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JP3818962B2 - 電源システム - Google Patents

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JP3818962B2 JP2002365660A JP2002365660A JP3818962B2 JP 3818962 B2 JP3818962 B2 JP 3818962B2 JP 2002365660 A JP2002365660 A JP 2002365660A JP 2002365660 A JP2002365660 A JP 2002365660A JP 3818962 B2 JP3818962 B2 JP 3818962B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等を含む種々の車両に搭載可能な電源システムの改良に関し、例えば、車両における各種電気負荷に電力を分配供給する車両用電力分配システムに含まれる電源システムの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
14ボルト(以下、“ボルト”を“V”と記す。)のオルタネータおよび充放電可能な12Vバッテリを有する定格直流12V〜14V出力の電源部を搭載した自動車(即ち、所謂14V車)は、従来の車両として一般的に知られている。この14V車で用いられている電源システムは、電源部から高直流電圧(例えば、14V)の電力供給を受ける電気接続箱(即ち、所謂J/B:Junction Block)に内蔵されている。
【0003】
この電気接続箱には、電気負荷でもある複数の電子制御ユニット(即ち、ECU:Electronic Control Unit)が複数の電力線を介してそれぞれ電気的に接続される。そして各電子制御ユニットには、電気接続箱から電力線を介して分配された高直流電圧の電力供給を受けるシリーズレギュレータが設けられている。このように構成された電力分配システムでは、電気接続箱から出力される高直流電圧の電力が、電圧変換手段として働く各シリーズレギュレータによって、低直流電圧(例えば、5V)の電力に変換され、この変換された低直流電圧の電力が、各電子制御ユニットに電気的に接続された複数の電気負荷に供給される。
【0004】
ところで、近年、42Vモータ/ジェネレータおよび充放電可能な36Vバッテリを有する定格直流36V〜42V出力の電源部を搭載した、燃費に有利な、高直流電圧自動車(即ち、所謂42V車)の開発が進められている。この42V車に上述した電力分配システムを適用すると、非常に変換効率が悪く且つ、大きな発熱を伴う。これは、主にシリーズレギュレータの入力電圧値と出力電圧値との差が大きいためである。
【0005】
具体的に、シリーズレギュレータの出力電圧(即ち、電気負荷用の電圧)を例えば5Vと仮定すると、14V車におけるシリーズレギュレータの変換効率が演算式(100%−((14V−5V)÷14V×100%))により約35.7%となるのに対して、42V車におけるシリーズレギュレータの変換効率が演算式(100%−((42V−5V)÷42V×100%))により約11.9%となる。
【0006】
即ち、シリーズレギュレータの出力電圧は一定であるため、シリーズレギュレータへの入力電圧が高いほど変換効率は下がり、これがシリーズレギュレータにおける各素子に熱を発生させる。そのため、シリーズレギュレータよりも変換効率の良い電圧変換手段としてスイッチングレギュレータをシリーズレギュレータの代わりに各電子制御ユニットに内蔵することが考えられる。
【0007】
しかしながら、例えばキーレスエントリシステム用電子制御ユニット等のように起動状態と待機状態とで消費電力が大きく変化する電気負荷へ電力を供給するスイッチングレギュレータは、電気負荷が重い時(即ち、負荷電流の大きい起動状態の時)に変換効率が良くなるように設計されていると、電気負荷が軽い時(即ち、負荷電流が微少である待機状態の時)の変換効率が悪い。このようなスイッチングレギュレータでは、待機状態における電気負荷に微少な負荷電流(即ち、待機電流)を供給する場合であっても、その変換効率の悪さから不要な暗電流が多く、これによりバッテリの電力消費量が大きいため、好ましくない。
【0008】
この問題を解決するため、待機電流が必要な全ての電子制御ユニットに待機電流供給手段を設け、イグニッションスイッチのオン時(即ち、起動状態)ではスイッチングレギュレータによって電力供給を行ない、イグニッションスイッチのオフ時(即ち、待機状態)では待機電流供給手段によって電力供給を行なうようにした電力分配システムを設けることが考えられる。
【0009】
しかしながら、このような電力分配システムでは、各電子制御ユニットに高価なスイッチングレギュレータを設ける必要があると共に、待機電流が必要な全ての電子制御ユニットに待機電流供給手段を更に設ける必要があるため、非常に高価なシステムになるという問題がある。
【0010】
図5は、特許文献1で開示されている車両用電力分配システムを示している。図5に示されるように、電源部50から高直流電圧の電力供給を受ける電気接続箱51内に電源システムとして電圧変換手段52が設けられ、この電圧変換手段52が高直流電圧の電力を低直流電圧(例えば、5V)の電力に変換し、そして当該低直流電圧の電力が一括して各電子制御ユニット53に分配供給されている。この構成によれば、電圧変換手段52を少なくとも1個設ければ良いため、低コストの電力分配システムを構築できる。
【0011】
一方、図6は、特許文献2で開示されている電力分配システム(携帯機用電源制御装置)を示している。図6に示されるように、この電力分配システムは、携帯電話機、無線機、等といった携帯機の携帯機本体38に着脱される電源部としてのバッテリ31に、電気負荷である被作動回路34の駆動電圧Vcを出力する電源システムとしての電源回路(DC/DCコンバータ)32A、および電気負荷でもある電源オン/オフ制御回路33の動作電圧Vdを出力する電源システムとしてのレギュレータ36を接続し、この電源オン/オフ制御回路33より出力するオン/オフ信号Sで前記電源回路32Aの動作,不動作(発振停止)を制御する構成となっている。
【0012】
次に上記構成の作用を説明する。バッテリ31の電圧がレギュレータ36に入力されてこれより動作電圧Vdが出力される。電源オン/オフ制御回路33がこの動作電圧Vdにより動作し、これよりオン/オフ信号Sが出力される。電源回路32Aの動作,不動作がこのオン/オフ信号Sにより制御され、これにより電源回路32Aより出力する駆動電圧Vcが被作動回路34に断続して供給されることになる。
【0013】
このように電源オン/オフ制御回路33の動作電圧Vdは常にレギュレータ36より供給され、この電源オン/オフ制御回路33より出力するオン/オフ信号Sにより電源回路32Aの動作,不動作が制御されているので、被作動回路34の駆動電圧Vcが被作動回路34に供給されていない時は電源回路32Aが不動作時であるため、電源回路32Aの不動作時で駆動電圧Vcの供給停止時の暗電流の損失分を削減できることになる。
【0014】
【特許文献1】
特開平10−84626号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平9−266629号公報(第2頁、第1図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示される従来の電源システムでは、複数の電気負荷のうち最も要求の厳しい電気負荷に出力電圧の精度、温度特性、等を合わせるように電圧変換手段52を設計せねばならない。電圧変換手段52を厳しい要求に満足させるように設計することは、電力分配システムにおける電源システムのコストアップにつながる。
【0016】
例えばキーレスエントリシステム用電子制御ユニット等のように起動状態と待機状態とで消費電力が大きく変化する電気負荷へ電力を電圧変換手段52から供給させる場合、負荷電流が大きい起動状態の時に電圧変換手段52の変換効率が良くなるように設計されていると、負荷電流が微少である待機状態の時の変換効率が悪い。このような電圧変換手段52では、待機状態における電気負荷に微少な待機電流を供給する場合であっても、その変換効率の悪さから不要な暗電流が多く、これによりバッテリの電力消費量が大きいため、好ましくない。
【0017】
また、図6に示される従来の電源システムでは、暗電流を低減するため、レギュレータ36がDC/DCコンバータ32Aと並列に配置されているが、バッテリ31からの入力電圧に対してレギュレータ36とDC/DCコンバータ32Aとでそれぞれの特性上の高効率な点が変わってしまうため、電気負荷の消費電流の変動に応じた高効率な電力供給が行なえない。
【0018】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、特に、その目的は、高効率な電力供給が行なえ、それにより不要な暗電流を低減することができる電源システムを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の電源システムは、請求項1に記載したように、
入力される直流入力電圧を当該直流入力電圧よりも低い直流出力電圧に変換して当該直流出力電圧の電力を電気負荷に供給する常時供給用コンバータと、
前記常時供給用コンバータに並列接続され、前記直流入力電圧を前記直流出力電圧に変換して当該直流出力電圧の電力を前記電気負荷に供給する待機電流供給用コンバータと、
前記電気負荷に流れる負荷電流ならびに前記直流入力電圧に応じて、前記常時供給用コンバータと前記待機電流供給用コンバータそれぞれの駆動を切換え制御するコントローラと、
を備えていることを特徴としている。
【0020】
請求項1に記載の電源システムにおける電気負荷としては、電源システムの下流側に位置する電気負荷、例えば、種々のランプ点灯用電子制御ユニット、集中ドアロックシステム用電子制御ユニット、キーレスエントリシステム用電子制御ユニット、パワーシート用電子制御ユニット、盗難防止システム用電子制御ユニット、等が挙げられる。これらの電子制御ユニットは、例えばイグニッションスイッチのオフ時でも待機状態の電気負荷(即ち、当該電子制御ユニットから電力供給を受けるもの)に電力供給を行なわなければならなく、従来の電源システムにおいては待機状態の電気負荷のために不要な暗電流が生じる。この不要な暗電流の削減に本発明は極めて効果的である。
【0021】
即ち、請求項1に記載の電源システムによれば、起動状態または待機状態の電気負荷に流れる負荷電流の値に応じて効率の良い方のコンバータを選択して駆動し、更には、負荷電流が微小電流領域にある際にも直流入力電圧の値に応じて効率の良い方のコンバータを選択して駆動するので、高効率な電力供給が行なえ、それにより不要な暗電流を低減することができる。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明の実施の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1〜図4は本発明に係る電源システムの一実施形態を示し、特に、上述した定格直流36V〜42V出力の電源部を搭載した高直流電圧自動車(即ち、所謂42V車)に本発明を適用した場合を例として示している。
【0024】
図1は本発明に係る電源システム1aを含む車両用電力分配システム1の概略構成を示すブロック回路図、図2は図1の電源システム1aを内蔵した電気接続箱(即ち、Junction Block)7内の要部を示すブロック回路図、図3は図2の常時供給用コンバータ9と待機電流供給用コンバータ10の出力の切換えを説明するための出力波形およびタイミングチャートを示す図、そして図4(A)〜図4(C)は負荷電流に対する常時供給用コンバータ9および待機電流供給用コンバータ10の変換効率を示す特性図である。
【0025】
図1に示すように、電力分配システム1は電源部4を有しており、該電源部4は充放電可能な36Vバッテリ2と、エンジンの回転により発電する42Vモータ/ジェネレータ3と、を備えている。そして、この電源部4により例えば42Vの高直流電圧の電力が各高直流電圧電力線5を介して3つのブロック6a、6b、6cに供給されている。ブロック6aは例えばエンジンルーム、ブロック6bは例えば乗車室、そしてブロック6cは例えばトランクルームに対応する。
【0026】
各ブロック6a、6b、6c内には、例えば、上流側電力分配部として働く電気接続箱と、下流側電力分配部として働く複数の電子制御ユニット(即ち、Electronic Control Unit)とがそれぞれ設けられている。尚、図1では電気接続箱7と電子制御ユニット8a、8b、・・・、8nとがブロック6b内に例として示されている。しかしながら、全てのブロック6a、6b、6cに対して1つの電気接続箱7が設けられ、該電気接続箱7が各ブロック6a、6b、6c内の複数の電子制御ユニットに接続される形態を採ってもよい。
【0027】
電気接続箱7には電源システム1aを構成する常時供給用コンバータ9と待機電流供給用コンバータ10とが内蔵されており、これら常時供給用コンバータ9と待機電流供給用コンバータ10へは共に36V〜42Vといった高直流電圧の電力が電源部4から供給されるようになっている。
【0028】
常時供給用コンバータ9には、電気負荷が重い時に変換効率の良いDC/DCコンバータ(即ち、直流−直流コンバータ)が用いられる。本実施形態では、スイッチングレギュレータを常時供給用コンバータ9として用いている。常時供給用コンバータ9は、36V〜42Vといった高直流電圧の電力を、電気負荷用電圧(例えば、5V)よりも高い中間直流電圧(例えば、14V)に変換する。
【0029】
常時供給用コンバータ9の出力は、全ての電子制御ユニット8a〜8nに中間直流電圧電力線11を介して供給される。待機電流供給用コンバータ10には、電気負荷が軽い時に変換効率の良いDC/DCコンバータが用いられる。本実施形態では、シリーズレギュレータを待機電流供給用コンバータ10として用いている。待機電流供給用コンバータ10は、36V〜42Vといった高直流電圧の電力を、電気負荷用電圧(例えば、5V)よりも高い中間直流電圧(例えば、14V)に変換する。
【0030】
待機電流供給用コンバータ10の出力は、例えばイグニッションスイッチ(不図示)のオフ時にも待機状態の電気負荷に電力供給を行なわなければならない電子制御ユニット8bに中間直流電圧電力線11を介して供給される。そのような電子制御ユニット8bとしては、例えば、種々のランプ点灯用電子制御ユニット、集中ドアロックシステム用電子制御ユニット、キーレスエントリシステム用電子制御ユニット、パワーシート用電子制御ユニット、盗難防止システム用電子制御ユニット、等が挙げられる。
【0031】
図2に示されるように、電気接続箱7内には電源システム1aを構成するコントローラ12が内蔵され、このコントローラ12によって常時供給用コンバータ9と待機電流供給用コンバータ10の駆動が制御される。このコントローラ12は、例えばイグニッションスイッチ(不図示)のオン・オフや電流検知センサ13の検知出力に基づいて常時供給用コンバータ9と待機電流供給用コンバータ10を制御する。また、電流検知センサ13は、常時供給用コンバータ9と待機電流供給用コンバータ10の共通出力を行なう中間直流電圧電力線11を検知対象としている。
【0032】
再び図1に戻って、各電子制御ユニット8a〜8nには複数の電気負荷(不図示)が接続されており、この接続された複数の電気負荷を各電子制御ユニット8a〜8nが制御する。また、各電子制御ユニット8a〜8nにはシリーズレギュレータ14がそれぞれ内蔵されており、各シリーズレギュレータ14には14Vの中間直流電圧が電気接続箱7から導かれている。各シリーズレギュレータ14は、例えばオペアンプを用いて負荷電圧の変動をフィードバックして出力電圧の安定化を図る公知の構成であり、14Vの中間直流電圧を5Vの電気負荷用電圧に変換する。この各シリーズレギュレータ14の出力は当該シリーズレギュレータ14が担当する複数の電気負荷(不図示)に供給されている。
【0033】
ここで、以上説明した電力分配システム1の基本的な動作を図3に基づいて説明する。イグニッションスイッチ(不図示)のオン時にはコントローラ12の制御により常時供給用コンバータ9が駆動状態とされ、常時供給用コンバータ9が電源部4の36V〜42Vの高直流電圧を14Vの中間直流電圧に変換する。この14Vの中間直流電圧が各電子制御ユニット8a〜8nに供給され、各電子制御ユニット8a〜8nのシリーズレギュレータ14が14Vの中間直流電圧を5Vの電気負荷用電圧に変換して各電気負荷(不図示)に供給する。
【0034】
イグニッションスイッチ(不図示)がオンからオフに切換えられると、負荷電流が徐々に軽減され、負荷電流が設定されたスレッショルド値(所定値)未満にまで下がったことを電流検知センサ13が検出すると、コントローラ12により常時供給用コンバータ9の駆動が停止され、待機電流供給用コンバータ10の駆動が開始される。これにより、電子制御ユニット8bへの電圧供給源が、常時供給用コンバータ9から待機電流供給用コンバータ10に変更される。
【0035】
ところで、イグニッションスイッチ(不図示)のオフ時でも、大きな負荷電流を要する場合がある。例えば、集中ドアロックシステムの起動、キーレスエントリシステムの起動、パワーシートの駆動、種々のランプの点灯、盗難防止システムの起動、等のために電子制御ユニット8bには大きな負荷電流が必要となる。
【0036】
イグニッションスイッチのオフ時にあって、例えばパワーシート駆動がなされて大きな負荷電流が流れ、設定されたスレッショルド値以上にまで上がったことを電流検知センサ13が検出すると、コントローラ12により待機電流供給用コンバータ10の駆動が停止され、常時供給用コンバータ9が駆動される。
【0037】
これにより、電子制御ユニット8bへの電圧供給源が、常時供給用コンバータ9から待機電流供給用コンバータ10に変更される。そして、上昇した負荷電流がスレッショルド値未満に下がったことを電流検知センサ13が検出すると、コントローラ12により常時供給用コンバータ9の駆動が停止され、待機電流供給用コンバータ10が再び駆動される。
【0038】
イグニッションスイッチ(不図示)がオフからオンに切換えられると、電流検知センサ13の検知電流値に拘わらずコントローラ12により、待機電流供給用コンバータ10の駆動が停止され、常時供給用コンバータ9の駆動が開始される。つまり、常時供給用コンバータ9から電子制御ユニット8a〜8nへ電圧が供給されるようになる。
【0039】
この電力分配システム1では、常時供給用コンバータ9が電子制御ユニット8a〜8nに対して負荷用電圧値(5V)より高い電圧値(14V)を供給することから遠方の電気負荷に対して電圧降下による不都合を考慮する必要がないため、常時供給用コンバータ9を最小限の数だけ設置すれば良い。
【0040】
また、各電気負荷(不図示)にはシリーズレギュレータ14が精度の良い負荷用電圧を生成して供給することから常時供給用コンバータ9には厳しい供給出力精度が要求されないため、リプル吸収用のコンデンサ等は小さなもので良い。また、各電子制御ユニット8a〜8nにはシリーズレギュレータ14がそれぞれ設けられているため、各シリーズレギュレータ14は担当する電気負荷(不図示)に必要な温度特性や精度を備えたものを用意すれば良い。
【0041】
従って、常時供給用コンバータ9の数を少なくでき、且つ、常時供給用コンバータ9および待機電流供給用コンバータ10共に厳しい供給出力精度を要求されなくて済み、更には、各電子制御ユニットに高価なスイッチングレギュレータでなく安価なシリーズレギュレータ14を用いることにより電力分配システム1を低コストで構成できる。
【0042】
また、電気接続箱7の常時供給用コンバータ9および待機電流供給用コンバータ10が、それぞれ担当する負荷電流に応じて変換効率の良い構成であり、これらのコンバータ9,10によって中間直流電圧値まで変換したものを各シリーズレギュレータ14で負荷用電圧値に変換するため、図4(A)に示すように、システム全体としての電圧変換効率の向上および発熱の低下を図ることができ、燃費を向上させることができる。即ち、本発明に係る電源システム1aは、図4(A)において点線円IV(B)で囲まれた部分に示すように、微小電流領域では、効率の悪い常時供給用コンバータ9を停止させ、そして効率の良い待機電流供給用コンバータ10から負荷電流を出力させるので、各種電気負荷に対して高効率な電力供給が行なえ、それにより不要な暗電流を低減することができる。
【0043】
また、シリーズレギュレータ14が精度の良い負荷用電圧を生成して各電気負荷(不図示)に供給することから、常時供給用コンバータ9からシリーズレギュレータ14までの中間直流電圧電力線11はシールドする必要がない。
【0044】
また、電気接続箱7には、電気負荷が軽い時に変換効率が良く、電源部4からの高い電圧を中間直流電圧に変換する待機電流供給用コンバータ10を設け、この待機電流供給用コンバータ10と常時供給用コンバータ9とにより電子制御ユニット8bに電力供給するようにしたので、電気負荷が軽い時に変換効率の良い待機電流供給用コンバータ10にて待機電流を一括して供給することができるため、暗電流が極力抑えられ、バッテリ上がりを防止できる。
【0045】
また、電気接続箱7から各電子制御ユニットへの供給電流値を検出する電流検知センサ13を設けている。これにより、イグニッションスイッチのオフ時且つ電流検知センサ13による検出電流値が所定値以上では、常時供給用コンバータ9を動作状態にして電力供給が行なわれる。イグニッションスイッチのオフ時且つ電流検知センサ13による検出電流値が所定値未満では、常時供給用コンバータ9を停止状態とし、待機電流供給用コンバータ10のみにより電力供給が行なわれるように制御される。それ故、イグニッションスイッチのオフ時でも電流検知センサ13の検知電流値に基づいてコンバータ9,10の切換え等が行なわれることから、実際の電流値レベルに基づいたコンバータ切換え制御が可能である。
【0046】
また、中間直流電圧は、電源電圧(36V〜42V)より低く電気負荷用電圧(5V)よりも高い14Vの電圧値であるので、電気負荷が重い時に変換効率が良い常時供給用コンバータ9によって電気負荷用電圧に近い電圧まで変換するため、システム全体としての電圧変換効率の向上および発熱の低下を図ることができ、燃費を向上させることができる。尚、中間直流電圧値は6Vと14Vの間の何れかに設定されることが好ましいが、遠方のシリーズレギュレータ14への電圧降下による不都合が生じない程度の電圧値にする必要がある。シリーズレギュレータ14の入力電圧値と出力電圧値との差が小さくなるように中間直流電圧値を設定した場合、シリーズレギュレータ14の発熱を小さく抑えられ、シリーズレギュレータ14のサイズを小さくできる。一方、本実施形態のように中間直流電圧値を14Vに設定した場合、汎用の電子制御ユニットを下流側電力分配部として流用することや、汎用の14V対応電気部品の電源として兼用することができるため、電力分配システム1を安価に構成できる。
【0047】
さて、図4(B)は、図4(A)の点線円IV(B)で囲まれた部分の拡大図であり、特に、微小電流領域における常時供給用コンバータ9および待機電流供給用コンバータ10の入力電圧の違い(即ち、Vin=high時およびVin=low時)に対する効率の違いを示している。上述のように、電源部4からは36V〜42Vといった範囲の高直流電圧の電力が常時供給用コンバータ9ならびに待機電流供給用コンバータ10に供給される。
【0048】
よって、シリーズレギュレータである待機電流供給用コンバータ10は入力電圧と出力電圧との差が大きくなるほど効率が低下するため、既に図3に基づいて説明した電力分配システム1の基本的な動作に加えて、微小電流領域では、図4(C)に太線で示されるように、Vinが例えば36V(low)である場合、効率の良い待機電流供給用コンバータ10から、負荷電流の増加に応じて当該待機電流供給用コンバータ10よりも効率が良くなる常時供給用コンバータ9へ切換え、一方、Vinが例えば42V(high)である場合も同様に、効率の良い待機電流供給用コンバータ10から、負荷電流の増加に応じて当該待機電流供給用コンバータ10よりも効率が良くなる常時供給用コンバータ9へ切換える動作も行なわれる。
【0049】
この常時供給用コンバータ9および待機電流供給用コンバータ10の切換え動作は、コントローラ12により制御される。図2に示されるように、コントローラ12は、高直流電圧電力線5に入力電圧モニター用電線12aを介して電気的に接続されており、常時供給用コンバータ9および待機電流供給用コンバータ10への入力電圧(本実施形態の場合、36V〜42V)を常時監視し、この入力電圧値が所定の基準電圧値より高いか又は低いかに応じて、前述の微小電流領域における切換え動作を実行する。この所定の基準電圧値は、本実施形態の場合、例えば、36Vと42Vとの中間の直流電圧値、即ち、39Vに設定してもよい。このように、電源システム1aは、より高効率な電力供給が行なえ、それにより不要な暗電流を更に低減することができる。
【0050】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の形状,形態,数,数値,配置個所,等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0051】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、起動状態または待機状態の電気負荷に流れる負荷電流の値に応じて効率の良い方のコンバータを選択して駆動し、更には、負荷電流が微小電流領域にある際にも直流入力電圧の値に応じて効率の良い方のコンバータを選択して駆動するので、高効率な電力供給が行なえ、それにより不要な暗電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源システムを含む車両用電力分配システムの概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】図1の電源システムを内蔵した電気接続箱内の要部を示すブロック回路図である。
【図3】図2の常時供給用コンバータと待機電流供給用コンバータの出力の切換えを説明するための出力波形およびタイミングチャートを示す図である。
【図4】負荷電流に対する常時供給用コンバータおよび待機電流供給用コンバータの変換効率を示す特性図である。
【図5】特許文献1で開示されている車両用電力分配システムを示す図である。
【図6】特許文献2で開示されている電力分配システム(携帯機用電源制御装置)を示す図である。
【符号の説明】
1:電力分配システム
1a:電源システム
4:電源部
5:高直流電圧電力線
7:電気接続箱(上流側電力分配部)
8a〜8n:電子制御ユニット(下流側電力分配部)
9:常時供給用コンバータ
10:待機電流供給用コンバータ
11:中間直流電圧電力線
12:コントローラ
13:電流検知センサ
14:シリーズレギュレータ

Claims (1)

  1. 入力される直流入力電圧を当該直流入力電圧よりも低い直流出力電圧に変換して当該直流出力電圧の電力を電気負荷に供給する常時供給用コンバータと、
    前記常時供給用コンバータに並列接続され、前記直流入力電圧を前記直流出力電圧に変換して当該直流出力電圧の電力を前記電気負荷に供給する待機電流供給用コンバータと、
    前記電気負荷に流れる負荷電流ならびに前記直流入力電圧に応じて、前記常時供給用コンバータと前記待機電流供給用コンバータそれぞれの駆動を切換え制御するコントローラと、
    を備えていることを特徴とする電源システム。
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