JP3835177B2 - 電解水生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水を電気分解することにより電解水を生成することができる電解水生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電解水生成装置としては、水道水等の原水を浄化槽で浄化した後、電解質添加部に供給してカルシウム塩等の電解質を添加し、更に電解槽に供給して電解して、酸性イオン水やアルカリイオン水を装置外部に吐出するものがある。
【0003】
このような従来から一般的に行われている電解水生成装置における一対の電極間に流す電流を検出するための電流検出手段としては、電流検出用の抵抗に発生する電圧を増幅器により増幅し、制御部に信号として取り込む構成となっていた。
【0004】
しかしながら、上記のような電流検出手段の場合、増幅器が1つであるため、その増幅率を原水の電気伝導率が低い低電気伝導率地域から原水の電気伝導率が高い高電気伝導率地域までの全ての電気伝導率に対応するために、低増幅率となってしまう。この結果、従来にあっては、低電気伝導率地域の電流検出精度が悪化してしまうという問題があった。
【0005】
また、逆に、上記低電気伝導率地域の電流検出精度を重視するため、高増幅率にすると、制御部の入力保護の観点より電流検出精度が悪化、あるいは検出不能となってしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、低電気伝導率地域から高電気伝導率地域まで全ての電気伝導率地域において、電流検出精度を確保できる電解水生成装置を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る電解水生成装置は、電解槽62に水を流入させ、電解槽62内に配置された一対の陽極66及び陰極67の電極間に電圧を印加して水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成装置において、一対の電極間に流す電流検出用の抵抗81を有し、前記抵抗81に発生する電圧出力を増幅するための増幅器として、増幅率の異なるものを少なくとも2つ以上設け、前記抵抗81に発生する電圧出力に応じて増幅器を選択する切り換え手段100を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、低電気伝導率地域の場合には増幅率が高い増幅器82を選択すると共に、高電気伝導率地域の場合には増幅率の低い増幅器83を選択して一対の電極間に流す電流検出精度を確保できるものである。
【0008】
また、一対の電極間に電圧を印加するためのスイッチ20を設け、当該スイッチ20を一定時間以上導通させて、前記抵抗81に発生する電圧出力が測定可能な状態とすることにより前記抵抗81に発生する電圧出力の検出を行い、当該スイッチ20が非導通の時又は一定時間未満の導通時間の場合には前記抵抗81に発生する電圧出力が測定不可能な状態として、前記抵抗81に発生する電圧出力の検出を行わないように制御するための制御部49を設けることが好ましい。このような構成とすることで、抵抗に発生する電圧出力が安定した時に検出を行うことで、電流検出精度を確保できるものである。
【0009】
また、抵抗81に発生する電圧出力が測定不可能な状態の時には、測定可能な状態の時に得られた前記抵抗81に発生する電圧出力をもとに前記スイッチ20により一定時間未満の導通、非導通を繰り返し制御することで一定平均電流制御を行う制御部49を設けることが好ましい。このような構成とすることで、一定平均電流制御を行うことができるものである。
【0010】
また、制御部49による制御は、スイッチ20を一定時間以上導通させた場合と、スイッチ20が非導通又は一定時間未満の導通時間の場合とを合わせて1周期とし、通水中は上記制御を繰り返し行うことが好ましい。このように通水中、電流検出を繰り返し行うことで、一定平均電流制御の精度を保つと共に、例えば、添加する電解質の溶出量が異なり、通水中に水の電気伝導度が異なった場合も、その時の電流に応じて一定平均電流制御を行うことができるものである。
【0011】
また、制御部49による制御開始前にスイッチ20が非導通の状態を一定流量以上設けることが好ましい。このような構成とすることで、電解槽62内に水が充電してから電圧を印加することで、より電流検出の精度を確保できるものである。
【0012】
また、電流検出用の抵抗81に発生する電圧出力が一定平均電流制御可能な所定範囲外の場合、スイッチ20を非導通状態とするように制御するための制御部49を設けることが好ましい。このような構成とすることで、電気伝導率がかなり高い水質での使用による本体の故障を防止すると共に、電気伝導率がかなり低く、電気分解することが困難な状態であることを知らしめることができるものである。
【0013】
また、流量の調整を促す表示部を設け、抵抗81に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合は、当該表示部により流量の調整の必要性を知らしめるように制御するための制御部49を設けることが好ましい。このような構成とすることで、電気伝導率がかなり低く、電気分解しても所定のpH値が得られない水質の場合に流量調整することで所定のpH値に達することができるものである。
【0014】
また、電解質を添加する添加部、並びに電解質の消費又は未添加を知らしめるための表示部を設け、前記抵抗81に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合は、前記表示部において電解促進剤の添加を促する表示を行うように制御するための制御部49を設けることが好ましい。このような構成とすることで、電気伝導率がかなり低く、電気分解することが困難な水質でも使用可能にすることができるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
本発明に係る電解水生成装置1の一例として、以下、電解水生成装置1をアルカリイオン整水器として構成した例で説明する。
【0017】
図4に示す電解水生成装置1の装置上面には、使用者が浄水、生成するアルカリ性イオン水、酸性イオン水の各モードの設定等の指令を入力及び表示をするための表示操作部21が形成されている。また、電解水生成装置1の上部から、生成されたアルカリ性イオン水が吐出される吐水パイプ3が引き出されて設けられている。更に、電解水生成装置1上面には、電解質添加部50を開閉する添加筒キャップ53が露出して配設されている。
【0018】
図1に電解水生成装置1の配管系統図を示す。
【0019】
先ず、電解水生成装置1の構成について説明する。図1に示すように電解水生成装置1には、浄水カートリッジ4、流量センサ60、電解質添加部50及び電解槽62が内装されている。
【0020】
浄水カートリッジ4は、導入された水を浄化するものであり、活性炭やイオン交換樹脂等の浄化剤6が充填された吸着浄化槽15と、吸着浄化槽15よりも下流側に配設され、中空糸膜等の濾過膜5が内装された濾過槽16とから構成されている。
【0021】
浄水カートリッジ4の吸着浄化槽15の上流側端部(図中では下端部)には、浄水カートリッジ4に供給される水の流入口18が形成されており、濾過槽16の下流側端部(図中では上端部)には、浄水カートリッジ4から導出される水の流出口19が形成されている。
【0022】
電解質添加部50は、円筒形状の外筒51の内部に、電解質を保持する内筒52が配設されており、この内筒52内には塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム等のカルシウム塩や、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の電解質が充填される。また外筒51の上部開口には添加筒キャップ53が着脱自在に取付けられている。ここで、外筒51と添加筒キャップ53とは、Oリングを介して嵌合されて水密構造となっており、また添加筒キャップ53の嵌合を脱離して内筒52を取り出し、電解質の補充ができるようになっている。
【0023】
電解質添加部50の外筒51の下端面には、電解質添加部50に供給される水の流入口54が形成されている。また電解質添加部50の外筒51の側面には、電解質添加部50から導出される水の流出口として上部流出口93と下部流出口92とが形成されている。ここで上部流出口93は外筒51の側面の上部に、下部流出口92は外筒51の側面の最下端にそれぞれ形成されており、上部流出口93の開口面積は、下部流出口92の開口面積よりも大きくなるように形成されている。この上部流出口93と下部流出口92の開口面積の比は適宜設定されるが、例えば下部流出口92の開口面積を上部流出口93の開口面積の0.1倍とするものである。
【0024】
電解槽62の内部は、容器内部が電解隔膜63によって陽極室64と陰極室65に仕切られており、陽極室64には陽極66、陰極室65には陰極67が配置されている。ここで、図示の例では、陽極室64は容器内奥に形成されると共に、陰極室65は陽極室64の周りを取り囲むように形成されており、陰極67は電解隔膜63を介して陽極66を取り囲むように円筒状に形成されている。従って、陰極室65は電解槽62の容器の外殻と電解隔膜63とによって囲まれた空間で形成され、一方、陽極室64は電解隔膜63のみによって囲まれた空間にて形成されている。この陰極67及び陽極66は、この電極66,67間に電圧を印加するための電源に接続されている。
【0025】
電解槽62の容器の外殻には、水の排出口として排出口70が形成されており、排出口70は、容器の上端面に、電解隔膜63にて形成された連通路23を介して陽極室64と連通するように形成されている。またこの容器の外殻には、陰極室65から供給される水の流出口69が、容器の上端面に陰極室65と流路を介さず直接連通するように形成されており、この流出口69は、空気取入口22を兼ねるものとして形成されている。
【0026】
更にこの電解槽62の容器の外殻には、電解槽62へ供給される水の流入口として、流入口68が形成されている。この流入口68は電解槽62の容器の側面下部に形成されており、陰極室65と陽極室64の双方に連通している。ここで、流入口68はその開口の上方側において、電解隔膜63にて構成される連通路24を介して陽極室64と連通し、開口の下方側において陰極室65と流路を介さず直接連通している。
【0027】
次に、電解水生成装置1に関する配管構成を説明する。
【0028】
水道の蛇口等の給水栓7と、電解質供給装置1の給水口2とは、給水ホース8によって接続されている。
【0029】
電解水生成装置1内部においては、給水口2から導出された取水流路9は、浄水カートリッジ4の吸着浄化槽15の下部に流入口18にて接続されている。
【0030】
浄水カートリッジ4の濾過槽16の流出口19から導出された給水流路17の配管途中には、給水流路17における水の流量を測定する流量センサ60が配設されている。この流量センサ60は、例えばバネ力によって水流とは反対方向の回動力が付勢された回動自在な羽体と、この羽体が給水流路17を流通する水の流圧によってバネ力に抗して回動された際の、その回動角度を測定する角度センサとによって構成されたものを用いることができる。給水流路17の下流側は、給水主流路14と排水流路10とに分岐されている。
【0031】
排水流路10の下流側は電解質添加部50内に溜まった水を排水する排水弁30に接続されており、排水弁30の下流側には酸性水排出管72に接続されたバイパス流路120と排出管75に分岐されている。
【0032】
また、給水主流路14の下流側は電解質添加部50の流入口54に接続されている。
【0033】
電解質添加部50の上部流出口93からは、主供給路13が下方に向けて導出され、また電解質添加部50の下部流出口92からは副供給路12が側方に向けて略水平に導出されている。主供給路13と副供給路12の流方向と直交する断面積の関係は、上部流出口93と下部流出口92との開口面積の関係と同様に、主供給路13の方が副供給路12よりも大きくなるように形成されている。この主供給路13と副供給路12は下流側において合流し、合流されて形成された添加水供給流路11の下流側は下方に導出されて、電解槽62の流入口68に接続されている。
【0034】
電解槽62の上部流出口69からは吐水パイプ3が上方に向けて導出されており、この吐水パイプ3は装置外部に導出され、その下流側の先端は外部に向けて開口されている。また電解槽62の排出口70からは酸性水排出管72が上方から側方、更に下方に向けて導出されており、更にこの酸性水排出管72は装置外部に導出され、その先端は外部に向けて開口されている。
【0035】
次に、本発明の電解水生成装置1の表示操作部21の構成について説明する。
【0036】
表示操作部21は図2に示すように、選択したモードを示すように、選択モードを表示する表示部40や電極洗浄中を表示する電極洗浄中ランプ46等により構成してある。
【0037】
図2に示す実施形態において、表示部40としては複数のモードに応じて複数個設けてあり、アルカリイオン水のレベル1生成モード用の表示部40a1、アルカリイオン水のレベル2生成モード用の表示部40a2、アルカリイオン水のレベル3生成モード用の表示部40a3、強アルカリイオン水生成モード用の表示部40a4、弱酸性イオン水生成モード用の表示部40a5、強酸性イオン水生成モード用の表示部40a6、浄水モード用の表示部40a7があり、それぞれの表示部40(40a1、40a2、40a3、40a4、40a5、40a6、40a7)がそれぞれ上記のようにスイッチを兼ねているので、いずれかの表示部40を押すと、そのモードが選択されるようになっている。
【0038】
次に、本発明の電解水生成装置1の使用方法と、回路の制御方法について説明する。
【0039】
先ず、アルカリイオン水のレベル1生成モードにて電気分解を行う場合の動作を、図1の配管系統図、図3の制御ブロック図、図5のタイムチャート、図6のグラフ及び図7のフローチャートに基づいて説明する。なお、図1において水の流れを実線矢印で示して表示してある。
【0040】
まず使用者は装置上面の表示操作部21上のアルカリイオン水のレベル1の表示部40a1を押してモードを選択する。この状態で給水栓7が解放して水道水等の原水を給水ホース8を通じて電解水生成装置1の給水口2へ供給する。
【0041】
このとき、給水口2に送り込まれた原水は、取水流路9を通じて流入口18から浄水カートリッジ4へ送られ、吸着浄化槽15の浄化剤6にて、残留塩素、かび臭、トリハロメタン、農薬等が除去される。続いて濾過槽16の濾過膜5を通過することにより濾過されて微細な濁りや細菌等が除去される。このように原水を、浄水カートリッジ4内を通過させて濾過することにより、原水が浄水処理されて浄水が生成される。
【0042】
生成された浄水は、流出口19から給水流路17に流出するが、この給水流路17を流通する際に流量センサ60を通過する。
【0043】
給水流路17を流通する浄水は主給水流路14を通じて流入口54から電解質添加部50に供給される。
【0044】
電解質添加部50に供給された浄水には、溶解した電解質が付与される。電解質を付与された水は、上部流出口93から主供給路13を介して、添加水供給流路11に流入し、流入口68から電解槽62の陰極室65及び陽極室64に供給される。このとき電解質添加部50内には、上部流出口93の形成位置まで水が供給された後にこの水が主として上部流出口93から流出されることとなり、電解質添加部50内にてある程度滞留して電解質が充分に付与された水が電解質添加部50から流出される。
【0045】
このとき、浄水カートリッジ4内を通過した浄水は電解質添加部50を通過してから電解槽62へ供給されることとなり、電解槽62に供給される水中の電解質濃度が充分に確保されることとなって、電解槽62における電気分解が効率よく行なわれることとなる。
【0046】
そして、電気分解によって、陰極室65でアルカリ性イオン水が生成されると共に、陽極室64で酸性イオン水が生成される。陰極室65で生成されたアルカリ性イオン水は、流出口69から吐水パイプ3に流入し、装置外部に導出される。一方、陰極室64で生成された酸性イオン水は、排出口70を通じて酸性水排出管72から装置外に排出されるものである。
【0047】
尚、上記動作において、電解槽62において印加される電圧の向きを逆向きにすると、陰極室65が陽極室としての機能を果たして酸性イオン水が生成されると共に、陽極室64が陰極室としての機能を果たしてアルカリ性イオンが生成される。このときは酸性水が流出口69から吐水パイプ3に流入して装置外部に導出され、アルカリ水が排出口69から吐水パイプ3に流入してイオン水生成装置外部に導出され、アルカリ水が排出口70を通じて酸性水排出管72からイオン水生成装置外に排出されるものである。
【0048】
ここで、本発明にあっては、図3の制御ブロック図に示すように、一対の電極間に流す電流検出用の抵抗81を設け、この抵抗81に発生する電圧出力を増幅するための増幅器として、増幅率の異なるものを少なくとも2つ以上設け、抵抗81に発生する電圧出力に応じて増幅器を選択する切り換え手段100を制御部49に設けた点に特徴がある。
【0049】
すなわち、流量センサ60から信号が送られ、制御部49にて給水流路17における浄水の通水が検知されたら、制御部49により陽極67と陰極66間に電圧を印加するスイッチ80(例えば電解効果トランジスタ)を導通させ、電気分解を開始するものであるが、流量センサ60により通水を検知してから電解槽62内に水が充満するまでには、水路構成上、若干の時間を要する。したがって、通水を検知してから一定流量経過するまでは、上記スイッチ80を非導通の状態にして、電気分解を行わないように制御部49により制御する。これにより、電解槽62内に水が十分にない状態で後述の電流検出を行う行うことなく、電流検出精度が向上するものである。
【0050】
通水を検知してから一定流量経過後、陽極67と陰極66間に電圧を印加するスイッチ80を導通させ、電気分解を開始する。スイッチ80が一定時間導通すると制御部49は電流検出用の抵抗81に発生する電圧出力を検知し、高増幅率の増幅器82によって増幅された信号を検知し、電流検出を行う。スイッチ80の導通時間が一定時間未満であると、抵抗81に発生する電圧が安定せず、制御部49が検知する時間が限られるので、精度よく電流検出が行えない。このため、制御部49はスイッチ80が一定時間導通させて、抵抗81に発生する電圧出力が測定可能な状態となった場合に電流検出を行い、一定時間未満の導通時間の時や非導通の時は電流検出を行わないようにしている。本実施形態の場合、この一定時間を100msecに設定している。
【0051】
この時の水質が例えば30mS/m以上の高電気伝導率水であった場合は電気分解による電流が大きくなるため、抵抗81に発生する電圧も大きくなる。この場合、高増幅率の増幅器82によって増幅された信号は、制御部49の入力限度値を越えてしまい、正常な電流検出はできなくなる。
【0052】
このため、制御部49は、あるしきい値以上の信号が入力された場合は、制御部49に設けた増幅器を選択するための切り換え手段100により高増幅器83によって増幅された信号を採用せず、並列に接続された低増幅率の増幅器83によって増幅された信号に切り替え、この信号によって電流検出している。本実施形態においては上記しきい値を3Vに設定している。
【0053】
このように2種類の増幅率が異なる増幅器82、83を有し、低電気伝導率水の場合には増幅率が高い増幅器82を、高電気伝導率水の場合には増幅率が低い増幅器83を制御部49に設けた切り換え手段100により切り換えることで、低電気伝導率地域から高電気伝導率地域まで殆どの地域において電流検出精度が確保できるものである(このことは図6は抵抗81に発生する電圧と電気伝導度の関係を示すグラフにより明らかである)。
【0054】
上記のようにしてスイッチ20に一定時間以上導通させることによって電流検出が終了すると、次に、制御部49は一定平均電流制御を開始する。制御部49は、得られた電流値を基に、選択されたモードによりそれぞれ設定された平均電流を作り出すため、スイッチ80の導通、非導通を繰り返して断続的に電流を流すように制御するようになっている。この導通、非導通の周期は早いほど平均電流が安定するが、一方ではスイッチ80に発生する損失分が大きくなり、長時間連続してこの制御を行うとスイッチ80が発熱してしまう。よって、本実施形態の場合は、この導通、非導通の周期を87msecに設定し、損失による発熱をできるだけ抑えるようにしている。この構成によれば、スイッチング電源などの複雑な回路を構成することがなく、容易に一定平均電流制御を行うことができるものである。
【0055】
このようにスイッチ20を一定以上導通させて、抵抗81に発生する電圧出力の検出を行い、スイッチ20が非導通の時又は一定時間未満の導通時間の場合には抵抗に発生する電圧出力が測定不可能な状態として抵抗81に発生する電圧出力の検出を行わないようになっており、これにより抵抗81に発生する電圧出力が安定した時に検出を行うことで、電流検出精度を確保することができるものであり、また、抵抗81に発生する電圧出力が測定不可能な状態(スイッチ20が非導通の時又は一定時間未満の導通時間の場合)の時には、測定可能な状態(スイッチ20を一定時間以上導通させた状態)の時に得られた前記抵抗81に発生する電圧出力をもとに制御部49によって前記スイッチ20への一定時間未満の導通、非導通を繰り返し制御することで上記のように一定平均電流制御を行うことができるものである。
【0056】
上記一定平均電流制御をある程度行うと、再度、電流検出のために前記一定時間以上のスイッチ80の導通を行い、電流検出を行う。このようにスイッチ80を一定時間以上導通させ、電流検出を行う場合と、一定時間未満の導通、非導通を繰り返し、一定平均電流制御を行う場合とを合わせて1周期とし、通水中はこの制御を繰り返し行うようにすることで、一定平均電流制御の精度を保つと共に、例えば、電解質添加部50に添加する電解質の溶出量が異なり、通水中に水の電気伝導度が異なった場合も、その時の電流に応じて一定平均電流制御を行うことができる。この実施形態の場合、上記繰り返し周期は5秒間に設定している。
【0057】
上記制御のタイムチャートを図5に示している。
【0058】
また、抵抗81に発生する電圧出力を増幅器82又は増幅器83により増幅した信号により検出した値が、一定平均電流制御可能な所定範囲外の場合は、一定電流制御を実施せず、スイッチ80を非導通にし、電気分解を行わないモード(浄水モード)に切り換えるように制御部49により制御する。例えば、海水などが混入した井戸水など電気伝導度が極端に高い(200mS/m程度)場合には、抵抗81に発生する電圧出力が一定平均電流制御可能な所定範囲以上になり、この状態で一定平均電流制御を行うと、スイッチ80が導通の時には数十アンペアの突入電流が流れてしまい発熱が大きくなってしまうため、やがては部品破壊に至る可能性がある。したがって、このような故障になることを防ぐため、浄水モードに切り換えるのである。この実施形態では浄水モードに切り換えるのみであるが、他に異常検知としてエラー表示を行ってもよいものである。
【0059】
反対に、雪解け水が流れ込んだ水など電気伝導度が極端に低い(5mS/m程度)場合には、抵抗81に発生する電圧出力が一定平均電流制御可能な所定範囲未満になり、この状態で一定平均電流制御を行っても狙いの電流までは達せず、各モード間の電流差が得られなくなる。よって、このような環境下では正常に使用できないため、浄水モードに切り換えるように制御部49により制御するものである。この実施形態では浄水モードに切り換えるのみであるが、他に異常検知として、エラー表示を行ってもよいものである。
【0060】
他の実施形態としては、流量の調整を促する表示部を設け、上記のように抵抗81に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合には、その表示部により流量の調整の必要性を知らしめるように制御部49により制御する方法がある。流量を絞ることで、電気分解の効率を上げ、電流が流れなくても所定のpHみに達するようにする。
【0061】
その他の実施形態としては、電解質を添加する添加部52に入れた電解質が消費又は未添加であることを知らしめる表示部を有し、上記のように抵抗81に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合には、当該表示部により電解質の添加を促するようように知らしめるように制御部49により制御するにする方法がある。電解質の添加をすることで、電気伝導度が高くなり、抵抗81に発生する電圧出力が所定範囲に入り、一定平均電流制御が正常に行えるようにするものである。
【0062】
上記流量の調整を促する表示部や電解質を添加する添加部52に入れた電解質が消費又は未添加であることを知らしめる表示部は前述の表示部40で兼用してもよく、また、前述の表示部40とは別に設けてもよいものである。
【0063】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、一対の電極間に流す電流検出用の抵抗を有し、前記抵抗に発生する電圧出力を増幅するための増幅器として、増幅率の異なるものを少なくとも2つ以上設け、前記抵抗に発生する電圧出力に応じて増幅器を選択する切り換え手段を設けるので、低電気伝導率地域の場合には増幅率が高い増幅器を選択すると共に、高電気伝導率地域の場合には増幅率の低い増幅器を選択して一対の電極間に流す電流検出精度を確保できるものであって、低電気伝導率地域から高電気伝導率地域まで殆どの地域にて電流検出精度を確保できるものである。
【0064】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、一対の電極間に電圧を印加するためのスイッチを設け、当該スイッチを一定時間以上導通させて、前記抵抗に発生する電圧出力が測定可能な状態とすることにより前記抵抗に発生する電圧出力の検出を行い、当該スイッチが非導通の時又は一定時間未満の導通時間の場合には前記抵抗に発生する電圧出力が測定不可能な状態として、前記抵抗に発生する電圧出力の検出を行わないように制御するための制御部を設けてあるので、抵抗に発生する電圧出力が安定した時に検出を行うことができて、電流検出精度を確保できるものである。
【0065】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、抵抗に発生する電圧出力が測定不可能な状態の時には、測定可能な状態の時に得られた前記抵抗に発生する電圧出力をもとに前記スイッチにより一定時間未満の導通、非導通を繰り返し制御することで一定平均電流制御を行う制御部を設けるので、簡単な構成で一定平均電流制御を行うことができるものである。
【0066】
また、請求項4記載の発明にあっては、上記請求項3記載の発明の効果に加えて、制御部による制御は、スイッチを一定時間以上導通させた場合と、スイッチが非導通又は一定時間未満の導通時間の場合とを合わせて1周期とし、通水中は上記制御を繰り返し行うので、通水中、電流検出を繰り返し行って、一定平均電流制御の精度を保つと共に、例えば、添加する電解質の溶出量が異なり、通水中に水の電気伝導度が異なった場合も、その時の電流に応じて一定平均電流制御を行うことができるものである。
【0067】
また、請求項5記載の発明にあっては、上記請求項3又は請求項4記載の発明の効果に加えて、制御部による制御開始前にスイッチが非導通の状態を一定流量以上設けるので、電解槽内に水が充電してから電圧を印加することができて、より電流検出の精度を確保できるものである。
【0068】
また、請求項6記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、電流検出用の抵抗に発生する電圧出力が一定平均電流制御可能な所定範囲外の場合、スイッチを非導通状態とするように制御するための制御部を設けているので、電気伝導率がかなり高い水質での使用による本体の故障を防止すると共に、電気伝導率がかなり低く、電気分解することが困難な状態であることを知らしめることができるものである。
【0069】
また、請求項7記載の発明にあっては、上記請求項6記載の発明の効果に加えて、流量の調整を促す表示部を設け、抵抗に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合は、当該表示部により流量の調整の必要性を知らしめるので、電気伝導率がかなり低く、電気分解しても所定のpH値が得られない水質の場合に流量調整することで所定のpH値に達することができるものである。
【0070】
また、請求項8記載の発明にあっては、上記請求項6又は請求項7記載の発明の効果に加えて、電解質を添加する添加部、並びに電解質の消費又は未添加を知らしめるための表示部を設け、前記抵抗に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合は、前記表示部において電解促進剤の添加を促する表示を行うように制御するための制御部を設けてあるので、電気伝導率がかなり低く、電気分解することが困難な水質でも電解促進剤の添加を行って使用可能にすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解水生成装置の配管系統図である。
【図2】同上の表示部の概略平面図である。
【図3】同上の概略制御ブロック図である。
【図4】同上の全体斜視図である。
【図5】同上のタイムチャートである。
【図6】同上の抵抗に発生する電圧と電気伝導度の関係を示すグラフである。
【図7】同上のフローチャートである。
【符号の説明】
1 電解水生成装置
20 スイッチ
49 制御部
60 流量センサ
62 電解槽
66 陽極
67 陰極
81 抵抗
82 増幅器
83 増幅器
100 切り換え手段
Claims (8)
- 電解槽に水を流入させ、電解槽内に配置された一対の陽極及び陰極の電極間に電圧を印加して水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成装置において、一対の電極間に流す電流検出用の抵抗を有し、前記抵抗に発生する電圧出力を増幅するための増幅器として、増幅率の異なるものを少なくとも2つ以上設け、前記抵抗に発生する電圧出力に応じて増幅器を選択する切り換え手段を設けて成ることを特徴とする電解水生成装置。
- 一対の電極間に電圧を印加するためのスイッチを設け、当該スイッチを一定時間以上導通させて、前記抵抗に発生する電圧出力が測定可能な状態とすることにより前記抵抗に発生する電圧出力の検出を行い、当該スイッチが非導通の時又は一定時間未満の導通時間の場合には前記抵抗に発生する電圧出力が測定不可能な状態として、前記抵抗に発生する電圧出力の検出を行わないように制御するための制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。
- 抵抗に発生する電圧出力が測定不可能な状態の時には、測定可能な状態の時に得られた前記抵抗に発生する電圧出力をもとに前記スイッチにより一定時間未満の導通、非導通を繰り返し制御することで一定平均電流制御を行う制御部を設けて成ることを特徴とする請求項2記載の電解水生成装置。
- 制御部による制御は、スイッチを一定時間以上導通させた場合と、スイッチが非導通又は一定時間未満の導通時間の場合とを合わせて1周期とし、通水中は上記制御を繰り返し行うことを特徴とする請求項3記載の電解水生成装置。
- 制御部による制御開始前にスイッチが非導通の状態を一定流量以上設けることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電解水生成装置。
- 電流検出用の抵抗に発生する電圧出力が一定平均電流制御可能な所定範囲外の場合、スイッチを非導通状態とするように制御するための制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電解水生成装置。
- 流量の調整を促す表示部を設け、抵抗に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合は、当該表示部により流量の調整の必要性を知らしめるように制御するための制御部を設けて成ることを特徴とする請求項6記載の電解水生成装置。
- 電解質を添加する添加部、並びに電解質の消費又は未添加を知らしめるための表示部を設け、前記抵抗に発生する電圧出力が所定範囲未満の場合は、前記表示部において電解促進剤の添加を促する表示を行うように制御するための制御部を設けて成ることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の電解水生成装置。
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