JP4378160B2 - 多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウム及びその製造方法 - Google Patents
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また、この特許文献の記載によれば、上述の方法によって製造される多孔質球状塩基性炭酸マグネシウムは、水、有機溶媒あるいはポリマー等への分散性に優れ、塗料、化粧料、紙あるいはポリマー等の充填剤及び薬剤のキャリアー、芳香剤の担体等の広い用途に好適に使用できるとされている。
従って、本発明の課題は、食品や飲料のマグネシウム補強剤としての使用に適した粒子サイズへの粉砕もしくは解砕が容易な塩基性炭酸マグネシウム及びその製造方法を提供することにある。
(1)マクロ細孔の総容積が全細孔の総容積の80%以上を占める。
(2)粒子径が5μm未満の多孔質粒子を10体積%以上含まない。
また、本発明の製造方法では、酸化マグネシウム粉末を水性媒体中で炭酸ガスに接触させるので、酸化マグネシウムの水和反応による水酸化マグネシウムの生成と、その生成した水酸化マグネシウムの炭酸化反応とが同時に進行する。すなわち、水酸化マグネシウムが緻密な凝集体を形成する前に水酸化マグネシウムの炭酸化反応が進行する。従って、本発明の製造方法より、マクロ細孔の総容積の大きい多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムを工業的に有利に製造することができる。
(2)マクロ細孔の総容積及びマクロ細孔の総容積占有率:試料を120℃で3時間真空乾燥した後、ユアサアイオニクス(株)製、Autosorb−MP3を用いて、窒素吸着法により測定した。減圧度合いを変化させることによって、細孔径ごとに総容積を測定して、マクロ細孔の総容積とマクロ細孔の総容積占有率とを算出した。
(3)平均粒子径及び5μm未満の多孔質粒子含有率:試料5gを水50gが入った100mLビーカに投入し、試料が均一に分散するまでガラス棒でゆっくりかき混ぜた後、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、MicrotacX100)を用いて、平均粒子径及び5μm未満の多孔質粒子含有率を測定した。
(4)超音波粉砕処理後の平均粒子径:試料5gを水50gが入った100mLビーカに投入し、超音波振動子(日本精機(株)製、US−300)を用いて電流値300μAの条件下にて10分間超音波粉砕処理を行なった後、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
(5)安息角:ホソカワミクロン(株)製、パウダーテスターを用いて測定した。
水酸化マグネシウム(関東化学(株)製、鹿1級)を電気炉に入れ、室温から450℃まで45分間、450℃から700℃まで50分間、700℃から950℃まで80分間の昇温条件で昇温した後、950℃にて1時間保持して酸化マグネシウム粉末を得た。得られた酸化マグネシウム粉末の一次粒子の平均粒子径をX線粉末法により測定したところ、その値は0.04μmであった。また、酸化マグネシウム粉末をエタノールに分散させた後、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、MicrotacX100)を用いて、二次粒子の平均粒子径を測定したところ、その値は2.6μmであった。
上記の酸化マグネシウム粉末1kgを70℃の温水20kgが入った攪拌機付き反応槽に入れ、CO2濃度25容量%の炭酸ガスを10.5L/分の流量にて吹き込みながら5時間攪拌した。反応生成物を吸引ろ過した後、エタノール洗浄し、120℃の温度にて24時間乾燥した。乾燥後、反応生成物の組成を分析したところ、塩基性炭酸マグネシウムであることが確認された。また、粒子形状を電子顕微鏡を用いて観察したところ、鱗片状の一次粒子が凝集した球状の多孔質粒子であることが確認された。
得られた多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムの比表面積、マクロ細孔の総容積、マクロ細孔の総容積占有率、平均粒子径及び5μm未満の多孔質粒子含有率を表1に、超音波粉砕処理後の平均粒子径及び安息角を表2に示す。
水酸化マグネシウム(関東化学(株)製、鹿1級)を電気炉に入れ、室温から450℃まで45分間、450℃から700℃まで50分間、700℃から750℃まで10分間の昇温条件で昇温した後、750℃にて1時間保持して酸化マグネシウム粉末を得た。得られた酸化マグネシウム粉末の一次粒子の平均粒子径をX線粉末法により測定したところ、その値は0.02μmであった。また、酸化マグネシウム粉末をエタノールに分散させた後、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、MicrotacX100)を用いて、二次粒子の平均粒子径を測定したところ、その値は2.1μmであった。
上記の酸化マグネシウム粉末1kgを60℃の温水20kgが入った攪拌機付き反応槽に入れ、CO2濃度100容量%の炭酸ガスを10.5L/分の流量にて吹き込みながら5時間攪拌した。反応生成物を吸引ろ過した後、エタノール洗浄し、120℃の温度にて24時間乾燥した。乾燥後、反応生成物の組成を分析したところ、塩基性炭酸マグネシウムであることが確認された。また、粒子形状を電子顕微鏡を用いて観察したところ、鱗片状の一次粒子が凝集した球状の多孔質粒子であることが確認された。
得られた多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムの比表面積、マクロ細孔の総容積、マクロ細孔の総容積占有率、平均粒子径及び5μm未満の多孔質粒子含有率を表1に、超音波粉砕処理後の平均粒子径及び安息角を表2に示す。
水酸化マグネシウム(関東化学(株)製、鹿1級)1.45kgを70℃の温水20kgが入った攪拌機付き反応槽に入れ、CO2濃度25容量%の炭酸ガスを10.5L/分の流量にて吹き込みながら5時間攪拌した。
反応生成物を吸引ろ過した後、エタノール洗浄し、120℃の温度にて24時間乾燥した。乾燥後、反応生成物の組成を分析したところ、塩基性炭酸マグネシウムであることが確認された。また、粒子形状を電子顕微鏡を用いて観察したところ、鱗片状の一次粒子が凝集した球状の多孔質粒子であることが確認された。
得られた多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムの比表面積、マクロ細孔の総容積、マクロ細孔の総容積占有率、平均粒子径及び5μm未満の多孔質粒子含有率を表1に、超音波粉砕処理後の平均粒子径及び安息角を表2に示す。
前記の特許文献3(特開昭63−89418号公報)の実施例1の記載に従って、下記の方法により多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムを製造した。
水酸化マグネシウム(関東化学(株)製、鹿1級)を炭酸化して得た濃度30gMgO/Lの塩基性炭酸マグネシウム出発懸濁液10Lを60℃に保持して反応槽に入れ、これに濃度30gMgO/Lの水酸化マグネシウム懸濁液を10L/時間の速度で添加しながら、CO2濃度25容量%の炭酸ガスを10.5L/分の流量にて吹き込んだ。反応槽内の懸濁液量が50Lになるまで水酸化マグネシウム懸濁液を添加し、添加終了後30分間さらに炭酸ガスを吹き込んだ。反応生成物を吸引ろ過した後、エタノール洗浄し、120℃の温度にて24時間乾燥した。乾燥後、反応生成物の組成を分析したところ、塩基性炭酸マグネシウムであることが確認された。また、粒子形状を電子顕微鏡を用いて観察したところ、鱗片状の一次粒子が凝集した球状の多孔質粒子であることが確認された。
得られた多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムの比表面積、マクロ細孔の総容積、マクロ細孔の総容積占有率、平均粒子径及び5μm未満の多孔質粒子含有率を表1に、超音波粉砕処理後の平均粒子径及び安息角を表2に示す。
────────────────────────────────────────
比表面積 マクロ細孔の マクロ細孔の 平均粒子径 5μm未満の多孔
総容積 総容積占有率 質粒子含有率
(m2/g) (mL/g) (体積%) (μm) (体積%)
────────────────────────────────────────
実施例1 51.8 0.4625 91 43 3
実施例2 41.1 0.3337 86 32 5
────────────────────────────────────────
比較例1 19.7 0.1746 54 9.1 32
比較例2 23.0 0.1894 55 18 17
────────────────────────────────────────
────────────────────────────────────────
超音波粉砕処理の平均粒子径(μm) 安息角(度)
────────────────────────────────────────
実施例1 2.8 36
実施例2 2.5 38
────────────────────────────────────────
比較例1 8.8 55
比較例2 14 45
────────────────────────────────────────
Claims (4)
- 一次粒子が凝集してなる多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムであって、比表面積が10〜100m2/gの範囲にあり、平均粒子径が10〜80μmの範囲にあって、直径が10〜300nmの細孔の総容積が0.2〜1.0mL/gの範囲にあることを特徴とする多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウム。
- 直径が10〜300nmの細孔の総容積が全細孔の総容積の80%以上を占める請求項1に記載の多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウム。
- 粒子径が5μm未満の多孔質粒子を10体積%以上含むことのない請求項1に記載の多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウム。
- 一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にある酸化マグネシウム粉末を、水性媒体中で炭酸ガスに接触させることを特徴とする請求項1に記載の多孔質粒状塩基性炭酸マグネシウムの製造方法。
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