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JP4305237B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置 Download PDF

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JP4305237B2
JP4305237B2 JP2004084415A JP2004084415A JP4305237B2 JP 4305237 B2 JP4305237 B2 JP 4305237B2 JP 2004084415 A JP2004084415 A JP 2004084415A JP 2004084415 A JP2004084415 A JP 2004084415A JP 4305237 B2 JP4305237 B2 JP 4305237B2
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Description

本発明は、自動変速機の制御装置に関し、特に、変速過渡期の制御特性を向上させる制御装置に関する。
車両に搭載される自動変速機は、エンジンとトルクコンバータ等を介して繋がるとともに複数の動力伝達経路を有してなる変速機構を有して構成され、たとえば、アクセル開度および車速に基づいて自動的に動力伝達経路の切り換えを行なう、すなわち自動的に変速比(走行速度段)の切り換えを行なうように構成される。一般的に、自動変速機を有した車両には運転者により操作されるシフトレバーが設けられ、シフトレバー操作に基づいて変速ポジション(たとえば、後進走行ポジション、ニュートラルポジション、前進走行ポジション)が設定され、このように設定された変速ポジション内(通常は、前進走行ポジション内)において自動変速制御が行われる。
通常、車両走行中に選択される前進走行ポジションにおいては、車速とスロットル開度(アクセル開度)とから決定される変速線(変速マップ)に基づいて、変速制御が実行される。このような変速線は、アップシフトの場合とダウンシフトの場合とを区別して設定されている。この変速線を横切るとアップシフトまたはダウンシフトが実行される。
変速歯車機構を採用した自動変速機では、変速歯車機構に備えられているクラッチ、ブレーキ等の摩擦係合要素を選択的に油圧作動させて変速段を設定するようになっている。たとえば、ある変速段からアップシフトを実行する場合、それまで非係合状態にあったクラッチに油圧を加えて係合状態に変更する制御が実行される。
こうした変速過程においては、変速歯車機構の伝達ギヤ比が変えられるので、変速歯車機構の入力軸に接続されている回転部材の回転数が余儀なく変更される。その結果、回転数変化分の回転エネルギがイナーシャトルクとして駆動トルクに重畳し、変速ショックとなって現れる。
こうした変速ショックを低減するにはイナーシャトルクを低下させればよい。イナーシャトルクを低下させるには、摩擦係合要素が係合し始めてから係合し終わるまでの時間(イナーシャ相期間)を長くして、摩擦係合要素の係合がゆっくりと進行するようにし、その間の摩擦係合要素の滑りによる摩擦熱として回転部材の回転エネルギを放散させればよい。この場合、回転部材の回転エネルギは、変速前後での入力軸回転数差の2乗に比例して大きくなる。
このような観点から、車速が高くなるほど、即ち入力軸回転数差が大きくなるほど長いイナーシャ相期間となるように摩擦係合要素に加える油圧を制御することが考えられる。しかし、このようにすると、イナーシャトルクを十分に吸収できる反面、高車速域でイナーシャ相期間が長くなり、摩擦係合要素の耐久性を損なうという問題がある。
また、摩擦係合要素の耐久性を損なわない様に、すべての変速切換においてイナーシャ相期間を一定とする制御することが考えられる。しかし、このようにすると、イナーシャトルクは入力軸回転数差の2乗に比例して大きくなるので、入力軸回転数差が小さいところで変速するときはなめらかに変速するものの、入力軸回転数差が大きいところで変速すると大きな変速ショックが発生するという問題がある。
このため、エンジンの発生トルクそのものを低減することにより摩擦係合要素で吸収する回転エネルギを下げるように制御することが考えられる。変速の種類(1→2変速、2→3変速等の別)とエンジントルクの大きさ(たとえばスロットル開度)に応じてトルクダウン量を決める。これは、エンジントルクを下げると駆動トルクが低下するので、イナーシャトルクに見合う分のエンジントルクを下げることで駆動トルクのベースを低下させ、変速ショックを小さくすることができる。
また、これらの技術を適宜組み合わせることにより、イナーシャ相の期間を、摩擦係合要素の耐久性を損なわない範囲に設定してイナーシャトルクの低減と摩擦係合要素の耐久性確保とを両立させ、さらに、トルクダウン制御を併用することにより、変速ショックを低減することも考えられる。
これらのように、変速前後の変速比の違いによる駆動トルク差を吸収し、変速時のショックを低減させる駆動トルク制御装置が特開平6−129273号公報(特許文献1)に開示されている。
この公報に開示された駆動トルク制御装置は、変速前後の駆動トルクがほぼ等価となるような目標駆動トルク特性を記憶するメモリと、この特性に従ってエンジンの出力トルクを制御する制御回路とを含む。制御回路は、変速中におけるイナーシャ変化より発生する駆動トルク変動分を抑制するためにエンジントルクを減少させる回路と、変速終了から所定期間前にエンジントルクを通常トルクより高めに出力させる回路と、変速終了後所定期間後に通常エンジントルク量に復帰させる回路とを含む。
この駆動トルク制御装置によると、変速前後のギア比およびトルクコンバータの特性より、変速前後の駆動トルクがほぼ等しくなるためのエンジントルクを推定し、このエンジントルクに発生する吸入空気量をエンジンに与える。変速中は、変速指令信号とトルクコンバータの出力側タービン回転により吸入空気量を減少させ、エンジントルク減少を図ることによりイナーシャ変化分による駆動トルク変動を押さえる。また、変速終了前所定期間は、吸入空気量を通常より増加させてエンジン回転の低下速度を緩めエンジントルク上昇を図るとともに、変速終了後所定期間後は、通常の吸入空気量に復帰させて変速後のエンジン回転の落ち込みを防止する。このようにして、変速直前直後のトルクコンバータ出力低下を押さえ、かつ滑らかな変速を実現することができる。
特開平6−129273号公報
しかしながら、この公報に開示された駆動トルク制御装置によると、目標駆動トルク特性に従ってエンジンの出力トルクが制御される。このため、変速過渡期に目標駆動トルクが変動すると、エンジンの出力トルクが変動する。このときに、エンジントルクの変化に合わせて最適な油圧制御をすることは、油圧の応答性とエンジンの応答性が異なるため、困難であった。その結果、変速過渡期(特にイナーシャ相期間)において、良好な変速特性を実現することが困難であった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、変速過渡期の変速特性に優れた自動変速機の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る自動変速機の制御装置は、車両に対する目標駆動力を算出するための算出手段と、算出された目標駆動力に基づいて、車両に搭載された動力源の第1の目標トルクを設定するための第1の目標トルク設定手段と、設定された目標トルクを発生するように、動力源を制御するための動力源制御手段と、自動変速機の状態を予め定められた動力伝達状態にする油圧機器の作動油圧を設定するための油圧制御手段と、変速過渡期における目標トルクを、算出された目標駆動力に基づかない所定のトルクである第2の目標トルクに設定するための第2の目標トルク設定手段とを含む。
第1の発明によると、たとえば、変速過渡期であるトルク相経過後であって、摩擦係合要素による動力伝達が開始されるイナーシャ相が開始されると、第2の目標トルク設定手段により、目標トルクが予め定められた期間(たとえば変速過渡期であるイナーシャ相期間内)において、算出された目標駆動力に基づかない所定のトルク(たとえばその大きさが変動しないトルクであってもよいし、変化するものであってもよい)に設定される。イナーシャ相期間内において動力源のトルクが変化しない場合には自動変速機の入力トルクが変化しないので、動力源に合わせた油圧制御を行なう必要がなくなるし、所定のトルクとしてトルクが変化する場合であってもその変化の状態が制御装置により認識されているので、動力源に合わせた油圧制御を容易に行なうことができる。すなわち、動力源のトルクが変動しないことや変動の状態が認識できていることを前提として、油圧機器である油圧サーボの作動油圧を設定できるので、動力源の変化よりも遅れ時間が大きい作動油圧を最適に制御することが容易になる。なお、このように制御すると、変速過渡期におけるアクセル操作や目標駆動力の変化に応答しないことになるが、変速過渡期は短い時間であることと、出力軸トルクに段差が生じることから、変速ショックなどを、著しく好ましくない特性に陥らせることもない。その結果、変速過渡期の変速特性に優れた自動変速機の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、第2の目標トルク設定手段は、第2の目標トルクを第1の目標トルクよりも小さいトルクに設定するための手段を含む。
第2の発明によると、たとえば、変速過渡期であるイナーシャ相の期間における第2の目標トルクが、第1の目標トルクよりも小さいトルクに設定される。動力源から発生するトルクそのものを低減することにより、イナーシャ相において摩擦係合要素で吸収する回転エネルギを下げて、イナーシャ相の期間を短くして変速特性を向上させることができる。
第3の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、第2の目標トルク設定手段は、アクセル開度の変化により目標駆動力が変化した場合であっても、変速過渡期における目標トルクを、予め定められた大きさのトルクである第2の目標トルクに設定するための手段を含む。
第3の発明によると、変速過渡期において、たとえ運転者によりアクセルが踏まれても、変速過渡期であるイナーシャ相の期間における目標トルクが第2の目標トルクに設定される。このため、運転者のアクセル操作に関わらず、イナーシャ相の期間内においては、予め定められた大きさである第2の目標トルクに低減されたトルクが、動力源から発生される。このため、運転者のアクセル操作が発生しても、動力源の目標トルクは変化することがなく、油圧機器の作動油圧の制御が容易になり、良好な変速特性を実現できる。
第4の発明に係る自動変速機の制御装置は、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、変速中のアクセル操作量に基づいて仮想の目標駆動力を算出するための手段と、仮想の目標駆動力に基づいて動力源の仮想目標トルクを算出するための仮想目標トルク算出手段と、仮想目標トルクが予め定められた範囲のトルクを超えるときには、変速過渡期における目標トルクを、第2の目標トルクに代えて、仮想目標トルクに応じた第3の目標トルクに設定するための第3の目標トルク設定手段とをさらに含む。
第4の発明によると、変速中の運転者のアクセル操作に対応して算出された仮想目標トルクが、第2の目標トルクに代えてイナーシャ相の期間における目標トルクとして設定される。これは、仮想目標トルクが予め定められた範囲のトルクを超えるときのみ行なわれる。運転者が大きくアクセル操作する等により、仮想目標トルクが予め定められた範囲のトルクを超えるような場合には、運転者のアクセル操作に対応させて、運転者の要求に応えることができる。
第5の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、第3の目標トルク設定手段は、仮想目標トルクが範囲を上限側で超えるときには、上限からの仮想目標トルクの超過分を、第2の目標トルクに加算して算出されたトルクを第3の目標トルクとして設定するための手段を含む。
第5の発明によると、上限からの仮想目標トルクの超過分を第2の目標トルクに加算して算出したトルクを用いてイナーシャ相期間内における目標トルクが設定される。これにより、変速過渡期に運転者がアクセルペダルを踏み増しした場合に、その要求に応えることができる。
第6の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、第3の目標トルク設定手段は、仮想目標トルクが範囲を下限側で超えるときには、仮想目標トルクを第3の目標トルクとして設定するための手段を含む。
第6の発明によると、仮想目標トルクが小さい場合には、その仮想目標トルクを用いてイナーシャ相期間内における目標トルクが設定される。これにより、変速過渡期に運転者がアクセルペダルを踏み戻した場合に、その要求に応えることができる。
第7の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、変速がパワーオンアップシフトであって、第2の目標トルクは、イナーシャ相開始前の動力源トルクに対して予め定められた量だけ低下した値である。自動変速機の制御装置は、イナーシャ相中に仮想目標トルクが第2の目標トルクより低下したときには、イナーシャ相中の目標トルクを、第2の目標トルクに代えて、仮想目標トルクに設定するための第4の目標トルク設定手段をさらに含む。
第7の発明によると、パワーオンアップシフトにおいて、第2の目標トルクを、イナーシャ相開始前の動力源トルクを基準として設定することができる。アクセル操作により仮想目標トルクが第2の目標トルクより低下すると、イナーシャ相中の目標トルクを、運転者の操作に応じた仮想目標トルクに設定することができる。これにより、運転者のアクセル操作に対応させることができる。
第8の発明に係る自動変速機の制御装置は、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、第2の目標トルクが設定されているときに、油圧機器の作動油圧の学習制御を許可するための手段をさらに含む。
第8の発明によると、予め定められた期間内(たとえばイナーシャ相期間内)において、その大きさが変動しないトルクに設定される場合には、自動変速機への入力トルクの変動がなく。油圧機器の作動油圧を学習制御するのに適している。そのため、このような場合にのみ学習制御を許可して、学習精度を向上させることができる。
第9の発明に係る自動変速機の制御装置は、第1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、変速過渡期が終了すると動力源の目標トルクを第1の目標トルクに設定して、変速過渡期における実トルクと第1の目標トルクとの差に基づいて、変速過渡期の終期における油圧機器の作動油圧を設定するための手段をさらに含む。
第9の発明によると、たとえば、変速過渡期であるイナーシャ相中の実トルクと第1の目標トルクとの差に基づいて、イナーシャ相終期における油圧機器の作動油圧を設定することができるので、変速過渡期の終期における作動油圧を的確に適合させることができる。
第10の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第1〜9のいずれかの発明の構成に加えて、変速がアップシフトであって、油圧制御手段は、変速に伴う動力源の回転数変化前は、第1の目標トルクに基づいて作動油圧を制御するための手段と、動力源の回転数変化中は、第2の目標トルクに基づいて作動油圧を制御するための手段とを含む。
第10の発明によると、イナーシャ相開始前(トルク相)においては第1の目標トルク(目標駆動力に応じて変化する)に基づいて、摩擦係合要素が解放状態から係合状態になり動力伝達が開始されるイナーシャ相においては第2の目標トルク(目標駆動力に応じて変化しない)に基づいて、動力源からの出力トルク(自動変速機への入力トルク)が制御される。これにより、追従が困難なイナーシャ相においても、作動油圧を的確に適合させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
以下、本発明の実施の形態に係る変速制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る変速制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実現される。本実施の形態では、自動変速機を、流体継手としてトルクコンバータを備えた、遊星歯車式変速機構を有する自動変速機として説明する。なお、以下においては、6速の自動変速機について説明するが、本発明に係る変速制御装置は、このような6速の自動変速機に限定されて適用されるものではない。
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、詳しくは、図1に示すECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020により実現される。
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機300と、ECU1000とから構成される。
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサ400により検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ210と、入力軸側のポンプ羽根車220と、出力軸側のタービン羽根車230と、ワンウェイクラッチ250を有し、トルク増幅機能を発現するステータ240とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ410により検知される。自動変速機300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ420により検知される。
図2に自動変速機300の作動表を示す。図2に示す作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC1〜C4)や、ブレーキ要素(B1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(F0〜F3)が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。たとえば、車両の発進時に使用される1速(1st)時には、クラッチ要素(C1)、ワンウェイクラッチ要素(F0、F3)が係合する。これらのクラッチ要素等が作動表のように係合/解放が制御されて所望の変速ギヤ段を実現する。
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機300を制御するECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020とを含む。
ECT_ECU1020には、タービン回転数センサ410からタービン回転数NTを表わす信号が、出力軸回転数センサ420から出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサ400にて検知されたエンジン回転数NEを表わす信号と、スロットルポジションセンサにて検知されたスロットル開度を表わす信号とが入力される。
これら回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
前進走行(D)ポジションにおいては、ECT_ECU1020が、図2に示す「1st」〜「6th」の中から車速(たとえば、出力軸回転数NOUTから演算にて算出)とスロットル開度とにより最適な変速ギヤ段を決定して、図2の作動表に従って、決定された変速ギヤ段を実現するように自動変速機の油圧回路を制御するための油圧指令信号が油圧機器に出力される。
ECT_ECU1020には、アクセル開度センサ2000からアクセル開度が入力されたり、クルーズコントロールコンピュータから目標駆動力が入力されたりして、目標駆動力が演算される。ECT_ECU1020は、そのような駆動力(出力軸トルク)を発生させるために、エンジン100からの出力トルクを制御するために、エンジンECU1010にエンジン制御信号が出力する。
なお、エンジン100のトルクには、アクセル操作や目標駆動力から決定される「目標エンジントルク」、「スロットル開度にしたがったエンジントルク」、エンジン100において点火時期を遅角させた後のエンジントルクである「実エンジントルク」の3種類がある。なお、仮想目標トルクとは、運転者のアクセル操作により決定されるトルクであって、上記の目標エンジントルクに相当する。また、この仮想目標トルクは、上述のクルーズコントロールコンピュータが作動している時などにおいては、コンピュータ側で設定される(すなわち、運転者のアクセル操作に基づかない)ものも含まれる。
図3を参照して、ECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図3には、アップシフトの際に実行されるプログラムの制御構造を示す。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)1000にて、実エンジントルク=目標エンジントルクとして設定する。すなわち、エンジン100の点火時期を遅角させる制御(遅角制御)によるトルクダウン制御が行なわれない状態となる。これは、イナーシャ相が開始される前の状態を示している。
S1010にて、ECT_ECU1020は、イナーシャ相が開始されたか否かを判断する。この判断は、エンジン100の回転数の変化に基づいて行なわれる。イナーシャ相が開始されると(S1010にてYES)、処理はS1020へ移される。もしそうでないと(S1010にてNO)、処理はS1000へ戻される。
S1020にて、ECT_ECUは、トルクダウン量を目標エンジントルクを用いて算出し、遅角制御によりトルクダウン制御を実行する。このとき、目標エンジントルクは、スロットル開度に従ったエンジントルクとなる。
S1030にて、ECT_ECU1020は、実エンジントルクと目標エンジントルクとの乖離が大きいか否かを判断する。実エンジントルクと目標エンジントルクとの乖離が大きいと(S1030にてYES)、処理はS1040へ移される。もしそうでないと(S1030にてNO)、処理は、S1050へ移される。
S1040にて、ECT_ECU1020は、実エンジントルクと目標エンジントルクとの乖離がしきい値内になるようにトルクダウン制御を実行する。その後、処理はS1130へ移される。
S1050にて、ECT_ECU1020は、遅角制御によるトルクダウン限界に到達したか否かを判断する。遅角制御によるトルクダウン限界に到達すると(S1050にてYES)、処理はS1060へ移される。もしそうでないと(S1050にてNO)、処理はS1070へ移される。
S1060にて、ECT_ECU1020は、トルクダウン限界より実エンジントルクが高くなるようにトルクダウン制御を実行する。その後、処理はS1130へ移される。
S1070にて、ECT_ECU1020は、実エンジントルク>目標エンジントルクであるか否かを判断する。実エンジントルク>目標エンジントルクであると(S1070にてYES)、処理はS1080へ移される。もしそうでないと(S1070にてNO)、処理はS1090へ移される。
S1080にて、ECT_ECU1020は、トルクダウン制御終了処理を行なう。すなわち、遅角を用いないで、実エンジントルク=目標エンジントルクとする。その後、処理はS1130へ移される。
S1090にて、ECT_ECU1020は、被駆動状態であるか否かを判定する。この判定は、車速とエンジントルクとの関係とに基づいて行なわれる。被駆動状態であると判定されると(S1090にてYES)、処理はS1100へ移される。もしそうでないと(S1090にてNO)、処理はS1110へ移される。
S1100にて、ECT_ECU1020は、トルクダウン制御を終了して、被駆動時制御に切換える。その後、処理は終了する。
S1110にて、ECT_ECU1020は、トルクダウン復帰が開始されたか否かを判断する。トルクダウンの復帰が開始されると(S1110にてYES)、処理はS1120へ移される。もしそうでないと(S1120にてNO)、処理はS1020へ戻される。
S1120にて、ECT_ECU1020は、トルクダウン復帰制御を実行する。
図4を参照して、ECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図4はダウンシフトの際に実行されるプログラムの制御構造を示す。
S2000にて、ECT_ECU1020は、実エンジントルクを目標エンジントルクに設定する。すなわち、遅角制御によるトルクダウン制御がない状態となる。この状態は、イナーシャ相が開始されるまでの状態である。
S2010にて、ECT_ECU1020は、イナーシャ相が開始されたか否かを判断する。イナーシャ相が開始されると(S2010にてYES)、処理はS2020へ移される。もしそうでないと(S2010にてNO)、処理はS2000へ戻される。
S2020にて、ECT_ECU1020は、イナーシャ相の目標エンジントルクの変化量から、変速モードを選択する。このとき、変速ショックの抑制が重視された変速モードや、変速時間が短くなる変速応答性が重視された変速モードの中から、1つの変速モードが選択される。この変速モードの選択は、イナーシャ相開始までの目標エンジントルクの変化に基づいて行なわれる。
S2030にて、ECT_ECU1020は、目標エンジントルクによらず、変速モードに基づいてスロットル開度に従いエンジントルクを決定する。このとき、遅角制御によるトルクダウン制御は行なわれない。
S2030にて、ECT_ECU1020は、実エンジントルクと目標エンジントルクとの乖離が大きいか否かを判断する。実エンジントルクと目標エンジントルクとの乖離が大きいと(S2040にてYES)、処理はS2050へ移される。もしそうでないと(S2040にてNO)、処理はS2060へ移される。
S2050にて、ECT_ECU1020は、実エンジントルクと目標エンジントルクとの乖離がしきい値内になるように、スロットル開度に従ってエンジントルクを調整する。その後、処理はS2120へ移される。
S2060にて、ECT_ECU1020は、同期時トルクダウン目標に対して限界に到達したか否かを判断する。同期時のトルクダウン目標に対して限界に到達すると(S2060にてYES)、処理はS2070へ移される。もしそうでないと(S2060にてNO)、処理はS2080へ移される。
S2070にて、ECT_ECU1020は、同期時トルクダウン限界に到達しないように、スロットル開度に従ってエンジントルクを調整する。その後、処理はS2120へ移される。
S2080にて、ECT_ECU1020は、被駆動状態であるか否かを判定する。被駆動状態であると判定されると(S2080にてYES)、処理はS2090へ移される。もしそうでないと(S2080にてNO)、処理はS2100へ移される。
S2090にて、ECT_ECU1020は、トルクダウン制御を終了して被駆動時制御に切換える。その後、この処理は終了する。
S2100にて、ECT_ECU1020は、同期時の制御を開始するか否かを判断する。同期時の制御を開始すると判断されると(S2100にてYES)、処理はS2110へ移される。もしそうでないと(S2100にてNO)、処理はS2030へ戻される。
S2110にて、ECT_ECU1020は、同期時のトルクダウン制御を実行する。その後、処理は終了する。
S2120にて、ECT_ECU1020は、変速学習制御の前提条件が不成立であると判断する。このように変速学習制御の前提条件が不成立と判断されると学習制御は実行されない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECT_ECU1020を搭載した車両の動作について説明する。
図5に、アップシフト変速時における各種状態量の時間的な変化を示す。
図5に示す点線が従来の制御装置を用いた場合の動作であって、実線が本発明の実施の形態に係る制御装置を用いた場合の動作を示す。従来は、変速過渡中(イナーシャ相期間中)においてアクセルペダルが操作されてアクセル開度が開かれると、それに伴い実エンジントルクが上昇され、さらにそれに追従するように摩擦係合要素を係合する係合圧を上昇させるように油圧制御が行なわれていた。その際に、実エンジントルクの制御応答性は、アクセル開度の変化に対して追従性がよい。一方、係合圧の制御応答性は、油温が低い場合などは特にその追従性が良好ではなく、無駄時間が生じて制御に遅れが生じる。
このため、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECT_ECU1020においては、変速過渡中のイナーシャ相においてはアクセル操作がある場合においても実エンジントルクが予め定められた期間(イナーシャ相期間内)において所定のトルクである一定値になるようにトルクダウン制御を実行している。
そのため、図5に示すように実エンジントルクは、従来の変更前に比べて、アクセル開度の変化によっては上昇することはない。このように、実エンジントルクが所定のトルクである一定値になるようにして、自動変速機300への入力トルクが一定となり、係合される摩擦係合要素を作動する油圧機器の係合圧を容易に適合させることができる。なお、図5においては、アップシフト時の場合について説明したが、ダウンシフト時も同様に、イナーシャ相の期間内においては、実エンジントルクが所定のトルクである一定値になるように制御され、摩擦係合要素を係合する係合圧を適合させることが容易になる。
図6を参照して、パワーオンアップシフト時における各種状態量の時間変化について説明する。
図6の実エンジントルクに示されるように、スロットル開度は目標エンジントルクに合せて変化させる。実エンジントルクは、エンジン100の遅角制御により合せる。したがって、スロットル開度に従ったエンジントルクが目標エンジントルクとなる。
図6は、実エンジントルクが実線で表わされ、スロットル開度に従ったエンジントルクが点線により表わされている。これは、遅角制御の場合には、混合気の燃焼毎に制御が可能であるため応答性が良いが、スロットル開度による制御は応答性が悪いため、目標エンジントルクとしてはスロットル開度に従ったエンジントルクとしておいて、エンジン100の点火時期の遅角制御により実エンジントルクを抑えるものである。
また、図6の係合油圧制御に示されるように、屈曲点前の油圧制御はイナーシャ相開始前の実エンジントルクを用いて算出される。屈曲点後の油圧制御はイナーシャ相のトルクダウン後の実エンジントルクを先読みして、その値をベースに制御する。油圧終期の制御およびトルクダウン復帰制御においては、目標エンジントルクと復帰前の実エンジントルクとの差をもとに制御される。
このようにして、アクセル開度または目標エンジントルク(目標駆動力)が上昇した場合であっても、スロットル開度は目標エンジントルクに合せて変化させつつも、実エンジントルクはエンジン100の点火時期を遅角制御することにより低下させる。変速中のエンジントルクを高くすると油圧制御が追従できず変速ショックの悪化および変速時間の延びなどが発生するが、実エンジントルクが遅角制御により低下されているため、このような問題が発生しない。
図7にパワーオンダウンシフト時における各種状態量の時間的変化を示す。
図7のアクセル開度または目標エンジントルク(目標駆動力)に示すように、目標トルクが変速中に変化しても、変速中のエンジントルクは変化させず、復帰制御で追従させる。このため、実エンジントルクに示されるように、実エンジントルクを目標エンジントルクによらずある一定の形として変速レベルを安定化させる。スロットル開度に従って、エンジントルクが制御される。
実エンジントルクに示されるように、スロットル開度に従ったエンジントルクが低下するが、実エンジントルクは目標エンジントルクに追従させることなく一定の形として、復帰制御において目標エンジントルクが実エンジントルクに追従するように制御される。実エンジントルクが目標エンジントルクによらず一定の形となりエンジントルクが安定しているので、油圧の制御性および適合性が向上する。
また、パワーオンダウンシフトの回転数同期時の変速ショックは同期時の自動変速機の出力軸トルクの変化により決まるため、遅角制御復帰時は、復帰先と復帰前のトルク段差とで制御される。このようにして変速中の実エンジントルクが低下すると変速時間が長くなり変速ショックのレベルが悪化することになるが、図7に示すように、実エンジントルクを目標エンジントルクのように可変させることなく一定の形としたため、変速中の実エンジントルクが低下することなく変速時間が長くなることがない。
図8に、アクセル踏み増し時の目標エンジントルクと、アクセル一定時の目標エンジントルクと、アクセル戻し時の目標エンジントルクと実エンジントルクとの時間的変化を示す。
図8に示すように、目標エンジントルクと実エンジントルクとの乖離がしきい値以上になったまたは遅角制御によるトルクダウンの限界に達した場合には、乖離のしきい値またはトルクダウン限界に合せて、実エンジントルクを変化させる。これは、運転者のアクセル操作により、目標エンジントルクと実エンジントルクとの乖離がしきい値以上になった場合や、トルクダウン量が大きく遅角制御によるトルクダウンの限界に達した場合である。このような場合に、一定の形にするのではなく、実エンジントルクを変化させる。これにより、運転者の要求に応じて、実エンジントルクを変化させることができる。
また、実エンジントルク>目標エンジントルクとなった場合や、被駆動判定がされた場合には、トルクダウン制御が中止される。実エンジントルクが目標エンジントルクとされて、油圧制御もそれに合せて変化される。
すなわち、図8に示されるのは、変速過渡時のトルクをある一定の形としつつも(目標エンジントルクの範囲内)、目標エンジントルクと実エンジントルクとの乖離がしきい値以上になった場合、エンジン100の点火時期の遅角制御によるトルクダウンの限界に達した場合に、実エンジントルクが目標エンジントルクよりも大きくなってしまった場合および被駆動判定された場合には、変速過渡時の実エンジントルクをある一定の形にすることを維持しないで、実エンジントルクを変化させている。
実エンジントルクをイナーシャ相期間中に変速過渡として実エンジントルクをある一定の形として出力可能な範囲に目標エンジントルクが収まっている場合にのみ、変速過渡のエンジントルクを一定の形ができる場合にのみ学習制御を行なうようにしてもよい。その範囲外のときには学習制御を行なわないようにする。但し、学習値の反映は行なうようにする。
このようにすると、実エンジントルクがある一定の形の状態のときだけ、学習制御が行なわれる。目標エンジントルクに多少のばらつきがあっても(アクセル操作が安定していなくても)、実エンジントルクが安定しているため、より精緻に学習制御が可能になる。変速過渡時の実エンジントルクが安定しないときには学習を行なわないことにより、誤学習を防ぐことが可能となる。
図9を参照して、アップシフト変速終期のトルクダウン復帰制御および油圧係合終了制御について説明する。
図9には、目標エンジントルクと復帰前の実エンジントルクとの差に基づいて、2つのケース(ケース(A)、ケース(B))を示す。アップシフト同期前は、エンジントルクを高くするもしくは係合圧を下げることで、変速終期のショックの低減が可能である。しかし、摩擦係合要素であるクラッチ係合力に対してエンジントルクが高過ぎると、クラッチを開放して変速が戻ってしまう。
従来は、トルクダウン復帰制御、油圧係合終了制御は、復帰制御前の実エンジントルクもしくはスロットル開度に従ったエンジントルク、目標エンジントルクを用いて制御していた。
本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020の場合、エンジントルクは変速過渡期は安定しているが、復帰先のエンジントルクが異なるため、変速終期の制御の成立性が重要となる。油圧制御を復帰前の実エンジントルクと目標エンジントルクとの差を用いて行なうことにより、イナーシャ相中のエンジントルクの大小によらず制御を行なうことができ、制御性および適合性を簡素化することが可能である。
図9に示すように、復帰制御開始時において、目標エンジントルクと復帰前の実エンジントルクとの差がより大きいケース(A)の場合には係合圧が高くなるように、目標エンジントルクと復帰前の実エンジントルクとの差が小さいケース(B)の場合には係合圧が低くなるように制御される。すなわち、目標エンジントルクと復帰前の実エンジントルクとの差より係合圧の油圧が決定される。これにより、図9のタービン回転数に示されるように、ソフトランディングさせて変速終期に発生する変速ショックを低減させることができる。
図10を参照して、変速過渡期の実エンジントルクの変化を複数パターン準備して、イナーシャ相開始までの目標エンジントルクの変化によりどのパターンを選択するのかを決定する。
このように、変速過渡のエンジントルクの変化を複数種類のパターンを準備することで、広い範囲で変速過渡のエンジントルクの変化を直接的に影響されず安定した油圧制御が可能となる。すなわち、エンジントルクおよび油圧制御を複数(2〜3)パターンに絞ることで、変速時間と変速ショックとのバランスを、応答性重視、変速ショック低減重視などにパターンを分けることが可能となり、変速過渡トルクを一定とすることによるヒジテーションと変速ショックのバランスを悪化させないことが可能となる。
図10に示すように、ここでは、3種類のパターン(パターン(A)、パターン(B)、パターン(C))を設定した場合を示す。実エンジントルクの変化は、パターン(A)がより大きくパターン(C)がより小さい。これに伴い、タービン回転数の変化はパターン(A)がより大きくパターン(C)がより小さい。係合圧の変化はパターン(A)がより大きくパターン(C)がより小さい。パターン(B)は、パターン(A)とパターン(C)との間に設定されるものである。
応答性を重視する場合には、パターン(A)が採用され、変速ショックの低減が重視される場合にはパターン(C)が採用される。
図11を参照して、被駆動判定された場合の、実エンジントルクと目標エンジントルクの時間変化を示す。
図11に示すように、被駆動判定されると、アップシフト判定して、エンジントルクが元に戻される。目標エンジントルクが変化した場合にはしきい値の範囲内になる範囲で出力トルクを追従させる。但し、同期時のトルクダウン制御が近く限界に達する場合には、形を一定にしない。目標エンジントルクの範囲内において、変速過渡トルクをある決まった形とすることにより、変速性能を向上させることができ、一方目標エンジントルクの範囲を上限で超えた場合には、その範囲内に収まるように実エンジントルクを上昇させ、目標エンジントルクの範囲を下限で超えた場合には、実エンジントルクが目標エンジントルクになるように制御される。
図12(A)および図12(B)に、出力軸トルクの時間変化を示す。同期時の変速ショックは、同期前後の出力軸トルクの段差によって決定される。同期時の変速ショックを低減させるために、トルクダウン制御を実行し、車両の振動を制御し変速ショックを抑制する。出力軸トルクの段差は、復帰前のエンジントルクと復帰後のエンジントルクの差と相関があるため、その差に基づいてトルクダウン量を算出する。
図12(A)に示すように、同期時のエンジントルク段差によりパターン(D)とパターン(E)とを設定しておく。図12(B)に示すように、出力軸トルクは、変更前出力軸トルクに対して変更後出力軸トルクが追従性がよくなっている。すなわち、同期時のエンジントルク段差に対応させてトルク段差が大きいほどトルクダウン量が大きくなるように、段差が小さいほどトルクダウン量が小さくなるように設定しておき実エンジントルクを制御することにより、出力軸トルクの振動を抑えることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECT_ECUによると、変速中のエンジントルクをアクセル操作や目標駆動力の変化によらず、ある決まった形とした。これにより、常に自動変速機への入力トルクが安定するため、自動変速機における摩擦係合要素の油圧制御が安定化し、変速制御の制御性および適合性が向上する。したがって、これにより、変速クオリティの向上を図ることができる。
より詳しくは、アップシフト時においては、イナーシャ相開始までは、目標駆動力から算出される目標トルクを算出する。イナーシャ相開始後は、スロットル開度は目標トルクに追従して変化するが、エンジンの点火時期の遅角制御にて実エンジントルクはある決まった形になるようにする。同期後は、実エンジントルクを目標エンジントルクまで復帰させる。一方、ダウンシフト時においては、イナーシャ相開始までは目標駆動力から算出される目標エンジントルクを出力する。イナーシャ相開始後は、目標トルクに拘らず実エンジントルクがある決まった形となるようにスロットルにて実エンジントルクを変化させる。このとき、エンジンの点火時期の遅角制御を用いない。同期直前からはスロットル開度は目標エンジントルクを目標として変化するが、遅角制御により実エンジントルクをある決まった形とする。同期後に実エンジントルクを目標エンジントルクまで復帰させる。このようにして、アップシフト時およびダウンシフト時のいずれの場合においても、変速中のエンジントルクをアクセル操作や目標駆動力の変化によらずある決まった形としたため、自動変速機の摩擦係合要素の油圧制御を安定化させることができる。
なお、上述した変速制御装置においては、実エンジントルクが所定のトルクである一定値になるように制御され、摩擦係合要素を係合する係合圧を適合させることが容易となるように説明したが、一定値ではなく変化するものであってもよい。すなわち、エンジントルクを、予め定められた所定の変化させるようにしてもよい。
さらに、上述した変速制御装置においては、イナーシャ相に限らず、変速過渡期であればトルク相等でエンジントルクを予め定められた出力とするようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。 図1に示す自動変速機の作動表である。 本発明の実施の形態に係るECUで実行されるプログラム(アップシフト)の制御構造を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るECUで実行されるプログラム(ダウンシフト)の制御構造を示すフローチャートである。 アップシフト時の変速状態を説明するための図である。 パワーオンアップシフト時の変速状態を説明するための図である。 パワーオンダウンシフト時の変速状態を説明するための図である。 実エンジントルクおよび目標エンジントルクの変化の状態を説明するための図(その1)である。 変速終期の復帰制御の状態を説明するための図である。 複数の変速パターンを区別して変速した状態を説明するための図である。 実エンジントルクおよび目標エンジントルクの変化の状態を説明するための図(その2)である。 出力軸トルクの変化の状態を説明するための図である。
符号の説明
100 エンジン、200 トルクコンバータ、210 ロックアップクラッチ、220 ポンプ羽根車、230 タービン羽根車、240 ステータ、250 ワンウェイクラッチ、300 自動変速機、310 入力クラッチ、400 エンジン回転数センサ、410 タービン回転数センサ、420 出力軸回転数センサ、1000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU、2000 アクセル開度センサ。

Claims (4)

  1. 車両に搭載された自動変速機の制御装置であって、前記自動変速機は、前記自動変速機の変速過渡期に前記車両に搭載された動力源の出力トルクを出力側に伝達し、
    前記動力源の目標トルクを発生するように、前記動力源を制御するための動力源制御手段と、
    前記車両に対する目標駆動力を算出するための算出手段と、
    前記算出された目標駆動力に基づいて、前記動力源の目標トルクを第1の目標トルクに設定するための第1の目標トルク設定手段と、
    前記自動変速機の状態を予め定められた動力伝達状態にする油圧機器の作動油圧を設定するための油圧制御手段と、
    前記自動変速機の変速過渡期における前記動力源の目標トルクを、前記算出された目標駆動力に基づかない所定のトルクである第2の目標トルクに設定するための第2の目標トルク設定手段と、
    変速中のアクセル操作量に基づいて仮想の目標駆動力を算出するための手段と、
    前記仮想の目標駆動力に基づいて前記動力源の仮想目標トルクを算出するための仮想目標トルク算出手段と、
    前記仮想目標トルクが予め定められた範囲のトルクを超えるときには、前記変速過渡期における前記動力源の目標トルクを、前記第2の目標トルクに代えて、前記仮想目標トルクに応じた第3の目標トルクに設定するための第3の目標トルク設定手段とを含む、自動変速機の制御装置。
  2. 前記第3の目標トルク設定手段は、前記仮想目標トルクが前記範囲を上限側で超えるときには、上限からの前記仮想目標トルクの超過分を、前記第2の目標トルクに加算して算出されたトルクを前記第3の目標トルクとして設定するための手段を含む、請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記第3の目標トルク設定手段は、前記仮想目標トルクが前記範囲を下限側で超えるときには、前記仮想目標トルクを前記第3の目標トルクとして設定するための手段を含む、請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記変速がパワーオンアップシフトであって、
    前記第2の目標トルクは、イナーシャ相開始前の動力源トルクに対して予め定められた量だけ低下した値であって、
    前記自動変速機の制御装置は、イナーシャ相中に前記仮想目標トルクが第2の目標トルクより低下したときには、イナーシャ相中の前記動力源の目標トルクを、前記第2の目標トルクに代えて、前記仮想目標トルクに設定するための第4の目標トルク設定手段をさらに含む、請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
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