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JP4099837B2 - 低温焼成セラミック多層基板の製造方法 - Google Patents

低温焼成セラミック多層基板の製造方法 Download PDF

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JP4099837B2 JP23094397A JP23094397A JP4099837B2 JP 4099837 B2 JP4099837 B2 JP 4099837B2 JP 23094397 A JP23094397 A JP 23094397A JP 23094397 A JP23094397 A JP 23094397A JP 4099837 B2 JP4099837 B2 JP 4099837B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Ag系の金属粉末を含む低温焼成セラミック用導体ペーストを用いて低温焼成セラミック多層基板を製造する低温焼成セラミック多層基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、1000℃以下で焼成する低温焼成セラミック基板では、同時焼成用の導体として、Ag、Au、Ag−Pd、Ag−Pt、Cu等の低融点金属が用いられている。これらの金属のうち、Auは高価であるため、コスト面から使用範囲が制限され、Ag−Pd、Ag−Ptは、合金化により抵抗値が大幅に増加する欠点がある。また、Cuは、空気中(酸化性雰囲気中)で焼成すると酸化するため、還元性雰囲気(N2 )中で同時焼成しなければならず、焼成コストが高くつくという欠点がある。この点、Agは、空気中で焼成できると共に、Ag−Pd、Ag−Ptと比較して抵抗値が小く、しかも、Auより安価であり、コスト面でも有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Agは、上記した低融点金属の中で最も融点が低い(960.7℃)ため、850℃以上で焼成する低温焼成セラミックと同時焼成すると、Agが焼結過剰となり、焼成収縮が大きくなる。このため、低温焼成セラミック基板の同時焼成用の導体ペーストとして、Agペーストを用いて同時焼成すると、図1(b)に示すように、ビアホール11内に充填したAgのビア導体12,13が過剰に焼成収縮して、内層のビア導体12の層間接続部に空隙14が発生してビア導体12の接続信頼性が低下する原因となったり、或は、基板表層のビア導体13の真上に形成したパッド15に凹みが発生して、該パッド15に接合する半導体チップの接合信頼性が低下する原因となっていた。
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、Ag系の導体ペーストでありながら、焼成収縮量を小さくできる低温焼成セラミック用導体ペーストを提供することであり、更には、低温焼成セラミックと同時焼成する導体の信頼性を向上することができる低温焼成セラミック多層基板の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の低温焼成セラミック多層基板の製造方法において用いられる低温焼成セラミック用導体ペーストは、導体としてAg系の金属粉末を含み、且つ、焼結抑制材として酸化開始温度が300℃以上のケイ化物の粉末を含んでいる。このように、酸化開始温度が300℃以上のケイ化物の粉末をAg系導体ペーストに配合することで、同時焼成時の低温焼成セラミックの焼結速度に合わせてAg系導体ペーストの焼結速度を遅くすることができ、Ag系導体の過剰な焼結を防ぐことができる。
【0006】
この場合、Ag系の金属粉末とケイ化物との配合比は、Ag系の金属粉末が50〜99.5重量%、ケイ化物が0.5〜50重量%とすることが好ましい(請求項2)。この配合比であれば、Ag系導体としての低抵抗特性とケイ化物による焼結抑制効果とを両立できる。
【0007】
そして、本発明の低温焼成セラミック多層基板の製造方法のように、上述のケイ化物を含む導体ペーストを複数枚の低温焼成セラミックのグリーンシートに印刷し、これらを積層して同時焼成することにより、導体とセラミックとの焼成収縮量の差が少ない良質の低温焼成セラミック多層基板を製造することができる。
【0008】
また、請求項3のように、低温焼成セラミックのグリーンシートに形成されたビアホールに、上述のケイ化物を含む導体ペーストを印刷により充填してビア導体を形成した後、該ビア導体上に、ケイ化物を含まない導体ペーストを印刷してパッドを形成し、該グリーンシートを最上層にして他の印刷済みのグリーンシートと積層して同時焼成し、低温焼成セラミック多層基板を製造するようにしても良い。このようにすれば、ビア導体の過剰な焼結を防ぐことができ、ビア導体に焼結過剰による空隙や凹みが発生することを防ぐことができる。しかも、パッドはケイ化物を含まない導体で形成されるため、ケイ化物による抵抗値の増加を抑えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1(a)に示す本発明の一実施形態では、低温焼成セラミックのグリーンシート21のセラミック材料として、CaO−SiO2−Al23−B23系ガラス50〜65重量%とアルミナ35〜50重量%との混合物を用いる。この他、MgO−SiO2−Al23−B23系ガラスとアルミナ粉末との混合物や、SiO2−B23系ガラスとアルミナとの混合物、PbO−SiO2−B23系ガラスとアルミナとの混合物、コージェライト系結晶化ガラス等、800〜1000℃で焼成できる低温焼成セラミック材料を用いても良い。このグリーンシート21には、パンチングマシーンや打ち抜き型等によって直径50〜1000μmのビアホール22を打ち抜き形成する。
【0010】
このビアホール22に充填する導体ペーストは、導体としてAg粉末を含み、且つ、焼結抑制材として、酸化開始温度が300℃以上のケイ化物粉末を含む。酸化開始温度が300℃以上のケイ化物としては、図2に示すようにCrSi2、TaSi2、ZrSi2、WSi2、NbSi2、TiSi2、MoSi2等があり、これらの中から1種又は複数種のケイ化物を選択して導体ペーストに配合すれば良い。ここで、Ag粉末とケイ化物粉末との配合比は、Ag粉末が50〜99.5重量%、ケイ化物が0.5〜50重量%とすることが好ましい。尚、導体ペーストには、Ag粉末、ケイ化物の他に、バインダ樹脂と有機溶剤が配合されている。
【0011】
このケイ化物入りの導体ペーストを各層のグリーンシート21のビアホール22にスクリーン印刷して充填してビア導体23を形成する。更に、内層のグリーンシート21の表面に、ケイ化物を含まない低温焼成セラミック用導体ペーストを用いて内層配線パターン24をスクリーン印刷すると共に、最上層のグリーンシート21のビア導体23上に、必要に応じて、ケイ化物を含まない低温焼成セラミック用導体ペーストを印刷してパッド25を形成しても良い。この際、ケイ化物を含まない低温焼成セラミック用導体ペーストとしては、Agペースト、Ag−Pdペースト、Ag−Ptペースト等を用いれば良い。
【0012】
印刷工程終了後、各層のグリーンシート21を積層して圧着し、これを空気中で800〜1000℃で焼成する。最後に、パッド25の表面にNi/Auめっきを施す。
【0013】
以上説明したように、ビアホール22に充填するAg系の導体ペーストにケイ化物を配合することで、同時焼成時の低温焼成セラミックの焼結速度に合わせてAg系のビア導体23の焼結速度を遅くすることができ、ビア導体23の過剰な焼結を防ぐことができて、ビア導体23の焼成収縮量を低温焼成セラミックの焼成収縮量に近付けることができる。これにより、ビア導体23の層間接続部に焼結過剰による空隙が発生することを防ぐことができ、ビア導体23の接続信頼性を向上できると共に、ビア導体23上のパッド25に凹みが発生することを防止できて、該パッド25に接合する半導体チップの接合信頼性を向上できる。
【0014】
ところで、導体ペーストにケイ化物を配合すると、ケイ化物を含まないものより抵抗値が大きくなるが、ケイ化物の配合量が50重量%以下であれば、抵抗値が許容範囲に収まる。また、ケイ化物の配合量が少なくなるに従って、焼結抑制効果が低下するが、ケイ化物の配合量が0.5重量%以上であれば、ある程度の焼結抑制効果が得られる。従って、Ag粉末とケイ化物との配合比は、Ag粉末:50〜99.5重量%、ケイ化物:0.5〜50重量%とすれば、Agペーストとしての低抵抗特性とケイ化物による焼結抑制効果とを両立できる。
【0015】
更に、上記実施形態では、焼結過剰が問題となるビア導体23のみをケイ化物入りのAgペーストで形成し、焼結過剰がさほど問題とならないパッド25や内層配線パターン24は、ケイ化物を含まない導体ペーストで形成するようにしたので、ケイ化物による抵抗値の増加を最小限に抑えながら、焼結過剰によるパッド25の凹み等の問題を解消でき、品質の良い低温焼成セラミック多層基板を製造することができる。
【0016】
但し、本発明は、パッド25や内層配線パターン24についても、ケイ化物入りの導体ペーストで形成するようにしても良く、この場合でも、ケイ化物の配合量を少なくすることで、抵抗値を低くすることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、Ag系の導体ペーストに焼結抑制材として酸化開始温度が300℃以上のケイ化物の粉末を配合したものを用いるようにしているので、Ag系の導体ペーストでありながら、同時焼成時の過剰な焼結を防ぐことができて、導体の焼成収縮量を低温焼成セラミックのそれに近付けることができる(請求項1)。
【0018】
更に、Ag系の金属粉末とケイ化物との配合比を、Ag系の金属粉末:50〜99.5重量%、ケイ化物:0.5〜50重量%とした導体ペーストを用いることにより、Ag系導体としての低抵抗特性を失わずにケイ化物による焼結抑制効果を得ることができる(請求項2)。
【0019】
また、焼結過剰が問題となるビア導体をケイ化物入りの導体ペーストで形成し、パッドはケイ化物を含まない導体ペーストで形成するようにしているので、ケイ化物による抵抗値の増加を抑えながら、十分な焼結抑制効果を得ることができる(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の一実施形態における低温焼成セラミック多層基板の部分拡大縦断面図、(b)は従来の低温焼成セラミック多層基板の部分拡大縦断面図
【図2】
種々のケイ化物粉末の平均粒度と酸化開始温度との関係を示す図
【符号の説明】
21...グリーンシート、22...ビアホール、23...ビア導体、24...内層配線パターン、25...パッド。

Claims (3)

  1. 導体としてAg系の金属粉末を含み、且つ、焼結抑制材として酸化開始温度が300℃以上のケイ化物の粉末を含む低温焼成セラミック用導体ペーストを、複数枚の低温焼成セラミックのグリーンシートに印刷し、これらを積層して同時焼成することを特徴とする低温焼成セラミック多層基板の製造方法。
  2. 前記低温焼成セラミック用導体ペーストとして、前記Ag系の金属粉末と前記ケイ化物との配合比が、Ag系の金属粉末が50〜99.5重量%、ケイ化物が0.5〜50重量%であるものを用いることを特徴とする、請求項1記載の低温焼成セラミック多層基板の製造方法。
  3. 前記グリーンシートに形成されたビアホールに、前記低温焼成セラミック用導体ペーストを印刷により充填してビア導体を形成した後、該ビア導体上に、ケイ化物を含まない低温焼成セラミック用導体ペーストを印刷してパッドを形成し、該グリーンシートを最上層にして、他の印刷済みのグリーンシートと積層して同時焼成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の低温焼成セラミック多層基板の製造方法。
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