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JP3815844B2 - レジスト材料及びレジストパターンの形成方法 - Google Patents

レジスト材料及びレジストパターンの形成方法 Download PDF

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JP3815844B2
JP3815844B2 JP11260497A JP11260497A JP3815844B2 JP 3815844 B2 JP3815844 B2 JP 3815844B2 JP 11260497 A JP11260497 A JP 11260497A JP 11260497 A JP11260497 A JP 11260497A JP 3815844 B2 JP3815844 B2 JP 3815844B2
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジスト材料に関し、さらに詳しく述べると、高解像性、高感度、そして優れたドライエッチング耐性を有することに加えて成膜時のクラックの発生を防止し得る化学増幅型レジスト材料に関する。本発明は、また、かかる新規なレジスト材料を使用したレジストパターンの形成方法に関する。本発明によるレジスト材料は、その優れた特性のため、半導体集積回路等の半導体装置の製造に有利に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路は集積化が進んでLSIやVLSIが実用化されており、また、これとともに、集積回路の最小パターンはサブミクロン領域に及び、更に微細化する傾向にある。微細パターンの形成には、薄膜を形成した被処理基板上をレジストで被覆し、選択露光を行って所望のパターンの潜像を形成した後に現像してレジストパターンを作り、これをマスクとしてドライエッチングを行い、その後にレジストを除去することにより所望のパターンを得るリソグラフィ技術が必須である。そして、このリソグラフィに使用する回路パターン焼き付けのための露光光源として、g線(波長436nm) 、i線(波長365nm)の紫外線光が使用されているが、パターンの微細化に伴い、より波長の短い遠紫外線光、真空紫外光、電子線(EB)、X線などが光源として使用されるようになってきている。特に最近では、エキシマレーザ(波長248nmのKrFレーザ、波長193nmのArFレーザ)が露光光源として注目されており、特にKrFレーザは微細パターンの形成に使用されている。なお、本願明細書では、「放射線」なる語を用いた場合、これらのさまざまの光源からの光、すなわち、紫外線、遠紫外線、真空紫外光、電子線、X線、各種レーザ光等を意味するものとする。
【0003】
より短波長であるArFレーザを露光光源として用いる場合に適したポジ型レジストとして最も注目されている材料に、脂環族を含有するアクリル系樹脂と酸発生剤とを含む化学増幅型レジストがあり、すでに多くの特許出願がなされている。本発明者らも、例えば特開平4−39665号公報、特開平5−257281号公報、特開平5−257285号公報などに開示されるように、優れた化学増幅型レジストをすでに提案してきた。また、特開平7−234511号公報では、メタクリル酸アダマンチルモノマーとアクリル酸t−ブチルモノマーとを1:1で仕込み、重合開始剤としてAIBNを添加して重合して得られた共重合体を使用することを特徴とする、優れた透明性及びエッチング耐性のみならず、高感度で、レジストパターンの形成方法を提案している。さらに、平成8年3月7日出願の特願平8−50264号に最初に添付された明細書に記載されるように、脂環式炭化水素基含有部分として酸脱離構造のものを採用して脂環式炭化水素基を除くことにより、現像時のパターンの剥離の低減が可能な化学増幅型レジストも提案されている。従来提案されている化学増幅型レジストは、本発明者らの開発した化学増幅型レジストも含めて、いずれも多くの利点を奏することができる。しかしながら、これらの化学増幅型レジストは、最近の傾向にあわせて厚膜でレジスト膜を成膜することを試みた場合、材料の塗布後にクラックを生じるという重要な問題を依然としてかかえている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、したがって、高解像性、高解像度、そして優れたドライエッチング耐性を同時に可能とするとともに、特に成膜時にクラックの発生を防止することのできる化学増幅型レジストを提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、そのような化学増幅型レジストを使用した、改良されたレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【0005】
本発明の上記した目的及びそれ以外の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1つの面において、次式により表される構造単位(I):
【0007】
【化6】
Figure 0003815844
【0008】
(上式において、
Rは、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、例えば塩素等、置換もしくは非置換の、直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の炭化水素基、例えばアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等、又はハロゲン化炭化水素基を表し、
1は、置換もしくは非置換の、直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の炭化水素基を表し、そして
1及びZ2は、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ、記載の炭素原子とともに、複数個の環構造を有するかもしくは縮合環を有している脂環式炭化水素基又はその誘導体を完成するのに必要な複数個の原子を表す)を有する酸感応性重合体と、放射線露光により酸を発生する酸発生剤とを含んでなることを特徴とする化学増幅型レジスト材料を提供する。
【0009】
本発明は、そのもう1つの面において、本発明による化学増幅型レジスト材料を被処理基板上に塗布し、
前記被処理基板上のレジスト膜を前記酸発生剤からの酸の発生を惹起し得る放射線に選択的に露光し、そして
露光後のレジスト膜のポストベーク後、前記露光工程において形成された潜像を現像すること、
を含んでなることを特徴とするレジストパターンの形成方法を提供する。
【0010】
本発明者らは、酸感応性重合体中に脂環族が含まれる場合、ArFエキシマレーザで露光できて、しかもエッチング耐性を改良できるけれども、その脂環族の存在に由来してレジストが硬くなり、得られるレジスト膜でクラックが発生するという知見を得、含まれる脂環族の構造に改良を加えることでクラックの発生を防止することを研究した。本発明者らは、鋭意研究の結果、化学増幅型レジスト材料において用いられる酸感応性重合体に前式(I)の構造単位を導入して、2個の脂環式炭化水素基が含まれるとともに、それらの基が炭素−炭素結合を介して連結されているようにした場合、脂環族の構造に由来する樹脂の硬さを緩和してクラックを生じにくくできるということを見い出した。
【0011】
なお、本願明細書において「酸感応性重合体」なる語を使用した場合、その重合体とは、単独重合体は言うに及ばず、2成分、3成分のものからそれよりも多成分の共重合体まで指すことを理解されたい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施において、化学増幅型レジスト材料の主たる1成分として用いられる酸感応性重合体は、少なくとも前式(I)により表される構造単位を有することが必須である。この構造単位では、その側鎖部分に、アルカリ可溶性基としてカルボン酸基を有していて、しかもそのカルボン酸基が保護基としての特定構造の脂環式炭化水素基によって保護されている。このような酸感応性重合体は、それと組み合わせて用いられる酸発生剤から露光の結果として酸が発生せしめられると、保護基により保護されたアルカリ可溶性基が酸により脱離するので、アルカリ可溶性を呈示することができる。アルカリ可溶性となった重合体は、したがって、引き続くアルカリ現像によって溶解除去せしめられ、所望とするレジストパターンが得られる。
【0013】
さらに具体的に説明すると、本発明の実施に有利に使用することのできる酸感応性重合体は、前記したように、アルカリ可溶性基としてカルボン酸基を含有している。保護されたアルカリ可溶性基としてのカルボン酸基は、酸によりその保護基が脱離してカルボン酸を生じるユニットであり、例えば、t−ブチルエステル、t−アミルエステル、α,α−ジメチルベンジルエステル等の3級炭素エステル、テトラヒドロピラニルエステル等のアセタールからなるエステル、3−オキシシクロヘキシルエステル等のβ−オキシケトンからなるエステル、その他をあげることができる。なお、このアルカリ可溶性基は、必要ならば、スルホン酸基、アミド基、イミド基、フェノール基などであってもよい。
【0014】
また、本発明の酸感応性重合体では、上記のようなアルカリ可溶性のカルボン酸基が特定の連結脂環式炭化水素基によって保護されている。この連結脂環式炭化水素基は、化学増幅型レジストの分野で一般的に用いられている脂環式炭化水素基から完成することができる。適当な脂環式炭化水素基は、その一例を示すと、次のような化合物を骨格とするものである。
【0015】
(1)アダマンタン及びその誘導体
(2)ノルボルナン及びその誘導体
(3)パーヒドロアントラセン及びその誘導体
(4)パーヒドロナフタレン及びその誘導体
(5)トリシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカン及びその誘導体
(6)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ビシクロヘキサン及びその誘導体
(7)スピロ〔4,4〕ノナン及びその誘導体
(8)スピロ〔4,5〕デカン及びその誘導体
これらの化合物は、それぞれ、次のような構造式で表される:
【0016】
【化7】
Figure 0003815844
【0017】
なお、上式において、(6)は、ビシクロヘキサンの例である。
本発明の実施に当たって、脂環式炭化水素基としては、上記したように複数個の環構造を有するかもしくは縮合環を有しているものが好ましく、単環であるシクロヘキシル基等では十分なドライエッチング耐性を得ることができない。また、これらの化合物のうちで、従来のノボラック系レジストと同等かもしくはそれ以上のドライエッチング耐性を得るには、アダマンタン等の縮合環が、特に好ましい。
【0018】
前式(I)により表される構造単位は、好ましくは、次式(V)によって表すことができる。
【0019】
【化8】
Figure 0003815844
【0020】
上式において、RI は、好ましくは、塩素、臭素等のハロゲン原子又はメチル基、エチル基、ブチル基等の低級アルキル基である。また、R1 は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基である。R1 は、特にそれが記載のような位置に存在する場合、レジストの高感度化に大きく寄与することができる。また、Z1 及びZ2 は、それぞれ、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジチルシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルネン等の脂環式炭化水素基である。
【0021】
本発明による化学増幅型レジストおいて、それに含まれる酸感応性重合体は、単独重合体でも、2成分共重合体でも、3成分共重合体でも、あるいはそれよりも多成分の共重合体であってもよく、しかし、多くの機能をそれぞれの繰り返し単位に分担させて付与することができるなどの利点から、共重合体の形をとるほうが好ましい。ここで、酸感応性共重合体の具体例について説明すると、第1の繰り返し単位としての前記構造単位(I)と組み合わせて用いられるべき繰り返し単位(構造単位)は、以下に列挙するものに限定されるものではないけれども、好ましくは、アクリル酸エステル及びその誘導体、イタコン酸エステル及びその誘導体、フマル酸エステル及びその誘導体、スチレン置換体及びその誘導体などである。それというのも、これらの繰り返し単位は、その他の考えられる繰り返し単位よりも共重合体の調製及びその塗布性の面で有利であるからである。
【0022】
本発明による酸感応性重合体において、基板密着性を強化するためには、それを共重合体の形で使用し、そして強い極性を有する繰り返し単位をあわせて使用することが好ましい。特に、かかる酸感応性共重合体は、必須の構成要素であるところのアルカリ可溶性基を有することに加えて、自体アルカリ可溶性である繰り返し単位を有していれば、アルカリ可溶性基に由来する少量のカルボン酸等の生成で現像可能となることが期待され、さらに好ましい。
【0023】
本発明の酸感応性共重合体は、好ましくは、前記構造単位(I)に加えて次式により表される構造単位(II)、(III )及び(又は)(IV):
【0024】
【化9】
Figure 0003815844
【0025】
【化10】
Figure 0003815844
【0026】
(上式において、R及びR1 は前記定義に同じであり、そしてnは環炭素原子の数を4〜50とするのに必要な整数である)をさらに含む2成分、3成分、4成分等の共重合体である。
さらに、十分に高いエッチング耐性を得るためには、この酸感応性共重合体中で、脂環式炭化水素基を含む構造単位の占める割合が、モル比で、少なくとも50%であることが望ましい。
【0027】
以上に説明したような構造を有する酸感応性共重合体の分子量は、特に限定されないというものの、通常、約1000〜20000の範囲にあるのが好ましい。
本発明で有利に用いられる酸感応性共重合体は、その一例を一般式で示すと、次式(VI)又は(VII )により表される共重合体である:
【0028】
【化11】
Figure 0003815844
【0029】
【化12】
Figure 0003815844
【0030】
上式において、R、R1 、Z1 及びZ2 は、それぞれ、前記定義に同じであり、例えばRは水素原子、ハロゲン原子又はメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表し、Aは、酸により脱離可能な保護基を表し、そしてm、n及びoは、それぞれ、所望の分子量を得るのに必要な任意の正の整数を表す。また、これらの構造式において、前式(I)に相当する最も左側の繰り返し単位は、それ単独で重合せしめられた場合、本発明の酸感応性重合体そのものを形成することができる。
【0031】
前式(VI)の2成分共重合体は、アダマンタンやノルボルナンなどの脂環式骨格を有していて酸発生剤から生じる酸により脱離する保護基と、アルカリ可溶なカルボン酸基とを組み合わせて含ませた例である。レジストの構造中に酸性の基が存在するので、露光後の露光部のアルカリ現像液への溶け出しがスムーズになる。また、その酸性基の含有量をコントロールすれば、現在標準化されているアルカリ現像液(2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)でも現像可能である。この場合、カルボン酸を含むユニットのレジスト中の含有量は、50モル%未満あるいは5モル%以上であるのが望ましい。
【0032】
また、前式(VII )の3成分共重合体は、アダマンタンやノルボルナンなどの脂環式骨格を有していて酸発生剤から生じる酸により脱離する保護基、同じく酸により脱離するけれども通常の保護基(但し、波長193nmのArFエキシマレーザを用いたリソグラフィを意図しているような場合には、保護基中に芳香族環が含まれないことが好ましい)、そしてアルカリ可溶なカルボン酸基を組み合わせて含ませた例である。前式(VI)及び (VII ) のようなレジスト構造では、脱離が起こっていない未露光部でも、カルボン酸の存在のために親水性であるので、露光後の露光部の水性アルカリ現像液への溶け出しがスムーズになるという効果がある。
【0033】
ところで、前記した式(VI)及び(VII )中の置換基Rは、メチル基、エチル基、それらのハロゲン化物(塩素化物、臭素化物等)などであることができる。また、酸により脱離可能な保護基Aは、通常の保護基、例えば、3級炭素基、例えばt−ブチル基、t−アミル基、あるいはβ−オキシケトン基、例えば3−オキシシクロヘキシル基、メバロニックラフトン基などを挙げることができる。また、Zにより完成される脂環式炭化水素基は、好ましくは、先に一般式で示したような、アダマンタン及びその誘導体、ノルボルナン及びその誘導体、パーヒドロアントラセン及びその誘導体、パーヒドロナフタレン及びその誘導体、トリシクロ〔5.2.1.02,6 〕デカン及びその誘導体、ビシクロヘキサン及びその誘導体、スピロ〔4,4〕ノナン及びその誘導体、スピロ〔4,5〕デカン及びその誘導体などである。
【0034】
本発明で有利に用いられる酸感応性共重合体は、さらに具体的に示すと、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、次のような共重合体を包含する。
1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体:
【0035】
【化13】
Figure 0003815844
【0036】
1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体:
【0037】
【化14】
Figure 0003815844
【0038】
1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体:
【0039】
【化15】
Figure 0003815844
【0040】
前記した酸感応性重合体は、必要に応じて、アルカリ可溶性の重合体又は共重合体、例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボン酸含有樹脂、その他を追加的に含有していてもよい。
また、本発明の化学増幅型レジストにおいて上記したような酸感応性重合体と組み合わせて用いられる酸発生剤は、レジストの化学において一般的に用いられている酸発生剤、すなわち、紫外線、遠紫外線、真空紫外線、電子線、X線、レーザ光などの放射線の照射によりプロトン酸を生じる物質であることができる。本発明の実施において適当な酸発生剤は、以下に列挙するものに限定されないけれども、次のようなものを包含する。
(1)次式により表されるジアゾニウム塩:
Ar−N2 + -
(上式において、
Arは、置換もしくは非置換の芳香族基、例えばフェニル基など、又は脂環式基を表し、そして
Xは、ハロゲン、例えばCl、Br、IあるいはF、BF4 、BF6 、PF6 、AsF6 、SbF6 、CF3 SO3 、ClO4 又は有機スルホン酸アニオンなどを表す)。
(2)次式により表されるヨードニウム塩:
【0041】
【化16】
Figure 0003815844
【0042】
(上式において、Ar及びXは、前記定義に同じである)。
(3)次式により表されるスルホニウム塩:
【0043】
【化17】
Figure 0003815844
【0044】
【化18】
Figure 0003815844
【0045】
【化19】
Figure 0003815844
【0046】
【化20】
Figure 0003815844
【0047】
【化21】
Figure 0003815844
【0048】
【化22】
Figure 0003815844
【0049】
(上式において、R、R1、R2、R3、Ar及びXは、それぞれ、前記定義に同じであり、例えば、Rはメチル基などであり、R1、R2及びR3はフェニル基などであり、そしてtBuは、t−ブチル基である)。
(4)次式により表されるスルホン酸エステル:
【0050】
【化23】
Figure 0003815844
【0051】
(上式において、Ar及びRは、前記定義に同じである)。
(5)次式により表されるオキサアゾール誘導体:
【0052】
【化24】
Figure 0003815844
【0053】
(上式において、Xは前記定義に同じであり、但し、−CX3 基の1つは置換もしくは非置換のアリール基又はアルケニル基であってもよい)。
(6)次式により表されるs−トリアジン誘導体:
【0054】
【化25】
Figure 0003815844
【0055】
(上式において、Xは前記定義に同じであり、但し、−CX3 基の1つは置換もしくは非置換のアリール基又はアルケニル基であってもよい)。
(7)次式により表されるジスルホン誘導体:
Ar−SO2 −SO2 −Ar
(上式において、Arは前記定義に同じである)。
(8)次式により表されるイミド化合物:
【0056】
【化26】
Figure 0003815844
【0057】
(上式において、Xは前記定義に同じである)。
(9)その他、例えばオキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントシレートなど。
これらの酸発生剤は、さらに具体的にいくつかの例を示すと、次のような化合物である。
トリフェニルスルホニウムトリフレート:
【0058】
【化27】
Figure 0003815844
【0059】
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート:
【0060】
【化28】
Figure 0003815844
【0061】
トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート:
【0062】
【化29】
Figure 0003815844
【0063】
ジフェニルアイオードヘキサフルオロホスフェート:
【0064】
【化30】
Figure 0003815844
【0065】
ベンゾイントシレート:
【0066】
【化31】
Figure 0003815844
【0067】
ナフチルイミジルトリフレート:
【0068】
【化32】
Figure 0003815844
【0069】
シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)−スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート:
【0070】
【化33】
Figure 0003815844
【0071】
本発明を実施するに当って、上記したような酸感応性重合体と酸発生剤とから化学増幅型レジストを調製する。かかるレジストの調製は、一般的に用いられている重合法を使用して得られた重合体を用いて、調製することができる。例えば、レジストを構成する酸感応性重合体(共重合体を含む)を形成するための選ばれた単量体を適当な重合開始剤の存在において重合せしめる。得られた重合体又は共重合体に酸発生剤を添加し、さらに塗膜用の分散媒である有機溶剤、例えば乳酸エチルなどを添加して溶解し、レジスト溶液とすることができる。ここで、使用する重合条件及び重合開始剤は、常用されている広い範囲のもののなかから任意に選択して使用することができる。例えば、最も工業的なラジカル重合で重合体を得ようとする場合は、適当な重合開始剤の一例として、次のようなものを挙げることができる。
AIBN(N,N’−アゾビスイソブチロニトリル):
【0072】
【化34】
Figure 0003815844
【0073】
MAIB(ジメチル−2,2−アゾイソビスブチラート):
【0074】
【化35】
Figure 0003815844
【0075】
化学増幅型レジストの調製において、酸感応性重合体に添加する酸発生剤の量は、広い範囲にわたって変更することができ、一般には約1〜30重量%の範囲、好ましくは約1〜15重量%の範囲である。
また、そのようなレジストの溶液の調製に用いる溶媒は、レジストの種類、塗布条件、その他のファクタに応じていろいろに変更し得るというものの、好ましくは、例えば乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルピルベート、シクロヘキサノンなどの有機溶媒である。特に、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルピルベートなどを使用すると、よりコントラストの高いレジストパターンを得ることができる。また、レジスト溶液塗布後のストリエーションを防止するため、界面活性剤を添加することも有効である。適当な界面活性剤として、例えば、信越化学工業社製のKP−341(商品名)等を挙げることができる。さらにまた、必要に応じて、酸のクエンチャーである置換アミン系化合物やニトリル化合物、N−メチルピロリドン等の弱塩基性化合物を添加してもよい。
【0076】
本発明はまた、上記したような本発明の化学増幅型レジスト材料を被処理基板上に塗布し、
前記被処理基板上のレジスト膜を前記酸発生剤からの酸の発生を惹起し得る放射線に選択的に露光し、そして
露光後のレジスト膜のポストベーク後、前記露光工程において形成された潜像を現像すること、
を含んでなることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0077】
本発明によるレジストパターンの形成は、化学増幅ポジ型レジストで一般的な手法を使用して実施することができるというものの、好ましくは、次のようにして実施することができる。
最初に、上記のようにして調製した化学増幅型レジストの溶液を被処理基板上に塗布する。ここで使用する被処理基板は、半導体装置及びその他の装置において通常用いられているいかなる基板であってもよく、具体的には、シリコン基板等の半導体基板、基板上に形成された各種の層膜、例えば酸化膜、ポリシリコン層、窒化膜、アルミニウム配線などをあげることができる。これらの基板は、すでに回路が作りこまれていても、あるいは作りこまれていなくてもよい。これらの基板は、場合によっては、レジストとの密着性を向上させるために、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)などのような密着促進剤で前処理しておくことが好ましい。
【0078】
レジスト溶液の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどのような常用の塗布装置を使用して行うことができる。好ましくは、スピンコータを使用してレジスト溶液を被処理基板上に滴下することができる。形成されるレジスト膜の膜厚は、そのレジスト膜の使途などのファクターに応じて広く変更し得るというものの、通常約0.3〜2.0μmの範囲である。
【0079】
次いで、好ましくは、放射線を選択的に露光する前に、上記工程で形成されたレジスト膜を約40〜170℃、好ましくは約60〜120℃の温度で約60〜180秒間にわたってプリベークする。このプリベークには、例えばホットプレートのような加熱手段を用いることができる。
また、もしもレジスト膜の上にさらにカバーコートを施すような場合には、例えば、オレフィン樹脂の溶液をスピンコート法によりレジスト膜上に塗布し、所定の温度でベーキングを行うことによって、カバーコートとすることができる。
【0080】
レジスト膜の形成及びプリベーク後、そのレジスト膜を常用の露光装置で、レチクルを介して放射線に選択露光する。適当な露光装置は、市販の紫外線(遠紫外線・真空紫外線)露光装置、X線露光装置、電子ビーム露光装置、エキシマステッパ、その他であるが、本発明のレジスト膜の場合、ArFエキシマレーザが特に適している。露光条件は、その都度、適当な条件を選択することができる。この選択露光の結果、レジスト膜に含まれる酸発生剤から酸が発生せしめられ、最終的にはレチクル上の回路パターンが焼き付けられる。
【0081】
次いで、露光後のレジスト膜を直ちに露光後ベーク(PEB)することによって、酸を触媒とした保護基の脱離反応を生じさせる。この露光後ベークは、先のプリベークと同様にして行うことができる。例えば、ベーク温度は約60からレジスト樹脂の分解温度までの温度、好ましくは約90〜150℃である。なお、カバーコートを使用した場合には、この露光後ベークの後であって現像の前、所定の剥離液で剥離除去する。
【0082】
露光後ベークを完了した後、露光後のレジスト膜を常法に従って液体現像する。ここで使用する現像液は、この技術分野で一般的に用いられている現像液のなかから、適当なものを任意に選択することができる。とりわけ好ましい現像液は、現像剤としての、次式のアンモニウム化合物:
【0083】
【化36】
Figure 0003815844
【0084】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、同一もしくは異なっていてもよく、1〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルキル基を表す)、
次式のモルフォリン化合物:
【0085】
【化37】
Figure 0003815844
【0086】
又はその混合物の水溶液又はアルコール溶液を含む現像液である。現像剤としてのアンモニウム化合物の好ましい例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、
テトラメチルアンモニウムハイドロキシド(TMAH)、
テトラエチルアンモニウムハイドロキシド(TEAH)、
テトラプロピルアンモニウムハイドロキジド(TPAH)、
テトラブチルアンモニウムハイドロキシド(TBAH)、
などを包含する。
【0087】
これらの現像剤を水に溶解するかもしくは、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールに溶解して現像液となす。溶解する現像剤の濃度は、広く変更することができるけれども、一般的に約0.1〜15重量%の範囲、好ましくは約0.1〜10重量%の範囲である。通常、TMAHの2.38重量%水溶液を現像液として使用する。現像時間は、これも特に限定されるわけではないけれども、一般的に約10秒〜20分間の範囲、好ましくは30秒〜5分間の範囲である。現像の結果、レジスト膜の露光域が溶解除去せしめられて、所望とするレジストパターンを得ることができる。最後に、得られたレジストパターンも常法に従って純水でリンスし、そして乾燥する。
【0088】
【実施例】
次いで、本発明をそのいくつかの実施例を参照して説明する。なお、下記の実施例はほんの一例であって、これによって本発明が限定されるものではないことを理解されたい。
例1
1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレートの調製:
5.95g(0.033モル)の2−シクロヘキシルシクロヘキサノンと50mlのテトラヒドロフラン(THF)を3口フラスコに入れ、アルゴン気流中で十分に攪拌した。次いで、得られた混合物をドライアイス−アセトンにて−40℃以下に冷却した後、28.3mlのメチルリチウムヘキサン溶液(2−シクロヘキシルシクロヘキサノンに対して1.2当量)を−20℃〜−40℃を保ちながら徐々に滴下した。滴下の完了後、30分間にわたって攪拌し、続いて4.2mlのメタクリル酸クロリド(2−シクロヘキシルシクロヘキサノンに対して1.3当量)をゆっくりと滴下し、−20℃で2時間、室温で1時間攪拌した。得られた混合物にその冷却下に少量の氷片を加え、未反応のメチルリチウムを不活性化し、飽和食塩水と50mlのヘキサンを添加して十分に攪拌した。有機層を分液漏斗で分取し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、濃縮した。濃縮物(11.3g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製したところ、目的とする1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレートが得られた。収量7.4g(収率85%)。
1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体の調製:
ナス型フラスコで7.93g(30ミリモル)の1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレートと5.76g(30ミリモル、1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレートと当量)のメバロニックラクトンメタクリレートを混合し、反応溶媒である1,4−ジオキサンとともに反応容器に仕込んだ。得られた5モル%の1,4−ジオキサン溶液に重合開始剤であるAIBN(N,N’−アゾイソブチロニトリル)を15モル%(モノマー全量に対して)の量で添加した。80℃の温度制御された浴中に反応容器を浸漬し、約8時間にわたって反応させた。反応の完了後、反応系を室温に戻してから、大量のメタノール中に投入して重合物を沈殿させた。沈殿の乾燥後、重合物をTHFに溶解し、その溶液を再度大量のメタノール中に投入した。再び精製した沈殿を濾別し、乾燥したところ、約8.9gの樹脂状物が得られた。この樹脂状物を1H−NMRで分析したところ、1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体(組成比52:48)であることが確認された。さらに、この共重合体の分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量(Mw)が9260、そして分散度が2.21であった。
例2
レジストパターンの形成:
前記例1において調製した1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体に酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフレート(TPSSO3 CF3 )を共重合体の2重量%の量で添加し、樹脂分が14重量%になるように乳酸エチルに溶解した。得られたレジスト溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理して密着性を強化したシリコン基板上にスピンコートし、90℃のホットプレート上で60秒間プリベークした。膜厚0.8μm のレジスト膜が得られた。
【0089】
次いで、得られたレジスト膜をArFエキシマレーザ露光装置(ニコン社製、NA=0.55)で、IC回路のパターンを描画したレチクルを通して波長193nmのArFレーザ光に選択露光した。露光の完了後直ちに、レジスト膜を90℃のホットプレート上で60秒間ポストベーク(PEB)した。その後、レジスト膜を2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド(TMAH)水溶液からなる現像液、東京応化製のNMD−3、で60秒間現像し、さらに純水で30秒間リンスした。露光に用いたレーザ光パターンに相当する所望のレジストパターンがクラックを生じることなく得られた。解像度は、0.19μmのL&S(ライン・アンド・スペース)であった。
エッチング耐性の評価:
上記と同様にして膜厚0.8μm のレジスト膜を形成した後、基板を平行平板型リアクティブイオンエッチャーに収容し、200W、100sccm及び0.02トルの条件下で2分間にわたってエッチングした。エッチングレートは0.045μm/分であり、エッチング耐性に優れていることが認められた。
比較例1
前記例2に記載の手法を繰り返した。しかし、本例では、比較のため、1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体の代わりに、前記例1に記載のものと同様な手法に従って調製した2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体(組成比53:47)を使用した。本例の場合、レジスト膜の膜厚が0.8μmの場合、レジスト塗布後にクラックを生じる場合があった。
【0090】
エッチング耐性に関しては、エッチングレートが0.046μm/分であり、前記例1のものと殆ど違いがないことが判明した。
例3
前記例2に記載の手法を繰り返した。しかし、本例では、酸発生剤として、トリフェニルスルホニウムトリフレートの代わりに、ナフチルイミジルトリフレートを同量で使用した。前記例2の場合と同様な解像性が得られ、また、レジスト塗布後のクラックの発生も認められなかった。
例4
前記例2に記載の手法を繰り返した。しかし、本例では、酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフレートとともに、弱塩基性物質であるジフェニルアセトニトリルを0.3重量%の量で添加した。前記例2の場合と同様な満足し得る結果が得られた。
例5
1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体の調製:
ナス型フラスコで7.93g(30ミリモル)の1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレートと2.53g(16ミリモル、1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレートの0.53倍量)のトリメチルシリルメタクリレートを混合し、反応溶媒である1,4−ジオキサンとともに反応容器に仕込んだ。得られた5モル%の1,4−ジオキサン溶液に重合開始剤であるAIBNを15モル%(モノマー全量に対して)の量で添加した。80℃の温度制御された浴中に反応容器を浸漬し、約8時間にわたって反応させた。反応の完了後、反応系を室温に戻してから、大量のメタノール中に投入して重合物を沈殿させた。沈殿の乾燥後、重合物をTHFに溶解し、その溶液を再度大量のメタノール中に投入した。再び精製した沈殿を濾別し、乾燥したところ、約5.2gの樹脂状物が得られた。この樹脂状物を13C−NMRで分析したところ、1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(組成比66:34)であることが確認された。さらに、この共重合体の分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量(Mw)が4202、そして分散度が2.64であった。
例6
レジストパターンの形成:
前記例5において調製した1−メチル−2−シクロヘキシルシクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体に酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフレートを共重合体の2重量%の量で添加し、樹脂分が14重量%になるようにプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに溶解した。得られたレジスト溶液を、HMDSで前処理して密着性を強化したシリコン基板上にスピンコートし、90℃のホットプレート上で60秒間プリベークした。膜厚0.8μm のレジスト膜が得られた。
【0091】
次いで、得られたレジスト膜を前記例2と同様な手法に従って波長193nmのArFレーザ光に選択露光し、PEBし、そして現像した。リンスの完了後、露光に用いたレーザ光パターンに相当する所望のレジストパターンがクラックを生じることなく得られた。解像度は、0.19μmL&Sであった。
例7
1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレートの調製:
7.80g(0.033モル)の2−シクロデカニルシクロヘキサノンと50mlのTHFを3口フラスコに入れ、アルゴン気流中で十分に攪拌した。次いで、得られた混合物をドライアイス−アセトンにて−40℃以下に冷却した後、32.6mlのエチルリチウムヘキサン溶液(2−シクロデカニルシクロヘキサノンに対して1.2当量)を−20℃〜−40℃を保ちながら徐々に滴下した。滴下の完了後、30分間にわたって攪拌し、続いて4.2mlのメタクリル酸クロリド(2−シクロデカニルシクロヘキサノンに対して1.3当量)をゆっくりと滴下し、−20℃で2時間、室温で1時間攪拌した。得られた混合物にその冷却下に少量の氷片を加え、未反応のエチルリチウムを不活性化し、飽和食塩水と50mlのヘキサンを添加して十分に攪拌した。有機層を分液漏斗で分取し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、濃縮した。濃縮物(17.4g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製したところ、目的とする1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレートが得られた。収量7.4g(収率67%)。
1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体の調製:
ナス型フラスコで10.0g(30ミリモル)の1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレートと5.76g(30ミリモル、1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレートと当量)のメバロニックラクトンメタクリレートを混合し、反応溶媒である1,4−ジオキサンとともに反応容器に仕込んだ。得られた5モル%の1,4−ジオキサン溶液に重合開始剤であるAIBNを15モル%(モノマー全量に対して)の量で添加した。80℃の温度制御された浴中に反応容器を浸漬し、約8時間にわたって反応させた。反応の完了後、反応系を室温に戻してから、大量のメタノール中に投入して重合物を沈殿させた。沈殿の乾燥後、重合物をTHFに溶解し、その溶液を再度大量のメタノール中に投入した。再び精製した沈殿を濾別し、乾燥したところ、約9.4gの樹脂状物が得られた。この樹脂状物を1H−NMRで分析したところ、1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体(組成比50:50)であることが確認された。さらに、この共重合体の分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量(Mw)が10200、そして分散度が2.08であった。
例8
レジストパターンの形成:
前記例7において調製した1−エチル−2−シクロデカニルシクロヘキシルメタクリレート/メバロニックラクトンメタクリレート共重合体に酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフレートを共重合体の2重量%の量で添加し、樹脂分が14重量%になるようにエチルピルベートに溶解した。得られたレジスト溶液を、HMDSで前処理して密着性を強化したシリコン基板上にスピンコートし、90℃のホットプレート上で60秒間プリベークした。膜厚0.8μm のレジスト膜が得られた。
【0092】
次いで、得られたレジスト膜を前記例2と同様な手法に従って波長193nmのArFレーザ光に選択露光し、PEBし、そして現像した。リンスの完了後、露光に用いたレーザ光パターンに相当する所望のレジストパターンがクラックを生じることなく得られた。解像度は、0.19μmL&Sであった。
例9
前記例8に記載の手法を繰り返した。しかし、本例では、酸発生剤として、トリフェニルスルホニウムトリフレートの代わりに、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)−スルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを10重量%の量で使用した。前記例8の場合と同様な解像性が得られ、また、レジスト塗布後のクラックの発生も認められなかった。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、化学増幅型レジスト材料の酸感応性重合体として上記したような特定の構造単位を含むものを使用することにより、化学増幅型レジストに本来具わっている高解像性、高感度、そして優れたドライエッチング耐性に加えて、優れたクラック防止性を同時に達成することができる。本発明のレジスト材料を使用すると、レジスト膜を厚膜化しても、塗布後にクラックが生じることがない。

Claims (3)

  1. 次式により表される構造単位(I):
    Figure 0003815844
    (上式において、
    Rは、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の、直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、
    は、置換もしくは非置換の、直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の炭化水素基を表し、そして
    及びZ、それぞれ、シクロヘキサン及びその誘導体、又は、メチルシクロヘキサン及びその誘導体、又は、ジメチルシクロヘキサン及びその誘導体、又は、アダマンタン及びその誘導体、又は、ノルボルネン及びその誘導体のうちの一つの脂環式炭化水素基を表す)を有する酸感応性重合体と、放射線露光により酸を発生する酸発生剤とを含んでなることを特徴とする化学増幅型レジスト材料。
  2. 前記酸感応性重合体が、次式により表される構造単位(II)、(III )及び(又は)(IV):
    Figure 0003815844
    Figure 0003815844
    Figure 0003815844
    (上式において、R及びRは前記定義に同じであり、そしてnは環炭素原子の数を4〜50とするのに必要な整数である)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化学増幅型レジスト材料。
  3. 次式により表される構造単位(I):
    Figure 0003815844
    (上式において、
    Rは、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の、直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、
    は、置換もしくは非置換の、直鎖状、分岐鎖状あるいは環状の炭化水素基を表し、そして
    及びZ、それぞれ、シクロヘキサン及びその誘導体、又は、メチルシクロヘキサン及びその誘導体、又は、ジメチルシクロヘキサン及びその誘導体、又は、アダマンタン及びその誘導体、又は、ノルボルネン及びその誘導体のうちの一つの脂環式炭化水素基を表す)を有する酸感応性重合体と、放射線露光により酸を発生する酸発生剤とを含む化学増幅型レジスト材料を被処理基板上に塗布し、
    前記被処理基板上のレジスト膜を前記酸発生剤からの酸の発生を惹起し得る放射線に選択的に露光し、そして
    露光後のレジスト膜のポストベーク後、前記露光工程において形成された潜像を現像すること、
    を含んでなることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
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