JP3831822B2 - プロペニル基含有アクリル又はメタクリル化合物 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、二種類の反応性重合基を有するプロペニル基含有アクリル又はメタクリル化合物(即ち、プロペニル基含有アクリル化合物又はプロペニル基含有メタクリル化合物、以下、プロペニル基含有(メタ)アクリル化合物という)に関する。さらに詳しくは、電子線、紫外線などの放射線により硬化可能で、かつ、架橋剤としても有用な新規モノマーであるプロペニル基含有(メタ)アクリル化合物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
(メタ)アクリレート化合物類は、速硬化性等の様々な利点を有しているため、インキ、塗料、コーティング等の分野において使用されているが、他の樹脂との共重合性が低いため、樹脂材料としての汎用性に欠け、また、フリーラジカルシステムで硬化するため、空気の存在により硬化阻害が生じるという欠点を有している。
【0003】
一方、ビニルエーテル化合物類は、カチオンシステムでも硬化可能なため、空気による硬化阻害はなく、他の樹脂との共重合性は(メタ)アクリレート化合物類より良好であるが、硬化速度が(メタ)アクリレート化合物類より遅いという欠点を有しており、特に不飽和ポリエステルとの共重合においては、その共重合性および硬化速度の両方に問題を有している。
【0004】
本発明の課題は、速硬化性と他の樹脂との共重合性を両立させ、かつ、架橋剤としても有用な、二種類の反応性重合基を有する新規モノマーを提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のプロペニル基含有(メタ)アクリル化合物は、下記一般式で表わされる。
【0006】
【化2】
式中、R1は1−プロペニル基、R2は水素原子またはメチル基、R3は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基またはアルケニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜10の数を表す。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記した本発明の新規化合物は、公知の方法を採用することにより合成することができる。例えば、アリルアルキルフェノールにアルカリ触媒のもとでアルキレンオキサイドを高温、高圧下で付加させ、さらに酸触媒下で(メタ)アクリル酸エステル化することにより、本発明のプロペニル基含有(メタ)アクリル化合物を得ることができる。
【0008】
前記一般式中、R1は、好ましくは2位又は4位置換体である。また、R3は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルケニル基の場合、好ましくは4位置換体である。
【0009】
また、前記一般式中、Aは、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等である。なお、当該化合物1分子中に、このアルキレン基Aを複数有する場合、それらは同一のアルキレン基であっても、2種以上の異なるアルキレン基であってもよい。
【0010】
また、nは、AOで表されるアルコキシル基の平均モル数を示し、1〜10の範囲にある。なお、nは、硬化樹脂に与える物性の点より、1〜6の範囲にあることが好ましい。
【0011】
なお、(AO)nは、例えばエチレンオキサイド(以下、EOという)、プロピレンオキサイド(以下、POという)、ブチレンオキサイドまたはイソブチレンオキサイドの単独付加体、ブロック付加体、ランダム付加体またはそれらの混合物であってもよい。
【0012】
【発明の効果】
本発明の新規化合物は、二種類の反応性重合基を有するため、カチオンおよびラジカルの両システムでの重合が可能である。
【0013】
そのため、この化合物は、カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤、又はカチオン及びラジカル重合開始剤の存在下で、熱、紫外線、電子線などを作用させることにより、容易に単独重合可能であり、また、不飽和ポリエステルを含む他の不飽和結合を有する化合物やエポキシ化合物などと容易に共重合を行なうことができる。即ち、速硬化性と共重合性が両立している。さらにまた、架橋剤としても使用可能である。そのため、インキ、塗料、接着剤、およびコーティング材用の原料として有用なモノマーである。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
実施例1
撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、フェノール94g(1.0モル)、NaOH40g(1.0モル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌しながら内温を40℃に昇温した。次に、アリルクロライド76.5g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行なった。次に、反応生成物を濾過し、副生したNaClを除去した後、減圧下にてアセトンを除去し、アリルフェニルエーテル130g(収率97%)を得た。
【0016】
このアリルフェニルエーテル67g(0.5モル)をオートクレーブに仕込み、200℃で撹拌しながら5時間保持して転位反応を行ない、アリルフェノールとした。次に、一度室温まで冷却した後、触媒としてNaOH1.4gを加え、オートクレーブ内を窒素置換した後、130℃で1〜2kg/cm2の圧力下においてエチレンオキサイド(EO)88g(2モル)を付加させ、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体155gを得た。アリル基は、EO付加反応のとき、1−プロペニル基に変化した。
【0017】
次に、この2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体93g(0.3モル)を撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、アクリル酸25.2g(0.35モル)、硫酸2g、トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4g達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去して淡黄色液体100gを得た。
【0018】
このもののIRスペクトルにおいて、1640cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=Oに基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基づく吸収が認められた。
【0019】
また、このものの1H−NMRスペクトル(CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロペニル基由来のピーク(5H)、δ3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピーク(12H、4H)、δ1.7〜2にメチル基由来のピーク(3H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(4H)が認められた。
【0020】
上記の結果から、得られた液体が、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体アクリレートであることを確認した。
【0021】
このものの共重合性をスチレンを基準モノマー(M1)として測定すると、r1=1.05、r2=0.02、r1r2=0.021であり、Q=+0.50、e=−2.50であった。よって、この化合物は共重合性に優れている。
【0022】
実施例2(参考例)
オートクレーブにp−イソプロペニルフェノール134g(1.0モル)および触媒として48%KOH3.0gを仕込み、120℃にて減圧脱水した後、オートクレーブ内を窒素置換した。次に、プロピレンオキサイド(PO)348g(6モル)を徐々に加え、130℃で1〜2kg/cm2の圧力下の条件下にて付加反応を行ない、p−イソプロペニルフェノールPO平均6モル付加体482gを得た。
【0023】
次に、p−イソプロペニルフェノールPO平均6モル付加体144.6g(0.3モル)を撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、メタクリル酸30.1g(0.35モル)、硫酸2g、トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4gに達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去して淡黄色液体140gを得た。
【0024】
このもののIRスペクトルにおいて、1640cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=Oに基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基づく吸収が認められた。
【0025】
また、このものの1H−NMRスペクトル(CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロペニル基由来のピーク(4H)、δ3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピーク(6H、12H)、δ1.0〜2にメチル基由来のピーク(24H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(4H)が認められた。
【0026】
上記の結果から、得られた液体が、p−イソプロペニルフェノールPO平均6モル付加体メタクリレートであることを確認した。
【0027】
このものの共重合性をスチレンを基準モノマー(M1)として測定すると、r1=0.95、r2=0.25、r1r2=0.24であり、Q=+0.45、e=−2.38であった。よって、この化合物は共重合性に優れる。
【0028】
実施例3
撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、フェノール94g(1.0モル)、NaOH40g(1.0モル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌しながら内温を40℃に昇温した。次に、アリルクロライド76.5g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行なった。次に、反応生成物を濾過し、副生したNaClを除去した後、減圧下にてアセトンを除去し、アリルフェニルエーテル130g(収率97%)を得た。
【0029】
このアリルフェニルエーテル67g(0.5モル)をオートクレーブに仕込み、200℃で撹拌しながら5時間保持して転位反応を行ない、アリルフェノールとした。次に、一度室温まで冷却した後、触媒としてNaOH1.4gを加え、オートクレーブ内を窒素置換した後、130℃で1〜2kg/cm2の圧力下においてエチレンオキサイド(EO)44g(1モル)を付加させ、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均2モル付加体111gを得た。アリル基は、EO付加反応のとき、1−プロペニル基に変化した。
【0030】
次に、この2−(1−プロペニル)フェノールEO平均2モル付加体66.6g(0.3モル)を撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、アクリル酸25.2g(0.35モル)、硫酸2g、トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4gに達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去して淡黄色液体70gを得た。
【0031】
このもののIRスペクトルにおいて、1640cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=Oに基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基づく吸収が認められた。
【0032】
また、このものの1H−NMRスペクトル(CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロペニル基由来のピーク(5H)、δ3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピーク(4H、4H)、δ1.7〜2にメチル基由来のピーク(3H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(4H)が認められた。
【0033】
上記の結果から、得られた液体が、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均2モル付加体アクリレートであることを確認した。
【0034】
このものの共重合性をスチレンを基準モノマー(M1)として測定すると、r1=1.00、r2=0.03、r1r2=0.03であり、Q=+0.49、e=−2.51であった。よって、この化合物は共重合性に優れる。
【0035】
実施例4(参考例)
オートクレーブにp−イソプロペニルフェノール134g(1.0モル)および触媒として48%KOH3.0gを仕込み、120℃にて減圧脱水した後、オートクレーブ内を窒素置換した。次に、ブチレンオキサイド(以下、BOという)144g(2モル)を徐々に加え、130℃で1〜2kg/cm2の圧力下の条件下にて付加反応を行ない、p−イソプロペニルフェノールBO平均2モル付加体278gを得た。
【0036】
次に、p−イソプロペニルフェノールBO平均2モル付加体83.4g(0.3モル)を撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、メタクリル酸30.1g(0.35モル)、硫酸2g、トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4gに達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去して淡黄色液体88gを得た。
【0037】
このもののIRスペクトルにおいて、1640cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=Oに基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基づく吸収が認められた。
【0038】
また、このものの1H−NMRスペクトル(CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロペニル基由来のピーク(4H)、δ1.4〜1.6、δ3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピーク(4H、2H、4H)、δ1.0〜2にメチル基由来のピーク(12H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(4H)が認められた。
【0039】
上記の結果から、得られた液体が、p−イソプロペニルフェノールBO平均2モル付加体メタクリレートであることを確認した。
【0040】
このものの共重合性をスチレンを基準モノマー(M1)として測定すると、r1=0.97、r2=0.20、r1r2=0.19であり、Q=+0.47、e=−2.40であった。よって、この化合物は共重合性に優れる。
【0041】
実施例5
撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に、p−ノニルフェノール126g(1.0モル)、NaOH40g(1.0モル)およびアセトン210gを仕込み、撹拌しながら内温を40℃に昇温した。次に、アリルクロライド76.5g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに40℃に2時間保ち、反応を行なった。次に、反応生成物を濾過し、副成したNaClを除去した後、減圧下にしてアセトンを除去し、アリルノニルフェニルエーテル158g(収率96%)を得た。
【0042】
このアリルノニルフェニルエーテル83g(0.5モル)をオートクレーブに仕込み、200℃で撹拌しながら5時間保持して転位反応を行ない、アリルノニルフェノールとした。次に、一度室温まで冷却した後、触媒としてNaOH1.4gを加え、オートクレーブ内を窒素置換した後、130℃で1〜2kg/cm2の圧力下においてエチレンオキサイド(EO)88g(2モル)を付加させ、2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体155gを得た。アリル基は、EO付加反応のとき、1−プロペニル基に変化した。
【0043】
次に、この4−ノニル−2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体102.6(0.3モル)を撹拌機、温度計、還流管を備えた反応容器に仕込んだ後に、アクリル酸25.2g(0.35モル)、硫酸2g、トルエン150g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを仕込み、反応温度100〜120℃で生成水を溶剤と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4gに達したところで終点とした。反応混合物をシクロヘキサン200gに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、純水で洗浄した。得られた生成物に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後濾過し、溶剤を減圧留去して淡黄色液体105gを得た。
【0044】
このもののIRスペクトルにおいて、1640cm−1にC=Cに基づく吸収、1100cm−1にC−O−Cに基づく吸収、1730cm−1にC=Oに基づく吸収、および1600cm−1に芳香族環に基づく吸収が認められた。
【0045】
また、このものの1H−NMRスペクトル(CDCl3溶媒中、テトラメチルシラン基準、ppm)において、δ5.8〜6.5にビニル基およびプロペニル基由来のピーク(5H)、δ2.1〜2.4、δ3.5〜4.0、δ4〜4.6にメチレン基由来のピーク(16H、12H、4H)、δ1.7〜2にメチル基由来のピーク(6H)、およびδ6.7〜7.5に芳香族環由来のピーク(3H)が認められた。
【0046】
上記の結果から、得られた液体が、4−ノニル−2−(1−プロペニル)フェノールEO平均4モル付加体アクリレートであることを確認した。
【0047】
このものの共重合性をスチレンを基準モノマー(M1)として測定すると、r1=1.10、r2=0.10、r1r2=0.11であり、Q=+0.09、e=−1.95であった。よって、この化合物は共重合性に優れる。
【0048】
実施例6
実施例1〜3にて製造した化合物(以下それぞれ化合物1〜3という)と、従来のジアクリレート系モノマーとの硬化性の比較を行なった。なお、従来のジアクリレート系モノマーとしては、1,6−ヘキサンジアクリレートと1,9−ノナンジアクリレートを用いた。
【0049】
化合物1〜3又は前記のジアクリレート系モノマー各100部に対し重合開始剤(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン,BDK)をそれぞれ4部添加して、それらをそれぞれ平板上に塗布し、各平板を、高圧水銀灯(80W/cm)1灯を備えた処理装置中にラインスピード10m/minで投入して、化合物を硬化させ、塗膜を形成せしめた。なお、処理時間は0.1分であった。
【0050】
硬化性の評価は、上記塗膜中における未反応物を塩化メチレンにて24時間抽出し、このときの塗膜の重量変化であるゲル化率により行なった。各化合物のゲル化率を表1に示す。ここで、ゲル化率は、硬化後(抽出前)の塗膜重量をW0、抽出後の塗膜重量をWとしたとき、下記式で表される。
【0051】
ゲル化率(%)=(W/W0)×100
【表1】
表1に示されているように、化合物1〜3は、1,6−ヘキサンジアクリレート及び1,9−ノナンジアクリレートに比べてゲル化率が高く、100%に近い値であった。よって、化合物1〜3は速硬化性を備える。
【0052】
実施例7
本発明の化合物における架橋剤としての効果を確認するため、下記の配合よりなる組成物に、前記した化合物1〜3及びスチレンを各30部添加し、良く混合して20℃で放置し、ゲル化時間、硬化物の引っ張り強度及び伸びの比較を行なった。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
化合物1〜3は、不飽和ポリエステル用架橋剤として最も汎用的なスチレンと比較して、同等以上の速度で硬化し、引っ張り強度はやや劣るものの、スチレンの欠点であった脆さを改善する架橋剤であることが確認できた。
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