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JP4473653B2 - 高純度石英ガラスの製造方法 - Google Patents

高純度石英ガラスの製造方法 Download PDF

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JP4473653B2 JP2004188510A JP2004188510A JP4473653B2 JP 4473653 B2 JP4473653 B2 JP 4473653B2 JP 2004188510 A JP2004188510 A JP 2004188510A JP 2004188510 A JP2004188510 A JP 2004188510A JP 4473653 B2 JP4473653 B2 JP 4473653B2
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Description

本発明は、石英ガラスの製造方法に関し、さらに詳細には、高純度非晶質シリカ粉末、特に、アルカリ等の不純物の含有量が少ない高純度非晶質シリカ粉末を、酸水素炎を用いて加熱溶融して高純度の石英ガラスを製造する方法に関する。
本発明によれば、厚さ10mm、波長170nmでの透過率が60%以上であり、低圧水銀ランプの照射により蛍光を示さない高純度石英ガラスを製造することができる。本発明の高純度石英ガラスは、さらに、OH基の含有量が40ppm以上であり、気泡も少ないことから、半導体分野や紫外域用のレンズ及びランプや液晶用ガラス基板等として特に有用である。
従来の石英ガラスの製造方法として、例えば、水晶粉末を、加熱炉を用いて真空溶融させて製造する方法、水晶粉末を酸水素火炎によって溶融させる方法などが知られている。この方法で得られる石英ガラスは耐熱性に優れている。しかし、水晶粉末としては天然水晶の粉末が使用されており、不純物含有量が多いことから、LSIの高集積化に伴う周辺材料の高純度化の厳しい要求に応じることができなくなっているという問題が生じていた。また、得られる石英ガラスは、気泡が多く、かつ紫外線照射によって蛍光を示すという問題もあり、光学材として使用するのも困難であった。そこで、天然水晶粉末を高純度化して原料として使用することも試みられている。しかし、天然水晶粉末を用いる限り、高純度化に影響するすべての不純物を0.5ppm以下に押さえることは未だ困難な状況である。
一方、合成原料を使用する方法として、四塩化珪素を酸水素火炎中で溶融させる石英ガラスの製造方法が知られている。しかし、この方法は、製造コストが高く、かつOH基の含有量が多いために、180nm以下の紫外光の透過性に劣る等の問題があった。
これらの問題を解決することを目的として、高純度の非晶質シリカ粉末を加熱溶融させて高純度の石英ガラスを製造する方法が提案されている(特開2001−342026号公報)。しかし、この方法においても、依然として石英ガラスの紫外光の透過率の低下や紫外線の照射により蛍光を発生する場合があった。
特開2001−342026号公報
高純度が要求される半導体製造装置冶具、紫外線を利用する各種光学材料、液晶用ガラス基板などの用途には、高純度で、紫外光の透過率が高く、紫外線の照射により蛍光を発生しない石英ガラスが望まれている。さらには、気泡が極めて少ないことも望まれている。しかし、上記従来の方法では、これらの物性の全てを満たす高純度の石英ガラスを製造することはできなかった。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点を克服し、紫外線を利用する各種光学材料、液晶用ガラス基板などの用途、また高純度が要求される半導体製造装置冶具などの用途に適用可能な、紫外光の透過性に優れ、かつ紫外線照射によって蛍光を示さない、気泡が極めて少ない高純度石英ガラスの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、高純度の原料を用いた場合、石英ガラスに含まれる不純物は、炉材からのコンタミが顕著になり、その結果、製造した石英ガラスに含まれる不純物量が多くなること、さらには、高純度非晶質シリカ粉末を溶融するに当たり、不純物含有量の少ない炉材である耐熱レンガを使用することにより、紫外光の透過性に優れ、紫外線照射により蛍光を示さない高純度石英ガラスを得ることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)非晶質シリカ粉末を酸水素炎内で加熱溶融し、炉内に堆積させることを含む石英ガラスの製造方法であって、
前記非晶質シリカ粉末は、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下であり、
前記炉を構成し、堆積する石英ガラスと接触する耐火レンガは、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5wt%以下であるSiC−Si3N4系レンガまたはジルコニア系レンガであり
前記石英ガラスは、OH基の含有量が、100ppm以上であり、かつTi、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下である
ことを特徴とする前記製造方法。
(2)前記石英ガラスは、厚さ10mmでの波長170nmの紫外線の透過率が60%以上であり、かつ低圧水銀ランプの照射により蛍光を示さない(1)または()に記載の製造方法。
)前記非晶質シリカ粉末は、Al、Ca、Cu、及びFeの含有量が各々0.5ppm以下であり、
前記耐火レンガは、Ca、Cu、Fe、及びMgの含有量が0.5wt%以下であり、
前記石英ガラスは、Al、Ca、Cu、Fe、及びMgの含有量が各々独立して0.5ppm以下である
(1)〜()のいずれかに記載の製造方法。
)前記石英ガラスは、波長240nm付近に吸収波長が実質的に存在しない、
(1)〜()のいずれかに記載の製造方法。
)前記石英ガラスは、気泡含有量が100cm3当たり0.2個以下であり、
気泡総断面積が100cm3当たり0.02mm2以下であり、且つ、
均質性(Δn)が7×10-6未満である(1)〜()のいずれかに記載の製造方法。
)前記石英ガラスを熱間静水圧プレス処理して気泡を減少させる(1)〜()のいずれかに記載の製造方法。
)前記熱間静水圧プレス処理は、500〜2000℃の温度範囲で50〜200MPaの不活性ガスによる圧力を作用させることで行う()に記載の製造方法。
)前記熱間静水圧プレス処理は、前記石英ガラスの気泡含有量が100cm3当たり0.2個より多い場合に行う()または()に記載の製造方法。
)(1)〜()のいずれかに記載の製造方法により石英ガラスを得、得られた石英ガラスを鋳型に入れ、減圧又は不活性ガス雰囲気中で1000〜2000℃に加熱し成型することを含む、石英ガラス成形体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、高純度合成シリカ粉末を純度の良い耐熱レンガを使用して加熱溶融することにより高純度で気泡が少なく、紫外域の透過率が極めて高い石英ガラスが製造でき、熱間静水圧プレス処理により気泡を極めて少なくすることができ、また、伸展成型することで所望形状にすることができる。したがって、気泡の多さや紫外域透過率の低さにより従来利用できなかった光透過性を必要とする用途、例えばプリズム、レンズ、液晶基板等各種光学材料として利用できる。また、高純度を要求される半導体製造装置冶具の材料としても利用できる。
本発明は、非晶質シリカ粉末を酸水素炎内で加熱溶融し、炉内に堆積させることを含む石英ガラスの製造方法である。この方法は、スラブ法として知られた方法であり、加熱溶融条件や炉内への堆積方法等は、従来の方法、条件をそのまま採用することができる。
本発明においては、非晶質シリカ粉末として、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下である非晶質シリカ粉末を用いる。さらに、炉を構成し、堆積する石英ガラスと接触する耐火レンガとして、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5wt%以下である耐火レンガを用いる。さらには、このような非晶質シリカ粉末及び耐火レンガを用いることにより、本発明では、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下である石英ガラスを得る。
本発明の目的が,紫外光の透過率が高く、紫外線の照射により蛍光を発生しない石英ガラスの提供であり、上記条件を満たすことにより、OH基の含有量が40ppm以上であり、厚さ10mmでの波長170nmの紫外線の透過率が60%以上であり、かつ低圧水銀ランプの照射により蛍光を示さない石英ガラスを得ることができる。
原料として使用する非晶質シリカ粉末は、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下である。さらに、各不純物の含有量は各々独立して0.3ppm以下であることが好ましく、更には、0.1ppm以下であることがより好ましい。
さらに原料として使用する非晶質シリカ粉末は、Al、Ca、Cu、及びFeの含有量も各々0.5ppm以下であることが好ましい。上記不純物に加えてこれらの不純物の含有量が少ないことで、半導体製造工程における不純物汚染によるトラブルを抑制する材料を提供できるという利点がある。さらに、各不純物の含有量は各々独立して0.3ppm以下であることが好ましく、更には、0.1ppm以下であることがより好ましい。
上記不純物の含有量が所定の範囲の非晶質シリカ粉末を用いることで、高純度が要求される半導体製造装置冶具として適した、紫外光の透過率も良好な石英ガラスが得られる。
この様な不純物の少ない非晶質シリカ粉末は、例えばシリコンアルコキシドを塩酸あるいはアンモニア触媒下で加水分解して得られたシリカを焼成して製造する方法(特開平5−17123号公報)、又はアルカリ金属ケイ酸水溶液と酸とを反応させて得たシリカを精製し、焼成して製造する方法(特開昭62−283810号公報)等により、製造することができる。
また、非晶質シリカ粉末は、粒度を44μm未満が30%以下、1,000μmより大きい粒子が30%以下に調整することが好ましく、44μm未満の粒子が15%以下、420μmより大きい粒子が15%以下に調整することが好ましく、さらに44μm未満の粒子が10%以下、420μmより大きい粒子が3%以下に調整することが好ましい。44μm未満の粒子が少ないことで、溶融する時に、粉末の流動性を良好に維持でき非晶質シリカのフィードを良好に行うことができる。また、420μmを超える粒子が少なくすることで、製造時の気泡の発生を抑制できるという利点がある。
本発明の方法において、高純度石英ガラスを製造する工程は、出発原料である上記非晶質シリカ粉末を酸水素火炎溶融法により加熱溶融し石英ガラスを製造するものである。この方法では、回転する炉の上部から非晶質シリカ粉末を酸水素火炎バーナーで溶融させ炉底中央部に堆積させ、炉の外周方向に伸展させて石英ガラスを製造する。
本発明では、炉を構成し、堆積する石英ガラスと接触する耐火レンガとして、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5wt%以下である耐火レンガを用いる。炉材である耐熱レンガの純度が悪いと、得られる石英ガラスの純度が悪くなり、紫外線の透過率が低くなったり、紫外線の照射により蛍光を示すようになる。耐火レンガのTi、Na、K、及びLiの含有量は、好ましくは各々独立して0.3wt%以下であり、より好ましくは各々独立して0.1wt%以下である。
さらに上記耐火レンガは、上記不純物加えて、Ca、Cu、Fe、及びMgの含有量も0.5wt%以下であることが好ましい。上記不純物に加えてこれらの不純物の含有量が少ないことで、半導体製造工程における不純物汚染によるトラブルを抑制することができる材料を提供できるという利点がある。さらに、各不純物の含有量は各々独立して0.3wt以下であることが好ましく、更には、0.1wt%以下であることがより好ましい。
本発明ではこのように、少なくとも堆積する石英ガラスと接触する耐火レンガとして、純度の良い耐熱レンガを使用する。このような耐火レンガとしては、例えば、SiC−Si3N4系レンガやジルコニア系レンガ等を挙げることができる。この耐火レンガについてさらに説明する。
この耐火レンガは、上記説明のように高純度石英ガラスが得られるように、不純物量を少なくしなければならない。通常このような耐熱レンガは、セラミックス粒子、バインダー、酸化防止剤を混合し、鋳込み成型法やプレス成型法で成型した後、焼成することにより製造する。このとき使用するセラミックス粒子、バインダー、酸化防止剤の不純物量を少なくすることや、焼成炉からのコンタミを避けることにより純度の良い耐火レンガを得ることができる。
本発明の製造方法によれば、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下である石英ガラスが製造できる。本発明の石英ガラスは、上記不純物の含有量が各々独立して0.3ppm以下であることが好ましく、0.1ppm以下であることがより好ましい。
また、上記不純物に加えて、Al、Ca、Cu、Fe、及びMgの含有量が各々独立して0.5ppm以下であることが好ましい。これら不純物の含有量は、より好ましくは0.3ppm以下であり、更に好ましくは0.1ppm以下である。
所謂、真空溶融法で石英ガラスを製造すると、前述のように、OH基量が40ppmより少なくなることにより、石英ガラス中に酸素欠陥が増え、紫外光の透過率が低下する、低圧水銀ランプ照射により蛍光を発する等の問題がある。それに対して、本発明の方法より得られる石英ガラスは、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下であるため、OH基が40ppm以上であるため、紫外光の透過率が高く、低圧水銀ランプ照射により蛍光を発しない。
OH基量が40ppm未満では、石英ガラス中に酸素欠陥量が多くなり紫外線を照射した時に、ガラスが蛍光を示すために好ましくない。さらに、OH基量は、40〜500ppmが好ましく、更に、50〜300ppmが好ましい。OH基が1000ppmを超えると、波長180nm以下の透過率が低下するため好ましくない。特に、本発明の製造方法により得られる石英ガラスは、OH基の含有量が100ppm以上であり、波長240nm付近に吸収波長が実質的に存在しないものであることが好ましい。
また、本発明の石英ガラスは、厚さ10mm、波長170nmの透過率が60%以上であることが好ましい。この透過率は、好ましくは、65%以上、更に好ましくは70%以上である。さらに、本発明の石英ガラスは、低圧水銀ランプの照射により蛍光を示さないものである。低圧水銀ランプの照射による蛍光の検出方法は、後述の実施例で具体的に説明する。
本発明の製造方法により製造した石英ガラスは、気泡含有量が100cm3当たり0.2個以下、且つ、気泡総断面積が100cm3当たり0.02mm2以下である。
本発明の製造方法により製造した石英ガラスは、通常、上記範囲の気泡含有量及び気泡総断面積を有するものである。但し、原料である非晶質シリカ粉末に1000μm以上の大きな粒子が多く含まれている場合や溶融する時の原料のフィード速度が一時的に速くなったりする場合など、条件によっては、上記範囲の気泡含有量及び気泡総断面積を有さない場合がある。また、上記範囲の気泡含有量及び気泡総断面積を有するが、さらに、改善したい場合もある。このように、石英ガラス中の気泡を更に減少させる場合は、石英ガラスを熱間静水圧プレス処理することが好ましい。熱間静水圧プレス処理の温度条件は、例えば、500〜2000℃の温度範囲である。温度が500℃以上であれば、ガラスに流動性が出て気泡を減少させることができる。温度が2000℃以下であれば、経済性及び処理装置運転上のトラブル発生やガラスの結晶化などなく、均質な高純度石英ガラスを得られる。
不活性ガスを用いて加圧する際の圧力条件は、例えば、50〜200MPaである。圧力条件が50MPa以上であれば、気泡を減少させることができる。圧力条件が200MPa以下であれば、経済性、処理装置運転上のトラブル発生もなく好ましい。
熱間静水圧プレス処理おいて加圧するために用いられる不活性ガスとしては、本発明の目的である高純度石英ガラスを製造することができるものであれば特に制限なく用いることができ、Ar、窒素、He等の不活性ガスを例示することができるが、経済性、気密性、不活性ガスの熱伝導率などを考慮して、Ar、窒素が好ましい。
石英ガラスの気泡を減少させることで、光透過性を利用する各種光学材料、液晶用ガラス基板などの用途に適用可能性が広がる。このような観点から、気泡量としては実施例にもみられるように100cm3当たりの気泡数及び総断面積の値として表される。その具体的な数値としては、高純度石英ガラス中に、0.2個/100cm3未満、0.02mm2/100cm3未満であることが好ましく、0.1個/100cm3未満、0.01mm2/100cm3にすることが更に好ましく、0.05個/100cm3未満、0.005mm2/100cm3にすることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造した石英ガラスは、均質性(Δn)が7×10-6未満である。ここで均質性(Δn)とは、石英ガラス中の屈折率の分布を意味する。本発明の製造方法により製造した石英ガラスは、通常、上記範囲の均質性(Δn)を有する。本発明で得られる高純度石英ガラスの均質性(Δn)は、更に6×10-6未満であることが好ましい。このことにより、各種光学材として使用可能にすることができる。
所望の製品に近い形状にするために、成型工程を採用することが好ましい。成型工程における温度条件は、1000〜2000℃である。1000℃以上であれば、ガラスを所望形状に成型することができ、2000℃以下であれば、ガラスと容器との反応も抑制できる。更に好ましくは、1500〜1800℃である。処理温度での保持時間は、0.5〜10時間が好ましい。成型工程で用いる鋳型の材質は、特に限定されないが、経済性、石英ガラスとの反応性を考慮して、カーボン製の鋳型が好ましい。成型工程での雰囲気として、減圧又は不活性ガス雰囲気が好ましい。また、炉を昇温中1000℃までを減圧にして1000℃より高温を不活性ガス雰囲気にするなども可能である。成型工程において用いられる不活性ガスとしては、本発明の目的である高純度石英ガラスを製造することができるものであれば特に制限なく用いることができ、Ar、窒素、He等の不活性ガスを例示することができるが、経済性、気密性、不活性ガスの熱伝導率などを考慮して、Ar、窒素が好ましい。成型工程において成型する形状は、大型多角形、大型円柱、凸型、凹型等を例示することができる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお不純物の分析等は以下により行った。
〜不純物の分析〜
市販品の非晶質シリカ粉末及び切断機を使用して石英ガラスをφ30×10mm(厚み)としサンプルとした。これを、公知の方法であるICP発光分析法により分析した。
〜非晶質シリカ粉末の粒度〜
非晶質シリカ粉末の粒度測定は、JISふるい法で行った。
〜OH基含有量〜
シリカガラスを切断機と研磨装置を用いてφ30mm×10mm(厚さ)の大きさに鏡面研磨し測定用サンプルとした。これを分光光度計(島津製作所社製、型式:UV−3100PC)を使用し、2210nmの波長でのOH基吸収スペクトルにより定量した。
〜透過率〜
シリカガラスを切断機と研磨装置を用いてφ30mm×10mm(厚さ)の大きさに鏡面研磨し測定用サンプルとした。これを真空紫外分光光度計(分光計器社製、型式:VU−201)を使用し波長170nmの透過率を測定した。
〜蛍光〜
シリカガラスを切断機と研磨装置を用いてφ30mm×10mm(厚さ)の大きさに鏡面研磨し測定用サンプルとした。これに低圧水銀ランプ(波長:254nm)を照射して、蛍光の有無を目視で確認した。
〜気泡径、気泡量、気泡断面積〜
石英ガラスブロックを研磨装置を用いて4面を鏡面研磨した。これを上面からランプを当て(上面の照度:75万ルクス)、側面から気泡量を観察した。気泡量については、100cm3当たりの個数(個/100cm3)として求め、気泡断面積は、100cm3当たりの気泡総断面積(cm2/100cm3)として求めた。また、気泡径は上面からルーペを用いて測定した。
〜均質性(Δn)の測定〜
シリカガラスを切断機と研削装置を用いてφ150mm×50mm(厚み)に研削し測定サンプルとした。これを干渉計(ZYGO社製、機種:MarkII)を用いて均質性を測定した。
実施例1
市販品の非晶質シリカ粉末を出発原料とした。この非晶質シリカ粉末は44μm未満の粒子が8%で420μmより大きな粒子は0.5%であった。この粉末の不純物を分析した結果は表1に示す。
この粉末を回転する炉の上部から酸水素火炎バーナーで溶融させ炉底中央部に堆積させ、炉の外周方向に伸展させて580mm×580mm×250mm(高さ)の石英ガラスを製造した。この時使用した石英ガラスと接触する耐熱レンガは、不純物量が少ないセラミックス粒子から製造したSiC−Si3N4系レンガであり、その不純物量を表2に示す。
この方法により得られた石英ガラスの不純物を、上記記載の方法より分析し、その結果を表3に示す。
得られた石英ガラスを400mm×400mm×220mm(高さ)に切断し石英ガラスブロックにし、上記記載の方法より気泡径、気泡量、気泡断面積を測定し、その結果を表4に示す。
この石英ガラスブロックを上記記載方法より厚さ10mm,波長170nmの透過率を測定した結果と、上記記載方法よりOH基量を測定した結果と、上記記載方法により蛍光を確認した結果と、上記記載方法により均質性(Δn)を測定した結果を表5に示す。尚、石英ガラスブロックの透過率スペクトルは、天然水晶の透過率スペクトルとともに、図1に示す。
実施例2
実施例1で使用したのと同じ非晶質シリカ粉末を使用し、この粉末を回転する炉の上部から酸水素火炎バーナーで溶融させ炉底中央部に堆積させ、炉の外周方向に伸展させて800mm×800mm×180mm(高さ)の石英ガラスを製造した。この時使用した石英ガラスと接触する耐熱レンガは実施例1と同じ耐熱レンガを使用した。この石英ガラスを上記記載の方法より不純物を分析し、その結果を表3に示す。
この石英ガラスを750mm×750mm×150mm(高さ)に切断し、熱間静水圧プレス装置に入れ、Arガスを圧力媒体として、200℃/時間の昇温速度で1300℃まで上げ、圧力140MPaをかけた状態で2時間保持した。このガラスを所望形状にするために、カーボン鋳型に入れ、カーボン抵抗加熱炉に設置し、真空度を10-2Torrまで減圧し、500℃/時間の昇温速度で1100℃まで昇温し、30分保持した後、減圧を解除し、窒素ガスを0.3kgf/cm2(ゲージ圧)となるまで導入し、300℃/時間の昇温速度で1800℃まで昇温し、3時間保持させて成型して980mm×840mm×100mm(高さ)の石英ガラスとした。
このガラス中の気泡径、気泡量、気泡断面積を上記記載の方法より測定し、その結果を上記表4に示した。
この石英ガラスブロックを上記記載方法より厚さ10mm,波長170nmの透過率を測定した結果と、上記記載方法よりOH基量を測定した結果と、上記記載方法により蛍光を確認した結果及び上記記載方法により均質性(Δn)を測定した結果を上記表5に示した。
実施例3
実施例1で使用したのと同じ非晶質シリカ粉末を使用し、この粉末を回転する炉の上部から酸水素火炎バーナーで溶融させ炉底中央部に堆積させ、炉の外周方向に伸展させて1000mm×1000mm×180mm(高さ)の石英ガラスを製造した。この時使用した石英ガラスと接触する耐熱レンガは不純物量の少ないジルコニア粒子から製造したジルコニア系レンガであり、その不純物量を表2に示す。
この方法により得られた石英ガラスの不純物を上記記載の方法より分析し、その結果を表3に示す。
この石英ガラスを900mm×900mm×150mm(高さ)に切断し、このガラスを所望形状にするために、カーボン鋳型に入れ、カーボン抵抗加熱炉に設置し、真空度を10-2 Torrまで減圧し、500℃/時間の昇温速度で1100℃まで昇温し、30分保持した後、減圧を解除し、窒素ガスを0.3kgf/cm2(ゲージ圧)となるまで導入し、300℃/時間の昇温速度で1800℃まで昇温し、3時間保持させて成型して1850mm×1550mm×42mm(高さ)の石英ガラスとした。
この石英ガラス中の気泡径、気泡量、気泡断面積を上記記載の方法により測定し、その結果を表4に示す。
この石英ガラスブロックを上記記載方法より厚さ10mm、波長170nmの透過率を測定した結果と、上記記載方法よりOH基量を測定した結果と、上記記載方法により蛍光を確認した結果及び上記記載方法により均質性(Δn)を測定した結果を表5に示す。
Figure 0004473653
Figure 0004473653
Figure 0004473653
Figure 0004473653
Figure 0004473653
比較例1
実施例1で使用した粉末を、回転する炉の上部から酸水素火炎バーナーで溶融させ炉底中央部に堆積させ、炉の外周方向に伸展させて580mm×580mm×250mm(高さ)の石英ガラスを製造した。この時使用した耐熱レンガは、不純物量の多いセラミックス粒子を使用し製造されたアルミナ系レンガであり、実施例1で使用した耐熱レンガより不純物量が多く、その不純物量を以下の表6に示す。
Figure 0004473653
上記方法で得られた石英ガラスの不純物の分析結果を表7に示す。
この石英ガラスを400mm×400mm×220mm(高さ)に切断し石英ガラスブロックにし、上記記載の方法より不純物を分析し、その結果を表7に示した。また、上記記載の方法より厚さ10mm、波長170nmの透過率を測定し、蛍光を確認し、その結果を表8に示した。
この結果から高純度非晶質シリカ粉末を使用し、純度の悪い耐熱レンガを使用し加熱溶融させた石英ガラスは、純度が悪く、170nmの透過率が低く、低圧水銀ランプの照射により蛍光を示すことが判った。
Figure 0004473653
Figure 0004473653
本発明によれば、半導体分野や紫外域用のレンズ及びランプや液晶用ガラス基板等として有用な高純度石英ガラスを提供することができる。
実施例1で得た石英ガラスの透過率測定結果(スペクトル)を示す。

Claims (9)

  1. 非晶質シリカ粉末を酸水素炎内で加熱溶融し、炉内に堆積させることを含む石英ガラスの製造方法であって、
    前記非晶質シリカ粉末は、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下であり、
    前記炉を構成し、堆積する石英ガラスと接触する耐火レンガは、Ti、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5wt%以下であるSiC−Si3N4系レンガまたはジルコニア系レンガであり
    前記石英ガラスは、OH基の含有量が、100ppm以上であり、かつTi、Na、K、及びLiの含有量が各々独立して0.5ppm以下である
    ことを特徴とする前記製造方法。
  2. 前記石英ガラスは、厚さ10mmでの波長170nmの紫外線の透過率が60%以上であり、かつ低圧水銀ランプの照射により蛍光を示さない請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記非晶質シリカ粉末は、Al、Ca、Cu、及びFeの含有量が各々0.5ppm以下であり、
    前記耐火レンガは、Ca、Cu、Fe、及びMgの含有量が0.5wt%以下であり、
    前記石英ガラスは、Al、Ca、Cu、Fe、及びMgの含有量が各々独立して0.5ppm以下である
    請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  4. 前記石英ガラスは、波長240nm付近に吸収波長が実質的に存在しない、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記石英ガラスは、気泡含有量が100cm3当たり0.2個以下であり、
    気泡総断面積が100cm3当たり0.02mm2以下であり、且つ、
    均質性(Δn)が7×10-6未満である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記石英ガラスを熱間静水圧プレス処理して気泡を減少させる請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記熱間静水圧プレス処理は、500〜2000℃の温度範囲で50〜200MPaの不活性ガスによる圧力を作用させることで行う請求項に記載の製造方法。
  8. 前記熱間静水圧プレス処理は、前記石英ガラスの気泡含有量が100cm3当たり0.2個より多い場合に行う請求項またはに記載の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により石英ガラスを得、得られた石英ガラスを鋳型に入れ、減圧又は不活性ガス雰囲気中で1000〜2000℃に加熱し成型することを含む、石英ガラス成形体の製造方法。
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