JP4378966B2 - 多室薬剤容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液に混合するための少なくとも第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器に関する。特に本発明は、輸液、即ち、静脈投与用輸液製剤、液状栄養剤、腹膜透析液等の医療用液体に配合されるビタミン類その他の複数薬剤を分離して収容し無菌状態に保持し、投与直前にそれら複数薬剤を容易に混合可能な多室薬剤容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、点滴により人体に供給される輸液成分、例えば、アミノ酸液、ブドウ糖液等は、混合すると変質するため、剥離可能な隔離手段により仕切られた輸液容器、特に輸液バッグ内の複数の個室へそれぞれ収容し、使用時に輸液バッグを外から押圧して隔離手段を剥離させて混合することが工夫されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献】
特開昭62−176451号公報
特開平8−182739号公報
特表平8−509631号公報
【0004】
また点滴により患者に輸液を投与する場合、患者の病態により、アミノ酸液、ブドウ糖液等の輸液製剤に少量の各種薬液、例えば、トレースミネラル(微量元素)、ビタミン剤、鎮痛剤、脂肪輸液、抗生物質、ミネラル分、強心剤等を混合することが必要になる。通常、輸液製剤に少量の薬液を混合する作業(混注)は、病院内のクリーンブース内で行われ、混合すべき薬液を注射器を用いて輸液バッグ内の輸液へ注入する。この場合、薬液の細菌感染を起こさないように注意深く行われる。これらの混注操作は煩雑であり、簡便な操作で混注が行なえることが望まれている。
【0005】
特開平10−24088号は、無菌保証が成された状態で、薬剤封入バイアル等を少ない部品で簡易に接続した輸液容器を提供することを目的とした薬剤封入容器セットを開示する。この薬剤封入容器セットは、樹脂製容器であり複数の室を有し、室と室との隔離条部の少なくとも一部が外側から開放可能なピールシール部又は弱シール部で形成され、第1室に薬液が収容され、第2室に充填容器が接続され、充填容器は薬液に混合される薬剤を収容し、充填容器の開口を閉じる蓋体又は膜体が第2室の外側から押圧することにより充填容器内へ押し込むことが可能であり、蓋体又は膜体が充填容器内へ押し込まれることにより第2室内と充填容器内が連通される。高圧蒸気滅菌処理した樹脂製容器と薬剤を収容したバイアルは、無菌、無塵室内で接続され、その後第2室のみが電子照射滅菌され、第2室内の一旦外界に晒された充填容器の外面と共に滅菌処理される。
【0006】
注射剤、静脈投与用輸液、透析溶液、点眼剤、眼科用灌流液及び臓器保存液等の医療用溶液は、無菌状態に収容保存するため、熱可塑性樹脂製容器やガラス容器にほぼ液密に充填され、殺菌又は滅菌される。医療用溶液の製品形態のひとつにキット製品がある。キット製品は、薬剤と医療用具又は2つ以上の薬剤をひとつの投与体系として組み合わせたものであり、医療機関における投薬調剤時の負担軽減、細菌汚染防止、異物混入防止等を目的とする。キット製品の事例は、予充填式使い捨て注射剤(プレフィルドシリンジ製品)、ダブルバッグと呼ばれる2室混合式輸液剤、例えば味の素ファルマ社製の「ピーエヌツイン」(商品名)等である。キット製品は、調剤時の過誤防止、緊急時の迅速な対応を可能にする等の利点を備える。
【0007】
ダブルバッグやプレフィルドシリンジは、容器を2室に区画したものが販売されているが、追加の薬剤や栄養剤等を加える場合に対応できない欠点があった。この問題を解決するために、3室を備える医療用容器が、例えば特表2000−501324号公報に提案されている。この公報の発明では、可撓性バッグを剥離可能なシールで区画し、第3の薬剤を収容する室を設けている。しかしながら多区画の部屋を備えた場合、確実にすべての区画を連通させ各成分を混合するには、極めて慎重な開通操作が必要となり、緊急時の迅速対応には問題がある。また、開通しない区画が残ったまま患者に投与された場合は、投与可能な液性とは異なる溶液が供給され副作用発現につながる問題がある。
【0008】
特開2000−87350号公報は、液体薬剤を収納する第1の容器と固体薬剤を収納する第2の容器を一体化した複室輸液容器を開示する。この複室輸液容器は、第1の容器と第2の容器との間に仕切り部材を備え、仕切り部材は、隣接する第1及び第2の容器を連通可能に接続する中空部、及びこの中空部の一端を封止する蓋体を有する。蓋体は、薄肉部を介して仕切り部材の本体に連結され、仕切り部材を変形操作することにより開蓋される。この複室輸液容器は、少量の複数の薬剤を分離収納することができない短所を有する。
【0009】
輸液を初めとする医療用溶液は、投与する患者の病態に応じ、抗生物質やビタミン類を配合して使用する場合がある。また、各種の有効成分を複数の室に分離収容することで保存安定性の向上が期待できるものの、容器を複数に区画もしくは分室を設けることは、容器の製造工程が複雑となり、また使用の際の便宜性が低下するなどの問題を有する。
【0010】
ブドウ糖等を含む栄養輸液製剤は、投与されるとき、必須ビタミン13種が混合されていることが必要である。総合ビタミンの内のビタミンDは、比較的柔軟な樹脂フィルムに吸着される性質があり、吸着を避けるため、ビタミンDを収容し保持する容器は、比較的硬質の環状ポリオレフィンで製造されることが必要である。しかしながら、樹脂フィルムバッグを環状ポリオレフィンで製造する場合、溶着部の形成、特に剥離容易な接着部の形成は、困難である。従来ビタミンDは、他のビタミンとは別の容器に収容され、輸液の投与時に別途輸液に混合する操作が必要であった。典型的には、1つのシリンジに収容されたビタミンD剤及び他のシリンジに収容された他のビタミン剤から成る2本1組のビタミン剤をそれぞれ操作し輸液に注入して始めて総合ビタミン剤の注入が完了した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
輸液製剤に混注すべき、各種の少量の薬液を少ない操作で混注できる薬液容器においては、各薬液同志が混合によって汚濁を生じたり分解が促進されたりしないようにする必要がある。特に、ビタミン剤は、光や温度により品質劣化が促進されるばかりでなく、微量元素類と配合すると不溶性の析出物や微粒子が生じたり、分解が促進されたりする場合がある。
【0012】
高カロリー輸液用糖・電解質・アミノ酸液には、ビタミンB2他のビタミン剤、及び鉄供給源他の複数の微量元素を含有する微量元素製剤を混注する例が多くみられる。ビタミン剤と微量元素製剤を混合した薬液は、短期間に品質劣化し、とくにビタミンB2と微量元素製剤に含まれる鉄供給源由来の析出物が確認できる。この析出物の生成には、温度、光、還元物質、酸素などの要因が関与するが、きわめて短時間に生成することから同一容器内に充填することは困難である。
【0013】
本発明は、高カロリー輸液、アミノ酸輸液、電解質輸液、糖類輸液その他の薬液収容する輸液バッグ内へ患者に必要な少量の薬液を混注する作業を、安全に且つ容易に行うことができることを目的とする。本発明は、また混注すべき異種の薬液間の品質劣化の原因となる相互作用を排除し、隔壁手段で隔離された複数の室に薬液を選択的に分離収容することが可能な薬液容器を提供するとを目的とする。
【0014】
本発明の目的は、必要性が増大している3種以上の薬剤、特に総合ビタミンを外気に晒すことなく容器内に別々に保管し使用時に簡単な操作により混合することが可能な多室薬剤容器を提供することである。特に本発明は、ビタミンDを収容する室の内壁をビタミンDに対し非吸着性の比較的に硬質の樹脂、例えば環状ポリオレフィンにより製造することによりビタミンDが容器に吸着されることを防止する構造の多室薬剤容器を提供することである。また本発明の他の目的は、比較的多量の薬液を袋状容器に収容し比較的少量の複数の薬剤を1組の多室薬剤容器に収容する薬剤のキット製品を提供することである。本発明の別の目的は、上記多室薬剤容器においてビタミンDに対し非吸着性を有する樹脂から成る容器に剥離容易なシール部を必要としない構造を提供することである。
【0015】
本発明の更に別の目的は、上記多室薬剤容器において、容器の外部から人手により力を加えることにより複数の室の間を容易に液体連通状態にすることができ、それらに収容された薬剤を簡易に誤りなく混合可能な構造を提供することである。本発明の更に別の目的は、多室容器に収容された複数の少量の薬剤を容器内で無菌状態を保持したまま混合可能であり、混合された薬剤を輸液バッグへ注入することができる多室薬剤容器を提供することである。本発明の更に別の目的は、多室薬剤容器において、単一の操作により順次に複数の少量の薬剤を輸液バッグへ注入するか又は単一の操作により複数の少量の薬剤を混合し輸液バッグへ注入することができるようにすることである。本発明のその他の目的及び利点は、図面及び以下の説明において明かにされる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の多室薬剤容器は、第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離して収容する第1室、第2室及び第3室を備え、第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を混合し或は混合しないで輸液バッグ内の輸液中へ混合することができる構造を備える。本発明の第1の形態によれば、多室薬剤容器は、開口端を有する第2容器、第2容器内に配置される一部樹脂フィルムからなる第1容器、第2容器の開口端と結合される開口端及び出口開口を有する第3容器、第2容器と第3容器の内部空間を連通可能な第1連通路、第1連通路を遮断する破断可能な薄膜、並びに第1端、第2端及び流路を有し投与時に薬剤を注出可能な連通具を含む。第1室は第1容器内の空間から成り、第2室は第2容器の内壁と前記第1容器の外壁とに囲まれた空間から成り、第3室は第3容器内の空間からなり、連通具の第1端を第1通路内へ移動させることにより前記薄膜及び第1容器の樹脂フィルムが連通具の第1端により破断され、第1室及び第2室の薬剤が第1連通路を通り第3室へ入り、第3室から連通具の流路を通り輸液へ混合される。
【0017】
本発明の第1の形態の多室薬剤容器において、好ましくは、前記第3室を構成する第3容器の内壁がビタミンDに対し非吸着性の比較的硬質の樹脂、例えば環状ポリオレフィンにより形成される。
また、連通具は、第3容器の出口開口に第3容器の密封を維持しつつ摺動可能に挿入される第1及び第2の栓体により支持されると共に、第1及び第2の栓体の間に流路の入口を備え、連通具の第1端を第1通路内へ移動させることにより流路の入口が第3室に連通される。
第1容器及び第2容器は、剛性の容器であり、薬剤と置換する気体が流入しないと薬剤の流出が生じ難いので、連通具は、薬剤の導出路と平行に輸液バッグ内の気体を第1又は第2容器へ導く気体通路を備える。
前記第1及び第2の栓体は、前記連通具の軸方向に離間して形成され、前記連通具とともに移動可能であってよい。
前記第3容器の出口開口は、円筒形に形成することができる。
【0018】
本発明の第2の形態によれば、輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器は、1対の前壁及び後壁を備える第1容器、第1容器内の前壁と後壁の間に収容された樹脂フィルムバッグ、並びに薬剤を流出させるための連通具を有する。第1室及び第2室が樹脂フィルムバッグ内の空間から成り、第3室が第1容器の内面と前記樹脂フィルムバッグの外面により形成される。第1容器は変形されて1対の前壁と後壁の間の距離を変更可能である。第1容器の前壁が前記樹脂フィルムバッグへ向って伸長する2つの凸部を有する雄スパイクを支持し、第1容器を弾性変形させ1対の剛性の前壁と後壁の間の距離を減少させると雄スパイクにより樹脂フィルムバッグの壁が破断され、第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤が混合され、連通具の流路を介し流出可能とされる。
【0019】
後壁には雌スパイクが雄スパイクに対向して配置され、雄スパイクが後壁を損傷することを防止する。本発明の第2の形態の多室薬剤容器においては、好ましくは第3室を構成する第1容器の内壁及び樹脂フィルムバッグの外面がビタミンDに対し非吸着性の樹脂により形成される。
【0020】
本発明の第3の形態によれば、輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器は、プランジャの栓体が挿入される一端を有するシリンジ、シリンジ内の空間に挿入される樹脂フィルムバッグ及び流路を有する連通具を含む。連通具はシリンジの他端に固定され、シリンジ内おいて連通具に隣接して多孔板が配置される。第1室及び第2室は樹脂フィルムバッグ内に形成され、樹脂フィルムバッグの第1室及び第2室に隣接する縁部の少なくとも一部分に剥離容易なシールが形成される。第3室は樹脂バッグの外面とシリンジの内面との間の空間からなり、シリンジ内へプランジャの栓体を挿入することにより連通具の流路を介し第3の薬剤が流出されると共に樹脂フィルムバッグが破断され第1室及び第2室内の第1の薬剤及び第2の薬剤が連通具の流路を介し流出される。
【0021】
本発明の第3の形態の多室薬剤容器においては、好ましくは、多孔板が円錐形とされ、上部が鋭利な凸部とされ、それにより第1室及び第2室を形成する樹脂フィルムバッグを破断開口し、第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を混合する。多孔板が樹脂フィルムバッグを止めるので、連通具の流路が詰まることがない。また第3室を構成するシリンジの内壁及び樹脂フィルムバッグの外面がビタミンDに対し非吸着性の樹脂により形成される。
【0022】
本発明の第4の形態によれば、輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器は、一端からプランジャが挿入され他端に導出路を備え第3室を画定するシリンジ、第1室及び第2室を画定する樹脂フィルムバッグ、及び樹脂フィルムバッグから薬剤を輸液バッグ内へ案内するための連通具を含む。シリンジの導出路は第1室又は第2室の内部に配置され且つシール部材により密封閉鎖され、シリンジ内へプランジャを挿入するときシリンジ内の液圧の上昇によりシール部材が導出路から離間しシリンジ内の薬剤が樹脂フィルムバッグ内へ注入される。第1室と第2室の間に剥離容易な第1弱接着部が設けられる。
【0023】
本発明の第4の形態の多室薬剤容器においては、第1弱接着部は樹脂フィルムバッグの第1室又は第2室へシリンジ内の薬剤が注入されることによる圧力上昇又は樹脂フィルムバッグの外部から与えられる押圧力により剥離される。好ましくは樹脂フィルムバッグは更に第4室を含み、第2室と第4室の間に剥離容易な第2弱接着部が設けられ、第4室が連通具の流路に連通される。
【0024】
本発明の第5の形態によれば、輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器は、第1連通具を備える樹脂フィルムバッグ、及び第2連通具を備える剛性容器を含み、第1室及び第2室は樹脂フィルムバッグ内に形成され、第1室と第2室との間に剥離容易なシールが配置され、第3室は剛性容器内の空間により形成される。第1連通具は第1室又は第2室と第3室を連通可能であり、第1連通具は第3室から薬剤をバッグ内の輸液中へ注入することができる。
【0025】
本発明の第5の形態の多室薬剤容器においては、好ましくは、前記第3室を構成する剛性容器の内壁がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。
【0026】
本発明の第6の形態によれば、輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器は、一端から第1プランジャが挿入され他端に第1導出路を備える第1シリンジ、一端から第2プランジャが挿入され他端に第2導出路を備える第2シリンジ、第1プランジャ及び第2プランジャを一緒移動するよう結合するプランジャ結合部材、第1導出路及び第2導出路に連通し薬剤を混合しバッグ内の輸液中へ注入することができる連通具を含む。第1シリンジ内に可動仕切部材により分けられた第1室及び第2室が画成され、第2シリンジ内に第3室が形成される。
【0027】
第1シリンジの内壁に凹所が形成され、第1プランジャが挿入され可動仕切部材が内壁の凹所に一致すると第1室と第2室が流体連通され、第1室及び第2室内の薬剤が第1導出路を介して輸液バッグ内へ導出される。本発明の第5の形態によれば、第2プランジャが第2シリンジ内へ挿入されることにより第2プランジャ内の薬液が第2導出路を介して輸液バッグ内へ導出される。
【0028】
本発明の第6の形態の多室薬剤容器においては、好ましくは、前記第3室を構成する第2シリンジの内壁がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。
【0029】
本発明の第6の形態の輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器(変形)は、一端から第1プランジャが挿入され他端に第1導出路を備える第1シリンジ、一端から第2プランジャが挿入され他端に第2導出路を備える第2シリンジ、第1プランジャ及び第2プランジャを一緒移動するよう結合するプランジャ結合部材、第1導出路及び第2導出路に連通し薬剤を輸液バッグ内の輸液中へ注入することができる連通具を含む。
【0030】
本発明の第6の形態によれば、第1シリンジの内部空間は樹脂フィルムバッグから成る第1室を含み且つ第2室を画成し、第2シリンジ内に第3室が画定され、第1導出路付近に多孔板が配置される。第1プランジャが第1シリンジに挿入されると樹脂フィルムバッグのフィルムが破られ第1室内の薬剤が第2室内の薬剤と共に第1導出路を介し導出され、同時に第2プランジャが第2シリンジに挿入され、第2室内の薬剤が第2導出路を介し導出される。好ましくは、第3室を構成する第2シリンジの内壁がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。
【0031】
本発明の多室薬剤容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテンや環状ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂で製造することができる。なお、環状ポリオレフィンとポリエチレンとをTダイ押出機、インフレーション成形機又はブロー成型期機により2層あるいは3層に積層した多層フィルムを形成し薬剤容器として使用することが好ましい。また、ポリエチレンに替えて、ポリプロピレンあるいはポリエチレンとポリプロピレンの混合組成の樹脂との多層フィルムを形成してもよい。本発明の多室薬剤容器は、脱酸素剤と共に着色遮光フィルムもしくはアルミラミネートフィルムからなる酸素難透過性の外装袋に封入され最終製品とすることが好ましい。
【0032】
輸液バッグに混注されるべきビタミン剤としては、ビタミンA、B1、B6、B12、C、D、E、K、パントテン酸、ビオチン、ニコチン酸及び葉酸の13種類の必須ビタミンを挙げることができる。13種類のビタミンはそれぞれ薬液に調整する際、至適なpHが存在し、また同一薬液に配合するとビタミン間で配合変化することがあるので、適切な群に分離して各室に充填、収容することが好ましい。また、ビタミン剤を含有する薬液の量としては1〜5mlが好ましいが、各室には薬液とともに窒素ガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガスを充填し操作性の良い薬液容器容量に調整することが好ましい。薬液容器の薬液収容部の容量が5ml以下と小さすぎると混注操作が困難となり、また200ml以上の容量とすると片手で混注することが困難となりかつ容器材料のコストがかさみ好ましくない。
【0033】
ビタミン剤と共に本発明の薬剤容器分離収容される薬剤としてはトレースミネラル(微量元素)が好適である。微量元素を含む薬液に配合される鉄供給源としては、硫酸鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄及びグルコン酸鉄を挙げることができる。亜鉛供給源としては硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸亜鉛を挙げることができる。マンガン供給源としては硫酸マンガン、銅供給源としては硫酸銅を挙げることができる。微量元素製剤の好ましい各供給源の組合せについては、特願2001−54370号に記載の表1記載の塩化第ニ鉄(六水和物)、塩化マンガン(四水和物)、硫酸亜鉛(七水和物)、硫酸銅(五水和物)及びヨウ化カリウムを含有することが好ましい。なお、特願2000−394260号記載の微量元素配合製剤は、肝機能障害患者用に混注する微量元素製剤としてマンガンを含有しないので薬液として好適に使用される。また特開2000−178181号のセレンが配合された微量元素製剤も本発明の多室薬剤容器に収容することができる。
【0034】
本発明の多室薬剤容器は、総合ビタミン剤及び微量元素製剤が好適に充填、収容されるが、それに加え注射液として上市されている各種の薬剤も収容することができる。患者の状態に応じて輸液組成を変化させることができる無機質塩類剤、アルギニンやグルタミンの投与量を増加することができるアルギニンとグルタミンが配合された注射用アミノ酸製剤、注射用ペプチド製剤、大豆油などの脂肪配合注射剤及びヘパリンナトリウム注射剤などの血液凝固防止剤も収容することができる。また特に高カロリー輸液が施行される際には、ビタミン剤、微量元素に加え、制吐剤や消化器用剤を収容した本発明の多室薬剤容器が好適に使用される。
【0035】
ビタミン剤として配合されるビタミンCは、ビタミンCそのものであってもよく、その誘導体及びその塩であってもよい。具体的には、ビタミンC(アスコルビン酸)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩などがあげられる。ビタミンB1としては、従来から使用されているものは何れも使用可能であり、たとえばチアミンであってもよく、その誘導体、具体的には、プロスルチアミン、アクトチアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミンなどや、それらの塩、たとえば塩酸チアミン、硝酸チアミンなどであってもよい。ビタミンB1としては、従来から使用されているものは何れも使用可能であり、たとえばチアミンであってもよく、その誘導体、具体的には、プロスルチアミン、アクトチアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミンなどや、それらの塩、たとえば塩酸チアミン、硝酸チアミンなどであってもよい。
【0036】
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKは、そのものであってもよく、その誘導体の形で用いてもよい。具体的には、ビタミンA及びその誘導体としては、ビタミンA1(レチノール)、ビタミンA2(3−デヒドロレチノール)、ビタミンA3(サブビタミンA)、レチネン(ビタミンAアルデヒド)、ビタミンA酸、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなどをあげることができる。ビタミンD及びその誘導体としてはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンD4、プロビタミンD2(エルゴステリン)、プロビタミンD3(デヒドロコレステリン)などをあげることができる。ビタミンE及びその誘導体としてはα−トコフェロール、酢酸トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールなどをあげることができる。ビタミンK及びその誘導体としてはビタミンK1(フィロキノン、フィトナジオン)、ビタミンK2(ファルノキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK4、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK7などをあげることができる。
【0037】
【発明の実施の態様】
図1A−図6Cは、本発明の第1実施例の多室薬剤容器を概略的に示す図である。図1Aは、本発明の第1実施例の多室薬剤容器の縦断面図、図1Bは、薬剤混合抽出時の多室薬剤容器の縦断面図である。図2A−2Dは、充填製造工程を示す第1室の縦断面図、図3Aは、薄膜の変形例の断面図、図3Bは、図3Aの薄膜の平面図、図4Aは第2容器の縦断面図、図4Bは、図4Aの第2容器の内部平面図、図5A−5Cは、充填製造工程を示す第2室の縦断面図、図6A−6Cは、充填製造工程を示す第3室の縦断面図である。図面全体を通じて同様の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0038】
【第1実施例】
図1A−図6Cに示す本発明の第1実施例の多室薬剤容器1は、開口端22を有する第2容器20、第2容器20内に配置される一部樹脂フィルムからなる第1容器10、第2容器20の開口端22と結合される開口端32及び出口開口39を有する第3容器30、第2容器20と第3容器30の内部空間を連通可能な第1通路23、第1通路23を遮断する破断可能な薄膜34、並びに連通具40を含む。連通具40は、第1端41、第1端と反対側の第2端42、流入孔45及び流路43を有し、多室薬剤容器1内の薬剤を流入孔45及び流路43を介し第2端42から輸液バッグ91内の輸液収容室93中へ注入可能に構成される。第1容器10内の空間により第1室11が構成される。第2室21が第2容器20の内壁と第1容器10の外壁とに囲まれた空間から成る。第3室31が第3容器30内の空間により構成される。
【0039】
図1Aに示すように、第3容器30の出口開口39は円筒形であり、軸線方向に離間して第1栓体35及び第2栓体36を収容し、両栓体35、36の間に第4室38を形成する。第4室38は連通具40の流入孔45,流路43を介し輸液収容室93に連通されるが、多室薬剤容器1内の薬剤及び外気に対し密封されている。第1栓体35及び第2栓体36は、出口開口39の側壁に対して密封を維持しながら摺動できるようにされる。連通具40は第1栓体35及び第2栓体36に固着され両栓体と一緒に出口開口39内を軸線方向へ移動可能にされる。連通具40は、流路43に連通する流入孔45を備える。流入孔45は第1栓体及び第2栓体の間に配置されるように設けられる。図1Bに示すように、連通具40の第1端部41が第1容器20の樹脂フィルムを破断する位置へ移動されたとき、連通具の流入孔45が第3室31と連通される。
【0040】
第1容器10(図1A、図1Bでは、袋状容器として示される)内の空間により形成される第1室11は、第1グループのビタミン剤を含む第1薬剤M1を収容する。第2容器20の内壁と第1容器10の外壁とに囲まれた空間から成る第2室21は、第2グループのビタミン剤を含む第2薬剤M2を収容する。第1薬剤M1及び第2薬剤M2は、ビタミンDを含まないものとする。第3容器30内の空間から成る第3室31は、ビタミンDを含む第3薬剤M3を収容する。第3室31を囲む第3容器30の内壁、薄膜34、連通具40の外面は、ビタミンDを吸着しない環状ポリオレフィンにより形成される。
【0041】
図1Aは、多室薬剤容器1内の薬剤を使用する前の状態を示し、連通具40の第1端41は、薄膜34付近の第3容器30内部に位置され、第1栓体35及び第2栓体36は、第3容器の円筒形の出口開口39内に開口の側壁に密封を維持し配置される。連通具の第2端42は、輸液バッグ91のシール縁部92内を伸長し流路43を輸液バッグの輸液収容室93へ連通され、多室薬剤容器1と輸液バッグ91は連通具40により連結される。第1栓体35と第2栓体36の間の出口開口39の円筒形部分が連通具40の流入孔45及び流路43を介し輸液バッグ91の輸液収容室93と連通される。このような多室薬剤容器1の構成により、薬剤の使用に際して、連通具の第2端を輸液バッグ内へ挿入する操作が不要になり、薬剤投与時における操作の複雑性及び負担が減少される。
【0042】
図1Bは、多室薬剤容器1内の薬剤を連通具40を介し導出中の状態を示す。連通具40の第1端41は、薄膜34を貫通破断し第2室21と第3室31を流体連通させ、更に第1容器10の壁を貫通破断し、第1室11と第2室21を流体連通させている。第1栓体35は第3室31内に位置され、第1栓体35と円筒形出口開口39との間の密封状態は解消され、第2栓体36と円筒形出口開口39との間に密封状態が維持されている。連通具の流入孔45が第3容器30内の第3室31と連通され、第3室31内の薬液が連通具の流路43を介し輸液バッグの輸液収容室93へ流出する。第1室及び第2室の薬剤は、連通具の第1端により破断された薄膜34の破断部分を介し第3室へ流入し、同様に連通具の流路43を介し輸液バッグの輸液収容室93へ流出する。連通具40の第1端は、第2室21と第3室31を区分する薄膜34、及び第1室11と第2室21を区分する第1室の壁を破断するために、鋭利にされ得るが、第1室の壁及び薄膜34を低強度のものとし、丸みのある形状とすることができる。
【0043】
栄養輸液製剤に通常添加される薬剤の内、ビタミンDは、比較的柔軟なポリエチレン樹脂材料に吸着される性質を有する。多室薬剤容器の壁材料にビタミンDが吸着され失われることを避けるため、ビタミンDを含む薬剤を収容する室、例えば、多室容器1の第3室31は、それを構成する第3室内壁、即ち第3容器30の内壁、第1通路23を遮断する破断可能な薄膜34の第3室側表面、連通具40の外表面等をビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。第1室又は第2室にビタミンDを含む薬剤を収容する場合は、同様に第1室又は第2室を構成する壁面がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。
【0044】
図2A乃至図2Dは、カップ10から成る第1容器10を製造する工程を示す図であり、図2Aは薬剤を充填する前の空のカップの縦断面図、図2Bは図2Aのカップの上面図である。カップ10は、円筒形又はテーパ付きの側壁12及び平坦な底壁14を有し、側壁の上端に開口13が設けられる。図2Cに示すようにカップ10内のほぼ全体に第1薬剤M1(例えばビタミンB類)を充填する。次に開口13を樹脂製の薄い壁16により密封閉鎖する。このカップ10は、後述する図4A乃至図5Cに示すように第2容器20内へ配置される。薄い壁16を低強度とすることにより、連通具の第1端を丸みのある安全な形状とすることができる。カップ10は剛性もしくは準剛性の薄肉の容器としてもよく、比較的硬いビタミン非吸着の環状ポリオレフィンでも容易に成形可能であることから、ビタミンDを含む第3薬剤M3を収容してもよい。なお、カップ10内の第1薬剤は多室薬剤容器1を加熱滅菌する際に同時に滅菌されることから、複数の薬剤容器を個別に滅菌する場合に比べ製造工程が簡素化できる。
【0045】
図3Aは変形された薄膜34を含む第1連通路23の縦断面図、図3Bは図3Aの上面図である。図3Aに示す薄膜34は第1連通路23内において下方へ凸の円錐形に形成され、且つ図3Bに示すように薄膜34の円錐形部分に十字形の溝又はスリット37が具備される。薄膜34に十字形の溝又はスリット37を設けることにより、連通具の第1端は丸みのある安全な形状とすることができる。
【0046】
図4Aは図2Cの薬液を充填し薄い壁16により開口13を閉じたカップ(第1容器)10を収容可能な第2容器の縦断面図であり、図4Bは図4Aの第2容器の上面図である。図4A及び図4Bに示すように、第2容器20は、その底壁25の付近において側壁24から底壁25に略平行に容器中央へ向って伸長する4つの弾性指片26を備える。弾性指片26は、それぞれの一端が側壁24により固定され、その他端は、同一円上に配置され、第1容器10を第2容器20内に保持可能にされる。
【0047】
図5A乃至図5Cは、第1容器10及び第2薬液M2を収容する第2容器20の充填製造工程を示す縦断面図である。図5Aに示すように第1容器10は第2容器20内へ挿入され、第1容器10の底壁14が第2容器20内の4本の弾性指片26の間を通り第2容器20の底壁25に隣接され、弾性指片26により第1容器10が第2容器20内に係止される。第1容器10の底壁14の外径がその側壁12の外径より大にされることにより、第1容器の底壁14が弾性指片26と第2容器の底壁25の間に確実に保持される。次に図5Bに示すように第2容器20の内部へ第2薬剤M2(ビタミン1)を充填する。その後、図5Cに示すように第2容器20の開口を薄膜34により密封することにより、第1容器10及び第2薬剤M2を収容する第2容器20が出来上がる。
【0048】
図6A及び図6Bは、第3薬剤M3を収容する第3容器30の充填製造工程を示す縦断面図である。図6Aに示すように、連通具40の第1端41が開口端32付近の第3容器30の内部にあるように、連通具40が配置され、且つ連通具を支持する第1栓体35が第3容器の円筒形の出口開口39内に密封係合される。次に図6Bに示すように第3容器30内へ第3薬剤M3(ビタミン2)を充填する。その後、図6Cに示すように、図5Cの状態の第2容器20を上下反転させて図6Bの第3容器30に載せることにより、図6Bの第3容器30の開口端32に、第2容器20の薄膜34により密封された開口端22を整合させる。開口端22と開口端33の間を接着密封することにより第1乃至第3薬剤M1、M2、M3を充填した多室薬剤容器1が出来上がる。連通具40の第2端42を輸液バッグ91の輸液収容室93へ連通させ固定する工程は、多室薬剤容器1の製造工程の前又は後に行うことが可能である。
【0049】
使用前の多室薬剤容器1においては、出口開口39の第1栓体35と第2栓体36の間の空間は、連通具40の流入孔45、流路43を介し輸液バッグ91の輸液収容室93と流体連通するが、第1栓体35により多室薬剤容器1の薬剤に対し密封状態にあり、第2栓体36により外気に対し密封状態にされる。連通具の第2端42を輸液バッグ91の輸液収容室93へ連通させ固定する工程は、多室薬剤容器1の図6A乃至図6Cの製造工程の前又は後に行うことができる。連通具の第2端42は、予め輸液バッグに取り付けられる場合は、丸みのある形状とすることができる。また連通具の丸みのある端により貫通され得る、例えばスリットを設けた注入用栓体を備えた輸液バッグの場合にも丸みのある形状とできる。しかし輸液バッグが刺通可能な栓体を備えている場合は、例えば図7Aに示すように第2端を鋭利とすることが必要である。
【0050】
図7A及び図7Bは、多室薬剤容器1の部分変形例の概略縦断面図である。図7Aの多室薬剤容器1は、図6Cの多室薬剤容器1において、連通具40の第2端42が鋭利な形状を有するものである。多室薬剤容器1を輸液バッグに連結しないで保持する場合、第2端42は図示しないキャップにより外気に対し密封し、流路43、第3容器の出口開口39内等の無菌状態を維持する。図7Bの多室薬剤容器1は、図7Aの多室薬剤容器1において、第1室11を幾分扁平な球形とすると共に連通具40の第2端42を軸線に略直角の平面とし安全性を高めたものである。
【0051】
【第2実施例】
図8Aは本発明の第2実施例による多室薬剤容器2の概略斜視図であり、図8Bは図8Aの線A−Aに沿う断面図である。第2実施例の多室薬剤容器2は、比較的剛性の材料から成る第3容器70、第3容器内に収容される樹脂フィルムバッグ50、及び薬剤を注出するための連通具40を有する。樹脂フィルムバッグ50は、筒状フィルムの下端及び上端を下縁部54及び上縁部56で閉じ、更に両縁部の間において筒状フィルム内を2分するように伸長し配置される第3縁部55を備える。同じく第3容器70は、筒状フィルムの下端及び上端を閉じる下縁部74及び上縁部76を備える。第3縁部55により樹脂フィルムバッグ50内は第1室51及び第2室61に仕切られ、それぞれ第1薬剤M1と第2薬剤M2が封入される。第3容器70の内面とバッグ50の外面に囲まれた空間により成る第3室71に第3薬剤M3が収容される。第3容器70の内面は、1対の剛性の前壁72及び後壁73の内面を含む。樹脂フィルムバッグ50の連通具40側に位置する下縁部54は、剥離容易なシール部により形成し、前壁72と後壁73の間の距離を減少することによる押し圧力で剥離して第1室51及び第2室61を第3室71へ連通させることができる。
【0052】
図8Aの第2実施例による多室薬剤容器2は、図8Bに示すように、前壁72から雄スパイク75が第3室内へ突出し、後壁73は雄スパイク75に係合する雌スパイク76を具備する。雄スパイク75は、好ましくは2つの凸部を備え、第1室51及び第2室61の下方部分の樹脂フィルムを切断開口するように配置される。雄スパイク75の2つの凸部の各々がバッグ50の第1室51及び第2室61の樹脂フィルムを確実に切断開口する。雌スパイク76が雄スパイク75に対向して第3室71内に配置され、雄スパイク75の凸部を受ける構造にされ、第3室71の壁部分が雄スパイク75により破断され、薬剤が第3室の壁部分を介して外部へ漏れることを防止する。
【0053】
連通具40は、第3容器71の下方縁部74に溶着され支持され、連通具40の流路43は、第3容器70内の第3室71に連通される。連通具40の第2端42は、図8Aに示すように密封キャップ48により密封されるか又は図1Aに示すように輸液バッグの輸液収容室内へ開口される。第3室71を構成する第3容器70の内壁及び樹脂フィルムバッグ50の外面がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。第1室51及び第2室61の下方縁部54を開口するか、又はスパイクにより下方縁部付近の樹脂フィルムを切断開口することにより、第1室51及び第2室61内に残留する薬剤を最少にし、大部分の薬剤を連通具40を介して流出させることができる。
【0054】
図8Aの下縁部54が剥離容易なシール部により形成された場合の多室薬剤容器2の薬剤を輸液バッグ内の輸液へ供給する手順は、次の通り。まず、第3容器70の前璧72と後壁73を指で押圧することにより、両璧間の距離を減少させて第3容器70内に収容された樹脂フィルムバッグ50を押圧し、弱シールから成るバッグ50の下縁部54を剥離開放させ、連通させる。樹脂フィルムバッグ50の下縁部54を容易に剥離開放させるため、下縁部54の接着強度は、調整される。
【0055】
連通具40の第2端42は、輸液バッグの混注用の連結口部を介して輸液収容室へ開口させる。この操作は、多室薬剤容器2を輸液バッグと結合しキットにして提供される場合は不要となる。更に第3容器70内の容積を変形縮小させ、第3容器内の薬剤を輸液バッグ内へ移送する。第3容器はブロー成形法、インジェクション成形法等各種の樹脂成形法を用いることができる。また、第3容器全体が均質な厚みである必要はなく、押圧力が小さくて変形可能なように一部分を薄肉化することが好ましい。
【0056】
第3容器70の前璧72と後壁73にスパイクを備えた態様においては、第3容器70の両璧を押圧し雌雄スパイク76、75を係合させることにより、樹脂フィルムバッグ50に切削開口部をつくることができ、この開口部より充樹脂フィルムバッグ50に充填された薬剤が第3容器70内に移送される。第3容器70の前壁72及び後壁73の材質は、雄雌のスパイク75、76が噛み合い位置を維持することができるような剛性及び弾性復元力を有するように調整される。連通具40の第2端42は、輸液バッグの混注用の連結口部を介して輸液収容室へ開口される。更に第3容器70の弾性変形能を利用して、第3容器70を数回押圧して同容器内の薬剤を輸液バッグの輸液収容室へ移送する。
【0057】
多室薬剤容器2の外殻が剛性の第3容器70の壁により形成され薬剤の流出によって変形し難い性質を有する場合、多室薬剤容器2から薬剤を円滑に流出させるため、好ましくは連通具40は、流路43と平行に置換ガス供給用の換気を具備する。連通具40の第2端42は、密封キャップ48により覆われ、流路43を周囲雰囲気から密封する。
【0058】
【第3実施例】
図9は本発明の第3実施例の多室薬剤容器3の概略断面図である。第3実施例の多室薬剤容器3においては、シリンジ(バレル)130内に樹脂フィルムバッグ110が収容され、シリンジの一端が栓体142により閉鎖され、シリンジの他端(排出口)は連通具40の基端を支持する。樹脂フィルムバッグ110は、第1薬剤M1を収容する第1室111及び第2薬剤M2を収容する第2室121を含む。シリンジ130の内面、栓体の端面及び樹脂フィルムバッグ110の外面等に囲まれるシリンジ130の内部空間が第3薬剤M3を収容する第3室131とされる。第1室111及び第2室121は、樹脂フィルムバッグ110が押圧力を受けたとき容易に剥離又は破断する弱結合部112、122をそれぞれ有する。弱結合部112、122は、樹脂フィルムバッグ110が押圧されると容易に剥離又は破断し、第1薬剤M1、第2薬剤M2を、第3室131内の第3薬剤M3に混合させる。連通具40の基端を支持するシリンジ130の排出口付近に多孔板(みざら)134が配置され、多孔板134の多孔を介しシリンジ130内から薬剤が連通具40の流路43へ流動可能にされる。多孔板134は、樹脂フィルムバッグ110を破断開口させるための鋭利な突起135を備える。
【0059】
図9は使用前の多室薬剤容器3を示す。多室薬剤容器3の薬剤を連通具40を介し図示しない輸液バッグ内の輸液に混合する手順は、次の通り。まず連通具40から密封キャップ48を取外し、連通具40の第2端42を図示しない輸液バッグの輸液収容室へ開口させる。多室薬剤容器3が輸液バッグと結合されキットとして提供される場合はこの操作は不要である。次にプランジャ140に押込み力を加え、栓体142をシリンジ130内へ押込む。栓体142がシリンジ130内へ押込まれると、第3薬剤M3が連通具40の流路43及び第2端42を介し、輸液バッグ内へ移動され輸液に混合される。それと同時に栓体142の内方面が樹脂フィルムバッグ110を押圧し、その弱結合部112、122を剥離又は破断し、樹脂フィルムバッグ110内から第1薬剤M1及び第2薬剤M2を流出させ、第3薬剤M3と混合する。
【0060】
多孔板134は、多数の孔を有する略円錐形の壁により形成され、円錐形の頂点部135が鋭利な形状とされる。樹脂フィルムバッグ110は鋭利な頂点部135へ向けて押圧されることによりより容易に破断される。多孔板134は、多数の孔を通して薬剤を連通具40の流路43へ流動させ、樹脂フィルムバッグ110が連通具40の流路43の入口を塞ぐことを防止する。
【0061】
第3室131に収容される第3薬剤M3は、ビタミンDを含むものとすることができる。その場合、第3室131の内壁を形成する、シリンジ130の内面、栓体の端面及び樹脂フィルムバッグ110の外面等は、ビタミンDを吸着しない比較的硬い樹脂材料で容易に製造する。第3の実施の態様の多室薬剤容器3は、プランジャ140の挿入に伴い、薬剤M1、M2、M3を収容する容器内の容積を減少させ得るので、換気ガスを多室薬剤容器内へ導入する必要がない。
【0062】
【第4実施例】
図10Aは本発明の第4実施例の多室薬剤容器4の概略側面図であり、図10Bは図10Aの変形例を示す概略側面図である。多室薬剤容器4は、シリンジ(バレル)230及び樹脂フィルムバッグ210を備える。シリンジ230の一端が栓体233により閉鎖され、他端は排出口234を有する。シリンジ230内の空間が第3薬剤M3を収容する第3室231を画成する。樹脂フィルムバッグ210は第1薬剤M1を収容する第1室211及び第2薬剤M2を収容する第2室221を画定する。樹脂フィルムバッグ210から薬剤を図示しない輸液バッグ内へ案内するための連通具40が具備される。
【0063】
樹脂フィルムバッグ210は、強固に接着された2つの側縁部212及び2つの端縁部213を備える。一方の端縁部213を通過してシリンジの排出口234が配置される。排出口の外面と一方の端縁部213の間は気密に接着される。また他方の端縁部213を通過して連通具40が配置される。連通具40の外面と他方の端縁部213の間は気密に接着される。シリンジ230の排出口234は、図10Aの場合、樹脂フィルムバッグ210の第1室211又は第2室221の内部に開口される。図10Bの場合、排出口234は、シール部材235により密封閉鎖される。シール部材235は、シリンジ230内へ栓体233を挿入するときシリンジ230内の液圧の上昇により排出口234から離間しシリンジ内の第3室231内の第3薬剤M3が樹脂フィルムバッグ210内へ注入される。
【0064】
第1室211と第2室221の間に剥離容易な第1弱結合部214が設けられ、第1弱結合部214は第1室211又は第2室221へシリンジ内の薬剤が注入されることによる圧力上昇又は樹脂フィルムバッグの外部から与えられる押圧力により剥離され、第1室211と第2室221を流体連通させる。樹脂フィルムバッグ210は、更に第4室241を含み、第2室221と第4室241の間に剥離容易な第2弱結合部224が設けられる。第2弱結合部224は、第1弱結合部214と同様に、第1室211又は第2室221へシリンジ内の薬剤が注入されることによる圧力上昇又は樹脂フィルムバッグ210へ外部から与えられる押圧力により剥離され、第2室221と第4室241を流体連通させる。第4室は連通具40の流路に連通される。
【0065】
図11A乃至図11C並びに図12A及び図12Bは本発明の第5実施例の多室薬剤容器5の概略断面図である。図11A及び図12Bは多室薬剤容器5の使用前の状態及び使用後の状態を示す概略側面図であり、図11B、図11C、図12Aは、それぞれ多室薬剤容器5の使用途中の状態を示す概略側面図である。多室薬剤容器5は、第1連通具360を備える樹脂フィルムバッグ310、及び第2連通具340を備えるシリンジ(剛性容器)330を含む。樹脂フィルムバッグ310内に第1薬剤M1を収容する第1室311及び第2薬剤M2を収容する第2室321が設けられる。第1室311と第2室321との間に剥離容易な弱結合部314が配置される。
【0066】
シリンジ330の一端に栓体333が挿入され、他端に第2連通具340が連結される。シリンジ330円筒形内面、栓体333の端壁334に囲まれる空間が第3薬剤M3を収容する第3室231を画成する。第1連通具360の一端362は第2室321内に配置される。第1連通具360は、逆止弁367を備える流路364、流路364と第2室を連通させる流入口361を有する。第1連通具360の他端365は栓体333内に形成された円筒形の第4室335内へ伸長され、栓体363に固着される。第1連通具360の流路364の先端開口366は、薬剤使用前(図11A)において密閉空間から成る第4室335に連通される。
【0067】
図11Bは、薬剤を送出するための最初の段階における多室薬剤容器5を示し、第1連通具360がシリンジ330内へ僅かに移動され第1連通具360の先端開口366が、第4室335の端壁334を突き破り、第3室331に連通されている。図11Cは、第1室311と第2室321との間の剥離容易な弱結合部314(図11A)が剥離され、第1室311と第2室321が連通され、第1薬剤M1と第2薬剤M2が混合された状態を示す。
【0068】
図12Aは、栓体333をシリンジ330から引き出す方向へ移動させ、樹脂フィルムバッグ310内の薬剤M1、M2が、流入孔362、流路364、逆止弁367及び先端開口366を介しシリンジ内の第3室331へ移動させる工程を示す。樹脂フィルムバッグ310は、薬剤M1及びM2の流出に伴い変形する故に薬剤流出の抵抗を生じない。図12Bは、栓体333をシリンジ330内へ押し込む方向へ移動させ、栓体333によりシリンジ内の薬剤M1、M2、M3を第2連通具340を介し輸液バッグ内へ押し出した後の状態を示す。第2連通具340は、実施例1の場合と同様に予め輸液バッグに連結するか又は輸液の使用時に輸液バッグに連通させることができる。
【0069】
図13Aは、本発明の第6実施例の多室薬剤容器6を示す概略縦断面図、図13Bは、本発明の第6実施例の変形例の多室薬剤容器6’を示す概略縦断面図、図14は、第6実施例の多室薬剤容器6、6’に組み合わせて使用可能な連通具440の概略縦断面図、図15Aは第6実施例の変形例6’に使用される多孔板の平面図、図15Bは、図15Aの多孔板の縦断面図である。図13Aに示す本発明の第6実施例の多室薬剤容器6は、一端から第1プランジャ462が挿入され他端に第1導出路424を備える第1シリンジ420、一端から第2プランジャ463が挿入され他端に第2導出路434を備える第2シリンジ430、第1プランジャ及び第2プランジャを結合し一緒移動させるプランジャ結合部材465、第1導出路424及び第2導出路434に連通し薬剤を混合し図示しないバッグ内の輸液中へ注入することができる導出フランジ438を含む。
【0070】
第1シリンジ420内に可動仕切部材414により分けられた第1室411及び第2室421が画成される。第2シリンジ430内に第3室431が画成される。第1シリンジ420の内壁に凹所426が形成され、第1プランジャ462が第1シリンジ420内へ挿入され可動仕切部材414が内壁の凹所426に一致すると第1室411と第2室421が流体連通され、第1室411及び第2室421内の薬剤M1、M2が第1導出路434及び導出フランジ438を介して輸液バッグ(図示しない)内へ導出され、、また第2プランジャ463が第2シリンジ430内へ挿入されることにより第2シリンジ430内の薬液M3が第2導出路434を介して輸液バッグ内へ導出される。導出フランジ438と輸液バッグ(図示しない)の間に図14に示す連通具440を用いることができる。図13Aに示す本発明の第6実施例の多室薬剤容器6において、第3室431を構成する第2シリンジ430の内壁がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。
【0071】
図13Bは、本発明の第6実施例の変形例の多室薬剤容器6’を示す概略縦断面図である。多室薬剤容器6’は、一端から第1プランジャ462が挿入され他端に第1導出路424を備える第1シリンジ420、一端から第2プランジャ463が挿入され他端に第2導出路434を備える第2シリンジ430、第1プランジャ462及び第2プランジャ463を一緒に移動するよう結合するプランジャ結合部材465、第1導出路424及び第2導出路434に連通し薬剤を輸液バッグ内の輸液中へ注入することができる導出フランジ438を含む。導出フランジ438の出口は、密封キャップ44で覆われるか又は輸液バッグ内に配置される。
【0072】
図13Bの第6実施例の変形例の多室薬剤容器6’において、第1シリンジ420の内部空間は弱結合部414を有する樹脂フィルムバッグ410から成る第1室411を含み且つ第2室421を画成する。第2シリンジ430内に第3室431が画定される。第1導出路424の入口付近に多孔板428が配置され、第1プランジャ462が第1シリンジ420に挿入されると樹脂フィルムバッグから成る第1室411のフィルムが破られ第1室411内の第1薬剤M1が第2室421内の第2薬剤M2と共に第1導出路424及び導出フランジ438(並びに図14の連通具440)を介し導出される。第1プランジャ462の挿入と同時に第2プランジャ463が第2シリンジ430へ挿入され、第3室431内の第3薬剤M3が第2導出路434及び導出フランジ438(並びに図14連通具440)を介し導出される。第3室431を構成する第2シリンジ430の内壁がビタミンDに対し非吸着性の環状ポリオレフィンにより形成される。
【0073】
図14は第6実施例の多室薬剤容器6、6’と組み合わせて使用される連通具440の概略縦断面図である。連通具440は、バレル400の導出フランジ438に嵌合する基部441、並びに第1導出路424及び第2導出路434に連通される2つの流路447、448を有する。2つの流路447、448は、第1及び台2導出路424、434との接続部は、いわゆる中空管の端部を切り口が鋭くなるように傾斜面にて切断された「竹の子針」の形状が好適である。
【0074】
図15Aは第6実施例の変形例6’に使用される多孔板428の平面図、図15Bは、図15Aの多孔板428の縦断面図である。この多孔板428は、図9の多室薬剤容器3の多孔板134と同様に樹脂フィルムバッグ410が第1導出路424の入口を塞ぐことを防止する。また好適には多孔板134と同様に、多孔板428は円錐形状を有し、中央付近に鋭利な突部427を備える。
【0075】
【発明の効果】
本発明の多室薬剤容器は、高カロリー輸液用糖・電解質・アミノ酸液に混合し投与することが必要なビタミンB2他のビタミン剤、及び鉄供給源他の複数の微量元素を含有する微量元素製剤を複数の室へ分離収容することにより、それらの薬剤の品質劣化、析出物生成を効果的に防止することができる。特に、同一容器内に充填すると温度、光、還元物質、酸素などが関与し短時間に生成するビタミンB2と微量元素製剤に含まれる鉄供給源由来の析出物を効果的に防止することができる。
【0076】
本発明の多室薬剤容器は、高カロリー輸液、アミノ酸輸液、電解質輸液、糖類輸液その他の薬液収容する輸液バッグ内へ患者に必要な少量の薬液を混注する作業を、安全に且つ容易に行うことができ、また混注すべき異種の薬液間の品質劣化の原因となる相互作用を排除し、隔壁手段で隔離された複数の室に薬液を選択的に分離収容することが可能な薬液容器を提供するものである。
【0077】
本発明多室薬剤容器は、3種以上の薬剤、特に総合ビタミンを外気に晒すことなく容器内に別々に保管し使用時に簡単な操作により混合することが可能な多室薬剤容器を提供し、ビタミンDを収容する室の内壁をビタミンDに対し非吸着性の比較的に硬質の樹脂、例えば環状ポリオレフィンにより製造することによりビタミンDが容器に吸着されることを防止することができる。
【0078】
本発明の多室薬剤容器は、少量の複数の薬剤を袋状容器に収容した多量の薬液(輸液)中へ比較的容易に無菌状態を保持し誤作動なく混合することを可能にする。本発明は、またそのような多室薬剤容器においてビタミンDに対し非吸着性を有する樹脂から成る室を含む構造を確実に提供することができる。
【0079】
本発明の多室薬剤容器は、容器の外部から人手により力を加えることにより複数の室の間を容易に液体連通状態にすることができ、それらに収容された薬剤を簡易に誤りなく混合可能な構造を提供する。更に本発明の多室薬剤容器は、収容された複数の少量の薬剤を容器内で無菌状態を保持したまま混合可能であり、混合された薬剤を輸液バッグへ注入することが可能である。また、多室薬剤容器において、単一の操作により順次に複数の少量の薬剤を輸液バッグへ注入するか又は単一の操作により複数の少量の薬剤を混合し輸液バッグへ注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A−図6Cは、本発明の第1実施例の多室薬剤容器1を概略的に示す図であり、図1Aは、本発明の第1実施例の多室薬剤容器の縦断面図、図1Bは、薬剤混合時の多室薬剤容器の縦断面図。
【図2】図2A−2Dは、多室薬剤容器1の第1室の充填製造工程をそれぞれ示す縦断面図。
【図3】図3Aは、薄膜の変形例の断面図、図3Bは、図3Aの薄膜の平面図。
【図4】図4Aは第2容器の縦断面図、図4Bは、図4Aの第2容器の内部平面図。
【図5】図5A−5Cは、第2室の充填製造工程を示す縦断面図。
【図6】図6A−6Cは、第3室の充填製造工程を示す縦断面図。
【図7】図7A及び図7Bは、多室薬剤容器1の部分変形例の概略縦断面図。
【図8】図8Aは本発明の第2実施例による多室薬剤容器2の概略側面図であり、図8Bは図8Aの線A−Aに沿う断面図。
【図9】図9は本発明の第3実施例の多室薬剤容器3の概略断面図。
【図10】図10Aは本発明の第4実施例の多室薬剤容器4の概略側面図であり、図10Bは図10Aの変形例を示す概略側面図。
【図11】図11A乃至図11C本発明の第5実施例の多室薬剤容器5の概略側面図であり、図11Aは多室薬剤容器5の使用前の状態、図11B及び図11Cは使用するため多室薬剤容器5の操作を開始した段階を示す概略側面図。
【図12】図12A本発明の多室薬剤容器5の操作の更なる段階を示す概略側面図。図12Bは多室薬剤容器5の使用後の概略側面図。
【図13】図13Aは、本発明の第6実施例の多室薬剤容器6を示す概略縦断面図、図13Bは、本発明の第6実施例の変形例の多室薬剤容器6‘を示す概略縦断面図。
【図14】図14は第6実施例に使用される連通具の概略縦断面図。
【図15】図15Aは第6実施例の変形例6’に使用される多孔板の平面図、図15Bは、図15Aの多孔板の縦断面図である。
【符号の説明】
1〜6:多室薬剤容器、10:第1容器、11:第1室、16:薄い壁、20:第2容器、21:第2室、22:開口端、23:第1通路、24:側壁、26:弾性指片、30:第3容器、31:第3室、32:開口端、34:薄膜、35:第1栓体、36:第2栓体、37:スリット、38:第4室、39:出口開口、40:連通具、41:第1端、42:第2端、43:流路、45:流入口、48:密封キャップ、50:51:第1室、樹脂フィルムバック、61:第2室、70:第3容器、71:第3室、72:前壁、73:後壁、75:雄スパイク、76:雌スパイク、91:輸液バッグ、92:シール縁部、93:輸液収容室、110:樹脂フィルムバッグ、111:第1室、112:弱結合部、121:第2室、122:弱結合部、130:シリンジ、131:第3室、134:多孔板、142:栓体、210:樹脂フィルムバッグ、211:第1室、212:側縁部、213:端縁部、221:第2室、224:第2弱結合部、230:シリンジ(バレル)、231:第3室、232:プランジャ、233:栓体、234:排出口、241:第4室、310:樹脂フィルムバッグ、311:第1室、312:側縁部、213:端縁部、314:弱結合部、321:第2室、330:シリンジ、331:第3室、333:栓体、334:端壁、335:第4室、340:第2連通具、344:密封キャップ、360:第1連通具、361:流入口、362:一端、363:栓体、364:流路、365:他端、366:先端開口、367:逆止弁、368:突起、411:第1室、421:第2室、424:第1導出路、428:多孔板、430:第2シリンジ、431:第3室、434:第2導出路、440:連通具、462:第1プランジャ、463:第2プランジャ、465:プランジャ結合部材、M1、M2、M3:薬剤。
Claims (3)
- 輸液に混合するための第1の薬剤、第2の薬剤及び第3の薬剤を分離してそれぞれ収容する第1室、第2室及び第3室を有する多室薬剤容器であって、
開口端を有する第2容器(20)、第2容器内に配置される一部樹脂フィルムからなる第1容器(10)、第2容器の開口端と結合される開口端及び出口開口を有する第3容器(30)、第2容器と第3容器の内部空間を連通可能な第1連通路(23)、第1連通路を遮断する破断可能な薄膜、並びに第1端(41)、第2端(42)及び流路(43)を有する連通具(40)を含み、
第1室は第1容器内の空間から成り、第2室は第2容器の内壁と前記第1容器の外壁とに囲まれた空間から成り、第3室は第3容器内の空間からなり、
連通具を移動させることにより前記薄膜及び第1容器の樹脂フィルムを連通具の第1端により破断し連通具の流路を介し各室の薬剤を流出させることが可能であり、
前記連通具は、第3容器の出口開口に、第3容器の密封を維持しつつ摺動可能に挿入される第1及び第2の栓体(35、36)により支持され、
前記第1及び第2の栓体は、前記連通具の軸方向に離間して形成され、前記連通具とともに移動可能であり、
前記連通具は流路の入口(45)を第1及び第2の栓体の間に備え、
連通具の第1端部が第1容器の樹脂フィルムを破断する位置へ移動されたとき連通具の入口(45)が第3室に連通される多室薬剤容器。 - 前記第3容器の出口開口は、円筒形に形成されていることを特徴とする請求項1の多室薬剤容器。
- 前記第3室を構成する第3容器の内壁がビタミンDに対し非吸着性の樹脂により形成される請求項1又は2の多室薬剤容器。
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