JP3832398B2 - 環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート - Google Patents
環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の環状オレフィン系重合体組成物からなるフィルムまたはシートに関する。さらに詳しくは、特定の環状オレフィン系付加重合体組成物を特定の方法で加工することにより得られるフィルムまたはシートに関する。また、特定の環状オレフィン系重合体組成物からなるフィルムまたはシートからなる光学材料用フィルムまたはシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
透明性などの光学特性に優れた環状オレフィン系重合体の製造方法としては、付加重合による方法(特開平8−198919号公報など)と開環重合した後水素化する方法(特開平1−132625号公報など)が提案されている。このうち、ノルボルネン系単量体を主原料として前者の方法を採用すると、非常に耐熱性に優れた重合体が得られることが知られている。
一方、近年、光学材料用途の透明樹脂には、高透明性、寸法安定性、熱安定性など様々な特性が要求されている。特に最近では、200℃以上の高温処理に耐えうる透明樹脂が求められている。
このため、ノルボルネン系単量体を主原料とした環状オレフィン系付加重合体の応用が検討されている。しかしながら、ノルボルネン系単量体を主原料とした環状オレフィン系付加重合体は、そのガラス転移温度が高すぎるため、押出成形法や射出成形法などの溶融成形が困難であるという問題がある。そこで、ノルボルネン系単量体とエチレンなどのα−オレフィンとを付加共重合してガラス転移温度を下げて係る溶融成形を利用できるようにすることが提案されているが(特開平6−202091号公報など)、この場合は、耐熱性も低下してしまうため、例えば、200℃以上の高温処理に耐えられない問題が生じている。
したがって、ノルボルネン系単量体を主原料とした環状オレフィン系付加重合体の非常に優れた耐熱性を損なうことなく光学用部材に加工する方法としては、係る重合体を溶媒に溶解し、しかる後、キャストしてフィルムやシートにする方法、すなわち、溶液キャスト法(流延法)が採用されることが多い。しかしながら、溶液キャスト法で得られるフィルムやシートには残留溶媒が存在するため、例えば、スパッタリングや蒸着などの高真空下での加工時に残留溶媒がガス化して真空度が確保しにくいといった問題、残留溶媒の滲出による周囲への汚染の問題、あるいは加工時や使用時の残留溶媒量の変化に伴う寸法変化の問題など、さまざまな問題が指摘されている。
【0003】
そこで、残留溶媒を除去する方法として、通常は常圧下または減圧下で加熱しする方法が採用されており、また、段階的に加熱減圧し残留溶媒を除去する方法(特開2001−329016号公報)が提案されている。また、溶液キャスト法で得られるフィルムやシートの残留溶媒量低減方法ではないが、重合体のガラス転移温度以下、常圧または減圧下の容器中に噴射することによって残留溶媒を除去する方法(特開昭57−139107号公報など)や容器中で重合体組成物を加熱して残留溶媒を除去する方法(国際特許公開WO99−32525号公報など)が提案されており、溶液キャスト法で得られるフィルムやシートの残留溶媒量低減方法への応用も期待できる。しかしながら、フィルムやシートが厚くなると、加熱温度を上げたり加熱時間を長くするなどの加熱条件を厳しくしないと残留溶媒量を低減することが困難となり、一方、加熱条件を厳しくすると、重合体が熱により劣化して、例えば着色するなどの問題が発生する場合がある。
さらに、ノルボルネン系開環重合体を水素添加し、溶液キャスト法(流延法)にて得られるフィルムを、良溶媒単独あるいは良溶媒と貧溶媒からなる混合溶媒に接触させた後、貧溶媒に接触させることにより、フィルム中から低分子量の化合物を除く方法(特開平5−148413号公報)が提案されている。しかし、該方法では、フィルムを良溶媒あるいは良溶媒と貧溶媒からなる混合溶媒に接触させた際に、フィルムの表面が荒れてしまうことが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであり、光学特性に優れ、さらに非常に優れた耐熱性を有するノルボルネン系単量体を主原料とした環状オレフィン系付加重合体を含む組成物からなり、溶液キャスト法により製造され、熱劣化を受けずに残留溶媒量が低減されたフィルムまたはシートを提供するものである。また、係るフィルムまたはシートからなる光学材料用フィルムまたはシートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の問題点を解決すべく鋭意検討を進めた結果、特定のノルボルネン系単量体を主原料とした環状オレフィン系付加重合体(以下、本発明では単に「環状オレフィン系付加重合体」という。)を含む組成物を、該環状オレフィン系付加重合体を25℃で溶解できる溶媒(以下、本発明では「良溶媒」という。)で溶解して溶液キャストし、次いで該環状オレフィン系付加重合体を溶解しないが上記良溶媒と均一に混合する沸点が大気圧下で150℃以下の溶媒(以下、本発明では「貧溶媒」という。)と接触させ、さらに比較的低温で加熱乾燥することで、得られるフィルムまたはシートを実質的に熱劣化させることなくフィルムまたはシートの残留溶媒量を低減できることを見出して本発明を完成させるに至った。また、上記の方法で得られたフィルムまたはシートが、光学特性に優れかつ破壊強度・耐熱性・寸法安定性も非常に優れており、光学材料用フィルムまたはシートとして最適であることを見出し本発明の完成に至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体は、下記式(1)で表される構造単位(a)および下記式(2)で表される構造単位(b)を含み、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000の環状オレフィン系付加重合体である。
【0007】
【化5】
【0008】
[式(1)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、または炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。なお、A1とA2、またはA3とA4は、一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、A1またはA2と、A3またはA4とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。また、rは0〜2の整数を示す。]
【0009】
【化6】
【0010】
[式(2)中、B1〜B4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、加水分解性シリル基、または−(CH2)jXで表される極性基を示し、それぞれ同一または異なっていてもよい。ただし、B1〜B4の少なくとも1つは加水分解性シリル基、または−(CH2)jXで表される極性基である。なお、B1とB2、またはB3とB4は、一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、B1またはB2と、B3またはB4とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。また、pは0〜2の整数を示す。ここで、Xは−C(O)OR1または−OC(O)R2であり、R1,R2は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらのハロゲン置換体からなる基から選ばれた置換基、jは0〜3の整数である。]
【0011】
上記式(1)で示される構造単位(a)は、下記式(5)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(1)」という。)の付加重合により形成することができる。
【0012】
【化7】
【0013】
[式(5)中、A1〜A4、およびrは、上記式(1)に示すものと同じである。]
【0014】
このような「特定の環状オレフィン(1)」の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ドデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロオクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン(ジシクロペンタジエン)、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−3,9−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,9−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−11−エン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−3,11−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−4,11−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−5,11−ジエン、、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、
などが挙げられる。中でもビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンが好ましく、特に、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンを用いると得られるフィルムまたはシートの靱性が高まるため好ましい。
これら「特定の環状オレフィン(1)」は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもendo体(立体異性体)比が90モル%以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンとビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、あるいはendo体(立体異性体)比が90モル%以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエンとビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを組み合わせて用いると得られるフィルムまたはシートの靱性が大幅に高まるため好ましい。
【0015】
本発明においては、構造単位(a)は、式(3)において、rが0のとき、2,3付加構造単位を示すが、2,7付加構造単位となっているものが含まれていても良い。また、式(3)において、rが1のとき、3,4付加構造単位を示すが、3,11付加構造単位または3,12付加構造となっているものが含まれていても良い。
【0016】
本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体に含まれる構造単位(a)の割合は、好ましくは80〜99.5モル%、さらに好ましくは90〜99モル%である。なお、構造単位(a)は、環状オレフィン系付加重合体中にランダムに存在しても、ブロック状に偏在してもよい。
構造単位(a)の割合が80モル%未満の場合は、得られる共重合体の線膨張率が大きくなるいう問題が生じる場合があり、一方、99.5モル%を超える場合は得られる共重合体の破断強度や破断伸びが小さく、満足する性能が得られないという問題が生じる場合がある。
【0017】
また、上記式(2)で示される構造単位(b)は、下記式(5)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」という。)の付加重合により形成することができる。
【0018】
【化8】
【0019】
[式(6)中、B1〜B4、およびpは、上記式(2)に示すものと同じである。]
【0020】
このような「特定の環状オレフィン(2)」の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸ブチル、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸メチル、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸エチル、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸プロピル、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸ブチル、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸メチル、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボン酸トリフロロエチル、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−エニル酢酸エチル、
アクリル酸−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
メタクリル酸−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸エチル、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジメトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシクロロメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジメトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシヒドリドメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジメトキシヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジエトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシクロロメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジエトキシヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシジエチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロポキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリプロポキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフェノキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ジメトキシクロロシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジメトキシメチルシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシプロピルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−トリエトキシシリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチルジメトキシシリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
【0021】
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−スピロ−シクロヘキシル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−エチル−4’−ブチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’−ジメチル−5’メチレン−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
3−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−8−エン、
3−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−8−エン、
などが挙げられる。
これら「特定の環状オレフィン(2)」は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体に含まれる構造単位(b)の割合は、好ましくは0.5〜20モル%、さらに好ましくは1.0〜10モル%である。なお、繰り返し単位(b)は、環状オレフィン系付加重合体中にランダムに存在しても、ブロック状またはに偏在してもよい。
構造単位(b)の割合が0.5モル%未満の場合は、得られる重合体の接着・密着性が低下するという問題が生じる場合があり、一方、20モル%を超える場合は得られる共重合体中に架橋ゲルが発生することがあり、得られるフィルムやシートの表面性や強度などに問題が生じる場合がある。
【0023】
さらに、本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体は、構造単位(a)および構造単位(b)の他に、「特定のα−オレフィン化合物」を付加重合して得られる構造単位(c)を含むことができる。
【0024】
このような「特定のα−オレフィン化合物」の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、トリメチルシリルエチレン、トリエチルシリルエチレン、スチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレンなどが挙げられる。
これらの「特定のα−オレフィン化合物」は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
「特定のα−オレフィン化合物」に由来する構造単位(c)を重合体に導入することにより、得られる環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度を制御することができる。本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体に含まれる構造単位(c)の割合としては、0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%である。構造単位(c)の割合が40モル%を超えると、得られる環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度が低くなるため、耐熱性が低下して本発明に用いることができない場合がある。
【0026】
本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体は、「特定の環状オレフィン(1)」と「特定の環状オレフィン(2)」、さらに必要に応じて用いられる「特定のα−オレフィン化合物」を付加重合することにより製造される。以下、その製造法について説明する。
【0027】
重合触媒としては、例えば、下記[1]、[2]、[3]に挙げられるパラジウム、ニッケル、コバルト、チタニウムおよびジルコニウムなどの単一触媒や多成分系触媒が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]単一触媒系
[Pd(CH3CN)4][BF4]2、[Pd(PhCN)4][SbF6]
[(η3-crotyl)Pd(cycloocta-1,5-diene)][PF6]、
[(η3-crotyl)Ni(cycloocta-1,5-diene)][B(3,5-(CF3)2C6F3)4]、
[(η3-crotyl)Ni(cycloocta-1,5-diene)][PF6]、
[(η3-allyl)Ni(cycloocta-1,5-diene)][B(C6F5)4]、
[(η3-crotyl)Ni(cycloocta-1,5-diene)][SbF6]、
Toluene・Ni(C6F5)2、Benzene・Ni(C6F5)2、Mesitylene・Ni(C6F5)2、Ethylether・Ni(C6F5)2
などが挙げられる。
【0028】
[2]多成分系触媒系(1): σまたはσ,π結合を有するパラジウム錯体と有機アルミニウムまたは超強酸塩の組み合わせ。
ジ−μ−クロロ-ビス(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pdと、メチルアルモキサン(MAOと略す)、AgSbF6またはAgBF4、から選ばれた化合物との組み合わせや、[(η3-アリール)PdCl]2と、AgSbF6またはAgBF4の組み合わせ、[(cycloocta-1,5-diene)Pd(CH3)Cl]とPPh3とNaB[3,5−(CF3)2C6H3]4の組み合わせなどが挙げられる。
【0029】
[3]多成分触媒系(2): a)ニッケル化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物またはジルコニウム化合物から選ばれた遷移金属化合物、b)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物、c)有機アルミニウム化合物の3成分から成る組み合わせ。
a)遷移金属化合物の例としては
1) ニッケル化合物、コバルト化合物の例:
ニッケルまたはコバルトの有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物などから選ばれた化合物。例えば、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ニッケル、ドデカン酸ニッケル、ドデカン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ジブチル亜リン酸ニッケル、ジブチルリン酸ニッケル、ジオクチルリン酸ニッケル、リン酸ジブチルエステルのニッケル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケルなど。
・上記のニッケルの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフロロ酢酸、六フッ化アセトンなどの超強酸で変性した化合物、
・ニッケルのジエンもしくはトリエン配位錯体、例えば、
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、
[(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]ヘキサフロロホスフェート、およびそのテトラフロロボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)]ボレート錯体、
5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(ノルボルナジエン)ニッケル、
ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル などのニッケル錯体、
・ニッケルにP、N、Oなどの原子を有する配位子が配位した錯体、例えば、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、
ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、
ビス[トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン]ニッケルジクロライド、
ビス[トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン]ニッケルジクロライド、
ビス[N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート]ニッケル、
Ni[PhC(O)CH](Ph)、
Ni(OC(C6H4)PPh)(H)(PCy3)、
Ni[OC(O)(C6H4)P](H)(PPh3)、
ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PPh3との反応物、
6−(i−Pr)2C6H3N=CHC6H3(O)(Anth)](Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体
(ここで、Anthは9−anthracenyl、Phはphenyl、Cyはcyclohexylの略称である。)
が挙げられる。
【0030】
2)チタニウム、ジルコニウム化合物の例:
[t-BuNSiMe(Me4Cp)]TiCl2、(Me4Cp)(O-iPr2C6H3)2TiCl、(Me4Cp)TiCl3、
(Me4Cp)Ti(OBu)3、[t-BuNSiMeFlu]TiMe2、[t-BuNSiMeFlu]TiCl2
Et(Ind)2ZrCl2、Ph2C(Ind)(Cp)ZrCl2、
iPr(Cp)(Flu)ZrCl2、 iPr(3-tert-But-Cp)(Ind)ZrCl2、
iPr(Cp)(Ind)ZrCl2、 Me2Si(Ind)2ZrCl2、Cp2ZrCl2、
[CpはCyclopentadienl、IndはIndenyl、FluはFluorenylの略称である。]
などが挙げられる。
【0031】
b)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物の例としては、
超強酸としては、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸など、
ルイス酸化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノールなどとの錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノールなどの錯体、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン、トリス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ボラン、などのホウ素化合物、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフロロフェニル)アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ヘキサフロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフロロメチルエチルケトンなどのルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物、その他、四塩化チタン、ペンタフロロアンチモンなどのルイス酸性を示す化合物など、
イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど
が挙げられる。
【0032】
c)の有機アルミニウム化合物の例としては、
メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。
【0033】
これら触媒成分は、以下の範囲の使用量で用いられる。
ニッケル化合物、パラジウム化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物およびジルコニウム化合物などの遷移金属化合物は単量体1モルに対して0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物は遷移金属化合物1モル原子に対して1〜5,000モル、また非共役ジエン、ルイス酸、イオン性ホウ素化合物は遷移金属化合物の1モル原子に対して0〜100モルである。
【0034】
本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体は、上記成分からなる多成分系触媒または単一触媒を用い、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などから、1種または2種以上選ばれた溶媒中で、−20〜120℃の温度範囲で重合を行うことにより得られる。
【0035】
環状オレフィン系付加重合体中にエチレン性の二重結合が存在すると、熱化学安定性に乏しくなる場合がある。そのため、本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体にエチレン性の二重結合が含まれる場合は、水素化触媒の存在下でさらに水素化することが望ましい場合がある。
水素化方法は特には限定されず、エチレン性の二重結合を効率よく水素化できる方法であればよい。一般的には水素化触媒の存在下で不活性溶媒中、水素加圧下で水素化を行う。不活性溶媒にはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンなどの炭素数5〜14の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサンなどの炭素数5〜14の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭素数6〜14の芳香族炭化水素が好適に用いられ、これらのうち、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエンが最も好ましく用いられる。水素化触媒としてはニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウムなどのVIII族の金属またはその化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土などの多孔性担体に担持した固体触媒あるいは、コバルト、ニッケル、パラジウムなどのIV族〜VIII族の有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物と有機アルミニウムまたは有機リチウムの組み合わせやルテニウム、ロジウム、イリジウムなどの錯体などの均一触媒が挙げられる。
なお、係るエチレン性の二重結合を架橋に利用する場合もあるため、水素化の要否は、用途や求められる特性に応じて判断する必要がある。
【0036】
本発明において用いられる環状オレフィン付加重合体のガラス転移温度は、通常、180〜450℃であり、好ましくは250〜420℃である。ガラス転移温度が180℃未満では耐熱性が劣り、高温処理に耐えない場合がある。
【0037】
本発明において用いられる環状オレフィン付加重合体は、分子中の側鎖置換基の種類により異なるが架橋剤を用い、加熱処理、活性光線の照射、水または水蒸気と接触させるなどの処理を行うことにより、架橋体とすることができる。
【0038】
1)側鎖置換基として、アクリロイル基、メタクリロイル基を有する場合には、過酸化物やアゾ化合物などのラジカル発生剤を架橋剤として用いることにより架橋体を得ることができる。
【0039】
2)側鎖置換基として、加水分解性シリル基を有する場合には、
a)スズ、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、アンチモンなどの金属酸化物、アルコキサイド化合物、フェノキサイド化合物、β−ジケトン化合物、アルキル化合物、ハロゲン化合物、有機酸塩化合物、
b)対アニオンがBF4,PF4,AsF6,SbF6,B(C6F5)4などから選ばれた芳香族スルフォニウム塩、芳香族アンモニウム塩、芳香族ピリジニウム塩、芳香族ホスフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ヒドラジニウム塩、メタロセンの鉄塩などの、50℃以上に加熱することで酸を発生する化合物、
c)トリアルキル亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、物アルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステルなどの、水または水蒸気の存在下、50℃以上に加熱することで酸を発生する化合物、
d)g線、h線、i線などの紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの光線照射によりブレンステッド酸、あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、ホスフォニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩などのオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物などのハロゲン化有機化合物、その他、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルフォニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルフォニルジアゾメタン化合物、スルフォニル化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物など、
を架橋剤として用いることにより架橋体を得ることができる。
【0040】
3)側鎖置換基として、エステル基を有する場合には、スズまたはアンチモンのハロゲン化物、アルコキシ化合物、有機カルボン酸塩から選ばれた化合物と2〜4官能の多価アルコール化合物を架橋剤として用い、エステル交換反応により架橋体を得ることができる。
【0041】
上記の架橋用に用いられる化合物は、本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体100重量部当たり、通常、0.0001〜5.0重量部の範囲で配合して用いられる。
【0042】
本発明における良溶媒とは、本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体を25℃で容易に溶解できる溶媒である。フィルムまたはシートから、良溶媒を加熱・減圧により容易に除去できるようにするためには、該良溶媒の大気圧下の沸点は200℃以下、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは30〜120℃である。
上記良溶媒は、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位の種類や、含まれる官能基の種類・量によって適宜決定されるが、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどの含ハロゲン芳香族炭化水素が好ましい。なお、上記良溶媒を用いて、本発明の環状オレフィン系付加重合体を含有する組成物を溶解して溶液キャストする場合の固形分濃度は、通常、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0043】
一方、本発明における貧溶媒とは、本発明において用いられる環状オレフィン系付加重合体が25℃において、ほとんど、あるいは全く溶解しないが、上記良溶媒と均一に混合する溶媒である。フィルムまたはシートから、貧溶媒の蒸気または液体での抽出操作後、加熱・減圧により容易に除去できるようにするためには、該貧溶媒の大気圧下の沸点は150℃以下、好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは30〜100℃である。上記貧溶媒は、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位の種類や、含まれる官能基の種類・量によって適宜決定されるが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素およびヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
【0044】
上記良溶媒と貧溶媒の組み合わせは、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、上記良溶媒としてシクロヘキサンを用いる場合、貧溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜8の脂肪族炭化水素が挙げられる。それらの中でもジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。上記良溶媒としてトルエンを用いる場合、貧溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、アセトンなどの炭素数1〜8の含酸素炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜8の脂肪族炭化水素が挙げられる。それらの中でも、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜8の含酸素炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
【0045】
本発明においては、上記特定の環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を、良溶媒を用いて溶液キャスティングし、次いで貧溶媒と接触させてフィルムまたはシートに残留する良溶媒を貧溶媒で抽出することにより残留溶媒を低減する。具体的には、上記特定の環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を良溶媒に溶解し溶液キャスティングして得られたフィルムまたはシートを、液体状の貧溶媒中に浸漬する、あるいは貧溶媒の蒸気に曝すという方法である。
これらいずれの方法においても、溶液キャスティングにより得られたフィルムまたはシート中に残留する良溶媒と、抽出に用いる貧溶媒が互いに混合しない場合には抽出効果が期待できない。
【0046】
本発明においては、上記特定の環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を良溶媒に溶解させて溶液キャスティングした後、まず良溶媒の沸点以下の温度条件下で、良溶媒を蒸発させることにより、環状オレフィン系付加重合体を含む組成物からなるフィルムまたはシート中の良溶媒量を1〜10重量%とし、基材から剥がす。該フィルムまたはシートを貧溶媒と接触させてもよいが、好ましくは該フィルムまたはシートを上記した種々の方法で架橋体とした後、貧溶媒と接触させる。上記環状オレフィン系付加重合体を架橋体とすることで、破壊強度・耐溶剤性・耐薬品性がより優れたものとなる。また、本発明のフィルムまたはシートから残存溶媒を除去する際、係るフィルムまたはシートが未架橋であれば、貧溶媒の種類によっては、該貧溶媒を接触させた際にフィルムまたはシートが膨潤し形状が崩れることがある。しかし、架橋された環状オレフィン系付加重合体を含む場合には、そのような貧溶媒と接触させた場合にも形状が崩れないので、環状オレフィン系付加重合体は架橋されていることが好ましい。
【0047】
貧溶媒を接触させる温度は、通常、0〜200℃であるが、大気圧下の沸点が80℃以下である貧溶媒を用いる場合は0℃〜沸点までの温度が好ましく、0℃〜30℃で接触することがより好ましい。貧溶媒を接触させる時間は、30秒以上5時間以内が好ましく、さらに好ましくは1分以上1時間以内である。貧溶媒と接触させた後、フィルムまたはシートを10分〜1時間、50〜150℃に加熱することで、残留溶媒をほとんど全て除去することができる。
【0048】
本発明のフィルムまたはシート中の残留溶媒量は、5,000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは500ppm以下である。残留溶媒量が5,000ppmを超える場合、フィルムまたはシートの寸法安定性が悪いばかりでなく、残留溶媒が揮発するため表面加工などの後加工を施す際、例えばスパッタリングや蒸着工程で高真空度が得られない、あるいは残留溶剤の滲出による周囲への汚染や使用機器の機能低下などの問題が生じる場合がある。
【0049】
本発明によれば、着色や破断強度を低下させることがない、寸法安定性に優れた残留溶媒の少ない環状オレフィン系付加型重合体組成物からなるフィルムまたはシートを提供でき、これらのフィルムまたはシートは環境負荷が小さく、光学材料用途に好適である。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中、部および%は特に断らない限り、重量基準である。
また、分子量、全光線透過率、ガラス転移温度、線膨張率、吸水率、トルエン膨潤度、引っ張り強度・伸び、重合体組成物中の残溶媒量、フィルムの寸法変化は下記の方法で測定した。
【0051】
(1)分子量
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、厚さが約100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
【0052】
(3)ガラス転移温度
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。
(4)線膨張率
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて試料形状 膜厚150μm、幅3mm、長さ10cm、チャック間距離10mmで試料を固定し、室温から200℃程度まで一旦昇温して残留歪みを除いた後、室温から3℃/minで昇温し、チャック間距離の伸びから線膨張率を求めた。
【0053】
(5)吸水率
重合体フィルムを23℃の水中に24時間浸漬させた後、浸漬前後の重量変化により、吸水率を測定した。
(6)トルエン膨潤度
膜厚150μm、縦横2cm×2cmのフィルムを25℃のトルエンに3時間浸漬し、浸漬前後のフィルム重量を測定し、下記式により膨潤度を算出した。
トルエン膨潤度(%)=(トルエン浸漬後の重量/トルエン浸漬前の重量)×100
【0054】
(7)引っ張り強度・伸び(脆さ・割れの代替測定)
JIS K7113に準じて、試験片を引っ張り速度3mm/minで測定した。
(8)重合体組成物中の残溶媒量
重合体組成物中のトルエン以外の残溶媒量を測定する場合、重合体組成物1gをトルエンに溶解あるいは膨潤し、ガスクロマトグラフィーHP−5890(ヒューレット・パッカード社製)で同社製カラムPoraplotQを用い、50℃から250℃まで10℃/minで昇温してトルエン中に溶解したあるいは抽出された組成物中の溶媒量を測定・定量した。また、重合体組成物中の残トルエン量を測定する場合は、重合体組成物1gをシクロヘキサンに溶解あるいは膨潤し、上記同手法で測定・定量した。
【0055】
(9)フィルムの寸法変化
膜厚150μm、縦横90mm×90mmの正方形型のフィルムを90℃の水に2時間浸漬した後に、大気下200℃で加熱し、正方形の4辺の収縮を観測した。収縮後の寸法(L′)と収縮前の寸法(L)を測定し、変化の大きさ((L′−L)/L)を求めた。
【0056】
参考例1(共重合体Aの合成)
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 1,000ミリモル(94.0g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 37.5ミリモル(9.6g)、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 212.5ミリモル(37.8g)、溶媒としてトルエン633g、分子量調節剤として1−ヘキセン 15.0ミリモルを2,000mlの反応容器に窒素下で仕込んだ。
予めヘキサン溶液のオクタン酸Niを六フッ化アンチモン酸と−10℃でモル比1:1で反応させ、副生する沈殿したNi(SbF6)2を除去し、トルエン溶液で希釈したオクタン酸Niの六フッ化アンチモン酸変性体をNi原子として0.25ミリモル、メチルアルミノキサン2.50ミリモル、三フッ化ホウ素エチルエーテラート0.75ミリモルを仕込み、重合を行った。
30℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。
単量体の共重合体への転化率は98%であった。
【0057】
共重合体溶液に水 660ml、乳酸 47.5ミリモルを加えて、攪拌、混合して触媒成分と反応させ、共重合体溶液と水を静止分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去した共重合体溶液を3Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体と残る触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体Aを得た。共重合体Aに対する良溶媒としては例えばトルエン(沸点111℃)、シクロヘキサン(沸点81℃)が挙げられ、貧溶媒としては例えばジクロロメタン(沸点40℃)、1,2−ジクロロエタン(沸点85℃)が挙げられる。
【0058】
270MHz 1H−NMR測定から求められた共重合体A中の5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.8%であった。また、同270MHz 1H−NMR測定から求められた共重合体A中の5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は14.8%であった。
共重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は102,000、重量平均分子量(Mw)は214,000で、Mw/Mnは2.1であった。また、共重合体Aのガラス転移温度は370℃であった。
【0059】
参考例2(共重合体Bの合成)
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 1,000ミリモル(94.0g)、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン 250ミリモル(58.0g)を用いたこと以外、参考例1と同様に行い、共重合体Bを得た。単量体の共重合体への転化率は93%であった。共重合体Bに対する良溶媒としては例えばトルエン(沸点111℃)が挙げられ、貧溶媒としては例えばジクロロメタン(沸点40℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)が挙げられる。
【0060】
270MHz 1H−NMR測定から求められた共重合体B中の8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンに由来する構造単位の割合は17.5%であった。
共重合体Bのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は113,000、重量平均分子量(Mw)は227,000で、Mw/Mnは2.0であった。また共重合体Bのガラス転移温度は380℃であった。
【0061】
参考例3(共重合体Cの合成)
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 1,212.5ミリモル(114.0g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 37.5ミリモル(9.6g)を用いたこと以外、参考例1と同様に行い、共重合体Cを得た。共重合体Cに対する良溶媒としては例えばトルエン(沸点111℃)、シクロヘキサン(沸点81℃)が挙げられ、貧溶媒としては例えばジクロロメタン(沸点40℃)が挙げられる。
単量体の共重合体への転化率は98%であった。
【0062】
270MHz 1H−NMR測定から求められた共重合体C中の5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.8%であった。
共重合体Cのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は124,000、重量平均分子量(Mw)は247,000で、Mw/Mnは2.0であった。また共重合体Cのガラス転移温度は390℃であった。
【0063】
参考例4(共重合体Dの合成)
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 750ミリモル(70.5g)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン 500ミリモル(67.0g)を単量体として用いて参考例1と同様に重合を行った。
30℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。
【0064】
共重合体溶液に水 660ml、乳酸 47.5ミリモルを加えて、攪拌、混合して触媒成分と反応させ、共重合体溶液と水を静止分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去した後、共重合体溶液にトルエンを加え固形分濃度5%まで希釈した。続いて希釈した共重合体溶液に水素添加触媒としてRuHCl(CO)[P(C6H5)3]3を共重合体と水素添加触媒の重量比が1:0.0001となるように添加し、7MPa水素圧下で120℃、4時間かけてエチレン性の二重結合を水素化した。
共重合体溶液を3Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体と残る触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体Dを得た。共重合体Dに対する良溶媒としては例えばシクロヘキサン(沸点81℃)が挙げられ、貧溶媒としては例えばジクロロメタン(沸点40℃)やn-ヘプタン(沸点98℃)が挙げられる。
【0065】
270MHz 1H−NMR測定(核磁気共鳴分析)により水素化率は99.8%以上であることを確認した。また、共重合体Dのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は112,000、重量平均分子量(Mw)は235,000で、Mw/Mnは2.1であった。また、共重合体Dのガラス転移温度は371℃であった。
【0066】
参考例5(フィルムの作成)
共重合体A 10gをトルエン50mLに溶解して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ、重合体100部に対して0.9部添加した。この重合体溶液をキャスト後、200℃、1時間真空乾燥した厚さ150μmのフィルムA−1を作製した。このフィルムA−1の吸水率は0.01%以下であった。評価結果を表1に示す。
【0067】
共重合体Aの代わりに共重合体Bを用いて、上記と同様にして厚さ150μmのフィルムB−1を得た。このフィルムB−1の吸水率は0.02%であった。
評価結果を表1に示す。
【0068】
共重合体C 10gをシクロヘキサン50mlに溶解した重合体組成物溶液に亜リン酸トリブチルを0.07g添加し、この重合体溶液をキャストしてフィルムC−1を得た。このフィルムC−1の吸水率は0.01%以下であった。評価結果を表1に示す。
シクロヘキサンを溶媒として用いた以外は、上記フィルムA−1の場合と同様にしてフィルムD−1を作製した。このフィルムD−1の吸水率は0.01%以下であった。評価結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1
フィルムA−1を25℃でジクロロメタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムA−2を得た。評価結果を表2に示す。
【0071】
実施例2
フィルムA−1を25℃で1,2−ジクロロエタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムA−3を得た。評価結果を表2に示す。
【0072】
実施例3
フィルムA−1を25℃でジクロロメタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムA−4を得た。評価結果を表2に示す。
【0073】
実施例4
フィルムA−1を25℃で1,2−ジクロロエタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムA−5を得た。評価結果を表2に示す。
【0074】
比較例1
フィルムA−1(既に200℃、1時間真空乾燥済)を150℃/2時間、230℃/0.5時間と段階的に昇温真空乾燥し、フィルムA−6を得た。高温乾燥のみでは残留良溶媒量はほとんど除去できなかった。評価結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例5
フィルムB−1を25℃でジクロロメタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムB−2を得た。評価結果を表3に示す。
【0077】
実施例6
フィルムB−1を25℃でn−ヘプタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムB−3を得た。評価結果を表3に示す。
【0078】
実施例7
フィルムB−1を25℃でジクロロメタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムB−4を得た。評価結果を表3に示す。
【0079】
実施例8
フィルムB−1を25℃でn−ヘプタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムB−5を得た。評価結果を表3に示す。
【0080】
比較例2
フィルムB−1を200℃、1時間真空乾燥後、さらに300℃、2時間真空乾燥し、フィルムB−6を得た。高温乾燥のみでは残留良溶媒量はほとんど除去できず、フィルムは黄変してしまった。評価結果を表3に示す。
【0081】
比較例3
フィルムB−1を150℃/2時間、230℃/0.5時間と段階的に昇温真空乾燥し、フィルムB−7を得た。段階的に昇温真空乾燥しても残留良溶媒量はほとんど除去できなかった。評価結果を表3に示す。
【0082】
比較例4
フィルムB−1を25℃でジメチルスルホキシド(DMSO:沸点189℃)中に1時間浸漬し、200℃で1時間真空乾燥後、フィルムB−8を得た。フィルムB−8はDMSOに溶解しなかった。このフィルムからはトルエンは除去されたが、高沸点のジメチルスルホキシドが大量に残留した。評価結果を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
参考例7(架橋フィルムの作成)
フィルムC−1を150℃、2時間、水蒸気下に曝し、架橋された厚さ150μmのフィルムC−1’を得た。フィルムC−1’のトルエン膨潤度は175%であった。
【0085】
実施例9
フィルムC−1を25℃でジクロロメタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムC−2を得た。評価結果を表4に示す。
【0086】
実施例10
フィルムC−1’を25℃でジクロロメタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムC−2’を得た。評価結果を表4に示す。
【0087】
実施例11
フィルムC−1を25℃でジクロロメタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムC−3を得た。評価結果を表4に示す。
【0088】
実施例12
フィルムC−1’を25℃でジクロロメタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムC−3’を得た。評価結果を表4に示す。
【0089】
比較例5
フィルムC−1’を25℃でメタノール中に1時間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムC−4を得た。シクロヘキサンとメタノールは相溶しないためにフィルム中に残留しているシクロヘキサンはほとんど除去できなかった。
評価結果を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
実施例13
フィルムD−1を25℃でジクロロメタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムD−2を得た。評価結果を表5に示す。
【0092】
実施例14
フィルムD−1を25℃でn−ヘプタン中に5分間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムD−3を得た。評価結果を表5に示す。
【0093】
実施例15
フィルムD−1を25℃でジクロロメタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムD−4を得た。評価結果を表5に示す。
【0094】
実施例16
フィルムD−1を25℃でn−ヘプタン飽和蒸気下に1時間曝し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムD−5を得た。評価結果を表5に示す。
【0095】
比較例6
フィルムD−1を25℃でメタノール中に1時間浸漬し、100℃で1時間真空乾燥後、フィルムD−6を得た。評価結果を表5に示す。
【0096】
比較例7
フィルムD−1を200℃、1時間真空乾燥後、さらに300℃、2時間真空乾燥し、フィルムD−7を得た。段階的に昇温真空乾燥しても残留良溶媒量はほとんど除去できなかった。評価結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
【発明の効果】
本発明によって得られる環状オレフィン系付加重合体組成物から形成されたフィルムまたはシートは、高耐熱性、高透明性を有し、残留溶媒量が著しく少ないために該成形材料は寸法安定性に優れている。したがって、得られるフィルムまたはシートは、熱劣化成分による重合体の着色や分子量の低下の問題がなく、また該重合体中に残留した有機溶剤の滲出による周囲への汚染や使用機器の機能低下の心配が少なく、TFT型LCD、STN型LCD、PDPなどの表示デバイス用基板、導光板、保護フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、CD、MD、DVDなどの光学記録基板などの光学材料用途や電子・電気部品、包装材料に有用である。
Claims (11)
- 下記式(1)で表される構造単位(a)および下記式(2)で表される構造単位(b)を含み、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜500,000の環状オレフィン系付加重合体を含有する組成物を、該環状オレフィン系付加重合体を25℃で溶解できる溶媒(1)で溶解して溶液キャストし、次いで該環状オレフィン系付加重合体を溶解しないが溶媒(1)と均一に混合する沸点が大気圧下で150℃以下の溶媒(2)と接触させることにより得られることを特徴とする環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 上記溶媒(1)の大気圧下での沸点が30〜120℃である請求項1に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 残留溶媒量が5,000ppm以下である請求項1に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 架橋されている請求項1〜3いずれか1項に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度が250℃を超える請求項1〜4いずれか1項に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 上記構造単位(b)を0.5〜20モル%含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 上記溶媒(1)が脂環族炭化水素、芳香族炭化水素および含ハロゲン芳香族炭化水素から選ばれた溶媒である請求項1〜8いずれか1項に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 上記溶媒(2)が大気圧下での沸点が150℃以下である含ハロゲン脂肪族炭化水素および脂肪族炭化水素から選ばれた化合物である請求項1〜9いずれか1項に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシート。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状オレフィン系付加重合体系フィルムまたはシートからなる光学材料用フィルムまたはシート。
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