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JP4640133B2 - 蒸発燃料処理装置のリーク診断装置 - Google Patents

蒸発燃料処理装置のリーク診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の蒸発燃料処理装置のリーク診断装置に関する。
内燃機関に装備される蒸発燃料処理装置は、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタに導いて一時的に吸着させ、該キャニスタに吸着された蒸発燃料を新気導入口から導入される新気と共にパージバルブを介して内燃機関の吸気系に吸入させることによって、蒸発燃料の外気への放散を防止するようにしている。
このような蒸発燃料処理装置では、燃料タンクからキャニスタを経てパージバルブに至るパージラインの配管に万一亀裂が生じたり、配管の接合部にシール不良が生じたりすると、蒸発燃料のリークを生じ、本来の放散防止効果を十分に発揮させることができなくなる。
これに対し、パージラインからの蒸発燃料のリークの有無を診断するリーク診断装置として、特許文献1に示されるような圧力変化を利用したものが提案されている。
これは、基本的には所定量の機関負圧を導入したのちにパージラインを密閉し、その内圧変化に基づいてリークの有無を判定するリークダウン検出という操作を行うものである。パージラインを密閉したのちも燃料タンクからの燃料蒸発が続いて内圧が変化するので、リークダウンの負圧変化を測定した後にいったんパージラインを大気圧に戻し、その後に再度密閉して大気圧からの内圧上昇を検出するベーパーモニタの処理を行うことで燃料蒸気の発生速度を計測し、その結果によりリークダウン時の圧力変化量を補正することでリーク検出精度を高めるようにしている。
特開平6−173789号公報
前記従来技術においては、パージラインに負圧を導入したときに燃料タンクが負圧の作用により変形を起こし、この変形が元に戻ろうとする作用がリーク検出精度に影響を及ぼすという問題が生じる。すなわち、リークダウン時にはパージラインに負圧が作用する状態下で内圧変化を計測するので燃料タンクの変形の影響は少ない。これに対して、ベーパーモニタ時には蒸気発生量を正確に計測するために予めパージライン内圧を確実に大気圧に初期化しておく必要があり、このときタンク変形が残っていると、燃料蒸発による圧力上昇と燃料タンクの復元による負圧とが相殺して正確な蒸気発生量を検出することが困難になり、リーク診断結果としてはリーク孔径を過大評価することになる。
本発明は、燃料タンクからの蒸発燃料を新気導入口を有するキャニスタに導いて一時的に吸着させ、該キャニスタに吸着された蒸発燃料を新気導入口から導入される新気と共にパージバルブを介して内燃機関の吸気系に吸入させる蒸発燃料処理装置において、燃料タンクからキャニスタを経てパージバルブに至るパージラインからの蒸発燃料のリークを診断するリーク診断装置である。
前記リーク診断装置は、前記キャニスタの新気導入口を開閉するカットバルブと、前記パージラインの圧力を検出する圧力検出手段とを備える。
また、前記リークダウンとベーパーモニタの操作を行う手段として、それぞれ第1圧力変化率計測手段と、第2圧力変化率計測手段とを設ける。
第1圧力変化率計測手段は、前記パージバルブを開弁すると共に前記カットバルブを閉弁して、前記パージラインに所定の負圧を導入後、前記パージバルブ及び前記カットバルブを共に閉弁して、負圧密閉状態のパージラインの第1の圧力変化率を計測する。
第2圧力変化率計測手段は、前記パージバルブを閉弁すると共に前記カットバルブを開弁して、前記パージラインを大気に開放したのち、前記パージバルブ及び前記カットバルブを共に閉弁して、大気密閉状態で所定時間内でのパージラインの第2の圧力変化率を計測する。
パージラインのリーク度合いは、リーク判定手段を備え、前記第1の圧力変化率と第2の圧力変化率との差に基づいて判定する。
本発明の特徴は、前記第2の圧力変化率計測手段を、前記パージバルブ及びカットバルブ閉弁後のパージラインの圧力上昇度合が所定の基準値を超えたときに第2の圧力変化率の計測を開始するように構成したことにある。
本発明によれば、第1の圧力変化率の計測を終了してパージラインを一時的に大気開放し、引き続き第2の圧力変化率の計測を開始するためにパージバルブ及びカットバルブを閉弁した直後から第2の圧力変化率を計測するのではなく、前記バルブ閉弁後のパージラインの圧力上昇度合いがある基準値を超えたときから第2の圧力変化率の計測を開始する。これにより、燃料タンク収縮分の負圧の影響を排除してから第2の圧力変化率の計測を開始できるので、燃料タンクの変形に関わらず精度の高いリーク診断結果が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すシステム図である。
内燃機関1の吸気系には、上流側から、エアクリーナ2、スロットル弁3、吸気マニホールド4が設けられている。燃料供給は、各気筒毎に設けた燃料噴射弁(図示せず)によりなされる。
蒸発燃料処理装置としては、燃料タンク5にて発生する蒸発燃料を蒸発燃料導入通路6により導いて一時的に吸着するキャニスタ7が設けられている。キャニスタ7は、容器内に活性炭などの吸着材8を充填したものである。
キャニスタ7には、新気導入口(大気開放口)9が形成されると共に、パージ通路10が導出されている。パージ通路10は、パージバルブ11を介して、スロットル弁3下流の吸気マニホールド4に接続されている。パージバルブ11は、エンジンコントロールユニット(以下ECUという)20から出力される信号により開弁するようになっている。
内燃機関1の停止中などに燃料タンク5にて発生した蒸発燃料は、蒸発燃料導入通路6によりキャニスタ7に導かれて、ここに吸着される。そして、内燃機関1が始動されて、所定のパージ許可条件が成立すると、パージバルブ11が開き、内燃機関1の吸入負圧がキャニスタ7に作用する結果、新気導入口9から導入される新気によってキャニスタ7に吸着されていた蒸発燃料が脱離され、この脱離した蒸発燃料を含むパージガスがパージ通路10を通って吸気マニホールド4内に吸入され、この後、内燃機関1の燃焼室内で燃焼処理される。
蒸発燃料処理装置のリーク診断装置の構成要素としては、キャニスタ7の新気導入口9に、これを開閉可能なカットバルブ12が設けられる。
ECU20は、本発明との関係では、第1圧力変化率計測手段、第2圧力変化率計測手段、リーク判定手段の各機能を担っている。ECU20では、所定のリーク診断条件にて、パージバルブ11及びカットバルブ12の開閉を制御しつつ、リーク診断を行う。このリーク診断のため、ECU20には、それぞれ圧力検出手段、燃料温度検出手段としての圧力センサ21、燃温センサ22からそれぞれ信号が入力されている。
圧力センサ21は、燃料タンク5からキャニスタ7を経てパージバルブ11に至るパージラインの圧力を検出すべく、キャニスタ7内に臨ませてある。燃温センサ22は、燃料温度を検出すべく、燃料タンク5内に臨ませてある。
次に、ECU20による蒸発燃料処理装置のリーク診断の基本的動作について、図2のフローチャートにより、図3のタイムチャートを参照しつつ、説明する。以下の説明またはフローチャート中で符号Sを付して示した数字は処理ステップ番号を表している。
S1では、リーク診断が未完了か否かを判定し、未完了の場合にS2へ進む。完了している場合は処理を終了する。
S2では、所定のリーク診断条件が成立しているか否かを判定する。ここで、運転条件や運転履歴から、蒸発燃料のパージを停止することが可能で、スロッシング影響(振動で生じる過剰な気化)が無く、かつ、吸気系に負圧が得られる条件のときに、リーク診断条件が成立するものとする。リーク診断条件が成立していない場合は、成立するのを待ち、成立した場合に、S3へ進む。
S3では、パージラインに負圧を導入するプルダウンの操作として、パージバルブ11を開弁すると共に、カットバルブ12を閉弁する(図3のA点)。
S4では、圧力センサ21により検出されるパージラインの圧力Pを読み込み、この圧力Pが所定の診断開始負圧DVP4に達したか否かを判定し、達した段階でS5以降の診断処理に進む。
S5では、診断のための第1の圧力変化率を測定する処理(前記リークダウン操作)を開始するため、パージバルブ11を閉弁すると共に、カットバルブ12を閉弁維持する(図3のB点)。これにより、パージラインは負圧密閉状態となる。この後、パージラインのリーク度合(リーク孔径)と、蒸発燃料の発生量とに応じて、次第にパージラインの圧力が上昇していく。
S6では、診断開始と同時に、診断時間タイマをリセットして計時を開始させる。
S7では、診断中の処理として、圧力センサ21により検出されるパージラインの圧力Pを読み込む。
S8では、診断時間タイマにより計測される診断時間Tが予め定めたリークダウン時間設定値T1に達したか否かを判定する。未達の場合は、S7へ戻る。
診断中は、S6〜S7を繰り返し実行し、リークダウン開始からの経過時間が前記設定値T1に達したとき(図3のC点)に、S8以降に進む。
S9では、前記リークダウン操作終了後、第2の圧力変化率を測定する処理(前記ベーパーモニタ処理)を開始するまでの遅れ時間DIRE12の設定を行う。このDIRE12は基本的に固定値であるが、例えばそのときの燃料タンクの変形量や内圧に応じて定まる可変的な値としてもよい。
S10では、前記リークダウンの間の圧力変化量を、計測終了時の圧力DVP5から開始時の圧力DVP4を減じることで求め、これを診断時間T1により除算して、第1の圧力変化率ΔP1=(DVP5−DVP4)/T1を求める。これは、リーク度合及び蒸発燃料発生量に応じた値となる。
S11では、パージラインを大気に開放するためにパージバルブ11を閉弁維持すると共に、カットバルブ12を開弁する。
S12では、前記大気開放処理と同時にタイマをリセットし、次いでS13にて大気開放からの経過時間が前記設定遅れ時間DIRE12に達したか否かを判定する。タイマ値TがDIRE12に達した時点でS14に進む(図3のD点)
S14では、パージバルブ11を閉弁維持すると共に、カットバルブ12を閉弁し、これにより第2の圧力変化率を測定するためのベーパーモニタの準備を開始する。このとき、パージラインは大気密閉状態となり、この後蒸発燃料の発生量に応じて、次第にパージライン圧力が上昇していく。
S15では圧力Pを計測してその単位時間当たりの変化率ΔPを演算し、次のS16にてΔPが所定の判定基準値DPsに達したか否かを判定する。前記変化率ΔPは、パージライン内の圧力の上昇傾向を判定するための目安とするためのものであり、したがって前記単位時間としては、第2の圧力変化率の測定時間T2に比較して非常に小さいことはもちろん、圧力上昇傾向を判定できる限度で短い時間を設定する。前記ΔP≧DPsの条件を満たしたときに次のS17以降のペーパーモニタの実質的な処理、すなわち第2の圧力変化率の計測に移る。
S17ではベーパーモニタ時間の計時のためにタイマTをリセットして計時を開始させる。
S18では、圧力センサ21により検出されるパージラインの圧力Pを読み込む。
S19では、タイマにより計測される診断時間Tが所定の診断時間T2に達したか否かを判定する。未達の場合は、S18へ戻る。
診断中は、S17〜S19を繰り返し実行し、診断時間がT2に達したとき(図3のE点)に、S19から、S20へ進む。
S20では、このときの圧力変化量を、計測終了時の圧力Pから開始時の圧力(大気圧)Paを減じることで求め、これを診断時間T2により除算して、第2の圧力変化率ΔP2を求める。これは、蒸発燃料発生量のみに応じた値となる。
S21では、第1の圧力変化率ΔP1から第2の圧力変化率ΔP2を減算することで、リーク度合(リーク孔径)にのみ依存する圧力変化率、すなわちリークレベルLVを求める。
S22では、リークレベルLVを所定値と比較することで、リークの有無を判定する。すなわち、リークレベルLVが所定値以上のときにリーク有りと判定し、所定値未満のときにリーク無しと判定する。
なお、フローでは省略したが、診断終了後は、パージバルブ11をパージ要求の有無により開弁又は閉弁する一方、カットバルブ12は開弁させる。
前記ペーパーモニタの処理では、S17以降の実質的な圧力変化率の計測に入る前に、単位時間当たりの圧力変化率ΔPが基準値DPsに達するまでの待ち時間を設定している。これによりベーパーモニタ処理に入ったときの燃料タンクの変形に原因する負圧の影響を排除してリーク診断を正確に行わせることが可能になる。次に、この点の詳細を図3に基づいて説明する。
図3において、リークダウンの後、大気開放時間(DIRE12)が経過してカットバルブ12を閉弁させると(D'点)、パージライン内は再び密閉状態となる。このとき燃料タンクの収縮変形が十分に復元していないと、その復元力による負圧が燃料蒸気による圧力上昇を相殺してしまうためパージラインの圧力はすぐには上昇せず不安定な状態となる。したがって、仮にこのような状態のままベーパーモニタのための圧力測定を開始すると、所定の計測時間T2が経過してベーパーモニタを終了するときの圧力が相対的に低くなり、結果として第2の圧力変化率ΔP2について過小方向に誤差を生じることになる。図のD'点〜E'点の間の破線で示した特性がこのような誤差を生じた状態を示している。
これに対して、本発明ではパージライン内の単位時間あたりの圧力変化率ΔPに基づき、燃料蒸気による圧力上昇傾向が生じたことを検出してから、そのときの圧力を初期圧力(Pa)としてベーパーモニタを開始するので、燃料タンクの変形に原因する負圧の影響を排除して、正確に第2の圧力変化率を計測することができる。図のD〜E点の間の実線で示した特性が本発明による特性を示している。したがって、本発明によれば、第2の圧力変化率を用いたリーク診断においても精度の高い判定結果が得られるのである。
なお、実施形態では第2の圧力変化率の計測開始をパージラインの圧力変化率ΔPに基づいて判定するようにしているが、パージラインの圧力上昇度合を判定する基準としてはこれに限られるものではなく、パージラインの圧力値を検出し、該圧力値が所定の基準値、例えば大気圧を超えたときに第2の圧力変化率の計測を開始するようにしても、同様にしてリーク診断の精度を高めることが可能である。
本発明の一実施形態を示すシステム図 リーク診断のフローチャート リーク診断のタイムチャート
符号の説明
1 内燃機関
2 エアクリーナ
3 スロットル弁
4 吸気マニホールド
5 燃料タンク
6 蒸発燃料導入通路
7 キャニスタ
8 活性炭
9 新気導入口
10 パージ通路
11 パージバルブ
12 カットバルブ
20 ECU
21 圧力センサ(圧力検出手段)

Claims (4)

  1. 燃料タンクからの蒸発燃料を新気導入口を有するキャニスタに導いて一時的に吸着させ、該キャニスタに吸着された蒸発燃料を新気導入口から導入される新気と共にパージバルブを介して内燃機関の吸気系に吸入させる蒸発燃料処理装置において、燃料タンクからキャニスタを経てパージバルブに至るパージラインからの蒸発燃料のリークを診断するリーク診断装置であって、
    前記キャニスタの新気導入口を開閉するカットバルブと、
    前記パージラインの圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記パージバルブを開弁すると共に前記カットバルブを閉弁して、前記パージラインに所定の負圧を導入後、前記パージバルブ及び前記カットバルブを共に閉弁して、負圧密閉状態のパージラインの第1の圧力変化率を計測する第1圧力変化率計測手段と、
    前記パージバルブを閉弁すると共に前記カットバルブを開弁して、前記パージラインを大気に開放したのち、前記パージバルブ及び前記カットバルブを共に閉弁して、大気密閉状態で所定時間内でのパージラインの第2の圧力変化率を計測する第2圧力変化率計測手段と、
    前記第1の圧力変化率と前記第2の圧力変化率との差に基づいてリーク度合を判定するリーク判定手段とを備え、
    前記第2の圧力変化率計測手段は、前記パージバルブ及びカットバルブ閉弁後のパージラインの圧力上昇度合が所定の基準値を超えたときに第2の圧力変化率の計測を開始するように構成したこと
    を特徴とする蒸発燃料処理装置のリーク診断装置。
  2. 請求項1において、前記第2の圧力変化率計測手段は、前記圧力上昇度合として、パージラインの単位時間当たりの圧力変化率を検出するように構成した蒸発燃料処理装置のリーク診断装置。
  3. 請求項1において、前記第2の圧力変化率計測手段は、前記圧力上昇度合として、パージラインの圧力値を検出するように構成した蒸発燃料処理装置のリーク診断装置。
  4. 請求項1において、前記第2の圧力変化率計測手段は、前記パージラインを大気に開放したのち、所定時間が経過した後に、前記パージバルブ及び前記カットバルブを閉弁するように構成した蒸発燃料処理装置のリーク診断装置。
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