉を含む組成物を充分に起泡化したり、またこれらの組成物に充分量の気泡を封入することが難しく、また形成された気泡の経時的安定性も悪く成形や加熱などの加工処理の段階で気泡が抜けてしまう等の理由で所望するソフトな食感を得ることができない。また卵白や小麦の場合にはアレルギーの問題をも含んでいる。
【0006】
一方、近年の低カロリー化傾向により、畜肉加工食品についても低脂肪化の要望があり、畜肉加工食品に使用される脂肪代替品の検討もされている。例えば、畜肉加工食品に含まれる脂肪の一部をゲル化物で代替する方法として、カードランのゲル化物で代替する方法(例えば、特許文献4等参照のこと)、並びに熱ゲル化性物質、乳類、糖類と海藻抽出物、ゼラチン、微生物産出粘質物、ガラクトマンナンおよびグルコマンナンの1種以上を含む組成物で代替する方法(例えば、特許文献5等参照のこと)などが提案されている。
【0007】
しかし、これらの脂肪代替品を脂肪分の代替として使用した場合、本発明の目的であるソフトな食感を得ることができない。
【0008】
そこで、本発明者らは、低カロリーでありながらソフトな食感を有する畜肉加工食品を調製する目的で、配合するタンパク量や脂肪量を低減して前記公知の起泡剤を用いて含気させたところ、畜肉加工食品特有のおいしさが軽減してしまい、消費者に好まれる所望の畜肉加工食品が得られないという問題があることを知見した。
【0009】
【特許文献1】
国際公開公報(WO97/14320)
【0010】
【特許文献2】
特開平2−286059号公報
【0011】
【特許文献3】
特開平4−190766号公報
【0012】
【特許文献4】
特開平4−131067号公報
【0013】
【特許文献5】
特開平5−284943号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、近年の食感のソフト化指向の中で、ソフトな食感を有しながらも、かつ畜肉加工食品本来のおいしさが維持又は増強されたソーセージやミートボール等の畜肉加工食品を提供することを目的とする。より詳細には、本発明はソフトな食感が付与された畜肉加工食品であって、しかも従来の畜肉加工食品と比べて脂肪分が少なく低カロリーでありながらも、畜肉加工食品本来のおいしさが維持又は増強された畜肉加工食品を提供することを目的にする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、畜肉を含む原料組成物に乳清タンパク質を配合しホイッピング等の含気処理をするか、または乳清タンパク質含有水溶液を含気処理して調製したホイッピング物を畜肉を含む原料組成物に配合して得られた畜肉加工食品がソフトな食感を有しており、また通常(慣用)の畜肉加工食品よりも配合するタンパク質または脂肪の割合を低減した場合でも、畜肉加工食品本来のおいしさが維持又は増強されることを見いだした。更に本発明者らは、上記の効果は、乳清タンパク質として、ナトリウム含量が0.15重量%以下で、しかもカルシウム含量が2.5重量%以上の特定の乳清タンパク質を使用することにより、上記本発明の目的に特に見合った良好な食感と呈味を有する畜肉加工品が得られることを見いだした。本発明はかかる知見に基づいて開発されたものである。
【0016】
即ち、本発明は下記の態様を包含するものである;
項1. 乳清タンパク質に由来する気泡を含む畜肉加工食品。
項2. 乳清タンパク質に由来する気泡が、乳清タンパク質を含有する組成物を起泡させることによって生成させたものである項1に記載する畜肉加工食品。
項3. 乳清タンパク質が、
(1) ナトリウム含量が0.15重量%以下で、且つカルシウム含量が2.5重量%以上であって、加えて下記(2)または(3):
(2) 脂肪含量1重量%以下、
(3) タンパク質含量80重量%以上、
のいずれか少なくとも1方を備えるものである項1または2に記載の畜肉加工食品。
項4. さらに増粘多糖類を含有する項1乃至3のいずれかに記載の畜肉加工食品。
項5. 乳清タンパク質に由来する気泡が、乳清タンパク質及び増粘多糖類を含有する組成物を起泡させることによって生成させたものである項4に記載する畜肉加工食品。
項6. 畜肉加工食品が、ソーセージ、ミートボール及び畜肉含有ケーキより選択されるものである項1乃至5のいずれかに記載の畜肉加工食品。
項7. 脂肪含量が15重量%以下である、項1乃至6のいずれかに記載の畜肉加工食品。
項8. 乳清タンパク質、畜肉及び他の原材料を混合し、該混合物を起泡させる工程、または乳清タンパク質を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物を、畜肉及び他の原材料と混合する工程を経て製造される、項1乃至7のいずれかに記載の畜肉加工食品。
項9. 乳清タンパク質、畜肉、増粘多糖類及び他の原材料を混合し、該混合物を起泡させる工程、または乳清タンパク質及び増粘多糖類を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物を、畜肉及び他の原材料と混合する工程を経て製造される、項1乃至7のいずれかに記載の畜肉加工食品。
【0017】
項10. 乳清タンパク質、畜肉及び他の原材料を混合し、該混合物を起泡させる工程を有する項1乃至9のいずれかに記載する畜肉加工食品の製造方法。
項11. 乳清タンパク質、畜肉、増粘多糖類及び他の原材料を混合し、該混合物を起泡させる工程を有する項1乃至9のいずれかに記載する畜肉加工食品の製造方法。
項12. 乳清タンパク質を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物を、畜肉及び他の原材料と混合する工程を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載する畜肉加工食品の製造方法。
項13. 乳清タンパク質及び増粘多糖類を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物を、肉及び他の原材料と混合する工程を有する、項1乃至9のいずれかに記載する畜肉加工食品の製造方法。
項14. 上記ホイッピング物として、0.1〜0.4重量/体積(g/ml)を有するものを用いる、項13の製造方法。
【0018】
項15. 畜肉加工食品の調製において、脂肪分の一部または全てに代えて乳清タンパク質に由来する気泡化物を用いる、畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
項16. 乳清タンパク質に由来する気泡化物が、乳清タンパク質を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物であるか、または乳清タンパク質及び畜肉、ならびに必要に応じて他の原材料との混合物を起泡化して得られる気泡である、項15に記載する畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
項17. 乳清タンパク質が、
(1) ナトリウム含量が0.15重量%以下で、且つカルシウム含量が2.5重量%以上であって、加えて下記(2)または(3):
(2) 脂肪含量1重量%以下、
(3) タンパク質含量80重量%以上、
のいずれか少なくとも1方を備えるものである項15または16に記載の畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
項18. 乳清タンパク質に由来する気泡化物が、乳清タンパク質及び増粘多糖類を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物であるか、または乳清タンパク質、畜肉及び増粘多糖類、ならびに必要に応じて他の原材料との混合物を起泡化して得られる気泡である、項15乃至17のいずれかに記載する畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
項19. 上記ホイッピング物として、0.1〜0.4重量/体積(g/ml)を有するものを用いる、項15乃至18のいずれかに記載する畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
(1)畜肉加工食品およびその製造方法
本発明が対象とする畜肉加工食品は、牛肉、豚肉、家禽肉(鶏肉、鴨肉など)、羊肉、馬肉、または家兎肉等の食用に適した畜肉(食肉)を一部若しくは全てに用いて加工した食品であればよくその種類を特に問わない。なお、ここで畜肉(食肉)には肉の赤身部分の他、脂肪部分も含まれる。具体的には、ソーセージやハム等の食肉加工品;肉団子(ミートボール、つくね)、ハンバーグ、パテ、畜肉含有ケーキ、シシカバブ、チキンナゲット、ロールキャベツ、肉ギョーザ、肉シューマイ等の食肉を一部若しくは全てに使用した惣菜類を挙げることができる。なお、ここで畜肉含有ケーキとは畜肉を配合したスポンジケーキを意味する。
【0020】
中でも上記畜肉の1種または2種以上から調整される挽肉または裁断もしくは細砕した肉(細砕肉、破砕肉)を原料として加工調製される食品、例えばソーセージ、肉団子(ミートボール、つくね)、ハンバーグ、パテ、畜肉含有ケーキ、シシカバブ、ロールキャベツ、肉ギョーザ、肉シューマイを好適に挙げることができる。
【0021】
更に、本発明が対象とする好適な畜肉加工食品は、定法(常法)によって調製される畜肉加工食品に比して脂肪含有量が低減されてなる、低脂肪畜肉加工食品ないし低カロリー畜肉加工食品である。畜肉加工食品の通常の脂肪含量として、例えばソーセージの場合は30〜40重量%、ミートボールの場合は16重量%前後を挙げることができる。本発明が対象とする好適な畜肉加工食品は、これらの通常の畜肉加工食品に含まれる脂肪分よりも少ない割合で脂肪分が配合されていればよく、脂肪分の具体的な配合割合は特に制限されない。好ましくは最終的に畜肉加工食品に含まれる脂肪の割合が15重量%以下、より好ましくは10重量%以下となるように、脂肪含量が低減してなる畜肉加工食品である。特に、本発明によれば、上記ソーセージなどのように、通常は15重量%を大きく超えて比較的多くの脂肪分を含有する畜肉加工食品に対して、ソフトな食感を付与し、かつその食品本来のおいしさや風味を維持しながらも脂肪含量を著しく低減させることができ、高い低カロリー化効果を得ることができる。
【0022】
本発明は、上記の畜肉加工食品に対してソフトな食感を付与し、且つ脂肪分を低減させた場合であっても畜肉加工食品本来のおいしさや風味を維持させるための方法並びに該方法によって得られる畜肉加工食品を提供する。
【0023】
当該本発明の畜肉加工食品は、畜肉加工食品に乳清タンパク質に由来する気泡を配合することによって得ることができる。
【0024】
ここで乳清タンパク質としては、乳由来の乳清(ホエー)を原料として濃縮し精製したものが好ましく、例えば、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳清タンパク質単離物(WPI)等を挙げることができる。原料として使用する乳清は特に制限されず、例えばチーズ製造時の副産物であるスウィートホエー、酸カゼイン製造時の副産物であるアシッドホエー、またはレンネットカゼイン製造時の副産物であるレンネットホエーなどを制限なく挙げることができる。乳の由来も特に制限されず、牛、山羊または羊等の哺乳類の乳を例示することができるが、好ましくは牛由来のもの、すなわち牛乳を用いることが好ましい。
【0025】
乳清(ホエー)の濃縮・精製方法は、特に制限されず、通常タンパク質の精製において慣用的に使用される操作を1種、または2種以上組み合わせて行うことができる。例えば、かかる操作としては、抽出法、塩析法、遠心分離法、限外濾過法、ウルトラフィルトレーション法、逆浸透膜法、透析法、電気透析法、吸着分離法、電気泳動法、及び各種の分離原理を利用したクロマトグラフ法(イオン交換法、ゲル濾過法、吸着分離法(疎水性クロマト、親水性クロマト)、アフィニティー法等)などを挙げることができる。
【0026】
本発明において乳清タンパク質として、好適には、上記操作を1種、または2種以上組み合わせることによって、塩バランスがナトリウム含量0.15重量%以下、カルシウム含量2.5重量%以上となるように調整されてなるもの(以下、かかる乳清タンパク質を「塩バランス調整乳清タンパク質」ともいう。)を使用することができる。一般的な乳清タンパク質のナトリウム含量は0.5〜1.5重量%であり、またカルシウム含量は0.5重量%以下である。これからわかるように、上記塩バランス調整乳清タンパク質はナトリウム含量とカルシウム含量において通常の乳清タンパク質と異なる塩バランスを有するものである。
【0027】
ここで、塩バランス調整乳清タンパク質のナトリウムは少なければ少ないほど好ましく、その下限値として0重量%を挙げることができる。ナトリウム含量として、通常は0.0001(1ppm)〜0.15重量%、好ましくは0.0001〜0.1重量%の範囲から選択することができる。また塩バランス調整乳清タンパク質の好ましいカルシウム含量としては、2.5〜10重量%、より好ましくは3〜4重量%を挙げることができる。さらにかかる塩バランス調整乳清タンパク質は、塩としてカリウムを含んでいてもよく、その上限値として0.5重量%を挙げることができる。但し、カリウムはナトリウムと同様に少なければ少ないほど好ましく、その下限値として0重量%を挙げることができる。カリウム含量としては、通常は0.0001(1ppm)〜0.5重量%の範囲から選択することができる。
【0028】
かかる塩バランス調整乳清タンパク質はナトリウム含量、またはナトリウムとカリウムとの総量が前述するように少ないことに起因して起泡性がよく、また、カルシウム含量が多いことに起因して形成された気泡が経時的安定性に優れるという点で、本発明の乳清タンパク質としてより好適に用いることができる。
【0029】
また、本発明において用いられる乳清タンパク質は、起泡性及び気泡安定性の観点から、上記の塩バランスを備え、さらに脂肪含有量が1重量%以下であることが好ましい(なお、かかる乳清タンパク質を「塩/脂肪分調整乳清タンパク質」ともいう)。一般的な乳清タンパク質の脂肪含有量は3〜10重量%であることから、かかる乳清タンパク質は上記塩バランスに加えて脂肪含有量において通常の乳清タンパク質と異なるものである。ここで脂肪含有量は少なければ少ないほど好ましく、その下限値として0重量%を挙げることができる。より好ましい脂肪含有量としては0.0001(1ppm)〜1重量%を挙げることができる。
【0030】
さらに本発明において用いられる乳清タンパク質は、起泡性及び気泡安定性の観点から、上記の塩バランスを備え、さらにタンパク質を80重量%以上の割合で含んでいることが好ましい(なお、かかる乳清タンパク質を「塩/タンパク調整乳清タンパク質」ともいう)。より好ましくは乳清タンパク質100重量%中にタンパク質80〜95.85重量%の割合で含むものである。かかる乳清タンパク質は、さらに脂肪含有量が上記のように1重量%以下、より好ましくは0.0001(1ppm)〜1重量%であることができる(かかる乳清タンパク質を「塩/タンパク/脂肪分調整乳清タンパク質」ともいう)。
【0031】
かかる「塩バランス調整乳清タンパク質」(「塩/脂肪分調整乳清タンパク質」、「塩/タンパク調整乳清タンパク質」及び「塩/タンパク/脂肪分調整乳清タンパク質」を含む)は、乳から調製される乳清(ホエー)を、上記塩バランスを備えるように、または上記塩バランスに加えて、さらに上記脂肪含量及びタンパク含量の少なくとも1つを備えるように、乳から調製される乳清(ホエー)を上記慣用の方法を利用して濃縮し精製することによって調製できる。また濃縮精製後、上記塩バランスを備えるように、または上記塩バランスに加えて更に上記の脂肪含量及びタンパク質含量の少なくとも1つを備えるように、各種塩、脂肪、またはタンパク質を添加若しくは除去することによっても調製することができる。なお、かかる乳清タンパク質は、pH6〜12、特にpH9〜11の範囲となるように調整されたものを好適に用いることができる。
【0032】
上記乳清タンパク質に由来する気泡は、乳清タンパク質を含有する組成物を起泡させることによって生成することができる。
【0033】
当該本発明の畜肉加工食品は、畜肉加工食品に乳清タンパク質に由来する気泡を配合することによって得ることができる。すなわち、本発明の畜肉加工食品は原料として前記乳清タンパク質を含有するものであって、当該乳清タンパク質に由来する気泡を有するように調製されるものである。具体的には、かかる畜肉加工食品は、▲1▼上記乳清タンパク質を、畜肉加工食品を構成する畜肉を始めとする各種の原材料の一部または全てと混合して気泡を含ませる操作(本明細書において単に「含気操作」または「含気処理」ともいう)を含む工程、または▲2▼上記乳清タンパク質を含む水溶液に気泡を含ませることによって所謂ホイッピング物を調製し、これを畜肉加工食品を構成する畜肉を始めとする各種の原材料と混合する工程を経て調製することができる。
【0034】
上記▲1▼の方法の場合、畜肉加工食品を構成する畜肉を始めとする各種原材料に配合する乳清タンパク質の割合は、通常、畜肉加工食品中、乳清タンパク質が少なくとも0.5重量%含まれるような割合を挙げることができる。乳清タンパク質の配合量が0.5重量%より極端に少なくなると起泡性が低下し、充分な気泡が得られなくなる。好ましくは1重量%以上の割合である。なお、乳清タンパク質の配合割合の上限は、起泡性並びに気泡安定性の観点からは特に制限されない。但し、風味の点からは、最終的に調製される畜肉加工食品に、乳清タンパク質が30重量%以下、好ましくは20重量%以下の割合で含まれるように調整することが好ましい。乳清タンパク質の配合割合が30重量%を極度に超えると乳の風味が強くなりすぎる傾向にあり、食品の種類によっては好ましくない場合がある。
【0035】
上記▲2▼の方法においてホイッピング物の調製は、具体的には乳清タンパク質に冷水または水に加えて乳清タンパク質含有水溶液を調製し、これに攪拌、泡立て、振とう等のホイッピング操作(「含気操作」、「含気処理」)などにより気泡を含ませることによって実施することができる。この場合に使用する上記乳清タンパク質含有水溶液中に含まれる乳清タンパク質の割合は、通常少なくとも3重量%を挙げることができる。乳清タンパク質の配合割合が3重量%よりも極度に少なくなるとホイッピング物の起泡性が低下する傾向にある。好ましくは5重量%以上の割合である。一方、上記乳清タンパク質含有水溶液中に含まれる乳清タンパク質の割合の上限は、起泡性並びに気泡安定性の観点からは特に制限されない。但し、▲1▼の方法の場合と同様に、風味の点からは、最終的に調製される畜肉加工食品中に含まれる乳清タンパク質の割合が30重量%以下、好ましくは20重量%以下となるように調整することが好ましい。畜肉加工食品を構成する畜肉を始めとする各種原材料に配合する上記ホイッピング物の割合は、▲1▼の方法の場合と同様に、最終畜肉加工食品中に、乳清タンパク質が少なくとも0.5重量%、好ましくは1重量%以上含まれるような割合を挙げることができる。
【0036】
また、▲2▼の場合に調製されるホイッピング物は、例えば、乳清タンパク質含有水溶液の1mlあたりの重量(g){重量(g)/体積(ml)}が0.1〜0.4(g/ml)の範囲になるように含気操作を制御・調整することが好ましい。その値が0.1(g/ml)より小さくなるに従ってホイッピング物の気泡の安定性が低下する傾向にあり、また0.4より大きい場合は、ホイッピング物が充分に気泡を含んでいないため、最終的に調製される気泡含有畜肉加工食品の食感のソフト感が低くなる傾向がある。
【0037】
上記畜肉加工食品を構成する原材料または上記ホイッピング物は、乳清タンパク質以外の成分として、増粘多糖類を配合することができる。更に、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、澱粉、乳化剤、調味料、着香料、着色料、甘味料、酸味料、ベーキングパウダー、脱脂粉乳、日持ち向上剤、保存料、酸化防止剤等の任意の成分を含んでいてもよい。増粘多糖類の配合は、乳清タンパク質の起泡化効果並びに気泡安定化効果を向上させることによって、よりソフトな食感を有する畜肉加工食品を調製する上で有用である。
【0038】
ここで増粘多糖類としては、グァーガム、ゼラチン、ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、タマリンドシードガム、タラガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはそのナトリウム塩、微結晶セルロース、ファーセレラン等が挙げられる。これらは1種単独で使用されてもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。好ましい増粘多糖類は、乳清タンパク質と併用することによって得られる気泡安定効果に特に優れた好適な増粘多糖類であって、加温せず水に溶解するものである。かかるものとしては、例えばグァーガム、キサンタンガム、及び水可溶性カラギナンを挙げることができる。
【0039】
乳清タンパク質と増粘多糖類を併用する場合、本発明の畜肉加工食品は、(a)上記乳清タンパク質と増粘多糖類を、畜肉を始め畜肉加工食品を構成するその他の原材料の一部または全てと混合して含気処理する方法、(b)上記乳清タンパク質と増粘多糖類を含有する水溶液を含気処理してホイッピング物を調製し、これを畜肉を始め畜肉加工食品を構成する各種原材料と混合する方法、(c)上記乳清タンパク質を含む水溶液を含気処理してホイッピング物を調製し、これを畜肉、並びに増粘多糖類を含む畜肉加工食品の各種原材料と混合する方法等によって調製することができる。好ましくは上記(a)及び(b)の方法、より好ましくは(b)の方法である。
【0040】
この場合、増粘多糖類の配合割合としては、使用する増粘多糖類の種類、または最終的な畜肉加工食品に求められる食感の違いによって種々異なり一概に規定することはできないが、最終畜肉加工食品100重量%中に通常0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜5重量%、より好ましくは0.03〜3重量%の範囲を例示することができる。なお、この限りにおいて、上記(b)の方法の場合に用いられるホイッピング物中の増粘多糖類の含有割合は特に制限されないが、乳清タンパク質と増粘多糖類を含有する水溶液に含まれる増粘多糖類の割合として、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%を挙げることができる。
【0041】
本発明において気泡を含ませる操作(含気操作、含気処理)は、結果として畜肉加工食品またはホイッピング物の内部に気泡が入る方法であれば特に制限されず、例えば各種の慣用の攪拌機(ホイッパー、ビーダー、ミキサー、カッティングマシーン等)を用いて気泡を抱き込むように対象物を攪拌するか、または気泡を吹き込みながら対象物を攪拌する方法、各種の泡立て器を用いて対象物を泡立てる方法、対象物を含有する容器ごとを振とうする方法等を任意に用いることができる。
【0042】
本発明の畜肉加工食品は、上記工程に加えて、各畜肉加工食品の種類や用途に応じて、これらの食品の製造に使用される慣用の加工方法で処理することによって調製することができる。かかる加工方法としては、例えば上記処理後に所望の形状に成形して、冷蔵、冷凍、ボイル(茹でる)、蒸す、焼く、油調(揚げる)、乾燥及びスモークより選択される1または2以上の処理方法を挙げることができる。
【0043】
例えば、畜肉加工食品がソーセージである場合は下記の方法によって調製することができる:
▲1▼原料肉(豚ウデ肉等)を掃除(スジ、リンパ、小骨、塗肉インク、毛等を除去)し、細切(例えば、約3センチ角にカット等)する。
▲2▼上記細切原料肉を塩漬する〔例えば、原料肉に対して塩漬剤(食塩、発色剤)を1.5〜2重量%程度添加し混合して一晩以上冷蔵庫にて漬け込む〕。
▲3▼肉引きする。具体的には上記原料肉をミンサーで3〜5mm程度のプレートに通して、ミンチ肉にする。
▲4▼肉練りする。具体的には、上記原料肉を高速カッターでカッティングしながら、氷やリン酸塩、香辛料及び調味料等の原料を加え、ついで澱粉を加え、高速にて練り上げた後、別途、調製しておいたホイッピング物を混合する。練り上げ温度は14℃程度が一般的である。なお、ホイッピング物は、前述するように乳清タンパク質と水、必要に応じて更に増粘多糖類を混合して調製した乳清タンパク質含有水溶液を含気処理して調製することができる。
▲5▼上記練り上げ、ホイッピング物を混合した肉をケーシングに充填し、結紮成形する。ここでケーシングとしてはスタッファー、天然腸(牛腸、豚腸、羊腸、胃又は食道)、セルロースケーシング、コラーゲンケーシング、及び塩化ビニリデン等の公知のケーシングを任意に使用することができる。但し、ソフトな食感のソーセージを調製する目的からは、充填に使用するケーシング皮や包装材も、例えば酵素処理により軟らかくした羊腸等のようにソフトなものを使用するのが好ましい。
▲6▼燻煙する。具体的にはスモークハウスにて、乾燥、加熱(スチーム)を行う。ケーシングの太さにより条件は異なるが、通常、中心温度63℃で30分以上の加熱が必要である。
▲7▼冷却する。
【0044】
また、畜肉加工食品がミートボールである場合は下記の方法によって調製することができる:
▲1▼原料肉(豚ウデ肉等)を掃除(スジ、リンパ、小骨、塗肉インク、毛等を除去)し、細切(例えば、約3センチ角にカット等)する。
▲2▼上記細切原料肉を肉引きする。具体的には上記原料肉をミンサーで3〜5mm程度のプレートに通して、ミンチ肉にする。
▲3▼得られたミンチ肉に他の食材(例えば、タマネギ等の野菜のみじん切り)や調味料などを配合して混合する。ここで併せて含気処理を行うことができる。含気処理としては下記2つの方法のいずれか一方を採用することができる。
1)上記他の食材や調味料に加えて、得られたミンチ肉に乳清タンパク質を配合し、万能混合攪拌機等で含気混合する(共立て方法)。
2)上記他の食材や調味料に加えて、得られたミンチ肉に別途調製しておいたホイッピング物を配合し、混合する(別立て方法)。なお、ホイッピング物は、前述するように乳清タンパク質と水、必要に応じて更に増粘多糖類を混合して調製した乳清タンパク質含有水溶液を含気処理して調製することができる。
▲4▼成型して、油調する。
【0045】
また畜肉加工食品が畜肉含有ケーキである場合は下記に掲げる(1)共立て方法と(2)別立て方法によって調製することができる:
(1)共立て方法
▲1▼ 畜肉(予め、ミンサー等でミンチ状にしたもの)及び乳清タンパク質を含む、薄力粉以外の原料を配合し、サイレントカッター等でカッティングしながら混合物を含気混合し、品温が高くなりすぎないように(例えば、チキンケーキで有れば14℃を超えないように)温度を調整しながら練り上げる。
▲2▼ ▲1▼に薄力粉を加えて、軽く混合し、成型する。
▲3▼ オーブンにて焼成する。なお、冷凍保存をする場合は、次いで−38℃で急速凍結することもできる。
【0046】
(2)別立て方法
▲1▼ 畜肉(予め、ミンサー等でミンチ状にしたもの)に、乳清タンパク質及び薄力粉以外の原料をサイレントカッター等でカッティングしながら、品温が高くなりすぎないように(例えば、チキンケーキで有れば14℃を超えないように)温度を調整しながら練り上げる。
▲2▼ ▲1▼に薄力粉を加えて、軽く混合し、ケーキ生地を調製する。
▲3▼ 別途、水に乳清タンパク質及び必要に応じて増粘多糖類等の増粘剤を加え、万能混合攪拌機にて攪拌して含気処理してホイッピング物を調製した。
▲4▼ ▲2▼のケーキ生地と▲3▼のホイッピング物を混合し、成型、オーブンにて焼成する。なお、冷凍保存をする場合は、冷凍保存の場合は−38℃で急速凍結する。
【0047】
(2)脂肪の代替方法
更に本発明は、畜肉加工食品の脂肪の代替方法を提供する。当該方法は、畜肉加工食品の脂肪分の一部または全てを、乳清タンパク質に由来する気泡化物で代替することによって実施することができる。なお、ここで乳清タンパク質に由来する気泡化物(脂肪代替物)としては、▲1▼乳清タンパク質を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物、または▲2▼乳清タンパク質及び畜肉、ならびに必要に応じて他の原材料との混合物を起泡化して得られる気泡を挙げることができる。
【0048】
ここで用いられる乳清タンパク質としては、前述するように乳清を原料として濃縮・精製したものを挙げることができるが、好ましくは前述する「塩バランス調整乳清タンパク質」、より好ましくは「塩/脂肪分調整乳清タンパク質」、「塩/タンパク調整乳清タンパク質」または「塩/タンパク/脂肪分調整乳清タンパク質」である。
【0049】
乳清タンパク質に由来する気泡化物(脂肪代替物)として、好ましくは上記ホイッピング物を挙げることができる。ホイッピング物の調製方法(乳清タンパク質の配合割合も含む)は、(1)において詳述の通りであるが、乳清タンパク質含有水溶液に対する含気操作を制御することによって、1ml中の重量(g){重量(g)/体積(ml)}が0.1〜0.4(g/ml)となるように調整されたものであることが好ましい。なお、(1)において述べたように、乳清タンパク質含有水溶液には増粘多糖類を配合することができる。
【0050】
また、乳清タンパク質に由来する気泡化物(脂肪代替物)として、乳清タンパク質及び畜肉、ならびに必要に応じて他の原材料との混合物を起泡化して得られる気泡を用いる場合、当該混合物の起泡化方法並びに乳清タンパク質の配合割合も(1)において述べた通りである。(1)で述べるように、上記混合物には増粘多糖類を配合することもできる。
【0051】
当該乳清タンパク質に由来する気泡化物(脂肪代替物)は、畜肉加工食品の製造において、通常畜肉加工食品に配合される脂肪分の一部または全てに置き換えて使用することができる。なお、かかる脂肪代替物の使用量は、対象とする畜肉加工食品の種類によって異なり一義的に定めることはできないが、畜肉加工食品中に含まれる脂肪分が0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%の範囲になるように低減された脂肪分を補完/補充しえる量を挙げることができる。
【0052】
より具体的には、上記▲1▼及び▲2▼のいずれの方法の場合も、畜肉加工食品に配合される気泡化物(脂肪代替物)の割合は、乳清タンパク質の割合に換算して0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上の割合を挙げることができる。なお、乳清タンパク質の配合割合の上限は、本発明の効果からは特に制限されないが、食品の風味の点からは30重量%以下、好ましくは20重量%以下の割合を挙げることができる。
【0053】
本発明の畜肉加工食品の脂肪の代替方法は、畜肉加工食品の製造方法において、畜肉加工食品に配合する脂肪分の一部または全てを、乳清タンパク質に由来する気泡化物で置き換える以外は、通常の方法に従って畜肉加工食品を製造することによって実施することができ、詳細は、上記(1)並びに後述する実施例において記載する方法に従うことができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によればソフトな食感を有する畜肉加工食品を提供することができる。
さらに、本発明によればソフトな食感を有する畜肉加工食品であって、定法(常法)によって調製される汎用の畜肉加工食品よりも脂肪分が低減しながらも、脂肪分が低減していない汎用の畜肉加工食品と遜色のない畜肉加工食品特有のおいしさを備えた畜肉加工食品を提供することができる。特に、本発明において提供される畜肉加工食品は、従来の畜肉加工食品に用いられる脂肪分を約15重量%以下に低減することができるため、低カロリーの畜肉加工食品としても有用である。
【0055】
また、本発明の脂肪代替方法によれば、ソフトな食感を有する畜肉加工食品であって、定法(常法)の畜肉加工食品よりも脂肪分が低減してなる上記の低カロリーの畜肉加工食品を提供することができる。しかも当該脂肪代替方法によれば、脂肪分を低減しながらも、脂肪分を低減させない畜肉加工食品と遜色のない畜肉加工食品特有のおいしさを備えた低カロリーの畜肉加工食品を提供することができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り単位は重量部を意味するものとする。また、文中*印を付した商品は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の商品であることを示し、文中※印を付した名称は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。なお、下記処方で使用する乳清タンパク質(ミルプロ※WP:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)は、ナトリウム含量:0.06重量%、カルシウム含量:3.5重量%、カリウム含量:0.03重量%、脂肪含量0.9重量%、タンパク質含量80重量%を有する乳清タンパク質であり、また乳清タンパク質(ミルプロ※LG:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)は、ナトリウム含量:0.16重量%、カルシウム含量:0.5重量%、カリウム含量:0.49重量%、脂肪含量3.6重量%、タンパク質含量76.7重量%を有する乳清タンパク質である。
【0057】
実施例1 ソーセージ
(1)ホイッピング物の調製
下記の処方に従ってホイッピング物を調製した。具体的には下記の処方に従って、まず水に乳清タンパク質と増粘多糖類の粉体混合物を加え、サイレントカッターにて回転カッティングしながらホイッピングした後(216rpm/分で5分間)、澱粉を添加し、さらにカッティングしながら混合して、ホイッピング物を調製した。
【0058】
<ホイッピング物の処方>
乳清タンパク質(ミルプロ※WP*) 7.0
増粘多糖類(カラギナン;ゲルリッチ※NO.3*) 0.3
澱粉(ナショナル78-0148:日本エヌエスシー製) 17.0
残 部
合 計 100.0。
【0059】
(2)ソーセージの調製
下記の処方に従ってソーセージを調製した。なお、畜肉として豚ウデ肉を3センチ角にカットしてミンサーにて5mmのプレートに通してミンチ状に調製したものを使用した。具体的には、まず下記処方のうち、上記(1)で調製したホイッピング物以外の原料を順次加えてサイレントカッターにてカッティングし(216rpm/分で5分間)、次いでこれに上記(1)で調製したホイッピング物を加えて、更にカッティングした。カッティングしながら品温が14℃になるように温度を調整しながら練り上げて、これを羊腸(酵素処理により軟らかくしたケーシング)に充填し、加熱(乾燥:50℃で30分、スモーク:60℃で15分、及びスチーム:中心温度が70℃になるまで80℃で加熱)してソーセージを得た。
【0060】
<ソーセージ処方>
豚ウデ肉(5mmφ) 60.0
上記ホイッピング物 30.0
氷水 10.0
塩 1.8
重合リン酸塩 0.3
L−アスコルビン酸ナトリウム 0.08
亜硝酸ナトリウム 0.012
L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
砂糖 0.1
調味料(サンライク※スパイスミックス SW−1*) 0.5
調味料(サンライク※ポークエキス 3416E*) 0.3
保存料(サンキプロ※NO.9*) 0.8。
【0061】
比較例1
上記実施例1に記載するソーセージ処方のうち、乳清タンパク質製のホイッピング物30重量部に代えて、大豆タンパク質製のホイッピング物30重量部を用いる以外は、上記と同様の処方並びに製法を用いて、ソーセージを調製した。なお、大豆タンパク質製のホイッピング物として、実施例1の(1)に記載する<ホイッピング物の処方>において乳清タンパク質(ミルプロ※WP*)7重量部に代えて、大豆タンパク質7重量部を使用して同様にホイッピング処理して調製したものを使用した。
【0062】
比較例2
上記実施例1に記載するソーセージ処方のうち、乳清タンパク質製のホイッピング物30重量部に代えて、卵白製のホイッピング物30重量部を用いる以外は、上記と同様の処方並びに製法を用いて、ソーセージを調製した。なお、卵白製のホイッピング物として、実施例1の(1)に記載する<ホイッピング物の処方>において乳清タンパク質(ミルプロ※WP*)7重量部に代えて、卵白末7重量部を使用して同様に同様にホイッピング処理して調製したものを使用した。
【0063】
比較例3
上記実施例1に記載するソーセージ処方のうち、ホイッピング物(乳清タンパク質製)30重量部に代えて、乳清タンパク質とカラギナンを用いて調製したゲル状物30重量部を用いた以外は、上記と同様の処方並びに製法を用いて、ソーセージを調製した。なお、当該ゲル状物は下記の方法によって調製したものを使用した:
<ゲル状物の調製>
水にカッパカラギナン0.8重量部、脱脂粉乳5重量部、還元デンプン糖化物5重量部を加えて、85℃で10分間攪拌した後、60℃まで冷却する。これに乳清タンパク質(ミルプロ※LG*)7.5重量部を加えて、40〜50℃で5分間攪拌する。得られた溶液を、耐熱性ケーシング袋に充填し、90〜95℃の恒温槽中で60分間保ち、次いで冷却し、5〜7℃の冷蔵庫中で20時間静置して固化(ゲル化)させる。得られた固化物をミンチ機(5mm)に通して、ミンチ状(ゲル状物)にする。
【0064】
比較例4
上記実施例1に記載するソーセージ処方のうち、ホイッピング物30重量部に代えて、豚ウデ肉(5mmφ)18重量部(豚ウデ肉の総重量:78重量部)、豚脂10重量部、及び乳清タンパク質2重量部を加えた以外は、上記と同様の処方並びに製法を用いて、ソーセージを調製した。
【0065】
対照例
上記実施例1に記載するソーセージ処方のうち、ホイッピング物30重量部に代えて、豚ウデ肉(5mmφ)20重量部(豚ウデ肉の総重量:80重量部)及び豚脂10重量部を使用した以外は上記と同様の処方並びに製法を用いて、ソーセージを調製した。
【0066】
上記実施例1、比較例1〜4及び対照例で調製したソーセージの食感を比較した結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004587649
【0068】
表1に示すように、実施例1において乳清タンパク質を用いて調製したホイッピング物は気泡がきめ細かく、またそれを使用して調製したソーセージ(実施例1)は、豚脂が入っていないにもかかわらず、豚脂を10重量部の割合で配合した通常のソーセージ(対照例)と遜色のない程、ソーセージ特有のコクのある風味が認められた。また本発明のソーセージ(実施例1)は豚脂を含まない分カロリーが193kcal/100gと、通常のソーセージ(対処例:321kcal/100g)と比べてカロリーが40%もカットされていた。なお、ソーセージのカロリーは、「ウインナーソーセージ321kcal/100g」を対照例のソーセージに当てはめてそれを標準とし、五訂日本食品標準成分表に基づいてソーセージの成分及び含有量から割り出して求めた。以上のことから、本発明によれば、通常のソーセージ特有のコクのある風味や肉様感を著しく損なうことなく、カロリーを低減させてなるソーセージが提供できることがわかる。
【0069】
また、実施例1のソーセージは、良好なソフトな食感を有しており、歯切れがよく、また組織に縮みのない良好な食感のソーセージであった。それに対して比較例1及び2の大豆タンパク質や卵白を使用したホイッピング物を用いて調製したソーセージ(比較例1及び2)は、ソフト感に欠けるか本発明のソーセージよりも有意に劣っており、さらにソーセージ特有の濃くのある風味や肉特有の食感が少なく、食べていて物足りないものであった。
【0070】
更に、乳清タンパク質を使用したソーセージであっても、起泡しない状態で乳清タンパク質をそのまま配合した比較例4のソーセージはソフト感がなく、また脂肪代替物として乳清タンパク質を配合したゲル状物を用いた比較例5のソーセージはぱさついており、ソーセージの食感とはかけ離れたものであった。
【0071】
実施例2:ミートボール
(1)ホイッピング物の調製
下記の処方に従ってホイッピング物を調製した。具体的には下記処方のうち、水に乳清タンパク質、増粘多糖類及び澱粉の粉体混合物を加え、万能攪拌機にて216rpm/分で3分間攪拌し、ホイッピング物を調製した。
【0072】
<ホイッピング物の処方>
乳清タンパク質(ミルプロ※WP*) 5.0
増粘多糖類(カラギナン;ゲルリッチ※NO.3*) 0.3
澱粉(ナショナル78-0148;日本エヌエスシー製) 17.0
水 残 部
合 計 100.0。
【0073】
(2)ミートボールの調製
下記の処方に従ってミートボールを調製した。なお、豚ウデ肉及び豚脂は予め3センチ角にカットしてミンサーにて5mmのプレートに通してミンチ状に調製したものを使用した。また玉ねぎは予めみじん切りにしてソテーし、水分量を20重量%カットし、当初の重量の80重量%としたものを用いた。具体的には下記の処方に従って原料を混合し、これを1個あたりの重量が10gになるようにボール状に成型して、150℃で5分間、油調して、ミートボールを調製した。
【0074】
<ミートボール処方>
豚ウデ肉(5mmφ) 55.0
別紙ホイップ 20.0
豚脂(5mmφ) 10.0
玉ねぎ 10.0
生パン粉 5.0
食塩 0.4
保存料(サンポリマー※NO.205*) 0.3
トレハロース 2.0
魚醤(マリナージM-15;エムジーン・マリナージ製) 0.5
ゴマ油 0.5
調味料(サンライク※スパイスミックス JW−1*) 0.5
調味料(サンライク※ポーク 3417E*) 0.5
調味料(サンライク※アミノベース NAG*) 0.2
ホワイトペパーパウダー 0.1。
【0075】
得られたミートボールは、軟らかい食感であり、かつミンチ肉の肉感もアップしており、おいしいミートボールであった。
【0076】
実施例3 ミートボール入りレトルトカレー
下記処方のうちカレー原料以外の原料を水に加え、これを80℃で10分間加熱攪拌した。これにカレー原料を加え、攪拌溶解してカレールーを調製した。
【0077】
<カレールー処方>
小麦粉(焙焼小麦粉BF−B;千葉製粉製) 5.0
粉末油脂(NネオパウダーMS;日本油脂製) 6.0
ココナッツミルクパウダー 3.0
食塩 1.0
スクラロース(サンスイート※SU−100*) 0.01
L−グルタミン酸ナトリウム 0.5
生ジンジャーペースト 0.5
生ガーリックペースト 0.5
調味料(サンライク※カレースパイス SV−3494*) 1.0
調味料(サンライク※チキン RP−11*) 0.5
調味料(サンライク※ポーク 3417E*) 0.3
調味料(サンライク※コウボ 0409P*) 0.1
カレー原料(カレー SP−84122*) 0.02
残 部
合 計 100.0。
【0078】
ここで得られたカレールーを用いて、下記処方(1袋分)に従ってレトルトカレー内容物を調製した。なお、玉ねぎは予め角切りして5分間ボイルしたものを、じゃがいも及び人参は共に予め角切りして0.2重量%の乳酸カルシウム水溶液で10分間ボイルしたものを使用した。これをアルミパウチに充填した後、121℃で20分/1袋、レトルト殺菌してミートボール入りレトルトカレーを調製した。
【0079】
<レトルトカレー処方:1袋分>
カレールー(上記) 105g
ミートボール3個(実施例2) 30
玉ねぎ(熱処理済み:角切り) 5
じゃがいも(熱処理済み:角切り) 5
人参 ( 熱処理済み:角切り )
合 計 150g。
【0080】
得られたミートボール入りレトルトカレーは、レトルト殺菌しているにもかかわらず、ミートボールが固くならず軟らかい食感であり、かつミートボールの中にカレーが良く染みこんだおいしいカレーとなった。
【0081】
実施例4 チキンの冷凍ケーキ(共立て調製品)
下記処方のうち、薄力粉とアーモンドブランチ以外の原料をサイレントカッターに加えて、カッティングしながら品温が14℃になるように温度を調整しながら練り上げた。なお、鶏ムネ肉は予め3センチ角にカットしてミンサーにて3mmのプレートに通してミンチ状に調製したものを使用した。これに薄力粉とアーモンドブランチを加えて軽く混合してケーキ生地を調製し、これをカップ1個あたり40gとなるように充填した。これをオーブンにて焼成(180℃、25分)した後、急速凍結して、冷凍チキンケーキを調製した。
【0082】
<チキンのケーキ処方>
鶏ムネ肉(皮なし)(3mmφ) 30.0
食塩 3.0
乳清タンパク質(ミルプロ※WP*) 3.0
乳清タンパク質(ミルプロ※LG*) 1.0
薄力粉 10.0
マーガリン 2.0
ハチミツ 1.0
スクラロース* 0.03
焼きいもパウダーNO.16209* 3.0
シンナモンパウダー 0.05
アーモンドブランチ(生) 2.0
増粘剤(サンエース※*) 0.1
香料(ワニラオイル60*) 0.15
香料(アルコールエンハンサーLNO.68188*) 0.05
47 . 32
合 計 100.0。
【0083】
実施例5 チキンの冷凍ケーキ(別立て調製品)
実施例4に記載する<チキンのケーキ処方>のうち、乳清タンパク質(ミルプロ※WP: 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)3.0重量部以外の原料を用いて、実施例4と同様にしてケーキ生地を調製した。具体的には、実施例4の<チキンのケーキ処方>に記載する原料のうち、乳清タンパク質(ミルプロ※WP)、薄力粉及びアーモンドブランチ以外の原料をサイレントカッターに配合してカッティングし、最終品温が14℃になるように温度を調整しながら練り上げた。これに薄力粉とアーモンドブランチを加えて、軽く混合し、ケーキ生地を調製した。なお、実施例4と同様に鶏ムネ肉は予め3センチ角にカットしてミンサーにて3mmのプレートに通してミンチ状に調製したものを使用した。
【0084】
一方で、下記処方に従ってホイッピング物を調製した。具体的には下記の<ホイッピング物の処方>に従って、水に乳清タンパク質及び増粘剤を加え、万能混合攪拌機にて216rpmで2〜3分間かけて攪拌しながらホイップしてホイッピング物を調製した。
【0085】
前記で調製したケーキ生地100重量部に上記ホイッピング物20重量部を軽く混合し、これをカップ1個あたり30gとなるように充填し、をオーブンにて焼成(180℃、25分)した後、急速凍結して、冷凍チキンケーキを調製した。
【0086】
<ホイッピング物の処方>
乳清タンパク質(ミルプロ※WP*) 10.0
増粘剤(キサンタンガム;サンエース※*) 0.2
水 89 .
合計 100.0
上記実施例4及び5で調製した冷凍ケーキをそれぞれ電子レンジにて解凍し(500W、共立て品1分20秒/1ヶ、別立て品50秒/1ヶ)て食べたところ、いずれも冷凍による劣化はなく、ソフトでふわっとしており、空気を含んだような食感であった。これらのケーキは、100g当たりタンパク質を実施例4(共立て調製品)は10.9g、実施例5(別立て調製品)は8.7g含んでおり、全く新規なタンパク質入り菓子となった。

Claims (10)

  1. 清タンパク質を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物を、畜肉加工食品の原材料と混合する工程を有する畜肉加工食品の製造方法。
  2. 乳清タンパク質が、
    (1)ナトリウム含量が0.15重量%以下で、且つカルシウム含量が2.5重量%以上であって、加えて下記(2)または(3):
    (2)脂肪含量1重量%以下、
    (3)タンパク質含量80重量%以上、
    のいずれか少なくとも一方を備えるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 記ホイッピング物がさらに増粘多糖類を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 畜肉加工食品が、ソーセージ、ミートボール及び畜肉含有ケーキより選択されるものである請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  5. 上記ホイッピング物として、0.1〜0.4重量/体積(g/ml)を有するものを用いる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の製造方法により製造される、畜肉加工食品。
  7. 脂肪含量が15重量%以下である、請求項に記載の畜肉加工食品。
  8. 畜肉加工食品の調製において、脂肪分の一部または全てに代えて乳清タンパク質に由来する気泡化物を用いる、畜肉加工食品の脂肪の代替方法であって、乳清タンパク質に由来する気泡化物が、乳清タンパク質を含む水溶液を起泡化して調製されるホイッピング物である、方法。
  9. 乳清タンパク質が、
    (1)ナトリウム含量が0.15重量%以下で、且つカルシウム含量が2.5重量%以上であって、加えて下記(2)または(3):
    (2)脂肪含量1重量%以下、
    (3)タンパク質含量80重量%以上、
    のいずれか少なくとも一方を備えるものである請求項に記載の畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
  10. 乳清タンパク質に由来する気泡化物が、乳清タンパク質及び増粘多糖類を含む水溶液を気泡化して調製されるホイッピング物である、請求項またはに記載する畜肉加工食品の脂肪の代替方法。
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