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JP3913298B2 - 微小カプセルの製造方法 - Google Patents

微小カプセルの製造方法 Download PDF

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は疎水性油性液体の周囲に外殻を有する微小カプセルの水性分散液の製造方法に関する。さらに詳しくは、感圧記録シートの製造原料として好適な疎水性油性液体の周囲に外殻を有する微小カプセルの水性分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、微小カプセル化の方法としては、機械的方法、物理化学的方法、化学的方法などがあり、目的に応じて各種方法が用いられている。その中でもコアセルヴェーション法は応用範囲が広いことから好んで用いられている。しかしながら、コアセルヴェーション法は主原料としてゼラチンを用いていることから、耐水性が不足しカプセル壁の緻密性が不足したり、製造工程が複雑で微妙な制御が必要となるなどの問題点を有している。
上記の問題点を解決する方法として、疎水性油性液と親水性液の界面で、ポリウレア、ポリウレタンなどの合成樹脂皮膜を形成させて、疎水性油性液の周囲にこれらの合成樹脂皮膜からなる外殻を有するを微小カプセル化する界面重合法が提案されている。
【0003】
特公昭42−446号、特公昭42−771号、特公昭42−2882号、特公昭42−11344号、特公昭47−20069号などによると、界面重合法による多価イソシアネートと水あるいはアミンなどの活性水素を有す化合物との反応によるポリウレア壁膜を有するカプセル、エポキシ壁膜を有するカプセル、ポリエステル壁膜を有するカプセル、ポリアミド壁膜を有するカプセルを得る方法が提案されているが、これらの微小カプセルは壁膜が薄いために広範な用途に使用できないという問題がある。
特公昭47−43740号、特公昭52−13508号などによると、ポリビニルアルコールを含む親水性液体中で多価イソシアネートを反応させてカプセルを得る方法が提案されているが、界面活性の高い部分けん化ポリビニルアルコールを用いることから、発泡などが生じ作業性に問題がある。特公平6−55274号によると、作業性を改良するために、ブロック的にけん化した部分けん化ポリビニルアルコールを用いることが提案されているが、カプセルの緻密性が依然として不充分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、疎水性油性液の乳化力および保護コロイド性に優れ、反応が短時間で簡単であり、作業性が良好であり、外殻の緻密性に優れた微小カプセルを得ることが可能な微小カプセルの水性分散液の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン単位含有量1〜24モル%の変性ポリビニルアルコールを含有する水性媒体中において、疎水性油性液体の乳化分散を行うと共に乳化分散させた疎水性油性液体の周囲に多価イソシアネートと活性水素含有化合物を反応させることにより外殻を形成させることを特徴とする微小カプセルの水性分散液の製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の微小カプセルの製造方法は一般的には、エチレン単位含有量1〜24モル%の水溶性もしくは水分散性である変性ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)を含む水溶液を調整し、この水溶液中にカプセルに内包される疎水性油性物質を乳化分散する。多価イソシアネートは、疎水性油性物質の乳化の前後どちらで加えてもよい。次に、活性水素含有化合物を添加し攪拌しながら昇温し、所定時間保持することにより反応させてカプセルの外殻壁膜を形成させ、必要に応じてpH調整などの後処理を行ってカプセル化を終了する。
【0007】
本発明に用いるエチレン変性PVAは、疎水性油性物質の乳化分散剤としての機能も奏する。本発明に用いられる疎水性油性物質の乳化分散剤は、エチレン変性PVAであることが必須であるが、さらに水溶性高分子を併用することも可能である。水溶性高分子としては、水溶性の天然または合成のアニオン性高分子およびノニオン性高分子が挙げられる。アニオン性高分子のアニオン性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基および硫酸基が挙げられる。
水溶性高分子の具体例としては、アラビヤゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルローズ、フタル酸ゼラチン、硫酸化セルロース、硫酸化デンプン、リグニンスルホン酸、ゼラチン、(メタ)アクリル酸系重合体、アクリルアミド系重合体、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸系重合体、無水マレイン酸系重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体、無変性PVA、カルボキシル基変性PVA、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセトブチレート、ヒドロキシメチルセルロース、プルラン、酸化デンプン、可溶性デンプンなどが挙げられる。
また必要に応じて、ロート油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸などの界面活性剤を併用することも可能である。
【0008】
本発明のエチレン単位を1〜24モル%含有する変性PVAは、ビニルエステルとエチレンとの共重合体をけん化することにより得ることができる。
ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビニルが経済的にみて好ましい。
エチレン単位の含有量としては、1〜24モル%が好ましく、2〜18モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。エチレンの含有量が1モル%未満の場合には、上述の顕著な効果を満足する微小カプセルが得られず、24モル%を越える場合には、水溶性が低下し、前記の効果を満足する微小カプセルが得られなくなる。
【0009】
本発明の変性PVAは、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体をエチレンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性PVAも用いることができる。
【0010】
本発明のエチレン変性PVAのけん化度は、微小カプセル製造時の作業性および疎水性油性物質表面への変性PVAと多価イソシアネートの反応物の堆積に深く関係している。けん化度が低すぎると乳化分散性は優れるが、水に溶解する際に泡が発生し易くママコもできやすい。その結果、微小カプセルの外殻壁膜を形成させる反応中にも泡が発生し易く、反応時の攪拌を低下させる必要があり、充分な攪拌ができないことから反応容器壁にスケールが発生する場合がある。また、微小カプセルの外殻の緻密性が低下する傾向にある。一方、けん化度が高すぎると乳化安定性が劣る。従って、本発明のエチレン変性PVAのけん化度は、水溶性もしくは水分散性を有す範囲内で、通常75〜99.95モル%が好ましく、82〜99.9モル%がより好ましく、85〜99.7モル%がさらに好ましい。エチレン変性PVAの重合度としては特に制限はないが、通常50以上であり、50〜8000の範囲が好ましく、80〜3000がより好ましい。変性PVAの重合度は、JIS−K6726に準じ、再けん化後精製した重合体について、水中、30℃で測定した極限粘度[η]から次式により求めた粘度平均重合度(P)で表したものである。
P=([η]×103 /8.29)(1/0.62)
重合度が50未満の場合には、乳化分散性は優れるものの、保護コロイド性が低下し本発明の微小カプセルが得られず、8000を越える場合には、変性PVAの工業的な製造に問題がある。
【0011】
本発明において使用するエチレン変性PVAまたは変性PVAと水溶性高分子の固形分量は、一般に、微小カプセルに内包する疎水性油性液体に対する重量比で0.1〜10が好ましく、0.2〜6がさらに好ましい。さらに、変性PVAまたは変性PVAと水溶性高分子の固形分量は、乳化分散性とスラリー粘度の点から、親水性媒体に対する重量比で0.5〜15%が好ましく、1〜10%がさらに好ましい。
【0012】
本発明において、疎水性油性物質の外殻壁膜を形成するために使用される多価イソシアネートの例としては、例えばm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、エチリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシリルジイソシアネート、ビニルメチルシリルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジクロロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネートまたはジイソチオシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメチントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、メチルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、オクタデシルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、メトキシシラントリイソシアネート、ブトキシシラントリイソシアネート、オクチルシラントリイソシアネート、2,6−ジイソシアネートカプロン酸−β−イソシアネートエチルエステル、2,6−ジイソシアネートカプロン酸−γ−イソシアネートプロピルエステル、2,6−ジイソシアネートカプロン酸−2−メチル−β−イソシアネートエステル、ヘキサメチレントリイソシアネートなどのトリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、テトライソシアネートシラン、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートから誘導される残基を含有するビュウレット型ポリイソシアネートなどの多価イソシアネート、およびこれらの多価イソシアネート類を多価アミン、多価カルボン酸、多価チオール、多価ヒドロキシ化合物、エポキシ化合物などの親水性基含有化合物に付加させたものなどが挙げられる。多価イソシアネートの固形分量は、一般に、疎水性油性液体に対する重量比で0.01〜55が好ましく、0.02〜40がさらに好ましい。
【0013】
多価イソシアネートと反応して外殻を形成する活性水素含有化合物としては、水、(多価)アミン化合物、PVA、分散剤として機能する前記のエチレン変性PVAなどが挙げられる。
多価アミンとしては、分子中に2個以上の一級あるいは二級アミノ基を有し、水性媒体中に溶解もしくは分散可能なものなら全て使用可能である。多価アミンの例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン、ピペラジンなどの脂環式多価アミン、3,9−ビス−アミノプロピル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]ウンデカンなどの複素環状ジアミンなどが挙げられる。
添加される多価アミンの固形分量は、使用する多価イソシアネートの種類や量に応じて適宜設定されるが、多価イソシアネートに対する重量比で0.01〜200が好ましく、0.5〜100がさらに好ましい。
【0014】
微小カプセルに内包される疎水性油性物質の例としては、石油およびその留分例えばケロシン、ガソリン、ナフサ、灯油ならびにパラフィン油、綿実油、落花生油、亜麻仁油、大豆油、とうもろこし油、水素化ターフェニル化合物、リン酸化合物、ビフェニル化合物、ナフタレン化合物、メタン化合物、フタル酸化合物、サリチル酸化合物などが挙げられ、これらが単独または混合して使用される。これらの天然鉱物油、動物油、植物油および合成油中に、医薬、農薬、化成品、香料、発色剤、顕色剤、触媒および防錆剤などを使用目的に応じて適宜混合することも一向に差しつかえない。
【0015】
変性PVAと多価イソシアネートの反応を行う際の反応温度は、30〜99℃が好ましく、40〜97℃がさらに好ましく、50〜95℃が特に好ましい。
微小カプセルの平均粒径は用途に応じて適宜選択されるが、感圧記録シートに用いる場合、カプセルの重量平均粒径としては0.5〜20μmが好ましく、1.0〜15μmがさらに好ましく、1.5〜10μmが特に好ましい。
【0016】
【実施例】
本発明の微小カプセルの製造方法を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、変性PVAの表面張力、カプセル製造中のエマルジョン乳化液の平均粒径および微小カプセルの平均粒径、微小カプセルの耐熱性を表す緻密性および耐コスレ性は、下記の方法で評価した。
【0017】
(1)表面張力
変性PVAの20℃、1%水溶液を調製して60分間静置した後、ウィルヘルミー法(プレート法)により、表面張力を測定した。
【0018】
(2)平均粒径
疎水性油性液を変性PVAなどで乳化したエマルジョンの平均粒径ならびにこのエマルジョンを多価イソシアネートと活性水素含有化合物との反応物(外殻)でカプセル化した微小カプセルの平均粒径は、エマルジョンおよびカプセル含有液を蒸留水で希釈した後、電気泳動光散乱光度計ELS800(大塚電子社製)により20℃で測定した。
【0019】
(3)外殻壁膜の緻密性
微小カプセル含有液をワイヤーバーで塗布量が3.5g/m2 になるように紙上に塗布し乾燥させた微小カプセル塗布紙を、105℃のオーブン中に24時間放置後、微小カプセルに内包される油性物質のエタノールによる抽出量(W1 )を測定した。
次に、微小カプセル塗布紙を熱処理(105℃のオーブン中に24時間放置)しないこと以外は上記と同様にして、微小カプセルに内包される油性物質のエタノールによる抽出量(W2 )を測定した。
下記の式により、緻密性を計算した。
緻密性(%)=(W1 /W2 )×100
尚、緻密性の良好なものは、その値が大きく、90%以上であれば実用上緻密性に優れると言える。
【0020】
(4)耐コスレ性
緻密性試験時に作製した微小カプセル塗布紙を2枚重ね合わせ、手で10回擦り合わせ、呈色剤塗布面の発色汚れの程度を判定した。
◎:ほとんど汚れていない。
○:僅かに汚れている。
【0021】
実施例1
(エチレン変性PVAの製造)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100リットルの加圧反応槽に、酢酸ビニル46.0kgおよびメタノール28.8kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が6kg/cm2 になるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2、2’ーアゾビス(4ーメトキシー2、4ージメチルバレロニトリル)をメタノールに溶解した濃度2.8g/リットル溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。反応槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液250mlを注入し、重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を6kg/cm2 に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を0.7リットル/hrで連続添加した。6.5時間後に重合率が55%に達したところで冷却して重合を停止した。反応槽を解放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去し、メタノール溶液とした。35%に調整した該溶液にモル比(NaOHのモル数/ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニル単位のモル数)0.08のNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化することにより、エチレン変性PVA(PVA−1とする)を得た。得られた変性PVAのけん化度は98.1モル%であった。エチレン変性PVAの1%水溶液の表面張力は55.6dyne/cmであった。
【0022】
重合後、未反応酢酸ビニルモノマー除去して得られた変性ポリ酢酸ビニル(以下、PVAcと略記する)のメタノール溶液を、nーヘキサンによる沈殿とアセトンへの溶解する再沈−精製操作を3回行った後、60℃で減圧乾燥して精製PVAcを得た。該PVAcのアルカリ消費量を測定して求めたエチレン変性量は10モル%であった。上記のPVAcのメタノール溶液をアルカリモル比0.2でけん化した後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで乾燥して精製PVAを得た。変性PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ500であった。
【0023】
(微小カプセルの調製および評価)
PVA−1の5%水溶液100部に、別途クリスタルバイオレットラクトン4.0部、ベンゾイルロイコメチレンブルー1.0部、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート5部および2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート1部をジイソプロピルナフタレン100部に90℃,1時間加熱溶解して得た染料油を添加し攪拌混合した後、ホモミキサーを用いて100V、9000rpmの条件下2分間乳化させて、O/W型エマルジョンを得た。このエマルジョンを蒸留水で希釈した後、電気泳動光散乱光度計ELS800(大塚電子社製)にて測定した平均粒径は4.5μmであった。
このエマルジョンを攪拌しながら、ジエチレントリアミン1部を添加し、90℃に昇温し3時間のカプセル化反応を行った後、系の温度を室温に下げることにより、発色剤オイルを内包する微小カプセルの水性分散液が得られた。反応中の発泡はほとんどなく、反応終了後の反応容器への付着もほとんどなかった。微小カプセルの平均粒径を測定した結果、4.7μmであった。微小カプセルの外殻壁膜の緻密性は96%、耐コスレ性は呈色剤塗布面の発色汚れはほとんどなく、いずれの試験結果も良好であった。
【0024】
実施例2〜7
酢酸ビニルおよびメタノールの量ならびにエチレン圧力、コモノマーの使用、重合時間および重合率を変更する以外は実施例1と同様の操作、精製および分析を行い、表1に示すエチレン変性PVAを得た。
実施例1で用いたPVA−1を表1に示すPVA系重合体に変える以外は、実施例1と同様にして微小カプセルを調製し得られたカプセルの評価を行った。その結果を併せて表2に示す。
【0025】
比較例1〜4
実施例1で用いたPVA−1を表1に示すPVA系重合体に変える以外は、実施例1と同様にして微小カプセルを調製し得られたカプセルの評価を行った。表1に示すPVA−11は、表1に示すPVA−10と同一の重合度、けん化度を有し、酢酸残基をブロック的にしたものである。その結果を併せて表2に示した。
【0026】
【表1】
Figure 0003913298
【0027】
1)IA:イタコン酸
2)AMPS:アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ
【0028】
【表2】
Figure 0003913298
【0029】
(発泡)
◎:ほとんど発泡なし
○:僅かに発泡あり
△:かなり発泡あり
×:激しく発泡
(スケール付着)
◎:ほとんど付着なし
○:僅かに付着あり
△:かなり付着あり
【0030】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、変性PVAの乳化性および保護コロイド性が高いため、比較的けん化度が高いものも使用することができ、発泡およびスケール付着がほとんどなく作業性に優れ、且つ粒径が小さく、緻密性および耐コスレ性に優れたカプセルが得られる。
本発明の製造方法により得られる微小カプセルは、香料、医薬品、染料、顔料、燃料、農薬、接着剤、溶剤、液晶、その他多くのものに適用可能で、とりわけ感圧複写紙、印刷インキの用途に有用である。

Claims (1)

  1. エチレン単位含有量1〜24モル%の変性ポリビニルアルコールを含有する水性媒体中において、疎水性油性液体の乳化分散を行うと共に乳化分散させた疎水性油性液体の周囲に多価イソシアネートと活性水素含有化合物を反応させることにより外殻を形成させることを特徴とする微小カプセルの水性分散液の製造方法。
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