JP4581690B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明におけるポリビニルアルコール系フィルムを形成するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものが例示される。ケン化度は、約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、約1000〜10000、好ましくは約
1500〜5000程度である。
ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させてもよい。
このホウ酸処理は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等のために実施される。架橋による耐水化のための場合には、必要に応じて、ホウ酸以外に、またはホウ酸と共に、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤も使用することができる。
なお、耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。また、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理は特に区別されるものではないが、下記の条件で実施される。
原反フィルムを膨潤、染色、ホウ酸処理をする場合で、ホウ酸処理が架橋による耐水化を目的としている時は、水100重量部に対してホウ酸を約3〜10重量部、ヨウ化物を約1〜20重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約50℃〜70℃、好ましくは約55℃〜65℃の温度で行われる。浸漬時間は、通常、約30〜600秒程度、好ましくは約60〜420秒、より好ましくは約90〜300秒である。
なお、予め延伸したフィルムを染色、ホウ酸処理を行う場合、ホウ酸処理浴の温度は、通常、約50℃〜85℃、好ましくは約55℃〜80℃である。
ホウ酸処理工程においても、染色工程と同様にフィルムの延伸を行ってもよい。最終的な積算延伸倍率は、約4.5〜7.0倍、好ましくは約5.0〜6.5倍である。
染色処理工程で延伸を終了した場合、以後のホウ酸処理工程および水洗処理工程で張力制御を行う。染色処理工程の前工程で延伸が終了している場合には、染色処理工程およびホウ酸処理工程を含む以後の工程で張力制御を行う。
ホウ酸処理工程が複数のホウ酸処理工程からなる場合には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程で前記フィルムを延伸し、延伸処理を行ったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行うか、最初から3段目までのホウ酸処理工程で前記フィルムを延伸し、延伸処理を行ったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行うことが好ましいが、工業的には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程で前記フィルムを延伸し、延伸処理を行ったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行うことがより好ましい。
ホウ酸処理後に、上記したヨウ化物処理または亜鉛処理を行う場合には、これらの工程についても張力制御を行う。
張力制御におけるフィルムへの張力は、特に限定されるものではなく、単位幅当たり、約150N/m〜2000N/m、好ましくは約600N/m〜1500N/mの範囲内で適宜設定される。張力が約150N/mを下回ると、フィルムにシワなどができやすくなる。一方、張力が約2000N/mを超えると、フィルムの破断やベアリングの磨耗による低寿命化などの問題が生じる。また、この単位幅当たりの張力は、その工程の入口付近のフィルム幅と張力検出器の張力値から算出する。
なお、張力制御を行った場合に、不可避的に若干延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、これは延伸処理に含めない。
このことによって、フィルムに皺の発生を少なく、フィルムの破断を少なく製造することができる。
このことによって、スジが少なくて外観が良い偏光フィルムが得られる。
ゴムロールとしては、NBR等からなり、その硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約60〜90度、さらには約70〜80度であり、表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.1〜5S、さらには約0.5〜1Sであることが好ましい。
ステンレススチール製研磨ロールとしては、SUS304、SUS316等からなり、膜厚の均一化を図る上から、その表面粗さが、JIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.2〜1.0Sであるものが好ましく、またその動摩擦係数が約0.1〜0.4、さらには約0.15〜0.35であるものが好ましい。本発明における動摩擦係数は、JIS K 7125の試験方法に準拠して、ポリビニルアルコール系フィルムと水中で測定した値で表す。
スポンジゴムロールとしては、スポンジの硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約20〜60度、さらには約25〜50度であり、密度が約0.4〜0.6g/cm3、さらには約0.42〜0.57g/cm3 であり、そして表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約10〜30S、さらには約15〜25Sであることが好ましい。
かくして、接着剤層を介して偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合された偏光板が得られる。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロンVF−PS#7500、重合度2,400、ケン化度99.9モル%以上)を30℃の純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったままおよそ130秒間浸漬し、フィルムを十分に膨潤させた。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水が重量比で0.02/1.5/100の水溶液に浸漬しつつ、一軸延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で10/5/
100の60℃水溶液に浸漬して、耐水化処理しつつ原反からの積算延伸倍率が 5.9倍になるまで一軸延伸を行った。さらに、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で20/3/100の水溶液に30℃でおよそ30秒間浸漬し、引き続き10℃の純水でおよそ10秒間洗浄した。
次に、水洗したフィルムを第1の乾燥処理において850N/mの張力を付与しながら、80℃で120秒間乾燥した後、引き続いて第2の乾燥処理においてフィルムに670N/mの張力を付与しながら、85℃で180秒間乾燥して偏光フィルムを得た。
この偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、保護フィルム(表面にケン化処理を施したトリアセチルセルロースフィルム、厚み80μm)を両面に貼合して偏光板とした。
乾燥工程におけるフィルムへの皺の発生が少なく、フィルムの破断は発生しなかった。また、得られた偏光板を蛍光灯の反射下で観察したところ、スジが少なく、外観が良いものであった。
第1の乾燥処理におけるフィルムにかかる張力を670N/m、第2の乾燥処理におけるフィルムにかかる張力を850N/mとした以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
乾燥工程におけるフィルムへの皺の発生が多く、フィルムの破断が発生した。また、得られた偏光板を蛍光灯の反射下で観察したところ、スジは少なかった。
第1の乾燥処理における温度を85℃、第2の乾燥処理における温度を80℃とした以外は、比較例1と同様にして偏光板を作製した。
乾燥工程におけるフィルムへの皺の発生が多く、フィルムの破断が発生した。また、得られた偏光板を蛍光灯の反射下で観察したところ、スジが多くて外観の悪いものであった。
Claims (2)
- ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、水洗処理および乾燥処理の順に処理して偏光フィルムを製造する方法において、
乾燥処理をフィルムに張力を付与しながら多段で行い、
乾燥処理の各段におけるフィルムの単位幅あたりの張力を実質的に一定になるように張力制御し、かつ後段における張力を前段における張力より小さくし、
さらに後段における乾燥温度を前段における乾燥温度より高くして行うことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。 - 乾燥処理を2段で行い、前段における張力を600〜1500N/mの範囲から、後段における張力を300〜1200N/mの範囲から、後段における張力が前段における張力より小さくなるように設定し、前段における乾燥温度を50〜90℃の範囲から、後段における乾燥温度を70〜100℃の範囲から、後段における乾燥温度が前段における乾燥温度より高くなるように設定して行う請求項1記載の偏光フィルムの製造方法。
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