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JP3958115B2 - 回転検出装置 - Google Patents

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JP3958115B2
JP3958115B2 JP2002153760A JP2002153760A JP3958115B2 JP 3958115 B2 JP3958115 B2 JP 3958115B2 JP 2002153760 A JP2002153760 A JP 2002153760A JP 2002153760 A JP2002153760 A JP 2002153760A JP 3958115 B2 JP3958115 B2 JP 3958115B2
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哲也 猪塚
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリングホイールの回転角度を検出するためなどに供される回転検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転検出装置としては、例えば特開2000−283704号公報に記載された図17に示すようなものがある。この図17に示す回転検出装置は、車体側とステアリングホイール側とを電気的に接続する回転コネクタ装置101に組み込まれたものを示している。すなわち、回転コネクタ装置101の下部ハウジング部材103と下部カバー部材105との間に回転検出装置107を設けている。この回転検出装置107は、駆動歯車109、従動歯車111、回路基板113によって概ね構成されている。
【0003】
前記駆動歯車109は、ステアリングホイールの回転に伴って回転連動する構成となっている。前記従動歯車111は、前記駆動歯車109に噛み合っている。この従動歯車111には、回転中心部にマグネット115が設けられている。マグネット115は平面部117を有している。平面部117にはN極及びS極が従動歯車111の回転中心を境に隣接して形成されている。この従動歯車111は、一側面が下部カバー部材105に回転可能に支持され、他側面が回路基板113に摺接する構成となっている。前記回路基板113には、前記マグネット115の平面部117に対向する磁気抵抗素子119が設けられている。
【0004】
そして、ステアリングホイールの操舵に伴って駆動歯車109が回転すると、従動歯車111が連動して回転する。従動歯車111の回転によって、マグネット115が回転すると、N極及びS極が形成された平面部117に対向する磁気抵抗素子119の磁場が変化し、この変化に伴って磁気抵抗素子119の抵抗値が変化する。この変化を電子回路部で角度信号に変換し、外部システムへ角度信号を出力することができる。
【0005】
従って、角度検出範囲に制約を伴うことなくステアリングホイールの操舵角等を精度良く検出することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構造では、従動歯車111の一側面が回路基板113に直接摺接しているため、従動歯車111が回転したときに回路基板113に振動等が発生する。このため、回路基板113に実装されている回路素子のはんだ付け部や磁気抵抗素子119そのものに振動による悪影響を及ぼす虞れがあり、装置の耐久性や検出精度を低下させる虞れがあった。
【0007】
本発明は、従動歯車が回転したときに回路基板側に振動等が発生するのを抑制し、装置の耐久性向上と検出精度向上とを可能にする回転検出装置の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、カバーを備えたケースに回転可能に支持されて検出対象物に対し回転連動可能な駆動歯車と、前記駆動歯車に噛み合い回転連動可能な従動歯車と、前記従動歯車の回転中心部に設けられN極及びS極が隣接して形成された端面部を有するマグネットと、前記ケースに配置された回路基板と、前記回路基板に取り付けられ前記マグネットの端面部に対向する磁気抵抗素子及び該磁気抵抗素子の出力信号を回転角信号に変換する電子回路部品とを備えた回転検出装置において、前記回路基板に、貫通孔を設け、前記カバーに、前記マグネットの端面部と前記磁気抵抗素子との対向方向に突出する突起部を設け、前記従動歯車を、前記貫通孔を貫通した前記突起部と前記ケースとにより回転可能に挟持し、前記端面部と磁気抵抗素子との間に一定の距離を保持させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の回転検出装置であって、前記ケース、カバー、駆動歯車、及び従動歯車は、線膨張係数がほぼ同一の材料で形成されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明では、カバーを備えたケースに回転可能に支持された駆動歯車が検出対象物に対し回転連動すると、この駆動歯車に噛み合っている従動歯車が回転連動することができる。この従動歯車には、その回転中心部にN極及びS極が隣接して形成された端面部を有するマグネットが設けられており、このマグネットが従動歯車と共に回転することができる。前記ケースには回路基板が配置され、この回路基板に前記マグネットの端面部に対向する磁気抵抗素子が備えられ、前記マグネットの回転によって磁気抵抗素子の磁場が変化し、この変化に伴って磁気抵抗素子の抵抗値が変化し、信号を出力することができる。この磁気抵抗素子の出力信号は、前記回路基板に備えられた電子回路部品によって回転角信号に変換され、外部システムへ角度信号として出力することができる。
【0011】
そして、前記従動歯車を前記ケース及びカバーで回転可能に挟持し、前記マグネットの端面部と磁気抵抗素子との間に一定の距離を保持させたため、従動歯車が回転したときに該従動歯車はケース及びカバーで回転支持されることになり、前記回路基板に振動等を発生するのを抑制することができる。従って、回路基板に実装されている回路素子のはんだ付け部や、磁気抵抗素子に振動による悪影響を及ぼすことが抑制され、装置の耐久性を向上し、また正確な回転検出を行わせることができる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記ケース、カバー、駆動歯車、及び従動歯車は、線膨張係数がほぼ同一の材料で形成されているため、高温時、低温時など温度変化があっても、ケース、カバー、駆動歯車、及び従動歯車の相対関係に影響を及ぼすことが抑制され、常温時と同等の検出精度を確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る回転検出装置の分解斜視図、図2は回転検出装置の断面図を示している。図1、図2のように、回転検出装置1は、カバー3を備えたケース5に駆動歯車7が回転可能に支持されている。前記カバー3及びケース5間には、一対の従動歯車9,11が回転可能に支持されている。各従動歯車9,11は、前記駆動歯車7に噛み合っている。前記従動歯車9,11の回転中心部には、マグネット13,15が設けられている。
【0014】
前記カバー3、ケース5、駆動歯車7、及び従動歯車9,11は、線膨張係数がほぼ同一の樹脂材料で形成されている。
【0015】
前記駆動歯車7の歯数mと従動歯車9,11の歯数nとは、n/mの値が有限小数となるように割り切れる値に設定されている。従って、数値の丸めによる誤差が発生せず、電子回路部品19での演算を簡単にし、精度を向上させることができる。
【0016】
前記ケース5には、外部接続可能な回路基板17が配置されている。回路基板17には、磁気抵抗素子63及び該磁気抵抗素子63の出力信号を回転角信号に変換する電子回路部品19が取り付けられている。
【0017】
ここで、図3〜図6をも参照しつつ各部の詳細をさらに説明する。図3は回転検出装置1の要部拡大断面図、図4は従動歯車の一部を断面にした正面図、図5は従動歯車の平面図、図6は従動歯車の底面図である。
【0018】
まず図1,図2,図3のように、前記カバー3には、その中央部に前記駆動歯車7側を回転自在に嵌合支持する支持孔21が設けられている。前記カバー3には、前記各従動歯車9,11に対応してそれぞれ突起部23が設けられている。突起部23は各従動歯車9,11毎に例えば4本備えられ、各従動歯車9,11の回転中心を中心として周方向へ均等に配置されている。このカバー3は、例えば4本のタッピンネジ25により前記回路基板17と共に前記ケース5に締結固定されている。
【0019】
前記ケース5には、中央部に前記駆動歯車7を回転自在に支持する支持孔27が設けられている。支持孔27の周囲には、前記駆動歯車7の外周囲を隙間を持って包囲する周壁部29が設けられている。周壁部29には、前記従動歯車9,11側へ延びる壁部31,33が連続している。この壁部31,33が相互に対向する中間部に壁部35,37が設けられている。壁部31,35によって前記従動歯車9の外周囲を包囲し、壁部33,37によって前記従動歯車11の外周囲を隙間を持って包囲する構成となっている。ケース5には、壁部31,35間の中央部と壁部33,37間の中央部とに従動歯車支持部39,41が円筒状に突設されている。ケース5には、カバー3側の内周面に嵌合凹部40が設けられている。
【0020】
前記駆動歯車7には、両側面に嵌合ボス部43,45が突設されている。一方の嵌合ボス部43には、一対の係合爪47が突設されている。係合爪47は、検出対象物であるステアリングホイール側に係合し、ステアリングホイール側の回転に対して駆動歯車7を回転連動させる構成となっている。
【0021】
前記従動歯車9,11は、図4〜図6をも参照して説明する。従動歯車9,11は同一構造であり、従動歯車9について説明する。従動歯車9は、嵌合ボス部49を有している。従動歯車9の回転中心部には、前記マグネット13が同心に設けられている。このマグネット13は円柱状に形成され、従動歯車9にインサート成形されている。
【0022】
前記マグネット13は、端面部として平面部51,53を有している。平面部51,53は、前記従動歯車13の面55,57に対して突出形成されている。但し、平面部51,53は、面55,57に対して面一に形成することもできる。
【0023】
前記平面部51には、回転中心を境にN極及びS極が隣接して形成されている。前記平面部51へのN−Sの着磁は、前記射出成形によって形成された円柱状の着磁前の磁性体が従動歯車7にインサート成形されたあと、従動歯車7の回転中心を基準にして行われる。
【0024】
前記回路基板17には、前記従動歯車支持部39,41にそれぞれ対応した位置で複数の貫通孔59,61が設けられている。これら貫通孔59,61は、前記カバー3の各突起部23を遊嵌させるものである。回路基板17には、前記従動歯車支持部39,41上で前記マグネト13,15の平面部51に対向する磁気抵抗素子63がそれぞれ設けられている。回路基板17には、コネクタ65が設けられている。コネクタ65は外部接続可能とするもので、回路基板17に対して、例えばタッピンネジ67によって固定されている。但し、コネクタ65はケース5側にタッピンネジによって固定することも可能である。
【0025】
前記電子回路部品19、磁気抵抗素子63、コネクタ65は、回路基板17上において回路構成されている。
【0026】
そして、前記駆動歯車7の嵌合ボス部45は前記ケース5の駆動歯車支持孔27に嵌合支持されている。前記従動歯車9,11は、それぞれ前記従動歯車支持部39,41に支持されている。この支持は、従動歯車9,11の嵌合ボス部49を従動歯車支持部39,41に嵌合させることによって行われている。
【0027】
前記回路基板17はケース5に嵌め込まれ、その外周部17aがケース5の嵌合凹部41に嵌合支持されている。前記カバー3は、ケース5に嵌め込まれ、カバー3の外周部3aが嵌合凹部40に嵌合支持されている。カバー3の各突起部23は、前記貫通孔59,61をそれぞれ貫通し、その先端が従動歯車9,11にそれぞれ対向する。
【0028】
前記ケース5とカバー3とは、タッピンネジ25によって締結固定されている。これによって、従動歯車9,11は従動歯車支持部39,41と突起部23とにより回転可能に挟持され、従動歯車9,11はケース5及びカバー3で回転可能に挟持された構成となっている。すなわち、この挟持状態で、従動歯車9,11はその回転中心周りに回転自在である。
【0029】
前記従動歯車9,11が前記のように支持された状態で、前記マグネット13,15の平面部51と磁気抵抗素子63との間にはケース5を基準として一定の距離が保持されている。
【0030】
図7(a)は着磁装置により前記従動歯車9のマグネット13に着磁する工程を示し、図7(b)は着磁後のマグネット13を示している。なお、着磁工程は、従動歯車11のマグネット15も同様であり、従動歯車9のマグネット13を主体に説明し、従動歯車11のマグネット15は、かっこを付けて対応を示す。
【0031】
図7(a)の着磁装置は、着磁用の磁極69と治具71とを備えている。治具71には、凹部73が形成されている。
【0032】
前記マグネット13を備えた従動歯車9を製造するには、マグネット13の基材となる着磁前の円柱状の磁性体(着磁前のマグネット13)をプラスチックベースの射出成形によって形成する。プラスチックベースの射出成形とは、ナイロン、PPS等の樹脂に磁性粉末を混合して射出成形により着磁前の磁性体が円柱状に形成されることである。前記樹脂と磁性粉末との配合比は種々選択することができる。前記磁性粉末としては、例えばネオジウム合金やサマリウム−コバルト合金等が用いられる。
【0033】
この円柱状の磁性体は、樹脂のインサート成形によって従動歯車9の回転中心部に備えられる。
【0034】
その後、図7(a)の磁極69,治具71間において磁性体の平面部51に着磁させる。この場合、治具71の凹部73に従動歯車9の嵌合ボス部49を嵌合支持させる。この支持によって、磁極69,治具71の中心と従動歯車9の回転中心とが軸合わせされる。この状態で、磁性体の平面部51に従動歯車9の回転中心を基準にしてN−S極の着磁が行われ、図7(b)のようにマグネット13の平面部51にN極とS極とが回転中心を境に隣接して正確に形成される。
【0035】
前記着磁に際して、磁性体の上下面である平面部51,53は、従動歯車9の面55,57に対して突出しているため、平面部51,53を磁極69及び治具71の面に確実に密着させることができ、磁極69による前記着磁を効率よく行わせることができる。なお、平面部51,53が従動歯車9の面55,57に対して面一であっても同様の効果を得ることができる。
【0036】
上記のような回転検出装置は、ケース5がコンビネーションスイッチのベースなどに取り付けられ、係合爪47がステアリングホイール側に係合し、駆動歯車7が検出対象物であるステアリングホイール側に対し回転連動可能となる。
【0037】
前記ステアリングホイールの操舵に応じて、駆動歯車7が回転すると、駆動歯車7に噛み合う従動歯車9,11が連動して回転する。従動歯車9,11の回転によってマグネット13,15が回転し、対向する磁気抵抗素子63の磁場が変化し、この変化に伴って磁気抵抗素子63の抵抗値が変化する。
【0038】
前記抵抗値の変化は、電子回路部品19で角度信号に変換され、コネクタ65を通して外部システムへ角度信号として出力される。従って、ステアリングホイールなど検出対象物の回転角度を正確に検出することができる。
【0039】
本実施形態では、特に従動歯車9,11がケース5の従動歯車支持部39,41とカバー3の突起部23とによって回転可能に挟持され、各マグネット13,15の平面部51と回路基板17の磁気抵抗素子63との間に一定の距離が保持されていると共に、回路基板17と従動歯車9,11との直接接触がないため、従動歯車9,11の回転に伴う回路基板17における振動などの発生が抑制される。この効果は、回路基板17の貫通孔59,61に各突起部23が遊嵌状態となっていると一層助長される。
【0040】
従って、磁気抵抗素子63に振動による悪影響を及ぼすことが抑制され、回転角度を正確に検出することができる。また回路基板17に実装されている回路素子のはんだ付け部などへの悪影響も抑制され、耐久性を大幅に向上することができる。
【0041】
本実施形態では、駆動歯車7に同じ歯数を持つ2個の従動歯車9,11とこれに対応する2つの磁気抵抗素子63が設けられているため、各従動歯車9,11の各マグネット13,15と各磁気抵抗素子63との検出により、それぞれの検出角度の差異が規定以上になったとき装置の故障と判定し、故障信号を出力することができる。
【0042】
前記カバー3、ケース5、駆動歯車7、及び従動歯車9,11は、線膨張係数がほぼ同一の樹脂材料で形成されているため、高温時、低温時など温度変化があっても、ケース5、カバー3、駆動歯車7、及び従動歯車9,11の相対関係に影響を及ぼすことが抑制され、常温時と同等の検出精度を確保することができる。
(第2実施形態)
図8〜図14は本発明の第2実施形態を示している。図8は第2実施形態に係る回転検出装置の断面図、図9は同要部の拡大断面図、図10は同カバー側から見た透視平面図、図11は同反カバー側から見た透視底面図、図12は側面図、図13は平面図、図14は底面図である。なお、本実施形態も基本的には第1実施形態と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0043】
本実施形態の回転検出装置1Aでは、図8〜図14のように駆動歯車及び従動歯車にそれぞれリング部73,75が設けられている。リング部73,75は、その外径が駆動歯車69、従動歯車71のそれぞれのピッチ円に相当する径に形成されている。
【0044】
本実施形態において、駆動歯車69、従動歯車71はそれぞれリング部73,75と共に、弾性体、例えばエラストマなどによって形成されている。但し、駆動歯車69、従動歯車71のいずれか一方のみエラストマなどの弾性体で形成し、リング部73,75の一方のみ弾性体とすることもできる。
【0045】
前記ケース5には、図10,図11のように前記従動歯車71の両側において係合ピン77が設けられている。各係合ピン77には、板ばね79の各端部が係合支持されている。板ばね79は、従動歯車71のリング部75に弾接している。
【0046】
従って、従動歯車71は駆動歯車73側へ付勢された状態となっている。これによって駆動歯車69のリング部73と従動歯車71のリング部75とが適度の摩擦力を発生するように押圧力をもって弾接している。
【0047】
但し、板ばね79を省略してリング部73,75を適度な摩擦力を発生するように押圧力をもって弾設配置することも可能である。すなわち、駆動歯車69、従動歯車71の回転軸をケース5に固定位置で回転支持させ、リング部73,75相互を弾接するように設定すれば、板ばね79を省略することができる。
【0048】
前記駆動歯車69が回転すると、これに噛み合う従動歯車71は、ケース5及びカバー3に対する摺動抵抗と、駆動歯車69、従動歯車71間の噛み合い抵抗程度の軽負荷で駆動される。
【0049】
そして、検出対象物である例えばステアリングホイールに連動して駆動歯車69が回転すると、駆動歯車69のリング部73と従動歯車71のリング部75との摩擦力により従動歯車71が回転する。このとき板ばね79の押圧力はリング部73,75間に適度な摩擦力を発生させる。
【0050】
従って、駆動歯車69の歯部69aと、従動歯車71の歯部71aとの間にバックラッシュがあっても、リング部73,75がピッチ円上で当接回転するため、基本的にはバックラッシュのない状態で回転角度をより正確に検出することができる。
【0051】
前記従動歯車71の負荷が万が一大きくなってリング部73,75間にスリップが発生するような場合でも、歯部69a,71aの噛み合いによってバックラッシュ以上のずれを生じることがない。従って、少なくとも第1実施形態の検出精度以下となることが無いようにすることが可能となっている。
【0052】
なお、リング部73,75の少なくとも何れかは、駆動歯車69あるいは従動歯車71に対して別体に形成することもできる。
【0053】
図15,図16は、このような変形例の実施形態を示したもので、図15は従動歯車81の一部を断面にした正面図、図16は同平面図である。この図15,図16のように、リング部83が別体に形成され、従動歯車81のボス部85に嵌合して取り付けられている。この取り付けは圧入あるいは接着等によって固定することができる。前記リング部83は上記同様、例えば、エラストマ等の弾性体で形成されている。
【0054】
従って、リング部83によっても前記リング部75と同様な機能を奏することができる。
【0055】
また図15,図16の場合には、リング部83が摩耗したようなとき、リング部83のみを適宜に交換することが可能となり、メンテナンス費用を低減することができる。
【0056】
なお、上記実施形態では検出対象物としてステアリングホイールの回転角を検出するようにしたが、他の回転体の回転角を検出する構成にすることもできる。
【0057】
前記突起部23は、従動歯車9,11,71,81を回転可能に挟持することができれば良く、周方向にある程度の長さを持たせ、より安定した支持を行わせることもできる。
【0058】
前記マグネット13,15を形成するための着磁前の円柱状の磁性体は、従動歯車9,11,71,81にインサート成形によって設けたが、成形された従動歯車9,11,71,81に対して着磁前の磁性体を接着等で固定し、その後従動歯車9,11,71,81の回転中心を基準に着磁させる構成にすることも可能である。
【0059】
前記着磁後のマグネット13,15を従動歯車9,11,71,81にインサート成形によって固定し、あるいは別々に成形した従動歯車9,11,71,81にマグネット13,15を接着により固定することも可能である。
【0060】
前記マグネット13,15は、従動歯車9,11,71,81への磁性体のインサート成形後に着磁してマグネット13,15とする実施形態、着磁後のマグネット13,15を従動歯車9,11,71,81へ取り付ける実施形態の何れも、マグネット13,15を従動歯車9,11,71,81に対して貫通形成することなく、従動歯車13,15の磁気抵抗素子63側の面にのみ露出して設ける構成にすることも可能である。
【0061】
前記マグネット13,15は、回転により磁気抵抗素子63に一定方向の均一磁界を発生させるものであり、同様な機能を奏する限り、円柱状に限らず直方体などに形成することも可能である。
【0062】
前記マグネット13,15はプラスチックベースの射出成形以外に磁性材料を焼結したものを従動歯車9,11,71,81にインサート成形すること等も可能である。
【0063】
前記ケース5、カバー3、駆動歯車7,69、従動歯車9は、線膨張係数が異なる樹脂材料、さらには樹脂以外の材料で形成することも可能である。
【0064】
前記駆動歯車7の歯数mと従動歯車9,11の歯数nとは、上記以外に任意に選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転検出装置の分解斜視図である。
【図2】第1実施形態に係り、回転検出装置の断面図である。
【図3】第1実施形態に係り、要部の拡大断面図である。
【図4】第1実施形態に係り、従動歯車の一部を断面にした正面図である。
【図5】第1実施形態に係り、従動歯車の平面図である。
【図6】第1実施形態に係り、従動歯車の底面図である。
【図7】第1実施形態に係り、(a)は着磁工程を示す説明図、(b)は着磁後のマグネットの斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る回転検出装置の断面図である。
【図9】第2実施形態に係り、要部の拡大断面図である。
【図10】第2実施形態に係り、カバー側から見た透視平面図である。
【図11】第2実施形態に係り、反カバー側から見た透視底面図である。
【図12】第2実施形態に係り、回転検出装置の側面図である。
【図13】第2実施形態に係り、回転検出装置の平面図である。
【図14】第2実施形態に係り、回転検出装置の底面図である。
【図15】第2実施形態の従動歯車の変形例に係る実施形態を示し、一部を断面にした正面図である。
【図16】第2実施形態の従動歯車の変形例に係る実施形態に係り、平面図である。
【図17】従来例に係る回転検出装置の断面図である。
【符号の説明】
1,1A 回転検出装置
3 カバー
5 ケース
7,69 駆動歯車
9,11,71,81 従動歯車
13,15 マグネット
17 回路基板
19 電子回路部品
23 突起部
39,41 従動歯車支持部
51,53 平面部(端面部)
63 磁気抵抗素子

Claims (2)

  1. カバーを備えたケースに回転可能に支持されて検出対象物に対し回転連動可能な駆動歯車と、
    前記駆動歯車に噛み合い回転連動可能な従動歯車と、
    前記従動歯車の回転中心部に設けられN極及びS極が隣接して形成された端面部を有するマグネットと、
    前記ケースに配置された回路基板と、
    前記回路基板に取り付けられ前記マグネットの端面部に対向する磁気抵抗素子及び該磁気抵抗素子の出力信号を回転角信号に変換する電子回路部品とを備えた回転検出装置において、
    前記回路基板に、貫通孔を設け、
    前記カバーに、前記マグネットの端面部と前記磁気抵抗素子との対向方向に突出する突起部を設け、
    前記従動歯車を、前記貫通孔を貫通した前記突起部と前記ケースとにより回転可能に挟持し、前記端面部と磁気抵抗素子との間に一定の距離を保持させたことを特徴とする回転検出装置。
  2. 請求項1記載の回転検出装置であって、
    前記ケース、カバー、駆動歯車、及び従動歯車は、線膨張係数がほぼ同一の材料で形成されていることを特徴とする回転検出装置。
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