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JP4211289B2 - 光起電力素子 - Google Patents

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    • Y02E10/549Organic PV cells

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブと共役系重合体からなる共役系重合体コンポジットを半導体素材として用いた光起電力素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池は環境に優しい電気エネルギー源として、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力なエネルギー源と注目されている。従来、太陽電池の光起電力素子の半導体素材としては結晶シリコン、ガリウムヒ素、非晶性シリコンなどの無機化合物が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの無機半導体を用いて製造される太陽電池は火力発電や原子力発電などの発電方式と比べて、コストが高いためにまだ十分に普及されていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を製造するというプロセスにある。したがって、安価な製造方法が開発されれば大幅なコスト低減が可能となり、太陽電池の市場が急激に拡大できることが期待される。製造プロセスの大幅なコスト削減が期待される半導体素材として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素が検討されている。
【0004】
共役系重合体は半導体特性を有することから従来のシリコンや化合物半導体に替わる有機半導体素材として注目されている。このような共役系重合体が半導体素材として使用できれば、素材の安価さに加えて、素子の製造が真空プロセスを必要とせず常圧下での塗布技術や印刷技術を用いて可能となるので、大幅なコスト削減が期待される。また、有機半導体は塗布により半導体素子ができるため大面積化が必要な光起電力素子には有利である。しかし、共役系重合体に代表される有機太陽電池では従来の無機半導体と比べて光電変換効率が低いことが最大の課題であり、まだ実用化には至っていない。これは主として有機半導体ではキャリアを捕獲するトラップが形成されやすく、このため生成したキャリアがトラップに捕獲されやすいためキャリアの移動度が遅いことと、入射光によって生成された電子と正孔が分離しにくいエキシトンという束縛状態が形成されるためである。
【0005】
すなわち、半導体素材には一般にその素材が有するキャリア(電子、正孔)に高い移動度μが要求されるが、共役系重合体では従来の無機結晶半導体や非晶質シリコンと比べて移動度が低いという欠点と生成した電子と正孔が分離しにくいという欠点がある。このため、共役系重合体の非晶領域や共役系重合体鎖間でのキャリアの散乱やトラップによるキャリアの捕捉を抑制して移動度を向上できる手段と、生成した電子と正孔をエキシトンからうまく分離する手段を見出すことが、有機半導体素材による太陽電池を実用化するための鍵となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は基本的には下記の構成からなる。
共役系重合体コンポジット層が、光透過性の第1の電極薄膜と第2の電極薄膜に挟まれた構造からなる光起電力素子であって、前記共役系重合体コンポジット層が、カーボンナノチューブを共役系重合体に対し0.01%以上1%以下の重量分率で含み、さらに共役系重合体コンポジットにおいて、励起光により生成する蛍光スペクトルの最大強度をP 、カーボンナノチューブを含まない場合の共役系重合体の蛍光スペクトルの最大強度をP としたとき、前記共役系重合体コンポジット層は、共役系重合体コンポジット層の蛍光強度比率(P /P )が0.5となる共役系重合体に対するカーボンナノチューブの重量分率(蛍光強度1/2減重量分率)以上のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする光起電力素子。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは共役系重合体を半導体として用いた光起電力素子の変換効率を高める方法について鋭意検討した結果、本発明に到った。すなわち、共役系重合体にカーボンナノチューブを添加することによって得られるカーボンナノチューブ共役系重合体コンポジットを半導体素材として利用することによって変換効率が向上できることを見出した。以下、本発明について詳述する。
【0008】
1.カーボンナノチューブとその合成方法
カーボンナノチューブ(CNT)はアーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、いずれの方法も本発明に使用される。カーボンナノチューブには1枚の炭素膜(グラッフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SCTN)と、2枚以上の複数のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とがあるが、本発明にはSWCNT、MWCNTのいずれも使用されるし、両者の混合物であっても良い。なかでもSWCNTは直径が細いため(すなわちCNT1本当たりの体積が小さいため)、微分散が良好にできればCNTのコンポジット中の体積密度(コンポジット一定体積中に占めるCNTの体積)が同じであっても、MWCNTよりもCNTのコンポジット中の数密度(コンポジット一定体積中に含まれるCNTの個数)を増やすことができ、本発明には好ましい。SWCNTやMWCNTを上記の方法で作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物を精製することが好ましい。
【0009】
また、本発明では共役系重合体コンポジット半導体層を挟む電極間の短絡を防ぐために、短いCNTを使用することが望ましい。本発明で使用されるCNTの数平均長さは好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。CNTは一般に紐状に形成されるので、短繊維状にカットすることが望ましい。以上の不純物の精製や短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離を併用することは純度を向上させる上でさらに好ましい。
【0010】
なお、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも本発明により好ましく使用される。このような短繊維状CNTは、基板上に鉄、コバルトなどの触媒金属を坦持させ、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取るなどの方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することもできる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
【0011】
本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、数平均で1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。
【0012】
2.共役系重合体
本発明では共役系重合体コンポジットには共役系重合体が用いられる。このような共役系重合体としてはポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリフェニレン系重合体、ポリフェニレンビニレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などが挙げられる。
【0013】
上記の共役系重合体のなかでも本発明には、ポリチオフェン系重合体、ポリフェニレンビニレン系重合体が特に好ましく使用される。又、前記共役系重合体においては、フェニレン基はパラ位で、チオフェニレン基は2,5位で結合して共役系重合体を形成している。
【0014】
ポリチオフェン系重合体とはポリチオフェン構造の骨格を持つ共役系重合体あるいはそれに側鎖が付いた構造を有するものである。具体的にはポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェン、などのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェン、などのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンが挙げられる。
【0015】
ポリフェニレンビニレン系重合体とは、フェニレン環とビニレン基が交互に連結したポリフェニレンビニレン構造の骨格を持つ共役系重合体あるいは前者の環および/または後者の基に置換基が付加したものであり、特にフェニレン環の2、5位に置換が付加したものが好ましく用いられる。例えば、ポリ(2−メトキシ−5−ドデシルオキシ−p−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−p−フェニレンビニレン)、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ−p−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−ビスオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)などが挙げられる。
【0016】
また、本発明の共役系重合体とは必ずしも高分子量である必要はなく、共役系からなるオリゴマであっても良い。更には、本発明の効果に支障がない限り、異なる共役系重合体を混合したものであっても、ランダム、ブロック、及び/又はグラフト共重合体としても良い。
【0017】
尚、前記共役系重合体コンポジットには本発明の効果を妨げない限り、CNT製造時に使用される金属触媒やCNT製造工程中に副生成物として生じるCNT以外の炭素体等が含まれていても良い。
【0018】
3.分散の状態と方法
本発明では共役系重合体にカーボンナノチューブを適当な溶媒中で分散することによって共役系重合体コンポジット溶液を調製し、該共役系重合体コンポジット溶液を塗布することにより本発明の共役系重合体コンポジット層を得ることができる。ここで使用される溶媒としてはメタノール、トルエン、キシレン、クロロホルムなど直鎖状共役系重合体が可溶なものであれば好ましく使用される。このようにして得られた溶液に、好ましくは超音波洗浄機等により超音波を数時間、好ましくは約20時間照射した後、1日程度放置して塗液を得ることができる。上記の共役系重合体は溶液状態でCNTを良好に分散するだけでなく、特にSWCNTでは束状に凝集したCNTを解きながら分散させるという特長も備えている。
【0019】
一般にSWCNTは製造された状態では束状に凝集しているが、本発明のコンポジットではCNTがこの束状態から解かれて分散されることが移動度向上させる上で好ましい。一般にSWCNTを共役系重合体に分散させる場合にはScience誌vol.282,p95(1998) にも見られるように、SWCNTに官能基を付加させる等の方法により化学修飾を施すことによって分散性を付与している。しかし、CNTに化学修飾を施すとCNTを構成するπ共役系が破壊されやすいので、CNT本来の特性が損なわれるという課題がある。一方、共役系重合体として共役系高分子を用いる本発明ではこのような化学修飾を特に施さなくて重合体中に分散が可能である。
【0020】
本発明の共役系重合体コンポジットにおいて使用されるカーボンナノチューブの量は、共役系重合体に対しカーボンナノチューブを重量分率で0.01%以上1%以下の範囲、より好ましくは0.01%以上0.1%以下で混合することが重要である。この範囲の添加によって移動度大きく増大させることができる。すなわち、共役系重合体分子間または結晶子(結晶化した部分のドメイン)などドメインの間をキャリアが移動するに際し、共役系重合体間やドメイン間の構造の乱れによってキャリアがトラップされたり、散乱されるため、外部に観測される移動度は本来共役系重合体が有する移動度より大きく低下している、一方、カーボンナノチューブを適度に含む共役系重合体では、共役系重合体間やドメイン間を移動度の高いカーボンナノチューブが橋渡しするため、高移動度が得られると考えられる。
【0021】
しかし、1%を越えてカーボンナノチューブを混合すると、カーボンナノチューブ間の接触する割合がふえ、共役系重合体の導電性が急激に増加して金属状態に近づくため光起電力素子の電極間で短絡が生じるため半導体素材として利用することができない。一方、0.01%より少ないと橋渡しする確率が少ないため移動度を向上させる効果が少ない。従って本発明では共役系重合体に対するカーボンナノチューブの量は重量分率で0.01%以上1%以下、とくに0.01%以上0.1%以下の範囲が好ましい。
【0022】
特に、該共役系重合体コンポジットの励起光により生成する蛍光スペクトルにおける最大強度Pと、カーボンナノチューブを含まない場合の該共役系重合体の蛍光スペクトルにおける最大強度Pとの蛍光強度比率(P/P)が0.5となる、該共役系重合体に対するカーボンナノチューブの重量分率(蛍光強度1/2減重量分率)があり、かつ該蛍光強度1/2減重量分率以上の重量分率で、カーボンナノチューブを含むことが好ましい。言い換えれば、蛍光強度比率(P/P)が0.5以下となる重量分率でカーボンナノチューブが共役系重合体コンポジットに含まれることが好ましい。但し、上記の蛍光強度比率の測定際して、比較すべきPとPを測定する試料の厚みは同じ一定厚みの条件で行う。なお、より好ましくは、蛍光強度比率(P/P)が0.2となる蛍光強度4/5減重量分率を有することである。
【0023】
前記蛍光の減少は、励起光により生じた電子と正孔がエキシトンを形成する割合が減少しているためであり、従って電荷分離が向上していることを示しており、蛍光強度は少ない方が好ましい。本発明では、分散したカーボンナノチューブが励起光により生成した電子や正孔を効率よく分離するものである。カーボンナノチューブの重量分率が共役系重合体に対し0.01%以上1%以下の範囲内であるならば、カーボンナノチューブの重量分率が大きいほど、蛍光強度比率(P1/P0)が低く、従って電荷分離が良好となる。
【0024】
4.蛍光強度の測定方法
上記の方法で調整された共役系重合体コンポジット溶液をガラス基板に塗布して均一な膜厚の共役系重合体コンポジット薄膜を形成する。次に、この共役系重合体コンポジット薄膜の光吸収スペクトルを分光光度計で測定することによって吸収極大を示す波長領域を設定する。蛍光分光光度計を用いて上記共役系重合体コンポジット薄膜をこの波長領域にある任意の波長を選んでもよいが、この中で吸収極大となる付近の一定波長で励起して発光する蛍光の強度スペクトルを測定することが、精度は高く、好ましい。このようにして得られた蛍光強度スペクトルにおいて、前記コンポジットの最大蛍光強度P1と、カーボンナノチューブを含まない共役系重合体の最大蛍光強度P0を測定して蛍光強度比率(P1/P0)を求める。
【0025】
5.光起電力素子の作製方法と評価方法
上記の方法で合成された共役系重合体コンポジットを用いた光起電力素子の製造方法を説明する。先ず、スパッタリング装置を用いてガラス基板上に酸化インジウムや金などの電極膜を作製する。次に、この電極上にスピナーなどを用いて上述の方法で調製した共役系重合体コンポジット溶液を塗布して均一な膜厚の共役系重合体コンポジット薄膜を形成する。共役系重合体コンポジット膜の厚みは1μmから50nmが好ましい。共役系重合体コンポジット膜形成後、該共役系重合体薄膜の上にできるだけ光が透過するように薄い金属アルミニウム薄膜をスパッタリング装置で形成する。
【0026】
このようにして作製された光起電力素子をシールドボックス中に置き、先ず暗状態で電圧を印加しながらで電圧−電流特性を測定する。次に、該シールドボックス中にあらかじめ設置されていた光照射光源を灯して、光起電力素子に光照射しながら電圧−電流(明電流)特性を測定する。
【0027】
6.電極薄膜とその設置方法
本発明の光起電力素子においては、前記共役系重合体コンポジット層の一方の面に光透過性の第1の電極薄膜、片方の面には第2の電極薄膜を有するものである。
【0028】
光透過性の第1の電極薄膜の光透過性は、共役系重合体コンポジット層に入射光が透過して起電力が発生すれば特に限定されるものではない。又、電極薄膜の厚さは、光透過性と導電性とを有する範囲で有れば特に限定されず、電極薄膜素材によって異なるが、好ましくは20〜300nmである。第2の電極薄膜は導電性が有れば必ずしも透明性は必要ではなく、従って厚みも限定されない。
【0029】
電極材料としては、第1又は第2の電極薄膜のいずれか一方には、仕事関数の小さな導電性素材、もう一方には仕事関数の大きな導電性素材を使用することが好ましい。仕事関数の小さな導電性素材としてはアルカリ金属やアルカリ土金属、具体的には、リチウム、マグネシウム、カルシウム等が使用される。又、錫やアルミニウム等も好ましく用いられる。更に又、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる素材も電極薄膜として好適である。もう一方の仕事関数の大きな導電性素材としては、金、白金、クロム、ニッケル、インジウム・錫酸化物等が好ましく用いられる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1
まず、100mLのフラスコの中にCNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ製、純度95%)を1mg入れ、クロロホルム50mL加え、超音波洗浄機を用いて1時間分散した。次に、共役系高分子としてポリ−3−ヘキシル−2,5−チオフェン(アルドリッチ製、分子量:Mw20000)を1g加えてさらに超音波で5時間分散し、ポリチオフェン系重合体コンポジット溶液(共役系重合体に対するCNTの比率0.1重量%)とした。
【0032】
一方、ガラス基板上に3mm×30mmストライプ状の酸化インジウム層を100nmの厚みで、マスクを用いてスパッタリング法により形成した。次に、この基板上に前記の共役系重合体コンポジット溶液をスピナーを用いて塗布し0.2μm厚み(前記塗布した厚みは乾燥後の厚みである、以下場合も同じ)の共役系重合体コンポジット層を形成した。その後、該共役系重合体コンポジット層上にアルミニウム層を40nmの厚さでスパッタリングにより形成した。この時には、あらかじめストライプ状に形成された酸化インジウム層と直交するように、マスクをして上記インジウムのストライプと同様の寸法・形状にアルミニウム層を形成した。これら上下の電極から電極を取り出し、光起電力素子を作製した。
【0033】
次に、このストライプ状の酸化インジウム層とアルミニウム層が交差する3mm×3mm光起電力素子の部分に光を照射しながら上下の電極からヒューレット・パッカード社製ボルテージソース/ピコアンメーターを用いて電圧電流特性を評価した。光照射には顕微鏡用の白色光源を用い、この時の照射強度は10mW/cmであった。この時、光照射時の短絡電流は4μA/cmの電流が認められた。また照射時の開放電圧は約0.5Vであった。
【0034】
つぎに、上記の0.1重量%カーボンナノチューブを含む共役系重合体コンポジット膜の蛍光強度を評価するために、共役系重合体コンポジット溶液をガラスに滴下し、スピナーを用いて厚さ1μmの薄膜を形成した。また。比較のためにカーボンナノチューブを含まないポリ−3−ヘキシルチオフェンのみの薄膜も同様の方法でガラス基板上に作製した。これらの薄膜に450nmの励起光を照射し、蛍光スペクトルを蛍光分光光度計で測定した結果を図1に示す。図1から0.1%重量%カーボンナノチューブで蛍光強度がカーボンナノチューブを含まない場合と比較して1/2以下になっていた。
【0035】
比較例1
ポリ−3−ヘキシル−2,5−チオフェンにカーボンナノチューブを分散しなかった以外は実施例1と全く同様の方法で光起電力素子を作製した。次に、実施例1と同様にストライプ状の酸化インジウム層とアルミニウム層が交差する3mm×3mm光起電力素子の部分に光を照射しながら上下の電極からヒューレット・パッカード社製ボルテージソース/ピコアンメーターを用いて電圧電流特性を評価した。光照射には顕微鏡用の白色光源を用い、この時の照射強度は10mW/cmであった。この時、 光照射時の短絡電流は30nA/cmであり、カーボンナノチューブを分散した実施例1と比較して約100の1以下であった。また照射時の開放電圧は約0.3Vであった。
【0036】
実施例2
実施例1のポリ−3−ヘキシル−2,5−チオフェンの代わりにポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−p−フェニレンビニレン)(アルドリッチ製)を用いて共役系重合体コンポジット溶液を作製した。すなわち、まず、100mLのフラスコの中にCNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ製、純度95%)を1mg入れ、クロロホルム50mL加え、超音波洗浄機を用いて1時間分散した。次に、共役系高分子としてポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−p−フェニレンビニレン)を1g加えてさらに超音波で5時間分散し、ポリフェニレンビニレン系重合体コンポジット溶液(共役系重合体に対するCNTの比率0.1重量%)とした。
【0037】
上記の共役系重合体コンポジット溶液を用いて実施例1と全く同様に光起電力素子を作製して、同様の条件で光照射時の短絡電流と開放電圧を測定した。この時、短絡電流は9μA/cm開放電圧は0.4Vであった。
【0038】
比較例2
ポリ(2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−p−フェニレンビニレン)にCNTを分散しない以外は実施例2と同様な方法で光起電力素子を作製し、短絡電流と開放電圧を測定した。この時、短絡電流は0.1μA/cm開放電圧は0.3Vであった。
【0039】
比較例3
単層カーボンナノチューブのポリ−3−ヘキシル−2,5−チオフェンに対する濃度を2重量%とした以外は実施例1と全く同様の方法で光起電力素子を作製し、同様の測定方法で性能を評価した。この場合には、上下の電極が短絡したため、光照射時の開放電圧の発生はほとんど認められなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の構成からなる共役系重合体コンポジットを半導体素材として使用することにより、高性能な太陽電池素子を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリチオフェン誘導体コンポジット膜の蛍光スペクトル(励起光の波長:450nm)

Claims (2)

  1. 共役系重合体コンポジット層が、光透過性の第1の電極薄膜と第2の電極薄膜に挟まれた構造からなる光起電力素子であって、前記共役系重合体コンポジット層が、カーボンナノチューブを共役系重合体に対し0.01%以上1%以下の重量分率で含み、さらに共役系重合体コンポジットにおいて、励起光により生成する蛍光スペクトルの最大強度をP 、カーボンナノチューブを含まない場合の共役系重合体の蛍光スペクトルの最大強度をP としたとき、前記共役系重合体コンポジット層は、共役系重合体コンポジット層の蛍光強度比率(P /P )が0.5となる共役系重合体に対するカーボンナノチューブの重量分率(蛍光強度1/2減重量分率)以上のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記共役系重合体がポリチオフェン系重合体およびポリフェニレンビニレン系重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の共役系重合体である請求項1記載の光起電力素子。
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