JP4002657B2 - レジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板及びリードフレーム等の金属加工をする際のレジストパターン形成方法に関し、更に詳しくは、感度、密着性、抑泡性に優れ、レジストの密着不足によるエッチングでの導体のかけ、染み込みのない耐エッチング性に優れたレジストパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント配線板等の製造には感光性樹脂を用いたフォトレジスト法が用いられる。このフォトレジスト法に用いられるドライフィルムレジストはほとんどがアルカリ現像型であり、露光した後は未露光部分を炭酸ナトリウム等のアルカリ液で現像することで、感光性樹脂組成物中のカルボン酸基がカルボン酸塩となり水溶性になり、未露光部分が取り除かれ、レジスト画像を形成する。このように形成されたレジスト画像を保護マスクとし、公知のエッチング処理又はパターンめっき処理を行った後、レジスト剥離して印刷回路基板を製造することができる。
【0003】
しかしながら、42アロイ(鉄−ニッケル合金)、ステンレス等に代表されるような、銅以外の金属基板にアルカリ現像型ドライフィルムレジストを用いてパターン形成を行った場合には、上記金属基板とレジストの密着性が低いために、エッチング時にレジスト下部までエッチングされる現象(もぐり現象)やレジストの剥離現象が発生し、製品の歩留まり低下という問題を起こしていた。
かかる解決策として、特開平8−220776号公報では、アルカリ水溶液現像型ドライフィルムレジストを用いた金属基板の加工方法として金属基板にドライフィルムレジストを積層して露光、現像し、現像終了後に遠赤外線により金属基板上のレジストを熱処理することを提案している。又、特開平8−328266号公報では、露光、現像した後、活性光線を照射することを提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報開示技術では、ドライフィルムレジストが通常一般に用いられるアルカリ現像型のものであり、最近の技術の高度化、ファイン化を考慮するとまだまだ満足のいくものではなく、かかるレジストについても更なる改良が望まれるのである。
即ち、42アロイ(鉄−ニッケル合金)やステンレス等の銅以外の金属基板を用いた場合でも基板とレジストの密着性、抑泡性に優れ、導体への染み込みがないといったもぐり現象や導体のかけが生じない耐エッチング性に優れるレジストパターンを短時間かつ高い歩留まりで行うことができる方法が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかるに本発明者はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなる感光性樹脂組成物において、(b)成分として下記(1)式で示される化合物を(b)成分全体に対して50〜100重量%含有し、更に(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して(c)成分を0.5〜6.0重量部、(d)成分を0.1〜10重量部、(e)成分を0.1〜3.0重量部含有してなる感光性樹脂組成物(F)層を銅以外の金属基板表面に形成して、露光、現像し、現像終了後に活性光線を照射するレジストパターン形成方法が、上記目的に合致することを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
【化3】
(ここで、R1、R2は炭素数1〜3のアルキル基又は水素で、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。nは4〜20の整数である。)
【0007】
本発明では、上記感光性樹脂組成物(F)層を少なくとも1層とするドライフィルムレジストとして用いることも好ましい。
本発明では、上記(c)ロフィン二量体がトリフェニルビイミダゾール類であるとき、更には(d)光重合開始剤として、下記▲2▼式で示される化合物を用いるとき、本発明の効果を顕著に発揮する。
【0008】
【化4】
(ここで、R3、R4は水素又はアルキル基で、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物(F)は、(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなる樹脂組成物であり、(a)カルボキシル基含有ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸を共重合したアクリル系共重合体が好適に用いられるが、更には必要に応じ他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体とすることも可能である。この場合の各成分の含有量は(メタ)アクリル酸エステル成分が70〜85重量%、好ましくは75〜82重量%、エチレン性不飽和カルボン酸成分が15〜30重量%、好ましくは18〜25重量%、他の共重合可能なモノマー成分が0〜15重量%とすることが多い。
【0010】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0011】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸が好適に用いられ、そのほか、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
【0012】
他の共重合可能なモノマーとしては、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0013】
かくして得られる(a)カルボキシル基含有ポリマーには、上記以外に、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を併用することもできる。
又、該カルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量は10000〜300000、好ましくは10000〜150000、更に好ましくは30000〜100000の範囲のものが好ましく、分子量が10000未満ではコールドフローを起こし易く、逆に300000を越えると現像されにくく、解像度の低下を招いたり、レジスト剥離時の剥離性に劣ることとなる。
【0014】
(b)エチレン性不飽和化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられるが、本発明では上記▲1▼式で示される化合物を用いることが必要であり、(b)成分全体に対して50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%含有することが必要である。かかる含有量が50重量%未満では耐エッチング性が低下し、エッチング液の染み込みの原因となり好ましくない。
該▲1▼式で示される化合物としては、具体的にはポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等が挙げられ、nが4〜20、好ましくは4〜17のものがよい。
【0015】
これらの多官能モノマーと共に単官能モノマーを適当量併用することもでき、そのような単官能モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
【0016】
上記(b)エチレン性不飽和化合物の配合割合は、(a)カルボキシル基含有ポリマー及び(b)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜60重量%の範囲から選ぶことが望ましい。(b)エチレン性不飽和化合物の過少は、硬化不良、可塑性の低下、現像速度の遅延を招き、(b)エチレン性不飽和化合物の過多は、粘着性の増大、コールドフロー、硬化レジストの剥離速度低下を招き好ましくない。
【0017】
(c)ロフィン二量体としては、例えばトリフェニルビイミダゾール類、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−4,5−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−エトキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−エトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体等が挙げられ、中でも2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好適に用いられる。
【0018】
かかる(c)ロフィン二量体の配合割合は、(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の合計100重量部に対して0.5〜6.0重量部、好ましくは0.5〜4.0重量部、更に好ましくは1.0〜3.0重量部配合することが必要である。該配合割合が0.5重量部未満ではレジストの硬化不足や感度の低下を招くことになり、6.0重量部を越えると現像スカムの析出や保存安定性の低下となり好ましくない。特に(c)ロフィン二量体の中でもトリフェニルビイミダゾール類を(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の合計100重量部に対して0.5〜6.0重量部、好ましくは0.5〜4.0重量部含有することが好ましい。
【0019】
(d)光重合開始剤としては、上記▲2▼式で示される化合物、N,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ピバロインエチルエーテル、1,1−ジクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベゾスパロン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、N−フェニルグリシン等が例示され、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いられるが、本発明では少なくとも上記▲2▼式で示される化合物を含有させることが好ましい。
【0020】
かかる(d)光重合開始剤の配合割合は、(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の合計100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1.0〜8.0重量部、より好ましくは2.0〜5.0重量部配合することが必要である。該配合割合が0.1重量部未満では感度が低く実用性に乏しく、10重量部を越えると密着性が低下し、現像時のレジスト剥がれの原因となり好ましくない。
【0021】
(e)ロイコ染料としては、例えばトリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ロイコマラカイトグリーン、ロイコアニリン、ロイコメチルバイオレット等が挙げられる。かかる(e)ロイコ染料の配合割合は(a)カルボキシル基含有ポリマーと(b)エチレン性不飽和化合物の合計100重量部に対して0.1〜3.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部配合することが必要である。該配合割合が0.1重量部未満では感度が低下し、露光後のコントラストが低くなり、3.0重量部を越えると密着力の低下となり好ましくない。
【0022】
本発明で用いる感光性樹脂組成物(F)には、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)を必須成分とするが、必要に応じて熱重合禁止剤、可塑剤、ロイコ染料以外の染料(色素、変色剤)、密着付与剤、酸化防止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、等の添加剤を適宜添加することができる。
【0023】
例えば、熱重合禁止剤は感光性樹脂組成物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加するもので、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ニトロベンゼン、ピクリン酸、p−トルイジン等が挙げられる。
【0024】
可塑剤は膜物性をコントロールするために添加するもので、例えばジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、アセチルクエン酸トリn−ブチル、アセチルクエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0025】
色素としては、上記感光性樹脂組成物(イ)で使用するロイコ染料以外に、例えば、ブリリアントグリーン、エオシン、メチルバイオレット、エチルバイオレット、エチレンバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、マラカイトグリーン、マラカイトグリーンレイク、パテントブルー、パラフクシン、オイルブルー#603、ビクトリアピュアブルーBOH、スピロンブルーGN、ローダミン6G、ローズアニリン等である。中でもマラカイトグリーン、ブリリアントグリーンを0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有することが好ましい。
【0026】
変色剤は、露光により可視像を与えることができるように感光性樹脂組成物中に添加され、具体例として前記色素の他にジフェニルアミン、ジベンジルアニリン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−トルイジン、4、4′−ビフェニルジアミン、o−クロロアニリン、等が挙げられる。
【0027】
密着促進剤としては、例えばベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンズオキソゾール、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−ベンゾトリアゾールカルボン酸、5−ベンゾトリアゾールカルボン酸、ビス(N,N−2−エチルヘキシルアミノメチル)−1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0028】
本発明において使用され得る感光性樹脂組成物(F)は普通、積層構造のフォトレジストフィルムとして用いられる。該フォトレジストフィルムは、本発明の感光性樹脂組成物(F)を少なくとも1層とするものであり、支持体フィルム、感光性樹脂組成物(F)層及び必要に応じて保護フィルムを順次積層したもので、例えば、支持体フィルム/感光性樹脂組成物(F)(/保護フィルム)の層構成が挙げられる。
【0029】
本発明に用いられる支持体フィルムは、感光性樹脂組成物(F)層を形成する際の耐熱性及び耐溶剤性を有するものである。前記支持体フィルムの具体例としては、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、アルミニウム箔などが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、前記支持体フィルムの厚さは、該フィルムの材質によって異なるので一概には決定することができず、通常該フィルムの機械的強度などに応じて適宜調整されるが通常は3〜50μm程度である。
【0030】
前記感光性樹脂組成物(F)層の厚さは、あまりにも小さい場合には塗工、乾燥する際に、被膜が不均一になったり、ピンホールが生じやすくなり、又あまりにも大きい場合には、露光感度が低下し、現像速度が遅くなるため、通常5〜300μm、なかんずく7〜50μmであることが好ましい。
【0031】
本発明に用いられる保護フィルムは、フォトレジストフィルムをロール状にして用いる場合に、粘着性を有する感光性樹脂組成物(F)層が支持体フィルムに転着したり、感光性樹脂組成物(F)層に壁などが付着するのを防止する目的で感光性樹脂組成物(F)層に積層して用いられる。かかる保護フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、テフロンフィルムなどが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、該保護フィルムの厚さについては特に限定はなく、通常10〜50μm、なかんずく10〜30μmであればよい。
【0032】
上記の感光性樹脂組成物(F)を用いたドライフィルムレジストは、例えば、上記の感光性樹脂組成物(F)をポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどの支持体フィルム面に塗工した後、必要に応じてその塗工面の上からポリエチレンフィルム等の保護フィルムを被覆してドライフィルムレジストとして製造される。
ドライフィルムレジスト以外の用途としては、本発明の感光性樹脂組成物(F)を、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法等の常法により、加工すべき(42アロイ)基板上に直接塗工し、厚さ1〜150μmの感光層を容易に形成することもできる。塗工時に、メチルエチルケトン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサン、メチルセルソルブ、塩化メチレン、1,1,1−トリクロルエタン等の溶剤を添加することもできる。
【0033】
ドライフィルムレジストによって画像を形成させるには、支持体フィルムと感光性樹脂組成物(F)層との接着力及び保護フィルムと感光性樹脂組成物(F)層との接着力を比較し、接着力の低い方のフィルムを剥離してから感光性樹脂組成物層の側を金属面に貼り付けた後、他方のフィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。感光性樹脂組成物(F)が粘着性を有しないときは、前記他方のフィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物(F)層に直接接触させて露光することもできる。
金属面に直接塗工した場合は、その塗工面に直接またはポリエステルフィルムなどを介してパターンマスクを接触させ、露光に供する。
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0034】
露光後は、レジスト上のフィルムを剥離除去してから現像を行う。本発明の感光性樹脂組成物(F)は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウムなどのアルカリ0.3〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0035】
本発明では、上記の現像が終了した後に、更に活性光線を照射する必要がある。
活性光線としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド等が挙げられる。活性光線の照射量は、0.5〜3J/cm2とすることが好ましく、1〜2J/cm2とすることがより好ましい。該照射量が0.5J/cm2未満では得られる効果が不充分となる傾向があり、3J/cm2を越えるとレジストの剥離性が著しく低下する傾向がある。又、活性光線を照射する効果を補助する目的で、活性光線を照射する工程の前及び後の工程に、鉄を含む金属表面を有する基板を加熱することが好ましい。
【0036】
その後、通常塩化第二銅−塩酸水溶液や塩化第二鉄−塩酸水溶液等の酸性エッチング液を用いて常法に従ってエッチングを行う。希にアンモニア系のアルカリエッチング液も用いられる。めっき法は、脱脂剤、ソフトエッチング剤などのめっき前処理剤を用いて前処理を行った後、めっき液を用いてめっきを行う。
【0037】
エッチング工程後、残っている硬化レジストの剥離を行う。硬化レジストの剥離除去は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの0.5〜5重量%程度の濃度のアルカリ水溶液からなるアルカリ剥離液を用いて行う。
【0038】
本発明のレジストパターンの形成方法は、(a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなり、かつ(b)成分の中でも特定化合物を(b)成分全体に対して50〜100重量%含有し、更に(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して(c)成分を0.5〜6.0重量部、(d)成分を0.1〜10重量部、(e)成分を0.1〜3.0重量部含有した感光性樹脂組成物(F)を用い、現像終了後に活性光線を照射するするため、42アロイやステンレス等の銅以外の金属基板を用いた場合でも基板とレジストの密着性に優れ、導体への染み込みや導体のかけがなく、レジストパターンを短時間かつ高い歩留まりで行うことができるのである。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する。
尚、ことわりのない限り「%」及び「部」は重量基準である。
[感光性樹脂組成物の調製]
(a)としては下記のカルボキシル基含有ポリマーを用い、表1に示す如き組成の感光性樹脂組成物(F−1)〜(F−10)のドープを調製した。
(a)・メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル/2−エチルヘキシルアクレート/メタクリル酸(重量比:58/10/10/22)の組成を有し、重量平均分子量が60000の共重合体の40%メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比が50/50)溶液 139.38部(固形分55.75部)
【0040】
【表1】
感光性樹脂 (b) (c) (d) (e) その他
組成物 APG TMP-TA HABI BDK EAB-F LCV TBMPS MG
(F) ( % ) ( % ) ( % ) ( % ) ( % ) ( % ) ( % ) ( % )
F−1 37.16 --- 2.0 4.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−2 18.58 18.58 2.0 4.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−3 27.87 9.29 2.0 4.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−4 14.86 22.30 2.0 4.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−5 32.16 --- 7.0 4.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−6 39.06 --- 0.1 4.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−7 30.16 --- 2.0 11.0 0.06 0.7 0.3 0.03
F−8 41.14 --- 2.0 0.05 0.03 0.7 0.3 0.03
F−9 33.86 --- 2.0 4.0 0.06 4.0 0.3 0.03
F− 10 37.81 --- 2.0 4.0 0.06 0.05 0.3 0.03
【0041】
注)(a)カルボキシル基含有ポリマーはすべて55.75%の配合量である。
APG :ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=7)
TMP-TA :トリメチロールプロパントリアクリレート
HABI :2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
BDK :ベンジルジメチルケタール
EAB-F :N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン
LCV :ロイコクリスタルバイオレット
TBMPS :トリブロモメチルフェニルスルホン
MG :マラカイトグリーン
(F−4)〜(F−10)は本発明で規定する感光性樹脂組成物ではない。
【0042】
実施例1
上記感光性樹脂組成物(F−1)のドープをギャップ5ミルのアプリケーターを用いて厚さ20μmのポリエステルフィルム上に塗工し、室温で1分30秒放置した後、60℃、90℃、110℃のオーブンでそれぞれ3分間乾燥して、レジスト厚25μmのドライフィルムとした(ただし保護フィルムは設けていない)。
一方、ニッケル42%含有のニッケル/鉄合金(42アロイ)からなる基板をアルカリ脱脂剤(10%水溶液)に50℃で2分間浸漬した後、水洗処理し、更に5%塩酸水溶液に室温で20秒間浸漬し、水洗処理した後、精製水により水洗を行い、乾燥したものを基材として用いた。基材は厚さ0.15mmであり、巾250mm、長さ300mmの基板である。
上記ドライフィルムを、オーブンで60℃に予熱した基材の両面に、ラミネートロール温度100℃、同ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度1.5m/minにてラミネートした。
【0043】
次いで得られた基材に、2kw水銀ショートアーク灯(平行光源)で、ストーファー21段ステップタブレット(光透過量が段階的に少なくなるように作られたネガフィルム)の数値が6となる露光量で露光を行った。露光後15分経過してからポリエステルフィルムを剥離し、30℃で1%炭酸ナトリウム水溶液をブレークポイント(未露光部分が完全溶解する時間)の2倍の現像時間でスプレーすることにより未露光部分を溶解除去して硬化樹脂画像を得た。
【0044】
次に、8kw高圧水銀灯(コンベアー型紫外線照射装置)により光量1.5J/cm2の活性光線照射を行った後、この基材を50℃、45B(ボーメ)の塩化第二鉄のエッチング液により8分間エッチングした(スプレー圧:上1.8kg/cm2、下1.5kg/cm2)。次に50℃の3%水酸化ナトリウム水溶液で50秒噴霧してレジストとして用いた硬化樹脂膜を剥離して画像を形成した。
【0045】
本発明において以下の項目を下記の如く評価した。
(感度)
感光性樹脂組成物(F)の光感度は基材に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数が6となるときの露光量(mj/cm2)を測定することにより評価した。
【0046】
(密着性)
基材へのラミネート後、ライン幅10、15、20、25、30、40、45、50μmのパターンマスク(ガラスクロム乾板:独立細線)を用いて、同様に現像して密着性良好な最小ライン幅(μm)を調べた。
【0047】
(抑泡性)
1%炭酸ナトリウム500mlに未露光レジストを0.2m2(レジスト厚み25μm)を溶解し、一日撹拌した後、該炭酸ナトリウム液(未露光レジスト溶解液)100mlを発泡瓶(瓶の内径:9cm)に移し、該発泡瓶を30℃の恒温水槽で1時間放置した。その後1.0l/分の通気量で空気を送り込み、液を発泡させた。空気を送り始めてから10分後、20分後、30分後、1時間後、2時間後、6時間後の泡のみの高さ(cm)を測定することにより抑泡性を評価した。
【0048】
(耐エッチング性)
▲1▼導体への染み込み
ライン/スペース=400μm/300μmの現像後、レジストパターンをエッチングし、レジストを剥離したの基材を拡大顕微鏡で観察してエッチング液の染み込み具合を目視評価した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・染み込みなし
○・・・2μm未満の染み込みあり
△・・・2〜5μm未満の染み込みあり
×・・・5μm以上の染み込みあり
【0049】
▲2▼導体のかけ
ライン/スペース=400μm/300μmの現像後、レジストパターンをエッチングし、レジストを剥離した後、基材を拡大顕微鏡で観察して、導体のカケ具合を目視評価した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・導体のカケなし
○・・・導体の幅に対して端部より1/3未満のカケあり
△・・・導体の幅に対して端部より1/3以上のカケあり
×・・・導体なし
【0050】
実施例2〜3及び比較例1〜7
実施例1において、感光性樹脂組成物(F)を表2に示す如く代えた以外は同様に行い、各性能を評価した。
【0051】
比較例8
実施例1において、活性光線照射を施さなかった以外は同様に行い、上記と同様に評価した。
実施例および比較例の評価結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
尚、比較例2では現像時、現像液中にスカムが発生した。該スカムは基板に付着し、エッチングでのショートの原因又はメッキでの断線の原因となる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の方法は、42アロイやステンレス等の銅以外の金属基板を用いた場合でも、基板とレジストの密着性、抑泡性に優れ、導体への染み込みといったもぐり現象や導体のカケのない耐エッチング性に優れた、レジストパターンを短時間かつ高い歩留まりで行うことができるもので、印刷配線板の製造、リードフレームの製造、金属の精密加工等に有用である。
Claims (6)
- (a)カルボキシル基含有ポリマー、(b)エチレン性不飽和化合物、(c)ロフィン二量体、(d)光重合開始剤、(e)ロイコ染料を含有してなる感光性樹脂組成物において、(b)成分として下記(1)式で示される化合物を(b)成分全体に対して50〜100重量%含有し、更に(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して(c)成分を0.5〜6.0重量部、(d)成分を0.1〜10重量部、(e)成分を0.1〜3.0重量部含有してなる感光性樹脂組成物(F)層を銅以外の金属基板表面に形成して、露光、現像し、現像終了後に活性光線を照射することを特徴とするレジストパターン形成方法。
- 感光性樹脂組成物(F)層を少なくとも1層とするドライフィルムレジストを用いることを特徴とする請求項1記載のレジストパターン形成方法。
- (c)ロフィン二量体として、トリフェニルビイミダゾール類を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のレジストパターン形成方法。
- (a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、トリフェニルビイミダゾール類を0.5〜6.0重量部用いることを特徴とする請求項3記載のレジストパターン形成方法。
- (a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、上記(2)式で示される化合物を0.1〜10重量部を用いることを特徴とする請求項1、2又は5記載のレジストパターン形成方法。
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