JP3988211B2 - 高純度透明シリカガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は気泡を減少させた高純度透明シリカガラスの製造方法に関する。更に詳しくは、光透過性を利用する各種光学材料、高温型液晶基板などの材料として利用できる高純度透明シリカガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種合成シリカ粉末を減圧雰囲気中で1800〜1900℃に加熱し、透明シリカガラスとする製造方法が従来から知られている。たとえば、特開平3−37120、特開平3−5329、特開平2−229735には、アルコキシシランを加水分解したゲルを焼成することにより得たシリカ粉末を減圧雰囲気下1500〜2200℃に加熱して透明シリカガラスとする製法が開示されている。このような方法においては、純度の高い透明シリカガラスが比較的簡単に得られるものの、得られたガラスには気泡が含まれる。気泡の形態は10〜100μmの微小気泡が散在する場合や0.5〜2mmの大きい気泡が点在する場合など製法により様々である。このようなガラスを1200〜1500℃に長時間保持すると気泡周辺が結晶化してくるという欠点があった。
【0003】
また、特公昭59−34660や特開昭57−34031には、シリカガラス中の気泡を減少させる方法として1000〜1500℃の温度領域で高圧ガスを作用させる方法が開示されている。このような方法は確かに気泡を減少させるのに有効であるが、得られるガラスは通常の石英ガラスよりも密度が高くなっており、密度が高くなったシリカガラスをそのまま使用するとシリカガラスが膨脹するという欠点があった。また高圧ガス圧力を作用させるとシリカガラス表面にガスが浸入し、発泡等が生じる恐れがあるという問題もあった。さらに、このようなシリカガラスは均質性(Δn)が普通のシリカガラスより劣るものである。
【0004】
このような気泡の発生、結晶化、密度変化、ガスの浸入といった問題は、光透過性を利用する各種光学材料、高温型液晶基板などの用途、また高温で長時間使用する半導体製造用治具などの用途には適さず、これらの問題がない材料が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記記載の従来技術の問題点を克服し、光透過性を利用する各種光学材料、高温型液晶基板などの用途、また高温で長時間使用する半導体製造装置治具などの用途に適用可能な気泡又は結晶化部分が極めて少なく、かつ加熱による密度変化やガスの浸入もない高純度透明シリカガラスの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、珪素のアルコキシドより得られる高純度非晶質シリカ粉末を、減圧雰囲気中で高純度非晶質シリカ粉末が溶融しうる温度に加熱溶解し、その後不活性ガスで加圧状態にして、得られた透明シリカガラスに熱間静水圧プレス処理を施すことにより、ガラス中の直径1mm未満の気泡が効果的に減少すること、さらに高純度透明シリカガラスを再加熱することにより、密度を戻すことができ、浸入したガスを取り除くことができることを見出だし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、含有金属不純物として各々独立してNa、K、Mg、Ca、Fe、Al、Tiが0.1ppm以下である珪素のアルコキシドより得た高純度非晶質シリカ粉末を出発原料とし、熱処理及び圧力処理することにより高純度透明シリカガラスを製造する方法において、
(a)出発原料を10mmHg以下の減圧雰囲気下出発原料が溶融しうる温度におき、その後不活性ガスで圧力で2kgf/cm2以上の加圧状態にして、直径1mm以上の気泡を減少させる工程と、
(b)熱間静水圧プレス装置を用い、1200〜1350℃の温度範囲で100〜200MPaの不活性ガスによる圧力を作用させ、直径1mm未満の気泡を減少させる工程と、
(c)(b)の工程の後、1000〜1300℃で熱処理した後徐冷する工程
を備えてなることを特徴とする高純度透明シリカガラスの製造方法である。
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明において用いられる出発原料である高純度非晶質シリカ粉末は、珪素のアルコキシドより得た非晶質シリカ粉末であり、含有金属不純物であるNa、K、Mg、Ca、Fe、Al、Tiはすべて0.1ppm以下である。
【0010】
珪素のアルコキシドとしては、上記に記載のような高純度のものであれば特に限定なく用いることができ、例えば、メチルシリケ−ト、エチルシリケ−ト等の珪素のアルコキシド、等を例示することができる。
【0011】
珪素のアルコキシドを高純度非晶質シリカ粉末とする方法としては、酸又はアルカリと接触させることにより珪素のアルコキシドを加水分解して得る方法を例示することができる。この珪素のアルコキシドを加水分解の際に使用する酸又はアルカリとしては、酸として塩酸、酢酸等の有機酸、無機酸を例示でき、アルカリとしてアンモニア等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
高純度非晶質シリカ粉末に含まれ得る含有金属不純物としては、Na、K、Mg、Ca、Fe、Al、Tiであり、不純物の含有量はすべて0.1ppm以下である。Na、Kのアルカリ金属が不純物として0.1ppmを越えて含まれる場合、これらはガラスの製造工程において結晶化しやすいという問題点が生じ好ましくない。また、Mg、Ca、Fe、Al、Tiが不純物として0.1ppmを越えて含まれる場合、これらは紫外線の吸収作用を有するため高純度透明シリカガラスの透過率を悪化させるという問題点が生じ好ましくない。
【0013】
この高純度非晶質シリカ粉末を耐熱性容器、例えば高純度カーボンルツボに充填し、加熱処理を行う。使用に際しては粉末粒度を調製することが好ましく、加水分解、粉砕などの処理の条件を設定することで粒度範囲を制御できる。高純度非晶質シリカ粉末の粒度範囲としては、粒度範囲を調製するためや高純度透明シリカガラスの製造工程において気泡の除去を容易にするために30〜500μmの範囲に調製することが好ましく、さらに30〜200μmが好ましい。
【0014】
本発明の方法において、高純度透明シリカガラスを製造する工程の内、工程 (a)は出発原料である高純度非晶質シリカ粉末を耐熱性容器に充填し、10mmHg以下の減圧雰囲気下で出発原料が溶融しうる温度以上に加熱し、その後Ar、窒素などの不活性ガスを用いてゲ−ジ圧力で2kgf/cm2以上の加圧状態とすることにより透明シリカガラスを製造するものである。この工程(a)において用いられる耐熱性容器とは、本発明の目的を達成できるものであれば特に制限なく用いることができるが、例えば、高純度処理したカ−ボン容器、炭化珪素容器などを例示できる。
【0015】
減圧の条件としては、10mmHg以下である。減圧の条件が10mmHgを越える場合には高温においてシリカが昇華することにより発生するガスの影響を受け透明なシリカガラスを得られなくなるため好ましくない。
【0016】
加熱の際には、例えばカ−ボン抵抗加熱方式あるいは高周波加熱方式の真空雰囲気電気炉により実施することが例示できる。加熱の温度としては、出発原料が溶融しうる温度以上の温度である。出発原料が溶融しうる温度とは、本発明において用いられる高純度非晶質シリカ粉末が加熱にて溶融しうる温度であり、常圧において1713℃である。加熱温度がこの温度に達しない場合、出発原料が溶融しなかったり、溶融した出発原料中にクリストバライト結晶が溶融しきれずに残りガラスが割れやすくなるため好ましくない。出発原料を溶融し保持する時間としては、出発原料がほぼ全量溶解しガラス化できる時間であれば特に制限はないが、低い場合には長時間を要する。例えば、加熱温度が1800〜1850℃の場合には5分以上保持することで達成される。
【0017】
加圧するために用いられる不活性ガスとしては、本発明の目的である高純度透明シリカガラスを製造することができるものであれば特に制限なく用いることができ、Ar、窒素、Heなどの不活性ガスを例示することができるが、経済性、気密性、不活性ガスの熱伝導率などを考慮して、Ar、窒素が好ましく、Arが更に好ましい。不活性ガスを用いて加圧する際の条件は2kgf/cm2以上である。加圧条件が2kgf/cm2未満の場合には製造工程中に生じる気泡が大きくなりその除去が困難となるため好ましくない。加圧条件が2kgf/cm2以上であれば特に問題なく実施できるが、経済性、加圧装置の運転上のトラブルの回避のため、ゲ−ジ圧力で2〜20kgf/cm2とすることが好ましく、2〜10kgf/cm2とすることがより好ましい。
【0018】
工程(a)により得られる透明シリカガラスは出発原料を溶解した際に生じる直径1mm以上の気泡を減少させたものであるが、直径1mm以上の気泡を減少させる理由としては、工程(b)において熱間静水圧プレス処理で減少できる気泡径には臨界値があり、直径1mm以上の気泡を減少させることは困難となるためである。
【0019】
本発明の方法において、高純度透明シリカガラスを製造する工程の内、工程 (b)は透明シリカガラスに熱間静水圧プレス装置を用い、1200〜1350℃の温度範囲で100〜200MPaの不活性ガスによる圧力を作用させ、高純度透明シリカガラスを製造するものである。
【0020】
工程(b)における温度条件は、1200〜1350℃の温度範囲である。温度が1200℃未満の場合にはガラスの流動性少なくなり工程(b)において直径1mm未満の気泡を減少させることが困難となるため好ましくない。温度が1350℃を越える場合にはガラスの結晶化が著しくなり均質な高純度透明シリカガラスを得られなくなるため好ましくない。
【0021】
不活性ガスを用いて加圧する際の圧力条件は100〜200MPaである。圧力条件が100MPa未満の場合には直径1mm未満の気泡の除去が困難となるため好ましくない。圧力条件が200MPaを越える場合には、経済性、加圧装置の運転上のトラブルの回避のため好ましくない。
【0022】
工程(b)において加圧するために用いられる不活性ガスとしては、本発明の目的である高純度透明シリカガラスを製造することができるものであれば特に制限なく用いることができ、Ar、窒素、Heなどの不活性ガスを例示することができるが、経済性、気密性、不活性ガスの熱伝導率などを考慮して、Ar、窒素が好ましく、Arが更に好ましい。
【0023】
ここで、気泡を減少させる意味としては、本発明の方法により得られる高純度透明シリカガラスを光透過性を利用する各種光学材料、高温型液晶基板などの用途、また高温で長時間使用する半導体製造用治具などの用途に適用可能とするためであって、その気泡量としては実施例にもみられるように単位容積当たりの気泡の数として表される。その具体的な数値としては、高純度透明シリカガラスの中において、1個/cm3未満であることが好ましく、気泡がその測定によって認められなくなり消滅することが更に好ましい。
【0024】
本発明の方法において、高純度透明シリカガラスを製造する工程の内、工程 (c)の高純度透明シリカガラスを熱処理する条件としては、工程(b)で得たものを、そのままあるいは取り出した後に、大気中で1000〜1300℃の温度範囲で15時間以内加熱保持し、その後徐冷することが好ましい。また、昇温あるいは降温の速度としても、徐々に上げあるいは下げる条件が好ましく用いられる。この内、徐々に下げる際に、3℃/分以下の速度にて徐冷することが望ましく、特に1000〜1300℃に加熱後、700℃程度へ徐冷することが重要である。例えば、大気中で1200℃まで6時間程度で昇温させ1200℃で4時間程度保持させた後、1200℃から700℃まで8時間程度かけて降温させ、700℃から室温までは徐冷させるといった条件が好ましく用いられる。この理由として、上記記載の条件により再加熱処理することにより、気泡を除去する前の密度に戻すことができるために歪みをなくすことができ、また、工程(b)で浸入した、主に高純度透明ガラスの表面部分に存在する不活性ガスを取り除くことができるからである。ここで、密度が気泡除去処理前のものと異なっている場合には使用時に加熱された場合に膨脹して破損してしまう場合があり、好ましくない。また、不活性ガスを含んだまま高純度透明シリカガラスを使用すると、発泡したり、屈折率が変動してしまい、半導体製造用治具や光学用材料として好ましくないものとなる場合がある。このように、工程(c)の再加熱処理は、得られる高純度透明シリカガラスの用途面において重要なものである。
【0025】
また、本発明の方法により得られる高純度透明シリカガラスの均質性(Δn)は3×10-5未満であることが望ましい。このことにより各種光学材として使用可能にすることができる。
【0026】
さらに、本発明の方法により得られる高純度透明シリカガラスのOH基含有量としては、加熱による劣化を少なくするために10ppm以下であることが望ましい。このことにより基板材料として利用する場合に起こりうる加熱処理による変形を抑制することができる。
【0027】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお不純物の分析等は以下により行なった。
【0028】
〜不純物の分析〜
珪素のアルコキシドを加水分解して得られた市販品の非晶質シリカ粉末を公知の方法であるICP法により分析した。
【0029】
〜平均粒子径〜
非晶質シリカ粉末の平均粒子径は、レ−ザ−回折散乱法COULTER LS−130(COULTER ELECTRONICS社製)により測定した。
【0030】
〜気泡径及び気泡量〜
シリカガラスを切断機と研磨装置を用いて100mm×100mm×10mm(厚み)の大きさに鏡面研磨し測定用サンプルとした。これを目盛り付きレンズのある偏光顕微鏡(オリンパス社製、型式:BH−2)を使用し、サンプル中の気泡径及び気泡量を測定した。なお、気泡量については、1cm3あたりの個数(個/cm3)として求めた。
【0031】
〜密度〜
シリカガラスを切断機と研磨装置を用いて100mm×100mm×10mm(厚み)の大きさに鏡面研磨し測定用サンプルとした。これをアルキメデス法により密度を測定した。
【0032】
〜OH基含有量〜
シリカガラスを切断機と研磨装置を用いて100mm×100mm×10mm(厚み)の大きさに鏡面研磨し測定用サンプルとした。これをFT−IR装置 (島津製作所社製、型式:FT−IR−8100M)を使用し、サンプルのIR透過光の波長3600カイザ−のOH基吸収スペクトルにより定量した。
【0033】
〜表面のガス分析〜
シリカガラスを切断機を用いて10mm×10mm、厚みは作製した状態のままであるシリカガラスを測定用サンプルとした。このサンプルをESCA(Perkin Elmer社製、機種5400MC)によりガス量を測定した。
【0034】
〜均質性(Δn)の測定〜
シリカガラスを研磨装置を用いてφ165mm×25mm(厚み)の大きさに鏡面研磨し測定サンプルとした。これを干渉計(ZYGO社製、機種:MarkIV)を用いて均質性(Δn:単位として、cm・cm-1)を測定した。
【0035】
実施例1
珪素のアルコキシドを加水分解して得られた市販品の非晶質シリカ粉末を出発原料とした。この非晶質シリカ粉末の平均粒子径は、レ−ザ−回折散乱法により測定したところ151μmであった。この粉末中の不純物を分析した結果は表1の通りであった。
【0036】
【表1】
【0037】
この粉末を高純度処理したカ−ボン容器に充填し、カ−ボン抵抗加熱炉に設置し、真空度を10-3mmHgまで減圧し、300℃/時間の昇温速度で1850℃まで昇温し、5分間保持した後、減圧を解除し、窒素ガスを4kgf/cm2となるまで導入し、さらに10分間保持した。保持中の真空度は1mmHgであった。冷却はガス圧をかけたまま放冷し、透明シリカガラスを得た。
【0038】
次に、このガラスを熱間静水圧プレス装置に入れ、Arガスを圧力媒体とし、600℃/時間の昇温速度で1300℃まで上げ、圧力150MPaをかけた状態で1時間保持した。
【0039】
熱間静水圧プレス処理後におけるガラス中の気泡径及び気泡量、ガラスの密度を上記記載の方法により測定し、その結果を表2に示した。この結果から熱間静水圧プレス処理によって無気泡となったことが判った。また、熱間静水圧プレス処理後のArガスの浸入量を上記記載の方法により測定したところ、約1%であった。
【0040】
【表2】
【0041】
次に熱間静水圧プレス処理後、シリカガラスを大気中、1200℃まで6時間で昇温させ1200℃で4時間保持させた後、1200℃から700℃まで8時間かけて降温させるという再加熱処理を行なった。そして、再加熱したシリカガラスの密度を測定したところ2.210g/cm3であり熱間静水圧プレス前の密度に戻すことができた。また、Arは検出されなかった。
【0042】
実施例2
実施例1で使用したと同じ非晶質シリカ粉末を使用し、この粉末を高純度処理したカ−ボン容器に充填し、カ−ボン抵抗加熱炉に設置し、真空度を10-3mmHgまで減圧し、300℃/時間の昇温速度で1850℃まで昇温し、5分間保持した後、減圧を解除し、窒素ガスを9.5kgf/cm2となるまで導入し、さらに10分間保持した。保持中の真空度は1mmHgであった。冷却はガス圧をかけたまま放冷し、透明シリカガラスを得た。
【0043】
次に、このガラスを熱間静水圧プレス装置に入れ、Arガスを圧力媒体とし、600℃/時間の昇温速度で1250℃まで上げ、圧力150MPaをかけた状態で4時間保持した。
【0044】
熱間静水圧プレス処理後におけるガラス中の気泡径及び気泡量、ガラスの密度、ガラス中のOH基含有量を上記記載の方法により測定し、その結果を表3に示した。この結果から熱間静水圧プレス処理によって無気泡となったことが判った。また、熱間静水圧プレス処理後のArガスの浸入量を上記記載の方法により測定したところ、約1%であった。
【0045】
【表3】
【0046】
次に熱間静水圧プレス処理後、シリカガラスを大気中、1200℃まで6時間で昇温させ1200℃で4時間保持させた後、1200℃から700℃まで8時間かけて降温させるという再加熱を行なった。そして、再加熱したシリカガラスの密度を測定したところ2.205g/cm3であり熱間静水圧プレス前の密度に戻すことができた。また、Arは検出されなかった。また、このようにして得たシリカガラスの均質性(Δn)を上記記載の方法により測定ところ、1.9×10-5であった。
【0047】
比較例1
実施例1で使用したと同じ非晶質シリカ粉末を使用し、この粉末を高純度処理したカ−ボン容器に充填し、カ−ボン抵抗加熱炉に設置し、真空度を10-3mmHgまで減圧し、300℃/時間の昇温速度で1850℃まで昇温し、減圧状態のまま15分間保持した。保持中の真空度は2mmHgであった。冷却は減圧状態のまま放冷し、透明シリカガラスを得た。得られた透明シリカガラス中の気泡径及び気泡量を測定し、その結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
この結果から原料粉末を溶融させる時に圧力が2kgf/cm2未満で溶解させた場合には1mm以上の気泡が多く存在することが判った。
【0050】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、高純度粉末を溶融する際に加圧すること及び溶融加圧して得たシリカガラスを熱間静水圧プレス処理により、気泡を極めて少なくすることができ、又、再加熱処理により熱間静水圧プレス処理前の密度に戻すことができ、浸入した不活性ガスを取り除くことができる。従って、気泡のために従来利用できなかった光透過性を必要とする用途、例えば高温型液晶基板、プリズム、レンズなど各種光学材料として利用できる。また、気泡周辺の結晶化、加熱処理による変形のために使用できなかった用途、例えば半導体製造用の各種治工具類の材料としても利用できる。
Claims (4)
- 含有金属不純物としてNa、K、Mg、Ca、Fe、Al、Tiが各々独立して0.1ppm以下である珪素のアルコキシドより得た高純度非晶質シリカ粉末を出発原料とし、熱処理及び圧力処理することにより高純度透明シリカガラスを製造する方法において、
(a)出発原料を10mmHg以下の減圧雰囲気下、1713℃以上に加熱し、その後不活性ガスで圧力で2kgf/cm2以上の加圧状態にして、直径1mm以上の気泡を減少させる工程と、
(b)熱間静水圧プレス装置を用い、1200〜1350℃の温度範囲で100〜200MPaの不活性ガスによる圧力を作用させ、直径1mm未満の気泡を減少させる工程と、
(c)(b)の工程の後、1000〜1300℃で熱処理した後徐冷する工程を備えてなることを特徴とする高純度透明シリカガラスの製造方法。 - 請求項1に記載の高純度透明シリカガラスの製造方法において、工程(a)の加圧状態が2〜10kgf/cm2であり、工程(a)及び(b)の気泡を消滅させることを特徴とする高純度透明シリカガラスの製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の高純度透明シリカガラスの均質性(Δn)が3×10−5未満であることを特徴とする高純度透明シリカガラスの製造方法。
- 高純度透明シリカガラスのOH基含有量が10ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高純度透明シリカガラスの製造方法。
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