JP4277572B2 - 固体撮像素子および固体撮像素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子および固体撮像素子の製造方法に関し、特に横型オーバーフロードレイン構造を採用した固体撮像素子および当該固体撮像素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子特有の現象の一つとしてブルーミングが挙げられる。このブルーミングとは、受光部(画素)に飽和光量を越える強い光が入射すると、受光部で光電変換された信号電荷のうち過剰な電荷が当該受光部から溢れ、その溢れた電荷が垂直転送部や周囲の受光部に漏れ込み、例えば垂直転送部に漏れ込んだ場合には、光の強いところから垂直方向(上下方向)に白い筋(縞)となって画質を損なう現象を言う。
【0003】
このブルーミングの発生を抑えるために、CCD(Charge Coupled Device)型撮像素子に代表される固体撮像素子では古くから、受光部の横にオーバーフロードレイン部を隣接して形成するとともに、受光部とオーバーフロードレイン部との間にオーバーフローコントロールゲート部を配置した横型オーバーフロードレイン構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この横型オーバーフロードレイン構造を採用した固体撮像素子では、オーバーフロードレイン部およびオーバーフローコントロールゲート部が受光部の横に配置される構造であることから、単位セルの面積を一定とした場合、オーバーフロードレイン部およびオーバーフローコントロールゲート部の配置スペースを余分に確保しなければならなく、その分だけ受光部の面積が小さくなるため、感度の向上を図る上で不利である。
【0005】
このような観点から、近年、固体撮像素子では、例えばN型シリコン基板等の半導体基体の内部の深い位置に、例えばP型ウェル領域をオーバーフローバリア領域として形成し、当該オーバーフローバリア領域を介して過剰な電荷を基体内部に掃き捨てる縦型オーバーフロードレイン構造を採用したものが主流となっている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−335546号公報(特に、図1、図3および段落0020)
【特許文献2】
特開2002−57318号公報(特に、図2、図5および段落0031)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子においては、受光部に溜まる信号電荷によってオーバーフローバリア領域のポテンシャルが変調を受けることになるため、図7に示すように、入射光量が増えるにしたがって受光部の取り扱い電荷量(信号出力電圧値)が増加する所謂ニー(Knee)特性を持っている。一般的に、縦型オーバーフロードレイン構造を採用する固体撮像素子では、このニー特性がある故に、素子設計において、次の2点について配慮する必要がある。
1)読み出しゲート部の幅を広くして当該読み出しゲート部のブルーミング耐性を強化する。
2)垂直転送部の取り扱い電荷量にマージンを持たせる。
【0008】
しかしながら、垂直転送部の幅と受光部の面積とはトレードオフの関係にあるため、垂直転送部の幅を拡大して取り扱い電荷量を増加させることは、受光部の面積を減少させることにつながり、取り扱い電荷量の減少や受光部の開口面積の減少を意味することになる。
【0009】
また、縦型オーバーフロードレイン構造では、半導体基板にシャッター電圧を印加し、オーバーフローバリア領域のポテンシャルを深くして不要な電荷を基板内部に捨てることにより電子シャッター動作を実現している。しかしながら、多画素高密度の固体撮像素子においては、単位セルのサイズが小さくなるに従い、オーバーフローバリア領域であるP型ウェル領域に対して近傍のP型不純物領域の不純物濃度による影響を受けやすくなり、半導体基板により高い電圧を印加しないと不要な電荷を捨てることができないため、シャッター電圧が一般的に高くなるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入射光量対蓄積電荷量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングコントロール性に優れた受光部を有する固体撮像素子および当該固体撮像素子の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による横型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子は、基板上にエピタキシャル層を介して形成された前記基板と同導電型の光電変換領域を含む受光部と、隣り合う前記受光部間に形成されたトレンチ部内に、当該トレンチ部の前記基板と同導電型の底部で前記基板に対して電気的に接続された状態で設けられ、前記受光部からの電荷を前記半導体基板に排出するドレイン部とを備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成の固体撮像素子において、基板に電気的に繋がったドレイン部がトレンチ状構造であることで、オーバーフローチャネル領域のポテンシャルが受光部に溜まる信号電荷によって変調を受けにくくなる。これにより、受光部の入射光量対蓄積電荷量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングのコントロール性に優れた受光部を得ることができる。
【0013】
本発明による横型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の製造方法は、基板上にエピタキシャル層を介して形成予定の前記基板と同導電型の光電変換領域を含む受光部間に、前記エピタキシャル層の表面から前記基板に入り込むようにトレンチ部を形成する第1工程と、前記トレンチ部の側壁を取り囲むように前記基板と逆導電型の不純物層を形成する第2工程と、前記不純物層によって側壁が取り囲まれた前記トレンチ部を埋めるように前記基板と同導電型の層を形成して当該層の底部にて前記基板と電気的に接続する第3工程とを少なくとも含むことを特徴としている。
【0014】
上記各工程の手順でドレイン部を形成することで、トレンチ状構造の横型オーバーフロードレイン構造を形成できる。このトレンチ状構造の横型オーバーフロードレイン構造を採用することにより、オーバーフローチャネル領域のポテンシャルが受光部に溜まる信号電荷によって変調を受けにくくなる。これにより、受光部の入射光量対蓄積電荷量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングのコントロール性に優れた受光部を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る横型オーバーフロードレイン構造のCCD固体撮像素子のユニットセル(単位画素およびこれに対応する垂直転送部)の構成の概略を示す平面図であり、図2は図1のA−A′矢視の断面構造を示す断面図である。ここでは、一例として、第1導電型がN型、第2導電型がP型の場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0017】
図1、図2において、本実施形態に係るCCD固体撮像素子が形成される半導体基体11は、例えば、イオン注入によって形成されたN+ 層13を基板表面に持つN型半導体基板12と、当該基板12上に形成されたN型エピタキシャル層(以下、「エピ層」と略記する)14とから構成されている。なお、半導体基体11としては、この構成のものに限られるものではなく、N+ 型半導体基板と当該基板上に形成されたN型エピ層とからなる構成のものであっても良い。
【0018】
この半導体基体11の表層部には、受光部15、垂直転送部16および読み出しゲート部17が形成されている。具体的には、受光部(画素)15は、N型エピ層14内に形成されたN型の光電変換領域(信号電荷蓄積領域)18と、その上に形成されたP+ 型の正電荷蓄積領域19とから構成され、半導体基体11上に行列状に配列されている。
【0019】
垂直転送部16は、エピ層14内に形成されたN型の転送チャネル20と、当該転送チャネル20の下に形成されたP型ウェル領域21と、転送チャネル20の上方の基体表面上にゲート絶縁膜23を介して形成された転送電極22とから構成され、受光部15が行列状に配置されてなる画素配列に対して各垂直列毎に配置されている。図1から明らかなように、転送電極22は、1層目の転送電極(図中、一点鎖線で示す)22−1と、2層目の転送電極(図中、二点鎖線で示す)22−2とからなる2層構造となっている。
【0020】
垂直転送部16の電極構造において、特定の相の転送クロックが印加される転送電極22は受光部15の近傍にまで延在して設けられており、この延在部分の電極が読み出しゲート部17のゲート電極に兼用されている。すなわち、読み出しゲート部17は、転送電極22の一部を兼用したゲート電極と、当該ゲート電極の下のチャネル領域とから構成されている。
【0021】
特に図1から明らかなように、垂直転送部17の転送チャネル20の転送方向(垂直方向)において隣り合う受光部(画素)15,15間における転送電極22−1,22−2の下には、本発明の特徴部分であるトレンチ状構造のN+ 型ドレイン部24が形成されている。このN+ 型ドレイン部24は、図2から明らかなように、エピ層14の表面から半導体基板12上のN+ 層13に入り込むように形成されたトレンチ部25と、このトレンチ部25の側壁を取り囲むように形成されたP型不純物層26と、トレンチ部25内に形成されたドレイン領域となるN+ 層27とから構成されている。
【0022】
このN+ 型ドレイン部24において、トレンチ部25の底部については、P型不純物層26のP層を打ち消せる程度の高濃度のN+ 層とする。P型不純物層26は、所望の厚さに形成され、受光部15のN型の光電変換領域18とN+ 型ドレイン部24との間のチャネル(オーバーフローチャネル)領域となる。また、N+ 型ドレイン部24では、N+ 層27が当該N+ 層27を覆うP型不純物層26よりも十分濃度が濃いため、ドレイン部24が半導体基板12上のN+ 層13に対して電気的に接続された形になる。これにより、半導体基板12に電気的に繋がったトレンチ状構造のN+ 型ドレイン部24を持つ横型オーバーフロードレイン構造が構成されている。
【0023】
受光部15の上方領域を除いた領域、即ち垂直転送部16および読み出しゲート部17の上は、層間絶縁膜28を介してアルミニウムやタングステン等からなる遮光膜29によって覆われている。その結果、遮光膜29によって覆われていない受光部15の上方領域が開口部30となり、当該開口部30を通して受光部15内に入射光が取り込まれることになる。
【0024】
上記構成のCCD固体撮像素子において、外部からの入射光は開口部30を通して受光部15内に取り込まれ、当該受光部15にて光電変換される。光電変換された少数キャリア(ここでは、電子)、即ち信号電荷は、光電変換領域(信号電荷蓄積領域)18に蓄積される。この蓄積された信号電荷は、読み出しゲート部17によって垂直転送部16の転送チャネル20に読み出され、転送電極22に転送クロックが印加されることによって垂直転送される。
【0025】
ここで、受光部15に飽和光量以上の強い光が入射すると、受光部15で光電変換された信号電荷のうち過剰な電荷が当該受光部15から溢れ、その溢れた電荷が垂直転送部や周囲の画素に漏れ込むことによってブルーミングが発生する。このブルーミングの発生を抑えるために、本実施形態に係るCCD固体撮像素子では、半導体基板12に電気的に繋がったトレンチ状構造のN+ 型ドレイン部24を持つ横型オーバーフロードレイン構造を採用している。
【0026】
このトレンチ状構造のN+ 型ドレイン部24を持つ横型オーバーフロードレイン構造における動作原理について以下に説明する。
【0027】
N+ 型ドレイン部24が半導体基板12に電気的に繋がっているため、半導体基板12に正のバイアス電圧を印加することにより、N+ 型ドレイン部24の電位も基板電位になる。受光部15の取り扱い電荷量は、受光部15とN+ 型ドレイン部24との間のオーバーフローチャネル領域であるP型不純物層26のポテンシャルバリアによって規定され、このポテンシャルバリアを越える過剰な電荷はN+ 型ドレイン部24を通して半導体基板12に排出される。
【0028】
ここで、半導体基板12に印加するバイアス電圧(基板電圧)を調整することにより、受光部15の取り扱い電荷量を規定するP型不純物層26のポテンシャルバリアのポテンシャルが変化するため、受光部15の取り扱い電荷量およびブルーミングのコントロールが可能になる。電子シャッター動作についても、半導体基板12に対して所望のタイミングで大きな正のシャッター電圧を印加することで、受光部15に蓄積されている不要な電荷がN+ 型ドレイン部24を通して半導体基板12に排出される。
【0029】
図3は、受光部15、P型不純物層26およびN+ 型ドレイン部24のポテンシャル図である。図3において、Aはオーバーフローコントロール時を、Bは電子シャッター時をそれぞれ示している。
【0030】
上述したように、本実施形態に係るCCD固体撮像素子においては、半導体基板12に電気的に繋がったN+ 型ドレイン部24がトレンチ状構造であることにより、オーバーフローチャネル領域となるP型不純物層26のポテンシャルが受光部15に溜まる信号電荷によって変調を受けにくくなるため、受光部15の入射光量対出力信号量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングのコントロール性に優れた受光部15を得ることができる。そして、縦型オーバーフロードレイン構造に比べて、入射光量対出力信号量のニー特性を小さくできることで、垂直転送部16の取り扱い電荷量にニー特性分のマージンを持たせ必要がなくなるため、より高感度、低スミア特性のCCD固体撮像素子を提供できる。
【0031】
また、トレンチ状構造のN+ 型ドレイン部24を持つ横型オーバーフロードレイン構造においては、CCD固体撮像素子の多画素・高密度化に伴って単位セルのサイズが小さくなったとしても、トレンチ状構造であることによってP型不純物層26が他の領域の不純物濃度による影響を受けにくいため、半導体基板12に高い電圧を印加しなくて済み、よって低電圧駆動の電子シャッター動作を実現できる。
【0032】
さらに、N+ 型ドレイン部24が半導体基板12に電気的に繋がったトレンチ状構造であり、半導体基板12に印加するバイアス電圧によって受光部15の取り扱い電荷量およびブルーミングのコントロールが可能であることから、従来の横型オーバーフロードレイン構造のように、基板表面側にコントロールゲート電極を設ける必要がないため、小フットプリントのオーバーフロードレイン構造、シャッタドレイン構造を形成できる。
【0033】
しかも、N+ 型ドレイン部24が垂直方向において隣り合う画素間における転送電極22(22−1,22−2)の下に設けられていることにより、その配置スペースを特別に確保する必要がなく、受光部15の受光面積に何ら影響を及ぼすことがないため、横型オーバーフロードレイン構造でありながら、N+ 型ドレイン部24を設けることによって感度低下を来すこともない。このような作用効果を奏することにより、より高密度・高精細でありながから、良好なダイナミックレンジや感度特性を持つCCD固体撮像素子を実現できることになる。
【0034】
なお、本実施形態では、N+ 型ドレイン部24を垂直方向で隣り合う画素(受光部)間に設けるとしたが、これに限られるものではなく、N+ 型ドレイン部24を非常にコンパクトに構成できることから、配置スペースを確保できるのであれば、水平方向で隣り合う画素間や、画素分離のためのチャネルストップ領域などに設けることも可能である。
【0035】
続いて、上記構成の本実施形態に係るCCD固体撮像素子の製造方法の手順について、図4〜図6の工程図を用いて説明する。
【0036】
先ず、図4(A)に示すように、イオン注入によって形成されたN+ 層13を基板表面に持つN型半導体基板(または、N+ 型半導体基板)12を用意する。次いで、図4(B)に示すように、N型半導体基板12上に例えば5〜8μm程度の厚みを有するエピ層14を形成する。次いで、図4(C)に示すように、エピ層14の表面から半導体基板12上のN+ 層13に入り込むようにトレンチ部25をドライエッチングによって形成する。このとき、トレンチ部25の底部がN+ 層13内で止まるように形成する。
【0037】
次いで、図4(D)に示すように、フォトレジスト31をマスクとし、高エネルギーイオン打ち込み機を用いてボロンを打ち込むことにより、トレンチ部25の側壁を取り囲むようにP型不純物層26を形成する。このとき、打ち込みエネルギーを変えた多段打ち込みを行う。一例として、エピ層14が5μmの場合、
▲1▼ボロン打ち込みエネルギー:4MeV、ドーズ量:5×1012cm-2
▲2▼ボロン打ち込みエネルギー:3MeV、ドーズ量:5×1012cm-2
▲3▼ボロン打ち込みエネルギー:2MeV、ドーズ量:5×1012cm-2
▲4▼ボロン打ち込みエネルギー:1MeV、ドーズ量:5×1012cm-2
【0038】
なお、高エネルギーイオン打ち込み後に、P型不純物層26について所望の幅プロファイルを得るために熱処理を行う場合もある。その後に、熱処理にて拡散が行われるために、ここでの熱処理は必須でない場合もある。また、高エネルギーイオン打ち込み機を使用しないで、斜めイオン打ち込みを行うことによってP型不純物層26を形成することも可能である。
【0039】
次いで、図5(A)に示すように、ウエハ表面(基体表面)にCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)や熱酸化によりシリコン酸化膜32を形成し、フォトレジスト(図示せず)をマスクとしてトレンチ部25上のシリコン酸化膜32を選択的にエッチングして除去する。次いで、図5(B)に示すように、リンを含むドープトポリシリコン33を、トレンチ部25を埋めるように成膜してN+ 層27を形成する。次いで、図5(C)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polish;化学機械研磨)を用いて表面の不要なポリシリコン層33やマスクとして使用したシリコン酸化膜32の除去を行う。
【0040】
このN+ 型ドレイン部24を形成する工程において、ドープトポリシリコン33を使用しない方法としては、トレンチ部25にリンなどのN型不純物を含む拡散ソースのデポジションを行い、トレンチ部25の側壁表面にN+ 層27を形成する方法もある。この場合には、拡散後に拡散ソースの除去を行い、上記のように、CMPを用いて表面の不要な膜の除去を行う。
【0041】
次いで、図6(A)に示すように、受光部15(N型の光電変換領域18およびP+ 型の正電荷蓄積領域19)や垂直転送部16(N型の転送チャネル20およびP型ウェル領域21)などのシリコン内プロファイルの形成を行う。この場合、ゲート絶縁膜23を成膜してから各プロファイルを形成することも可能であるし、後に除去してよい犠牲酸化膜を形成して、その上から各種イオン打ち込みを行うことも可能である。
【0042】
次いで、図6(B)に示すように、ウエハ表面にゲート絶縁膜23を成膜し、しかるポリシリコンなどによって転送電極(ゲート電極)22を形成する。そして、図6(C)に示すように、転送電極22上に層間絶縁膜28を成膜し、さらにアルミニウムやタングステンなどによって遮光膜29を形成する。以降、図示しないが、周知の手法により、平坦化膜、パシベーション膜、カラーフィルタ、オンチップマイクロレンズ等が順次形成されることになる。
【0043】
上記各工程の手順でドレイン部を形成することにより、トレンチ状構造の横型オーバーフロードレイン構造を形成できる。このトレンチ状構造の横型オーバーフロードレイン構造を採用することにより、オーバーフローチャネル領域となるP型不純物層26のポテンシャルが受光部15に溜まる信号電荷によって変調を受けにくくなるため、受光部15の入射光量対蓄積電荷量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングのコントロール性に優れた受光部15を得ることができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、CCD固体撮像素子の画素部に適用した場合を例に挙げて説明したが、この適用例に限られるものではなく、本発明は、CCD固体撮像素子以外の電荷転送型固体撮像素子、さらにはCMOS固体撮像素子に代表されるX−Yアドレス型固体撮像素子など、固体撮像素子全般の画素部に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による固体撮像素子によれば、トレンチ状構造の横型オーバーフロードレイン構造を採用したことにより、オーバーフローチャネル領域のポテンシャルが受光部に溜まる信号電荷によって変調を受けにくくなるため、受光部の入射光量対蓄積電荷量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングのコントロール性に優れた受光部を得ることができる。
【0046】
また、本発明による固体撮像素子の製造方法によれば、基板上にエピタキシャル層を介して形成予定の受光部間に、エピタキシャル層の表面から基板に入り込むようにトレンチ部を形成し、このトレンチ部の側壁を取り囲むように基板と逆導電型の不純物層を形成するとともに、当該トレンチ部を埋めるように基板と同導電型の層を形成することにより、受光部の入射光量対蓄積電荷量の関係においてニー特性の少ない、ブルーミングのコントロール性に優れた受光部を得ることが可能なトレンチ状構造の横型オーバーフロードレイン構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る横型オーバーフロードレイン構造のCCD固体撮像素子のユニットセルの構成の概略を示す平面図である。
【図2】図1のA−A′矢視の断面構造を示す断面図である。
【図3】オーバーフローコントロール時Aおよび電子シャッター時Bの動作説明のためのポテンシャル図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るCCD固体撮像素子の製造方法の手順を示す工程図(その1)である。
【図5】本発明の一実施形態に係るCCD固体撮像素子の製造方法の手順を示す工程図(その2)である。
【図6】本発明の一実施形態に係るCCD固体撮像素子の製造方法の手順を示す工程図(その3)である。
【図7】受光部における入射光量対信号出力電圧値の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
11…半導体基体、12……半導体基板、13,27…N+ 層、14…エピタキシャル層、15…受光部、16…垂直転送部、17…読み出しゲート部、18…光電変換領域(信号電荷蓄積領域)、20…転送チャネル、22,22−1,22−2…転送電極、24…N+ 型トレンチ部、25…トレンチ部、26…P型不純物層
Claims (5)
- 基板上にエピタキシャル層を介して形成された前記基板と同導電型の光電変換領域を含む受光部と、
隣り合う前記受光部間に形成されたトレンチ部内に、当該トレンチ部の前記基板と同導電型の底部で前記基板に対して電気的に接続された状態で設けられ、前記受光部からの電荷を前記半導体基板に排出するドレイン部と
を備えた横型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子。 - 前記受光部は行列状に形成されており、
前記ドレイン部は、垂直方向において隣り合う前記受光部間に形成されている
請求項1記載の固体撮像素子。 - 前記受光部は行列状に形成されており、
前記ドレイン部は、水平方向において隣り合う前記受光部間に形成されている
請求項1記載の固体撮像素子。 - 前記ドレイン部は、前記トレンチ部の側壁を取り囲むように形成された前記基板と逆導電型の不純物層と、前記不純物層によって側壁が取り囲まれた前記トレンチ部を埋めるように形成された前記基板と同導電型の層とを有する
請求項1記載の固体撮像素子。 - 基板上にエピタキシャル層を介して形成予定の前記基板と同導電型の光電変換領域を含む受光部間に、前記エピタキシャル層の表面から前記基板に入り込むようにトレンチ部を形成する第1工程と、
前記トレンチ部の側壁を取り囲むように前記基板と逆導電型の不純物層を形成する第2工程と、
前記不純物層によって側壁が取り囲まれた前記トレンチ部を埋めるように前記基板と同導電型の層を形成して当該層の底部にて前記基板と電気的に接続する第3工程と
を少なくとも含む横型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の製造方法。
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