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JP4543579B2 - 保存安定性に優れた着色感光性樹脂組成物およびそれを用いたカラーフィルターの製造方法 - Google Patents

保存安定性に優れた着色感光性樹脂組成物およびそれを用いたカラーフィルターの製造方法 Download PDF

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JP4543579B2
JP4543579B2 JP2001162072A JP2001162072A JP4543579B2 JP 4543579 B2 JP4543579 B2 JP 4543579B2 JP 2001162072 A JP2001162072 A JP 2001162072A JP 2001162072 A JP2001162072 A JP 2001162072A JP 4543579 B2 JP4543579 B2 JP 4543579B2
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色感光性樹脂組成物に関し、詳しくは保存安定性に優れた着色感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
着色感光性樹脂組成物(カラーレジスト)は、色素によって着色された感光性樹脂組成物(レジスト)であって、カラーフィルターを構成する着色パターンを形成するための原材料として有用であり、色素として染料を含み、該色素が溶剤に溶解されてなるものも知られている。色素として染料を含む着色感光性樹脂組成物は、薄い厚みであっても十分に着色された着色パターンを形成するために、染料が溶剤に十分高濃度で溶解されている。染料としては、シー・アイ・ソルベント・イエロー162などのような有機溶剤に可溶の油溶染料が用いられ、油溶染料の中でも、例えばC.I.ソルベント・オレンジ56、C.I.ソルベント・イエロー82などのような金属錯塩染料も用いられている。
【0003】
かかる金属錯塩染料を含有する着色感光性樹脂組成物として、硬化剤を含み、該硬化剤が溶剤に溶解されたものも知られており、中でも硬化剤として式(1)
Figure 0004543579
〔式中、Q1、Q2、Q3、Q4はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシル基置換アルキル基を示し、Zはフェニル基または式(11)
Figure 0004543579
(式中、Q5、Q6はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシル基置換アルキル基を示す。)で示される置換基を示す。ただし、Q1〜Q6のうちの1つ以上はヒドロキシアルキル基またはアルコキシル基置換アルキル基である。〕
で示される化合物が溶剤に溶解されたものも知られている。かかる化合物(1)を含有する着色感光性樹脂組成物を原材料として用いることで、機械的強度の高い着色パターンを形成することができる。
【0004】
しかし、金属錯塩染料および式(1)で示される化合物を溶剤に溶解した従来の着色感光性樹脂組成物は、長期間保存する間に粘度が増大したり、感度が低下するという問題があった。着色感光性樹脂組成物の粘度が増大したり、感度が低下すると、カラーフィルターの着色パターンを安定して形成することが困難となる。
【0005】
かかる問題を解決するために、着色感光性樹脂組成物を低温で保存することも考えられるが、これでは保存期間中は温度を常に低温に管理する必要ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、金属錯塩染料および式(1)で示される化合物を溶解した着色感光性樹脂組成物として、特別な温度管理をすることなく、例えば一般的なクリーンルームの設定温度である23℃程度で長期間保存しても、粘度が増大することがなく、また感度が低下することもない着色感光性樹脂組成物を開発するべく鋭意検討した結果、該着色感光性樹脂組成物にキレート剤を添加することによって、保存中の粘度増加、感度低下を防止し得ることを見出すとともに、キレート剤が添加された着色感光性樹脂組成物は従来の着色感光性樹脂組成物と同様に、着色パターンの形成の原材料として用い得ることを見出し、本発明に至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、色素として金属錯塩染料を含有し、硬化剤として式(1)で示される化合物を含有し、色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂およびキレート剤が溶剤に溶解されてなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、色素として金属錯塩染料を含有する。金属錯塩染料は、金属原子に配位子が配位結合している染料化合物であり、本発明の着色感光性樹脂組成物を着色するために含有されている色素である。
【0009】
金属錯塩染料において、金属原子としては、通常はクロム原子、コバルト原子などの遷移金属原子が挙げられる。
配位子としては、例えば式(2)
Figure 0004543579
〔式中、R21、R22はそれぞれ独立にヒドロキシル基またはカルボン酸基を示し、R20、R23、R24、R25はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、スルホン酸基、アルコキシル基またはニトロ基を示す。〕
で示される化合物が挙げられる。ここで、R20、R23、R24、R25におけるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜4程度のアルキル基などが、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜4程度のアルコキシル基などがそれぞれ挙げられる。
【0010】
金属錯塩染料において金属原子に配位した式(2)で示される化合物は、塩を形成していてもよい。塩としては、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属とのアルカリ金属塩、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−アミノ−3−フェニルブタンなどのアミン類とのアミン塩などが挙げられる。かかる塩は、式(2)で示される化合物のR20、R23、R24、R25はスルホン酸基である場合には、該スルホン酸基で演を形成する。
【0011】
かかる金属錯塩染料としては、例えばC.I.ソルベント・オレンジ56(C.I.Solvent Orange56)、C.I.ソルベント・イエロー82(C.I.Solvent Yellow82)などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で含有されていてもよいし、2つが共に含有されていてもよく、目的とする着色パターンの色、すなわち分光特性に応じて適宜選択される。
【0012】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、金属錯塩染料以外の色素を含有していてもよい。かかる色素としては通常、油溶染料の中から選択され、その種類、含有量、金属錯塩染料に対する使用量などは、目的とする着色パターンの色に応じて適宜選択される。
【0013】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、硬化剤として式(1)で示される化合物を含有する。かかる硬化剤(1)において、Q1、Q2、Q3、Q4におけるヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基などの炭素数1〜4程度のヒドロキシアルキル基などが挙げられる。アルコキシルキ置換アルキル基は、アルコキシル基が置換しているアルキル基であって、例えばメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシブチル基などのような、炭素数1〜4程度のアルコキシル基で置換された炭素数1〜4程度のアルキル基などが挙げられる。かかる化合物(1)としては、例えばヘキサメトキシメチルメラミンなどが挙げられる。
【0014】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、硬化剤として式(12)〜式(17)
Figure 0004543579
で示される化合物を含有していてもよい。
【0015】
本発明の着色感光性樹脂組成物はアルカリ可溶性樹脂を含有する。アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ性水溶液に溶解し得る樹脂であり、通常の感光性樹脂組成物に用いられると同様のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。かかるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばp−クレゾールのノボラック樹脂、p−クレゾールとm−クレゾールとのノボラック樹脂、式(3)
Figure 0004543579
で示される構造を有するノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、スチレンとビニルフェノールとの共重合体などが挙げられる。かかるアルカリ可溶性樹脂の中でも、ノボラック樹脂が好ましく用いられる。
【0016】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、さらにキレート剤を含有する。キレート剤としては、金属錯塩染料を構成する金属原子とキレート化合物を形成しうる化合物が挙げられる。中でも、金属錯塩染料を構成する金属原子に対して2座以上で配位してキレート化合物を形成しうる化合物、例えば1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジンなどが好ましく、さらに好ましくは1,10−フェナントロリンである。かかるキレート剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量部あたり、通常は0.5〜5質量部程度、好ましくは1〜4質量部程度である。
【0017】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、これらの色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂およびキレート剤が溶剤に溶解されてなるものである。ここで溶剤としては、色素、アルカリ可溶性樹脂、硬化剤、感光剤およびキレート剤を溶解しうる溶剤が用いられ、例えばメチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、ピルビン酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられ、これらの溶剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0018】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、これらの色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂およびキレート剤を含有するものであり、いわゆるポジ型着色感光性樹脂組成物(ポジ型カラーレジスト)であってもよいし、ネガ型着色感光性樹脂組成物(ネガ型カラーレジスト)であってもよい。
【0019】
着色感光性樹脂組成物がネガ型着色感光性樹脂組成物である場合には、着色感光性樹脂組成物は、色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂およびキレート剤と共に、感光剤を含有する。
【0020】
感光剤としては、溶剤に溶解しえるものが用いられ、通常の感光性樹脂組成物に用いられると同様の感光剤を用いることができる。具体的には、例えばフェノール化合物とo−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステルなどを用いることができる。ここでフェノール化合物としては、例えば式(4)
Figure 0004543579
で示される化合物などが、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物としては、例えばo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸などがそれぞれ挙げられる。
【0021】
ポジ型着色感光性樹脂組成物の組成は、色素、アルカリ可溶性樹脂および感光剤の合計量100質量部あたり、色素の含有量が通常15〜40質量部、アルカリ可溶性樹脂の含有量が通常20〜70質量部、感光剤の含有量が通常15〜40質量部であり、硬化剤の含有量は、色素、アルカリ可溶性樹脂および感光剤の合計量100質量部あたり、通常10〜35質量部である。溶剤の含有量は、色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂および感光剤の合計量100質量部あたり、通常180〜400質量部程度である。
【0022】
着色感光性樹脂組成物がネガ型着色感光性樹脂組成物である場合には、着色感光性樹脂組成物は、色素、硬化剤およびアルカリ可溶性樹脂と共に、通常、光酸発生剤を含有する。光酸発生剤としては、溶剤に溶解しえるものが用いられ、例えば通常のネガ型感光性樹脂組成物に用いられると同様の光酸発生剤を用いることができ、具体的には、例えば式(5)
Figure 0004543579
〔式中、Q7は水素原子またはアルキル基を、Q8はアルキル基もしくはアルコキシル基で置換されていてもよいフェニル基をそれぞれ示す。〕
で示される化合物などが挙げられる。ここで、Q7で示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3程度のアルキル基などが挙げられる。Q8におけるフェニル基は、アルキル基またはアルコキシル基で置換されていてもよいが、ここでアルキル基で置換されていてもよいフェニル基としては、例えばo−イソプロピルフェニル基などの炭素数1〜3程度のアルキル基で置換されたフェニル基などが、アルコキシル基で置換されたフェニル基としては、例えばp−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−プロポキシフェニル基などの炭素数1〜3程度のアルコキシル基で置換されたフェニル基などがそれぞれ挙げられる。
【0023】
光酸発生剤として、例えば式(61)〜(67)
Figure 0004543579
で示される化合物なども挙げられる。
【0024】
かかるネガ型着色感光性樹脂組成物の組成は、色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤の合計量100質量部あたり、色素の含有量が通常15〜40質量部、硬化剤の含有量が通常10〜25質量部、アルカリ可溶性樹脂の含有量が通常20〜70質量部、光酸発生剤の含有量が通常0.3〜5質量部程度である。溶剤の含有量は、色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤の合計量100質量部に対して、通常180〜400質量部程度である。
【0025】
本発明の着色感光性樹脂組成物を製造するには、例えば色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂、キレート剤および溶剤を混合すればよい。ポジ型感光性樹脂組成物を得るには、さらに感光剤を混合すればよく、ネガ型感光性樹脂組成物を得るには、さらに光酸発生剤を混合すればよい。
【0026】
かくして製造された本発明の着色感光性樹脂組成物は、製造後、直ちに着色パターンの形成に供してもよいし、保存したのちに着色パターンの形成に供してもよい。保存は、低温に冷却した状態で保存してもよいし、常温で保存してもよい。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、低温で保存しても常温で保存しても、粘度が増大することがなく、また感度が低下することもない。
【0027】
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて着色パターンを形成するには、例えば通常のフォトリソグラフィー法と同様に操作すればよく、例えば支持体(1)上に本発明の着色感光性樹脂組成物の不揮発成分からなる被膜(2)を設け(図1(a))、該被膜(2)を露光したのち(図1(b))、現像して着色パターンを形成すればよい(図1(c)、(d))。本発明の着色感光性樹脂組成物はキレート剤を含有するが、キレート剤を含有したまま、着色パターンを形成するための原材料として用いることができる。
【0028】
支持体(1)としては、例えば透明なガラス基板、シリコーンウエハーなどが挙げられる。シリコンウエハーなどの上面にはCCD(電荷結合素子)などが形成されていてもよい。また、ガラス基板、シリコンウエハーなどの上面には、既に、他の色の着色パターンが既に形成されていてもよい。
【0029】
被膜(2)を支持体(1)上に設けるには、例えば着色感光性樹脂組成物を希釈した溶液を支持体上に塗布すればよい(図1(a))。塗布は通常、スピンコート法などの方法により行なわれる。塗布後、例えば80〜130℃程度に加熱して溶剤を揮発させれば、着色感光性樹脂組成物の不揮発成分からなる被膜を設けることができる。
【0030】
次いで、この被膜を露光する(図1(b))。露光するには、目的とする着色パターンに応じたパターンからなるマスクパターン(3)が用いられ、該マスクパターンを介して光線(4)を照射すればよい。露光に用いられる光線としては、例えばg線、i線などが挙げられ、g線ステッパー、i線ステッパーなどの露光機を用いて露光すればよい。用いた着色感光性樹脂組成物がポジ型であった場合には、露光後、加熱してもよいし、加熱しなくてもよい。用いた着色感光性樹脂組成物がネガ型感光性樹脂組成物であった場合には、露光後、加熱する。加熱温度は、通常、80〜150℃程度である。
【0031】
露光後、現像する。現像は、例えば被膜が設けられた支持体を現像液に浸漬すればよい。現像液としては、通常の感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成するに際して用いられると同様の現像液を用いることができる。現像後、現像液から支持体を引き上げ、水洗して現像液を除去することにより、目的とする形状で形成された着色パターンを得ることができる。
【0032】
現像後、着色パターンの全面に亙って紫外線を照射してもよい。紫外線を照射することによって、着色パターンに残存する感光剤や酸発生剤を完全に分解することができる。
【0033】
用いた着色感光性樹脂組成物がポジ型着色感光性樹脂組成物である場合には、先の露光において光線を照射された領域が現像によって除去され、光線を照射されなかった領域が現像後もそのまま残って着色パターン(5)を形成する(図1(c))。
【0034】
用いた着色感光性樹脂組成物がネガ型着色感光性樹脂組成物である場合には、先の露光において光線を照射されなかった領域が除去され、光線を照射された領域が現像後もそのまま残って着色パターン(5)を形成する(図1(d))。
【0035】
用いた着色感光性樹脂組成物がポジ型着色感光性樹脂組成物である場合には、現像後、加熱する。加熱することによって、形成された着色パターンの機械的強度を向上することもできる。加熱温度は、通常160〜220℃程度であり、色素などが分解されない温度が選択される。
【0036】
用いた着色感光性樹脂組成物がネガ型着色感光性樹脂組成物である場合には、現像後、加熱してもよい。加熱によって、形成された着色パターンの機械的強度を向上することができる。加熱温度は、通常160〜220℃程度であり、色素などが分解されない温度が選択される。
【0037】
かくして目的とする形状の着色パターン(5)形成されるが、かかる着色パターン(5)は透明であって色素によって着色されている。かかる着色パターンは帯状に形成されていてもよいし(図2)、モザイク状に形成されていてもよい(図3)。
【0038】
着色パターン(5)が形成された気体(1)の上に、さらに感光性樹脂組成物の不揮発成分からなる皮膜を設け、上記と同様に操作することにより、さらに着色パターンを設けることができ、カラーフィルターを得ることができる。
【0039】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、色素として金属錯塩染料を含有し、硬化剤として式(1)で示される化合物を含有するが、キレート剤が含有されているので、保存中に粘度が増大することがなくいので、支持体(1)上に被膜(2)を設ける際に、保存期間に拘わらず一定の厚みの被膜を形成することができる。また、保存中に感度が低下することもないので、保存期間に応じてマスクパターンを介して照射される光線の照射量を増大させる必要がない。
【0040】
【発明の効果】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、色素として金属錯塩染料を含有し、式(1)で示される硬化剤を含有しているが、粘度の増大や感度の低下を招くことなく保存できるので、保存期間に拘わらず一定の厚みの着色パターンを一定の露光量で形成することができ、カラーフィルターを生産性よく製造することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例1
〔着色感光性樹脂組成物の製造〕
シー・アイ・ソルベント・イエロー82(金属錯塩染料)17質量部、
シー・アイ・ソルベント・イエロー162(油溶染料)17質量部、
式(4)で示されるフェノール化合物とo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル(感光剤)27質量部、
p−クレゾールのノボラック樹脂(アルカリ可溶性樹脂、ポリスチレン換算分子量は6000)20質量部、
ヘキサメトキシメチルメラミン(硬化剤)18質量部、
1,10−フェナントロリン(キレート剤)3質量部および
乳酸エチル(溶剤)365質量部を混合し、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して、ポジ型着色感光性樹脂組成物を製造した。
【0043】
〔製造直後の着色パターンの形成〕
ポジ型感光性樹脂組成物を製造した後、直ちにシリコンウエハー(1)上にスピンコート法(シリコンウエハーの回転数は1500rpm)で塗布し、100℃で1分間加熱して溶剤を揮発させて、着色感光性樹脂組成物の不揮発成分からなり厚みが0.80μmの被膜(2)を形成した(図1(a))。次いで、露光機〔「Nikon NSR i7A」、ニコン(株)製〕を用いてマスクパターン(3)を介してi線(4)を1000ミリ秒間照射した後(図1(b))、現像液〔「SOPD」、住友化学工業(株)製、23℃〕に1分間浸漬して現像した(図1(C))。現像後、水洗し、乾燥したのち、紫外線を全面に亙って照射し、180℃に3分間加熱して、線幅1.0μmで厚みが0.8μmの帯状に形成された黄色の着色パターンを得た(図2)。また、マスクパターンを変える以外は、上記と同様に操作して、線幅2.0μmで厚みが0.8μmのモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た(図3)。
【0044】
〔1週間保存後の着色パターンの形成〕
上記で得たポジ型着色感光性樹脂組成物を23℃で1週間保存した後、上記と同様に操作して、着色感光性樹脂組成物からなる被膜を形成した。この被膜の厚みは0.80μmであった。次いで、上記と同様に操作して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
【0045】
〔2週間および4週間保存後の着色パターンの形成〕
23℃で2週間保存した後、および同温度で4週間保存したのちに同様に操作したところ、それぞれ厚みが0.80μmの被膜を形成し、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
保存期間と、形成された被膜の厚み、および着色パターンを形成するために必要な露光時間との関係を表1に示す。
【0046】
実施例2
〔着色感光性樹脂組成物の製造〕
シー・アイ・ソルベント・イエロー82(金属錯塩染料)17質量部、
シー・アイ・ソルベント・イエロー162(油溶染料)17質量部、
p−クレゾールのノボラック樹脂(アルカリ可溶性樹脂、ポリスチレン換算分子量は5000)43質量部、
式(51)
Figure 0004543579
で示される化合物(酸発生剤)3質量部、
ヘキサメトキシメチルメラミン(硬化剤)18質量部、
1,10−フェナントロリン(キレート剤)2質量部および
乳酸エチル(溶剤)450質量部を混合し、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して、ネガ型着色感光性樹脂組成物を製造した。
【0047】
〔製造直後の着色パターンの形成〕
ネガ型着色感光性樹脂組成物を製造後、直ちに実施例1と同様に操作して(スピンコート法における回転数は1500rpm)、シリコンウエハー上に着色感光組成物の被膜を形成した(図1(a))。この被膜の厚みは80μmであった。次いで、上記と同様に操作して、露光し(図1(b))、現像して(図1(d))、線幅1.0μmで厚みが0.8μmの帯状に形成された黄色の着色パターン(図2)、および線幅2.0μmで厚みが0.8μmのモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た(図3)。
【0048】
〔1週間保存後の着色パターンの形成〕
上記で得たポジ型着色感光性樹脂組成物を23℃で1週間保存した後、上記と同様に操作して、着色感光性樹脂組成物からなる被膜を形成した。この被膜の厚みは0.80μmであった。次いで、上記と同様に操作して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
【0049】
〔2週間および4週間保存後の着色パターンの形成〕
23℃で2週間保存した後、および同温度で4週間保存したのちに同様に操作したところ、それぞれ厚みが0.80μmの被膜を形成し、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
保存期間と、形成された被膜の厚み、および着色パターンを形成するために必要な露光時間との関係を表1に示す。
【0050】
実施例3
〔着色感光性樹脂組成物の製造〕
1,10−フェナントロリンに代えて2,2−ビピリジン(キレート剤)3質量部を用いる以外は実施例1と同様に操作して、ポジ型着色感光性樹脂組成物を得た。
【0051】
〔製造直後の着色パターンの形成〕
ポジ型着色感光性樹脂組成物を製造後、直ちに実施例1と同様に操作して(スピンコート法における回転数は1500rpm)、シリコンウエハー上に着色感光組成物の被膜を形成した(図1(a))。この被膜の厚みは80μmであった。次いで、上記と同様に操作して、露光し(図1(b))、現像して(図1(d))、線幅1.0μmで厚みが0.8μmの帯状に形成された黄色の着色パターン(図2)、および線幅2.0μmで厚みが0.8μmのモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た(図3)。
【0052】
〔1週間保存後の着色パターンの形成〕
上記で得たポジ型着色感光性樹脂組成物を23℃で1週間保存した後、上記と同様に操作して、着色感光性樹脂組成物からなる被膜を形成した。この被膜の厚みは0.81μmであった。
次いで、上記と同様に操作したところ、帯状に形成された黄色の着色パターンおよびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを形成することができなかった。露光時間を1060ミリ秒とする以外は上記と同様に操作して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
【0053】
〔2週間および4週間保存後の着色パターンの形成〕
23℃で2週間保存した後、および同温度で4週間保存したのちに同様に操作したところ、それぞれ厚みが0.83μm(2週間後)、0.84μm(4週間後)の被膜を形成した。
スピンコート法における回転数を変える以外は実施例1と同様に操作して、厚みが0.80μmの被膜を形成し、次いで、実施例1と同様に操作したところ(露光における露光時間は1000ミリ秒)、露光量が不足して帯状に形成された黄色の着色パターンおよびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを形成することができなかった。露光時間を延長して、1100ミリ秒(2週間後)、1600ミリ秒(4週間後)とする以外は実施例1と同様に操作して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
保存期間と、形成された被膜の厚み、および着色パターンを形成するために必要な露光時間との関係を表1に示す。
【0054】
比較例1
〔着色感光性樹脂組成物の製造〕
1,10−フェナントロリンを用いることなく、ポジ型着色感光性樹脂組成物を製造する以外は、実施例1と同様に操作して、ポジ型着色感光性樹脂組成物を製造した。
【0055】
〔製造直後の着色パターンの形成〕
ポジ型着色感光性樹脂組成物を製造後、直ちに実施例1と同様に操作して(スピンコート法における回転数は1500rpm)、シリコンウエハー上に着色感光組成物の被膜を形成した。この被膜の厚みは80μmであった。次いで、上記と同様に操作して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを得た。
【0056】
〔1週間、2週間および4週間保存後の着色パターンの形成〕
このポジ型着色感光性樹脂組成物を23℃で1週間保存した後、2週間保存した後、および同温度で4週間保存したのちに同様に操作したところ(スピンコート法における回転数は1500rpm)、それぞれ厚みが0.83μm(1週間後)、0.86μm(2週間後)、0.90μm(3週間後)の被膜を形成した。
スピンコート法における回転数を変える以外は実施例1と同様に操作して、厚みが0.80μmの被膜を形成し、次いで実施例1と同様に操作したところ(露光における露光時間は1000ミリ秒)、露光量が不足して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを形成することができなかった。露光時間を延長して1200ミリ秒(1週間後)、1500ミリ秒(2週間後)、2000ミリ秒(4週間後)とする以外は実施例1と同様に操作して、帯状に形成された黄色の着色パターン、およびモザイク状に形成された黄色の着色パターンを形成することができた。着色パターンを形成するために要した露光時間を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004543579

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて着色パターンを形成する工程を示す模式図である。
【図2】帯状に形成された着色パターンを示す上面図である。
【図3】モザイク状に形成された着色パターンを示す上面図である。
【符号の説明】
1:基体
2:被膜
3:フォトマスク
4:光線
5:着色パターン

Claims (9)

  1. 色素として金属錯塩染料を含有し、硬化剤として式(1)
    Figure 0004543579
    〔式中、Q1、Q2、Q3、Q4はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシル基置換アルキル基を示し、Zはフェニル基または式(11)
    Figure 0004543579
    (式中、Q5、Q6はそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシル基置換アルキル基を示す。)で示される置換基を示す。ただし、Q1〜Q6のうちの1つ以上はヒドロキシアルキル基またはアルコキシル基置換アルキル基である。〕
    で示される化合物を含有し、色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂およびキレート剤が溶剤に溶解されてなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
  2. キレート剤が1,10−フェナントロリンまたは2,2’−ビピリジンである請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
  3. キレート剤の含有量が、着色感光性樹脂組成物の不揮発成分100質量部あたり0.5〜5質量部である請求項1または請求項2に記載の着色感光性樹脂組成物。
  4. 感光剤を含有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物。
  5. 色素、アルカリ可溶性樹脂および感光剤の合計量100質量部あたりの色素の含有量が15〜40質量部、アルカリ可溶性樹脂の含有量が20〜70質量部、感光剤の含有量が15〜40質量部、硬化剤の含有量が10〜35質量部であり、キレート剤の含有量が不揮発成分100質量部あたり0.5〜5質量部である請求項4に記載の着色感光性樹脂組成物。
  6. 光酸発生剤を含有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物。
  7. 色素、硬化剤、アルカリ可溶性樹脂および光酸発生剤の合計量100質量部あたりの色素の含有量が15〜40質量部、硬化剤の含有量が10〜25質量部、アルカリ可溶性樹脂の含有量が20〜70質量部、光酸発生剤の含有量が0.3〜5質量部であり、キレート剤の含有量が不揮発成分100質量部あたり、0.5〜5質量部である請求項6に記載の着色感光性樹脂組成物。
  8. 基体上に、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物の不揮発成分からなる被膜を設け、該被膜を露光したのち現像して、着色パターンを形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  9. 色素として金属錯塩染料を含有し、硬化剤として前記式(1)で示される化合物を含有し、色素、硬化剤およびアルカリ可溶性樹脂を含有する着色感光性樹脂組成物に、キレート剤を添加して保存することを特徴とする着色感光性樹脂組成物の保存方法。
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