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JP3685969B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置 Download PDF

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JP3685969B2
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系に放出する内燃機関の蒸発燃料処理装置に関し、特に、燃料タンクから内燃機関の吸気系に至る蒸発燃料排出抑止系における蒸発燃料の漏れの有無を判定する機能を有する内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、燃料タンクと、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと、キャニスタと燃料タンクとを連通するチャージ通路と、キャニスタとエンジン吸気系とを接続するパージ通路等とを備えて構成された蒸発燃料処理装置の漏れの有無を判定する方法として、例えば特開平7−12016号公報に開示された方法が知られている。
この方法では、通常のエンジン運転中において、検出されたタンク内圧が大気圧よりも所定値以上負圧であれば、蒸発燃料処理装置から蒸発燃料の漏れがなく、正常な条件下でパージが行われていると判定している。一方、正常であると判定されなかった場合、例えば燃料タンクの内圧が大気圧近傍で所定時間の間停滞しているような場合には、漏れの可能性があると判断して負圧診断処理を作動させている。この負圧判断処理では、蒸発燃料処理装置を含む排出抑止系を負圧状態にして、この負圧保持能力から漏れの有無を診断している。
【0003】
また、例えば特開平9−317572号公報に開示された蒸発燃料処理装置のように、燃料タンク及びキャニスタを連通するチャージ通路の圧力調整弁をバイパスするバイパス弁を備え、このバイパス弁から燃料タンク側の燃料タンク系及びバイパス弁からキャニスタ側のキャニスタ系の漏れの有無を個別に判定する蒸発燃料処理装置が知られている。
燃料タンク系の漏れの有無の判定では、内燃機関の始動直後にバイパス弁を開弁して大気圧に向かわせる状態にして、燃料タンク内の圧力の変動が所定値より大きいならば、燃料タンク系に漏れが無く正常であると判定している。すなわち燃料タンク系に漏れがあるならば、始動前の燃料タンクの圧力は大気圧にほぼ等しいので、圧力の変動は小さくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来技術による蒸発燃料処理装置では、内燃機関の始動時に、例えばこの時点での燃料タンク内の圧力値が記憶されたり、漏れの有無を判定する処理にて参照される減算タイマーのタイマー値に所定の初期値がセットされたり、内燃機関の始動開始からの経過時間や消費燃料の積算量等の各種のパラメータが初期化される。
ところで、車両の運転時、例えばアイドル運転状態においては、内燃機関を停止させて、不要なアイドル運転を禁止して燃料の節減を図る制御、いわゆるアイドル停止が実施される場合がある。
こうしたアイドル停止と内燃機関の再始動が繰り返されると、漏れの有無を判定する処理にて参照される各種のパラメータが、内燃機関の再始動毎に初期化されてしまうという問題が生じる。すなわち、これらのパラメータの中には、例えば内燃機関の最初の始動時、つまり冷間始動時の値が必要とされるものが存在するため、漏れ判定を正確に行うことが困難になってしまう恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、内燃機関の最初の始動後に、内燃機関の停止と再始動が繰り返された場合でも、確実に漏れ判定を行うことが可能な内燃機関の蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の内燃機関の蒸発燃料処理装置は、内燃機関(例えば、後述する実施の形態での内燃機関11)と、燃料タンク(例えば、後述する実施の形態での燃料タンク51)と、この燃料タンク内で発生した蒸発燃料を処理する蒸発燃料排出抑止装置(例えば、後述する実施の形態での蒸発燃料排出抑止装置12)とを備えてなる内燃機関の蒸発燃料処理装置(例えば、後述する実施の形態での内燃機関の蒸発燃料処理装置10)であって、前記内燃機関の蒸発燃料処理装置からの漏れの有無を検出する漏れ検出手段(例えば、後述する実施の形態でのステップS210〜ステップS223及びステップS306〜ステップS311及びステップS404〜ステップS421)と、前記内燃機関の停止条件を判定する停止判定手段(例えば、後述する実施の形態でのECU13)と、前記停止判定手段により前記停止条件が成立したとき前記内燃機関を停止する停止手段(例えば、後述する実施の形態でのECU13)と、前記停止手段による停止後に前記内燃機関を始動する再始動手段(例えば、後述する実施の形態でのECU13)と、前記停止手段による前記内燃機関の停止時に前記漏れ検出手段による検出の履歴を記憶する記憶手段(例えば、後述する実施の形態でのECU13)と、前記内燃機関を始動させるイグニッションスイッチのオン時のみに、前記記憶手段にて記憶された前記履歴を初期化する初期化手段(例えば、後述する実施の形態でのステップS206〜ステップS208及びステップS303及びステップS403)と、前記再始動手段による前記内燃機関の始動時に、前記記憶手段に記憶された前記履歴を初期化することを禁止する禁止手段(例えば、後述する実施の形態でのステップS200、ステップS402)とを備えたことを特徴としている。
【0006】
上記構成の内燃機関の蒸発燃料処理装置によれば、漏れ検出手段による検出の履歴を初期化する初期化手段は、内燃機関を始動させるイグニッションスイッチのオン時にのみ動作するので、例えば内燃機関の最初の始動後に、アイドル停止等によって内燃機関の停止と再始動が繰り返される場合であっても、再始動毎に検出の履歴を初期化することが防止され、内燃機関の蒸発燃料処理装置の漏れの有無を確実に判定することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内燃機関の蒸発燃料処理装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置10の構成図である。
本実施の形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置10は、例えば多気筒のエンジン等をなす内燃機関11と、蒸発燃料排出抑止装置12と、ECU(電子制御ユニット)13とを備えて構成されている。
【0008】
内燃機関11は、例えば4気筒を有するエンジンであって、内燃機関11に連結された吸気管21の途中にスロットル弁22が備えられており、さらに、このスロットル弁22にはスロットル弁開度(θTH)センサ23が備えられており、このスロットル弁開度センサ23はスロットル弁22の開度に応じた電気信号を出力してECU13に供給している。
燃料噴射弁24は、吸気管21の途中であって内燃機関11とスロットル弁22との間の吸気弁(図示略)の上流側に各気筒毎に設けられている。また、各燃料噴射弁24は燃料供給管25を介して燃料タンク51に接続されており、燃料供給管25の途中には燃料ポンプ27が設けられている。
【0009】
燃料噴射弁24はECU13に電気的に接続されており、このECU13からの電気信号により燃料噴射時間、すなわち燃料噴射弁24の開弁時間が制御されている。
また、燃料噴射弁24と燃料ポンプ27との間にはレギュレータ(図示略)が備えられており、吸気管21から取り込まれる空気の圧力と燃料供給管25を介して供給される燃料の圧力との間の差圧を一定にするように動作し、燃料の圧力が高すぎる場合には、リターン管(図示略)を介して余分な燃料を燃料タンク51に戻すようになっている。そして、スロットル弁22を介して取り込まれた空気は、吸気管21を介して燃料噴射弁24から噴射される燃料と混合されて内燃機関11のシリンダに供給される。
【0010】
吸気管21内でスロットル弁22の下流(内燃機関11側)には、吸気管内絶対圧(PBA)センサ28が備えられており、この吸気管内絶対圧センサ28により吸気管21内の絶対圧は電気信号に変換されてECU13に供給されている。さらに、吸気管内絶対圧センサ28の下流に吸気温(TA)センサ29が備えられており、吸気温の測定値に対する電気信号がECU13に供給されている。内燃機関11に備えられた水温(TW)センサ30は、例えばサーミスタ等からなり、内燃機関11の冷却水温度を測定して対応する電気信号をECU13に出力する。また、回転数(NE)センサ31は、内燃機関11の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲に取り付けられている。NEセンサ31は内燃機関11の各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し、所定のクランク角度位置、例えば4気筒エンジンではクランク角度180°毎にTDC信号パルスを出力しており、この各信号パルスはECU13に供給されている。
【0011】
排気管32は内燃機関11の各気筒に接続されて排気管集合部(図示略)を構成している。排気管32内にはO2センサ33が備えられており、このO2センサ33は、例えば比例型の酸素濃度検出器をなす比例型空燃比(LAF)センサとされており、排気ガス中の酸素濃度にほぼ比例する電気信号を出力してECU13に供給している。
さらに、O2センサ33の下流には、排気ガス中のHC、CO、NOX等の成分を浄化する触媒、例えば三元触媒(TWC)34が備えられている。
【0012】
ECU13は、内燃機関11の制御を行うための演算を実行するCPU41と、各種の演算プログラム及び演算データを格納するROM42と、CPU41による演算領域を確保すると共に、内燃機関11から入力されるデータ及び内燃機関11に送出する指令等を一時的に記憶するためのRAM43と、内燃機関11から入力されるデータを受信する入力回路44と、内燃機関11に制御指令を送出する出力回路45とを備えて構成されている。
また、ECU13には、例えば内燃機関11が搭載された車両の走行速度VPを検出する車速センサ46、バッテリ電圧VBを検出するバッテリ電圧センサ47、大気圧PAを検出する大気圧センサ48が接続されており、これらのセンサの検出信号はECU13に供給されている。
各センサからの入力信号は入力回路44に渡され、入力回路44は、入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正して、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する。そして、CPU41は、変換されたデジタル信号を処理して、ROM42に格納されている演算プログラムに従って演算を実行し、出力回路45を介して、例えば車両の各アクチュエータ(図示略)に送られる制御信号を発生する。
【0013】
蒸発燃料排出抑止装置(以下、単に排出抑止系と呼ぶ)12は、燃料タンク51と、チャージ通路52と、キャニスタ53と、パージ通路54とを備えて構成されており、燃料タンク51からの蒸発燃料の排出を制御している。
なお、以下においては、排出抑止系12をチャージ通路52のバイパス弁55を境にして便宜上2つの系に分けており、燃料タンク51を含む側をタンク系と呼び、キャニスタ53を含む側をキャニスタ系と呼ぶ。
【0014】
燃料タンク51は、チャージ通路52を介してキャニスタ53に接続されており、チャージ通路52には、第1分岐部52a及び第2分岐部52bが備えられている。そして、両分岐部52a,52bと、燃料タンク51との間のチャージ通路52には、チャージ通路52内の圧力と大気圧との差圧を検出する内圧センサ56が備えられている。
なお、定常状態においてはチャージ通路52内の圧力は燃料タンク51内の圧力とほぼ等しいので、内圧センサ56により検出された圧力を、燃料タンク51内の圧力(以下、タンク内圧と呼ぶ)とみなすことができる。
【0015】
第1分岐部52aにはタンク内圧を調整するための二方向弁57が設けられており、二方向弁57は2つの機械式の正圧弁57a及び負圧弁57bを備えている。
正圧弁57aはタンク内圧が大気圧より、例えば2kPa程度高くなったときに開弁し、この開弁状態において蒸発燃料がキャニスタ53に吸着される。
負圧弁57bは、タンク内圧がキャニスタ53側の圧力よりも1.3kPa〜2kPa程度小さくなったときに開弁して、この開弁状態においてキャニスタ53に吸着された蒸発燃料が燃料タンク51に戻される。
また、第2分岐部52bにはバイパス弁55が設けられている。バイパス弁55は、通常は閉弁状態とされ、後述するように、排出抑止系12の漏れの有無を検出する際に、ECU13からの制御信号により開閉が制御される。
【0016】
キャニスタ53は、燃料蒸気を吸着する活性炭を内蔵し、通路58aを介して大気に連通する吸気口(図示略)を有している。通路58aの途中には、例えば電磁弁をなすベントシャット弁58が設けられている。ベントシャット弁58は、通常は開弁状態に保持され、後述するように、排出抑止系12の漏れの有無を検出する際に、ECU13からの制御信号により開閉が制御される。
キャニスタ53は、パージ通路54を介して吸気管21のスロットル弁22の下流側(内燃機関11側)に接続されており、パージ通路54の途中には、例えば電磁弁をなすパージ制御弁59が設けられている。そして、キャニスタ53に吸着された蒸発燃料が、パージ制御弁59を介して内燃機関11の吸気系にパージされる。
なお、パージ制御弁59は、ECU13からの制御信号に基づいてオン−オフデューディ比を変更することにより、パージ流量を連続的に制御することができるようされている。
【0017】
本実施の形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置10は上記構成を備えており、次に、内燃機関の蒸発燃料処理装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
「タンクモニタ処理」
先ず、タンク内圧をモニターするタンクモニタ処理について説明する。ここで、図2及び図3はタンクモニタ処理を示すフローチャートである。
このタンクモニタ処理は、内燃機関11の冷間始動時においてタンク系に漏れがあるか否かを判定するための処理であり、所定時間(例えば80msec)毎に実行される。
【0019】
先ず、図2に示すステップS200においては、アイドル停止フラグF_IDLSTPのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。
なお、アイドル停止とは、ECU13により内燃機関11への燃料供給を停止して内燃機関11を停止させて、不要なアイドル運転を禁止して燃料の節減を図る処理である。
このアイドル停止フラグF_IDLSTPのフラグ値に「1」がセットされる場合としては、例えば車両の減速時等に車速Vが所定車速(ゼロも含む)に達した後、シフトポジションがニュートラル又はP(駐車)ポジションにある場合、或いはシフトポジションがD(前進)ポジション又はR(後進)ポジションにあってもブレーキペダルが踏まれている場合等である。ただし、内燃機関11を停止させてもスタータモータを作動させて内燃機関11を再始動できるか否かを判定して、電力の余裕がない場合には内燃機関11を停止させずにアイドル運転状態を維持する。
なお、アイドル停止状態から内燃機関11が再始動される場合としては、例えばクラッチスイッチがON状態になってシフトポジションがインギアになった場合等であり、ECU13によりスタータモータが自動的に駆動されて内燃機関11が始動する。
【0020】
ステップS200における判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち内燃機関11がアイドル停止中又はアイドル停止後の再始動であると判定された場合には、後述するステップS210以下の処理を行う。
一方、この判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわちイグニッションスイッチのオン時であって内燃機関11が最初の始動時、或いは運転中であると判定された場合には、ステップS201に進む。
【0021】
ステップS201では、内燃機関11が始動モードであるか否かを判別する。始動モードであるか否かは、前回のTDC判別信号の発生から今回のTDC判別信号の発生までの経過時間から算出した内燃機関11の回転数NEにより判別し、回転数NEが始動時回転数(例えば400rpm)以下であるときに始動モードであると判別する。
この判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち内燃機関11が始動モードでない場合には、後述するステップS210以下の処理を行う。
【0022】
一方、ステップS201における判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち内燃機関11が始動モードであるときは、ステップS202に進み、内燃機関11に何らかのフェールが発生していないことを示すフェイルセーフ(F/S)が検知済みであるか否かを判別する。
この判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわちフェイルセーフが検知済みであるときは、燃料タンク51の漏れ検出の実行可否を判別するタンクモニタ実行許可フラグFPTANINのフラグ値に「0」をセットして(ステップS209)、一連の処理を終了する。すなわちタンクモニタ実行許可フラグFPTANINをイニシャライズしている。
【0023】
一方、ステップS202における判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわちフェイルセーフが検知済みでないときは、吸気温TAが所定の下限値TWASTL及び上限値TWASTHの範囲内にあるか否かを判別する(ステップS203)。
この判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS209以下の処理を行う。一方、判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち吸気温TAが所定の範囲内にある場合には、水温TWが所定の下限値TWASTL及び上限値TWASTHの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS204)。
この判定結果が「NO」であると判定された場合にはステップS209以下の処理を行う。一方、判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち水温TWが所定の範囲内にあるときは、吸気温TAと水温TWとの差の絶対値が基準値DTWASTより小さいか否かを判別する(ステップS205)。
【0024】
この判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS209以下の処理を行う。一方、判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち吸気温TA及び水温TWが、いずれも所定の下限値TWASTL及び上限値TWASTHの範囲内にあり、且つ吸気温TAと水温TWとの差の絶対値が、基準値DTWASTより小さい場合、つまり冷間始動時にのみ、ステップS206に進む。
ステップS206では、タンクモニタ実行許可フラグFPTANINのフラグ値に「1」を設定し、この時点でのタンク内圧PTANKを、内燃機関11の始動時における燃料タンク51内の始動時初期圧PTANSTにセットとして(ステップS207)、タンク内圧監視タイマtmPTINに所定時間TPTINをセットして(ステップS208)、本処理を終了する。
【0025】
また、図3に示すステップS210においては、タンクモニター処理が終了したことを「1」で示すタンクモニタ終了フラグFDONE90Aのフラグ値が「0」に設定されているか否かを判定する。この判定の結果、タンクモニタ終了フラグFDONE90Aのフラグ値が「1」に設定されているときは、一連の処理を終了する。
一方、タンクモニタ終了フラグFDONE90Aのフラグ値が「0」に設定されているときは、ステップS211に進む。
【0026】
ステップS211では、タンクモニタ実行許可フラグFPTANINのフラグ値が「1」に設定されているか否かを判定する。
この判定の結果、タンクモニタ実行許可フラグFPTANINのフラグ値が「0」に設定されているときは、本処理を終了する。
一方、タンクモニタ実行許可フラグFPTANINのフラグ値が「1」に設定されているときは、ステップS212に進む。
【0027】
ステップS212では、減算タイマであるタンク内圧監視タイマtmPTINがゼロに達したか否かを判定する。
この判定の結果、タンク内圧監視タイマtmPTINが減算されてゼロに達していないときは、この時点でのタンク内圧PTANKを、バイパス弁55の開弁前での燃料タンク51内の圧力、つまり開弁前圧力PTANINIにセットして(ステップS213)、バイパス弁開制御タイマtmPTCUREに所定時間TPTCUREをセットして(ステップS214)、一連の処理を終了する。
なお、所定時間TPTCUREは、例えばバイパス弁55の開弁によりタンク内圧PTANKが大気圧に等しくなるまでに要する時間である。
【0028】
一方、ステップS212における判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわちタンク内圧監視タイマtmPTINが減算されてゼロに達している場合には、ステップS215に進み、開弁前圧力PTANINIと、始動時初期圧PTANSTとの差の絶対値AB1が、基準値P1よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち絶対値AB1が基準値P1よりも大きいときは、タンク系に漏れが無く正常であることを「1」で示すタンク系正常判定フラグFOK90Aのフラグ値に「1」を設定し(ステップS216)、タンクモニタ終了フラグFDONE90Aのフラグ値に「1」を設定して(ステップS217)、本処理を終了する。
これにより、タンク系の正常判定が早期に得られ、後述するステップS218以下のバイパス弁55の開弁によるタンク系の異常の有無の判定処理を実行する必要がなくなる。
【0029】
一方、ステップS215における判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち絶対値AB1が基準値P1以下であるときは、ステップS218に進み、バイパス弁開制御タイマtmPTCUREの値が減算されてゼロに達しているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合は、一連の処理を終了する。一方、この判定結果が「NO」の場合は、ステップS219に進む。
【0030】
ステップS219では、バイパス弁55を開弁し、ステップS220に進んで、この時点でのタンク内圧PTANKと、開弁前圧力PTANINIとの差の絶対値AB2が、基準値DPTANIN(例えば266.6Pa)以上であるか否かを判定する。
この判定の結果、絶対値AB2が基準値DPTANIN以上であるときは、タンク系正常判定フラグFOK90Aのフラグ値に「1」を設定して(ステップS221)、タンクモニタ終了フラグFDONE90Aのフラグ値に「1」を設定して(ステップS223)、本処理を終了する。
一方、ステップS220における判定の結果、絶対値AB2が基準値DPTANIN未満であるときは、タンク系に漏れがあり異常であることを「1」で示すタンク系異常判定フラグFNG90Aのフラグ値に「1」にセットして(ステップS222)、ステップS223に進む。
【0031】
本実施の形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置10によれば、タンクモニタ処理において、内燃機関11の冷間始動時に、バイパス弁55を開弁すると燃料タンク51内の圧力が大気圧になることを利用して、内圧センサ56の検出値の変化に基づいてタンク系の漏れの有無を判定しており、所定時間TPTCUREが経過するまでの間に、タンク内圧PTANKが所定の基準値DPTANIN以上に変化した場合は、タンク系に漏れがなく正常であると判定できる。
ここで、車両がアイドル停止状態に移行して、内燃機関11の運転が一旦停止された後に再始動された場合であっても、ステップS202〜ステップS209における初期化の処理を実行することはなく、例えば始動時初期圧PTANSTやタンク内圧監視タイマtmPTIN等をリセットしてしまうことが防止されている。しかもステップS210以降の診断の処理を継続することができる。
【0032】
次に、上述した実施の形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置10の動作の変形例として、始動後オープン処理及び内圧監視モニター処理からなる排出抑止系12の漏れの有無の判定処理について添付図面を参照しながら説明する。図4は始動後オープン処理を示すフローチャートであり、図5及び図6は内圧監視モニター処理を示すフローチャートであり、図7は図5に示すバイパス弁オープン判定の処理を示すフローチャートであり、図8は図6に示すキャンセル処理を示すフローチャートである。
【0033】
「始動後オープン処理」
始動後オープン処理は、内燃機関11の始動直後にバイパス弁55を開弁して排出抑止系12を大気圧に開放し、この時、タンク内圧PTANKが大気開放前の値から所定値以上変動すれば、タンク系に漏れがなく正常であると判定する。
【0034】
先ず、図4に示すステップS301においては、内燃機関始動後タイマT01ACRSTのタイマ値が、始動後PTANKセンサー安定待ちタイマTMPTACR0(例えば1s)以上であるか否かを判定する。なお、内燃機関始動後タイマT01ACRSTは、イグニッションスイッチのオン時、すなわち内燃機関11の最初の始動時から動作を開始して、車両がアイドル停止中であっても停止することのないタイマである。
この判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち内圧センサ56がまだ安定していない場合には、ステップS302に進み、バイパス弁開弁フラグF_BPSOPENのフラグ値に「0」をセットして、冷間始動時タンク内圧PTINTに、この時点のタンク内圧PTANKをセットして(ステップS303)、一連の処理を終了する。
一方、ステップS301における判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち内圧センサ56が安定状態となるまでに要する時間が経過した場合には、ステップS304に進む。
ここで、内燃機関始動後タイマT01ACRSTは、内燃機関11の最初の始動後から停止することのないタイマなので、始動後PTANKセンサー安定待ちタイマTMPTACR0(例えば1s)以上経過した後には、冷間始動時タンク内圧PTINTが更新されることは無い。
【0035】
ステップS304においては、内燃機関始動後タイマT01ACRSTのタイマ値が、冷間始動時タンク系正常判定タイマTMPTINT(例えば20s)以上か否かを判定する。この判定結果が「YES」であると判定された場合には、バイパス弁開弁フラグF_BPSOPENのフラグ値に「0」をセットして(ステップS305)、一連の処理を終了する。
一方、ステップS304における判定結果が「NO」であると判定された場合には、バイパス弁開弁フラグF_BPSOPENのフラグ値に「1」をセットして(ステップS306)、次に、バイパス弁55を開弁して、ベントシャット弁58を開弁して、パージ制御弁59を閉じる(ステップS307)。
すなわち、所定の冷間始動時タンク系正常判定タイマTMPTINTの間は、排出抑止系12を大気圧に開放する。
【0036】
次に、ステップS308においては、冷間始動時タンク内圧PTINTと、タンク内圧PTANKの平均値であるタンク内圧平均値PTANKAVEとの偏差の絶対値が、所定の第1判定値#DPTINT02(例えば533.3Pa)以上であるか否かを判定する。この第1判定値#DPTINT02は微少な第1の穴、例えば0.5mm径の穴による漏れの有無を判定するための判定値である。また、偏差の絶対値に対して比較を行うことで、車両の運転状態に応じて冷間始動時タンク内圧PTINTが正圧或いは負圧の何れの値であっても判定を行うことができる。
この判定結果が「YES」であると判定された場合には、0.5mm径以上の穴による漏れはないと判断して、0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS309)、後述するステップS311に進む。
【0037】
一方、ステップS308における判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち0.5mm径の穴による漏れがあると判定された場合には、ステップS310に進む。
ステップS310においては、冷間始動時タンク内圧PTINTと、タンク内圧PTANKの平均値であるタンク内圧平均値PTANKAVEとの偏差の絶対値が、所定の第2判定値#DPTINT04(例えば266.6Pa)以上であるか否かを判定する。この第2判定値#DPTINT04は、第1の穴よりも大きな第2の穴、例えば1mm径の穴による漏れの有無を判定するための判定値である。
この判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち1mm径の穴による漏れがあると判定された場合には、一連の処理を終了する。
【0038】
一方、ステップS310における判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち1mm径の穴による漏れはないと判定された場合には、1mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS311)、一連の処理を終了する。
この場合は、0.5mmOKフラグのフラグ値が「0」であると共に1mmOKフラグのフラグ値が「1」の状態になり、後述する内圧監視モニター処理において、第1の穴を基準とした漏れの有無の判定が行われる。
なお、この時点でのタンク内圧平均値PTANKAVEを内圧監視モニター処理で使用するため、タンク内圧平均値PTANKAVEを大気開放時タンク内圧PTBPSOPNにセットしてRAM43に格納しておく。
【0039】
「内圧監視モニター処理」
次に、内圧監視モニター処理について説明する。
内圧監視モニター処理では、内圧センサ56の出力レベルを連続的にチェックし、このレベルが大気圧付近に集中する場合は漏れがあると判定し、正圧又は負圧に大きく変動する場合は漏れがないと判定する。
【0040】
先ず、図5に示すステップS401において、始動モードであるか否かを判定する。この判定結果が「NO」であると判定された場合には、後述するステップS404に進む。
一方、判定結果が「YES」であると判定された場合には、ステップS402に進み、アイドル停止フラグF_IDLSTPのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち内燃機関11がアイドル停止中又はアイドル停止後の再始動であると判定された場合には、後述するステップS404以下の処理を行う。
一方、ステップS402における判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち内燃機関11が、イグニッションスイッチがオンとなる最初の始動時或いは運転中であると判定された場合にはステップS403に進む。
【0041】
図6に示すステップS403においては、タンク内圧最大値PTBMAX及びタンク内圧最小値PTBMINに、この時点でのタンク内圧PTANKをセットし、減算カウンタCPTANKに所定のカウンタ値CPTCHKをセットして、燃料消費量USEDGASにゼロをセットして、初期化の処理を行う。そして、一連の処理を終了する。
なお、所定のカウンタ値CPTCHKは、内燃機関11の最初の始動時の水温TWに応じてテーブル検索される値である。
【0042】
図5に示すステップS404においては、完了フラグのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。後述するように、この完了フラグのフラグ値は一連の内圧監視モニター処理の完了時に「1」とされており、この判定結果が「YES」であると判定された場合には、一連の処理を終了する。一方、判定結果が「NO」であると判定された場合にはステップS405に進む。
ステップS405においては、バイパス弁許可フラグのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」であると判定された場合には、後述するステップS504以下の処理を行う。一方、判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS406に進む。
【0043】
ステップS406においては、この時点でのタンク内圧PTANKと、前回検出してRAM43に記憶していたタンク内圧PTBASEとの差の絶対値、つまり|PTANK−PTBASE|が所定値以上であるか否かを判定することによってタンク内圧PTANKが急激に変化したか否かを判定する。
タンク内圧PTANKの急変は、例えば車両の急発進等により燃料タンク51内の燃料液面が揺れて、燃料がタンク壁面に触れて急激に気化する場合等に生じる。
この判定結果が「YES」であると判定された場合には、蒸発燃料の漏れ検出を行う状態に適さないので、一連の処理を終了する。
一方、判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS407に進む。
【0044】
ステップS407においては、燃料消費量USEDGASが所定の燃料判定値#GASJUD以上であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」であると判定された場合、すなわち燃料の消費量が小さい場合には、後述するステップS410以下の処理を行う。
一方、判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわち燃料の消費量が大きいと判定された場合には、ステップS408に進み、減算カウンタCPTANKがゼロであるか否かを判定する。
なお、燃料消費量USEDGASの算出は内圧監視モニターの処理とは独立に、例えばバックグラウンドで演算されており、CPU41は、所定期間における燃料噴射弁24の開弁時間の積算値に所定の係数を乗算して得た値を、この所定期間における燃料消費量USEDGASに変換してRAM43に記憶しており、この燃料消費量USEDGASの値は、所定期間ごとに更新されている。
【0045】
ステップS408における判定結果が「YES」の場合、すなわち所定時間経過した後は、後述するステップS409以下のバイパス弁オープン判定処理を実施する。このような場合とは、ステップS410以下の処理を例えば複数回実行しても1mmOKフラグのフラグ値が「1」とならず、第2の穴に対する判定基準をクリアできない状態である。
一方、ステップS408における判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS410に進む。
【0046】
図6に示すステップS410においては、1mmOKフラグのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。この判定結果が「YES」であると判定された場合には、後述するステップS416以下の処理を行う。
一方、判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS411に進み、タンク内圧最大値PTBMAX及びタンク内圧最小値PTBMINを更新する。
すなわち、内圧センサー56にて、例えば複数回測定したタンク内圧PTANKに対するタンク内圧平均値PTANKAVEが、RAM43に格納されているタンク内圧最大値PTBMAXよりも大きければ、このタンク内圧平均値PTANKAVEを、新たなタンク内圧最大値PTBMAXにセットして更新する。
一方、タンク内圧平均値PTANKAVEが、RAM43に格納されているタンク内圧最小値PTBMINよりも小さければ、このタンク内圧平均値PTANKAVEを、新たなタンク内圧最小値PTBMINにセットして更新し、データの書き換えを行う。
【0047】
次に、ステップS412においては、タンク内圧最大値PTBMAXからタンク内圧最小値PTBMINを減算して得た値、すなわちタンク内圧PTANKの変動幅が、所定の第1基準値PTPSI04以上であるか否かを判定する。なお、第1基準値PTPSI04は、内燃機関11の始動時の水温TWをパラメータとしてROM42に格納されているマップ等から検索される。
この判定結果が「YES」であると判定された場合には、ステップS413に進み、1mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットして、後述するステップS416以下の処理を行う。
一方、ステップS412における判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS414に進み、上述した始動後オープン処理にて設定した大気開放時タンク内圧PTBPSOPNからタンク内圧平均値PTANKAVEを減算して得た値が、第1の穴、例えば1mm径以上の穴による漏れの有無を検出するための判定値#PTNEGA04(例えば266.6Pa)以上であるか否かを判定する。
【0048】
この判定結果が「NO」であると判定された場合には、後述するステップS416に進み、一方、判定結果が「YES」であると判定された場合、すなわちタンク系が負圧を保持する能力を有しており、1mm径の穴を基準とした漏れは検出されないと判定された場合には、ステップS415に進み、1mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットして、ステップS416に進む。
ステップS416においては、大気開放時タンク内圧PTBPSOPNからタンク内圧平均値PTANKAVEを減算して得た値が、第2の穴、例えば0.5mm径以上の穴による漏れの有無を検出するための判定値#PTNEGA02(例えば666.5Pa)以上であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」であると判定された場合には、後述するステップS420以下の処理を行う。
一方、判定結果が「YES」であると判定された場合には、タンク系は大きな負圧を保持する能力を有しており、0.5mm径以上の穴による漏れがないと判断することができる。そして、後述するステップS417におけるキャンセル処理を行う。
【0049】
なお、後述するように、ステップS417におけるキャンセル処理は、漏れの有無とは関係なしにタンク系の圧力を負圧にする他の要因があるか否かを判定する。
そして、ステップS418において、ステップS416での判定結果をキャンセルする必要があるか否かを判定する。この判定結果が「YES」であると判定された場合には、後述するステップS420以下の処理を行う。一方、判定結果が「NO」であると判定された場合には、0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットしてステップS420に進む。
ステップS420においては、減算カウンタCPTANKのカウンタ値がゼロであるか否かを判定し、この判定結果が「YES」であると判定された場合には、一連の処理を終了する。
一方、判定結果が「NO」であると判定された場合には、ステップS421に進み、減算カウンタCPTANKのカウンタ値から「1」を減算して得た値を、新たな減算カウンタCPTANKにセットして、一連の処理を終了する。
【0050】
内圧監視モニター処理は、予め設定された時間間隔(例えば80ms)毎に繰り返し実行され、減算カウンタCPTANKがゼロになるまで処理が継続される。そして、減算カウンタCPTANKがゼロになると、図7に示すバイパス弁オープン判定処理を実行する。このバイパス弁オープン判定処理では、後述するステップS512又はステップS513にて内圧監視モニター処理の完了フラグのフラグ値に「1」がセットされる。すると、上述したステップS404において内圧監視モニター処理が終了される。
従って、内燃機関11の始動から停止までの1回の運転サイクルにおいては、一連の内圧監視モニター処理が終了した後に、再度同じ内圧監視モニター処理が繰り返されることはない。しかし、これをどのような頻度で実行するかは設計事項であり、必要に応じて変更することができる。
【0051】
「バイパス弁オープン判定処理」
次に、図7を参照してバイパス弁オープン判定処理について説明する。
先ず、図7に示すステップS501では、水温TWに応じた所定値をROM42から読み出し、タンク内圧最大値PTBMAXから大気開放時タンク内圧PTBPSOPNを減算して得た値が、所定値以上であるか否かを判定する。なお、この所定値は、内燃機関11の始動時の水温TWをパラメータとする値であり、ECU13のROM42にテーブル等の形式で格納されている。
【0052】
ステップS501での判定結果が「NO」であると判定された場合には、バイパス弁55を開弁するバイパス弁許可フラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS502)、このバイパス弁オープン判定処理に要する時間をタンク系判定タイマーにセットする(ステップS503)。
次に、ステップS504において、タンク系判定タイマーがゼロか否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合は、ステップS505に進み、パージ制御弁59を閉じて、ステップS506に進む。一方、判定結果が「YES」の場合は、後述するステップS514に進む。
ステップS506は、パージ制御弁59の閉弁が安定するのを待つ処理であり、遅延タイマーがゼロか否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合は、ステップS508に進み、この時点でのタンク内圧PTANKの平均値P4をRAM43に記憶して、一連の処理を終了する。一方、判定結果が「YES」の場合は、ステップS507に進む。
【0053】
このバイパス弁オープン判定処理は所定の時間間隔(例えば80ms)毎に実行される。従って、ステップS508を経て一連の処理を終了した後、再びこのバイパス弁オープン判定処理を実施した際に、遅延タイマーがゼロになっていれば、ECU13が制御信号を送ってバイパス弁55及びベントシャット弁58を開弁してタンク系を大気圧に開放する(ステップS507)。
次に、ステップS509において、この時点のタンク内圧P5が、大気開放前のタンク内圧P4から第1の所定値以上増加したか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、すなわちタンク系が負圧を維持する能力を有している場合には、1mm径以上の穴による漏れはない判断して、1mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS510)、内圧監視モニター処理の完了フラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS513)、一連の処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS509における判定結果が「NO」の場合、すなわち負圧から大気圧に向かう変動が所定値に達していない場合には、ステップS511に進み、タンク内圧P4からタンク内圧P5を減算して得た値が所定値以上であるか否か、すなわち大気解放後のタンク内圧P5が大気開放前のタンク内圧P4から第2の所定値以上小さくなったか(正圧から大気圧に向かって大きく変動したか)否かを判定する。
なお、第2の所定値は、ステップS509で用いた第1の所定値とは異なる値であっても良く、例えばECU13のROM42に格納されており、内燃機関11の始動時の水温TWをパラメータとするテーブルから検索して得た値であっても良い。
【0055】
ステップS511における判定結果が「YES」の場合は、ステップS512に進み、一連の処理を終了する。すなわち、タンク系の圧力の変動が大きければ、タンク系は圧力を維持する機能を持っていると判断することができるが、正圧からの変動は微小な穴による漏れの有無を検出するのに適さないので、1mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットすることなしに、完了フラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS512)、一連の処理を終了する。
一方、ステップS511における判定結果が「NO」の場合、すなわち圧力の変動が大きくないと判定される場合には、さらに、このバイパス弁オープン判定処理を繰り返すため、完了フラグのフラグ値に「1」をセットすることなしに、一連の処理を終了する。
【0056】
ステップS504における判定結果が「YES」の場合、すなわちバイパス弁オープン判定処理を繰り返し実行して、タンク系判定タイマーがゼロになると、ステップ514に進み、ステップS511と同様にタンク内圧P4からタンク内圧P5を減算して得た値が所定値以上であるか否か、すなわち大気解放後のタンク内圧P5が大気開放前のタンク内圧P4から第2の所定値以上小さくなったか(正圧から大気圧に向かって大きく変動したか)否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、すなわち正圧から大気圧に向かっての変動が大きければ、完了フラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS512)、一連の処理を終了する。
一方、判定結果が「NO」の場合、すなわち圧力の変動が大きくなければFSDフラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS515)、次に、完了フラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS512)、一連の処理を終了する。なお、FSDフラグは故障診断の際に利用されるフラグである。
【0057】
「キャンセル処理」
次に、図8を参照しながら、キャンセル処理について説明する。この処理では、内圧監視モニター処理で0.5mm系の穴を基準とした漏れがないと判断して、0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットした場合に、タンク系の漏れの有無とは関係無しに、タンク系の圧力を負圧にする他の要因があるか否かを判定し、このような要因があるときは、この0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットする判定結果をキャンセルして、内圧監視モニター処理を継続する。
なお、タンク系の圧力を負圧にする他の要因としては、例えば車両が高負荷で運転している状態、及び車両が高地から低地へと移動する最中に大気圧が高くなる方向に大きく変化している状態等がある。
【0058】
例えば、車両が急加速中等の高負荷で運転しているときは、急速に燃料が消費されることにより内圧センサ56が一時的に負圧を感知するので、0.5mm径の微小な穴による漏れがあっても0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」がセットされる場合がある。
また、車両が高地から平地に向けて移動して大気圧が高くなると、大気圧とタンク系との差圧を感知する内圧センサ56は、負圧方向への圧力変動を検出する。この場合も、0.5mm径程度の微小な穴による漏れがあっても0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットしてしまう恐れがある。
【0059】
先ず、図6におけるステップS601において、現在の大気圧が、内燃機関11の始動時大気圧(予め、始動時にRAM43に記憶している値)より、所定値(例えば733.15Pa)以上大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、0.5mm径の穴を基準とした漏れの有無の判定には適さないので、解除タイマーを所定の時間(例えば60s)にセットして(ステップS608)、次に、OK判定禁止フラグのフラグ値に「1」をセットして(ステップS609)、0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットする判定結果をキャンセルする。
なお、所定値(例えば733.15Pa)は大気圧が高圧側へ変動した大きさであり、タンク系の内圧を439.89Paだけ減少させる値である。
【0060】
一方、ステップS601における判定結果が「NO」の場合は、ステップS602に進み、例えばECU13がバックグラウンドで算出している単位時間当たりの燃料噴射量に、内燃機関11の回転数NEを乗算して得た値、すなわち内燃機関11の負荷が所定値以上であるか否かを判定する。なお、負荷の所定値は、例えば実験データ及びシミュレーションデータ等に基づいて、0.5mm径の穴を基準とした漏れの有無の判定に影響を及ぼす臨界値付近の値を選択する。
ステップS602における判定結果が「YES」の場合は、ステップS603に進む。
【0061】
ステップS603においては、後述するステップS604にて所定時間(例えば4s)にセットされた高負荷運転判定タイマーがゼロになっているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、すなわち高負荷運転が所定時間継続されていれば、0.5mm径の穴を基準とした漏れの有無の判定には適さないので、ステップS609に進み、0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットする判定結果をキャンセルする。
一方、ステップS603における判定結果が「NO」の場合は、一連の処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS602の判定結果が「NO」の場合、すなわち内燃機関11の負荷が所定値より小さい場合には、ステップS604に進み、高負荷運転判定タイマーに所定時間(例えば4s)をセットしてステップS605に進む。
ステップS605においては、OK判定禁止フラグのフラグ値に「1」がセットされているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合は、一連の処理を終了する。一方、この判定結果が「YES」の場合は、ステップS606に進み、解除タイマーがゼロになっているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合は、一連の処理を終了する。一方、この判定結果が「YES」の場合は、ステップS607に進み、OK判定禁止フラグのフラグ値に「0」をセットしてOK判定禁止を解除して、一連の処理を終了する。すなわち、0.5mmOKフラグのフラグ値に「1」をセットする判定結果をキャンセルする処理は、所定の時間(例えば60s)後に解除される。
【0063】
こうして、一連の内圧監視モニター処理を行うことによって、1mm径の穴及び0.5mm径の穴を基準とした漏れの有無を検出する。そして、1mmOKフラグ及び0.5mmOKフラグの双方のフラグ値に「1」がセットされると、タンク系に漏れがなく正常であると判断して、漏れの有無を検出する処理を終了する。
また、1mmOKフラグ及び0.5mmOKフラグの双方のフラグ値に「0」がセットされた場合、又は1mmOKフラグのフラグ値に「1」がセットされ、0.5mmOKフラグのフラグ値に「0」がセットされた場合には、タンク系を十分に減圧して負圧の保持機能をモニターする減圧モニター処理によって漏れの有無の検出を行う。
【0064】
本実施の形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置10によれば、内燃機関11の始動後に、アイドル停止状態に移行して一時的に内燃機関11が停止され、再び内燃機関11が再始動された場合であっても、内燃機関11の最初の始動時における燃料タンク51内の圧力の値や、燃料タンク51内の圧力をモニターする処理や内圧監視モニター処理で必要とされるタイマー値や、始動時からの経過時間及び燃料消費量等のパラメータを更新したり初期化してしまうことが無く、アイドル停止が頻繁に繰り返される場合であっても、蒸発燃料処理装置10の漏れの有無を確実に判定することができる。
しかも、内圧センサ56が負圧を示し、かつ高負荷運転状態でない時に漏れの有無を判定するので、高負荷状態に基づくタンク系の負圧状態を、タンク系に漏れがない状態として誤って判定することを防止することができる。
さらに、内圧センサ56が負圧を示し、かつ大気圧に所定値以上の変化がない時に漏れの有無を判定するので、大気圧の変化に基づくタンク系の負圧状態を、タンク系に漏れがない状態として誤って判定することを防止することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内燃機関の蒸発燃料処理装置によれば、内燃機関の最初の始動後に、例えば内燃機関の一時停止と再始動が繰り返される場合であっても、再始動毎に内燃機関の蒸発燃料処理装置の漏れの検出の履歴を初期化することが防止され、漏れの有無を確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置の構成図である。
【図2】 タンクモニタ処理を示すフローチャートである。
【図3】 タンクモニタ処理を示すフローチャートである。
【図4】 始動後オープン処理を示すフローチャートである。
【図5】 内圧監視モニター処理を示すフローチャートである。
【図6】 内圧監視モニター処理を示すフローチャートである。
【図7】 図5に示すバイパス弁オープン判定の処理を示すフローチャートである。
【図8】 図6に示すキャンセル処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関の蒸発燃料処理装置
11 内燃機関
12 蒸発燃料排出抑止装置
13 ECU(停止判定手段、停止手段、再始動手段、記憶手段)
51 燃料タンク
ステップS206〜ステップS208,
ステップS303,ステップS403 初期化手段
ステップS210〜ステップS223,
ステップS306〜ステップS311,
ステップS404〜ステップS421 漏れ検出手段

Claims (1)

  1. 内燃機関と、燃料タンクと、この燃料タンク内で発生した蒸発燃料を処理する蒸発燃料排出抑止装置とを備えてなる内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
    前記内燃機関の蒸発燃料処理装置からの漏れの有無を検出する漏れ検出手段と、前記内燃機関の停止条件を判定する停止判定手段と、
    前記停止判定手段により前記停止条件が成立したとき前記内燃機関を停止する停止手段と、
    前記停止手段による停止後に前記内燃機関を始動する再始動手段と、
    前記停止手段による前記内燃機関の停止時に前記漏れ検出手段による検出の履歴を記憶する記憶手段と、
    前記内燃機関を始動させるイグニッションスイッチのオン時のみに、前記記憶手段にて記憶された前記履歴を初期化する初期化手段と
    前記再始動手段による前記内燃機関の始動時に、前記記憶手段に記憶された前記履歴を初期化することを禁止する禁止手段と
    を備えたことを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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