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JP4357814B2 - 画像表示装置 - Google Patents

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JP4357814B2
JP4357814B2 JP2002245846A JP2002245846A JP4357814B2 JP 4357814 B2 JP4357814 B2 JP 4357814B2 JP 2002245846 A JP2002245846 A JP 2002245846A JP 2002245846 A JP2002245846 A JP 2002245846A JP 4357814 B2 JP4357814 B2 JP 4357814B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンティキュラレンズを用いた画像の表示装置に関し、特に超多眼画像の画像の表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンティキュラレンズを用いた立体画像表示装置は広く知られている。従来のレンティキュラレンズを用いた立体画像装置の原理を図12を用いて簡単に説明する。図12(a)はレンティキュラレンズの背面に配置される画像を模式的に示した正面図であり、図12(b)は図12(a)の平面図である。図における最小の正方形の枠が単位画素を示している。レンティキュラレンズLは二点鎖線で示され、かまぼこ状のシリンドリカルレンズを配列した形態をしている。図では一つのシリンドリカルレンズの幅が4画素分の幅と一致している。このシリンドリカルレンズの配列方向に並ぶ4つの画素は原則としてそれぞれ視差が異なる位置から撮像された画像データから取り出されたもので、レンティキュラレンズLを通してみると立体画像が得られるように公知の配置方法により配置される。図では太線で囲まれる4つの画素群が一単位となって縦横に配列されている。本願では、この視差が異なる画像データより抽出されて一定規則で配列される画素群の最小単位を「単位画素群」と称することとする。なお、画像の端等においては単位画素群に同一の視差より撮像された画像中の画素が含まれる場合もある。このように構成される立体表示装置を見ると、レンティキュラレンズLによって見る位置に応じて眼に入る画素が異なり、位置に応じて異なる立体画像を見ることが可能となる。また、このようなレンティキュラレンズを用いた画像表示装置は立体画像表示のほかにモーフィングやアニメーションの画像表示などにも利用されている。
【0003】
以上の説明のような構成でレンティキュラレンズを用いた立体画像表示装置はできているが、従来の立体画像表示装置は片方の眼(単眼)に入る画素は1つもしくは隣接する2つが限度であり通常視差の異なる複数の画素が単眼に入ることはない。ところで、近年の研究によると単眼の中に視差のある画素を複数入れることにより、眼の焦点調整動作がある程度再現されてよりリアルな画像が体感できることがわかってきている(梶木義裕「自然な立体視を目指した立体表示技術の動向」画像電子学会研究会予行99-04-48、阪本邦夫他「単眼ステレオ立体視ディスプレイの試作」論文小特集、3次元映像情報メディア技術 等参照)。このように単眼に複数の画素を入力させるような画像は超多眼画像と呼ばれている。
【0004】
超多眼画像を実現するためには、両眼間の距離を約64mmとして単位画素群に少なくとも30画素を配列する必要がある。しかしながら、単位画素群中の画素をレンティキュラレンズのシリンドリカルレンズ方向に並べるには回折、収差などのために限界がある(大越孝敬「三次元画像工学」朝倉書店 参照)。このために、超多眼を実現する方法として扇型の大型ディスプレイなどが提案されている(本田捷雄「2010年の3次元映像の技術予測」電子映像学会第29巻第1号(2000)参照)。しかし、このような扇型のディスプレイを用いると立体画像表示装置の形状が限定されてしまいどうしてもかさばることになってしまう。
【0005】
一方、特表平10−505689号公報に視差のある画素を斜めに、列方向に重なるように配置することが示されている。図13に同公報で示されている、画素を列方向に重なるように斜めに配置した状態を模式的に表した図を示す。このように斜めに配置するとシリンドリカルレンズ方向に並べることができる画素数を増やすことができると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特表平10−505689号公報に示される発明はアクティブマトリックス液晶表示パネルにおけるブラックマスクが画素間に存在するために、レンティキュラレンズを通して見た場合に視差のある画素の間にブラックマスク部分が入ってしまい連続した視差にならないことを防止するものであって、超多眼という観点はない。そのために、図13に示すように斜め配置をしているのにもかかわらず連続しない画素同士は重なりあわないように配置がされている。
超多眼を形状的な制約を少なくしながら実現するためには可能な限りレンティキュラレンズの配列方向に視差のある画素を並べることが必要であるが、上記公報に示される発明では不十分である。
そこで、本発明はレンティキュラレンズを用いた画像表示において形状的な制約を少なくしながら超多眼画像を実現することを課題とし、さらに、そのために、レンティキュラレンズの配列方向に対して視差のある画素を斜めに配置することとする場合に可能な限り密度を高くすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。請求項1に記載の発明は、以下の(101)〜(106)の要件を満たす画像表示装置である。
(101)レンティキュラレンズを有する。
(102)複数の視差のある画像データ群より得られる画素を所定の順に配置した単位画素群を配列した画像を表示する背面画像表示体を有する。
(103)前記レンティキュラレンズは、前記背面画像表示体上に配置される。
(104)前記背面画像表示体は画像生成時に水平方向に画素が配置されて画像が生成されるものである。
(105)前記背面画像表示体が表示する画像は前記水平方向に対して画像全体の本来の水平方向を斜めに生成したものである。
(106)前記レンティキュラレンズは、前記背面画像表示体に前記画像全体の本来の水平方向と、レンティキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配列方向が一致するように配置される。
【0008】
なお、複数の視差のある画像データ群とは、同一の被写体に対して異なる視点から撮像して得られる複数の画像データをいう。また、所定の順とはレンティキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配置方向に対する配置順である。シリンドリカルレンズはここでは、レンティキュラレンズを構成する各単位レンズを意味しシリンドリカルレンズの形状の変異は問わない。また、本願においてレンティキュラレンズはHOE(Holographic Optical Element)によりレンティキュラレンズの特性を実現したものも含む。また、レンティキュラレンズの背面形状は曲面であっても差し支えはない。さらに、画素が配置される際の水平方向は、画像を形成する装置が画像形成面を走査して行く方向に一致する。また、形成される画像自体の水平方向を意味するものではない。
上記のような構成により、背面画像表示体に表示される画像の画素の密度はマトリックス上に画素を配置した場合と変わらないまま画素の配列がレンティキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配列方向に対して斜めになるので、シリンドリカルレンズの配列方向に対して画素が高密度に配列できることになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の画像表示装置において、さらに、以下の(201)の要件を満たす画像表示装置である。
(201)前記背面画像表示体が生成する画像は画像全体の本来の水平方向と、画像生成時に画素が配置される水平方向との角度が
Tan-1(A・m/n)
(但し、m、nは自然数、Aは画像生成時における水平方向の画素間の距離に対する垂直方向の画素間の距離の比率)
で表される。Aは具体的には、画像生成時における垂直方向の画素間の距離をs、水平方向の距離をrとすると、A=r/sで表される。
このように構成すると、画素は必ず背面画像表示体の水平方向にも並ぶことになり、縦に並ぶ単位画素群同士が背面画像表示体の水平方向で容易に分けられることになる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記背面画像表示体は平面体に画素を印刷したものである請求項1又は2に記載の画像表示装置である。ここに、平面体とは紙、合成樹脂板、金属板、木板等、おおよそ印刷が可能な平面部分を有する物が該当する。また、本願における印刷とは、主としてプリンタやプロッタにより画像データをハードコピーとして生成することを意味する。なお、印刷が可能であれば多少の曲面は許容される。さらに印刷後ならば自由に曲面に加工してもよい。また、平面体としてレンティキュラレンズの背面に直接印刷することも考えられる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記背面画像表体は電気的に画素を表示するディスプレイ装置である請求項1又は2に記載の画像表示装置である。このようなディスプレイ装置としてはCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶プロジェクタ等が例示される。また、電子ペーパーなど常時通電していなくても画像形成時に電気的に画素が表示されるものも含まれる。
【0018】
請求項5に記載の発明は請求項1からのいずれか1項に記載の背面画像表示体である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に実施の形態1にかかる画像表示装置のレンティキュラレンズの背面に設置される背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成を模式的に示す。これらの画素により構成される画像は背面画像表示体としての紙上に印刷されるものとする。図で示す太線で囲まれる部分が単位画素群Pを構成する。各単位画素群Pは1〜75の画素により構成される。各単位画素群Pは図のX方向を横方向としてY方向を縦方向としてマトリックス状に配列され一つの画像を構成する。図面自体は印刷における縦方向および横方向に一致しているので、印刷される画像は紙面に対して斜めに形成されることになる。即ち、印刷は紙面の水平方向へ画素を配置しながら行われ、画像本来の水平方向はこれに対して斜めに形成される。また、図の二点鎖線が配置されるレンティキュラレンズLを示しており、2本の二点差線がレンティキュラレンズLを構成する一つのシリンドリカルレンズに対応している。即ち、一つのシリンドリカルレンズ間の単位画素群Pには75画素が含まれることになる。
【0020】
詳しく説明すると、ここでは印刷データは600dpi(dot per inch)であり、レンティキュラレンズLは40lpi(lens per inch)のものを使用している。即ち、従来の方法で画像表示装置を形成すると、一つのシリンドリカルレンズ中には15(=600/40)画素だけ配列可能である。一方、図中の三点ABCにより構成される三角形に注目すると、AB間は4画素(距離4/600Inch)、BC間は3画素(距離3/600inch)、Bは直角に交わっているのでAC間は5画素分(5/600inch)距離の長さであることがわかる。図のX方向に三角形ABCは丁度3つできるので15画素分の長さとなる。また、Y方向にも画素が配置される結果75画素を一つのシリンドリカルレンズ中に入れることが可能となっている。このように形成された画像に図のようにレンティキュラレンズを配置すれば実施の形態1と同様に超多眼の画像表示装置を形成することができる。
【0021】
また、画素が生成される際の水平方向(図のX’の方向)と、画像本来の水平方向(図のXの方向)のなす角度は図からTan-1(4/3)で表される。画像が生成される際の画像の傾きをこの角度とすると、3:4:5の直角三角形の斜辺がシリンドリカルレンズの配列方向に直角になるようにできるので、単位画素群同士の境界の最も外側を結ぶ線分もしくは最も内側を結ぶ線分を、シリンドリカルレンズの配列方向に直角になるように切り分けることができる。一般的には画素間の距離をdとして画像が生成される際の水平方向の画素数をn、画像が生成される際の垂直方向の画素数をmとする直角三角形を考えると、画素が生成される際の水平方向(図のX’の方向)と、画像本来の水平方向(図のXの方向)のなす角度をTan-1(d・m/d・n)=Tan-1(m/n)とすることができる。
なお、ここでは画素間の距離が縦横一定の場合を示しているが、図2に示すように画素間の距離が縦横で違う場合は、水平方向の画素間の距離をd1、垂直方向の画素間の距離をd2とすると、画素が生成される際の水平方向(図のX’の方向)と、画像本来の水平方向(図のXの方向)のなす角度はからTan-1(d2・m/d2・n)=Tan-1(d2/d1)・(m/n)=Tan-1(A・m/n)と表すことができる。但し、Aはd2に対するd1の比率である。
【0022】
次に、背面画像表示体である紙上に上記のような画像を形成する方法について簡単に説明する。まず、被写体を異なる視点から撮像し、異なる視差をもつ画像データを取得する。ここでは、75眼なので75個のデジタル画像データを取得する。この得られた75個のデジタル画像データから、立体画像が得られるような画素の配置に従って、一単位画素群Pを形成する画素を図1に示す番号順に並べていく。以下、すべての単位画素群について同様の操作を行う。なお、一単位画素群はX方向に15画素、Y方向に5画素分の幅があるので各画素へもとの画像データから画素を配列する場合にはX方向について14画素、Y方向について4画素分を間引くことになる。これにより、図1に示すような画像データがデジタルデータとして得られるので、これをプリンタによりそのまま印刷すれば求める背面画像表示体が得られる。実際には斜めに画像が印刷されているので、画像部分のみを切り取った後にレンティキュラレンズの背面に画像自体の水平方向をシリンドリカルレンズの配列方向に一致するように配置して画像表示装置を得ることができる。
【0023】
なお、上記実施の形態1では紙に印刷したものを示したがCRT等のディスプレイに表示することも可能である。この場合画像は斜めに表示されるのでディスプレイを画像がまっすぐになるように斜めに傾ければよい。もっとも、図1に示すような画像だとかなり大きくディスプレイを傾けなければならず、また、画面の余白部分が大きくなる。そこで、図3に示すような単位画素群Pの構成をとることもできる。この単位画素群はN+1(N:自然数)の画素により構成されるもので、やはり二点鎖線がレンティキュラレンズLの配置を示す。この配置方法では、画素が生成される際の水平方向と、画像本来の水平方向のなす角度はTan- (1/N)で表すことができるので、Nが増えると画像の傾きは小さくなる。図では具体例としてNを6にし、37画素を単位画素群Pとしている。このような構成にすることで画面の傾きは小さくでき、画面の余白部分も少なくできるので画面を有効に利用することができる。
【0024】
(実施の形態2)
図4は実施の形態2にかかる画像表示装置のレンティキュラレンズの背面に設置される背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成を模式的に示す図である。これらの画素により構成される画像はここでは背面画像表示体としての紙上に印刷したものである。図の太線で囲まれる部分が単位画素群Pであり、Aa1〜Aa32までが一つの単位画素群Pを構成する画素である。このような32画素を構成画素とする単位画素群Pが縦横に配列されて一つの画像を形成している。また、図の二点鎖線がレンティキュラレンズLを示しており、図で表れる2本の二点差線はレンティキュラレンズLを構成する一つのシリンドリカルレンズに対応する。従来のレンティキュラレンズを用いた画像表示装置ではこれらのAa1〜Aa32の画素はこの順に単位画素群Pを構成する画素は水平方向に一列に配置されるものであるが、ここでは、シリンドリカルレンズの配列方向に対して斜めに配置されている。
【0025】
即ち、Aa1〜Aa4までを縦方向に重ねるとともに、それぞれ少しずつ右方向にずらし、次に並ぶAa5をAa1に可能な限り隣接させて配置する。なお、Aa1からAa4のそれぞれのずれ幅はAa4がAa5よりも右にこないように適宜さだめられる。正確には、ずれ幅は画素間の距離をDとすると、D/4にしている。これによりAa1〜Aa4までのずれ幅がD/4になることはもちろん、Aa4とAa5とのずれ幅もD/4となる。以下、Aa5〜Aa8はそれぞれAa1〜Aa4に可能な限り隣接するように配置し、続くAa9〜Aa12、Aa13〜Aa16、・・・・と4組ずつ可能な限り隣接させるように配置する。上述したようにずれ幅をD/4とすることで列の一番下と隣の列の一番上とのずれ幅もD/4となるので、結果としてAa1〜Aa32までの各画素がこの番号の順にシリンドリカルレンズの配列方向に等間隔に並ぶことになる。一般に、単位画素群の列中の画素数がNの場合に、ずれ幅をD/Nとするとすべての画素は横方向に等間隔に配列できることになる。また、一列中の最も大きなずれ量は、先頭を除いたN−1個目の画素のずれ幅である D・(N−1)/N で表すことができる。
【0026】
なお、ここでは、列方向の画素は下に向かって右方向に等間隔にずれるように設定しているが、列中の画素はランダムにずれてもかまわない。具体例を図5に示す。図5に示す配列ではAa1〜Aa4の画素は2番目の画素が一番左なのでAa1に設定され、Aa1に最もに隣接する一番上の画素がAa2に設定され、Aa2に最も隣接する一番下の画素がAa3に設定され、Aa3に隣接する3番目の画素がAa4に設定されている。このように列中の画素に重なりがなく、ずれていれば必ず、横方向に並ぶ順番が決まるのでそれに対応させて画素を配列すれば足りる。要は単位画素群Pを構成する画素がシリンドリカルレンズの配列方向に定められた順に並べば足りる。
【0027】
また、ずれ幅も等間隔でなくても画素を視差があるように配列することが可能である。また、上述のように等間隔で並ぶ場合は、ランダムであっても各画素は、一番左の画素に対してD/4、D・2/4、D・3/4、の何れかのずれ幅を持つ。一般には、等間隔で並ぶ場合は、列中の画素数をNとすると、必ず、列中の各画素同士は、D・x/N(但し、xはN以下の自然数)で表されるずれ量を持つことになる。なお、列の捉え方は設計者が任意に決めることができ、図5においては、Aa3〜Aa6を一列と捉えることも可能である。この場合、すくなくとも、列中のすべての画素が、隣接する列中の画素をこの隣接する列のある方向に越えることはないようにする必要がある。
【0028】
このように単位画素群Pを構成する画素を斜めに配置し、列同士を可能な限り隣接させることにより一つのシリンドリカルレンズの幅におさまる単位画素群Pの中に多くの構成画素を並べることができる。また、人間の目では微小な縦方向のずれは認識ができないため図のような縦方向の4画素の幅は認識できない。その結果、従来と同じ画素のピッチ間隔で一般的なレンティキュラレンズを用いても超多眼を実現することが可能となる。
【0029】
次に、画像表示体である紙上に上記のような画像を形成する方法について説明する。まず、被写体を異なる視点から撮像し、異なる視差をもつ画像データを取得する。具体的には、水平方向にデジタルカメラを移動させながら32の位置で被写体を撮像することで32個のデジタル画像データを取得する。この得られた32個のデジタル画像データから、一単位画素群Pを形成する画素を図6に示すように4×8のマトリックス状に配置していく。一単位画素群Pを形成する画素の割り当ては従来のレンティキュラレンズを用いた立体画像装置における割り当てと同様なので説明は省略する。なお、横に8画素、縦に4画素分の幅を取るので元の画素データから横は7画素、縦には3画素間引いて配置していく。また、レンティキュラレンズは上記のような一単位画素群に水平方向に1/4の大きさの画素を32個並べた長さを1レンズピッチとするようなものを用いる。このように配列して印刷すべき画像データが得られる。
【0030】
これを印刷することにより図4に示すような斜め方向に画素がずれた画像を得るわけであるが、このためにプリンタの階調表現機能を利用する。即ち、一般的なプリンタは印刷上の複数画素が印刷データの一画素となっておりこれにより細かな階調を実現している。具体的にはN×Nピクセルで構成されるサブマトリックスを印刷データの一画素に割り当てており、マトリックス内の1ピクセルが表現できる階調数が少なくてもサブマトリックス全体として多彩な階調を表現できるようになっている。そこで、サブマトリックスで構成される印刷データの一画素は構成単位であるピクセルの幅だけずらすことが可能である。具体的例を図6(b)に示す。図6(b)における最小の正方形がプリンタで印刷できる1ピクセルであり、太い線で構成される正方形が印刷データの一画素を示している。図に示すように下方の画素をプリンタの制御ソフトウエアにより縦方向に一画素下がった印刷をするときには1ピクセル分ずらすようにし、4画素分縦方向に下がったところで元の位置から印刷をするようにさせる。以下同様の動作を繰り替えさせることで、図6(a)に示す画像データを印字すれば図1に示すような印刷画像が得られることになる。この得られた画像が印刷された紙にレンティキュラレンズを重ねると超多眼を実現する画像表示装置が得られる。
【0031】
なお、ここではプリンタのサブマトリックスによる階調表示機能を利用しているが、例えばドットプリンタの場合においてドットの直径で階調を表現するような場合には、この機能を利用することが可能である。即ち、ドットの直径で階調を表現する機能をもつプリンタのドットピッチはドットの直径よりも小さく設定されているので、シリンドリカルレンズの配列方向にはドットの径を超えない範囲で画素を斜めに配列することで上記と同様の配列が可能となる。
【0032】
ところで、実施の形態1では紙に印刷したものを示したが、CRT等のディスプレイ装置を背面画像表示体とすることも可能である。この場合、上記のようにプリンタの階調表示機能を利用することができない。そこで、ディスプレイ装置ではRGBの各蛍光体のずれを利用することが考えられる。この場合は一単位画素群は縦に3行の幅を持つことになる。ここでは横方向は8列のままとして一単位画素群には24画素が含まれるものとする。印刷の場合と同様にしてここでは24個のデジタル画像データより得られる一単位画素群当り24個の画素を、図7(a)に示すように3×8のマトリクス状に配置していく。そして、これを表示する際にRGBの幅だけずらして表示する。図7(b)に具体例を示す。図7(b)はアパ−チャグリル方式のCRTの画面の拡大状態を示した模式図である。一組のRGBの蛍光体が表示上の一画素を構成する。RGBは順番は問わないので、図に示すように縦方向に一画素下がったものについては蛍光体の位置を一つずらしたものを一画素として表示する。3画素分下がったところで、横方向のもとの位置から一画素として表示するようにする。具体的には、CRTへ入力する画像信号を電子ビームの操作に同期させて一ライン下がる際に一蛍光体分だけずれるようにすればよい。また、ここではアパ−チャグリル方式のCRTを例に挙げているが、シャドウマスク方式のCRTであっても蛍光体ごとにずらすことが可能であり、同様の表示方法が可能である。
【0033】
(実施の形態3)
図8に実施の形態3にかかる画像表示装置のレンティキュラレンズの背面に設置される背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成を模式的に示す。これらの画素により構成される画像はここでも背面画像表示体としての紙上に印刷されるものとする。図で示す太線で囲まれる部分が単位画素群Pを構成する。Aa1〜Aa32までが一つの単位画素群Pを構成する画素である。このような32画素を構成画素とする単位画素群Pが斜めに配列されて一つの画像を形成している。また、図の二点鎖線がレンティキュラレンズLを示しており、図で表れる2本の二点差線はレンティキュラレンズLを構成する一つのシリンドリカルレンズに対応する。実施の形態2では、単位画素群を構成する画素が斜めにずれて配列されたが、本実施の形態では各単位画素群内の画素は縦横にマトリックス状に配置される。一方でレンティキュラレンズのシリンドリカルレンズの配列方向は画像の本来の水平方向に対して斜めになるように配置されている。そして、各単位画素群はこのシリンドリカルレンズの長手方向に沿って斜めに配列される。このようにレンティキュラレンズを斜めにすることによっても観察者に対して各単位画素群中の各画素を視差をもって提示することが可能である。
【0034】
このことを図9を用いて説明する。図9は画像表示装置の一部を模式的に立体化した状態を示す図である。図9においてレンティキュラレンズLを構成するシリンドリカルレンズの主点を結んだ線分をLmで表している。シリンドリカルレンズ背面の単位画素群P上の各点からの光は、シリンドリカルレンズにより線分Lmを通る面に平行な光として屈折することになる。即ち、各画素の中心点からの光は図における複数の平面が存する方向に進むことになる(実際の光はシリンドリカルレンズの幅を持った平行光線となる)。図において各平面には対応する画素名を示している。図9に示すようにシリンドリカルレンズを単位画素群Pに対して斜めに配置することで、各画素のシリンドリカルレンズの一方の縁から他方の縁へ向かう方向に画素が等間隔で並ぶことになる。図からわかるように各画素の中心点からの光が通る平面は線分Lmを通り、一縁から他縁に並ぶ各画素に対応して線分Lmの周りを同じ角度でまわるように並ぶことになる。即ち、各画素群は観察者から見ると一列に視差のある画素として捉えられることになる。
【0035】
次に、上記のような画像表示装置の製造方法について説明する。まず、画像表示体である紙上に画像を形成する前の印刷データを生成する。そのために被写体を異なる視点から撮像し、異なる視差をもつ画像データを取得する。具体的には、水平方向にデジタルカメラを移動させながら32の位置で被写体を撮像することで32個のデジタル画像データを取得する。この得られた32個のデジタル画像データから、一単位画素群Pを形成する画素を4×8のマトリックス状に配置していく。なお、横に8画素、縦に4画素分の幅を取るので元の画素データから横は7画素、縦には3画素間引いて配置していく。このように配列して印刷すべき画像データ(図6(a)に示すものと同じ)が得られる。次に、これを紙上に印刷する。ここで実施の形態2では単位画素群中の画素が斜めになるように印刷したが、本実施の形態では単位画素群中の画素はそのままで、単位画素群が斜めになるように印刷していく。
【0036】
図10に印刷される単位画素群の配置を示す。図10において一番小さな長方形が単位画素群Pを示している。そして、太い線により挟まれた単位画素群Pの縦の並びv1、v2、・・・・が印刷前の画像データにおいて同一の列に並んでいた単位画素群の列を示す。図に示すように単位画素群Pは縦方向にずれながら配置される。ここでのずれ幅は1画素分である。ただし、縦に8段ずれるごとに次の単位画素群Pの位置はもとの位置(8段上の単位画素群Pと同じ位置)に配置される。このように配置することで、単位画素群Pの縦方向の配置は斜めであるけれども巨視的に見ると画像はまっすぐに見えることになる。
【0037】
また、単位画素群Pの横幅は8画素分であり、縦に向かうごとに1画素分ずつずれるので図に示すように、例えばv1列の9番目の単位画素群Pは、隣のv2列の8番目の画素から1画素左にずれた位置に一致する。v1列の10番目から16番目の単位画素群もやはり左に1画素ずれて配置されるので単位画素群Pは、v2列の1番目から8番目、v1列の9番目から16番目は、同じずれ幅で斜めに配列されることになる。単位画素群Pは規則的に配置されるので、単位画素群Pは1画素ずつ左にずれならがら斜めにまっすぐ配置される第2の列が形成される。従って、この第2の列にシリンドリカルレンズが沿うようにレンティキュラレンズを配置すれば、一つのシリンドリカルレンズ内に単位画素群Pが並ぶことになる。そこで、印刷された画像にこの方向にレンティキュラレンズを各単位画素Pがシリンドリカルレンズ内に収まるように配置することで本実施の形態に係る画像表示装置が得られる。
【0038】
(実施の形態4)
上記各実施の形態では画素を斜めに配置することで、シリンドリカルレンズの配列方向の画素密度を高くしたが、本実施の形態では時間をずらして表示することでシリンドリカルレンズの配列方向の画素密度を高くする。時間的にずらして表示するためには動的に画素の状態を変化できる表示装置を利用する必要がある。ここでは、アパ−チャグリル方式のCRTを用いるものとする。
図11(a)〜(c)は実施の形態3にかかる画像表示装置のレンティキュラレンズの背面に設置される背面画像表示体としてのCRTに表示される画像の画素の表示順を示す図である。図で示す太線で囲まれる長方形部分が単位画素群Pであり、各単位画素群は8つの画素により構成される。このような単画素群Pが縦横に配列されて一つの画像が形成される。また、図の二点鎖線がレンティキュラレンズLをを示しており、2本の二点鎖線はレンティキュラレンズを構成する一つのシリンドリカルレンズに対応している。また、図の点線で表された縦長の長方形の一つ一つがCRTの一つの蛍光体に対応し、それぞれがR・G・Bのいずれかの色を表す。図10(a)〜(c)は90Hzの周期で順に切り替わって行くものとする。
【0039】
図11の「Aa●●」で表わされる画素群により構成される単位画素群Pについて表示動作を説明する。なお、Aaの後の番号は画素の配列順を示しており仮に従来のように単位画素群中の画素を横一列に並べるならば、各番号が画素の左側からの位置を表すことになる。まず、図11(a)の状態の時は「Aa1」、「Aa4」、「Aa7」、「Aa10」、「Aa13」、「Aa16」、「Aa19」、「Aa22」の画素が表示される。即ち、「Aa1」から3つずつ飛ばした位置の画素が表示されている。
次に、図11(b)では「Aa2」、「Aa5」、「Aa8」、「Aa11」、「Aa14」、「Aa17」、「Aa20」、「Aa23」の画素が表示される。これは、「Aa2」から3つ飛ばした位置の画素群である。また、図11(a)に比べて全体にCRTの一蛍光体分だけ左にずれている。最後に、図11(c)では「Aa3」、「Aa6」、「Aa9」、「Aa12」、「Aa15」、「Aa18」、「Aa21」、「Aa24」の画素が表示される。これは、「Aa3」から3つ飛ばした位置の画素群である。また、図11(b)に比べて全体にやはりCRTの一蛍光体分だけ左にずれている。
このように時間差をもって図11(a)〜(c)の画面に切り替わることによって、残像効果により一単位画素群の表示範囲(実際には左右に振動している)にはAa1〜Aa24の24の画素がこの順でならんで表示されているのと同じ効果を生じる。即ち、狭い範囲内において超多眼を実現することが可能となる。
【0040】
なお、上記各実施の形態において示した各単位画素群の画素配置は一例であり単位画素群中の画素配置方法とレンティキュラレンズの組み合わせは様々なものが実現可能である。また、上記実施の形態では単位画素群はX方向には平行に形成されているが、斜めに形成されても問題はない。
また、上記各実施の形態における画像表示装置は特に立体画像の表示に好適であるが、見る位置によって画像が変化するアニメーションやモーフィングなどに利用することもできる。
さらに、上記各実施の形態では背景画像表示体として印刷媒体や電気的に画像を表示するCRTを挙げているが、この他にも光だけで画像を表示する光デバイス装置なども利用可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から本発明は次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、画素の密度はマトリックス上に画素を配置した場合と変わらないままで画素の配列がレンティキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配列方向に対して斜めになるので、結果として、シリンドリカルレンズの配列方向に対して画素が高密度に配列でき、レンティキュラレンズを用いた画像表示において形状的な制約を少なくしながら超多眼画像が実現されることになる。
【0042】
請求項2に記載の発明は、画素は必ず背面画像表示体の水平方向にも並ぶことになり、縦に並ぶ単位画素群同士が背面画像表示体の水平方向で容易に分けられることになるので、単位画素群の配置設計を容易に行うことができる。
【0044】
請求項3に記載の発明は、背面画像表示体を平面体に画素を印刷したものとすることで電力等の供給無しに常に超多眼の立体画像を表示する画像表示装置を実現できる。
請求項4に記載の発明は、背面画像表示体を電気的に画素を表示するディスプレイ装置とすることで、適宜表示画像を切り替えることができ超多眼の立体動画像を表示させることも可能となる。
【0045】
請求項5に記載の発明は適切なレンティキュラレンズを配置することで超多眼を実現する画像表示装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成を模式的に示す図である。
【図2】縦横の画素間の違う画像を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態2にかかる背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成の他の例を模式的に示す図である。
【図4】実施の形態2にかかる背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成を模式的に示す図である。
【図5】実施の形態2にかかる背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成の他の例を模式的に示す図である。
【図6】(a)は図1に示す画像を印刷する前に生成される画像データの画素の配置構成を模式的に示す図であり、(b)はプリンタにより印刷される場合の印刷データの画素を一ピクセル分ずらした状態を模式的に示す図である。
【図7】(a)はディスプレイにより表示される前に生成される画像データの画素の配置構成を模式的に示す図であり、(b)はディスプレイにより表示される場合の表示データの画素を蛍光体分だけずらした状態を模式的に示す図である。
【図8】実施の形態3にかかる背面画像表示体に表示される画像の画素の配置構成を模式的に示す図である。
【図9】実施の形態3にかかる画像表示装置における光の進み方を模式的に示す図である。
【図10】実施の形態3における単位画素群の配置構成を模式的に示す図である。
【図11】(a)(b)(c)は実施の形態4にかかる背面画像表示体に表示される画像の画素の表示順を示す図である。
【図12】(a)は従来のレンティキュラレンズの背面に配置される画像を模式的に示した正面図であり、(b)は(a)の画像にレンティキュラレンズを設置した状態を模式的に示す平面図である。
【図13】従来のレンティキュラレンズの背面に配置される画素が斜めに配置された画像の例を模式的に示した図である。
【符号の説明】
P 単位画素群
Aa1〜Aa32、1〜75、1〜37 画素
L レンティキュラレンズ

Claims (5)

  1. 以下の(101)〜(106)の要件を満たす画像表示装置。
    (101)レンティキュラレンズを有する。
    (102)複数の視差のある画像データ群より得られる画素を所定の順に配置した単位画素群を配列した画像を表示する背面画像表示体を有する。
    (103)前記レンティキュラレンズは、前記背面画像表示体上に配置される。
    (104)前記背面画像表示体は画像生成時に水平方向に画素が配置されて画像が生成されるものである。
    (105)前記背面画像表示体が表示する画像は前記水平方向に対して画像全体の本来の水平方向を斜めに生成したものである。
    (106)前記レンティキュラレンズは、前記背面画像表示体に前記画像全体の本来の水平方向と、レンティキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの配列方向が一致するように配置される。
  2. 請求項1に記載の画像表示装置において、さらに、以下の(201)の要件を満たす画像表示装置。
    (201)前記背面画像表示体が生成する画像は画像全体の本来の水平方向と、画像生成時に画素が配置される水平方向との角度が
    Tan-1 (A・m/n)
    (但し、m、nは自然数、Aは水平方向の画素間の距離に対する垂直方向の画素間の距離の比率)で表される。
  3. 前記背面画像表示体は平面体に画素を印刷したものである請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  4. 前記背面画像表示体は電気的に画素を表示するディスプレイ装置である請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の背面画像表示体。
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