JP4194435B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制御装置に関し、詳しくは、発電機構が働かないエンジンの停止後に車両の状態を検出させる構成において、該エンジン停止状態での消費電力を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの停止後に車両の状態を検出させる装置として、特許文献1に開示されるようなものがあった。
【0003】
このものは、エバポガスパージシステムにおけるリークを診断する装置であって、エンジン停止後の燃料タンク内の温度変化と燃料タンク内の圧力変化とを比較して、リークの有無を診断する構成である。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5263462号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように、リーク診断のためエンジン停止後にタンク内圧や温度をサンプリングさせる場合、エンジン停止中は発電機構が働かないため、リーク診断のためにセンサに給電し続けると、バッテリ電圧が低下し、エンジンの再始動が困難になる可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、エンジン停止後にリーク診断のために圧力センサの検出データをサンプリングさせる構成において、エンジン停止中における消費電力を低減できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、燃料タンクからの蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置における処理経路を、エンジン停止後に閉塞し、該閉塞空間内の圧力を圧力センサで検出し、前記閉塞空間が温度低下に伴って減圧されるときに前記圧力センサで検出される圧力に基づいて、前記処理経路におけるリークの有無を診断する車両の制御装置であって、エンジン停止後に前記圧力センサの検出データを周期的にサンプリングするときに、エンジン停止直後の圧力上昇期間に比べて、圧力低下時のサンプリング周期を長く設定すると共に、前記検出データのサンプリングから次のサンプリングまでの間において、前記圧力センサへの電源供給を停止又は抑制するようにした。
【0008】
かかる構成によると、エンジン停止後に処理経路内の圧力が低下して負圧になるまでは長い時間を要するが、その間でのサンプリング周期を長くし、かつ、検出データのサンプリングから次のサンプリングまでの間において、圧力センサへの電源供給を停止又は抑制すれば、長いサンプリング周期の間において圧力センサに対して電源を供給する無駄が抑制され、リーク診断中における圧力センサの消費電力を低減できる。
【0009】
従って、エンジン停止中の圧力センサにおける消費電力によって、バッテリ電圧が低下することを抑止でき、エンジンの再始動性を維持することが可能となる。
請求項2記載の発明では、前記圧力センサへの通常給電を、サンプリングタイミングよりも所定の応答遅れ時間分だけ早く開始させ、サンプリング終了後に前記圧力センサへの給電を停止又は抑制させ、次の通常給電開始までの間、給電の停止又は抑制状態を保持させるようにした。
【0010】
かかる構成によると、圧力センサへの通常給電を開始しても、圧力センサへの給電状態が所期状態になるまでの遅れ時間、更に、圧力センサの立ち上がり時間があるので、これらの応答遅れ時間分だけ早めに通常給電を開始させ、サンプリングタイミングになった時点で、圧力センサが正常に動作できるようにしておく。
【0011】
そして、データのサンプリングが終了すると、給電を停止又は抑制させ、次のサンプリングタイミングから応答遅れ時間分だけ前の時点になるまで、その状態を保持させる。
【0012】
従って、圧力センサの消費電力を低減しつつ、圧力センサによる圧力の検出を精度良く行わせることができる。
請求項3記載の発明では、前記制御装置が、前記リーク診断の終了後に、停止又は低消費電力モードに移行するようにした。
【0013】
かかる構成によると、圧力の検出データに基づくリーク診断が終了すると、前記制御装置が停止又は低消費電力モードに移行することで、エンジン停止中の制御装置の消費電力が低減される。
【0014】
従って、エンジン停止中において、圧力センサによる消費電力を低減できると共に、制御装置自身での消費電力も低減される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は実施形態における車両用エンジンのシステム構成図である。
【0016】
この図1において、エンジン1は、図示省略した車両に搭載されるガソリン内燃機関である。
前記エンジン1の吸気系には、スロットル弁2が設けられていて、これによりエンジン1の吸入空気量が制御される。
【0017】
また、スロットル弁2下流の吸気管3のマニホールド部には、気筒毎に電磁式の燃料噴射弁4が設けられている。
前記燃料噴射弁4は、コントロールユニット20からエンジン回転に同期して出力される噴射パルス信号により開弁して燃料噴射を行い、噴射された燃料はエンジン1の燃焼室内で燃焼する。
【0018】
蒸発燃料処理装置として、燃料タンク5にて発生する蒸発燃料を蒸発燃料導入通路6により導いて一時的に吸着するキャニスタ7が設けられている。
前記キャニスタ7は、容器内に活性炭などの吸着材8を充填したものである。
【0019】
また、前記キャニスタ7には、新気導入口9が形成されると共に、パージ通路10が導出されている。
前記パージ通路10は、非通電時に全閉となる常閉型のパージ制御弁(PCV)11を介して、スロットル弁2下流の吸気管3に接続されている。
【0020】
前記パージ制御弁11は、前記コントロールユニット20から出力されるパージ制御信号により開弁するようになっている。
従って、燃料タンク5にて発生した蒸発燃料は、蒸発燃料導入通路6によりキャニスタ7に導かれて、ここに吸着捕集される。
【0021】
そして、エンジン1の運転中に所定のパージ許可条件が成立すると、パージ制御弁11が開制御され、エンジン1の吸入負圧がキャニスタ7に作用する結果、新気導入口9から導入される新気によってキャニスタ7に吸着されていた蒸発燃料が脱離され、この脱離した蒸発燃料を含むパージガスがパージ通路10を通って吸気管3内に吸入され、その後、エンジン1の燃焼室内で燃焼処理される。
【0022】
また、前記キャニスタ7の新気導入口9には、後述するリーク診断時に新気導入口9を閉塞するための電磁弁14が介装されている。
前記電磁弁14は、非通電時に全閉となる常閉型の電磁弁である。
【0023】
前記コントロールユニット20(制御装置)は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、各種センサから信号が入力される。
【0024】
前記各種センサとしては、エンジン1の回転に同期してクランク角信号を出力するクランク角センサ21、エンジン1の吸入空気量を計測するエアフローメータ22、車速を検出する車速センサ23、燃料タンク内5の圧力を検出する圧力センサ24、燃料タンク5内の温度を検出するタンク内温度センサ25が設けられている。
【0025】
尚、エンジン1で駆動される発電機構が設けられ、該発電機構で充電されるバッテリ(図示省略)を電源として、前記コントロールユニット20が動作するようになっている。
【0026】
ここにおいて、コントロールユニット20は、エンジン運転条件に基づいて燃料噴射弁4の作動を制御し、また、エンジン運転条件に基づいてパージ制御弁11の作動を制御する。
【0027】
更に、コントロールユニット20は、前記蒸発燃料処理装置の処理経路におけるリークの有無を診断するリーク診断機能を有している。
但し、前記リーク診断機能を有するコントロールユニットを、前記コントロールユニット20とは別体に設ける構成であっても良い。
【0028】
前記リーク診断は、エンジン1の停止後におけるタンク内圧の変化に基づいて行われる。
エンジン1の停止に伴う非通電によって前記パージ制御弁11及び電磁弁14が閉状態になると、燃料タンク2,蒸発燃料導入通路6,キャニスタ7,パージ通路10内の空間が閉塞空間とされる。
【0029】
ここで、ガソリン蒸気の温度が下がるときの凝縮により、前記閉塞空間内の圧力(タンク内圧)が減圧されることになり、該減圧によって圧力が負圧になればリーク無しを判定し、負圧にならない場合にリーク有りの判定を行う。
【0030】
前記リーク診断においては、エンジン1停止後にタンク内圧をサンプリングする必要があるが、エンジン停止中は発電機構が働かずにバッテリが充電されないため、エンジン停止中の消費電力が多いと、コントロールユニット20及び各種センサの電源であるバッテリ電圧を低下させることになる。
【0031】
ここで、前記バッテリは、スタータの電源としても用いられるので、バッテリ電圧の低下は、エンジン1の再始動性の悪化を招くことになってしまう。
そこで、本実施形態では、図2のフローチャートに示すようにして、リーク診断が行われるエンジン停止中における消費電力を低減するようにしてある。
【0032】
図2のフローチャートは、イグニッションキーがOFFされることで実行され、まず、ステップS1では、診断条件が成立しているか否かを判断する。
前記診断条件として、圧力センサ24が故障していないこと、バッテリ電圧が所定電圧以上であることなどを判断する。
【0033】
診断条件が成立していない場合には、ステップS12,ステップS13へ進んで、センサへの電源供給を停止させると共に、コントロールユニット20(CPU)を停止モード又は低消費電力モードへ移行させる。
【0034】
一方、診断条件が成立している場合には、ステップS2へ進み、タンク内圧のサンプリング周期として予め設定された短周期を設定する。
そして、ステップS3では、前記短周期毎に圧力センサ24で検出されるタンク内圧のデータ(検出データ)をサンプリングすることで、エンジン停止直後の燃料の蒸気圧によるタンク内圧力上昇を検出する。
【0035】
ステップS4では、タンク内圧の上昇が停止したか否かを判別することで、ガソリン蒸気の温度が下がるときの凝縮により、タンク内圧が減圧され始めたか否かを判断する(図3参照)。
【0036】
ステップS4で、タンク内圧の上昇が停止したことが判別されると、ステップS5へ進み、タンク内圧のサンプリング周期として予め設定された長周期を設定する。
【0037】
そして、ステップS6では、電源・センサ特性の立ち上がり時間分(応答遅れ分)に相当する先行電源投入時間を設定する。
前記電源特性の立ち上がり時間分とは、電源供給の開始制御に対して、実際にセンサに供給される電源の応答遅れ分の時間であり、更に、センサ特性の立ち上がり時間分とは、電源供給から圧力センサ24が所期の検出特性を示すまでの応答遅れ分の時間である。
【0038】
そして、前記先行電源投入時間とは、サンプリングタイミングからどれだけ前の時点から圧力センサ24に対する通常の電源供給を開始させるかを示す。
即ち、サンプリングタイミングから前記先行電源投入時間だけ前の時点から圧力センサ24に対する電源供給を開始させれば、サンプリングタイミングにおいては、前記圧力センサ24に対して所期電源が供給され、かつ、前記圧力センサ24が所期の特性で圧力を検出することになる。
【0039】
前記先行電源投入時間は固定値であっても良いし、また、温度条件や電源電圧などに応じて可変に設定させる構成であっても良い。
ステップS6で前記先行電源投入時間を設定すると、ステップS7へ進んで、一旦、圧力センサ24に対する電源供給を停止させる。
【0040】
ステップS8では、前記ステップS5で設定されるサンプリング周期に従ったサンプリングタイミングよりも前記先行電源投入時間だけ前の時点であるか否かを判別する。
【0041】
そして、サンプリングタイミングよりも前記先行電源投入時間だけ前の時点になると、ステップS9へ進み、圧力センサ24への電源供給を開始させる。
ステップS10では、タンク内圧のサンプリングが終了したか否かを判別する。
【0042】
ここで、タンク内圧のサンプリングが終了するまで電源供給状態を保持させ、サンプリングが終了すると、ステップS11へ進む。
ステップS11では、診断終了条件になったか否かを判別する。
【0043】
具体的には、タンク内圧が所定の負圧値よりも減圧されるか、又は、予め設定された診断時間が経過したときに、診断終了条件になったと判断する。
ここで、タンク内圧が所定の負圧値よりも減圧されたときには、リーク無しと判定され、所定の診断時間が経過してもタンク内圧が所定の負圧値よりも減圧されないときには、リーク穴有りと判定されることになる。
【0044】
診断終了条件が成立しないときには、ステップS7へ戻って、圧力センサ24への電源供給を停止させる。
即ち、診断終了条件が成立するまでは、ステップS5で設定されるサンプリング周期に従ったサンプリングタイミングよりも前記先行電源投入時間だけ前の時点で、圧力センサ24への電源供給を開始させ、サンプリング終了後、圧力センサ24への電源供給を停止させる処理を繰り返す(図3参照)。
【0045】
換言すれば、サンプリング終了後に圧力センサ24への電源供給を停止されると、次のサンプリングタイミングよりも前記先行電源投入時間だけ前の時点になるまでの間、圧力センサ24は電源供給停止状態に保持される。
【0046】
従って、タンク内圧のサンプリングを行わない間に、圧力センサ24に対して電源を供給する無駄が解消され、診断中における圧力センサ24の消費電力を低減できる。
【0047】
ステップS11で診断終了条件になったことが判別されると、ステップS12へ進み、圧力センサ24への電源供給を停止させ、ステップS13へ進んで、コントロールユニット20(CPU)を停止モード又は低消費電力モードへ移行させる。
【0048】
これにより、エンジン停止後のリーク診断の終了後も、コントロールユニット20が多くの電力を消費することが回避され、センサにおける消費電力の低減と相まって、エンジン停止中における消費電力を効果的に低減できる。
【0049】
尚、上記実施形態では、サンプリング周期間で圧力センサ24に対する電源供給を完全に遮断する構成としたが、図4に示すように、圧力センサ24に対する電源供給を低レベルで継続させつつ、サンプリングタイミングよりも先行電源投入時間だけ前の時点で、圧力センサ24への電源供給を完全に復帰させる構成とすることができる。
【0050】
この場合も、サンプリング周期間での電源供給レベルが抑制される結果、圧力センサ24での消費電力を低減でき、また、サンプリング周期間においても電源が供給され続けるから、前記先行電源投入時間が短くなり、結果、サンプリング毎に電源を供給している時間も短くすることが可能である。
【0051】
更に、上記実施形態では、圧力センサ24で検出されるタンク内圧に基づいてリーク診断を行わせる構成としたが、タンク内圧とタンク内温度との双方を検出させ、これらの相関に基づいてリーク診断を行わせる構成であっても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、タンク内圧が所定の負圧値よりも減圧されるか(リーク無し判定時)、又は、予め設定された診断時間が経過したとき(リーク有り判定時)に、サンプリング処理を終了させる構成としたが、予め設定された時間だけタンク内圧(及びタンク内温度)のサンプリングして保存し、再始動後に保存されているデータに基づきリーク診断(演算処理)を行わせる構成とすることができる。
【0054】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0057】
(イ)請求項2記載の車両の制御装置において、
前記所定の応答遅れ時間を、電源電圧及び/又は温度に応じて可変に設定することを特徴とする車両の制御装置。
【0058】
かかる構成によると、電源・センサの立ち上がり特性が、電源電圧や温度に影響されて変化するのに対応して、必要最小限の応答遅れ時間が設定でき、これにより圧力センサに電源を供給している時間を極力短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における機関のシステム構成図。
【図2】実施の形態におけるリーク診断制御を示すフローチャート。
【図3】実施の形態におけるリーク診断制御の特性を示すタイムチャート。
【図4】センサへの給電を抑制する実施形態を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関),2…スロットル弁,3…吸気管,4…燃料噴射弁,5…燃料タンク,6…蒸発燃料導入通路,7…キャニスタ,8…吸着材,9…新気導入口,10…パージ通路,11…パージ制御弁,14…電磁弁,20…コントロールユニット,21…クランク角センサ,22…エアフローメータ,23…車速センサ,24…圧力センサ,25…タンク内温度センサ
Claims (3)
- 燃料タンクからの蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置における処理経路を、エンジン停止後に閉塞し、該閉塞空間内の圧力を圧力センサで検出し、前記閉塞空間が温度低下に伴って減圧されるときに前記圧力センサで検出される圧力に基づいて、前記処理経路におけるリークの有無を診断する車両の制御装置であって、
エンジン停止後に前記圧力センサの検出データを周期的にサンプリングするときに、エンジン停止直後の圧力上昇期間に比べて、圧力低下時のサンプリング周期を長く設定すると共に、前記検出データのサンプリングから次のサンプリングまでの間において、前記圧力センサへの電源供給を停止又は抑制することを特徴とする車両の制御装置。 - 前記圧力センサへの通常給電を、サンプリングタイミングよりも所定の応答遅れ時間分だけ早く開始させ、サンプリング終了後に前記圧力センサへの給電を停止又は抑制させ、次の通常給電開始までの間、給電の停止又は抑制状態を保持させることを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
- 前記制御装置が、前記リーク診断の終了後に、停止又は低消費電力モードに移行することを特徴とする請求項1又は2記載の車両の制御装置。
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