JP3648867B2 - アルカリイオン整水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水等の原水を電気分解して、飲用又は治療用等に用いるアルカリイオン水を生成するアルカリイオン整水器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、連続電解方式のイオン水生成器の一つとして、アルカリイオン整水器が普及している。アルカリイオン整水器は、電解槽内で水道水等の原水を電気分解して、電解槽内の陰極側にアルカリイオン水を、陽極側に酸性イオン水を生成するものである。アルカリイオン水は飲用又は治療用等に用いられ、酸性イオン水は化粧水や殺菌洗浄水等に使用される。また、生成されるイオン水のpHを検出するためのガラス電極を備えたアルカリイオン整水器も市販されており、使用者がイオン水のpH値を設定できるようになっている。
【0003】
以下に、このような従来のアルカリイオン整水器について図面を参照しながら説明する。
【0004】
図2は、従来のアルカリイオン整水器の要部模式図である。図2において、3は原水管、4は水栓、5は浄水部、6はカルシウム供給部、7は流量センサ、8は電解槽、9は隔膜、10は陰極、11は陽極、12酸性イオン水排水管、13は流量調整部、14はアルカリイオン水吐出管、15は電磁弁、16は止水弁、17はpHセンサ通水管、18は放水管、19は浄水器センサ、20は電源部、21は制御手段、22は操作表示部、23はpH設定部、24は表示部、25はpH校正部、26は記憶部、27はpHセンサ、28はキャップ、29は校正液注入口、30は電源投入プラグである。
【0005】
図2に示したように、従来のアルカリイオン整水器では、水道水等が原水管3から水栓4を介して浄水部5に流入し、浄水部5内に配設された活性炭によって原水中の残留塩素が吸着除去されるとともに、中空糸膜によって細菌や不純物が取り除かれる。また、浄水器5内の活性炭や中空糸膜を備えた浄水カートリッジ(図示せず)の有無は浄水器センサ19により検知される。浄水部5を通過した原水は、カルシウムイオンを付与して導電率を高めるために、カルシウム供給部6においてグリセロリン酸カリシウムや乳酸カルシウム等が混合溶解される。
【0006】
カルシウム供給部6を通過した原水は、流量センサ7によって通水量が検知された後、電解槽8において電気分解される。電解槽8内は隔膜9によって2分割されており、一方の電解室に陰極10が、他方の電解室に陽極11が配設されている。陰極10と陽極11の間には、電源投入プラグ30から給電され、電源部20において直流に変換された所定のパルス電圧が印加され、陰極10側の電解室でアルカリイオン水が、陽極11側の電解室で酸性イオン水が生成される。
【0007】
酸性イオン水は、流量調整部13を介して酸性イオン水排出管12内を流れ、止水弁16が開放された際に放出管18より放出される。また、アルカリイオン水はアルカリイオン水吐出管14を通って放出されるとともに、その一部はアルカリイオン水吐出管14に分岐して形成されたpHセンサ通水管17を介してpHセンサ27に流入し、pH値が検知される。pHセンサ通水管17の一部にはpHセンサ27の校正を行う校正液を注入するための校正液注入口29が形成されており、注入口にはキャップ28が配設されている。尚、pHセンサ27を通過したアルカリイオン水は酸性イオン水排出管12に流入し、酸性イオン水とともに放出管18を介して放出される。
【0008】
電磁弁15は原水が電解分解されている間は閉じているが、電解槽8内の滞留水や、陰極10及び陽極11を洗浄した際のCaやMg等からなるスケールが溶解した洗浄水を排水する時に開放され、滞留水や洗浄水は放水管18を通して放出される。
【0009】
以上のようなアルカリイオン整水器の動作は制御手段21によって制御され、制御内容及び動作内容等は記憶部26に記憶される。また、操作表示部22内には、生成するイオン水のpHを複数の濃度レベルに分けて段階的に設定できるpH設定部23と、生成しているイオン水のpHを表示する表示部24と、pHセンサ27の検出値に誤差が生じた場合に校正するpH校正部25と、が配設されている。
【0010】
次に、図3を用いて従来のアルカリイオン整水器の電気回路を説明する。
図3は従来のアルカリイオン整水器の要部回路図である。図3において、31はトランス、32は制御用直流電源、33は電解用直流電源、34はカレントトランスデューサ、35は平滑化回路、36は出力制御回路、37は電解槽−電磁弁切換リレー、38は極性切換リレー、39は電磁弁ソレノイドである。
【0011】
図3に示したように、電源部20の内部に配置されたトランス31を介して給電される交流電圧が、制御用直流電源32において制御手段21の駆動に必要な直流電圧に変換され、また電解用直流電源33において電気分解に必要な直流電圧に変換される。また、電解用直流電源33へ流入する交流電圧はカレントトランスデューサ34により監視されており、カレントトランスデューサ34からの信号は平滑化回路35において直流レベルに変換される。
【0012】
FET等からなる電解槽−電磁弁切換リレー37は電磁弁15の開閉を行い、電磁弁ソレノイド39が電磁弁15に対応する。また、極性切換リレー38は電解槽8内に配設されている2つの電極の極性を決定するものであり、陰極10と陽極11は極性切換リレー38を切り替えることにより各々の極性を逆転させることができる。
【0013】
電解用直流電源33で発生する直流電圧は、出力制御回路36、電解槽−電磁弁切換リレー37、極性切換リレー38を介して陰極10と陽極11の間に印加される。この電解用直流電源26で発生する直流電圧は振幅が一定で周波数が数百Hzのパルス波であるが、出力制御回路36においてそのデューティ比が変調される。このように陰極10と陽極11の間に印加される電圧の制御は、デューティ比を変えて平均電圧を変化させるパスル幅制御方式により行われる。
【0014】
例えば、利用者が操作表示部22のpH設定部23にアルカリイオン水のpH値を設定すると、流量センサ7で検出される原水量が所定の値となったところで、制御手段21が陰極10と陽極11の間に印加するパルス波の平均電圧とデューティ比を記憶部26から読み出し、デューティ比にしたがって出力制御回路36を動作させる。アルカリイオン水の生成が開始されると、pHセンサ27ではpHセンサ通水管17より流入するアルカリイオン水のpH値を検知してその値を制御手段21にフィードバックし、制御手段21は所望のpHのイオン水が生成されるように出力制御回路36においてディーティ比を変更する。
【0015】
次に、図4を用いて電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路について説明する。
【0016】
図4(a)は従来のアルカリイオン整水器における電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路を示す要部模式図、図4(b)は従来のアルカリイオン整水器における電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路を示す要部断面図である。図4(a),(b)において、40は電解槽排水側継手、41aはアルカリイオン水放出口、41bは酸性イオン水放出口であり、図4(b)は図4(a)の枠線A内を拡大したものである。
【0017】
アルカリイオン水は電解槽に配設された電解槽排水側継手40のアルカリイオン水放出口41aからアルカリイオン水吐出管14内を通って吐出されるか、アルカリイオン水吐出管14から分岐したpHセンサ通水管17を通ってpHセンサ27へ送られる。また、酸性イオン水は電解槽に配設された電解槽排水側継手40の酸性イオン水放出口41bから酸性イオン水排水管12内を通って止水弁16まで送られる。
【0018】
上記構成を有する従来のアルカリイオン整水器について、以下にその動作を説明する。
【0019】
利用者は操作表示部22のpH設定部23で生成したいアルカリイオン水のpH値を設定し、水栓4を開く。水栓4を介して供給される原水は、浄水部5で残留塩素や一般細菌等の不純物が取り除かれ、カルシウム供給部6でグリセロリン酸カルシウムが溶解された後、流量センサ7を経て電解槽8に供給される。
【0020】
一方、電源投入プラグ30より供給される交流電圧(100V)は、電源部20内部のトランス31を介して制御用直流電源32において制御手段21の駆動に必要な直流電圧に変換される。同様に、交流電圧は電源部20内部のトランス31を介して電解用直流電源33において電解に必要な直流電圧に変換される。
【0021】
原水の供給開始後、制御手段21は流量センサ7の信号を読み取り、流量レベルが所定の値を越えると電解槽8での電気分解の開始を指示し、電解槽−電磁弁切換リレー37を電解槽側へ切り換えるとともに、極性切り換えリレー38に電解槽8内において陰極10と陽極11の各々の極性に振り分ける動作指令の出力をする。その後、記憶部26に記憶されている目標のpHに対応したディーティ比を読みだして、出力制御回路36を動作させて電解槽8内の陰極10と陽極11の間に所定のパルス電圧を印加して電気分解を行う。これにより、陰極10側の電解室には目標のpH値のアルカリイオン水が、陽極11側の電解室には酸性イオン水が生成される。
【0022】
また、原水中に含まれる炭酸イオンや重炭酸イオン等の影響により、目標のpH値とは異なるアルカリイオン水が生成された場合には、pHセンサ27によってpH値に応じた出力電位が制御手段21にフィードバックされ、制御手段21は出力電位の値から正確なイオン水のpH値を算出し、目標のpH値との差分に応じて陽極10と陰極11の間に印加するパルス電圧のデューティ比を増減して目標とするpHに近づけるように電気分解を制御する。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のアルカリイオン整水器は以下のような課題を有していた。
(1)アルカリイオン水吐出管14の内径が、電解槽排水側継手40のアルカリイオン水放出口41aの内径より大きいため、アルカリイオン水吐出管14にアルカリイオン水が流入した際に気泡が発生し、この気泡がアルカリイオン水吐出管14及びpHセンサ通水管17を介してpHセンサ27内に流入する。アルカリイオン水の総通水量が多い場合には、気泡はそのまま放水管18を介して放水されるが、総通水量が少ない場合には、気泡が放水管18まで流れずに、pHセンサ27内のpH測定用ガラス電極の表面に滞留し、正確なpHの検出ができなくなる。
(2)酸性イオン水排水管12の内径が、電解槽排水側継手40の酸性イオン水放出口41bの内径より大きいため、酸性イオン水排水管12に酸性イオン水が流入した際に気泡が発生し、この気泡が酸性イオン水排水管12内に滞留して、酸性イオン水排水管12内を流れる酸性イオン水の水量が減少したり、気泡が酸性イオン水排水管12を塞いで排水ができなくなる。安定したpH値のアルカリイオン水を生成するためには、アルカリイオン水吐出管14から吐出されるアルカリイオン水と、pHセンサ27内に流入するアルカリイオン水と、酸性イオン水排水管12を通って排水される酸性イオン水の比率が一定の値で維持されている必要があるため、酸性イオン水排出管12内に滞留する気泡により酸性イオン水の排水が減少又は停止すると、安定したpHのイオン水を得ることができなくなる。
【0024】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、電解槽からpHセンサへアルカリイオン水を通水するための通水路及び電解槽から酸性イオン水を放出するための通水路における気泡の発生を防止して、生成したアルカリイオン水のpH値を精度よく検出することが可能なアルカリイオン整水器の提供を目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、電解槽からアルカリイオン水を放出するアルカリイオン水放出部と、アルカリイオン水放出部に挿着され、アルカリイオン水放出部とpHセンサとを接続する通水路と、を備え、アルカリイオン水放出部と通水路の内径が略同径に形成されている構成よりなる。
【0026】
この構成により、電解槽からpHセンサへアルカリイオン水を通水するための通水路及び電解槽から酸性イオン水を放出するための通水路における気泡の発生を防止して、生成したアルカリイオン水のpH値を精度よく検出することが可能なアルカリイオン整水器を提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、電解槽からアルカリイオン水を放出するアルカリイオン水放出部と、アルカリイオン水放出部に挿着され、アルカリイオン水放出部とpHセンサとを接続する通水路と、を備え、アルカリイオン水放出部と通水路の内径が略同径に形成されていることとしたものであり、電解槽からpHセンサへアルカリイオン水を通水するための通水路における気泡の発生を防止して、生成したアルカリイオン水のpH値を精度よく検出することが可能になるという作用を有する。
【0028】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、電解槽から酸性イオン水を放出する酸性イオン水放出部と、酸性イオン水放出部に挿着され、酸性イオン水放出部と止水弁とを接続する通水路と、を備え、酸性イオン水放出部と通水路の内径が略同径に形成されていることとしたものであり、電解槽から酸性イオン水を放出するための通水路における気泡の発生を防止して、生成したアルカリイオン水のpH値を精度よく検出することが可能になるという作用を有する。
【0029】
以下に、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1(a)は本発明の一実施の形態におけるアルカリイオン整水器の電解槽とpHセンサ、電解槽と電磁弁の各々の間の通水路を示す要部模式図、図4(b)は本発明の一実施の形態におけるアルカリイオン整水器の電解槽とpHセンサ、電解槽と電磁弁の各々の間の通水路を示す要部断面図である。
【0030】
図1(a),(b)において、1は吐出用内部管、2は排水用内部管であり、電解槽排水側継手40、アルカリイオン水放出口41a、酸性イオン水放出口41bは従来例と同様のものであるので同一の符号を付して説明を省略する。また、図1(b)は図1(a)の枠線A内を拡大したものである。
【0031】
本実施の形態が従来例と異なっているのは、アルカリイオン水吐出管14の中に吐出用内部管1が挿入されていることにより、アルカリイオン水吐出管14とアルカリイオン水放出口41aの内径が略同径となっていることである。また、酸性イオン水排水管12の中に排水用内部管2が挿入されていることにより、酸性イオン水排水管12と酸性イオン水放出口41bの内径が略同径となっていることである。
【0032】
この構成により、アルカリイオン水吐出管14とアルカリイオン水放出口41aの内径が略同径となっていることによって、アルカリイオン水放出口41aからアルカリイオン水吐出管14にアルカリイオン水が流入した際に水頭損失がなくなり、気泡の発生が防止できる。また、酸性イオン水排水管12と酸性イオン水放出口41bの内径が略同径となっていることによって、酸性イオン水放出口41bから酸性イオン水排水管12に酸性イオン水が流入した際に水頭損失がなくなり、気泡の発生が防止できる。
【0033】
尚、本実施の形態におけるアルカリイオン整水器の動作方法は、従来例と同様であるので説明は省略する。
【0034】
以上のように本実施の形態によれば、電解槽からpHセンサへアルカリイオン水を通水するための通水路における気泡の発生を防止するとともに、電解槽から酸性イオン水を放出するための通水路における気泡の発生を防止して、生成したアルカリイオン水のpH値を精度よく検出することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電解槽からpHセンサへアルカリイオン水を通水するための通水路における気泡の発生を防止するとともに、電解槽から酸性イオン水を放出するための通水路における気泡の発生を防止して、生成したアルカリイオン水のpH値を精度よく検出することができることから、生成されるアルカリイオン水のpH値の安定性、信頼性を向上させることができるという優れた効果が得られる。また、気泡の発生によるアルカリイオン整水器の動作停止や誤動作等を防止することが可能になるとともに、アルカリイオン整水器の保守管理が極めて容易になるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態におけるアルカリイオン整水器の電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路を示す要部模式図
(b)本発明の一実施の形態におけるアルカリイオン整水器の電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路を示す要部断面図
【図2】従来のアルカリイオン整水器の要部模式図
【図3】従来のアルカリイオン整水器の要部回路図
【図4】(a)従来のアルカリイオン整水器における電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路を示す要部模式図
(b)従来のアルカリイオン整水器における電解槽とpHセンサ、電解槽と止水弁の各々の間の通水路を示す要部断面図
【符号の説明】
1 吐出用内部管
2 排水用内部管
3 原水管
4 水栓
5 浄水部
6 カルシウム供給部
7 流量センサ
8 電解槽
9 隔膜
10 陰極
11 陽極
12 酸性イオン水排水管
13 流量調整部
14 アルカリイオン水吐出管
15 電磁弁
16 止水弁
17 pHセンサ通水管
18 放水管
19 浄水器センサ
20 電源部
21 制御手段
22 操作表示部
23 pH設定部
24 表示部
25 pH校正部
26 記憶部
27 pHセンサ
28 キャップ
29 浄水器センサ
30 電源投入プラグ
31 トランス
32 制御用直流電源
33 電解用直流電源
34 カレントトランスデューサ
35 平滑化回路
36 出力制御回路
37 電解槽−電磁弁切換リレー
38 極性切換リレー
39 電磁弁ソレノイド
40 電解槽排水側継手
41a アルカリイオン水放出口
41b 酸性イオン水放出口
Claims (2)
- 電解槽からアルカリイオン水を放出するアルカリイオン水放出口と、前記アルカリイオン水放出口に挿着され、前記アルカリイオン水放出口とpHセンサとを接続する通水路と、を備え、前記アルカリイオン水放出口と前記通水路の内径が略同径に形成されていることを特徴とするアルカリイオン整水器。
- 電解槽から酸性イオン水を放出する酸性イオン水放出口と、前記酸性イオン水放出口に挿着され、前記酸性イオン水放出口と止水弁とを接続する通水路と、を備え、前記酸性イオン水放出口と前記通水路の内径が略同径に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルカリイオン整水器。
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