JP4358236B2 - 頭部保護領域を備える側面衝突エアバッグ - Google Patents

Description

本発明は側面衝突エアバッグに関する。

乗員の胴の上部と頭部を保護するために、膨張させられた時に乗員室の側面の近くに位置する薄い膨張可能なエアバッグが多くの乗物に用いられている。これらのエアバッグは、「カーテン」エアバッグと呼ばれており、通常、乗物のルーフレールの近くに取り付けられている。エアバッグの長さは、用途に応じて変えることができる。幾つかのエアバッグは、窓を覆うのに十分なだけの長さであり、一方、他のエアバッグは、組の窓の間に延び、乗物のＡ、Ｂ、Ｃ、および／またはＤピラーのような、隣接する複数の乗物支持構造部を覆う。

カーテンエアバッグは在来のエアバッグインフレータによって膨張させられる。インフレータは在来の方法でエアバッグの入口と通じている。

カーテンエアバッグは、多くの技術を用いて構成することができる。例えば、別個の２つのパネルを縫い合わせることができ、あるいは、高周波溶着または同様の技術によってパネルを結合することもできる。公知のジャカード織り工程を用いてエアバッグを、一体織りされたワンピースのエアバッグとして構成することもできる。上記の各技術を本発明と共に用いることができる。

図１は、本発明によるエアバッグ組立体２０の一部を示している。エアバッグ組立体２０はエアバッグ３０を含んでいる。エアバッグ３０は、ジャカード織機を用いて作製されているのが好ましい。ジャカード織機を用いる利点は、エアバッグの境界を裁断し、ことによると、バッグの、１つまたは複数の入口を、切り込みを入れて形成し、または開口することを除いて、エアバッグ３０が、織機を出る時には、ほとんど完全に形成される（仕上げられる）ことである。あるいは、縫い合わせ、または、高周波溶着技術を用いて別個の２つの材料パネルを互いに結合させることによってエアバッグ３０を構成することもできる。

図１は、膨張させられていない状態のエアバッグ３０を示しており、一方、図３は、膨張させられ、乗物２００の乗員室２０２内に、乗物の側面２０４に隣接して位置しているエアバッグ３０を示している。側面２０４は乗物の助手席の側面を示している。同様に構成されたエアバッグを乗物の反対側に沿って配置することもできる。

エアバッグ３０は、少なくとも１つの膨張可能領域３２と、入口の所で受け取った膨張ガスを膨張可能領域３２に送るように構成された少なくとも１つの入口３５を含んでいる。膨張可能領域３４が、膨張させられた時に、図４に示すように、乗物の前部側面の窓２１６を横切る。一実施形態において、カーテンエアバッグ３０は、もう１つの、すなわち第２の主要な膨張可能領域３４を含んでいる。膨張可能領域３２，３４は、非膨張領域３６の両側に配置されている。追加の非膨張領域および膨張可能領域をエアバッグに追加することもできる。図示する実施形態において、エアバッグ３０は、膨張可能領域３４に流体を送るようになった第２の入口３８を含んでいる。これらの領域、すなわち膨張可能領域３２，３４、および非膨張領域３６の構成と配置が、膨張させられたエアバッグ３０の断面図である図４に、より明瞭に示されている。主要な膨張可能領域３２，３４の各々は、生地からなり互いに対向する２つのパネル４０，４２によって形成されている。エアバッグ３０は、ジャカード織機を用いた一体織技術を用いて作製されているのが好ましい。ジャカード織機を用いることによって、パネル４０，４２は、織り工程の間に自動的に形成され、エアバッグの縁領域や非膨張領域のような、エアバッグ３０の結合領域におけるよりも少ない糸を含んでいる。パネルの、所望の通気性に応じて、エアバッグを、それが織られた後に、ウレタン、シリコン、または同様の材料でコーティングすることができ、または、各パネルを、互いに取り付ける前にコーティングすることができる。

図１において、破線５０，５２は、生地からなる別個のパネル５４，５６を、エアバッグ３０の、選択された部分５８，６０に取り付けるのに用いられる縫い目の位置を示している。パネル５４，５６は、図３および４に示すように、エアバッグの、これらの選択された部分５０，５２を、乗物２００の、協働する部分に連結するアンカーまたはテザーとして働く。留め具７０，７２が、パネル５４，５６を乗物のフレームの各部分にそれぞれ取り付けるのに用いられてよい。

三角形の各テザーまたはアンカーのパネル５４は縫い目５０に沿ってエアバッグ３０に縫い付けられている。パネル５５の、反対側の端部５５は乗物のＡピラー２１０に取り付けられている。パネル５６の形状も三角形であり、パネル５６の端部５７は乗物のＣピラー２１２に取り付けられている。図示する実施形態において、パネル５６の端部は、非膨張領域３６の側部３７の近くに取り付けられている。図４において、テザーまたはアンカーのパネル５６は、エアバッグの、第２の膨張可能領域３４を形成しているその部分との間に位置している。膨張時、アンカーのパネル５６は、図４に示すように、乗物の窓２１４の前に位置する。パネル５６は、乗員が乗物から放り出されるのを防ぐネットまたは防壁として働く。エアバッグのフェース側６４の裏側の端部の所にテザーのパネルを配置することもできる。

図１では、複数のタブ８０が、エアバッグ３０の上縁８２の一部として形成されている。各タブ８０は、上縁８２に連結された中央領域８４だけでなく、互いに反対側の２つの側部領域８６を含んでいる。各タブ８０の各側部領域８６は、それに対応するタブ８０の中央領域８４に連結されているが、好ましい実施形態において、各側部領域は上縁８２から分離されている。タブ８０の各側部領域８６は、それに対応する折り線８７を中心として折られ、タブ８０の中央領域８４の背後に配置される。中央領域８４と、折り返された２つの側部領域８６は、タブ８０の保持力を強める３重の材料層を形成する。図３は、乗物のルーフレール２２０に取り付けられた複数のタブ８０と、タブの３倍の厚さの材料を通って挿入され、その後、ルーフレールに取り付けられ、または、ルーフレール内に挿入される前に、嵌合するねじが切られたコネクタに取り付けられた個々の留め具を示している。図１において、最も後方のタブ８０ａは、中央部８４と、留め具９０が入れられる前に、折り線８６を中心として背後側に折り返される単一の横タブ、すなわち側部領域８６を含んでいる。

エアバッグ３０は２つの入口３５，３８を有している。図７は、エアバッグ３０の入口領域の、拡大された部分を示しており、より具体的には、２つの入口３５，３８とインフレータ１００の接続部を示している。インフレータ１００は、公知の様々なエアバッグインフレータのいずれとすることもでき、１つまたは複数の出口ポート１０２を有している。出口ポート１０２は、接続管１０４を経てＴコネクタ１０８の入口１０６に通じている。Ｔコネクタ１０８は、エアバッグの入口３５，３６の１つとそれぞれ通じている出口１１０ａ，１１０ｂを有している。

図１において、エアバッグ３０は、１つの膨張可能領域３２、または、図示のように、非膨張領域３６によって分離された複数の膨張可能領域３２,３４を含んでいる。膨張可能領域３２，３４の一部は、織り工程の間にジャカード織機上で一体に形成される縁部４６,４６ａ,４６ｂ，８２によって部分的に形成されている。膨張可能領域３２は、下縁４６から上方に延びており、やはり、織り工程の間に形成される複数の制限部１２０を含んでいる。各制限部１２０は、小さな非膨張領域を形成しており、非膨張領域３６と同様にして形成されている。各制限部１２０の目的は、パネル４０，４２の下部部分の間の間隔を狭くし、膨張可能領域３２の下部部分を狭くすることである。

膨張可能領域３２は、側縁４６ａ，４６ｂおよび／または上縁８２から延び、概して、膨張可能領域３２の頂部に沿って位置している、制限部１２４の、もう１つの組を含んでいる。膨張可能領域３２は、上縁８２に、あるいは上縁８２から延びておらず、膨張可能領域３２の上端においてパネル４０，４２を結合しているもう１つの種類の制限部１２６を含んでいてもよい。制限部１２６は、入口３５の近くに位置しており、膨張ガスの流れを入口３５から膨張可能領域３２に向かわせるための複数の流れ経路１３０を形成している。エアバッグ３０は、制限部１２０，１２４，１２６が概して外縁から延びるように構成されていてよい。例示のみの目的で、図１は、膨張可能領域３２の側縁から延びる追加の制限部１２０’を示している。

図２は、制限部１２０,１２０'，１２４，１２６の１つの構成を示している。各制限部は、その近くの縁領域４６，４８ａ，４６ｂ，８２から延びる脚部１４０を含んでいる。１２０などの制限部は拡大領域、すなわち頭部１４２を含んでいる。好ましい実施形態において、脚部１４０の太さは約３〜５ｍｍであり、一方、頭部１４２は約３０ｍｍ程度である。脚部は、エアバッグの縁領域から延びる、丸みを付けられた、または弓状に形成された基部１４４を含んでいる。弓状に形成された基部１４４によって、力が狭い領域に集中するのが回避される。エアバッグ３０は、ジャカード織機を用いて作製され、したがって、制限部も、織り込まれた構造部であるのが好ましい。あるいは、制限部１２０，１２４，１２６をエアバッグに縫い込み、それによって、互いに対向するパネル４０，４２を結合させることもできる。縫い目が用いられる場合、この縫い目の形状は、図１および２に示す各制限部の脚部と頭部の形状に沿うものとなる。拡大された頭部は、エアバッグの内圧が高まった時にエアバッグを損傷する場合がある、エアバッグの狭い部分への力の集中を回避する圧力緩和機構として働く。図５および５ａにおいて、パネル４０，４２の間は、膨張可能領域３２の中央部において最も大きく離れており、この中央部を、設計によって、着座した乗員の位置に対応させることができる。例えば、点１５０，１５２，１５４は、それぞれ、第５百分位数、第５０百分位数、第９５百分位数の乗員に分類される乗員の頭部の衝突点を示している。

制限部１２０、１２４、および１２６は、膨張させられたエバッグの形状を規定するのにも役立つ。エアバッグ３０が、外縁に延びる制限部を含んでいない場合、膨張時に、膨張可能領域３２は円筒形状に近づく。エアバッグがさらに膨張させられると、この領域が、円形の、膨張させられた形状になるにつれて、エアバッグの下縁が上方に動く。上方へのこの運動によって、エアバッグは、乗員の有効なクッションとならない程十分に移動させられる場合がある。制限部１２０,１２２，１２４の大部分は、膨張可能領域３２の、膨張させられる中央部１６０に面している。この構成によって、互いに隣接する制限部の間の複数の部分１６２に迅速に充填を行うことが可能になる。

後部の膨張可能領域３４は、前部の膨張可能領域３２と同様の構成である。膨張可能領域３４は、１２０，１２４などの複数の制限部と、膨張可能領域３４ａの中央付近の主要な膨張可能領域１６４と、互いに隣接する制限部および縁部の間の、より小さな複数の膨張可能領域１６６とを含んでいる。

図１または図３において、膨張可能領域３２，３４は、膨張可能領域３２，３４間での膨張ガスのやりとりを促進するために、非膨張領域３６の下方に位置する共通の通路１７０によってつながれている。通路１７０は、乗員が作用したどの膨張可能領域からの膨張ガスの流れも促進するために、非膨張領域の一部に配置された、より広い領域１７２の一部である。

図８は代替のエアバッグ３０ａを示している。このエアバッグも、２つの膨張可能領域３２，３４と、非膨張領域３６、および外縁で各膨張可能領域へ延びている複数の制限部を含んでいる。エアバッグ３０aの側縁４６ａ，４６ｂは、エアバッグ３０におけるよりも顕著に湾曲している。エアバッグ３０は、膨張ガス源（不図示）に通じている単一の入口３５を用いるのを示している。非膨張領域３６は、膨張ガスを入口から各膨張可能領域に送るのに役立つ狭い通路１８０を形成するように構成されている。あるいは、各膨張可能領域３２，３４にガスを分配するために、金属、プラスチック、または生地から作られた分配管１８２を入口内に挿入し、インフレータに通じさせることもできる。後部の膨張可能領域３４を、それに隣接する乗物のピラーに、上述したようにパネル５６によって、あるいは細いストラップまたはコード５６ａによって取り付けることもできる。

図９は、単一の膨張可能領域３２を備えるエアバッグ３０を示している。膨張可能領域３２は、それに隣接する乗物の窓２１６の前方に位置する。このエアバッグは、バッグを乗物のルーフレールの近くに取り付けるための複数のタブ８０を含んでいる。膨張可能領域３２は、符号１２０，１２４，１２６として概して示されている複数の制限部、縫い目、または結合部によって部分的に仕切られている。各制限部１２０，１２４，１２６は、前の複数の図に示すようにして、概して膨張可能領域３２の外縁から延び、膨張可能領域３２の中央に向かって延びている。図９に示す制限部は、図２に示すのよりも膨らんだ形状になっている。図９の制限部は、比較的広く短い脚部１４０と、比較的大きな頭部１４２を含んでいる。この種の制限部、縫い目、または結合部１２０，１２４，１２６の利点は、応力が小さいことである。

図１０は、折り畳まれ、ルーフレール２２０の近くで乗り物に取り付けられたエアバッグ３０の断面図である。概ね平坦なエアバッグ３０は、アコーディオン状の複数のひだ１９０へと折り畳まれている。各ひだは、エアバッグの前端から後端に延びている。エアバッグが折り畳まれた後、エアバッグは、Ｄ／Ｌ比（長さに対する折り畳まれた時の直径の比）の小さい細い円柱状になる。例えば、折り畳まれたエアバッグの直径は約３８ｍｍから約７６ｍｍであってよい。折り畳まれたエアバッグ３０を、長くて、細くて、引き裂くことができる可とう性の生地または可とう性のプラスチック製のケーシング１９２内に配置することができる。エアバッグのタブ８０はケーシング１９２の開口部を通って延びている。ケーシングと折り畳まれたエアバッグは、クラムシェル型のハウジング１９４内に保護するように収容されている。ハウジング１９４、ケーシング１９２、およびエアバッグ３０は、それぞれ対応するタブ８０に通された複数の留め具９０によってルーフレール２０の近くに取り付けられている。エアバッグ３０がガスによって膨張させられると、エアバッグは、ケーシングを引き裂きハウジング１９４を開いて広がる。ハウジング１９４の開く方向が矢印１９６によって示されている。ハウジング１９４によって、エアバッグを通常隠しているフェイシア１９８が押しのけられ、エアバッグが広がり、乗員室の側面に沿って位置することが可能になる。

本発明のエアバッグの平面図である。 図１のエアバッグの一部の拡大図である。 膨張させられた状態のエアバッグを示す図である。 図３の４−４線の所の断面図である。 図３の５−５線の所の断面図である。 図３の５ａ−５ａ線の所の断面図である。 図３の６−６線の所の断面図である。 複数のバッグ入口への単一のインフレータの接続部の拡大図である。 本発明の他の実施形態を示す図である。 本発明の他の実施形態を示す図である。 折り畳まれ、乗物のルーフレールの近くに取り付けられたカーテンエアバッグ組立体を示す図である。

Claims (7)

1. 複数の膨張可能領域（３２，３４）であって、該膨張可能領域の下縁から上方に延びる第１の組の制限部、縫い目、または結合部（１２０）と、前記膨張可能領域の前記下縁と対向する上縁から下方に延びる第２の組の制限部、縫い目、または結合部（１２４）とを有する膨張可能領域を有し、前記第２の組の前記各制限部、縫い目、または結合部（１２４）は互いに間隔を置かれており、前記第１の組の前記各制限部、縫い目、または結合部（１２０）は、それと反対側の前記第２の組の前記制限部、縫い目、または結合部（１２４）に対して車両前後方向に水平方向にずらされており、互いに反対側の、互いに間隔を置かれた前記制限部、縫い目、または結合部（１２０，１２４）は、前記膨張可能領域の、互いに隣接する前記制限部、縫い目、または結合部（１２０，１２４）の間での膨張を局所的に制限するように構成され、前記膨張可能領域（３２，３４）が、互いに反対側の前記制限部、縫い目、または結合部（１２０，１２４）の間で最大幅に達することができるように構成されている、エアバッグ（３０）。
2. 前記第１の組の前記制限部、縫い目、または結合部（１２０）のいくつかの端点から始まり、前記第２の組の前記制限部、縫い目、または結合部（１２４）のいくつかに向かって延びる仮想的な垂線が、前記第２の組の前記制限部、縫い目、または結合部（１２４）のうちの２つの間に位置する、請求項１に記載のエアバッグ（３０）。
3. 前記エアバッグ（３０）は、前記膨張可能領域（３２，３４）を形成するように構成された内側パネル（４０）と外側パネル（４２）を含んでおり、前記内側パネル（４０）と前記外側パネル（４２）は前記制限部、縫い目、または結合部（１２０，１２４）に沿って結合されている、請求項１または２に記載のエアバッグ（３０）。
4. 前記内側パネル（４０）および前記外側パネル（４２）と、複数の前記結合部は、一体織りされた部分として形成されている、請求項３に記載のエアバッグ（３０）。
5. 前記膨張可能領域の外縁に沿って形成され膨張ガス源が入れられた入口（１０６）をさらに含む、請求項１から３のいずれかに記載のエアバッグ（３０）。
6. 前記内側パネル（４０）および前記外側パネル（４２）はコーティングされて、それらを通るガス流に対する通気性を低減されている、請求項３に記載のエアバッグ（３０）。
7. 前記各制限部、縫い目、または結合部（１２０，１２４）の端部が応力低減構造部（１４２）になっている、請求項１から３のいずれかに記載のエアバッグ（３０）。

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