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JP3803183B2 - 光学装置の架台およびその固有振動周波数の決定方法 - Google Patents

光学装置の架台およびその固有振動周波数の決定方法 Download PDF

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JP3803183B2
JP3803183B2 JP29152797A JP29152797A JP3803183B2 JP 3803183 B2 JP3803183 B2 JP 3803183B2 JP 29152797 A JP29152797 A JP 29152797A JP 29152797 A JP29152797 A JP 29152797A JP 3803183 B2 JP3803183 B2 JP 3803183B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像振れ補正機能を備えた監視カメラ等の光学装置を固定する架台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば交通監視等を行なうためにビデオカメラを戸外に設置することが行なわれている。ビデオカメラを戸外に設置すると強風時や大型車両の通過時等にビデオカメラに激しい像振れが発生することがある。このような像振れを防止するためには、ビデオカメラを設置する架台の剛性を高めるとともに、ビデオカメラを架台に強固に固定することが要求される。しかしながら、カメラレンズの焦点距離が長くなるとわずかな揺れでも激しい像振れを引き起こすため、架台の剛性を高めたり、ビデオカメラの固定を強固にしても限界があり、像振れを完全に除去することは困難である。
【0003】
一方、近年像振れ補正機能を備えた光学装置が知られている。像振れの補正機能は観察像のずれを補正する補正光学系、光学装置の光軸の角速度を検出するジャイロセンサを有しており、ジャイロセンサが検出した角速度から光学装置の光軸の振れ角度情報を求め、光学装置の光軸の移動を打ち消す方向にアクチュエータ等で補正光学系を駆動することにより光学装置の像振れを補正する。通常の手振れの周波数の上限は約20Hzであるのに対し、従来のジャイロセンサが検出可能な角速度の周波数の上限は約40Hzであるため、手振れによる光学装置の光軸の角速度は従来のジャイロセンサにより検出可能である。このような像振れ補正機能を戸外に設置するビデオカメラにも適用して像振れを補正することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにビデオカメラを設置する架台は高剛性で作られているため固有振動周波数が高くなり、強風時や大型車両の通過時などに大地や建物の振動に架台の固有振動周波数に近い成分が含まれていると、ビデオカメラが架台の固有振動周波数に共振して揺れる。また架台に何らかの外力が加わると、ビデオカメラは架台の固有振動周波数で振動しやすい。その周波数は50Hzを超える高周波でありジャイロセンサの角速度検出の機能を超えているため、ジャイロセンサから出力される光軸の角速度は正確なものとはならない。従って、ビデオカメラを戸外に設置して使用する場合、像振れ補正機能をビデオカメラに備えるだけでは像振れを完全に補正することはできないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の問題を解決するものであり、像振れ補正機能を備えた光学装置を設置する架台において、像振れ補正機能が正常に作動できるよう光学装置を支持する架台を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる光学装置の架台は、光学装置の光軸を含む第1の平面内および光軸を含みかつ第1の平面に直交する第2の平面内における光軸の単位時間当たりの変位量を検出する光軸変位量検出手段と、光軸変位量検出手段が検出した変位量をもとに光軸の位置情報を求める光軸位置演算手段と、光軸の振れに起因して発生する観察像のぶれを補正する補正光学系と、補正光学系を駆動する補正光学系駆動手段と、補正光学系の位置を検出する位置検出手段とを備え、光軸位置演算手段が出力する光軸の位置情報と位置検出手段が出力する補正光学系の位置情報との差分が解消されるように補正光学系を駆動することにより観察像のぶれを補正する光学装置を固定する架台であって、光学装置が固定された状態での固有振動周波数が、光軸変位量検出手段が検出可能な周波数及び補正光学系の駆動手段が駆動可能な周波数の帯域内に設定されていることを特徴とし、光学装置は例えばビデオカメラである。
【0007】
光軸変位量検出手段は例えば、光軸の振れの角速度を検出し、光軸位置演算手段は、光軸変位量検出手段が出力する光軸の振れの角速度を積分することにより光軸の振れの角度情報に変換して出力する。
【0008】
好ましくは、固有振動周波数が、光軸変位量検出手段が検出可能な周波数及び補正光学系の駆動手段が駆動可能な周波数の帯域内におさまるよう、光学装置と架台との連結部材の捩ればね係数が設定されている。
【0009】
例えば、第1の平面と平行でかつ光軸に直交する第1の中心軸を有する一対の第1の支持部材で光学装置を支持する第1の支持体と、第2の平面と平行でかつ光軸に直交する第2の中心軸を有する一対の第2の支持部材で第1の支持体を支持する第2の支持体とを有し、光学装置は第1の中心軸を中心として回動可能であり、第1の支持体は第2の中心軸を中心として回動可能である。
【0010】
第1の支持部材は例えば、光学装置に固定された第1の固定部と、第1の支持体に固定された第2の固定部と、第1の固定部と第2の固定部を一体的に連結し第1の中心軸を中心として捩ることが可能な弾性部材からなる第1の連結部とを有し、第2の支持部材は例えば、第1の支持体に固定された第3の固定部と、第2の支持体に固定された第4の固定部と、第3の固定部と第4の固定部を一体的に連結し第2の中心軸を中心として捩ることが可能な弾性部材からなる第2の連結部と有する。
【0011】
好ましくは固有振動周波数が20Hz以下となるよう、第1および第2の連結部の捩ればね係数が設定されている。
【0012】
好ましくは固有振動周波数が20Hz以下となるよう、第1および第2の連結部の捩ればね係数と光学装置が固定された際の架台の質量および慣性モーメントが設定されている。
【0013】
第1の支持部材は例えば、光学装置に固定された第1の固定部と、第1の支持体に固定された第2の固定部と、第1の固定部と第2の固定部を連結し第1の中心軸を中心として回転可能な第1の連結部と、第1の連結部の外周囲に巻き回された第1の弾性部材とを有し、第2の支持部材は、第1の支持体に固定された第3の固定部と、第2の支持体に固定された第4の固定部と、第3の固定部と第4の固定部を連結し第2の中心軸を中心として回転可能な第2の連結部と、第2の連結部の外周囲に巻き回された第2の弾性部材とを有する。
【0014】
好ましくは、第1の中心軸と第2の中心軸が直交し、光学装置の重心が第1の中心軸と第2の中心軸の交点に位置する。
【0015】
第1の支持体および第2の支持体が例えば中空の角筒形状を有し、第1の支持体の中空部に光学装置が配設され、第2の支持体の中空部に第1の支持体が配設されている。
【0016】
また、本発明に係る光学装置の架台は、光学装置の光軸の角速度検出手段と、角速度検出手段の出力を積分して光軸の振れ角度情報に変換する積分手段と、光軸の振れに起因して発生する観察像のぶれを補正する補正光学系と、補正光学系の位置を検出する位置検出手段とを備え、積分手段が出力する光軸の振れ角度情報と位置検出手段が出力する補正光学系の位置情報との差分が解消されるように補正光学系を駆動することにより観察像のぶれを補正する像振れ補正機能を備えた光学装置を固定する架台であって、光学装置が固定された状態での固有振動周波数を、角速度検出手段が検出可能な振動周波数の範囲内におさまるよう低下させる固有振動周波数調整手段を有することを特徴とする。
【0017】
固有振動周波数調整手段は例えば、架台において光学装置を支持する支持体と光学装置とを連結する弾性を有する連結部であり、固有振動周波数が20Hz以下となるよう、連結部の弾性特性が設定されている。
【0018】
また、本発明に係る光学装置の架台の固有振動周波数の決定方法は、光学装置の光軸の角速度検出手段と、角速度検出手段の出力を積分して光軸の振れ角度情報に変換する積分手段と、光軸の振れに起因して発生する観察像のぶれを補正する補正光学系と、補正光学系の位置を検出する位置検出手段とを備え、積分手段が出力する光軸の振れ角度情報と位置検出手段が出力する補正光学系の位置情報との差分が解消されるように補正光学系を駆動することにより観察像のぶれを補正する像振れ補正機能を備えた光学装置を固定する架台において、下記の式によって求まる架台の固有振動周波数fを、角速度検出手段が検出可能な周波数帯域内である20Hz以下に定めるべく、架台と光学装置との連結部の捩ればね係数Kと、光学装置を固定した際の架台の慣性モーメントJが決定されるよう、連結部および架台の構成要件を設計することを特徴とする。
【数3】
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、本明細書において「縦」とは本発明の実施形態に係る像振れ補正機構を備えた光学機器の通常の使用状態における鉛直方向を指し、「横」とは「縦」に直交する方向を指す。
図1は、本発明に係る第1実施形態が適用されるビデオカメラの撮影光学系と撮像素子を示す斜視図である。
撮影光学系は対物レンズ70と、レンズ支持枠25に保持された補正レンズ28を有している。レンズ支持枠25は補正レンズ28の光軸OPに直交する平面25Xを有する平板であり、その平面と平行な面における断面外輪郭の形状は略方形である。レンズ支持枠25の図1における上端面25Aは、平面25Xに対して垂直であり、かつ光軸OPを含む横方向に延びる面と平行である。また、レンズ支持枠25の図1における右端面25Bは、平面25Xに対して垂直であり、かつ光軸OPを含む縦方向に延びる面と平行である。上端面25Aと右端面25Bは隣接し互いに直交しており、それぞれ凹部26、27が設けられている。
【0020】
対物レンズ70を通過した光束は補正レンズ28を通過し、撮像素子80に導かれ、撮像素子80に被写体像が結像される。すなわち、補正レンズ28が対物レンズ70と撮像素子80の間に位置決めされるよう、レンズ支持枠25は光学機器内に配設される。また、本明細書において「基準位置」とは、補正レンズ28の光軸OPが対物レンズ70等の他の光学系の光軸と一致する位置を指す。
【0021】
凹部26には、第1の直動型アクチュエータ131が配設されている。第1の直動型アクチュエータ131は例えば直動型のソレノイドで、駆動コイル収納部131aと、駆動コイル収納部131aに対して進退の移動動作を行うシャフト131bとから成る。シャフト131bの進退の方向および移動量は、駆動コイル収納部131a内の駆動コイル(図示せず)へ印加される電圧の大きさと方向により決定される。駆動コイル収納部131aは光学機器の外枠の内壁面(図示せず)に固定されており、シャフト131bの先端は面26aに当接している。
【0022】
凹部27には、第2の直動型アクチュエータ132が配設されている。第2の直動型アクチュエータ132は第1の直動型アクチュエータ131と同様の構成を有しており、シャフト132bは駆動コイル収納部132a内の駆動コイル(図示せず)への印加電圧の大きさと方向に基づいて、進退の移動動作を行う。駆動コイル収納部132aは光学機器の外枠の内壁面(図示せず)に固定されており、シャフト132bの先端は面27aに当接している。
【0023】
右端面25Bにはレンズ支持枠25の内部に向かって、上端面25Aと平行に延び、所定の深さを有する穴29a、29bが上端部および下端部近傍に穿設されている。コの字型のガイドバー61は、それぞれの軸方向が平行である横方向ガイド部61a、61bと、横方向ガイド部61aと61bを連結する縦方向ガイド部61cとからなる。縦方向ガイド部61cの軸方向の長さは、穴29a、29bの間の距離に略等しい。穴29aにはガイドバー61の横方向ガイド部61a、穴29bには横方向ガイド部61bがそれぞれ摺動可能に挿入されている。
【0024】
ガイドバー61の縦方向ガイド部61cは光学機器の外枠の内壁面に形成された突起部11を挿通し、縦方向に往復動可能に突起部11に支持されている。
【0025】
レンズ支持枠25の上端面25Aと右端面25Bが直交する角部の近傍にはピン151が突出している。ピン151にはコイルバネ152の端部152aが固定されている。コイルバネ152のもう一方の端部152bは、光学機器の外枠の内壁の突起部(図示せず)に掛けられており、レンズ支持枠25を光軸OPに垂直な面において光軸点に向かって45度方向で近づく方向に付勢している。すなわち、コイルバネ152は、第1の直動型アクチュエータ131のシャフト131bおよび第2の直動型アクチュエータ132のシャフト132bの先端部が、常に凹部26の面26a、凹部27の面27aにそれぞれ均等の付勢力で当接するように、レンズ支持枠25を付勢している。
【0026】
レンズ支持枠25には、横方向位置検出用の第1のスリット208と、縦方向位置検出用の第2のスリット211が穿設されている。第1のスリット208は面25Xと平行な面で切断した断面形状の長手方向が第1の直動型アクチュエータ131のシャフト131bの進退方向と直交する方向に延び、第2のスリット211は面25Xと平行な面で切断した断面形状の長手方向が第2の直動型アクチュエータ132のシャフト132bの進退方向と直交する方向に延びている。第1のLED207は、レンズ支持枠25から所定の間隔だけ離れかつ第1のスリット208に対応する位置に配設され、レンズ支持枠25を挟んで第1のLED207の反対側には第1の1次元PSD(Position Sensitive Device)204が配設されている。第2のLED212は、レンズ支持枠25から所定の間隔だけ離れかつ第2のスリット211に対応する位置に配設され、レンズ支持枠25を挟んで第2のLED212の反対側には第2の1次元PSD209が配設されている。
【0027】
レンズ支持枠25の横方向の位置は、第1のLED207から出射される光束が第1のスリット208を通過し第1の1次元PSD204上に照射される位置により検出され、レンズ支持枠25の縦方向の位置は、第2のLED212から出射される光束が第2のスリット211を通過し第2の1次元PSD209上に照射される位置により検出される。
【0028】
第1の直動型アクチュエータ131の駆動コイル収納部131aの駆動コイルに特定方向の電圧を印加するとシャフト131bはx1方向に突出し、レンズ支持枠25はx1方向に変位される。駆動コイルに反対方向の電圧を印加するとシャフト131bはx2方向に引き込まれ、コイルバネ152の付勢力によりレンズ支持枠25はx2方向に変位される。
【0029】
第2の直動型アクチュエータ132の駆動コイル収納部132aの駆動コイルに特定方向の電圧を印加するとシャフト132bはy1方向に突出し、レンズ支持枠25はy1方向に変位される。駆動コイルに反対方向の電圧を印加するとシャフト132bはy2方向に引き込まれ、コイルバネ152の付勢力によりレンズ支持枠25はy2方向に変位される。
【0030】
図2は、第1実施形態のビデオカメラの像振れ補正の制御回路において横方向の像振れ補正を行う回路構成を示す図である。横方向ジャイロセンサ200から手振れ等によるビデオカメラの横方向の光軸の角速度を示す信号が出力される。横方向ジャイロセンサ200には横方向増幅器210が接続されており、横方向ジャイロセンサ200から出力された光軸の角速度を示す信号が増幅される。積分回路220は演算増幅器221、抵抗R222およびコンデンサC223から構成される。横方向増幅器210から出力された増幅信号は抵抗R222を介して演算増幅器221の反転入力端子(−)に入力される。演算増幅器221において、非反転入力端子(+)は接地されており、反転入力端子と出力端子の間にはコンデンサC223が接続されている。
【0031】
積分回路220には比較増幅器230が接続されている。積分回路220の出力信号は比較増幅器230の反転入力端子に入力される。比較増幅器230の出力端子には電力増幅器240が接続され、電力増幅器240には第1のアクチュエータ131が接続されている。
【0032】
横方向位置センサ250は、第1のLED207と第1の1次元PSD204(図1参照)からなり、補正レンズ28の横方向の位置情報を示す信号を出力する。横方向位置センサ250は比較増幅器230の非反転入力端子に接続されており、横方向位置センサ250から出力される補正レンズ28の横方向の位置情報が入力される。
【0033】
比較増幅器230は、積分回路220から入力される角度ぶれ信号と、横方向位置センサ250から入力される補正レンズ28の位置情報の信号とが相殺される方向および速さで補正レンズ28が駆動されるよう、第1のアクチュエータ131の駆動信号を出力する。
【0034】
図3はビデオカメラを本実施形態の架台に設置した場合の斜視図である。ビデオカメラ10はカメラ本体11とレンズ鏡筒12を有している。レンズ鏡筒12は光軸OPを有する撮影レンズ(図示せず)を支持している。架台20は第1の支持体30と第2の支持体40を備えている。第1および第2の支持体30、40はそれぞれ中空の角筒形状を有しており、カメラ本体11は第1の支持体30の中空部内に配設され、第1の支持体30は第2の支持体40の中空部内に配設されている。第2の支持体40は雲台50に固定されている。
【0035】
図4は図3のビデオカメラ10と架台20をレンズ鏡筒12の側から見た平面図である。
カメラ本体11は一対の第1の支持部材31、32により第1の支持体30の中空内に支持されている。第1の支持部材31はカメラ本体11の側面11Rに固定された固定部31a、第1の支持体30の内側面30Rに固定された固定部31b、固定部31aと固定部31bを一体的に連結する円柱形の連結部31cとを有する。同様に第1の支持部材32は、カメラ本体11の側面11Lに固定された固定部32a、第1の支持体30の内側面30Lに固定された固定部32b、固定部32aと固定部32bを一体的に連結する円柱形の連結部32cとを有する。連結部31cおよび32cは、光軸OPに直交する第1の中心軸Xを中心として捩ることが可能な弾性部材からなる。
【0036】
第1の支持体30は一対の第2の支持部材41、42により第2の支持体40の中空内に支持されている。第2の支持部材41は第1の支持体30の外側面30Tに固定された固定部41a、第2の支持体40の内側面40Tに固定された固定部41b、固定部41aと固定部41bを一体的に連結する円柱形の連結部41cとを有する。同様に第2の支持部材42は、第1の支持体30の外側面30Bに固定された固定部42a、第2の支持体40の内側面40Bに固定された固定部42b、固定部42aと固定部42bを一体的に連結する円柱形の連結部42cとを有する。連結部41cおよび42cは、光軸OPに直交しかつ第1の中心軸Xに直交する第2の中心軸Yを中心として捩ることが可能な弾性部材からなる。
【0037】
すなわち、カメラ本体11の第1の中心軸Xの周りの固有振動の周波数は一対の第1の支持部材31、32の連結部31c、32cの捩ればね係数により決定され、カメラ本体11の第2の中心軸Yの周りの固有振動の周波数は一対の第2の支持部材41、42の連結部41c、42cの捩ればね係数により決定される。
【0038】
ここで、各連結部の捩ればね係数と架台の固有振動周波数の関係について説明する。連結部31c、32cの捩ればね係数Kは、連結部の直径D、横弾性係数G、長さLより求まる。
【0039】
【数1】
Figure 0003803183
【0040】
一方、カメラ本体11と撮影レンズを含めた慣性モーメントJは、カメラ本体11と撮影レンズとを含めて長手方向が光軸OPに沿っている直方体と近似した場合の直方体の長さa、高さh、質量Mより求まる。
【0041】
【数2】
Figure 0003803183
【0042】
連結部31c、32cの中心軸X周りの固有振動周波数fは、連結部31c、32cの捩ればね係数Kおよび上記慣性モーメントJより求まる。
【0043】
【数3】
【0044】
連結部41c、42cの中心軸Y周りの固有振動周波数は、連結部41c、42cの捩ればね係数と、カメラ本体11、撮影レンズ、第1の支持体30を含めた慣性モーメントより求まる。
【0045】
従来の像振れ補正機能で補正可能な固有振動周波数は約20Hzである。従って、各連結部の直径、長さ等の値を適宜調整して捩ればね係数を制御し、カメラ本体11を架台20に設置した際、光軸の振れの周波数を20Hz以下におさめることにより、カメラ本体11に備えられた像振れ補正機能による像振れ補正が可能となる。
【0046】
一例として、カメラ本体11と撮影レンズとを含めて長手方向が光軸OPに沿っている直方体を、長さaが25cm、幅bが7cm、高さhが7cmの直方体に近似する直方体とし、その質量Mが3kgであると仮定する。連結部31c、32cの直径Dが0.5cm、長さLが0.5cm、弾性係数Gが0.84x1010kgf/m2 とした場合の連結部31c、32cのばね係数Kと、カメラ本体11と撮影レンズを含めた慣性モーメントJと、および連結部31c、32cの中心軸X周りの固有振動周波数fとを求める。連結部31c、32cの直径Dが0.5cm、長さLが0.5cm、弾性係数Gが0.84x1010kgf/m2 であることからそのばね係数Kは202N・m/radとなる。
【0047】
【数4】
Figure 0003803183
【0048】
尚、(4)式中、横弾性係数Gに9.8を積算しているのは、横弾性係数Gの単位をN/m2 に変換するためである。
【0049】
また、カメラ本体11と撮影レンズとを含めて長手方向が光軸OPに沿っている直方体と近似した場合の直方体の長さaが25cm、高さhが7cm、質量Mが3kgであるため、カメラ本体11と撮影レンズを含めた慣性モーメントJは0.0169kg・m2 となる。
【0050】
【数5】
Figure 0003803183
【0051】
連結部31c、32cの捩ればね係数Kが202N・m/radであり、慣性モーメントJが0.0169kg・m2 であることから、連結部31c、32cの中心軸X周りの固有振動周波数fは17.4Hzとなる。
【0052】
【数6】
Figure 0003803183
【0053】
以上のように、架台の固有振動周波数fは、従来の補正光学系で補正可能な振動周波数の範囲内、すなわち20Hzより低い値におさめられている。従って、強風や架台の設置場所における大きな振動により手振れ周波数の帯域外の揺れが発生しても、カメラの光軸の振れに像振れ補正機構が追従することができる。
【0054】
さらに、第1の直動型アクチュエータ131および第2の直動型アクチュエータ132の駆動周波数を予め検出しておき、各連結部の捩ればね係数がその駆動周波数の帯域内に収まるよう各連結部の値を調整することも可能である。
【0055】
図5は本発明の第2実施形態に係る架台を、ビデオカメラを配設した状態で撮影レンズの側から見た場合の平面図である。尚、第1実施形態と同様の部材には同一番号を付してある。
カメラ本体11は一対の第1の支持部材33、34により第1の支持体30の中空内に支持されている。第1の支持部材33は、両端部がカメラ本体11の外側面11Rおよび第1の支持体30の内側面30Rに接している円柱状の支持柱33c、カメラ本体11の外側面11R上に配設され支持柱33cの端部が回転可能に篏合する軸受け部33a、第1の支持体30の内側面30R上に配設され支持柱33cの端部が回転可能に篏合する軸受け部33b、支持柱33cの周りに巻き回されたスクリューバネ33dを有する。スクリューバネ33dの両端部はそれぞれ軸受け部33aおよび33bに固定されている。支持柱33cは第1の支持体30に対して回転可能である。
【0056】
同様に第2の支持部材34は、両端部がカメラ本体11の外側面11Lおよび第1の支持体30の内側面30Lに接している円柱状の支持柱34c、カメラ本体11の外側面11L上に配設され支持柱34cの端部が回転可能に篏合する軸受け部34a、第1の支持体30の内側面30L上に配設され支持柱34cの端部が回転可能に篏合する軸受け部34b、支持柱34cの周りに巻き回されたスクリューバネ34dを有する。スクリューバネ34dの両端部はそれぞれ軸受け部34aおよび34bに固定され、支持柱34cは第1の支持体30に対して回転可能である。
【0057】
第1の支持体30は一対の第2の支持部材43、44により第2の支持体40の中空内に支持されている。第2の支持部材43は、両端部が第1の支持体30の外側面30Tおよび第2の支持体40の内側面40Tに接している円柱状の支持柱43c、第1の支持体30の外側面30T上に配設され支持柱43cの端部が回転可能に篏合する軸受け部43a、第2の支持体40の内側面40T上に配設され支持柱43cの端部が回転可能に篏合する軸受け部43b、支持柱43cの周りに巻き回されたスクリューバネ43dを有する。スクリューバネ43dの両端部はそれぞれ軸受け部43aおよび43bに固定され、支持柱43cは第2の支持体40に対して回転可能である。
【0058】
同様に第2の支持部材44は、両端部が第1の支持体30の外側面30Bおよび第2の支持体40の内側面40Bに接している円柱状の支持柱44c、第1の支持体30の外側面30B上に配設され支持柱44cの端部が回転可能に篏合する軸受け部44a、第2の支持体40の内側面40B上に配設され支持柱44cの端部が回転可能に篏合する軸受け部44b、支持柱44cの周りに巻き回されたスクリューバネ44dを有する。スクリューバネ44dの両端部はそれぞれ軸受け部44aおよび44bに固定され、支持柱44cは第2の支持体40に対して回転可能である。
【0059】
本実施形態において、固有振動周波数はスクリューバネの捩ればね係数により決定される。固有振動周波数とスクリューバネの捩ればね係数との関係は第1実施形態における固有振動周波数と連結部の捩ればね係数と同様である。
【0060】
以上のように、第1および第2実施形態によれば、像振れ補正機能を備えたビデオカメラを固定する架台において、固有振動周波数が手振れ周波数の帯域内に収まるよう、ビデオカメラを支持する部材の適正な捩ればね係数が、設計可能である。従って、強風や架台の設置場所における大きな振動により手振れ周波数の帯域外の揺れが発生しても、カメラの光軸の振れは、カメラに備えられた像振れ補正機能により補正可能な程度に抑えられる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば像振れ補正機能が正常に作動するよう光学装置を固定する架台が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されるカメラの像振れ補正機能の斜視図である。
【図2】第1実施形態が適用されるカメラの像振れ補正機能のブロック図である。
【図3】第1実施形態の架台と、架台に設置されたカメラを示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の架台と、架台に設置されたカメラを示す平面図である。
【図5】第2実施形態の架台と、架台に設置されたカメラを示す平面図である。
【符号の説明】
10 ビデオカメラ
20 架台
25 レンズ支持枠
28 補正レンズ
30 第1の支持体
40 第2の支持体
50 雲台
70 対物レンズ
80 撮像素子
131 第1の直動型アクチュエータ
132 第2の直動型アクチュエータ
200 ジャイロセンサ
210 増幅器
220 積分回路
230 比較増幅器
240 電力増幅器
250 位置センサ

Claims (15)

  1. 光学装置の光軸を含む第1の平面内および前記光軸を含みかつ前記第1の平面に直交する第2の平面内における前記光軸の単位時間当たりの変位量を検出する光軸変位量検出手段と、前記光軸変位量検出手段が検出した前記変位量をもとに前記光軸の位置情報を求める光軸位置演算手段と、前記光軸の振れに起因して発生する観察像のぶれを補正する補正光学系と、前記補正光学系を駆動する補正光学系駆動手段と、前記補正光学系の位置を検出する位置検出手段とを備え、前記光軸位置演算手段が出力する前記光軸の位置情報と前記位置検出手段が出力する前記補正光学系の位置情報との差分が解消されるように前記補正光学系を駆動することにより観察像のぶれを補正する光学装置を固定する架台であって、
    前記光学装置が固定された状態での固有振動周波数が、前記光軸変位量検出手段が検出可能な周波数及び前記補正光学系の駆動手段が駆動可能な周波数の帯域内に設定されていることを特徴とする光学装置の架台。
  2. 前記光軸変位量検出手段が前記光軸の振れの角速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の光学装置の架台。
  3. 前記光軸位置演算手段が前記光軸変位量検出手段が出力する前記光軸の振れの角速度を積分することにより前記光軸の振れの角度情報に変換して出力することを特徴とする請求項2に記載の光学装置の架台。
  4. 前記固有振動周波数が、前記光軸変位量検出手段が検出可能な周波数及び前記補正光学系の駆動手段が駆動可能な周波数の帯域内におさまるよう、前記光学装置と前記架台との連結部材の捩ればね係数が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置の架台。
  5. 前記第1の平面と平行でかつ前記光軸に直交する第1の中心軸を有する一対の第1の支持部材で前記光学装置を支持する第1の支持体と、前記第2の平面と平行でかつ前記光軸に直交する第2の中心軸を有する一対の第2の支持部材で前記第1の支持体を支持する第2の支持体とを有し、前記光学装置は前記第1の中心軸を中心として回動可能であり、前記第1の支持体は前記第2の中心軸を中心として回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置の架台。
  6. 前記第1の支持部材は、前記光学装置に固定された第1の固定部と、前記第1の支持体に固定された第2の固定部と、前記第1の固定部と前記第2の固定部を一体的に連結し前記第1の中心軸を中心として捩ることが可能な弾性部材からなる第1の連結部とを有し、
    前記第2の支持部材は、前記第1の支持体に固定された第3の固定部と、前記第2の支持体に固定された第4の固定部と、前記第3の固定部と前記第4の固定部を一体的に連結し前記第2の中心軸を中心として捩ることが可能な弾性部材からなる第2の連結部と有することを特徴とする請求項5に記載の光学装置の架台。
  7. 前記固有振動周波数が20Hz以下となるよう、前記第1および第2の連結部の捩ればね係数が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の光学装置の架台。
  8. 前記固有振動周波数が20Hz以下となるよう、前記第1および第2の連結部の捩ればね係数と前記光学装置が固定された際の前記架台の質量および慣性モーメントが設定されていることを特徴とする請求項6に記載の光学装置の架台。
  9. 前記第1の支持部材は、前記光学装置に固定された第1の固定部と、前記第1の支持体に固定された第2の固定部と、前記第1の固定部と前記第2の固定部を連結し前記第1の中心軸を中心として回転可能な第1の連結部と、前記第1の連結部の外周囲に巻き回された第1の弾性部材とを有し、
    前記第2の支持部材は、前記第1の支持体に固定された第3の固定部と、前記第2の支持体に固定された第4の固定部と、前記第3の固定部と前記第4の固定部を連結し前記第2の中心軸を中心として回転可能な第2の連結部と、前記第2の連結部の外周囲に巻き回された第2の弾性部材とを有することを特徴とする請求項5に記載の光学装置の架台。
  10. 前記第1の中心軸と前記第2の中心軸が直交し、前記光学装置の重心が前記第1の中心軸と前記第2の中心軸の交点に位置することを特徴とする請求項5に記載の光学装置の架台。
  11. 前記第1の支持体および前記第2の支持体が中空の角筒形状を有し、前記第1の支持体の中空部に前記光学装置が配設され、前記第2の支持体の中空部に前記第1の支持体が配設されていることを特徴とする請求項5に記載の光学装置の架台。
  12. 前記光学装置がビデオカメラであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置の架台。
  13. 光学装置の光軸の角速度検出手段と、前記角速度検出手段の出力を積分して前記光軸の振れ角度情報に変換する積分手段と、前記光軸の振れに起因して発生する観察像のぶれを補正する補正光学系と、前記補正光学系の位置を検出する位置検出手段とを備え、前記積分手段が出力する前記光軸の振れ角度情報と前記位置検出手段が出力する前記補正光学系の位置情報との差分が解消されるように前記補正光学系を駆動することにより観察像のぶれを補正する像振れ補正機能を備えた光学装置を固定する架台であって、前記光学装置が固定された状態での固有振動周波数を、前記角速度検出手段が検出可能な振動周波数の範囲内におさまるよう低下させる固有振動周波数調整手段を有することを特徴とする光学装置の架台。
  14. 前記固有振動周波数調整手段は、前記架台において前記光学装置を支持する支持体と前記光学装置とを連結する弾性を有する連結部であり、前記固有振動周波数が20Hz以下となるよう、前記連結部の弾性特性が設定されていることを特徴とする請求項13に記載の光学装置の架台。
  15. 光学装置の光軸の角速度検出手段と、前記角速度検出手段の出力を積分して前記光軸の振れ角度情報に変換する積分手段と、前記光軸の振れに起因して発生する観察像のぶれを補正する補正光学系と、前記補正光学系の位置を検出する位置検出手段とを備え、前記積分手段が出力する前記光軸の振れ角度情報と前記位置検出手段が出力する前記補正光学系の位置情報との差分が解消されるように前記補正光学系を駆動することにより観察像のぶれを補正する像振れ補正機能を備えた光学装置を固定する架台において、
    下記の式によって求まる前記架台の固有振動周波数fを、前記角速度検出手段が検出可能な周波数帯域内である20Hz以下に定めるべく、前記架台と前記光学装置との連結部の捩ればね係数Kと、前記光学装置を固定した際の前記架台の慣性モーメントJが決定されるよう、前記連結部および前記架台の構成要件を設計することを特徴とする光学装置の架台の固有振動周波数の決定方法。
    Figure 0003803183
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