JP2004210958A - 香料組成物及び芳香製品の芳香性を改良又は増強する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の香料組成物にはとらわれず、新しい香気を有したムスク調の香りを提供する。又、香りの深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさが強化された芳香製品の芳香を改良又は増強する方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)(但し、式中、ZはO又はOHを示し、点線で示した結合は二重結合又は単結合を表す)で表わされる化合物を賦香成分として含有せしめた香料組成物は、各種芳香製品に香りの深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを顕著に強化し、全く新しいタイプのムスク調芳香を有する。又、一般式(1)で表される化合物を添加することにより、香りの深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさが強化された芳香製品の芳香を改良又は増強する方法。
【選択図】なし
【解決手段】一般式(1)(但し、式中、ZはO又はOHを示し、点線で示した結合は二重結合又は単結合を表す)で表わされる化合物を賦香成分として含有せしめた香料組成物は、各種芳香製品に香りの深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを顕著に強化し、全く新しいタイプのムスク調芳香を有する。又、一般式(1)で表される化合物を添加することにより、香りの深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさが強化された芳香製品の芳香を改良又は増強する方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般式(1)
【0002】
【化4】
【0003】
(式中、ZはO又はOHを示し、点線で示した結合は二重結合又は単結合を表す)で表わされる化合物を賦香成分として含有する香料組成物、及び一般式(I)で表される化合物を添加することにより、フレーグランス製品の香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化することを特徴とする芳香製品の芳香を改良又は増強する方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
各種化粧品類、防臭剤、室内芳香剤、消毒剤、殺虫剤等の保健衛生材料類、漂白剤、ソフトナー、食器洗い用洗剤、洗濯用洗剤等の賦香剤として絶えず新しい基調香気が求められている。しかしながら、これら既知の化合物の組み合わせのみでは、調合され出来上がる香りに限界があり、市場から要請される嗜好性の有る新しい香りとして答えるには十分ではない。そこで、新しい香気を有した香りや、従来の組成物に少量添加するだけで、一段と香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化することができる新しい化合物の開発が要望されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の香料組成物に少量添加するだけで、香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化し、芳香製品の芳香を改良又は増強する方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような課題に応えるべく鋭意研究を行った結果、一般式(1)
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、ZはO又はOHを示し、点線で示した結合は二重結合又は単結合を表す)で表わされる化合物が動物的なムスク香を有していることを見出すとともに、それらの香気的特徴だけでなく香気成分として含有せしめた香料組成物として用いる時、芳香組成物の香りの深み、力強さ、拡散性を顕著に強化することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。即ち、本発明は、一般式(1)で表される化合物を賦香成分として含有する香料組成物であり、又、一般式(I)で表される化合物を添加することにより、フレーグランス製品の基礎香気に深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化することを特徴とする芳香製品の香気を改良又は増強する方法である。
【0009】
本発明において用いられる一般式(1)におけるZが酸素Oである2−シクロペンダデセン−1−オン及び3−シクロペンタデセン−1−オンの混合物は、公知の化合物であり、特開昭51−48635号公報、特開2001−226306公報などに記載されている。又、一般式(1)におけるZがヒドロキシル基−OHである2−シクロペンダデセン−1−オール及び3−シクロペンダデセン−1−オールの混合物は、光学活性体の一方である、2E−シクロペンタデセン−1S−オール体が、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.American Chemical Soc.)1993、115、1593−1594に記載されているのみである。
これらの化合物は、ムスク系香気化合物としてもっとも利用価値が高いと考えられるムスコンの製造原料としての面からよく研究された化合物である。したがって、その調製方法は、それぞれの文献に記載されているが、その香気についてはいずれの文献においても全く述べられていないばかりでなく、これまでも香料組成物の有効成分として利用された実績は報告されていない。
【0010】
本発明においては、一般式(1)で表される化合物を、石鹸、シャンプー、リンス等の化粧品類、洗毛料、養毛料等の頭髪用化粧品類、クリーム、化粧水、オーデコロン、パック等の基礎化粧品類、おしろい、ファンデーション、頬紅等のメークアップ化粧品類、香水等の芳香化粧品類、日焼け、日焼け止め化粧品、口紅、リップクリーム等の口唇化粧品類、歯磨き、マウスウォッシュ等の口腔化粧品類、浴用化粧品等各種化粧品類、防臭剤、室内芳香剤等の芳香剤類、消毒剤、殺虫剤等の保健衛生材料類、漂白剤、ソフトナー、食器洗い用洗剤又は洗濯用洗剤等に使用される通常の賦香剤組成物に適当量含有せしめても良く、或いはこれらの各種賦香剤が添加された各種化粧品類、防臭剤、室内芳香剤、保健衛生材料類、漂白剤、ソフトナー、食器洗い用洗剤、洗濯用洗剤等に直接添加混合してもよい。
【0011】
上記通常の賦香剤組成物が用いられる香りのタイプとしては、ミュゲタイプ、ムスクローズタイプ、グリーンフローラルタイプ、ベルガモットタイプ等に、その用途はソープ用、芳香剤等何れに使用してもよく、これらに本発明の一般式(1)で表される化合物を適量添加、含有せしめることにより、既存香料の香りに、深み、力強さ、天然らしさ、拡散性及び又は甘みを与える新しい香りを発揮する。又、ジャスミンタイプ様芳香剤、フローラルブーケ等に添加したときには、香りに深みと拡散性を与え、且つそれぞれの持つ香りに一層天然らしさを強くする。
その添加料は、通常の賦香剤組成物中に0.001〜100重量%含有せしめる。
【0012】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
2(3)−シクロペンタデセン− 1 −オンの製造
特開2001−226306の記載に準じて、50gの1−メトキシ−1−シクロペンタデセンと0.5gのクロロフィルオイル及び 0.2gのピリジンを1000mlのトルエンに溶解し、100Wの高圧水銀灯を備えた光反応装置に仕込む。攪拌しながら、酸素を吹き込み、光を照射する。反応温度を10〜15℃に保ちつつ、ガスクロマトグラフィーによって原料が消失したのを確認するまで継続する。約 5時間でほぼ完全に原料が消えるので、反応液に55gのトリフェニルホスフィンを加えて攪拌し、生成したハイドロパーオキサイドを還元する。トルエンを濃縮し、濃縮残に300mlの n−ヘキサンを加え析出するトリフェニルホスフィンオキサイドをろ別する。n−ヘキサンを濃縮して得た濃縮物58.5gを減圧下に蒸留して2(3)−シクロペンタデセン−1−オン47.2gを得た。このものは、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、3−シクロペンタデセン−1−オン34%と2−シクロペンタデセン−1−オン64%の混合物であった。
【0013】
表1に示した基本組成を有するミュゲタイプ香料を処方し(対照区)、これに上に得られた2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを0.001部(試料A)、50部(試料B)、2(3)−シクロペンタデセン−1−オール0.05部(試料C)、100部(試料D)夫々添加混合して、常法通り室内芳香剤用組成物を調製した。これらを専門パネラー10名に官能評価をさせ、得られた総合評価結果を表2に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
実施例2
表3に示した基本組成を有するムスクローズ香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを0.01部(試料A)、100部(試料B)、2(3)−シクロペンタデセン−1−オール0.01部(試料C)、100部(試料D)夫々添加混合して、ムスク調香料用ベースを調製した。これらを専門パネラー10名に官能評価をさせ、得られた総合評価結果を表4に示した。
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
実施例3
表5に示した基本組成を有するグリーンフローラル香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部添加混合して、シャンプー用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べて自然でさわやかなグリーンな感じが強調された。
【0020】
【表5】
【0021】
実施例4
2(3)−シクロペンタデセン−1−オールの合成法
実施例1の方法で得られた、11gの2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを100mlのジオキサン−水(1:1溶液)に溶解し、室温下に攪拌しつつ、3.78gの粉末のソジウムボロハイドライドを4回に分けて添加した。添加後60度付近まで徐々に加温して、さらに2時間攪拌した。
室温まで冷却後、反応液を1%の塩酸水溶液に攪拌しながら入れ、100mlのイソプロピルエーテルで抽出した。水層をさらに同量のイソプロピルエーテルで抽出し、イソプロピルエーテル層を合わせ100mlの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下に濃縮してイソプロピルエーテルを除いた。得られた10.4gの濃縮残部を減圧化に蒸留し、6.6gの白色固形物を得た。蒸留はガラスチュブオーブンを用い、2mmHgの減圧下、210−230度の溜分を採った。ガスクロマトグラフによる分析で、保持時間14分に8.4%の面積比で、同じく15分付近に79.9%、16分付近に6.6%の面積比でピークが観察された。また、蒸留によって得られた白色固形物をガスクロマトグラフ−マススペクトル分析し、224にアルコール体に特有な小さな親ピークを持つスペクトルパターンを示したことから、2(3)−シクロペンタデセン−1−オールの異性体混合物であると同定した。
表6に示した基本組成を有するベルガットコロン香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オールを30部(試料A)、添加混合して、オーデコロン用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べてより天然らしさが増強された。
【0022】
【表6】
【0023】
実施例5
表7に示した基本組成を有するローズソープ香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部(試料A)、添加混合して、石鹸用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べて ローズソープの香りに、従来にない深みと拡散性を与えた。
【0024】
【表7】
【0025】
実施例6
表8に示した基本組成を有するジャスミンタイプ香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部(試料A)、添加混合して、石鹸用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べて 一層深みがあり、天然らしい新しい香りのジャスミンタイプであった。
【0026】
【表8】
【0027】
表9に示した基本組成を有するフローラルブーケを処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部(試料A)、添加混合して、常法通りスキンケア−クリーム用香料組成物を調製した。
このものの香りは、フローラルブーケに甘さとムスク感の有る新しい香りを与えた。
【0028】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の方法により、2−シクロペンタデセン−1−オン及び又は3−シクロペンタデセン−1−オン、或いは2−シクロペンタデセン−1−オール及び又は3−シクロペンタデセン−1−オールを賦香成分として含有せしめた香料組成物は、従来常用されてきた基礎香料の香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさが顕著に強化され、全く新しいタイプのムスク調芳香も得られる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般式(1)
【0002】
【化4】
【0003】
(式中、ZはO又はOHを示し、点線で示した結合は二重結合又は単結合を表す)で表わされる化合物を賦香成分として含有する香料組成物、及び一般式(I)で表される化合物を添加することにより、フレーグランス製品の香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化することを特徴とする芳香製品の芳香を改良又は増強する方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
各種化粧品類、防臭剤、室内芳香剤、消毒剤、殺虫剤等の保健衛生材料類、漂白剤、ソフトナー、食器洗い用洗剤、洗濯用洗剤等の賦香剤として絶えず新しい基調香気が求められている。しかしながら、これら既知の化合物の組み合わせのみでは、調合され出来上がる香りに限界があり、市場から要請される嗜好性の有る新しい香りとして答えるには十分ではない。そこで、新しい香気を有した香りや、従来の組成物に少量添加するだけで、一段と香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化することができる新しい化合物の開発が要望されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の香料組成物に少量添加するだけで、香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化し、芳香製品の芳香を改良又は増強する方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような課題に応えるべく鋭意研究を行った結果、一般式(1)
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、ZはO又はOHを示し、点線で示した結合は二重結合又は単結合を表す)で表わされる化合物が動物的なムスク香を有していることを見出すとともに、それらの香気的特徴だけでなく香気成分として含有せしめた香料組成物として用いる時、芳香組成物の香りの深み、力強さ、拡散性を顕著に強化することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。即ち、本発明は、一般式(1)で表される化合物を賦香成分として含有する香料組成物であり、又、一般式(I)で表される化合物を添加することにより、フレーグランス製品の基礎香気に深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさを強化することを特徴とする芳香製品の香気を改良又は増強する方法である。
【0009】
本発明において用いられる一般式(1)におけるZが酸素Oである2−シクロペンダデセン−1−オン及び3−シクロペンタデセン−1−オンの混合物は、公知の化合物であり、特開昭51−48635号公報、特開2001−226306公報などに記載されている。又、一般式(1)におけるZがヒドロキシル基−OHである2−シクロペンダデセン−1−オール及び3−シクロペンダデセン−1−オールの混合物は、光学活性体の一方である、2E−シクロペンタデセン−1S−オール体が、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.American Chemical Soc.)1993、115、1593−1594に記載されているのみである。
これらの化合物は、ムスク系香気化合物としてもっとも利用価値が高いと考えられるムスコンの製造原料としての面からよく研究された化合物である。したがって、その調製方法は、それぞれの文献に記載されているが、その香気についてはいずれの文献においても全く述べられていないばかりでなく、これまでも香料組成物の有効成分として利用された実績は報告されていない。
【0010】
本発明においては、一般式(1)で表される化合物を、石鹸、シャンプー、リンス等の化粧品類、洗毛料、養毛料等の頭髪用化粧品類、クリーム、化粧水、オーデコロン、パック等の基礎化粧品類、おしろい、ファンデーション、頬紅等のメークアップ化粧品類、香水等の芳香化粧品類、日焼け、日焼け止め化粧品、口紅、リップクリーム等の口唇化粧品類、歯磨き、マウスウォッシュ等の口腔化粧品類、浴用化粧品等各種化粧品類、防臭剤、室内芳香剤等の芳香剤類、消毒剤、殺虫剤等の保健衛生材料類、漂白剤、ソフトナー、食器洗い用洗剤又は洗濯用洗剤等に使用される通常の賦香剤組成物に適当量含有せしめても良く、或いはこれらの各種賦香剤が添加された各種化粧品類、防臭剤、室内芳香剤、保健衛生材料類、漂白剤、ソフトナー、食器洗い用洗剤、洗濯用洗剤等に直接添加混合してもよい。
【0011】
上記通常の賦香剤組成物が用いられる香りのタイプとしては、ミュゲタイプ、ムスクローズタイプ、グリーンフローラルタイプ、ベルガモットタイプ等に、その用途はソープ用、芳香剤等何れに使用してもよく、これらに本発明の一般式(1)で表される化合物を適量添加、含有せしめることにより、既存香料の香りに、深み、力強さ、天然らしさ、拡散性及び又は甘みを与える新しい香りを発揮する。又、ジャスミンタイプ様芳香剤、フローラルブーケ等に添加したときには、香りに深みと拡散性を与え、且つそれぞれの持つ香りに一層天然らしさを強くする。
その添加料は、通常の賦香剤組成物中に0.001〜100重量%含有せしめる。
【0012】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
2(3)−シクロペンタデセン− 1 −オンの製造
特開2001−226306の記載に準じて、50gの1−メトキシ−1−シクロペンタデセンと0.5gのクロロフィルオイル及び 0.2gのピリジンを1000mlのトルエンに溶解し、100Wの高圧水銀灯を備えた光反応装置に仕込む。攪拌しながら、酸素を吹き込み、光を照射する。反応温度を10〜15℃に保ちつつ、ガスクロマトグラフィーによって原料が消失したのを確認するまで継続する。約 5時間でほぼ完全に原料が消えるので、反応液に55gのトリフェニルホスフィンを加えて攪拌し、生成したハイドロパーオキサイドを還元する。トルエンを濃縮し、濃縮残に300mlの n−ヘキサンを加え析出するトリフェニルホスフィンオキサイドをろ別する。n−ヘキサンを濃縮して得た濃縮物58.5gを減圧下に蒸留して2(3)−シクロペンタデセン−1−オン47.2gを得た。このものは、ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、3−シクロペンタデセン−1−オン34%と2−シクロペンタデセン−1−オン64%の混合物であった。
【0013】
表1に示した基本組成を有するミュゲタイプ香料を処方し(対照区)、これに上に得られた2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを0.001部(試料A)、50部(試料B)、2(3)−シクロペンタデセン−1−オール0.05部(試料C)、100部(試料D)夫々添加混合して、常法通り室内芳香剤用組成物を調製した。これらを専門パネラー10名に官能評価をさせ、得られた総合評価結果を表2に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
実施例2
表3に示した基本組成を有するムスクローズ香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを0.01部(試料A)、100部(試料B)、2(3)−シクロペンタデセン−1−オール0.01部(試料C)、100部(試料D)夫々添加混合して、ムスク調香料用ベースを調製した。これらを専門パネラー10名に官能評価をさせ、得られた総合評価結果を表4に示した。
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
実施例3
表5に示した基本組成を有するグリーンフローラル香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部添加混合して、シャンプー用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べて自然でさわやかなグリーンな感じが強調された。
【0020】
【表5】
【0021】
実施例4
2(3)−シクロペンタデセン−1−オールの合成法
実施例1の方法で得られた、11gの2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを100mlのジオキサン−水(1:1溶液)に溶解し、室温下に攪拌しつつ、3.78gの粉末のソジウムボロハイドライドを4回に分けて添加した。添加後60度付近まで徐々に加温して、さらに2時間攪拌した。
室温まで冷却後、反応液を1%の塩酸水溶液に攪拌しながら入れ、100mlのイソプロピルエーテルで抽出した。水層をさらに同量のイソプロピルエーテルで抽出し、イソプロピルエーテル層を合わせ100mlの飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下に濃縮してイソプロピルエーテルを除いた。得られた10.4gの濃縮残部を減圧化に蒸留し、6.6gの白色固形物を得た。蒸留はガラスチュブオーブンを用い、2mmHgの減圧下、210−230度の溜分を採った。ガスクロマトグラフによる分析で、保持時間14分に8.4%の面積比で、同じく15分付近に79.9%、16分付近に6.6%の面積比でピークが観察された。また、蒸留によって得られた白色固形物をガスクロマトグラフ−マススペクトル分析し、224にアルコール体に特有な小さな親ピークを持つスペクトルパターンを示したことから、2(3)−シクロペンタデセン−1−オールの異性体混合物であると同定した。
表6に示した基本組成を有するベルガットコロン香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オールを30部(試料A)、添加混合して、オーデコロン用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べてより天然らしさが増強された。
【0022】
【表6】
【0023】
実施例5
表7に示した基本組成を有するローズソープ香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部(試料A)、添加混合して、石鹸用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べて ローズソープの香りに、従来にない深みと拡散性を与えた。
【0024】
【表7】
【0025】
実施例6
表8に示した基本組成を有するジャスミンタイプ香料を処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部(試料A)、添加混合して、石鹸用香料組成物を調製した。
このものの香りは、対照のものに比べて 一層深みがあり、天然らしい新しい香りのジャスミンタイプであった。
【0026】
【表8】
【0027】
表9に示した基本組成を有するフローラルブーケを処方し(対照区)、これに2(3)−シクロペンタデセン−1−オンを50部(試料A)、添加混合して、常法通りスキンケア−クリーム用香料組成物を調製した。
このものの香りは、フローラルブーケに甘さとムスク感の有る新しい香りを与えた。
【0028】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の方法により、2−シクロペンタデセン−1−オン及び又は3−シクロペンタデセン−1−オン、或いは2−シクロペンタデセン−1−オール及び又は3−シクロペンタデセン−1−オールを賦香成分として含有せしめた香料組成物は、従来常用されてきた基礎香料の香りに深み、力強さ、拡散性及び又は天然らしさが顕著に強化され、全く新しいタイプのムスク調芳香も得られる。
Claims (3)
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JP2002382510A JP2004210958A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 香料組成物及び芳香製品の芳香性を改良又は増強する方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006117585A (ja) * | 2004-10-21 | 2006-05-11 | Toyotama Koryo Kk | 新規香料物質及びその利用 |
JP2006265171A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Toyotama Koryo Kk | 香料組成物及び芳香製品の芳香性を改良又は増強する新しい方法 |
US20150057207A1 (en) * | 2013-08-22 | 2015-02-26 | International Flavors & Fragrances Inc. | Novel organoleptic compounds |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002382510A patent/JP2004210958A/ja active Pending
Cited By (4)
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