JP4401580B2 - コネクタの端子構造 - Google Patents
コネクタの端子構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4401580B2 JP4401580B2 JP2001038876A JP2001038876A JP4401580B2 JP 4401580 B2 JP4401580 B2 JP 4401580B2 JP 2001038876 A JP2001038876 A JP 2001038876A JP 2001038876 A JP2001038876 A JP 2001038876A JP 4401580 B2 JP4401580 B2 JP 4401580B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- contact
- male tab
- spring contact
- male
- insertion force
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01R—ELECTRICALLY-CONDUCTIVE CONNECTIONS; STRUCTURAL ASSOCIATIONS OF A PLURALITY OF MUTUALLY-INSULATED ELECTRICAL CONNECTING ELEMENTS; COUPLING DEVICES; CURRENT COLLECTORS
- H01R13/00—Details of coupling devices of the kinds covered by groups H01R12/70 or H01R24/00 - H01R33/00
- H01R13/02—Contact members
- H01R13/10—Sockets for co-operation with pins or blades
- H01R13/11—Resilient sockets
Landscapes
- Coupling Device And Connection With Printed Circuit (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵌合部内に舌片状のばね接点が設けられた雌端子と、上記雌端子の嵌合部内に挿入されて上記ばね接点に接触する雄端子とを有するコネクタの端子構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用のワイヤーハーネス等を接続する際に、嵌合部内に舌片状のばね接点が設けられた雌端子と、この雌端子の嵌合部内に挿入されて上記ばね接点に接触する雄タブが設けられた雄端子とを有するコネクタを使用し、上記雄端子と雌端子との結合により上記ワイヤーハーネス等を電気的に接続することが行われている。
【0003】
例えば、図9に示すように、雄端子4の雄タブ3が挿入される雌端子2の嵌合部1内に、上記雄タブ3の一面が接触する固定接点5と、この固定接点5と所定の初期クリアランスを隔てて対向するばね接点6aとを設け、これらの接点5,6a間に上記雄タブ3を挿入し、上記ばね接点6aを弾性変形させた状態で上記雄タブ3と接点5,6aとを接触させることにより、上記雌端子2に固着されたハーネスと、雄端子4に固着されたハーネスとを電気的に接続することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記雌端子2の両接点5,6a間に形成された初期クリアランスは、上記雄タブ3の板厚よりも所定量だけ小さな値に設定されているため、上記雌端子2の両接点5,6a間に、雄端子4の雄タブ3が挿入されるのに応じ、上記ばね接点6aが大きく弾性変形してその接点反力が急上昇するとともに、図7の破線で示すように、上記雄タブ3の挿入直後に、上記雌端子2に対する雄端子4の挿入力Faが急上昇してピーク値に達するとともに、その後に上記挿入力Faが所定量だけ減少して結合完了状態に至る。
【0005】
また、上記雄タブ3の挿入後に、その挿入力Faが上昇するのに応じ、図7の破線で示すように、上記ばね接点6aの接点反力PLaが上昇する。したがって、上記両端子2,4の結合完了状態におけるばね接点6aの接点反力PLaを所定値に設定して雄タブ3とばね接点6aとの接触圧を確保するためには、上記挿入力Faのピーク値が大きくなることが避けられず、これによって両端子2,4の結合する際に、大きな操作力が必要であるという問題がある。
【0006】
特に、最近は、車載用電子機器の増加に伴い、コネクタが多極化する傾向があり、これに対応して端子の配列を狭ピッチ化することにより、コネクタを小型化するとともに、一端子当たりの挿入力を低減して端子を結合する際の作業性を向上させることが望まれている。しかし、コネクタの接続信頼性を維持するという観点から、上記のようにばね接点の接点反力を所定値に維持する必要があるので、両端子の結合操作力を、これ以上低減することは困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、コネクタの接続信頼性を損なうことなく、雌端子の嵌合部に対する雄タブの挿入力を効果的に低減することができるコネクタの端子構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、嵌合部内に舌片状のばね接点が設けられた雌端子と、この雌端子の嵌合部内に挿入されて上記ばね接点に接触する雄タブが設けられた雄端子とを有するコネクタの端子構造において、上記雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入する際に、その挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan−1[(3−5μ)/(5+3μ)]の関係が成り立つように上記ばね接点の傾斜角度を設定するとともに接点部を形成したものである。
【0009】
上記構成によれば、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に、その挿入力が一気にピーク値に上昇するのを防止しつつ、上記ばね接点の接点反力を充分に高い値に設定することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載のコネクタの端子構造において、上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan-1[(1−2μ)/(2+μ)]の関係が成り立つように構成したものである。
【0011】
上記構成によれば、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に、その挿入力のピーク値が、より効果的に低減されるとともに、上記ばね接点の接点反力が充分に高い値に設定されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項1記載のコネクタの端子構造において、上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧53.74μ°+59.537°の関係が成り立つように構成したものである。
【0013】
上記構成によれば、両端子の接触面の摩擦係数が0.1〜0.4の範囲内にある場合において、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に発生する挿入力のピーク値を、上記端子結合完了状態におけるばね接点の接点反力の60%程度以下に抑えることが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項2記載のコネクタの端子構造において、上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧53.74μ°+63.936°の関係が成り立つように構成したものである。
【0015】
上記構成によれば、両端子の接触面の摩擦係数が0.1〜0.4の範囲内にある場合において、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に発生する挿入力のピーク値を、上記端子結合完了状態におけるばね接点の接点反力の50%程度以下に抑えることが可能となる。
【0016】
請求項5に係る発明は、上記請求項1記載のコネクタの端子構造において、上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLが、90°>δL≧67.5°の範囲内となるとように構成したものである。
【0017】
上記構成によれば、両端子の接触面の摩擦係数が0.15である場合において、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に発生する挿入力のピーク値を、上記端子結合完了状態におけるばね接点の接点反力の60%程度以下に抑えることが可能となる。
【0018】
請求項6に係る発明は、上記請求項2記載のコネクタの端子構造において、上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLが、90°>δL≧71.9°の範囲内となるように構成したものである。
【0019】
上記構成によれば、両端子の接触面の摩擦係数が0.15である場合において、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に発生する挿入力のピーク値を、上記端子結合完了状態におけるばね接点の接点反力の50%程度以下に抑えることが可能となる。
【0020】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6の何れかに記載のコネクタの端子構造において、雄タブの先端部に先窄まりの傾斜面を形成するとともに、雌端子の嵌合部に対して上記雄タブを挿入する際に、上記傾斜面の基端部を、ばね接点に当接させるように構成したものである。
【0021】
上記構成によれば、雌端子の嵌合部に対して上記雄タブを挿入する際に、上記傾斜面がばね接点に当接することにより、この傾斜面の傾斜角に基づいて上記雄タブの接触角が決定されることがなく、上記傾斜面の如何に拘わらず、上記雌端子のばね接点に対する雄タブの接触角δLが適正値に設定されることになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係るコネクタの端子構造の実施形態を示している。このコネクタは、筒状の嵌合部1を備えた雌端子2と、この雌端子2の嵌合部1内に挿入される雄タブ3を備えた雄端子4とを有し、上記雌端子2の嵌合部1内に雄端子4の雄タブ3を挿入することにより、雌端子2の後端部に固着されたハーネスと、雄端子4の後端部に固着されたハーネスとを電気的に接続するように構成されている。
【0023】
上記雌端子2の嵌合部1内には、固定接点5が天板部の下面に設けられるとともに、この固定接点5と所定の初期クリアランスを隔てて対向するばね接点6が底壁部の上方に設けられている。このばね接点6は、上記嵌合部1の底壁部の前端に連設された板状部材を斜め上方に折り返すことによって形成され、その上面には、固定接点5側に膨出する接点部7が形成されている。
【0024】
上記ばね接点6は、その傾斜角度が従来品に比べて小さく設定されるとともに、このばね接点6の前端部近傍から後端部近傍に至る所定範囲を、緩やかな曲線をもって上方に膨出させることにより、上記接点部7が形成されている。これによって上記雄タブ3を、雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLと、両端子2,4の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan-1[(3−5μ)/(5+3μ)]の関係が成り立つように構成されている。
【0025】
すなわち、図3に示すように、上記雄端子4の雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4の間に所定の挿入力Fを作用させると、上記雄タブ3と、ばね接点6との間には、上記挿入力Fに対応する垂直抗力(上記雄タブ3を押し戻そうとして上記ばね接点6の法線方向に作用する反力)Rと、この垂直抗力Rに対応して上記ばね接点6の接線方向に作用する摩擦力μRと、このばね接点6を押し下げようとする接点反力PLとが発生し、これらの間には、以下の釣り合い方程式(1),(2)が成立する。
【0026】
F=μ・R・cosφL+R・sinφL……(1)
R・cosφL=PL+μ・R・sinφL……(2)
なお、上記式(1),(2)において、φLは、上記雄タブ3の接触点におけるばね接点6の傾斜角、つまり雄タブ3の挿入方向と上記接線方向とがなす角を示している。上記雄タブ3の挿入方向と上記法線方向とによって決定される雄タブ3に対するばね接点6の接触角δLと、上記傾斜角φLとの間には、下記式(3)に示す関係がある。
【0027】
δL=90°−φL……(3)
上記釣り合い方程式(1),(2)から、垂直抗力Rを消去すると、下記の関係式(4)が求められる。
【0028】
F=[(μ+tanφL)/(1−μ・tanφL)]PL……(4)
この関係式(4)から、上記接点反力PLが同一である場合には、雌端子2に対する雄タブ3の挿入力Fが、摩擦係数μと傾斜角φLとに依存して変化することがわかる。
【0029】
そして、上記雄タブ3の挿入力Fを小さくして作業者に負担をかけることなく、上記接点反力PLを充分に高い値に保持してコネクタの接続信頼性を確保し得るようにするため、種々の実験を行ったところ、上記挿入力Fと、接点反力PLとの間に以下の条件式(5)を満足する場合に、作業者に負担をかけることなく、コネクタの接続信頼性を確保することができることが確認された。
【0030】
0<F≦0.6PL……(5)
式(4)と式(5)とから以下の関係式(6)が得られる。
【0031】
0<(μ+tanφL)/(1−μ・tanφL)≦0.6……(6)
上記式(6)を変形すると、下記式(7)が得られる。
【0032】
0<tanφL≦(3−5μ)/(5+3μ)……(7)
上記式(7)のφLに、式(3)の値(δL=90°−φL)を代入して、式(7)を変形すると、以下の関係式(8)が得られる。
【0033】
90°>δL≧90°−tan-[(3−5μ)/(5+3μ)]……(8)
したがって、雄端子4の雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLと、両端子2,4の接触面の摩擦係数μとの間に、上記式(8)に示す関係、つまり90°>δL≧90°−tan-1[(3−5μ)/(5+3μ)]の関係が成り立つように構成することにより、上記挿入力Fを接点反力PLの60%以下に抑えて、作業者に負担をかけることなく、コネクタの接続信頼性を確保することができる。
【0034】
一般に、金属材または金属の表面にメッキ処理が施された部材からなる雌端子2および雄端子4では、上記摩擦係数μが0.1〜0.4の範囲内にあるため、この範囲内におる上記接触角δLの下限値を、上記式(8)に基づいて算出し、これをグラフ化すると、図4の線Aに示すようになる。
【0035】
上記グラフから、上記雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLと、両端子2,4の接触面の摩擦係数μとの間に、下記式(9)が成立する場合に、作業者に負担をかけることなく、コネクタの接続信頼性を確保できることがわかる。
【0036】
90°>δL≧53.74μ+59.537°……(9)
また、実際の端子材料において上記摩擦係数μを測定すると、0.15以上であることが多いため、上記式(9)から、下記式(10)が得られ、上記雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLが、67.5°以上となるように構成することにより、上記挿入力Fを接点反力PLの60%以下に抑えることができる。
【0037】
90°>δL≧67.5°……(10)
また、上記挿入力Fを接点反力PLの50%以下に抑えることができるようにするためには、下記条件式(5a)を満足する必要があり、この条件式(5a)に基づいて上記式(6)〜式(8)に対応した以下の式(6a)〜式(8a)を求めることができる。
【0038】
0<F≦0.5PL……(5a)
0<(μ+tanφL)/(1−μ・tanφL)≦0.6……(6a)
0<tanφL≦(1−2μ)/(2+μ)……(7a)
90°>δL≧90°−tan-[(1−2μ)/(2+μ)]……(8a)
上記式(8a)から、雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLと、両端子2,4の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan-1[(1−2μ)/(2+μ)]の関係が成り立つように構成することにより、上記挿入力Fを接点反力PLの50%以下に抑えて、作業者の負担を、より軽減しつつ、コネクタの接続信頼性を充分に確保できることがわかる。
【0039】
また、上記摩擦係数μが0.1〜0.4の範囲内にあるものにおいて、この範囲内におる上記接触角δLの下限値を、上記式(8)に基づいて算出し、これをグラフ化すると、図4の線Bに示すようになり、これに基づいて下記式(9a)が得られ、特に摩擦係数μが0.15以上の場合に、下記式(10a)が得られる。
【0040】
90°>δL≧53.74μ+63.936°……(9a)
90°>δL≧71.9°……(10a)
したがって、上記雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLと、両端子2,4の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧53.74μ+63.936°の関係が成立するように構成することにより、上記挿入力Fを接点反力PLの50%以下に抑えて、作業者の負担を、より軽減して、コネクタの接続信頼性を充分に確保できることができる。
【0041】
さらに、上記摩擦係数μが0.15以上の場合には、上記雄タブ3を雌端子2の嵌合部1内に挿入して両端子2,4を結合する際に、その挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLを、71.9°以上に設定することにより、上記挿入力Fを接点反力PLの50%以下に抑えることができる。
【0042】
上記両端子2,4の結合時に、雌端子2のばね接点6に対する雄タブ3の接触位置は、雄タブ3の挿入量に応じて順次変化する。例えば図5の実線で示す初期接触位置から所定距離ωhだけ雄タブ3が雌端子2の嵌合部1内に挿入されると、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触位置が仮想線で示す位置Cに変位し、この接触位置Cは、初期位置C′からωvだけ下降することになる。
【0043】
そして、図6に示すように、上記ばね接点6の基端部(折返し端部)Aから雄タブ3の初期接触位置Bまでの水平距離をγh、垂直距離をγvとし、かつばね接点6に対する雄タブ3の初期接触状態における上記ばね接点6の傾斜角度をθとすると、雄タブ3が雌端子2内に所定距離だけ挿入されて雄タブ3の接触位置Cが水平距離ωhだけ移動するのに応じ、この接触位置Cが垂直距離ωvだけ下降するため、以下の関係式(11)が成立する。
【0044】
tanθ=γv/γh=(γv+ωv)/(γh+ωh)
γv(γh+ωh)=γh(γv+ωv)
ωv=γv・ωh/γh……(11)
また、上記ばね接点6の断面二次モーメントをI、縦弾性係数をE、ばね接点6を弾性変形させる荷重、つまり接点反力をPLとすると、片持ちばりのたわみ曲線式により、下記の関係式(12)が得られる。
【0045】
PL=[3EI/(γh+ωh)3]ωv……(12)
上記関係式(12)に式(11)を代入すると、下記関係式(13)が得られ、これを上記関係式(4)に代入すると、下記式(14)に示すように、コネクタの挿入力Fおよび接点反力PLと、雄タブ3の挿入位置(γh+ωh)と、雄タブ3の接触角δLと、端子接触面の摩擦係数μとの関係式が得られる。
【0046】
PL=[3EI/(γh+ωh)3] γv・ωh/γh……(13)
F=[(μ+tanφL)/(1−μ・tanφL)]・[3EI/(γh+ωh)3]γv・ωh/γh……(14)
上記雄タブ3とばね接点6との初期接触位置における上記接触角δLを、76.4°に設定した本発明例と、66.3°に設定した比較例とにおいて、雄タブ3の挿入量に応じてコネクタの挿入力F,Faおよびばね接点6の接点反力PL,PLaがどのように変化するかを、上記関係式(13),(14)に基づいて検証したところ、図7に示すようなデータが得られた。なお、上記検証例では、端子接触面の摩擦係数μを、それぞれ0.15程度に設定するとともに、コネクタの結合完了状態における接点反力PL,PLaを、それぞれ9.3N程度に設定した。
【0047】
上記データから比較例では、図7の破線で示すように、挿入力Faのピーク値が5.7N程度である。これに対して本発明例では、図7の実線で示すように、コネクタの結合が完了する直前に、上記挿入力Fが3.5N程度のピーク値となる。したがって、上記のようにコネクタの結合完了状態における上記接点反力PL,PLaを同じに値に設定したにも拘わらず、本発明例では、比較例に比べて上記挿入力Fのピーク値を、約38.6%低減できることが確認された。
【0048】
なお、図8に示すように、雄タブ3の先端部に先窄まりの傾斜面3aが形成されたコネクタにおいて、雌端子2の嵌合部1に対して上記雄タブ3を挿入する際に、上記傾斜面3aが、ばね接点6に当接すると、上記傾斜面3aの傾斜角φTに基づいて上記雄タブ3の接触角δLが決定されることになる。
【0049】
したがって、上記雄タブ3の先端部に形成された傾斜面3aの傾斜角φTに対して90°−φTを67.5°〜90°の範囲内に設定し、あるいは71.9°〜90°の範囲内に設定するとともに、雌端子2の嵌合部1に対して上記雄タブ3を挿入する際に、上記傾斜面3aがばね接点6に当接するように構成することにより、上記嵌合部1に対する雄タブ3の挿入力Fがピーク値となる前に、上記ばね接点6に対する雄タブ3の接触角δLを、90°>δL≧67.5°または90°>δL≧71.9°の範囲内に設定することができる。
【0050】
なお、上記雌端子2の嵌合部1に対して上記雄タブ3を挿入する際に、上記傾斜面3aの基端部Dがばね接点6に当接するように、上記傾斜面3aの設置範囲または傾斜角φTを設定することにより(図5参照)、上記傾斜面3aによって上記雌端子2のばね接点6に対する雄タブ3の挿入時における接触角δLが決定されるのを防止し、上記ばね接点6の設置角度および上記接点部7の形状等に応じて上記接触角δLを適正値に設定することができる。特に、図8の仮想線dで示すように、上記雄タブ3の先端部を平坦面に形成した場合には、上記雄タブ3の先端部と、ばね接点6とが点接触するため、常に上記ばね接点6の傾斜角φL等に基づいて上記接触角δLが設定されることになる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、嵌合部内に舌片状のばね接点が設けられた雌端子と、この雌端子の嵌合部内に挿入されて上記ばね接点に接触する雄タブが設けられた雄端子とを有するコネクタの端子構造において、上記雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入する際に、その挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan−1[(3−5μ)/(5+3μ)]の関係が成り立つように上記ばね接点の傾斜角度を設定するとともに接点部を形成したため、雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入して両端子を結合する際に、その挿入力が一気にピーク値に上昇するのを防止しつつ、上記ばね接点の接点反力を充分に高い値に設定することができる。したがって、簡単な構成で、上記両端子の結合作業を容易に行うことができるとともに、上記雄タブとばね接点との接触圧を充分に確保してコネクタの接続信頼性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコネクタの端子構造の実施形態を示す側面断面図である。
【図2】コネクタの端子構造を示す平面断面図である。
【図3】雄タブ挿入時の応力の作用状態を示す説明図である。
【図4】摩擦係数と接触角との対応関係を示すグラフである。
【図5】雄タブの挿入過程を示す説明図である。
【図6】ばね接点の変形状態を示す説明図である。
【図7】雄タブの挿入量と挿入力との対応関係を示すグラフである。
【図8】比較例における雄タブの挿入過程を示す説明図である。
【図9】コネクタの端子構造の従来を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 嵌合部
2 雌端子
3 雄タブ
4 雄端子
6 ばね接点
Claims (7)
- 嵌合部内に舌片状のばね接点が設けられた雌端子と、この雌端子の嵌合部内に挿入されて上記ばね接点に接触する雄タブが設けられた雄端子とを有するコネクタの端子構造において、上記雄タブを雌端子の嵌合部内に挿入する際に、その挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan−1[(3−5μ)/(5+3μ)]の関係が成り立つように上記ばね接点の傾斜角度を設定するとともに接点部を形成したことを特徴とするコネクタの端子構造。
- 上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧90°−tan−1[(1−μ)/(2+μ)]の関係が成り立つように構成したことを特徴とする請求項1記載のコネクタの端子構造。
- 上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧53.74μ°+59.537°の関係が成り立つように構成したことを特徴とする請求項1記載のコネクタの端子構造。
- 上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLと、両端子の接触面の摩擦係数μとの間に、90°>δL≧53.74μ°+63.936°の関係が成り立つように構成したことを特徴とする請求項2記載のコネクタの端子構造。
- 上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLが、90°>δL≧67.5°の範囲内となるとように構成したことを特徴とする請求項1記載のコネクタの端子構造。
- 上記雄タブの挿入力がピーク値となる前に、上記ばね接点に対する雄タブの接触角δLが、90°>δL≧71.9°の範囲内となるように構成したことを特徴とする請求項2記載のコネクタの端子構造。
- 雄タブの先端部に先窄まりの傾斜面を形成するとともに、雌端子の嵌合部に対して上記雄タブを挿入する際に、上記傾斜面の基端部を、ばね接点に当接させるように構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のコネクタの端子構造。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001038876A JP4401580B2 (ja) | 2001-02-15 | 2001-02-15 | コネクタの端子構造 |
US10/073,155 US6506084B2 (en) | 2001-02-15 | 2002-02-13 | Terminal structure of connector |
DE60219091T DE60219091T2 (de) | 2001-02-15 | 2002-02-14 | Struktur des Anschlusses eines Verbinders |
EP02003447A EP1233475B1 (en) | 2001-02-15 | 2002-02-14 | Terminal structure of connector |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001038876A JP4401580B2 (ja) | 2001-02-15 | 2001-02-15 | コネクタの端子構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002246094A JP2002246094A (ja) | 2002-08-30 |
JP4401580B2 true JP4401580B2 (ja) | 2010-01-20 |
Family
ID=18901779
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001038876A Expired - Lifetime JP4401580B2 (ja) | 2001-02-15 | 2001-02-15 | コネクタの端子構造 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6506084B2 (ja) |
EP (1) | EP1233475B1 (ja) |
JP (1) | JP4401580B2 (ja) |
DE (1) | DE60219091T2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4498721B2 (ja) * | 2003-11-05 | 2010-07-07 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | コネクタの製造方法 |
US20060292937A1 (en) * | 2005-06-23 | 2006-12-28 | Morello John R | Electrical connector having dual contact function spring contact terminal |
JP4722707B2 (ja) * | 2005-10-13 | 2011-07-13 | 日本圧着端子製造株式会社 | 垂直嵌合雌端子及びこれが装着されるハウジング |
US7252564B1 (en) * | 2006-01-27 | 2007-08-07 | Delphi Technologies, Inc. | Female electrical connector having crimping portions of double thickness |
JP4710797B2 (ja) * | 2006-11-01 | 2011-06-29 | 住友電装株式会社 | 端子金具 |
JP5331383B2 (ja) * | 2008-06-03 | 2013-10-30 | 矢崎総業株式会社 | 雌端子 |
JP5480612B2 (ja) * | 2009-12-17 | 2014-04-23 | 矢崎総業株式会社 | ヒューズ用端子 |
US8974256B2 (en) * | 2012-04-26 | 2015-03-10 | Sumitomo Wiring Systems, Ltd. | Terminal fitting and production method therefor |
DE112013004236T5 (de) * | 2012-08-31 | 2015-06-11 | Autonetworks Technologies, Ltd. | Plattierter Anschluss für Verbinder und Anschlusspaar |
JP2014160545A (ja) * | 2013-02-19 | 2014-09-04 | Sumitomo Wiring Syst Ltd | 雌端子金具 |
JP2014170709A (ja) * | 2013-03-05 | 2014-09-18 | Sumitomo Wiring Syst Ltd | 雌端子金具 |
JP6506904B2 (ja) * | 2013-06-06 | 2019-04-24 | 矢崎総業株式会社 | コネクタ |
US9118130B1 (en) * | 2014-02-06 | 2015-08-25 | Delphi Technologies, Inc. | Low insertion force terminal |
JP5660415B1 (ja) * | 2014-06-26 | 2015-01-28 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | 雌端子 |
CN107546516B (zh) * | 2016-06-23 | 2021-01-26 | 矢崎(中国)投资有限公司 | 连接器端子和端子连接结构 |
US10090608B2 (en) * | 2016-09-29 | 2018-10-02 | Delphi Technologies, Inc. | Electrical connection system having a terminal with contact ridges |
Family Cites Families (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5857871B2 (ja) * | 1980-06-09 | 1983-12-22 | 株式会社日立製作所 | 接栓部構造 |
US4679890A (en) * | 1984-06-25 | 1987-07-14 | American Telephone And Telegraph Company, At&T Bell Laboratories | Connector contact terminal |
US4631824A (en) * | 1985-07-11 | 1986-12-30 | Bourns, Inc. | Method of manufacturing a multi-wire contact assembly |
JPS62283575A (ja) * | 1986-05-30 | 1987-12-09 | 日本航空電子工業株式会社 | コネクタ |
JPH0313985Y2 (ja) * | 1986-11-19 | 1991-03-28 | ||
JPS63146371A (ja) * | 1986-12-08 | 1988-06-18 | 菱星電装株式会社 | 接続端子の製造方法 |
JPH0494275U (ja) | 1991-01-11 | 1992-08-17 | ||
JPH08162194A (ja) * | 1994-11-30 | 1996-06-21 | Hitachi Ltd | ピンコンタクト |
US5634829A (en) * | 1995-04-20 | 1997-06-03 | Interlock Corporation | Low engagement force terminal with easy off-axis disengagement |
US5980336A (en) * | 1995-06-09 | 1999-11-09 | Lear Automotive Dearborn, Inc. | Electrical terminal |
JP3391427B2 (ja) * | 1996-05-14 | 2003-03-31 | 三菱伸銅株式会社 | メッキ銅合金薄板およびその薄板で製造したコネクタ |
JP3408929B2 (ja) * | 1996-07-11 | 2003-05-19 | 同和鉱業株式会社 | 銅基合金およびその製造方法 |
JP3646778B2 (ja) * | 1999-06-17 | 2005-05-11 | 矢崎総業株式会社 | 端子金具 |
JP3686551B2 (ja) * | 1999-06-17 | 2005-08-24 | 矢崎総業株式会社 | 端子金具 |
JP2001155808A (ja) | 1999-11-30 | 2001-06-08 | Yazaki Corp | 雌形接続端子 |
JP2001266989A (ja) * | 2000-03-23 | 2001-09-28 | Tyco Electronics Amp Kk | 電気コンタクト |
-
2001
- 2001-02-15 JP JP2001038876A patent/JP4401580B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
2002
- 2002-02-13 US US10/073,155 patent/US6506084B2/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-02-14 EP EP02003447A patent/EP1233475B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2002-02-14 DE DE60219091T patent/DE60219091T2/de not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1233475B1 (en) | 2007-03-28 |
US6506084B2 (en) | 2003-01-14 |
DE60219091D1 (de) | 2007-05-10 |
EP1233475A2 (en) | 2002-08-21 |
EP1233475A3 (en) | 2003-10-01 |
JP2002246094A (ja) | 2002-08-30 |
US20020155763A1 (en) | 2002-10-24 |
DE60219091T2 (de) | 2008-01-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4401580B2 (ja) | コネクタの端子構造 | |
JP3533536B2 (ja) | 雌端子金具 | |
JP3656547B2 (ja) | 端子金具 | |
JP5251819B2 (ja) | 雌端子金具 | |
US5716245A (en) | Female terminal | |
JPH07307180A (ja) | リセプタクル型コンタクト | |
JP2008282551A (ja) | 雌端子金具 | |
JP5956071B2 (ja) | 接続端子 | |
US6386928B2 (en) | Electrical contact | |
JP4483601B2 (ja) | 雌端子金具 | |
JP6080821B2 (ja) | 端子 | |
EP1737077A2 (en) | Electrical connector having dual contact function spring contact terminal | |
WO2014129434A1 (ja) | 雌端子金具 | |
US6544080B1 (en) | Terminal | |
EP2571104A1 (en) | Terminal fitting | |
JP2011249169A (ja) | 端子金具 | |
US20170352981A1 (en) | Connector | |
JP3814221B2 (ja) | 雄側端子金具 | |
US6585544B2 (en) | Terminal fitting | |
JP6299703B2 (ja) | 雌端子 | |
JP2004006132A (ja) | 端子金具 | |
JP5786924B2 (ja) | 電気コネクタ | |
US20230130951A1 (en) | Terminal fitting and connector | |
JP2005166594A (ja) | 雌端子の構造 | |
JP3473541B2 (ja) | 端子金具 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051020 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051115 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060111 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060718 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060906 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20060922 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20070105 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20091028 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4401580 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121106 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121106 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131106 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |