JP4076681B2 - 静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法において、静電潜像の現像のために使用する静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、潜像担持体(感光体)上に形成された静電潜像を着色剤を含むトナーで現像し、得られたトナー像を転写体上へ転写し、これを熱ロール等で定着することにより画像が得られ、他方、その潜像担持体は再び静電潜像を形成するためにクリーニングされるものである。
このような電子写真法等に使用される乾式現像剤は、結着樹脂に着色剤等を配合したトナーを単独で用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリアを混合した二成分現像剤とに大別される。一成分現像剤では磁性粉を用い、磁気力により現像剤担持体で搬送し現像する磁性一成分と、磁性粉を用いず帯電ロール等の帯電付与により現像剤担持体で搬送し現像する非磁性一成分とに分類することができる。
【0003】
1980年代の後半から、電子写真の市場はデジタル化をキーワードとして小型化、高機能要求が強く、特にフルカラー画質に関しては高級印刷、銀塩写真に近い高画質品位が望まれている。高画質を達成する手段としてデジタル化処理が不可欠であり、このような画質に関するデジタル化の効能として、複雑な画像処理が高速で行えることが挙げられている。これにより、文字と写真画像を分離して制御することが可能となり、両品質の再現性がアナログ技術に比べ大きく改善されている。特に写真画像に関しては、階調補正と色補正が可能になった点が大きく、階調特性、精細度、鮮鋭度、色再現、粒状性の点でアナログに比べ有利である。しかし、画像出力としては光学系で作製された潜像を忠実に作像する必要があり、トナーとしては益々小粒径化が進み、忠実再現を狙った活動が加速されている。しかし、単にトナーの小粒径化だけでは、安定的に高画質を得ることは困難であり、現像、転写、定着特性における基礎特性の改善が更に重要となっている。
【0004】
特にカラー画像では、3色あるいは4色のカラートナーを重ね合わせて画像を形成している。それゆえに、これら何れかのトナーが現像、転写、定着の観点で初期と異なる特性、あるいは他色と異なる性能を示すと、色再現の低下、粒状性悪化、色むら等の画質劣化を引き起こすこととなる。安定した高品質の画像を初期同様に、経時においても維持するためには、各トナーの特性を如何に安定制御するかが重要である。特にトナーは現像器内で攪拌され、トナー表面の微細構造変化が容易に起こり、転写性を大きく変えることが報告されている(特開平10−312089号公報)。
【0005】
近年では、省スペースの観点から装置の小型化、環境保護の観点から廃棄トナーを少なくする、潜像担持体の寿命を延命化する等の目的から、クリーニングシステムを省略して、転写後の感光ドラム上に残留するトナーを該感光ドラム上に接触するブラシで分散し、その分散されたトナーを現像器で現像と同時回収するクリーナーレスシステムが提案されている(特開平5−94113号公報)。一般的には、このように現像と同時に残留トナーを回収すると、回収されたトナーとその他のトナーとの帯電特性が異なり、回収されたトナーが現像されずに現像器内に蓄積する等の不具合を生じるため、更に転写効率を上げ、回収するトナー量を最小限に制御することが必要となる。
【0006】
また、流動性、帯電性、及び転写性を向上させるために、トナー形状を球形に近づけることが提案されている(特開昭62−184469号公報)。しかしながら、トナーを球形化することにより、以下のような不具合を生じやすくなる。現像器には、現像剤搬送量を一定に制御するために搬送量制御板が設けられており、そしてマグロールと搬送量制御板との間隔を振ることにより制御可能となる。しかし、球形トナーを用いると現像剤としての流動性が上がり、また同時に固め嵩密度が高くなる。その結果として、搬送規制部位にて現像剤だまりが起こり、搬送量が不安定になるという現象が起こる。マグロール上の表面粗さを制御するとともに、制御板とマグロールとの間隔を狭くすることにより搬送量の改善は可能であるが、現像剤だまりによるパッキング性は益々強くなり、それに応じてトナーに加わる応力も強くなる。このことによりトナー表面の微細構造変化、特に外添剤の埋没あるいは剥がれ等が容易に起こり、現像、転写性を初期と大きく変えてしまう不具合が確認されている。
【0007】
これらを改善するために、球形トナーと非球形トナーとをそれぞれ組み合わせパッキング性を抑制し、高画質を達成できることが報告されている(特開平6−308759号公報)。しかし、これはパッキング性抑制に関しては効果的ではあるが、非球形トナーが転写残として残りやすく、高転写効率を達成することはできない。また、現像同時回収を行う場合は、転写残である非球形トナーを回収するため、非球形トナーの割合が増え、益々転写効率を低下させる問題を引き起こす。
【0008】
また、球形トナーの現像性、転写性、クリーニング性の向上を図るために、平均粒径5mμ以上20mμ未満の粒子と平均粒径20mμ以上40mμ以下の粒子の、それぞれ粒径が異なる二種類の無機微粒子を併用し、特定量添加することが開示されている(特開平3−100661号公報)。これは、初期的には高い現像性、転写性、クリーニング性を得ることができるが、経時においてトナーに加わる力を軽減することができないことから、外添剤の埋没あるいは剥がれ等が容易に起こり、現像性、転写性を初期と大きく変えてしまうものである。
【0009】
一方、このようなストレスに対して、トナー(着色粒子)への外添剤埋没を抑制するために、大粒径の無機微粒子を用いることが有効であることが開示されている(特開平7−28276号公報、特開平9−319134号公報、特開平10−312089号公報)。しかし、いずれも無機微粒子は真比重が大きいため、外添剤粒子を大きくすると現像器内攪拌ストレスにより、外添剤の剥がれ等を避けられないものとなってしまう。また、無機微粒子は完全な球形形状を呈していないため、トナー(着色粒子)表面上に付着させた場合、外添剤の穂立ちを一定に制御することは困難である。これにより、スペーサーとして機能するミクロな表面凸形状にバラツキが起こり、選択的に凸部分にストレスが加わることから、外添剤の埋没あるいは剥がれ等は更に加速される。
【0010】
また、有効にスペーサー機能を発現させるために、50〜200nmの有機微粒子をトナー(着色粒子)に添加する技術が開示されている(特開平6−266152号公報)。球形有機微粒子を用いることにより、初期的には有効にスペーサー機能を発現させることが可能である。しかし、有機微粒子は経時ストレスに対して埋没、剥がれは少ないものの、有機微粒子自身が変形するため、高いスペーサー機能を安定的に発現することは困難である。また、有機微粒子をトナー(着色粒子)表面に多くつける、あるいは大粒径の有機微粒子を用いることにより、スペーサー効果を得ることも考えられるが、その際は有機微粒子の特性が大きく反映されてしまう。即ち、無機微粒子添加トナーの流動性阻害及び熱凝集悪化等の粉体特性への影響、及び有機微粒子そのもの自身が帯電付与能力を有しており、帯電の観点での制御自由度が低くなってしまうという帯電、現像への影響が発生する。
【0011】
また最近では、カラー化、特にオンデンマンド印刷の要求が高く、高速枚数複写対応のため転写ベルトに多色像を形成し、一度にその多色像を像固定材料に転写し、定着する手法が報告されている(特開平8−115007号公報)。感光体から転写ベルトに転写する工程を一次転写、転写ベルトから転写体へ転写する工程を二次転写とすると二度の転写を繰り返すことになり、益々転写効率向上技術が重要となってくる。特に二次転写の場合は、多色像を一度に転写すること、また転写体(例えば用紙の場合、その厚み、表面性等)が種々変わることから、その影響を低減するために帯電性、現像性、転写性を極めて高く制御する必要がある。
【0012】
また、消費電力、スペースの削減、及び高画質画像を得るために、カラー各色を中間転写体へ転写し、転写体へ転写と同時に定着する技術が開示されている(特開平10−213977号公報、特開平8−44220号公報)。ここで重要な点は、転写ベルトが転写機能と定着機能の両方の機能を兼ね備える必要がある。即ち、一次転写部分では冷却された状態で転写性を向上し、二次転写同時定着部分では瞬時に熱を伝える必要があることから、ベルト材質は耐熱性の高い薄層ベルトが使用されることとなる。ここで、トナーに求められる機能としては、転写効率を極めて高いものに制御すること、及び定着時に強い圧力を加えることができないことから低圧力定着に順応するトナーの提供が求められる。またベルト表面は、転写機能も有することから定着時のトナー汚染、外添剤等によるキズを極力少なくすることが重要である。
【0013】
一方、キャリアの体積固有抵抗を制御して高画質、特にハーフトーン、黒ベタ、文字を忠実に再現する方法が提案されている(特開昭56−125751号公報、特開昭62−267766号公報、特公平7−120086号公報)。これらの方法では、いずれもキャリア被覆層の種類や被覆量により抵抗調整を行っており、初期的には狙いの体積固有抵抗が得られ高画質が発現するものの、現像器中のストレスによってキャリア被覆層の剥がれ等が発生し、体積固有抵抗が大きく変化する。従って、高画質を長期にわたり発現することは困難である。
【0014】
また一方、キャリア被覆層中にカーボンブラックを添加して、体積固有抵抗を調整する方法が提案されている(特開平4−40471号公報)。本手法により、被覆層の剥がれによる体積固有抵抗の変化は抑えられるものの、トナーに添加されている外添剤又はトナー構成成分がキャリアに付着し、キャリアの体積固有抵抗を変化させてしまい、上述のキャリア同様長期にわたり高画質を発現することは困難であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、トナー流動性、帯電性、現像性、転写性、定着性を同時に、かつ長期に渡り満足でき、特に潜像担持体摩耗を促進させるブレードクリーニング工程を有さず、現像と同時に転写残トナーを回収する、あるいは静電ブラシを用いて潜像担持体上の残留トナーを回収する不具合を改善した静電潜像現像用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、トナーの外添剤として特定の単分散球形シリカを用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子に、真比重が1.3〜1.9であり、体積平均粒径が80〜300nmである単分散球形シリカを先ず混合し、それよりも弱いシェアで前記単分散球形シリカより小粒径な無機化合物を添加混合することを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法である。
【0022】
特に現像・転写は、現像剤の均一な搬送性、転写時の電流等にも影響されるが、基本的にはトナー粒子担持する担体の束縛力からトナー粒子を引き離し、対象体(潜像担持体又は転写材)に付着させる工程であるので、静電引力及びトナー粒子と帯電付与部材あるいはトナー粒子と潜像担持体の付着力のバランスに左右される。このバランスの制御は非常に困難であるが、この工程は、直接画質に影響する上、効率を向上させると、信頼性の向上及びクリーニングレス等による省力化等が見込まれるので、上記工程においては、より高い現像・転写性が要求される。現像・転写は、F静電引力>F付着力の際に起こる。従って、現像・転写の効率を向上させるには、静電引力を上げる(現像・転写力を強める)か、又は付着力を下げる方向に制御すればよいが、現像・転写力を強める場合、例えば、転写電場を高くすれば逆極トナーが発生する等、2次障害を起こしやすい。従って、付着力を下げる方が有効である。
【0023】
付着力としては、ファンデルワールス力(Van der Waals 力:非静電的付着力)及び着色粒子の持つ電荷による鏡像力が挙げられる。両者の間には1オーダー近いレベル差があり、ほとんどファンデルワールス力で議論されるものと解釈できる。球状粒子間のファンデルワールス力Fは、下記の式で表されるが、
F=H・r1・r2/6(r1+r2)・a2
(H:定数、r1,r2:接触する粒子の半径、a:粒子間距離)
付着力の低減のため、着色粒子に比べrが非常に小さい微粉末を着色粒子及び潜像担持体表面又は帯電付与部材表面の間に介在させることにより、各々に距離aを持たせ、更に接触面積(接触点数)を減少させる手法が有効であり、その効果を安定に持続するには、本発明に規定する単分散球形シリカを用いることにより達成することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
[静電潜像現像用トナー]
本発明に用いられる静電潜像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と、外添剤である単分散球形シリカとを有し、更に必要に応じて、その他の成分を有してなる。
前記着色粒子の形状係数は125以下であることが、高い現像性、転写性及び高画質の画像を得ることができるため好ましい。また、前記着色粒子の体積平均粒径は、2〜8μmが好ましい。
【0025】
(単分散球形シリカ)
本発明に用いられる単分散球形シリカは、真比重が1.3〜1.9であり、体積平均粒径が80〜300nmであることを特徴とする。
真比重を1.9以下に制御することにより、着色粒子からの剥がれを抑制することができる。また、真比重を1.3以上に制御することにより、凝集分散を抑制することができる。好ましくは、本発明における単分散球形シリカの真比重は、1.4〜1.8である。
【0026】
前記単分散球形シリカの体積平均粒径が80nm未満であると、非静電的付着力低減に有効に働かなくなり易い。特に、現像機内のストレスにより、着色粒子に埋没しやすくなり、現像、転写向上効果が著しく低減しやすい。一方、300nmを超えると、着色粒子から離脱しやすくなり、非静電的付着力低減に有効に働かないと同時に接触部材に移行しやすくなり、帯電阻害、画質欠陥等の二次障害を引き起こしやすくなる。好ましくは、本発明における単分散球形シリカの体積平均粒径は、100〜200nmである。
【0027】
前記単分散球形シリカは、単分散かつ球形であるため、着色粒子表面に均一に分散し、安定したスペーサー効果を得ることができる。
本発明における単分散の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差として体積平均粒径D50×0.22以下であることが好ましい。本発明における球形の定義としては、Wadellの球形化度で議論することができ、球形化度が0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。
また、シリカに限定する理由としては、屈折率が1.5前後であり、粒径を大きくしても光散乱による透明度の低下、特にOHP上への画像採取時のPE値等に影響を及ぼさないことが挙げられる。
【0028】
一般的なフュームドシリカは真比重2.2であり、粒径的にも最大50nmが製造上から限界である。また、凝集体として粒径を上げることはできるが、均一分散、安定したスペーサー効果が得られない。一方、外添剤として用いられる他の代表的な無機微粒子としては、酸化チタン(真比重4.2、屈折率2.6)、アルミナ(真比重4.0、屈折率1.8)、酸化亜鉛(真比重5.6、屈折率2.0)が挙げられるが、いずれも真比重が高く、スペーサー効果を有効に発現する粒径80nmより大きくすると着色粒子からの剥がれが起こりやすくなり、剥がれた粒子が帯電付与部材、あるいは潜像担持体等へ移行しやすくなり、帯電低下あるいは画質欠陥を引き起こしてしまう。また、その屈折率も高いため大粒径無機物を用いることはカラー画像作製には適していない。
また、トナーの流動性及び帯電性を制御するために、着色粒子表面を充分に被覆する必要があるが、大径球形シリカだけでは充分な被覆を得ることがでないことがあるため、小粒径の無機化合物を併用することが好ましい。小粒径の無機化合物としては、体積平均粒径80nm以下の無機化合物が好ましく、50nm以下の無機化合物がより好ましい。
【0029】
本発明における真比重1.3〜1.9、体積平均粒径80〜300nmの単分散球形シリカは、湿式法であるゾルゲル法により得ることができる。真比重は、湿式法、かつ焼成することなしに作製するため、蒸気相酸化法に比べ低く制御することができる。また、疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することにより更に調整することが可能である。粒径は、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の重量比、反応温度、攪拌速度、供給速度により自由に制御することができる。単分散、球形形状も本手法にて作製することにより達成することができる。
【0030】
具体的には、テトラメトキシシランを水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、攪拌を行う。次に、反応により得られたシリカゾル懸濁液の遠心分離を行い、湿潤シリカゲルとアルコールとアンモニア水に分離する。湿潤シリカゲルに溶剤を加え再度シリカゾルの状態にし、疎水化処理剤を加え、シリカ表面の疎水化を行う。疎水化処理剤としては、一般的なシラン化合物を用いることができる。次に、この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥、シーブすることにより、目的の単分散球形シリカを得ることができる。また、このようにして得られたシリカを再度処理を行っても構わない。
本発明における単分散球形シリカの製造方法は、上記製造方法に限定されるものではない。
【0031】
上記シラン化合物は、水溶性のものを使用することができる。
このようなシラン化合物としては、化学構造式RaSiX4-a(式中、aは0〜3の整数であり、Rは、水素原子、アルキル基及びアルケニル基等の有機基を表し、Xは、塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。)で表される化合物を使用することができ、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。
具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。
本発明における疎水化処理剤は、特に好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
前記単分散球形シリカの添加量は、着色粒子100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましい。該添加量が0.5重量部より少ないと、非静電的付着力の低減効果が小さく、現像、転写向上効果が十分得られなくなることがあり、一方、該添加量が5重量部より多いと、着色粒子表面を1層被覆し得る量を超え、被覆が過剰な状態となり、シリカが接触部材に移行し、二次障害を引き起こし易くなる。
【0033】
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0034】
(着色剤)
前記着色剤としては、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0035】
(離型剤)
前記離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
前記離型剤の添加量は、前記結着樹脂100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。該添加量が1重量部より少ないと、効果が発揮されないことがあり、一方、該添加量が15重量部より多いと、極端に流動性が悪化すると共に帯電分布が非常に広くなることがある。
【0036】
(その他の成分)
本発明に用いられる静電潜像現像用トナーには、必要に応じて帯電制御剤を添加してもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を好ましく用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明に用いられるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0037】
本発明に用いられる静電潜像現像用トナーには、外添剤として、前記単分散球形シリカと共に小粒径の無機化合物を併用することができる。小粒径の無機化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。また、目的に応じてこれら無機微粒子の表面には公知の表面処理を施してもよい。
特にその中でもメタチタン酸TiO(OH)2は透明性に影響を与えず、良好な帯電性、環境安定性、流動性、耐ケーキング性、安定した負帯電性、安定した画質維持性に優れた現像剤を提供することができる。
前記小粒径の無機化合物は、体積平均粒径が80nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
【0038】
前記メタチタン酸は一般的には、以下に示すイルメナイト鉱石を用いた硫酸法(湿式)により製造することができる。
FeTiO2+2H2SO4→FeSO4+TiOSO4+2H2O
TiOSO4+2H2O→TiO(OH)2+H2SO4
本発明では、TiO(OH)2状態、好ましくはTiO(OH)2の水分散状態中でシラン化合物を加え、OH基の一部もしくは全部を処理し、これをろ過、洗浄、乾燥、粉砕することにより、従来の結晶性酸化チタン(上記硫酸法により得られたTiO(OH)2を焼成したもの)に比べ、真比重の小さい特定チタン酸化物を得ることができる。即ち、本発明において上記のように溶液中で反応を行うと、TiO(OH)2がその加水分解時にシラン化合物で処理される。その結果、TiO(OH)2から生じる特定チタン酸化物が一次粒子の状態でシラン化合物で表面処理されることとなる。これにより凝集のない一次粒子状態の特定チタン酸化物を得ることが可能となり、上記目的を達成できる。
本発明において、前記小粒径の無機化合物は、着色粒子に添加され、混合されるが、混合は、例えば、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の公知の混合機によって行うことができる。
【0039】
前記メタチタン酸の疎水化処理化合物は、1010Ω・cm以上の電気抵抗を有することが、着色粒子表面に処理することにより、転写電界を上げても逆極トナーが発生することなしに高転写性を得ることができるため好ましい。
【0040】
また、この際、必要に応じて種々の添加剤を添加してもよい。該添加剤としては、他の流動化剤やポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子等のクリーニング助剤もしくは転写助剤等が挙げられる。
【0041】
本発明において、前記無機化合物(メタチタン酸の疎水化処理化合物等)の着色粒子表面への付着状態は、単に機械的な付着であってもよいし、表面にゆるく固着されていてもよい。また、着色粒子の全表面を被覆していても、一部を被覆していてもよい。前記無機化合物の添加量は、着色粒子100重量部に対して、0.3〜3重量部が好ましく、0.5〜2重量部がより好ましい。該添加量が0.3重量部より少ないと、トナーの流動性が十分に得られない場合があり、また熱保管によるブロッキング抑制が不十分となりやすい。一方、該添加量が3重量部より多いと、過剰被覆状態となり、過剰無機酸化物が接触部材に移行し、二次障害を引き起こす場合がある。
また、外添混合後に篩分プロセスを通しても一向に構わない。
本発明の静電潜像現像用トナーは、後述する製造方法によって好適に製造することができるが、この製造方法に限定されるものではない。
【0042】
[静電潜像現像用トナーの製造方法]
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子に、真比重が1.3〜1.9であり、体積平均粒径が80〜300nmである単分散球形シリカを先ず混合し、それよりも弱いシェアで前記単分散球形シリカより小粒径な無機化合物を添加混合することを特徴とする。
【0043】
まず、着色粒子の製造方法について説明する。
着色粒子の製造方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、着色粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また、上記方法で得られた着色粒子をコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
【0044】
次に、得られた着色粒子に、外添剤を添加する方法について説明する。
前記単分散球形シリカと小粒径の無機化合物とを、同時に着色粒子に添加混合すると、小粒径の無機化合物が着色粒子表面に選択的に付着するため、大粒径である前記単分散球形シリカの遊離が増え好ましくない。
また、小粒径の無機化合物を先ず添加混合すると、着色粒子の流動性が極めて高くなり、2段目の混合時にシェアがかからず前記単分散球形シリカの着色粒子表面の均一分散が困難になる。特に球形着色粒子を用いた場合、この現象が顕著になる。
【0045】
添加方法を種々検討したところ、着色粒子と、真比重1.3〜1.9、体積平均粒径80〜300nmの単分散球形シリカとを先ず混合し、それより弱いシェアで該球形シリカより小粒径な無機化合物を添加混合することにより、本発明の効果を高く得ることができた。
【0046】
本発明において、前記単分散球形シリカは、着色粒子に添加され、混合されるが、混合は、例えば、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の公知の混合機によって行うことができる。
本発明の製造方法によれば、前記静電潜像現像用トナーを製造することができる。
【0047】
[静電潜像現像用現像剤]
本発明における静電潜像現像用現像剤は、前記静電潜像現像用トナーとキャリアとからなることを特徴とする。
前記静電潜像現像用トナーには、前記単分散球形シリカを有するが、キャリアのストレスにより、埋め込み、脱離といった経時変化が生じ、初期の高い転写性能を維持することが困難となることがある。特に形状係数が100に近い着色粒子ほど、外添剤の逃げ場がなく、均一にストレスがかかるため、このような経時変化が生じ易い。キャリアによるストレスを低減させ、かつ高画質を維持するには、キャリアの形状係数、真比重、及び飽和磁化を制御することが好ましい。
【0048】
キャリアの形状係数は120以下が好ましく、100に近い方がより好ましい。キャリアの形状係数が120を超えると、満足のいく転写維持性を得ることが困難となる。
また、キャリアの真比重は3〜4が好ましく、5kOeの条件下での飽和磁化は60emu/g以上が好ましい。真比重は小さい方がストレスに対し優位であるが、真比重を小さくしすぎると、キャリア粒子1粒当りの磁力の低下が生じ、潜像担持体へのキャリア飛散が生じてしまう。これらを両立するためには、真比重が3以上であり、飽和磁化が60emu/g以上であれば、低ストレスでキャリア飛散を抑えることができる。真比重が3未満であると、飽和磁化が60emu/g以上であってもキャリア飛散が生じてしまうことがある。
トナーへのストレスは、真比重を4以下にすることで、転写維持性を大幅に向上することができる。従来用いられた鉄(真比重7〜8)、フェライトあるいはマグネタイト(真比重4.5〜5)では、転写維持性が不十分になる場合がある。
【0049】
前記キャリアは、芯材上に、マトリックス樹脂中に導電材料が分散された樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアとすることにより、樹脂被覆層の剥がれが発生しても、体積固有抵抗を大きく変化させることなく、長期にわたり高画質の発現を可能とすることができる。
【0050】
前記マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
前記導電材料としては、例えば、金、銀、銅といった金属、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
前記導電材料の含有量は、マトリックス樹脂100重量部に対し、1〜50重量部が好ましく、3〜20重量部がより好ましい。
【0052】
キャリアの芯材としては、磁性粉を単独で芯材に用いるもの、及び磁性粉を微粒子化し、樹脂中に分散したものが挙げられる。磁性粉を微粒子化し、樹脂中に分散する方法としては、樹脂と磁性粉を混練し粉砕する方法、樹脂と磁性粉を溶融しスプレードライする方法、重合製法を用い溶液中で磁性粉含有樹脂を重合させる方法等が挙げられる。キャリアの真比重制御、形状制御の観点からは、重合製法による磁性粉分散型の芯材を用いることが自由度が高い点で好ましい。
前記キャリアは、微粒子の磁性粉をキャリア全重量に対して80重量%以上含有することが、キャリア飛散を生じにくくする点で好ましい。
前記磁性材料(磁性粉)としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
前記芯材の平均粒子径は、一般的には10〜500μmであり、好ましくは25〜80μmである。
【0053】
キャリアの芯材の表面に前記樹脂被覆層を形成する方法としては、キャリア芯材を、前記マトリックス樹脂、導電材料及び溶剤を含む被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被覆層形成溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0054】
前記被覆層形成用溶液中に使用する溶剤は、前記マトリックス樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を使用することができる。
また、前記樹脂被覆層の平均膜厚は、通常0.1〜10μmであるが、本発明においては、経時にわたり安定したキャリアの体積固有抵抗を発現させるため、0.5〜3μmであることが好ましい。
【0055】
本発明に用いられるキャリアの体積固有抵抗値は、高画質を達成するために、通常の現像コントラスト電位の上下限に相当する1000V時において、106〜1014Ω・cmであることが好ましく、108〜1013Ω・cmであることがより好ましい。キャリアの体積固有抵抗値が106Ω・cm未満であると、細線の再現性が悪く、また電荷の注入による背景部へのトナーかぶりが発生しやすくなる。一方、キャリアの体積固有抵抗が1014Ω・cmより大きいと、黒ベタ、ハーフトーンの再現が悪くなる。また、感光体へ移行するキャリアの量が増え、感光体を傷つけやすくなる。
【0056】
[画像形成方法]
本発明における画像形成方法は、潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーが前記静電潜像現像用トナーであることを特徴とする。
【0057】
本発明の画像形成方法において、フルカラー画像を作製する場合には、用紙汎用性、高画質の観点から、各色のカラートナー画像を中間転写ベルト又は中間転写ドラム上に一旦転写した後、該各色のカラートナー画像を一度に転写材上に転写することが好ましい。また、少なくとも前記単分散球形シリカと1010Ω・cm以上の電気抵抗を有するメタチタン酸の疎水化処理化合物をカラー着色粒子表面に処理することにより、転写電界を上げても逆極トナーが発生することなく高転写性を得ることができる。また、初期は勿論、経時ストレスにおいても初期と同じ高い転写性を得ることができる。
【0058】
前記中間転写ベルトあるいは中間転写ドラムは、公知のものを使用することができる。転写と同時に定着することを考慮した場合の中間転写ベルトは、ベース層と表面層の複層構造のものを用いることができる。
前記ベース層は、抵抗を低く制御するために、カーボンブラック、金属酸化物等の導電性フィラーを含有させた樹脂フィルムを用いることができる。最表面層は、トナーの離型性を上げるために表面エネルギーの低い材料を用いて作製されたフィルムを用いることが好ましい。いずれの材料も耐熱フィルムであることが重要であり、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、シリコーン系等のフィルムを使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明の画像形成方法において、フルカラー画像を作製する場合に、少なくとも前記単分散球形シリカと1010Ω・cm以上の電気抵抗を有するメタチタン酸の疎水化処理化合物とをカラー着色粒子表面に処理し、各色を潜像担持体上にそれぞれ現像し、転写ベルトに転写した後に、各色を一度に転写材へ転写すると同時に定着することにより、高画質画像を得ることができる。また、特にOHP上への画像採取時のPE値等に影響を与えない。
【0060】
これまで、ブレードクリーニング方式の性能安定性が高いことから一般的に使用されているが、本発明における画像形成方法においては、前記トナーを用いることにより、静電ブラシを用いて潜像担持体上の残留トナーを回収することが可能となり、潜像担持体の摩耗Lifeを大きく伸ばすことができる。
前記静電ブラシとしては、カーボンブラック、金属酸化物等の導電フィラーを含有させた樹脂あるいは表面に被覆した繊維状の物質が使用できるが、それに限定されるものではない。
【0061】
また、本発明における画像形成方法においては、前記トナーを用いることにより、クリーニングシステムを潜像担持体上に設けることなく、潜像担持体上の残留トナーを再度現像器中に回収した場合も、特異的なトナーが選択的に蓄積することがなく、安定した現像、転写、定着性能を得ることができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下の説明において、「部」は総て「重量部」を意味する。
静電潜像現像用トナー、キャリア及び静電潜像現像用現像剤の製造において、各測定は以下の方法で行った。
【0063】
<真比重の測定>
ルシャテリエ比重瓶を用い、JIS−K−0061の5−2−1に準拠して真比重を測定した。操作は次の通りに行った。
(1)ルシャテリエ比重瓶に約250mlのエチルアルコールを入れ、メニスカスが目盛りの位置にくるように調整する。
(2)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(3)試料を約100g量り取り、その質量をWとする。
(4)量り取った試料を比重瓶に入れ泡を除く。
(5)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(6)次式により真比重を算出する。
D=W/(L2−L1)
S=D/0.9982
式中、Dは試料の密度(20℃)(g/cm3)、Sは試料の真比重(20℃)、Wは試料の見かけの質量(g)、L1は試料を比重瓶に入れる前のメニスカスの読み(20℃)(ml)、L2は試料を比重瓶に入れた後のメニスカスの読み(20℃)(ml)、0.9982は20℃における水の密度(g/cm3)である。
【0064】
<外添剤の一次粒子径及びその標準偏差測定>
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910)を用いて測定した。
<球形化度>
球形化度は、Wadellの真の球形化度(下記式)を採用した。
【0065】
【数3】
【0066】
▲1▼は、平均粒径から計算により求めた。
▲2▼は、島津粉体比表面積測定装置SS−100型を用い、BET比表面積より代用させた。
【0067】
<着色粒子の形状係数>
着色粒子の形状係数は、下記式で計算された値を意味し、真球の場合、形状係数は100となる。
【0068】
【数4】
【0069】
式中、Rは、着色粒子径の最大長を表し、Sは、着色粒子の投影面積を表す。
形状係数を求めるための具体的な手法として、トナー画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX III、(株)ニレコ製)に取り込み、円相当径を測定して、最大長及び面積から、個々の粒子について上記式の形状係数の値を求めた。
【0070】
<キャリアの形状係数>
キャリアの形状係数は、下記式で計算された値を意味し、真球の場合、形状係数は100となる。
【0071】
【数5】
【0072】
式中、R’は、キャリア径の最大長を表し、S’は、キャリアの投影面積を表す。
形状係数を求めるための具体的な手法は、上記着色粒子の場合と同じである。
【0073】
<飽和磁化の測定>
振動試料型磁力計BHV−525(理研電子(株)製)を用い、VSM用常温サンプルケース粉末用(H−2902−151)に一定量サンプルを採り、正秤した後に5kOeの磁場中で測定を行った。
【0074】
<体積固有抵抗値の測定>
図1に示されるように、測定試料3を厚みHとして下部電極4と上部電極2とで挟持し、上方より加圧しながらダイヤルゲージで厚みを測定し、測定試料3の電気抵抗を高電圧抵抗計5で計測した。具体的には、特定酸化チタンの試料に成形機にて500kg/cm2の圧力を加えて測定ディスクを作製した。次いで、ディスクの表面をハケで清掃し、セル内の上部電極2と下部電極4との間に挟み込み、ダイヤルゲージで厚みを測定した。次に電圧を印加し、電流値を読み取ることにより、体積固有抵抗値を求めた。
また、キャリアの試料を100φの下部電極4に充填し、上部電極2をセットし、その上から3.43kgの荷重を加え、ダイヤルゲージで厚みを測定した。次に電圧を印加し、電流値を読み取ることにより、体積固有抵抗値を求めた。
【0075】
以下の実施例及び比較例では、下記(A)〜(K)のいずれかの外添剤を使用した。
(A)単分散球形シリカA
ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥、粉砕により真比重1.50、球形化度Ψ=0.85、体積平均粒径D50=135nm(標準偏差=29nm)の球形単分散シリカAを得た。
(B)単分散球形シリカB
ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥、粉砕により真比重1.60、球形化度Ψ=0.90、体積平均粒径D50=80nm(標準偏差=13nm)の球形単分散シリカBを得た。
(C)単分散球形シリカC
ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥、粉砕により真比重1.50、球形化度Ψ=0.70、体積平均粒径D50=100nm(標準偏差=40nm)の球形単分散シリカCを得た。
(D)単分散球形シリカD
ゾルゲル法で得られたシリカゾルにイソブチルシラン処理を行い、乾燥、粉砕により真比重1.30、球形化度Ψ=0.70、体積平均粒径D50=100nm(標準偏差=20nm)の球形単分散シリカDを得た。
(E)単分散球形シリカE
ゾルゲル法で得られたシリカゾルにデシルシラン処理を行い、乾燥、粉砕により真比重1.90、球形化度Ψ=0.60、体積平均粒径D50=200nm(標準偏差=40nm)の球形単分散シリカEを得た。
(F)ヒュームドシリカ
市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製)、真比重2.2、球形化度Ψ=0.58、体積平均粒径D50=40nm(標準偏差=20nm)
(G)シリコーン樹脂微粒子
真比重1.32、球形化度Ψ=0.90、体積平均粒径D50=500nm(標準偏差=100nm)
(H)ポリメチルメタクリレート樹脂
真比重=1.16、球形化度Ψ=0.95、体積平均粒径D50=300nm(標準偏差=100nm)
(I)単分散球形シリカI
ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥、粉砕により真比重1.60、球形化度Ψ=0.90、体積平均粒径D50=100nm(標準偏差=20nm)の球形単分散シリカIを得た。
(J)ヒュームドシリカ
市販のヒュームドシリカRX200(日本アエロジル社製)、真比重2.2、球形化度Ψ=0.40、体積平均粒径D50=12nm(標準偏差=5nm)
(K)スチレン−メチルメタクリレート共重合体微粒子
真比重1.10、球形化度Ψ=0.95、体積平均粒径D50=100nm(標準偏差=50nm)
【0076】
[着色粒子A(Kuro)の作製]
スチレン−nBA樹脂 ・・・・・・・・・・・・ 100部
(Tg=58℃、Mn=4000、Mw=24000)
カーボンブラック(モーガルL:キャボット製) ・・・ 3部
上記混合物をエクストルーダーで混練し、ジェットミルで粉砕した後、風力式分級機で分散して、体積平均粒径D50=5.0μm、形状係数=139.8の着色粒子A(Kuro)を作製した。
【0077】
[着色粒子B(Kuro)の作製]
−樹脂分散液(1)の調製−
スチレン ・・・・・・・・・・・・ 370g
n−ブチルアクリレート ・・・・・・ 30g
アクリル酸 ・・・・・・・・・・・・・ 8g
ドデカンチオール ・・・・・・・・・ 24g
四臭化炭素 ・・・・・・・・・・・・・ 4g
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6g及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10gをイオン交換水550gに溶解したものにフラスコ中で乳化分散させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒子径が155nmであり、Tg=59℃、重量平均分子量Mw=12000の樹脂粒子が分散した樹脂分散液(1)を調製した。
【0078】
−樹脂分散液(2)の調製−
スチレン ・・・・・・・・・・・・・・・ 280g
n−ブチルアクリレート ・・・・・・・・ 120g
アクリル酸 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 8g
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6g及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)12gをイオン交換水550gに溶解したものにフラスコ中で乳化分散させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3gを溶解したイオン交換水50gを投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒子径が105nmであり、Tg=53℃、重量平均分子量Mw=550000の樹脂粒子が分散した樹脂分散液(2)を調製した。
【0079】
−着色分散液(1)の調製−
カーボンブラック(モーガルL:キャボット製) ・・・・・・・・ 50g
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製) ・・ 5g
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散した着色分散剤(1)を調製した。
【0080】
−離型剤分散液−
パラフィンワックス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50g
(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃)
カチオン性界面活性剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5g
(サニゾールB50:花王(株)製)
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
以上の成分を、95℃に加熱して、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒子径が550nmである離型剤粒子が分散した離型剤分散液を調製した。
【0081】
−着色粒子B(Kuro)の作製−
樹脂分散液(1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 120g
樹脂分散液(2) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80g
着色剤分散液(1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
離型分散液 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40g
カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製) ・・ 1.5g
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。45℃で20分間保持した後、光学顕微鏡で確認したところ、体積平均粒径が約4.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に上記混合液に、樹脂分散液(1)を緩やかに60g追加した。そして、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。光学顕微鏡にて観察したところ、体積平均粒径が約4.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0082】
上記混合液にアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)3gを追加した後、前記ステンレス鋼鉄フラスコ中を密閉し、磁力シールを用いて攪拌しながら105℃まで加熱し、4時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることにより、着色粒子B(Kuro)を作製した。得られた着色粒子B(Kuro)は、形状係数=118.5、体積平均粒径D50=5.2μmであった。
【0083】
[着色粒子B(Cyan)の作製]
着色粒子B(Kuro)の製造方法において、着色分散液(1)の代わりに、下記の着色剤分散液(2)を用いて、形状係数=119、体積平均粒径D50=5.4μmの着色粒子B(Cyan)を作製した。
−着色分散液(2)の調製−
Cyan顔料B15:3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70g
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)・・・ 5g
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、平均粒子径が250nmである着色剤(Cyan顔料)粒子が分散した着色分散剤(2)を調製した。
【0084】
[着色粒子B(Magenta)の作製]
着色粒子B(Kuro)の製造方法において、着色分散液(1)の代わりに、下記の着色剤分散液(3)を用いて、形状係数=120.5、体積平均粒径D50=5.5μmの着色粒子B(Magenta)を作製した。
−着色分散液(3)の調製−
Magenta顔料R122 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・70g
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)・・・ 5g
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、平均粒子径が250nmである着色剤(Magenta顔料)粒子が分散した着色分散剤(3)を調製した。
【0085】
[着色粒子B(Yellow)の作製]
着色粒子B(Kuro)の製造方法において、着色分散液(1)の代わりに、下記の着色剤分散液(4)を用いて、形状係数=120、体積平均粒径D50=5.3μmの着色粒子B(Yellow)を作製した。
−着色分散液(4)の調製−
Yellow顔料Y180 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100g
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)・・・ 5g
イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、平均粒子径が250nmである着色剤(Yellow顔料)粒子が分散した着色分散剤(4)を調製した。
【0086】
[キャリアAの作製]
フェライト粒子(平均粒径:50μm) ・・・・・・・・・・・ 100部
トルエン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14部
スチレン−メタクリレート共重合体(成分比:90/10) ・・・・ 2部
カーボンブラック(R330:キャボット社製) ・・・・・・・ 0.2部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させ、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアAを作製した。このキャリアAは、形状係数=118、真比重=4.5、飽和磁化=63emu/g、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
【0087】
(実施例1)
上記着色粒子B(Kuro)、着色粒子B(Cyan)、着色粒子B(Magenta)、及び着色粒子B(Yellow)のそれぞれ100部に、外添剤として、上記単分散球形シリカAを3部、ヘンシェルミキサーにより周速32m/sで10分間ブレンドした後、メタチタン酸のイソブチルシラン処理化合物(体積平均粒径D50=35nm、粉体抵抗=1012Ω・cm)を1部加え、周速20m/sで5分間ブレンドし、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアA100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより静電潜像現像用現像剤を得た。
【0088】
(実施例2)
上記着色粒子B(Kuro)100部に、外添剤として、上記単分散球形シリカBを3部、ヘンシェルミキサーにより周速32m/sで10分間ブレンドした後、メタチタン酸のイソブチルシラン処理化合物(体積平均粒径D50=35nm、粉体抵抗=1012Ω・cm)を1部加え、周速20m/sで5分間ブレンドし、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアA100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより静電潜像現像用現像剤を得た。
【0089】
(実施例3)
実施例2において、単分散球形シリカBの代わりに、上記上記単分散球形シリカCを用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0090】
(実施例4)
実施例2において、着色粒子B(Kuro)の代わりに、上記着色粒子A(Kuro)を用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0091】
(実施例5)
実施例2において、単分散球形シリカBの代わりに、上記上記単分散球形シリカDを用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0092】
(実施例6)
実施例2において、単分散球形シリカBの代わりに、上記上記単分散球形シリカEを用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0093】
(実施例7)
上記着色粒子B(Kuro)100部に、外添剤として、上記単分散球形シリカAを3部、ヘンシェルミキサーにより周速32m/sで10分間ブレンドした後、シリカ(TS720:キャボット社製、体積平均粒径D50=12nm)を1部加え、周速20m/sで5分間ブレンドし、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアA100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより静電潜像現像用現像剤を得た。
【0094】
(実施例8)
上記着色粒子B(Kuro)100部に、外添剤として、上記単分散球形シリカBを3部、ヘンシェルミキサーにより周速32m/sで10分間ブレンドした後、ルチル型酸化チタンのデシルシラン処理化合物(体積平均粒径D50=20nm)を1部加え、周速20m/sで5分間ブレンドし、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアA100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより静電潜像現像用現像剤を得た。
【0095】
(参考例1)
上記着色粒子B(Kuro)100部に、外添剤として、上記単分散球形シリカA3部及びメタチタン酸のイソブチルシラン処理化合物(体積平均粒径D50=35nm、粉体抵抗=1012Ω・cm)1部を、ヘンシェルミキサーにより周速32m/sで10分間ブレンドした後、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアA100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより静電潜像現像用現像剤を得た。
【0096】
(比較例1)
実施例2において、単分散球形シリカBの代わりに、上記ヒュームドシリカRX50を用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0097】
(比較例2)
実施例2において、単分散球形シリカBの代わりに、上記シリコーン樹脂微粒子を用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0098】
(比較例3)
実施例2において、単分散球形シリカBの代わりに、上記ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子を用いた以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0099】
(比較例4)
実施例2において、単分散球形シリカBを全く加えなかった以外は、実施例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0100】
(比較例5)
上記着色粒子A(Kuro)100部に、外添剤として、メタチタン酸のイソブチルシラン処理化合物(体積平均粒径D50=35nm、粉体抵抗=1012Ω・cm)を1部加え、周速20m/sで5分間ブレンドし、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアA100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより静電潜像現像用現像剤を得た。
【0101】
実施例1〜8、参考例1及び比較例1〜5で得られた静電潜像現像用現像剤を用いて、Fuji Xerox社製Docu Color1250の改良機により現像性及び転写性の評価を行った。
【0102】
<初期の現像性の評価>
@TC5%の現像剤を所定の温度湿度下(29℃90%、10℃20%)で一晩放置し、2cm×5cmのパッチを2個所有する画像をコピーし、ハードストップにて現像量を測定した。感光体上の2個所の現像部分をそれぞれテープ上に粘着性を利用し転写して、トナー付着テープ重量を測定し、テープ重量を差し引いた後に平均化することにより現像量を求めた。好ましい値は、4.0〜5.0g/m2である。
【0103】
<1万枚後の現像性の評価>
現像剤により所定の温度湿度下(29℃90%、10℃20%)で1万枚コピーを採取し、更に一晩放置した後、2cm×5cmのパッチを2個所有する画像をコピーし、ハードストップにて現像量を測定した。感光体上の2個所の現像部分をそれぞれテープ上に粘着性を利用し転写して、トナー付着テープ重量を測定し、テープ重量を差し引いた後に平均化することにより現像量を求めた。
【0104】
<初期及び1万枚後のかぶり評価>
背景部を同様にテープ上に転写し、1cm2当たりのトナー個数を数え、100個以下を○、100個から500個までを△、それより多い場合を×として評価した。
【0105】
<初期及び1万枚後の帯電量の測定>
初期及び1万枚コピー後において、現像器中のマグスリーブ上の現像剤を採取し、25℃、55%RHの条件下で東芝社製TB200により帯電量を測定した。
【0106】
<初期及び1万枚後の転写性の評価>
転写工程終了時にハードストップを行い、2個所の中間転写体上のトナー重量を上記同様テープ上に転写し、トナー付着テープ重量を測定し、テープ重量を差し引いた後に平均化することにより転写トナー量aを求め、同様に感光体上に残ったトナー量bを求め、次式により転写効率を求めた。
転写効率η(%)=a×100/(a+b)
好ましい値は、転写効率η≧99%であり、η≧99%を○、90%≦η<99%を△、η<90%を×として評価した。
初期の結果を下記表1に、1万枚後の結果を下記表2に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
また、上記システムのクリーニングブレードを除去し、ブラシを付加し、帯電装置をロール帯電装置に変更して、実施例1(Kuro)及び比較例1で得られた静電潜像現像用現像剤について、上記と同様の評価を行った。
その結果、実施例1で得られた現像剤(Kuro)では、初期は勿論、1万枚コピー後も初期と同様に鮮明な画像を呈し、画像上の問題は発生しなかった。
一方、比較例1で得られた現像剤では、初期的には問題ないものの、転写残トナーが次の画像のGhostとして発生することが確認された。また、帯電ロールを著しく汚染し、帯電ムラによる画像筋が発生した。
【0110】
更に、上記システムにおいて、ブレード及びブラシクリーニングを一切用いず、スコロトロン帯電器を用いて、実施例1(Kuro)及び比較例1で得られた静電潜像現像用現像剤について、上記と同様の評価を行った。
その結果、実施例1で得られた現像剤(Kuro)では、初期は勿論、1万枚コピー後も初期と同様に鮮明な画像を呈し、画像上の問題は発生しなかった。
一方、比較例1で得られた現像剤では、初期的には問題ないものの、転写残トナーが次の画像のGhostとして発生することが確認された。また、転写残トナーが蓄積し背景部汚れが著しいものとなり、画質を著しく低下させた。
【0111】
更に、転写ベルトの表面材質をPFAに変更し、裏面から加熱する装置を付与し、転写と同時に定着を試みた。
実施例1の4色を用いたケースと比較例4の構成にて4色作製し、色を組み合わせて検討したところ、実施例1の場合では、略写真画質に近い鮮明な高画質を得ることができた。しかし、比較例4の場合では、細線の飛び散り、3色重ね合わせ時の線の太り、また文字画像の中ぬけ現象が起こり、画質としては劣るものであった。
【0112】
[着色粒子C(Kuro)の作製]
上記着色粒子B(Kuro)の作製に使用した以下の分散液を用いて、着色粒子C(Kuro)を作製した。
樹脂分散液(1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 120g
樹脂分散液(2) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80g
着色剤分散液(1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200g
離型分散液 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40g
カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製) ・・ 1.5g
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。45℃で25分間保持した後、光学顕微鏡で確認したところ、体積平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に上記混合液に、樹脂分散液(1)を緩やかに60g追加した。そして、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて40分間保持した。光学顕微鏡にて観察したところ、体積平均粒径が約5.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0113】
上記混合液にアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)3gを追加した後、前記ステンレス鋼鉄フラスコ中を密閉し、磁力シールを用いて攪拌しながら105℃まで加熱し、4時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることにより、着色粒子C(Kuro)を作製した。得られた着色粒子C(Kuro)は、形状係数=103.8、体積平均粒径D50=6.0μmであった。
【0114】
[キャリアBの作製]
−芯材−
重合コア(戸田工業株式会社製) ・・・・・・・・・・・・・・ 100部
(体積平均粒径D50=35μm、形状係数=104.5、真比重=3.6、飽和磁化65emu/g)
−被覆樹脂−
パーフルオロ オクチルエチル メタクリレート/メチルメタクリレート共重
合体(共重合比20/80) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2部
トルエン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15部
カーボンブラック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.2部
(キャボット社製 Vulcan XC 72)
上記バインダー樹脂を溶液に溶解し、この溶液と導電粉(カーボンブラック)をサンドミルにて1200rpm/30min分散させ被覆樹脂溶液を得た。
この被覆樹脂溶液と芯材を、ニーダー内で60℃/−400mHgにて10分間攪拌混合した後、100℃/−760mHgにて30分間乾燥させ、冷却後75μm篩分網にて篩分し、キャリアBを作製した。このキャリアBは、体積平均粒径D50=37μm、形状係数=109.2、真比重=3.5、飽和磁化65emu/g、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1012.5Ω・cmであった。
【0115】
(参考例2)
上記着色粒子C(Kuro)100部に対し、外添剤として、上記単分散球形シリカIを2部、ヘンシェルミキサーにより2500rpmで10分間ブレンドし、静電潜像現像用トナーを得た。得られた静電潜像現像用トナー5部と上記キャリアB100部とを、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、静電潜像現像用現像剤を得た。
【0116】
(参考例3)
参考例2において、単分散球形シリカIを2部添加する代わりに、単分散球形シリカIを1部と、上記ヒュームドシリカRX200を1部添加した以外は、参考例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0117】
(比較例6)
参考例2において、単分散球形シリカIの代わりに、上記ヒュームドシリカRX200を添加した以外は、参考例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0118】
(比較例7)
参考例2において、単分散球形シリカIの代わりに、上記スチレン−メチルメタクリレート共重合体微粒子を添加した以外は、参考例2と同様に静電潜像現像用現像剤を得た。
【0119】
参考例2、3、及び比較例6、7で得られた静電潜像現像用現像剤を、それぞれ用いて、富士ゼロックス社製A−color改造機によりコピーテストを行った。評価項目は、「現像機内の現像剤転写効率」、「画質評価」、「SEM観察による外添剤の経時埋没変化」、及び「キャリアの潜像担持体への飛散」であり、初期及び10000枚画出し後における各特性評価を行った。
結果を下記表3に示す。評価は、◎:非常によい、○:よい、△:やや悪い、×:悪い、××:非常に悪い、の基準で行った。
【0120】
【表3】
【0121】
表3の結果から、参考例2及び3の静電潜像現像用現像剤は、転写効率・転写維持性・画質維持性において良好な性能を示した。
転写効率においては、感光体から中間転写体を経て紙に至るまでの転写率が、初期で95%以上、1万枚画出し後の現像剤においても90%以上を維持可能であった。特に実施例11の現像剤においては、初期で99%以上、1万枚画出し後においても95%以上を維持することができた。また、ハーフトーン画質、ソリッド画質、文字の再現も良好で、1万枚画出し後の画質も初期画質と同レベルの画質を得ることができた。
SEM観察により、参考例2及び3の現像剤は、経時変化において外添剤の埋没量が少なく、転写及び高画質特性を維持できていることが確認された。
【0122】
一方、比較例6の現像剤は、初期から転写効率が低く、1万枚画出し後の感光体から紙までの転写効率は、70%以下となり良好な画を得ることができなくなった。比較例7の現像剤は、初期は良好な転写効率を示したが、1万枚画出し後の感光体から紙までの転写効率は、70%以下となり転写維持性に問題が生じた。また、SEM観察により、一万枚画出し後の現像機中のトナー表面を観察したところ、外添剤がストレスによりつぶれていることが確認された。
これらの結果より、本発明の静電潜像現像用現像剤を用いることにより、100%に近い転写特性を示し、これを長期に維持することができ、高画質を維持できることがわかった。
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、トナー流動性、帯電性、現像性、転写性、定着性を同時に、かつ長期に渡り満足でき、特に潜像担持体摩耗を促進させるブレードクリーニング工程を有さず、現像と同時に転写残トナーを回収する、あるいは静電ブラシを用いて潜像担持体上の残留トナーを回収する不具合を改善した静電潜像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 抵抗測定に使用する装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 ダイヤルゲージ
2 上部電極
3 測定試料
4 下部電極
5 高電圧抵抗計
Claims (1)
- 少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子に、真比重が1.3〜1.9であり、体積平均粒径が80〜300nmである単分散球形シリカを先ず混合し、それよりも弱いシェアで前記単分散球形シリカより小粒径な無機化合物を添加混合することを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
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