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JP4014868B2 - シート用背凭れ板およびシート - Google Patents

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JP4014868B2
JP4014868B2 JP2001396077A JP2001396077A JP4014868B2 JP 4014868 B2 JP4014868 B2 JP 4014868B2 JP 2001396077 A JP2001396077 A JP 2001396077A JP 2001396077 A JP2001396077 A JP 2001396077A JP 4014868 B2 JP4014868 B2 JP 4014868B2
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宏行 船戸川
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の運転席となるシートなどを構成するシートバックにセッティングされて着座者の姿勢を矯正するように用いられるシート用背凭れ板、および、着座者の姿勢を矯正する機能を備えたシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の運転席となるシートなどを構成するシートバックの前面に背凭れ板の背面部を接しさせた状態でセッティングされて、この着座者の背中に接する背凭れ板の前面部によってこの着座者の姿勢を矯正するように用いられる背凭れ板として、公開特許公報所載の特開平7−47022にかかる矯正用背凭れ板がある。
【0003】
この矯正用背凭れ板は、横断面で中央縦溝に向かい次第に肉厚となるゆるやかな傾斜面を有し、かつ、縦断面で中央より若干下がった所定位置を最大肉厚部とするゆるやかな傾斜面を有しており、これにより、着座者の脊椎を立っている状態に近い状態で維持でき、かつ、自然に姿勢を正しくさせることができるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、かかる従来の矯正用背凭れ板は、着座者の脊椎を立っている状態に近い状態で維持できるに留まるものであった。
【0005】
ここで、自動車の運転席となるシートなどに着座する着座者にあっては、着座者のペダルなどの操作によって着座者の足側から腰に負荷が作用されることが認められる。このため、長時間に亘って自動車などを運転していると、この負荷によって着座者に腰痛などを生じさせることが認められる。
【0006】
そこでこの発明は、自動車の運転席などに着座する着座者のペダルなどの操作によって着座者の足側から腰に作用される負荷が着座者の腰に作用し難いようにして、こうした操作に伴う腰の負担をできるだけ軽減させることを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明にあっては、シート用背凭れ板が、以下の(1)〜(6)の構成を備えたものとした。
(1)前面部を着座者の背凭れ面部としたシート用背凭れ板であって、この背凭れ面部が、
(2)着座者の背骨の張り出し部分を納めるように形成された中央上下溝と、
(3)着座者の仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分を支持するように形成された下部平坦支持面と、
(4)この下部平坦支持面の上方において着座者の背骨の張り出し部分を挟んだ両側にある背中部分を支持するように中央上下溝側から背凭れ板の上下方向に亙る縁部に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜するように形成された矯正湾曲面とを備えており、
(5)さらに、この背凭れ面部における矯正湾曲面が、下部平坦支持面に近付くに連れて徐々に前方に向けて傾斜するように形成されていると共に、
(6)中央上下溝に溝一端を連通させると共に、溝他端を背凭れ板の上下方向に亙る縁部において外方に開放させた通気溝を有している。
【0008】
かかる構成によれば、先ず、前記矯正湾曲面によって、水平方向において着座者の胸部を前方に張り出させると共に、垂直方向においても着座者の胸部が前方に張り出されるように、矯正湾曲面に凭れかかる着座者の姿勢を着座者の背中側から押圧矯正することができる。これによって、運転時に前屈みになりやすい着座者の上半身の姿勢を直立した状態にある人体の姿勢に近づけることができ、着座者の頭部側から下方向に作用される重さを直接腰に集中し難くして着座者の腰の負担を軽減させることができる。すなわち、このように着座者の上半身を直立した状態にある人体の姿勢に近づけることにより、背骨を構成する筋肉組織が直立姿勢に近い軽い緊張状態となり、背骨を構成する骨と骨との間にある椎間板や周辺の筋肉が個々に頭部側から下方向に作用される重さを吸収分散して、この重さが直接腰に集中しないようにすることができる。
【0009】
また、前記下部平坦支持面によって、着座者のペダルなどの操作によって着座者の足側から腰に作用される負荷を着座者の背中側において受け止め、足側に跳ね返すようにすることができ、これによりこうした負荷が腰に作用し難いようにすることができる。すなわち、このペダルなどの操作に伴う足側からの負荷による腰の後方への沈み込みを防ぎ、こうした操作に伴う腰の負担を軽減させることができる。また、前記下部平坦支持面によって着座者の仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分が支持されるので、前記ペダルの操作を行い易くなる特長を有している。
【0010】
また、前記中央上下溝によって、背骨の張り出し部分を納めることにより、背凭れ面部に痛みなく凭れかかることができる。また、中央上下溝の溝縁部によって脊椎を維持する筋を押圧させることができ、これにより適度な指圧効果を着座者に与えることができる。また、かかる構成によれば、前記中央上下溝および通気溝を通じて、背凭れ板の背凭れ面部に接する着座者の背中側の通気性を高めることができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載のシート用背凭れ板にさらに、背凭れ面部における背凭れ板の下縁部と上下方向に亙る縁部の接し合うコーナー部に、下部平坦支持面の側からこの両縁部の接し合う隅に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者の臀部肉の逃し面が形成してあることを特徴としている。
【0012】
かかる構成によれば、下部平坦支持面に対し着座者の腰部を適切にフィットさせることができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項1又は請求項2記載のシート用背凭れ板における、背凭れ板の肉厚方向にある上下方向に亙る端面部の少なくとも一部が、この背凭れ板の背面部に向かうに連れて徐々に背凭れ板の左右寸法を狭める向きに傾斜するように形成してあることを特徴としている。
【0014】
かかる構成によれば、シートのシートバックの前面に背凭れ板を安定的にセッティングすることができる。すなわち、シートバックの上下方向に亙る縁部は着座者のホールド性を高めるなどの要請から前方に向けて盛り上がるように構成されることが多いことから、背凭れ板の少なくとも一部をその横断面輪郭形状において背凭れ板の背面部側を狭くする舟形に形成させることによってシートバックの盛り上がった左右の縁部間に背凭れ板を安定的に納めてセッティングすることができる。
【0017】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項1、請求項2又は請求項3記載のシート用背凭れ板における背凭れ面部の少なくとも一部が、継続的な応力の作用によって弾性変形し易く、かつ、瞬間的な応力の作用によっては弾性変形し難いプラスチックフォーム材によって被覆されていることを特徴としている。
【0018】
かかる構成によれば、背凭れ板の背凭れ面部に対する着座者の背中のフィット感を向上させることができる。
【0019】
また、請求項5記載の発明あっては、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のシート用背凭れ板における背凭れ面部が、通気性を備えた生地によって覆われていることを特徴としている。
【0020】
かかる構成によれば、背凭れ板の外観性を高めることができると共に、背凭れ板の背凭れ面部に接する着座者の背中側の通気性を高めることができる。
【0021】
また、請求項6記載の発明にあっては、シートが以下の(1)〜(6)の構成を備えたものとした。
(1)シートバックにおける着座者の背凭れ面部に、
(2)着座者の背骨の張り出し部分を納めるように形成された中央上下溝と、
(3)着座者の仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分を支持するように形成された下部平坦支持面と、
(4)この下部平坦支持面の上方において着座者の背骨の張り出し部分を挟んだ両側にある背中部分を支持するように中央上下溝側からシートバックの上下方向に亙る縁部に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜するように形成された矯正湾曲面とを備えており、
(5)さらに、この背凭れ面部における矯正湾曲面を、下部平坦支持面に近付くに連れて徐々に前方に向けて傾斜するように形成させていると共に、
(6)中央上下溝に溝一端を連通させると共に、溝他端を背凭れ板の上下方向に亙る縁部において外方に開放させた通気溝を有している。
【0022】
かかる構成によれば、先ず、前記矯正湾曲面によって、水平方向において着座者の胸部を前方に張り出させると共に、垂直方向においても着座者の胸部が前方に張り出されるように、矯正湾曲面に凭れかかる着座者の姿勢を着座者の背中側から押圧矯正することができる。これによって、運転時に前屈みになりやすい着座者の上半身の姿勢を直立した状態にある人体の姿勢に近づけることができ、着座者の頭部側から下方向に作用される重さを直接腰に集中し難くして着座者の腰の負担を軽減させることができる。すなわち、このように着座者の上半身を直立した状態にある人体の姿勢に近づけることにより、背骨を構成する筋肉組織が直立姿勢に近い軽い緊張状態となり、背骨を構成する骨と骨との間にある椎間板や周辺の筋肉が個々に頭部側から下方向に作用される重さを吸収分散して、この重さが直接腰に集中しないようにすることができる。
【0023】
また、前記下部平坦支持面によって、着座者のペダルなどの操作によって着座者の足側から腰に作用される負荷を着座者の背中側において受け止め、足側に跳ね返すようにすることができ、これによりこうした負荷が腰に作用し難いようにすることができる。すなわち、このペダルなどの操作に伴う足側からの負荷による腰の後方への沈み込みを防ぎ、こうした操作に伴う腰の負担を軽減させることができる。また、前記下部平坦支持面によって着座者の仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分が支持されるので、前記ペダルの操作を行い易くなる特長を有している。
【0024】
また、前記中央上下溝によって、背骨の張り出し部分を納めることにより、背凭れ面部に痛みなく凭れかかることができる。また、中央上下溝の溝縁部によって脊椎を維持する筋を押圧させることができ、これにより適度な指圧効果を着座者に与えることができる。また、かかる構成によれば、前記中央上下溝および通気溝を通じて、背凭れ板の背凭れ面部に接する着座者の背中側の通気性を高めることができる。
【0025】
また、請求項7記載の発明にあっては、請求項6記載のシートにおける、背凭れ面部を巡る下縁部とシートバックの上下方向に亙る縁部とが近接し合うコーナー部に、下部平坦支持面の側からこの両縁部が近接し合う側に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者の臀部肉の逃し面が形成してあることを特徴としている。
【0026】
かかる構成によれば、下部平坦支持面に対し着座者の腰部を適切にフィットさせることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図20に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について説明する。
【0028】
なお、ここで図1ないし図6は、実施の形態にかかる背凭れ板2の構成例の一つをそれぞれ表しており、また、図7は、この構成例の一つのセッティング状態を、また、図8ないし図10は、このようにセッテイングされた背凭れ板2に着座者が凭れかかった背凭れ板2の使用状態をそれぞれ表している。
【0029】
また、図11ないし図14はそれぞれ、図1ないし図10に示される背凭れ板2の構成の一部を変更させた例を示している。
【0030】
また、図15ないし図20は、実施の形態にかかるシートをそれぞれ表している。
【0031】
この実施の形態にかかるシート用背凭れ板2は、典型的には、自動車の運転席となるシートを構成するシートバックSbの前面(つまり、シートバックSbにおける着座者Mの背中に向けられる側の面)に背凭れ板2の背面部を接しさせた状態でセッティングされて、この着座者Mの背中に接する背凭れ板2の前面部、すなわち、背凭れ面部1によってこの着座者Mの姿勢を矯正するように用いられるものである。
【0032】
また、この実施の形態にかかるシート3は、典型的には、自動車の運転席となるシート3について適用されるものであって、シートバックSbの背凭れ面部1に形成された矯正湾曲面1bおよび下部平坦支持面1cによって着座者Mの姿勢を矯正する機能を備えたものである。
【0033】
すなわち、この実施の形態にかかる背凭れ板2の背凭れ面部1およびシート3の背凭れ面部1はいずれも、
(1)着座者Mの背骨の張り出し部分を納めるように形成された中央上下溝1aと、
(2)着座者Mの仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分を支持するように形成された下部平坦支持面1cと、
(3)この下部平坦支持面1cの上方において着座者Mの背骨の張り出し部分を挟んだ両側にある背中部分を支持する矯正湾曲面1bとを有している。
【0034】
この矯正湾曲面1bは、前記背凭れ板2にあっては、
中央上下溝1a側から背凭れ板2の上下方向に亙る縁部2aに向かうに連れて徐々に後方(つまり、自動車にあっては自動車の後部側)に向けて傾斜するように形成されていると共に、
下部平坦支持面1cに近付くに連れて徐々に前方(つまり、自動車にあっては自動車の前部側)に向けて傾斜するように形成されている。
【0035】
また、この矯正湾曲面1bは、前記シート3にあっては、
中央上下溝1a側からシートバックSbの上下方向に亙る縁部3aに向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜するように形成されていると共に、
下部平坦支持面1cに近付くに連れて徐々に前方に向けて傾斜するように形成されている。
【0036】
これにより、この実施の形態にかかる背凭れ板2およびシート3にあっては、(1)前記矯正湾曲面1bによって、水平方向において着座者Mの胸部を前方に張り出させると共に、垂直方向においても着座者Mの胸部が前方に張り出されるように、矯正湾曲面1bに凭れかかる着座者Mの姿勢を着座者Mの背中側から押圧矯正することができる。これによって、運転時に前屈みになりやすい着座者Mの上半身の姿勢を直立した状態にある人体の姿勢に近づけることができ、着座者Mの頭部側から下方向に作用される重さを直接腰に集中し難くして着座者Mの腰の負担を軽減させることができる。すなわち、このように着座者Mの上半身を直立した状態にある人体の姿勢に近づけることにより、背骨を構成する筋肉組織が直立姿勢に近い軽い緊張状態となり、背骨を構成する骨と骨との間にある椎間板や周辺の筋肉が個々に頭部側から下方向に作用される重さを吸収分散して、この重さが直接腰に集中しないようにすることができる。
(2)また、前記下部平坦支持面1cによって、着座者Mのペダルなどの操作(自動車にあっては、典型的には、ブレーキペダル、アクセルペダル、クラッチペダルの操作)によって着座者Mの足側から腰に作用される負荷を着座者Mの背中側において受け止め、足側に跳ね返すようにすることができ、これによりこうした負荷が腰に作用し難いようにすることができる。すなわち、このペダルなどの操作に伴う足側からの負荷による腰の後方への沈み込みを防ぎ、こうした操作に伴う腰の負担を軽減させることができる。また、前記下部平坦支持面1cによって着座者Mの仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分が支持されるので、前記ペダルの操作を行い易くなる特長を有している。
(3)また、前記中央上下溝1aによって、背骨の張り出し部分を納めることにより、背凭れ面部1に痛みなく凭れかかることができる。また、中央上下溝1aの溝縁部によって脊椎を維持する筋を押圧させることができ、これにより適度な指圧効果を着座者Mに与えることができる。
【0037】
また、前記背凭れ板2にあっては、
背凭れ面部1における背凭れ板2の下縁部2bと上下方向に亙る縁部2aの接し合うコーナー部2cに、下部平坦支持面1cの側からこの両縁部2a、2bの接し合う隅2dに向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者Mの臀部肉の逃し面1dが形成してある。
【0038】
また、前記シート3にあっては、
背凭れ面部1を巡る下縁部3bとシートバックSbの上下方向に亙る縁部3aとが近接し合うコーナー部3cに、下部平坦支持面1cの側からこの両縁部3a、3bが近接し合う側に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者Mの臀部肉の逃し面1dが形成してある。
【0039】
これにより、この実施の形態にかかる背凭れ板2およびシート3にあっては、下部平坦支持面1cに対し着座者Mの腰部を適切にフィットさせることができる。
【0040】
前記背凭れ面部1は、前記矯正湾曲面1bおよび下部平坦支持面1cによる着座者Mの背中の支持ないし矯正をなせるようにある程度の硬さを持つように構成される。典型的には、着座者Mの体重による沈み込みがほとんどないように構成することが好ましい。また、着座者Mの背中と同程度の広さを有する縦長に構成することが好ましい。
【0041】
典型的には、前記背凭れ板2にあっては、この背凭れ板2を、着座者Mの体重による沈み込みがほとんどない硬めの弾力性のある素材からなるクッション材により構成することにより、背凭れ面部1に前記のような硬さを付与することができる。
【0042】
また、前記シート3にあっては、このシート3を構成するシートバックSbの前面部の一部を、着座者Mの体重による沈み込みがほとんどない硬めの弾力性のある素材からなるクッション材により、あるいは、このようなクッション材をシートバックSbの外皮3d内に納めるようにしてシートバックSbに内装することにより、このシート3の背凭れ面部1に前記のような硬さを付与することができる。
【0043】
こうした着座者Mの体重による沈み込みがほとんどない硬めの弾力性のある素材としては、例えば、発泡ポリプロピレンなどの発泡プラスチックや、コルク、不織布(綿や馬の毛などよりなる。)などの天然素材を用いることができる。
【0044】
(背凭れ板2)
図1ないし図10は、前記背凭れ板2の典型的な構成例の一つを示したものである。
【0045】
かかる背凭れ板2は、
(1)着座者Mの背中と同程度の広さを有する縦長の板状をなすように構成されている。
(2)また、上縁部2eと下縁部2bとを有すると共に、
(3)上下方向に亙る縁部2aを左右に有している。
(4)上縁部2e及び下縁部2bは、上下方向に亙る縁部2aよりも短くなるようにしてある。
(5)そして、一面側が、前記背凭れ面部1となる前面部となり、他面側が、背面部となるように構成されている。
(6)背面部は、背凭れ板2の上下方向に亘って、平坦な面を持つように構成されている。
【0046】
(背凭れ板2の背凭れ面部1)
図1ないし図10に示される例にあっては、背凭れ面部1は、背凭れ板2の上縁部2eの左右方向ほぼ中程の位置と、その下縁部2bの左右方向ほぼ中程の位置との間に亘って、前記中央上下溝1aを有している。
【0047】
また、この中央上下溝1aの上端は、背凭れ板2の上縁部2eにおいて外方に開放され、また、この中央上下溝1aの下端は、背凭れ板2の下縁部2bにおいて外方に開放されるように構成されている。
【0048】
そして、背凭れ板2の上縁部2eから全高のほぼ3分の2までの箇所に、前記矯正湾曲面1bが形成されていると共に、残りの箇所に、前記下部平坦支持面1cが形成されている。また、背凭れ板2は、この下部平坦支持面1cが形成されている箇所において、幅広となるように構成されている。
【0049】
すなわち、背凭れ板2は、その上縁部から全高のほぼ3分の2までの箇所では、下方に向かうに連れて次第に厚肉となるように構成されており、これによって、矯正湾曲面1bは、下部平坦支持面1cに近付くに連れて徐々に前方に向けて傾斜するように形成されている。
【0050】
それと共に、背凭れ板2は、その上縁部2eから全高のほぼ3分の2までの箇所では、中央上下溝1aを挟んだ左右両側においてそれぞれ、この中央上下溝1a側から上下方向に亙る縁部2aに近付くに連れて次第に薄肉となるように構成されており、これによって、矯正湾曲面1bは、中央上下溝1a側から背凭れ板2の上下方向に亙る縁部2aに向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜するように形成されている。
【0051】
また、背凭れ板2は、前記下部平坦支持面1cの形成位置においては、その上下方向及び左右方向において、おおむね、背凭れ板2の肉厚をもっとも厚くさせるように形成されており、これによって、下部平坦支持面1cは、中央上下溝1aの両側においてそれぞれ、その上下方向及び左右方向において平坦な面(すなわち、湾曲や屈曲していない面)を持つように形成されている。
【0052】
また、図1ないし図10に示される例にあっては、背凭れ面部1における背凭れ板2の下縁部2bと上下方向に亙る縁部2aの接し合うコーナー部2cに、下部平坦支持面1cの側からこの両縁部2a、2bの接し合う隅2dに向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者Mの臀部肉の逃し面1dが形成してあり、これにより、下部平坦支持面1cは、おおむねハート形の外郭形状をなすように形成されている。
【0053】
また、図1ないし図10に示される例にあっては、背凭れ板2の肉厚方向にある上下方向に亙る端面部2fの少なくとも一部が、この背凭れ板2の背面部に向かうに連れて徐々に背凭れ板2の左右寸法を狭める向きに傾斜するように形成してある。
【0054】
この図1ないし図10に示される例にあっては、背凭れ板2の下縁部2bから全高のほぼ三分の1までの箇所において、背凭れ板2の肉厚方向にある上下方向に亙る端面部2fが、この背凭れ板2の背面部に向かうに連れて徐々に背凭れ板2の左右寸法を狭める向きに傾斜するように形成してある。すなわち、この図1ないし図10に示される例にあっては、前記下部平坦支持面1cが形成されている箇所における背凭れ板2の左右方向における断面輪郭形状が、背凭れ板2の背面部側を狭める舟形をなすように構成されている。
【0055】
これにより、この図1ないし図10に示される例にあっては、シート3のシートバックSbの前面に背凭れ板2を安定的にセッティングすることができる。すなわち、シートバックSbの上下方向に亙る縁部Sbaは着座者Mのホールド性を高めるなどの要請からシートクッション側に近付くに連れて前方に向けて次第に盛り上がるように構成されることが多いことから、背凭れ板2の下部側を前記断面輪郭形状において前記のような舟形にすることによってシートバックSbの盛り上がった左右の縁部Sba間に背凭れ板2を安定的に納めてセッティングすることができる。
【0056】
(背凭れ板2の変更例)
図11および図12に示されるように、前記背凭れ板2の背凭れ面部1が、中央上下溝1aに溝一端を連通させると共に、溝他端を背凭れ板2の上下方向に亙る縁部2aにおいて外方に開放させた通気溝2gを有しているように構成することもできる。
【0057】
図11に示される例にあっては、前記矯正湾曲面1bにおいて、前記中央上下溝1aを挟んだ両側にそれぞれ、上下方向に間隔を開けて三本づつ前記のような通気溝2gを形成させるようにしている。各通気溝2gはいずれも、中央上下溝1aに連通された溝一端側から溝他端側に向けて斜め上方に向けて延びるように形成されている。
【0058】
また、図12に示される例にあっては、図11に示される例と同様に前記矯正湾曲面1bに通気溝2gを有すると共に、中央上下溝1aが下部平坦支持面1cにおいて終了しており、さらに、この中央上下溝1aの下端に溝一端を連通させて斜め下方に延び、かつ、溝他端を下部平坦支持面1cと臀部肉の逃し面1dとの間の稜部2hにおいて外方に開放させた下部通気溝2iを備えている。図12に示される例にあっては、この下部通気溝2iは、背凭れ板2の左右両側に設けられている。
【0059】
これにより、この図11および図12に示される例にあっては、前記中央上下溝1aおよび通気溝2g、2iを通じて、背凭れ板2の背凭れ面部1に接する着座者Mの背中側の通気性を高めることができる。
【0060】
また、図13に示されるように、背凭れ板2の背凭れ面部1の少なくとも一部が、継続的な応力の作用によって弾性変形し易く、かつ、瞬間的な応力の作用によっては弾性変形し難いプラスチックフォーム材2jによって被覆されているように構成することもできる。
【0061】
このようなプラスチックフォーム材2jとしては、例えば、テンピュール・ジャパンが販売するテンピュール(テンピュールは、アクティエセルスカーブ ダン・フォームの登録商標である。)や、トーヨーソフラン株式会社製の低反発ポリマー「LRZ75」などを用いることができる。
【0062】
このようにした場合、背凭れ板2の背凭れ面部1に対する着座者Mの背中のフィット感を向上させることができる。
【0063】
また、図14に示されるように、背凭れ板2の背凭れ面部1が、通気性を備えた生地によって覆われているように構成することもできる。
【0064】
図14に示される例にあっては、メッシュ生地によって構成された袋体2kに背凭れ板2を収納するようにして、この背凭れ板2の背凭れ面部1を通気性を備えた生地によって覆うようにしている。具体的には、この図14に示される例にあっては、雌雄をなすスライドファスナーによって閉塞される開口(図示は省略する。)を備えた袋体2k内に、この開口より背凭れ板2を入れ込ませた後、この開口をスライドファスナーにより閉塞して袋体内2kに背凭れ板2を収納するようにしている。
【0065】
このようにした場合、背凭れ板2の外観性を高めることができると共に、背凭れ板2の背凭れ面部1に接する着座者Mの背中側の通気性を高めることができる。
【0066】
(シート3)
図15ないし図20は、前記シート3の典型的な構成例の一つを示したものである。
【0067】
かかるシート3は、シートバックSbの背凭れ面部1に、シートバックSbの幅方向ほぼ中程の位置においてシートバックSbの上下方向に沿って延びる前記中央上下溝1aを有している。
【0068】
また、シートバックSbの上部側から全高のほぼ3分の2までの箇所に、前記矯正湾曲面1bを有していると共に、その下方に、前記下部平坦支持面1cを有している。
【0069】
また、背凭れ面部1を巡る下縁部3bとシートバックSbの上下方向に亙る縁部3aとが近接し合うコーナー部3cに、下部平坦支持面1cの側からこの両縁部3a、3bの近接し合う側に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者Mの臀部肉の逃し面1dが形成してある。
【0070】
この図15ないし図20に示される例にあっては、図1ないし図10に示される構成を備えた背凭れ板2を、シートバックSbの外皮3d内に納めるようにしてシートバックSbに内装することにより、このシート3の背凭れ面部1に前記中央上下溝1aと、矯正湾曲面1bと、下部平坦支持面1cと、臀部肉の逃し面1dとをそれぞれ形成させるようにしている。
【0071】
【発明の効果】
この発明にかかるシート用背凭れ板およびシートによれば、自動車の運転席などに着座する着座者のペダルなどの操作によって着座者の足側から腰に作用される負荷を着座者の背中側において受け止め、足側に跳ね返すようにすることができ、これによりこうした負荷が腰に作用し難いようにすることができる。すなわち、このペダルなどの操作に伴う足側からの負荷による腰の後方への沈み込みを防ぎ、こうした操作に伴う腰の負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】背凭れ板2の斜視図
【図2】同正面図
【図3】図2におけるA−A線断面図
【図4】図2におけるB−B線断面図
【図5】図2におけるC−C線断面図
【図6】図2におけるD−D線断面図
【図7】背凭れ板2のセッティング状態を示す斜視図
【図8】同使用状態を示す側面構成図
【図9】同使用状態を示す平面構成図
【図10】同使用状態を示す横断面構成図
【図11】図1ないし図10に示される背凭れ板2と構成の一部を異ならせる背凭れ板2の一例を示す斜視図
【図12】図1ないし図10に示される背凭れ板2と構成の一部を異ならせる背凭れ板2の一例を示す斜視図
【図13】図1ないし図10に示される背凭れ板2と構成の一部を異ならせる背凭れ板2の一例を示す斜視図
【図14】図1ないし図10に示される背凭れ板2と構成の一部を異ならせる背凭れ板2の一例を示す斜視図
【図15】シート3の斜視構成図
【図16】同正面構成図
【図17】図16におけるE−E線断面図
【図18】図16におけるF−F線断面図
【図19】図16におけるG−G線断面図
【図20】図16におけるH−H線断面図
【符号の説明】
M 着座者
1 背凭れ面部
1a 中央上下溝
1b 矯正湾曲面
1c 下部平坦支持面
2 背凭れ板
2a 上下方向に亙る縁部

Claims (7)

  1. 前面部を着座者の背凭れ面部としたシート用背凭れ板であって、
    この背凭れ面部が、
    着座者の背骨の張り出し部分を納めるように形成された中央上下溝と、
    着座者の仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分を支持するように形成された下部平坦支持面と、
    この下部平坦支持面の上方において着座者の背骨の張り出し部分を挟んだ両側にある背中部分を支持するように中央上下溝側から背凭れ板の上下方向に亙る縁部に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜するように形成された矯正湾曲面とを備えており、
    さらに、この背凭れ面部における矯正湾曲面が、下部平坦支持面に近付くに連れて徐々に前方に向けて傾斜するように形成されていると共に、
    中央上下溝に溝一端を連通させると共に、溝他端を背凭れ板の上下方向に亙る縁部において外方に開放させた通気溝を有していることを特徴とするシート用背凭れ板。
  2. 背凭れ面部における背凭れ板の下縁部と上下方向に亙る縁部の接し合うコーナー部に、下部平坦支持面の側からこの両縁部の接し合う隅に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者の臀部肉の逃し面が形成してあることを特徴とする請求項1記載のシート用背凭れ板。
  3. 背凭れ板の肉厚方向にある上下方向に亙る端面部の少なくとも一部が、この背凭れ板の背面部に向かうに連れて徐々に背凭れ板の左右寸法を狭める向きに傾斜するように形成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシート用背凭れ板。
  4. 背凭れ面部の少なくとも一部が、継続的な応力の作用によって弾性変形し易く、かつ、瞬間的な応力の作用によっては弾性変形し難いプラスチックフォーム材によって被覆されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のシート用背凭れ板。
  5. 背凭れ面部が、通気性を備えた生地によって覆われていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のシート用背凭れ板。
  6. シートバックにおける着座者の背凭れ面部に、
    着座者の背骨の張り出し部分を納めるように形成された中央上下溝と、
    着座者の仙骨並びに腸骨が位置される部分及びその周辺部分を支持するように形成された下部平坦支持面と、
    この下部平坦支持面の上方において着座者の背骨の張り出し部分を挟んだ両側にある背中部分を支持するように中央上下溝側からシートバックの上下方向に亙る縁部に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜するように形成された矯正湾曲面とを備えており、
    さらに、この背凭れ面部における矯正湾曲面を、下部平坦支持面に近付くに連れて徐々に前方に向けて傾斜するように形成させていると共に、
    中央上下溝に溝一端を連通させると共に、溝他端を背凭れ板の上下方向に亙る縁部において外方に開放させた通気溝を有していることを特徴とするシート。
  7. 背凭れ面部を巡る下縁部とシートバックの上下方向に亙る縁部とが近接し合うコーナー部に、下部平坦支持面の側からこの両縁部が近接し合う側に向かうに連れて徐々に後方に向けて傾斜する着座者の臀部肉の逃し面が形成してあることを特徴とする請求項6記載のシート。
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