JP4429428B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた遮音性能を有する合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一対のガラス板間に樹脂膜を中間膜としてサンドイッチしてなる合わせガラスは、破損時に破片が飛散せず安全性に優れているため、例えば自動車用等の交通車両の窓ガラスや建築物の窓ガラスに広く用いられている。こうした合わせガラス用の中間膜のうち、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルブチラールの樹脂膜は、ガラスとの接着性、強靱な引張り強度、高い透明性を兼ね備えており、この膜を用いて構成した合わせガラスは特に車両用窓ガラスとして好適である。
【0003】
一般に、遮音性能は、周波数の変化に応じた透過損失量として示され、その透過損失量は、JIS A 4708では、図1中に実線で示すように、500Hz以上において遮音等級に応じてそれぞれ一定値で規定されている。ところで、ガラス板の遮音性は、図1中に波線で示すように、2000Hzを中心とする周波数領域ではコインシデンス効果により著しく低下する。なお、図1中の波線の谷部がコインシデンス効果による遮音性能の低下に相当し、所定の遮音性能を保持しないことを示す。
【0004】
ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射したとき、ガラス板の剛性と慣性によって、ガラス面上を横波が伝播して横波と入射音とが共鳴し、その結果音の透過が起こる現象をいう。従来の合わせガラスは、破片の飛散防止の面では優れているものの、遮音性の面では、2000Hzを中心とする周波数領域において、コインシデンス効果による遮音性能の低下が避けられず、この点の改善が求められている。
【0005】
一方、人間の聴覚は、等ラウドネス曲線から、1000〜6000Hzの範囲では他の周波数領域に比べ非常に高い感度を示すことが知られており、コインシデンス効果による遮音性能の落ち込みを解消することが、防音性にとって極めて重要であることが判る。合わせガラスの遮音性能を向上するには、上記の如きコインシデンス効果を緩和して、コインシデンス効果によって生じる透過損失の極小部(以下、この極小部の透過損失をTL値という。図1参照)の低下を防ぐ必要がある。
【0006】
従来、TL値の低下を防ぐ手段として、合わせガラスの質量の増大、ガラスの複層化、ガラス面積の細分化、ガラス板支持手段の改善等、種々の方策が提案されている。しかし、これらはいずれも充分に満足できる効果をもたらさない上に、コスト的にも実用に採用するに妥当な価格になっていない。
【0007】
遮音性能に対する要求は最近ますます高まり、例えば建築用窓ガラスでは常温付近で優れた遮音性が要求される。即ち、温度に対して透過損失(TL値)をプロットして求めた場合、遮音性能が最も優れている温度(遮音性能最大温度=TLmax温度)が常温付近であり、かつ遮音性能の最大値(遮音性能最大値=TLmax値)自体が大きいという、優れた遮音性が要求されている。同様なことは、自動車においても見られ、高速走行時の風切り音、及び、エンジン部からの振動等、遮音性が要求されつつある箇所は多くなってきている。
【0008】
また、実際に使用される場合を考慮すると、これら合わせガラスは低温域から高温域までの幅広い環境温度の変化にさらされる。即ち、室温付近のみならず広い温度範囲での良好な遮音性能が要求される。しかし、例えば従来の可塑化ポリビニルブチラール樹脂膜を用いた合わせガラスは、遮音性能最大温度が室温より高く、常温付近では遮音性能が良くないという問題を有する。
【0009】
合わせガラスの遮音性能の向上を企図した中間膜の先行技術として、例えば、特開平2−229742号公報には、ガラス転移温度15℃以下の高分子膜、例えば、塩化ビニル−エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体膜と可塑化ポリビニルアセタール膜との積層体からなる中間膜が開示されている。しかし、これは、JIS A 4706による遮音等級でTs−35等級を超える遮音性を示さない上に、遮音性を示す温度範囲が限定されており、広い温度範囲で良好な遮音性能を発揮できない。
【0010】
特開昭51−106190号公報には、ガラス転移温度の異なる2種以上の樹脂を積層することによって、広い温度領域で制振性を有する構成体を得ることが提案されている。この構成体では、広い温度領域で制振性が改善されることが認められる。しかし、上記の文献には合わせガラスとして必要な遮音性、透明性などに関する記述はなく、また、この構成体は安全ガラスとして必要な高い衝撃エネルギー吸収性、ガラス破損時の飛散防止性等の要件を満たすものではない。
【0011】
特開平4−254444号公報には、アセタール基の炭素数が6〜10であるポリビニルアセタールと可塑剤からなる膜と、アセタール基の炭素数が1〜4であるポリビニルアセタールと可塑剤からなる膜を積層した中間膜が提案されている。この中間膜では、確かに遮音性能の改善効果が認められ、かつ温度変化による遮音性能は大きく変動しないが、いずれの効果も未だ充分ではない。このように、上記の先行技術の中間膜では、特に広い温度領域で優れた遮音性能を長期にわたって発揮する合わせガラスは構成することができない。
【0012】
積層体により、より低温側の遮音性能を確保するためには、通常、いずれか一つの単層の遮音性能を低温側にシフトさせる手段がとられる。具体的には可塑剤添加部数を増やし層のガラス転移温度をより低温に下げることが挙げられる。
【0013】
しかし、積層体を構成する樹脂、可塑剤の種類によっては、その相溶性の悪さにより、層のガラス転移温度が下がらず、低温部の遮音性能は向上しない。多量に可塑剤を添加すれば、層のガラス転移温度が下がる系もあるが、多量に可塑剤を添加することは、長期の耐久性等に問題を残すことになり、好ましくない。
【0014】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、また中間膜の成形性、及び、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ、広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮できる遮音性能を有する合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜よりなる積層体からなる合わせガラス用中間膜であって、前記積層体の界面にアミノ系シランカップリング剤が塗布されてなる合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
【0016】
本発明の合わせガラス用中間膜は、可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜よりなる積層体からなるか、又は、可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜及びポリエステルフィルムよりなる積層体からなる。本発明において用いるポリビニルアセタール樹脂は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、ポリビニルアルコールを熱水に溶解し、得られた水溶液を10〜20℃に保持しておいて、アルデヒドと酸触媒とを加えてアセタール化反応を進行させ、次いで70℃に昇温して保持した後、中和、水洗及び乾燥工程を経てポリビニルアセタール樹脂粉末を得る方法等が挙げられる。
【0017】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、500〜5000が好ましい。500未満であると、得られる合わせガラス用中間膜の強度が低下することにより、これを用いた合わせガラスの耐貫通強度や衝撃エネルギー吸収性が低下することがある。5000を超えると、ポリビニルアセタール樹脂の溶融粘度が高すぎて、製膜の段階で使用しにくくなることがあり、しかも得られる合わせガラス用中間膜の強度が高くなりすぎて、合わせガラスとした時の耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不充分となることがある。より好ましくは1000〜3000である。
【0018】
上記アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
【0019】
なかでも、上記ポリビニルアセタール樹脂としては、n−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルブチラール樹脂を使用することにより、樹脂膜の接着強度が強くなり、また、耐候性にも優れ、しかも樹脂の製造も容易となる。
【0020】
本発明において用いるポリビニルアセタール樹脂膜は可塑剤により可塑化されたものである。上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、一塩基酸エステル系、多塩基酸エステル系等の有機エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0021】
上記一塩基酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸等の有機酸と、トリエチレングリコールとの反応によって得られるグリコール系エステルが挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプロネート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート等が好ましい。なお、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等と上記有機酸とのエステルを用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0022】
上記多塩基酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、炭素数4〜8の直鎖状又は分岐状アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。なかでも、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好ましい。上記有機リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0023】
本発明において用いるポリビニルアセタール樹脂膜は、その他必要に応じて、カルボン酸又はジカルボン酸のマグネシウム塩、変性シリコーンオイル、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が添加されたものであってもよい。
【0024】
本発明において用いるポリビニルアセタール樹脂膜は、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂、上記可塑剤及び添加剤をミキシングロールに供給し、混練して得られた混練物をプレス成形機、カレンダーロール、押し出し機等でシート状に成形することにより製造することができる。上記ポリビニルアセタール樹脂膜としては、同一樹脂及び同一可塑剤からなる膜を複数枚用いても、同一樹脂及び異なる可塑剤、又は、異なる樹脂及び異なる可塑剤からなる膜を用いてもよい。
【0025】
本発明において用いるポリエステルフィルムとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなるものが挙げられる。上記ポリエステルフィルムの厚みとしては、50〜150μmであることが好ましい。ポリエステルフィルムは高弾性率を有するため、ポリエステルフィルムを用いることにより、得られる合わせガラス用中間膜の力学強度が向上し、これを用いて作製された合わせガラスの貫通強度等も著しく向上する。
【0026】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記積層体の界面にアミノ系シランカップリング剤が塗布されてなる。本発明において用いるアミノ系シランカップリング剤としては少なくとも1つのアミノ基を有するものであれば特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリエトオキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、γ−アミノプロピルトリエトオキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0027】
上記アミノ系シランカップリング剤を、可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜表面に塗布して、積層することにより、アミノ基と可塑剤とが反応し、可塑化したポリビニルアセタール樹脂膜表面に粘着性が付与され、積層体の界面に軟らかい粘着層が形成される。この粘着層が、低温域の遮音性能を発現し、得られる合わせガラス用中間膜の遮音性能は広温度範囲にわたるものとなる。従って、ビニル基、エポキシ基等のアミノ基以外の基を有するシランカップリング剤を塗布しても、上記ポリビニルアセタール樹脂膜に粘着性を付与することはできない。
【0028】
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜とポリエステルフィルムとの界面に上記アミノ系シランカップリング剤を塗布して、積層することにより、粘着層が形成された場合も、同様に、広温度範囲の遮音性能を発揮することができる。
【0029】
上記アミノ系シランカップリング剤は加水分解可能な反応基を有する。上記加水分解可能な反応基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。これらは、加水分解によってシラノール基となり、ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基と反応し結合する。シラノール基とポリビニルアセタール樹脂中の水酸基との結合によって、網目構造が形成され、これにより、上記ポリビニルアセタール樹脂膜表面の粘着性が制御される。従って、本発明においては上記アミノ系シランカップリング剤を用いることにより、粘着性を保持しつつ、合わせガラス用中間膜としての靱性も保持することができる。
【0030】
上記アミノ系シランカップリング剤の塗布量としては特に限定されないが、2〜10mg/m2であるのが好ましい。2mg/m2未満であると、粘着層形成による低温域での遮音効果が充分ではなく、10mg/m2を超えると、長期使用した場合合わせガラス用中間膜が黄変する恐れがある。
【0031】
本発明の合わせガラス用中間膜全体の厚みとしては、通常、0.3〜1.6mmであるのが好ましい。合わせガラス用中間膜は、厚みが大きい方がより遮音性能に優れるが、合わせガラスとして必要な耐貫通性の点を考慮して厚みを決めるのが好ましく、実用上は上記した厚みの範囲が好適である。
【0032】
本発明の合わせガラス用中間膜が上記ポリビニルアセタール樹脂膜よりなる積層体からなる場合、上記ポリビニルアセタール樹脂膜の積層数としては特に限定されず、2層以上であればよい。例えば、積層数が2層である場合の積層方法としては、一方のポリビニルアセタール樹脂膜の片面にアミノ系シランカップリング剤を塗布し、その塗布面と他方のポリビニルアセタール樹脂膜とを積層する方法等が挙げられる。この場合の積層形態は、ポリビニルアセタール樹脂膜/アミノ系シランカップリング剤/ポリビニルアセタール樹脂膜である。積層数が3層である場合の積層方法としては、一枚のポリビニルアセタール樹脂膜の両面にアミノ系シランカップリング剤を塗布し、その塗布面と他のポリビニルアセタール樹脂膜とを積層する方法等が挙げられる。この場合の積層形態は、ポリビニルアセタール樹脂膜/アミノ系シランカップリング剤/ポリビニルアセタール樹脂膜/アミノ系シランカップリング剤/ポリビニルアセタール樹脂膜である。
【0033】
本発明の合わせガラス用中間膜が上記ポリビニルアセタール樹脂膜及びポリエステルフィルムよりなる積層体からなる場合、上記ポリビニルアセタール樹脂膜及びポリエステルフィルムの積層数は特に限定されず、2層以上であればよい。積層形態としては特に限定されないが、ガラス板と積層体を接着させる点から、ガラス板と、上記ポリビニルアセタール樹脂膜とが接するのが好ましく、例えば、以下のもの等が挙げられる。
(1)ポリビニルアセタール樹脂膜/アミノ系シランカップリング剤/ポリエステルフィルム/アミノ系シランカップリング剤/ポリビニルアセタール樹脂膜
(2)ポリビニルアセタール樹脂膜/アミノ系シランカップリング剤/ポリエステルフィルム/アミノ系シランカップリング剤/ポリビニルアセタール樹脂膜/アミノ系シランカップリング剤/ポリエステルフィルム/アミノ系シランカップリング剤/ポリビニルアセタール樹脂膜
【0034】
本発明の合わせガラス用中間膜が上記ポリビニルアセタール樹脂膜及びポリエステルフィルムよりなる積層体からなる場合、上記アミノ系シランカップリング剤は、ポリビニルアセタール樹脂膜表面又はポリエステルフィルム表面のいずれに塗布してもよい。本発明において、複数枚の上記ポリビニルアセタール樹脂膜が積層される場合、アミノ系シランカップリング剤が塗布されていない界面があってもよい。
【0035】
上記ポリビニルアセタール樹脂膜及びポリエステルフィルムの製膜方法としては特に限定されず、例えば、各層をそれぞれ別々に成形した後、これらをガラス板の間に積層させる方法、各層を多層成形機を用いて一体成形させる方法等が挙げられる。
【0036】
本発明2は、本発明1の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスである。本発明2の合わせガラスは、本発明1の合わせガラス用中間膜を二枚のガラスにて挟着したものである。
【0037】
上記ガラスとしては特に限定されず、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、着色された板ガラス等の各種無機ガラス又は有機ガラス等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記ガラスの厚みは、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0038】
本発明の合わせガラス用中間膜は、ガラス以外の剛性の高い透明体で挟着されてもよい。上記透明体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂よりなるもの等が挙げられる。このような構成体も本発明の一つである。
【0039】
本発明2の合わせガラスは、従来一般に行われている方法により製造することができる。例えば、本発明の合わせガラス用中間膜をフロート板ガラスにて挟着し、この挟着体を真空バックに入れて、真空にしたまま約70〜110℃のオーブン内で30分間保持することにより予備接着し、真空バックから取り出した挟着体を、120〜150℃のオートクレーブ内において、約10〜15kg/cm2 の圧力で熱圧プレスすることにより、透明な合わせガラスを得ることができる。本発明2の合わせガラスは、建築用、車両用として好適に使用することができる。
【0040】
本発明においては、上記アミノ系シランカップリング剤中のアミノ基と、上記ポリビニルアセタール樹脂膜中の可塑剤とが反応することにより、積層体界面に低温域の遮音性能を有する粘着層が形成される。また、上記アミノ系シランカップリング剤のシラノール基と、上記ポリビニルアセタール樹脂膜中の水酸基とが反応することにより、積層体界面に網状構造が形成される。このため、本発明によれば、広温度範囲にわたる遮音性能と機械的強度を併せ持つ合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得ることができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
合わせガラスの遮音性能は、次の方法により測定した。即ち、所定温度において、合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製、加振機 G21−005D)により加振し、そこから得られる振動特性を、機械インピーダンスアンプ(リオン社製、XG−81)にて増幅し、振動スペクトルをFFTアナライザー(横河ヒューレットパッカード社製、FFTスペクトラムアナライザー HP−3582AA)にて解析した。こうして得られた損失係数と、ガラスとの共振周波数の比とから、透過損失を算出した。この結果に基づき、周波数2000Hz近辺における極小の透過損失をもってTL値とした。測定は、0〜+30℃の間で、10℃間隔にて行った。
【0043】
実施例1
(可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜の作製)
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度=65.9mol%、アセチル基量=0.9mol%) に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)を樹脂100重量部に対して40重量部添加した。これら混合物をミキシングロールで充分に混練し、混練物の所定量をプレス成形機で150℃で30分間保持した。こうして厚み0.4mmの樹脂膜を作製した。
【0044】
(積層体及びそれを用いた合わせガラスの作製)
上記のようにして得られた可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜の表面に、シランカップリング剤として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE903)を塗布し、この塗布面の上に更に可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜を重ね、総厚さ0.8mmの2層中間膜を得た。次いで、得られた中間膜をそれぞれ1辺300mmの正方形の厚み3mmの2枚のフロートガラスで両側から挟着し、この未圧着挟着体をゴムバッグへ入れ、20torrの真空度で20分間脱気した後、脱気状態のまま90℃のオーブンに移し、この温度を30分間保持した。こうして真空プレスにより仮接着した挟着体を、次いでオートクレーブ中で圧力12kg/cm2 、温度135℃で熱圧着し、透明な合わせガラスを作製した。このようにして得られた合わせガラスを用い、遮音性能の評価をした。積層膜の構成及び評価結果を表1に示した。
【0045】
実施例2
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度=68.9mol%、アセチル基量=0.9mol%) に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を、樹脂100重量部に対して40重量部添加して、厚さ0.25mmの可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜を得た。また、シランカップリング剤として、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM603)を塗布し、3層中間膜を作製した。シランカップリング剤は、各界面に塗布した。その他は実施例1と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。積層膜の構成及び評価結果を表1に示した。
【0046】
参考例3
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜としては、実施例1記載と同様のものを用いた。シランカップリング剤としては、実施例2と同様のものを用いた。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとして、東レ社製、「ルミラーS−10」(厚さ、50μm)を用い、この両面に、上記シランカップリング剤を塗布し、可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜と積層した。合わせガラス用中間膜の積層形態は、樹脂膜/(シランカップリング剤)PET(シランカップリング剤)/樹脂膜の3層構造とした。その他は実施例1と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0047】
参考例4
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜の一方としては、実施例2で用いた樹脂膜を厚さ150μmに作製したものを用い、これを樹脂膜Aとした。他方の可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜としては、ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度=64.5mol%、アセチル基量=13.0mol%)に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を、樹脂100重量部に対して60重量部添加して、厚さ150μmに作製したものを用い、これを樹脂膜Bとした。シランカップリング剤としては、実施例1と同様のものを用いた。PETフィルムとしては、参考例3と同様のものを用いた。合わせガラス用中間膜の積層形態は、樹脂膜A/樹脂膜B/樹脂膜A/(シランカップリング剤)PET(シランカップリング剤)/樹脂膜A/樹脂膜A、の6層構造とした。その他は実施例1と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0048】
比較例1
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜として、実施例1と同様の樹脂膜を用い、シランカップリング剤は塗布せずに、樹脂膜/樹脂膜の2層積層体を作製し、これを合わせガラス用中間膜とした。その他は実施例1と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0049】
比較例2
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜に、実施例1と同様の樹脂膜を用いた。また、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE402)を塗布し、樹脂膜/樹脂膜の2層構造の合わせガラス用中間膜を作製した。その他は実施例1と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0050】
比較例3
可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜としては、実施例2と同様の樹脂膜を用いた。また、シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)を塗布し、樹脂膜/樹脂膜/樹脂膜の3層構造の合わせガラス用中間膜を作製した。その他は実施例2と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0051】
比較例4
参考例3と同様の可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜、PETフィルムを用い、同様の3層積層体を作製する際、シランカップリング剤としてビニルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE1003)を用いて、合わせガラス用中間膜を作製した。その他は参考例3と同様にして合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明の合わせガラス用中間膜及び合わせガラスは、上述の構成をとることにより、透明性、耐候性、衝撃エネルギー吸収性、ガラスとの接着性等の合わせガラスに必要な基本性能を損なうことなく、また中間膜の成形性、及び、取扱性も損なうことなく、コインシデンス効果の緩和によってTL値の低下を防ぎ、かつ広い温度領域において優れた遮音性能を長期安定的に発揮できる遮音性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合わせガラスの遮音性能を示す図である。
Claims (6)
- ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有する可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜よりなる積層体からなる合わせガラス用中間膜であって、前記積層体の界面にアミノ系シランカップリング剤が塗布されてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
- アミノ系シランカップリング剤は、γ−アミノプロピルトリエトオキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及び、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
- 可塑剤は、グリコール系エステルであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜。
- グリコール系エステルは、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート又はトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートであることを特徴とする請求項4記載の合わせガラス用中間膜。
- 請求項1、2、3、4、又は、5記載の合わせガラス用中間膜を用いてなることを特徴とする合わせガラス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28723799A JP4429428B2 (ja) | 1999-10-07 | 1999-10-07 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
Applications Claiming Priority (1)
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