JP2007028938A - タンパク質含有組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンパク質を使用した各種食品に様々な機能を付与する。
【解決手段】タンパク質含有組成物にヒドロキシプロピルセルロースを含有する。タンパク質含有組成物がゲル状組成物である。タンパク質が、動物性タンパク質である。動物性タンパク質として、乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、畜肉由来のタンパク質及び魚介類由来のタンパク質から選ばれる1種又は2種以上を使用する。組成物が、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストから選ばれる1種である。
【選択図】図1
【解決手段】タンパク質含有組成物にヒドロキシプロピルセルロースを含有する。タンパク質含有組成物がゲル状組成物である。タンパク質が、動物性タンパク質である。動物性タンパク質として、乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、畜肉由来のタンパク質及び魚介類由来のタンパク質から選ばれる1種又は2種以上を使用する。組成物が、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストから選ばれる1種である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヒドロキシプロピルセルロース及びタンパク質を含有する組成物に関する。詳細には、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストなどのタンパク質含有食品に関する。
ヒドロキシプロピルセルロースは、従来、医薬品のカプセル化剤や、滑沢剤、コーティング剤などに使用できることは知られている(特許文献1、特許文献2など)。しかし、食品への応用についてはあまり検討されていない。
本発明は、ヒドロキシプロピルセルロースの食品への応用について検討したものであり、新規なタンパク質含有組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ヒドロキシプロピルセルロースの新規な食品への用途について、鋭意研究を重ねたところ、タンパク質とヒドロキシプロピルセルロースとを共存させることにより、対象食品に様々な機能を付与することを見いだした。
すなわち、様々な機能として、魚肉ソーセージなどの水産練り製品に使用した場合には、ケーシングからの剥離性の向上や弾力性向上などの効果が見られ(剥離性向上剤、弾力性向上剤)、だし巻き卵などの卵加工食品に使用した場合には、食感改良に加えて、焼成時の焦げ付きの抑制ができること(食感改良剤、焦げ付き抑制剤)が判った。更には、フラワーペーストに使用した場合には、泡状の新規な食感を付与することができ(食感改良剤)、プリンなどのゲル状食品に使用した場合には、ゲルの弾力性の向上などの効果(弾力性向上剤)を示すことを見いだした。このように、タンパク質を使用した各種食品に様々な機能を付与することができるようになった。
すなわち、本発明は以下の態様を有する;
項1.ヒドロキシプロピルセルロースとタンパク質とを含有することを特徴とするタンパク質含有組成物。
項2. 組成物がゲル状組成物である、請求項1に記載のタンパク質含有組成物。
項3. タンパク質が、動物性タンパク質である、項1乃至2のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
項4. 動物性タンパク質として、乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、畜肉由来のタンパク質及び魚介類由来のタンパク質から選ばれる1種又は2種以上を使用する、項1乃至3のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
項5.組成物が、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストから選ばれる1種である、項1乃至4のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
項1.ヒドロキシプロピルセルロースとタンパク質とを含有することを特徴とするタンパク質含有組成物。
項2. 組成物がゲル状組成物である、請求項1に記載のタンパク質含有組成物。
項3. タンパク質が、動物性タンパク質である、項1乃至2のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
項4. 動物性タンパク質として、乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、畜肉由来のタンパク質及び魚介類由来のタンパク質から選ばれる1種又は2種以上を使用する、項1乃至3のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
項5.組成物が、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストから選ばれる1種である、項1乃至4のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
本発明により魚肉ソーセージなどの水産練り製品に使用した場合には、ケーシングからの剥離性の向上や弾力性向上などの効果が見られ、だし巻き卵などの卵加工食品に使用した場合には、食感向上に加えて、焼成時の焦げ付きの抑制ができることが判った。更には、フラワーペーストに使用した場合には、泡状の新規な食感を付与することができ、プリンなどのゲル状食品に使用した場合には、ゲルの弾力性の向上などの効果を示す。
本発明は、ヒドロキシプロピルセルロースとタンパク質とを含有することを特徴とする、タンパク質含有組成物に関する。
本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは、天然に広く存在するセルロース(パルプ)を原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応して得られる非イオン性の水溶性セルロースエーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、室温(25度)時の2%水溶液粘度が1mPa・s〜100,000mPa・s程度のものであるが、本発明では、中でも粘度の低〜中程度のもの、具体的には、室温時の2%水溶液粘度が1〜300mPa・s程度のものを好適に使用することができる。更には粘度の低いものが好ましく、例えば、30mPa・s以下、更に好ましくは、15mPa・s以下のものを好適に使用することができる。
ヒドロキシプロピルセルロースのタンパク質含有組成物への添加量は、水分量や調製方法により適宜調整することができるが、0.01〜10.0重量%程度が配合される。好ましくは、0.05〜5.0重量%である。また、本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは商業上入手することができ、例えば、ハーキュリーズ社製のクルーセル(KLUCEL)GF、クルーセルJF、クルーセルLF、クルーセルEFなどを使用することができる。中でも、低粘度タイプの、クルーセルJF、クルーセルLF、クルーセルEFを好適に使用することができる。
本発明で使用するタンパク質としては、牛乳、乳清、カゼイン、カゼインナトリウム、生クリーム、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂練乳、ヨーグルト(発酵乳)、粉末発酵乳などの乳由来のタンパク質、卵黄、卵白、全卵などの卵由来のタンパク質、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉などの畜肉由来のタンパク質、魚、貝類などの魚介類由来のタンパク質などの動物性タンパク質や、これら動物性タンパク質から得られたペプチド、コラーゲン、アルブミンなども包含する。更には、トウモロコシ、小麦、大麦、米、カラスムギ、大豆などの穀物タンパク質や、その画分である、グルテン、プロラミン、ゼイン、グルテニン、グリアジンや、ココナッツミルク、豆乳なども包含する。
本発明のタンパク質含有組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とするが、特に、タンパク質の加熱凝固により生成するゲル状組成物に好適に適用できる。ゲル状組成物の一例としては、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストから選ばれる1種を挙げることができる。
畜肉加工食品としては、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、ミートボール、つくね、ロールキャベツの具材などの食肉及び野菜やその他の原料を合わせて調製した具材などを挙げることができる。これら畜肉由来のタンパク質を含む畜肉加工食品にヒドロキシプロピルセルロースを併用することにより、得られた食品の食感を向上させることができる。畜肉加工食品に使用する場合、タンパク質の含有量は3〜35重量%程度であり、ヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、0.01〜5重量%、好ましくは、0.05〜1重量%である。畜肉加工食品の製造方法としては、畜肉由来のタンパク質、ヒドロキシプロピルセルロースと必要に応じて調味料などの他の原料を加えて配合する他は常法により製造することができる。
卵加工食品としては、卵焼き、だし巻き卵、スクランブルエッグ、卵豆腐、茶碗蒸しなどを挙げることができる。例えば、卵由来のタンパク質を含む卵加工食品にヒドロキシプロピルセルロースを併用することにより、例えば、焼成時において、フライパンや型からの剥離性がよく、作業効率が上がることなどを挙げることができる。卵加工食品に使用する場合、タンパク質の含有量は3〜35重量%程度であり、ヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、0.01〜2重量%、好ましくは、0.05〜1重量%である。卵加工食品の製造方法としては、卵由来のタンパク質、ヒドロキシプロピルセルロースと必要に応じて調味料などの他の原料を加えて配合する他は常法により製造することができる。
水産練り製品としては、かまぼこ、揚げかまぼこ、包装かまぼこ、茹でかまぼこ、風味かまぼこ等のかまぼこ類、焼き竹輪、蒸し竹輪、握り竹輪、冷凍竹輪等の竹輪類、はんぺん類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ等が挙げられる。これら魚介類由来のタンパク質を含む水産練り製品にヒドロキシプロピルセルロースを併用することにより、得られたゲルの白度の低下の防止、弾力(あし)低下を防止し、かつ、水産練り製品の風味に影響を及ぼさず、最終製品の容器または包装(ケーシング)からの剥離性を向上させることができる。なお、水産練り製品の原料となるすり身にヒドロキシプロピルセルロースを併用添加する。すり身は生すり身、冷凍すり身のいずれも使用することができる。すり身とされる魚の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、スケソウダラ、キイトヨリ、ウルメイワシ、マイワシ、マアジ、ハモ、サワラ等が挙げられる。水産練り製品に使用する場合、タンパク質の含有量は3〜35重量%程度であり、ヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、0.01〜5重量%、好ましくは、0.05〜1重量%である。
水産練り製品の製法としては、魚肉を原料とするすり身、魚肉片等にヒドロキシプロピルセルロースと、必要に応じて調味料等の他の原料を添加して、混合機に入れすり身を製造し、塩ずりを行い、ボイル、スチーム、直火焼、オーブン等での加熱を行い、成型凝固するものであれば良い。また、これらの水産練り製品は、プラスチック製のカップや、ケーシングチューブ等に充填される場合もある。特に本発明の水産練り製品は、これら容器やケーシングからの剥離性が良好であることが特徴である。
また、タンパク質とヒドロキシプロピルセルロースを併用することにより、プリンのようなゲル状物や、フラワーペーストのようなゾル・ゲル状物、ポタージュスープのようなゾル状物(粘稠物)を調製することができる。このゲル状物は別途ゲル化剤を添加する必要がなく、タンパク質とヒドロキシプロピルセルロースを混合することによりゲル化するものである。このゲル状物はプリンのみならず、プリンシェイク、プリンドリンクゼリー、ドリンクゼリー、ムース、ババロア、ミルクプリン、杏仁豆腐、嚥下困難者用食品等のタンパク質含有ゲル状食品を調製することができる。
このゲル状物を調製する場合のタンパク質としては、好ましくは、乳清タンパク質を使用するのが好ましい。乳清タンパク質とは、乳から調製される乳清(ホエー)を濃縮し精製して調製されるものである。原料として使用する乳清は特に制限されず、例えばチーズ製造時の副産物であるスウィートホエー、酸カゼイン製造時の副産物であるアシッドホエー、またはレンネットカゼイン製造時の副産物であるレンネットホエーなどを制限なく、挙げることができる。乳の由来も特に制限されず、牛、山羊または羊等の哺乳類の乳を例示することができるが、好ましくは牛由来のもの、すなわち牛乳を用いることが好ましい。
乳清(ホエー)の濃縮・精製方法は、特に制限されず、通常タンパク質の精製において慣用的に使用される操作を1種、または2種以上組み合わせて行うことができる。例えば、かかる操作としては、抽出法、塩析法、遠心分離法、限外濾過法、ウルトラフィルトレーション法、逆浸透膜法、透析法、電気透析法、吸着分離法、電気泳動法、及び各種の分離原理を利用したクロマトグラフ法(イオン交換法、ゲル濾過法、吸着分離法(疎水性クロマト、親水性クロマト)、アフィニティー法等)などを挙げることができる。
本発明において用いられる乳清タンパク質は、タンパク質を80重量%以上の割合で含んでいることが好ましい。より好ましくは、乳清タンパク質100重量%中に80〜95.85重量%の割合でタンパク質を含むものである。乳清タンパク質の含有量は1〜 30重量%、好ましくは5〜20重量%であり、ヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、0.5〜10重量%、好ましくは、2〜5重量%である。
タンパク質含有ゲル状食品の調製方法としては、タンパク質(好ましくは乳清タンパク質や脱脂粉乳など)、ヒドロキシプロピルセルロース及びその他の原料を水、好ましくは蒸留水に加えて加熱攪拌溶解し、必要に応じて均質化を行い、容器充填後、レトルト殺菌や、UHT殺菌、HTST殺菌の殺菌を行って製造することができる。
更に、本発明では、乳由来のタンパク質と澱粉を加えて糊状としたフラワーペーストにヒドロキシプロピルセルロースを併用することにより、新規な泡状の食感を有するフラワーペーストを調製することができる。澱粉としては、小麦粉等の小麦由来の澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ等のトウモロコシ由来の澱粉;タピオカ澱粉;サツマイモ由来の澱粉、ジャガイモ由来の澱粉、サゴヤシ由来の澱粉等やそれらの加工澱粉を適宜選択して用いることができる。
フラワーペーストの調製方法としては、常法により製造することができる。例えば、乳由来のタンパク質、ヒドロキシプロピルセルロース及び他の原料を水に添加した後、糊化する温度以上の温度まで加熱すればよいが、60〜100℃、好ましくは、80〜98℃で5〜15分間攪拌し、蒸発水を補正後、容器充填し冷却する方法や、乳由来のタンパク質、ヒドロキシプロピルセルロース及び他の原料を水に添加した後、ホモミキサーなどでホモジナイズ後、60〜100℃、好ましくは、80〜98℃で5〜15分間攪拌し、蒸発水を補正後、容器充填し冷却する方法などをあげることができる。本発明では、ホモジナイズをしない方法で製造する方が、新規な泡状の食感をより味わうことができる。フラワーペーストを調製する際の乳由来のタンパク質、ヒドロキシプロピルセルロースの添加量としては、乳由来のタンパク質は0.5〜8.0重量%、好ましくは1.0〜6.0重量%であり、ヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、0.05〜2.0重量%、好ましくは、0.2〜1.0重量%である。
本発明では、ヒドロキシプロピルセルロースが、タンパク質含有組成物に対して様々な機能を付与することを見いだした。すなわち、様々な機能として、魚肉ソーセージなどの水産練り製品に使用した場合には、ケーシングからの剥離性の向上や弾力性向上などの効果が見られ(剥離性向上剤、弾力性向上剤)、だし巻き卵などの卵加工食品に使用した場合には、食感改良に加えて、焼成時の焦げ付きの抑制ができること(食感改良剤、焦げ付き抑制剤)が判った。更には、フラワーペーストに使用した場合には、泡状の新規な食感を付与することができ(食感改良剤)、プリンなどのゲル状食品に使用した場合には、ゲルの弾力性の向上などの効果(弾力性向上剤)を示すことを見いだした。このように、タンパク質を使用した各種食品に様々な機能を付与することができるようになった。
なお、本発明では、タンパク質含有食品にヒドロキシプロピルセルロースを併用することを特徴とするが、本発明の効果に悪影響を与えない限度において、必要に応じて、増粘剤、油脂、糖質、調味料、乳化剤、香料、色素などの他の原料を添加することができる。
増粘剤としては、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギナン、トラガントガム、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、ラムザンガム、ガティガム、寒天、ゼラチン、HMペクチン、LMペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム等のヒドロキシプロピルセルロース以外のセルロース誘導体、大豆多糖類、ラムザンガム、ウエランガム、サイリウムシードガム、プルラン等を挙げることができる。
油脂としては、バター、生クリーム等の乳脂肪分、植物油脂あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の中から一種又は二種以上を併用することができる。植物油脂の例としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油を挙げることができる。
糖質としては、砂糖の他には、例えば、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類をあげることができる。また、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等も添加してもよい。
調味料としては、塩、砂糖、グリシン、グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系調味料や、クエン酸、酢酸などの有機酸類を挙げることができる。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル(蒸留モノグリセライド、反応モノグリセライド、ジ・トリグリセライド、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等)及び、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、ステアロイル乳酸塩(ナトリウムもしくはカルシウム)、ポリソルベート及び大豆レシチン、卵黄レシチン、酵素処理レシチン等を挙げることができる。また、ビタミン、カルシウム、鉄、DHAの栄養剤等を併用することも可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下、「HPC」は「ヒドロキシプロピルセルロース」を、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であり、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
実験例1:畜肉加工食品(ハンバーグ)の調製
下記表1に掲げる処方を常法により良く混合し、成型(1ヶ80g)後、焼成(170℃で片面1分ずつ計2分間)してハンバーグを調製した。
下記表1に掲げる処方を常法により良く混合し、成型(1ヶ80g)後、焼成(170℃で片面1分ずつ計2分間)してハンバーグを調製した。
得られた実施例1〜3のハンバーグは、ブランクと比較して生地が鉄板につき難く剥がれやすいため焼きやすく、また、得られたハンバーグも弾力性がある食感で良好であった。
実験例2:だし巻き卵の調製
下記表2の処方通りだし巻き卵の生地を調製し、卵焼き器にて焼成後、食感の官能評価を行った。結果は表4に示す。
下記表2の処方通りだし巻き卵の生地を調製し、卵焼き器にて焼成後、食感の官能評価を行った。結果は表4に示す。
表3より、実施例4〜10はブランクと比較して食感に差があり、全体としてソフトになっている傾向がある。特に、実施例9、実施例10ではジューシー感も付与されている。また、焼成中の様子は、ブランクは焼成時間が短いが、焼成器の鉄板に生地がつき易く剥がれにくいのに対し、実施例6〜8は焼成時間はブランクと差はないが、生地が鉄板につき難く剥がれやすい。実施例9〜10においては、生地に粘度が出てくるので焼成に時間がかかるが、生地は鉄板につき難く剥がれやすい傾向がある。
実験例3:ケーシングカマボコの調製
下記表4の処方通りケーシングカマボコを調製した。すなわち、すり身をらい潰機にて空ずりをした後、塩を添加し、塩ずりをする。その後、澱粉、L-グルタミン酸ナトリウム、HPCを添加しすり身の温度が8℃になるまでよくすりあげる。よくすったすり身をケーシングに充填し、40℃、1時間坐らせ、90℃、40分間ボイルを行い、ケーシングカマボコを得た。得られたケーシングカマボコについて、食感、ケーシングからの剥離性について評価した。その結果を表5に記す。
下記表4の処方通りケーシングカマボコを調製した。すなわち、すり身をらい潰機にて空ずりをした後、塩を添加し、塩ずりをする。その後、澱粉、L-グルタミン酸ナトリウム、HPCを添加しすり身の温度が8℃になるまでよくすりあげる。よくすったすり身をケーシングに充填し、40℃、1時間坐らせ、90℃、40分間ボイルを行い、ケーシングカマボコを得た。得られたケーシングカマボコについて、食感、ケーシングからの剥離性について評価した。その結果を表5に記す。
表5より、HPCを添加したケーシングカマボコは、ケーシングからの剥離性に優れていた。中でも、添加量が0.05部以上であると食感も硬く、弾力があり、更には、剥離性も更に良好になった。ただし、HPCの添加量を増やすと製造時起泡しやすくなり、実施例18のHPCの添加量が5%のものは気泡が多すぎてゲル強度の測定が困難であった。
実験例4:フラワーペースト(1)
下記表6に掲げる処方のうち、水、ヤシ油、バターを攪拌しながら、その他の粉体混合物を加え、90℃で5分間加熱攪拌溶解した後、蒸発水を補正後、容器に充填して冷却し、フラワーペーストを調製した。
下記表6に掲げる処方のうち、水、ヤシ油、バターを攪拌しながら、その他の粉体混合物を加え、90℃で5分間加熱攪拌溶解した後、蒸発水を補正後、容器に充填して冷却し、フラワーペーストを調製した。
得られたフラワーペーストは、いずれも泡状の食感が得られる新規な食感のフラワーペーストであった。
実験例5:フラワーペースト(2)
下記表7に掲げる処方の内、水、ホイップクリーム、予め溶かしたバター、卵類にその他の粉体混合物を加え、TKホモミキサーで10000rpm10分間ホモジナイズした後、90℃で5分間加熱攪拌溶解して、蒸発水を補正後、容器に充填し、冷却してフラワーペーストを調製した。
下記表7に掲げる処方の内、水、ホイップクリーム、予め溶かしたバター、卵類にその他の粉体混合物を加え、TKホモミキサーで10000rpm10分間ホモジナイズした後、90℃で5分間加熱攪拌溶解して、蒸発水を補正後、容器に充填し、冷却してフラワーペーストを調製した。
得られたフラワーペーストは、実施例21〜23のいずれも、泡状の食感が得られる新規な食感のフラワーペーストであった。中でも実施例22のフラワーペーストが、より泡状の食感が感じられ良好であった。
実験例6:タンパク質(脱脂粉乳)との相乗効果
HPCとして、Klucel EF,Klucel GFを各々5%、2%添加し、脱脂粉乳を、0%、5%、10%、20%添加して、タンパク質・HPC含有溶液を調製した。調製方法としては、水(20℃)にHPCを添加し、10分間攪拌した後、脱脂粉乳を添加して、3分間攪拌した後、脱気処理を行い調製した。粘度(20℃、回転数60rpm)を測定した結果を図1に示す。
HPCとして、Klucel EF,Klucel GFを各々5%、2%添加し、脱脂粉乳を、0%、5%、10%、20%添加して、タンパク質・HPC含有溶液を調製した。調製方法としては、水(20℃)にHPCを添加し、10分間攪拌した後、脱脂粉乳を添加して、3分間攪拌した後、脱気処理を行い調製した。粘度(20℃、回転数60rpm)を測定した結果を図1に示す。
図1より、脱脂粉乳のみの添加系では、単に固形分濃度(脱脂粉乳濃度)の上昇だけでは、系の粘度上昇は起こらなかったが、HPCと脱脂粉乳とを併用することで、固形分濃度(脱脂粉乳)の上昇による以上の系の粘度上昇が見られた。これは、HPCと脱脂粉乳との相乗効果による粘度上昇であると考えられる。また、脱脂粉乳濃度30%では冷却によりペースト状に、脱脂粉乳濃度40%では冷却によりゲル化することができる。この結果より、タンパク質(脱脂粉乳)を多く含む食品系にて、HPCを添加することにより粘度が相乗的に上昇し、増粘による食感改良効果や保形性付与効果などが期待できる。
実験例7:タンパク質(乳清タンパク質)との相乗効果
HPCとして、Klucel EF,Klucel GFを各々5%、2%添加し、乳清タンパク質(ミルプロ※L1*)を、各々0%、5%、10%添加して、タンパク質・HPC含有溶液を調製した。調製方法としては、水(20℃)にHPCを添加し、10分間攪拌した後、乳清タンパク質を添加して、3分間攪拌した後、脱気処理を行い調製した。粘度(20℃、回転数60rpm)を測定した結果を図2に示す。
HPCとして、Klucel EF,Klucel GFを各々5%、2%添加し、乳清タンパク質(ミルプロ※L1*)を、各々0%、5%、10%添加して、タンパク質・HPC含有溶液を調製した。調製方法としては、水(20℃)にHPCを添加し、10分間攪拌した後、乳清タンパク質を添加して、3分間攪拌した後、脱気処理を行い調製した。粘度(20℃、回転数60rpm)を測定した結果を図2に示す。
図2より、実験例6と同様に、単に乳清タンパク質のみの添加系では固形分濃度(乳清タンパク質濃度)が上昇するのみであり、系の大きな粘度上昇は起こらなかったが、HPCと乳清タンパク質とを併用することにより相乗的に粘度が上昇した。この結果より、タンパク質(乳清タンパク質)を多く含む食品系にて、食感改良効果などが期待できる。なお、違う種類の乳清タンパク質(ミルプロ ※No.142*;三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を使用して実験例6と同様の試験を行ったが、実験例7と同様の傾向が見られた。
実験例8:タンパク質(カゼインナトリウム)との相乗効果
HPCとして、Klucel EF,Klucel GFを各々5%、2%添加し、カゼインナトリウムを、0%、5%、10%、15%添加して、タンパク質・HPC含有溶液を調製した。調製方法としては、水(20℃)にHPCを添加し、10分間攪拌した後、カゼインナトリウムを添加して、3分間攪拌した後、脱気処理を行い調製した。粘度(20℃、回転数60rpm)を測定した結果を図3に示す。
HPCとして、Klucel EF,Klucel GFを各々5%、2%添加し、カゼインナトリウムを、0%、5%、10%、15%添加して、タンパク質・HPC含有溶液を調製した。調製方法としては、水(20℃)にHPCを添加し、10分間攪拌した後、カゼインナトリウムを添加して、3分間攪拌した後、脱気処理を行い調製した。粘度(20℃、回転数60rpm)を測定した結果を図3に示す。
図3より、実験例6と同様に、単にカゼインナトリウムのみの添加系(カゼインNaのみ)では固形分濃度(カゼインNa濃度)が上昇するのみであり、系の大きな粘度上昇は起こらなかったが、HPCとカゼインナトリウムとを併用することにより相乗的に粘度が上昇した。この結果より、タンパク質(カゼインナトリウム)を多く含む食品系にて、食感改良効果などが期待できる。
本発明により、魚肉ソーセージなどの水産練り製品に使用した場合には、ケーシングからの剥離性の向上や弾力性向上などの効果が見られ、だし巻き卵などの卵加工食品に使用した場合には、食感改良に加えて、焼成時の焦げ付きの抑制ができることが判った。更には、フラワーペーストに使用した場合には、泡状の新規な食感を付与することができ、プリンなどのゲル状食品に使用した場合には、ゲルの弾力性の向上などの効果を示す。このように、タンパク質を使用した各種食品に様々な機能を付与することができる。
Claims (5)
- ヒドロキシプロピルセルロースとタンパク質とを含有することを特徴とするタンパク質含有組成物。
- 組成物がゲル状組成物である、請求項1に記載のタンパク質含有組成物。
- タンパク質が、動物性タンパク質である、請求項1乃至2のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
- 動物性タンパク質として、乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、畜肉由来のタンパク質及び魚介類由来のタンパク質から選ばれる1種又は2種以上を使用する、請求項1乃至3のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
- 組成物が、畜肉加工食品、卵加工食品、水産練り製品、ゲル状食品、フラワーペーストから選ばれる1種である、請求項1乃至4のいずれかに記載のタンパク質含有組成物。
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