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JP4177002B2 - 香料組成物 - Google Patents

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JP4177002B2
JP4177002B2 JP2002045985A JP2002045985A JP4177002B2 JP 4177002 B2 JP4177002 B2 JP 4177002B2 JP 2002045985 A JP2002045985 A JP 2002045985A JP 2002045985 A JP2002045985 A JP 2002045985A JP 4177002 B2 JP4177002 B2 JP 4177002B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香料組成物、更に詳細には、香り立ち、残香性などの芳香特性及び保留効果に優れた香料組成物、及びそれを含有する香粧品、トイレタリー製品、入浴剤、医薬品等の各種製品類に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有香物質を調香し、優れた香料組成物を調製する際、所望の香気を持続させるため、有香物質の芳香特性及び保留性を調整する各種保留剤又は香質改善剤が、香料に配合されている。このような保留剤又は香質改善剤として、具体的にはジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルサリシレート、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート等が提案され、利用されている。これらの内、ベンジルサリシレートには遅延型接触皮膚炎を誘起することが報告されており(「皮膚」、第23巻、第4号、421−441頁)、安全性上好ましくない。また、ジエチルフタレートは、内分泌撹乱物質としてその使用が自粛されており好ましくない。その他の保留剤も残香性付与効果が低くかったり、保留剤自体の香気が香料組成物の香質を望ましくない方向に変調させたりする場合があり、このため、優れた香気持続性を付与することが可能で、かつ香料組成物の香質の変調をきたさない無臭性の香質改善剤の開発が望まれている。
【0003】
かかる状況下、こうような要求を満たすべく、種々の保留剤、香質改善剤が提案されている。例えば、特開平4−337395号公報には、p−メンタン−3,8−ジオールが、特開平5−295388号公報には、2−ヒドロキシメチル−シクロアルカノール誘導体が、特開平7−62383号公報には、特定のビフェニル化合物等が保留剤として提示されている。しかしこれらの化合物も、保留剤として汎用性、保留効果等の条件を満足させるものとはいい難いものであった。
【0004】
また、上述のような保留剤、香質改善剤については、調合香料としての匂い紙上での官能評価による効果について述べられているものの、該調合香料を賦香してなる製品類での効果には全く触れられておらず、製品形態において優れた香質改善効果を反映した調合香料、及び該香質改善剤の開発が望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、香料組成物の芳香特性及び残香性を改善させると共に、その改善効果を反映した製品類を提供することを目的とする。すなわち、より具体的には、ベースとなる香料組成物の香調を変えることなく、香り立ち、持続性等の芳香特性、保留特性の高い香質改善剤、及びそれを含有する香料組成物、更に該香料組成物が配合され、香り立ち、持続性等の芳香特性、保留特性の良好な各種製品類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解消すべく鋭意検討を行った結果、下記一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体が香料組成物の香り立ち、残香性を著しく高めることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
【化2】
Figure 0004177002
【0008】
(式中、Rは、分岐鎖を有していてもよい炭素数4乃至12の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
【0009】
本発明は、上記一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体において、R が3−メチルブチル基または2−エチルヘキシル基であるグリセリルエーテル誘導体を0.1乃至90重量%含有することを特徴とする香料組成物に関する。
また、本発明は、上記香料組成物が最終製品組成物中に0.01乃至50重量%配合されてなることを特徴とする香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品に関する。
【0010】
【発明の具体的態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
記一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体は、Rが分岐鎖を有していてもよい炭素数4乃至12の脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す化合物であるが、Rは好ましくは炭素数5乃至10の分岐鎖を有する脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは、2−エチルヘキシル基である。上記式中、Rの脂肪族炭化水素基の炭素数が4より少ないと、保留効果が低いばかりでなく、グリセリルエーテル自体の香気により、調合香料及びこれら調合香料を添加した製品の香調の変化が起ることが多いという問題がある。一方、脂肪族炭化水素基の炭素数が12より多いと、室温で固化し調合香料との相溶性が低くなったり、香り立ちが抑えられたりする上、保留効果も低いという問題が起るため好ましくない。また、芳香族炭化水素基の置換基としては、分岐していてもよい脂肪族炭化水素基、より好ましくはメチル基などの低級アルキル基が好ましいものとして挙げられる。
【0011】
上記一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体としては、例えば、n−ブトキシプロパン−1,2−ジオール、iso−ブトキシプロパン−1,2−ジオール、3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオール、n−ヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオール、n−オクチルオキシプロパン−1,2−ジオール、2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオール、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオール、n−デシルオキシプロパン−1,2−ジオール、フェニルオキシプロパン−1、2−ジオール、2−メチルフェニルオキシプロパン−1,2−ジオール、4−メチルフェニルオキシプロパン−1,2−ジオール等を挙げることができる。本発明において用いられるグリセリルエーテル誘導体は、3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオールおよび、2−エチルヘキシロキシプロパン−1,2−ジオールであるが、2−エチルヘキシロキシプロパン−1,2−ジオールが効果面から特に好ましい。3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオールおよび、2−エチルヘキシロキシプロパン−1,2−ジオールは、単独で、あるいは2種を組み合わせて使用することができる。これらグリセリルエーテル誘導体を公知あるいは周知香料組成物に配合することにより、その香質を変えることなく、香り立ち及び残香性を著しく高めることが可能となる。すなわち、所望の芳香特性、及び保留性を有する香料組成物を得ることが可能となる。
【0012】
本発明において用いられる上記一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体は公知の化合物であり、特開2001−49291号公報、特開2001−40395号公報、或いは特開昭47−16647号公報、特公昭61−48813号公報等に記載された製法により得ることができる。これらの製法のうち代表的なものを例示すると、例えば、アルコール類とエポハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物をBF等の酸触媒あるいは一般式;
Al(OSO−R(OR(OR
〔式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R及びRは同一または異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。kは1〜3、m及びnはそれぞれ0〜2の数であって、k+m+n=3である。〕を用いて反応させる方法などが挙げられる。
【0013】
般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体は、いずれも無色、ほぼ無臭の油状物質であり、通常の香料組成物との相溶性は極めて高い。これらグリセリルエーテル類は、衿・袖口汚れ等の頑固な皮脂汚れや、台所周りの変性油汚れに対して高い洗浄効果を有する液体洗剤の洗剤成分として用いることが知られている(特開2001−49291号公報、特開2001−40395号公報)ものの、香料組成物の芳香特性、香り立ち、及び保留効果を高める機能は全く知られていない。
【0014】
本発明の香料組成物は、式中、R が3−メチルブチル基または2−エチルヘキシル基である一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体を必須成分とするが、他に調香成分として公知あるいは周知のケトン類、アルデヒド類、エステル類、アルコール類、エーテル類、テルペン類、天然精油、合成ムスク、等が単独であるいは適宜組み合わせ配合され、香料組成物とされる。
【0015】
本発明のグリセリルエーテル誘導体が適用される香料組成物としては、例えば、化粧料及び医薬品などの外用剤、身体・衣料などの洗浄剤、漂白剤、柔軟剤、入浴剤などの各種製品に通常使用される香料などが挙げられる。
【0016】
本発明のグリセリルエーテル誘導体の香料組成物への配合量は、適用される香料組成物により、あるいは香料組成物が更に適用される製品の形態、使用態様などにより適宜の量とされるが、一般的には、適用されるグリセリルエーテル誘導体をも含む香料組成物全量に対し0.1〜90重量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜30重量%である。また、本発明により得られる香料組成物は、製品の種類、使用目的などにより、製品への配合量や適用方法を適宜変えることができる。通常、製品への香料組成物の配合量は最終製品組成物中0.01乃至50重量%であり、好ましくは0.05乃至30重量%である。
【0017】
本発明の香料組成物が適用される製品としては、例えば、皮膚化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー類、ヘアートニック、ヘアークリーム類等の頭髪化粧料、香水、コロン類、石鹸、室内芳香剤、歯磨、等の香粧品、洗剤、ソフトナー類、等のトイレタリー製品、入浴剤、パップ剤、軟膏等の医薬品等を挙げることができる。しかし、本発明の香料組成物が適用できる製品が上記記載のものに限定されるものではない。
【0018】
また、香料組成物の製品への配合量を一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体の量として各製品毎に示すと、皮膚化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー類、ヘアートニック、ヘアークリーム類等の頭髪化粧料、香水、コロン類、石鹸、等の香粧品類、入浴剤等に対しては、通常、製品の全組成に対して0.01〜30重量%、特に0.05〜10重量%の濃度で用いるのが好ましい。また、洗剤、ソフトナー類、等のトイレタリー製品においての同グリセリルエーテル誘導体の配合量は、通常、製品の全組成に対して0.01〜1重量%、特に0.05〜0.3重量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0019】
更に、その適用対象となる製品には、それぞれの製品の使用目的に応じた任意の成分が適宜配合され、香粧品類、トイレタリー製品、入浴剤、保険衛生材料、医薬品、など最終製品として提供される。また、上記一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体は、製品に配合される際香料組成物中に含有された状態で配合されると、前記グリセリルエーテル誘導体と香料組成物とを別々の配合成分として配合する場合に比べ、製品の香り立ち、残香性などの芳香特性、残留特性などが格段に優れた製品を得ることができる。このため、本発明の香料組成物は、最終製品へ配合される香料組成物として特に好ましいものである。
【0020】
【実施例】
以下、合成例、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0021】
合成例1(3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオールの合成)
3−メチルブタノール158g(1.78mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド3.61g(17.7mmol)及びp−フェノールスルホン酸9.40g(54mmol)を1リットル反応槽に入れ、攪拌しながら90℃迄昇温した。更に減圧下(266hPa)1時間攪拌後、100℃迄昇温し、エピクロルヒドリン170g(1.78mol)を30分で滴下し、更に3時間攪拌した。この反応混合物を50℃に保ち、50%水酸化ナトリウム水溶液285g(3.56mol)を1時間かけて滴下し、更に3時間攪拌後、400mlの水を加え、分層させた。水層を除去した後、油層にトルエン100mlを加え300mlの5%食塩水で3回洗浄後、濃縮して粗反応物218gを得た。これを蒸留し、3−メチルブチルグリシジルエーテル150g(bp:63−64℃/5hPa、収率98%)を得た。
【0022】
こうして得られた3−メチルブチルグリシジルエーテル100gと、アセトン200ml、及び3%硫酸水100mlとを2時間還流し、次いで50℃/26hPaにて濃縮後、トルエン200mlを加え、3%水酸化ナトリウム水溶液170gにて洗浄した。これを更に飽和食塩水150gにて3回洗浄し、濃縮、蒸留精製を行って、3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオール63g(bp:115−116℃/2.6hPa)を得た。
【0023】
合成例2(2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオールの合成)
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(東京化成工業(株)製)100gより、合成例1と同様の方法にて2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオール80g(bp:115℃/1.1hPa)を合成した。
【0024】
実施例1及び比較例1〜3
下記表1の処方に従い、実施例1及び比較例1〜3の香料組成物を調製した。
【0025】
【表1】
Figure 0004177002
【0026】
これら実施例1及び比較例1〜3の香料組成物について、下記「香り立ち、残香性試験方法」に従って、各香料組成物の「香り立ち」及び「残香性」を評価した。結果を表2及び3に示す。
【0027】
(香り立ち、残香性試験方法)
直径40mm、高さ50mmの広口瓶底に敷いた濾紙上に、香料組成物約10.0mgを量り込み、蓋を締めて30分放置し、評価サンプルとした。蓋を開けた直後の香りの強さを「香り立ち」として評価し、また開放系で約5時間経過時点での香りの強さを「残香性」として評価した。
【0028】
評価は、5年以上経験した調香専門パネル10人で3回繰り返して判定し(合計30人)、比較例3に対する対比による実施例1、比較例1及び比較例2の各香料組成物の相対的評価により行った。具体的には、「香り立ち」については、比較例3に対して実施例1、比較例1、比較例2の内最も香り立ちが高いと感じた人数をトータルし、合計人数を各例毎に示し、「香り立ち」の評価とした。また、「残香性」については、比較例3に対して実施例1、比較例1、比較例2の内最も残香性が強いと感じた人数をトータルし、合計人数を各例毎に示し、「残香性」の評価とした。
【0029】
【表2】
Figure 0004177002
【0030】
【表3】
Figure 0004177002
【0031】
上記表2及び表3から明らかなように、本発明において用いられる一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体は、従来保留剤あるいは香質改善剤として用いられているジプロピレングリコール及びトリエチルシトレートに比べ、調合香料に対し香り立ち、残香性、共に優れた結果を示す。
【0032】
実施例2及び比較例4(入浴剤での効果試験)
下記表4に示されるように、無水硫酸ナトリウム68.45g、炭酸水素ナトリウム30.00g、無水ケイ酸0.50g及び色素0.05gからなる入浴剤に、実施例1又は比較例1の調合香料を1.00%賦香し、各100gの実施例2及び比較例4の入浴剤を調製した。
【0033】
【表4】
Figure 0004177002
【0034】
これら実施例2及び比較例4の入浴剤各20gを、40〜42℃のさら湯180リットルに溶解し、溶解直後の香気強度(「香り立ち」)及び30分後の香気強度(「残香性」)を専門パネラーにより比較評価した。評価は、5年以上経験した調香専門パネル10人で3回繰り返して判定することにより行った(合計30人)。「香り立ち」が高い、あるいは「残香性」が強いと感じた人数の結果を、各例毎に表5及び表6に示す。
【0035】
【表5】
Figure 0004177002
【0036】
【表6】
Figure 0004177002
【0037】
表5及び表6から明らかなように、本発明の香料組成物を含有する入浴剤は、従来保留剤あるいは香質改善剤として知られたジプロピレングリコールを含有する入浴剤よりも香り立ち、残香性、共に優れた結果を示す。
【0038】
実施例3及び比較例5(オーデコロンでの効果試験)
下記表7の処方に従い、実施例3及び比較例5の香料組成物を調製した。
【0039】
【表7】
Figure 0004177002
【0040】
実施例4及び比較例6
上記実施例3及び比較例5の香料組成物を5%賦香し、実施例4及び比較例6のオーデコロン(95%エタノール溶液)を各100g調製した。各々の適量を左右前腕部内側にアトマイザー噴霧し、噴霧直後の香り立ち、及び約4時間経過時点での残香性を評価した。評価は5年以上経験した調香専門パネル10人で判定し評価した。香り立ちが高いと感じた人数及び残香性が強いと感じた人数の結果を表7及び8に示す。
【0041】
【表8】
Figure 0004177002
【0042】
【表9】
Figure 0004177002
【0043】
表8及び表9から明らかなように、本発明の香料組成物を含有するオーデコロンは、保留剤として知られたp−メンタン−3,8−ジオールを含有するオーデコロンよりも特に残香性に優れた結果を示す。
【0044】
実施例5及び比較例7
下記表10の処方に従い、実施例5及び比較例7の香料組成物を調製した。
【0045】
【表10】
Figure 0004177002
【0046】
実施例6及び比較例8(シャンプーでの効果試験)
下記表11の処方に従い、上記実施例5又は比較例7の香料組成物を0.50%賦香した、実施例6及び比較例8のシャンプー各100gを製造した。
【0047】
【表11】
Figure 0004177002
【0048】
実施例6及び比較例8のシャンプーを用い、以下の方法によりシャンプーの「香り立ち」及び「残香性」の比較評価を行った。評価は5年以上経験した調香専門パネル10人で3回繰り返して判定し(合計30人)、「香り立ち」が高いあるいは「残香性」が強いと感じた人数をトータルでカウントした。結果を表12及び表13に示す。
【0049】
(評価方法)
かもじ(人毛)5gを、シャンプー2.5g及び温水(40℃)5mlにて1分間処理した後、温水(40℃)1000mlにてすすぎ、タオルドライしたものをアルミホイル上に固定放置し、評価サンプルとした。固定直後の香り立ち、及び室温で約5時間経過時点での残香性を評価した。
【0050】
【表12】
Figure 0004177002
【0051】
【表13】
Figure 0004177002
【0052】
実施例7及び比較例9(コンディショナーでの効果試験)
下記表14の処方に従い、上記実施例5及び比較例7の香料組成物を0.50%賦香した、実施例7及び比較例9のコンディショナー各100gを製造した。
【0053】
【表14】
Figure 0004177002
【0054】
実施例7及び比較例9のコンディショナーを用い、以下の方法によりコンディショナーの「香り立ち」及び「残香性」の比較評価を行った。評価は5年以上経験した調香専門パネル10人で3回繰り返して判定し(合計30人)、「香り立ち」が高い、あるいは「残香性」が強いと感じた人数をトータルでカウントした。結果を表15及び表16に示す。
【0055】
(評価方法)
かもじ(人毛)5gを、コンディショナー5.0g及び温水(40℃)5mlにて1分間処理した後、温水(40℃)1000mlにてすすぎ、タオルドライしたものをアルミホイル上に固定放置し、評価サンプルとした。固定直後の香り立ち、及び室温で約5時間経過時点での残香性を評価した。
【0056】
【表15】
Figure 0004177002
【0057】
【表16】
Figure 0004177002
【0058】
表12、13、15、16から明らかなように、本発明の香料組成物を含有するシャンプー並びにコンディショナーは、公知の保留剤あるいは香質改善剤を含有するものに比べ、香り立ち、残香性共に優れた結果を示し、特に残香性に顕著な効果を与える。
【0059】
実施例8、比較例10及び比較例11(シャンプーでの効果試験)
下記表17の処方に従い、フローラル・フルーティー・グリーンタイプの香料組成物:TSP−3055(高砂香料工業(株)製)を賦香率0.3%にて添加した、実施例8、比較例10及び比較例11のシャンプー各100gを常法により製造した。
【0060】
【表17】
Figure 0004177002
【0061】
これら実施例8、比較例10及び比較例11のシャンプーについて、実施例6及び比較例8と同様の評価方法により、「香り立ち」及び「残香性」を評価した。結果を表18及び表19に示す。
【0062】
【表18】
Figure 0004177002
【0063】
【表19】
Figure 0004177002
【0064】
実施例9、比較例12及び比較例13(コンディショナーでの効果試験)
下記表20の処方に従い、フローラル・フルーティー・グリーンタイプの香料組成物:TSP−3055(高砂香料工業(株)製)を賦香率0.3%にて添加した、実施例9、比較例12及び比較例13のコンディショナー各100gを常法により製造した。
【0065】
【表20】
Figure 0004177002
【0066】
これら実施例9、比較例12及び比較例13のコンディショナーについて、実施例7及び比較例9と同様の評価方法により、「香り立ち」及び「残香性」を評価した。結果を表21及び表22に示す。
【0067】
【表21】
Figure 0004177002
【0068】
【表22】
Figure 0004177002
【0069】
表18、19、21、22から明らかなように、本発明の香料組成物を含有する実施例8及び9のシャンプー、コンディショナーは、香り立ち、残香性共に優れた結果を示し、特に残香性に顕著な効果を与える。また、表18、19、21、22の実施例8及び9と比較例10及び12の対比結果から、グリセリルエーテル誘導体は同一組成でも予め香料組成物に含有させた場合においてはじめて高い香質改善効果が得られることが分る。
【0070】
実施例10〜13及び比較例14〜15
実施例9における香料組成物中の2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオールを、n−ブトキシプロパン−1,2−ジオール(実施例10)、3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオール(実施例11)、n−オクチルオキシプロパン−1,2−ジオール(実施例12)、4−メチルフェニルオキシプロパン−1,2−ジオール(実施例13)、エトキシプロパン−1,2−ジオール(比較例14)、9−オクタデセニルオキシプロパン−1,2−ジオール(比較例15)に各々置き換えることを除き、表20の処方と同一の処方により、実施例10〜13及び比較例14、15のコンディショナーを製造した。
【0071】
実施例10〜13及び比較例14、15のコンディショナー、更には実施例9のコンディショナーをも含め、におい紙にて香り立ち、残香性を上記比較例13(無添加のTSP−3055を香料組成物として使用したコンディショナー)との対比により評価した。評価は、5年以上経験した調香専門パネル10人により行い、評価点を以下の7段階にて評価し、各コンディショナー毎にその平均点を求めることによって行った。結果を表23に示す。
【0072】
(評価点)
7:比較例13に比べ非常に高い
6:比較例13に比べ高い
5:比較例13に比べ僅かに高い
4:比較例13と同等
3:比較例13が僅かに高い
2:比較例13が高い
1:比較例13が明らかに高い
【0073】
【表23】
Figure 0004177002
【0074】
実施例9と実施例12の評価点から、一般式(I)中のRは分岐鎖を有するものがより効果が高く、また芳香環を有するものも高い効果を与え(実施例13)、さらに、比較例との対比から、Rの炭素数は芳香特性に非常に大きな影響を及ぼすことが分かる。
【0075】
実施例14
下記表24の処方に従い、2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオールを5%含有するフローラル・ウッディー・ムスク調香料組成物:TIC2002(高砂香料工業(株)製)を香料組成物として用いて、ソフトナー100gを常法により製造した。
【0076】
【表24】
Figure 0004177002
【0077】
実施例15
下記表25の処方に従い、3−メチルブトキシプロパン−1,2−ジオールを10%含有するフローラルパウダリー調香料組成物:BF−6370−C(高砂香料工業(株)製)を香料組成物として用いて、エモリエントクリーム100gを常法により製造した。
【0078】
【表25】
Figure 0004177002
【0079】
実施例16
下記表26の処方に従い、2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオールを3%含有するフローラルパウダリー調香料組成物:BF−6372(高砂香料工業(株)製)を香料組成物として用いて、エモリエントミルク100gを常法により製造した。
【0080】
【表26】
Figure 0004177002
【0081】
実施例17
下記表27の処方に従い、2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオールを5%含有するフルーティーグリーンフローラル調香料組成物:BF−6032(高砂香料工業(株)製)を香料組成物として用いて、ヘアーリンス100gを常法により製造した。
【0082】
【表27】
Figure 0004177002
【0083】
実施例18
下記表28の処方に従い、2−エチルヘキシルオキシプロパン−1,2−ジオールを10%含有するレモン調香料組成物:JC−005A(高砂香料工業(株)製)を香料組成物として用いて、液体入浴剤100gを常法により製造した。
【0084】
【表28】
Figure 0004177002
【0085】
上記実施例14〜18の各製品は、香り立ち、及び、残香性はいずれも良好であった。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように、一般式(I)で表されるグリセリルエーテル誘導体を香料組成物に配合することにより、公知あるいは周知の香料の香調を変えることなく、かつ従来知られた保留剤、香質改善剤に比べ香り立ち、及び残香性を著しく高めることが可能となり、本発明により、所望の芳香特性、及び保留性の著しく高い香料組成物を得ることが可能となる。
また、その効果は本発明の香料組成物を含有してなる製品形態においても同様であり、所望の芳香特性を有し、香り立ち、残香性の高い香粧品、トイレタリー製品、入浴剤、医薬品などの製品を得ることができる。

Claims (2)

  1. 一般式;
    Figure 0004177002
    (式中、Rは、3−メチルブチル基または2−エチルヘキシル基を表す。)で表されるグリセリルエーテル誘導体を0.1乃至90重量%含有することを特徴とする香料組成物。
  2. 請求項1に記載の香料組成物が最終製品組成物中に0.01乃至50重量%配合されてなることを特徴とする香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品。
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