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JP3861162B2 - 表面凹部を多数有する高分子微粒子の製造方法 - Google Patents

表面凹部を多数有する高分子微粒子の製造方法 Download PDF

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JP3861162B2
JP3861162B2 JP2000381843A JP2000381843A JP3861162B2 JP 3861162 B2 JP3861162 B2 JP 3861162B2 JP 2000381843 A JP2000381843 A JP 2000381843A JP 2000381843 A JP2000381843 A JP 2000381843A JP 3861162 B2 JP3861162 B2 JP 3861162B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子微粒子、特にその粒子表面に多数の深いくぼみ(凹部)を有する高分子微粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に多数のくぼみ(凹部)を有する高分子微粒子を製造する方法として、本発明者により提起している特開平6−287244号及び特開平6−287245号に記載のシード乳化重合法による方法が知られている。
【0003】
この方法は、水溶性有機溶媒と水との混合溶媒中又は水中で、シード粒子としてのポリスチレン粒子にモノマーとしてのアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルを吸収させた後、該モノマーを乳化重合させることを特徴とする方法であって、ゴルフボール状高分子複合体微粒子を製造することができる。
【0004】
より詳しくは、図1を参照して説明すると、この従来法では、まず、重合媒体として、水に少量のアルコールを添加した混合溶媒(例えば、エタノール/水(10/90;重量比)の混合物)又は水を用い、かかる媒体中にシード粒子1としてのポリスチレン(PS)粒子を分散させた分散液中に、上記モノマー(例えば、アクリル酸ブチル)を添加する。この系を5℃程度の低温で撹拌して、該モノマーをシード粒子に吸収させる。こうすると、図1のaに示すように、シード粒子1は、上記モノマー(例えば、アクリル酸ブチル(BA))で均一に膨潤される。
【0005】
次いで、重合開始剤を添加し、上記シードポリスチレンのガラス転移温度よりも低い温度でシード乳化重合を行うと、上記モノマー(BA)で膨潤したシード粒子1に、媒体中で生成した開始剤ラジカルが侵入して重合が開始され、上記モノマー(例えば、アクリル酸ブチルモノマー(BA))由来のポリマー(例えば、ポリアクリル酸ブチル(PBA))が粒子表面に生成すると同時に相分離して集まり、粒子表面にドメイン2が形成される(図1のb)。シード粒子中に存在しているモノマー(BA)はドメイン2に吸収される(図1のc)。このときシードポリスチレン部分は膨潤していたモノマー(BA)が急激に減少するため粘度が上昇し、上記ドメインが固定され、シード粒子であるポリスチレン粒子1の表面に多数のモノマー吸収ドメイン3が散点状に形成される。
【0006】
この各ドメイン3に吸収されたモノマー(アクリル酸ブチル(BA))が重合するにつれ、該モノマーから得られるポリマー(ポリアクリル酸ブチル(PBA))の密度が該モノマー(BA)に比し高くなるので、ドメイン3で生成したポリマー(PBA)が収縮する。その結果、図1のdに示すようにシード粒子表面に多数の凹部ないしくぼみ4ができ、ゴルフボール状の高分子複合体粒子が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に上記凹部ないしくぼみ4が深いと、比表面積が大きくなり、有用物質の表面および凹部の担持材料としての効率向上、光散乱能の向上等があり、有用性が向上する。
【0008】
上記特開平6−287244号及び特開平6−287245号に記載の従来法は、ポリマー粒子表面に多数の凹部ないしくぼみを有するゴルフボール状高分子微粒子を形成するという点で画期的なものであった。
【0009】
しかしながら、上記従来法では、凹部4の深さの制御は重合収縮によってのみ決定され、深い凹部を得るためには、得られた凹部ないしくぼみ4に存在する後重合ポリマー層5(ポリアクリル酸ブチル(PBA)に富んだ層)は溶解するが、シードポリマー1は溶解しない溶媒で処理することにより、後重合ポリマー(ポリアクリル酸ブチル(PBA)層)のみを選択的に溶解させて、凹部ないしくぼみの深さを大きくすることが必要である。
【0010】
また、上記従来法では、凹部を形成するためには、重合反応を行う前に、モノマーをシード粒子に吸収させる必要があり、このため、操作が煩雑であるという問題点もあった。
【0011】
従って、本発明の目的は、深い凹部を有するゴルフボール状複合高分子微粒子を、効率よく容易に製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、モノマーをシード粒子ポリマー中に吸収させるのではなく、モノマーを媒体中に存在させた状態で、特定の有機溶媒の存在下、シード分散重合を行うことにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記の、ゴルフボールのように表面凹部を多数有する高分子微粒子の製造方法を提供するものである。
【0014】
項1 高分子(PA)の微粒子をシード粒子として分散させた媒体(M)において、 (i)媒体(M)に溶解するモノマーであって、シード粒子高分子(PA)とは異なる と共にシード粒子高分子(PA)に比べて上記媒体(M)との親和性が低いか
又は同等であるポリマー(PB)を与えるモノマー(B)、
(ii)シード粒子高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、ポリマー(PB)の良溶媒であって、且つ、上記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機
溶媒(S)、
(iii)上記媒体(M)に溶解する重合開始剤、及び
(iv)分散剤
を存在させ、シード分散重合法によりモノマー(B)を重合させ、得られる複合高分子微粒子中の溶媒(S)の除去処理を行うことを特徴とする表面に多数の深い凹部を有する高分子微粒子の製造方法。
【0015】
項2 シード粒子としての高分子(PA)の微粒子が、単分散状態にある上記項1に記載の製造方法。
【0016】
項3 シード粒子高分子(PA)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル及びスチレン等の芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーから、(好ましくは乳化重合又は分散重合により)得られるポリマー又はコポリマーであり、
媒体(M)が、(a)アセトン及び炭素数1〜3の低級飽和脂肪族アルコールから選ばれた少なくとも1種の水溶性有機溶媒と少量の水との混合溶媒であり、
モノマー(B)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル、スチレン等に代表される芳香族ビニル、シアン化ビニル、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、ハロゲン化ビニル、共役ジエン、カルボン酸ビニルエステル及びエチレン性不飽和カルボン酸アミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であって、且つ、シードポリマー(PA)とは異なるポリマー(PB)を与えるモノマーであり、
有機溶媒(S)が、上記シード粒子高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、上記ポリマー(PB)の良溶媒であって、且つ、上記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機溶媒である上記項1又は2に記載の製造方法。
【0017】
項4 シード高分子(PA)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル、スチレン等の芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーから(好ましくは乳化重合又は分散重合により)得られるポリマー又はコポリマーであり、
媒体(M)が、(a)炭素数1〜3の低級飽和脂肪族アルコールから選ばれた少なくとも1種80〜70重量%と水20〜30重量%とからなる混合溶媒であり、
モノマー(B)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル及び芳香族ビニル(例えば、スチレン)からなる群から選ばれる少なくとも1種であって、且つ、シードポリマー(PA)とは異なるポリマー(PB)を与えるモノマーであり、
有機溶媒(S)が、上記シード粒子高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、上記ポリマー(PB)の良溶媒であって、且つ、上記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機溶媒である上記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
項5 表面に多数の凹部を有する高分子微粒子の平均粒子径が、50nm〜50ミクロンである上記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
項6 シード高分子(PA)が(メタ)アクリル酸C1−C8アルキルエステルのポリマーであり、モノマー(B)がスチレン等の前記芳香族ビニルであり、有機溶媒(S)がシクロヘキサン等の炭素数5〜8程度の単環式の環状アルカン又はデカリン等の炭素数8〜12程度の二環式の環状アルカンであるか、または、シード高分子(PA)がスチレン等の前記芳香族ビニルのポリマーであり、モノマー(B)が(メタ)アクリル酸C1−C8アルキルエステルであり、有機溶媒(S)がオクタノール等の炭素数7〜12程度の飽和脂肪族高級アルコールである上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【0020】
本発明によれば、上記シード粒子としてのポリマー(PA)、媒体(M)、モノマー(B)及び有機溶媒(S)を適切な組み合わせで使用することにより、従来よりも深いくぼみを有するゴルフボール状複合高分子微粒子が容易に得られる。
【0021】
本発明において、上記系でゴルフボール状高分子微粒子が生成する機構は未だ完全に解明された訳ではないが、おそらく、次の機構によるものと推察される。
【0022】
即ち、まず、本発明では、シード粒子10としてポリマー(PA)の微粒子が分散している媒体(M)に、モノマー(B)、有機溶媒(S)及び開始剤を溶解させ、シード分散重合を行う。その際、モノマー(B)をシード粒子10に吸収させる操作は不要である。重合反応の進行に伴い、主として媒体(M)中でモノマー(B)が重合する。生成したポリマー(PB)は析出し、シード粒子10(ポリマー(PA)の微粒子)の表面に付着する。
【0023】
その時点で、シード粒子10(ポリマー(PA)の粒子)の表面層は、モノマー(B)により若干は膨潤しているが、粒子内部は高粘度状態となっている。シード分散重合がシードポリマー(PA)のガラス転移温度よりも低い温度で行われる時はガラス状態となっている。
【0024】
重合が進行するにつれて、図3に示すように、シード粒子10には、その表面から内側に浸入したドメイン12が多数形成される。これらドメイン12においては、重合により生成したポリマー(PB)が有機溶媒(S)に溶解して存在している。即ち、該ドメインに集合したポリマー(PB)に対して、有機溶媒(S)及びモノマー(B)が高い親和性を有しているので、ドメインに有機溶媒(S)及びモノマー(B)が吸収され、こうして吸収されたモノマー(B)は重合してポリマー(PB)となり、得られるポリマー(PB)は有機溶媒(S)に溶解した状態でドメイン12内に存在する。こうして、ポリマー(PB)と有機溶媒(S)とを含有するドメインが多数表層部に形成されたポリマー(PA)の微粒子である複合高分子微粒子が生成する。
【0025】
シード分散重合終了後、得られた複合高分子微粒子中の溶媒(S)の除去処理を行うと、図4に示すように、有機溶媒(S)が揮発等により除去されると共にポリマー(PB)の層14がシードポリマー(PA)の粒子に付着して残留し、多数の凹部ないしくぼみ16がシードポリマー(PA)の粒子に形成される。その結果、多数の深い凹部ないしくぼみ16を有する本発明の複合高分子微粒子18が得られる。
【0026】
前記特開平6−287244号及び特開平6−287245号に記載の従来法と本発明方法とを比べると、次のような根本的な相違がある。即ち、前記従来法では、シード粒子内にモノマーを吸収させる操作を重合反応に先立って行うことが必須であって、重合反応の進行につれて、主として、シード粒子内部に吸収されていたモノマーがドメインに吸収されて重合される結果、生成ポリマーの密度が大きくなって凹部ができると考えられる。
【0027】
これに対して、本発明では、シード粒子(PA)にモノマー(B)を吸収させる操作を行わずに重合を行うので、シード粒子(PA)中にはモノマー(B)が吸収されておらず、たとえ吸収されたとしても、せいぜいシード粒子の表面層がモノマー(B)で若干膨潤するに留まる。重合反応の進行につれて、媒体(M)中で生成したポリマー(PB)がシード粒子(PA)表面に析出して集合してドメインを形成し、該ドメインに媒体(M)中のモノマー(B)が吸収され重合してポリマー(PB)を生成すると共に、有機溶媒(S)がドメイン内のポリマー(PB)に吸収され、単離後の溶媒(S)の除去処理により除去されて凹部ができると考えられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明をより具体的に説明する。
【0029】
シード粒子としての高分子 (PA)
シード高分子(PA)としては、従来公知の方法、特に、乳化重合、分散重合等により粒子化されたビニルポリマーがいずれも使用できる。より具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸のC1−C8アルキルエステル(特にC1−C4アルキルエステル)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸のC1−C8アルキルエステル(特にC1−C4アルキルエステル)、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等の芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーから得られるポリマー又はコポリマーを例示できる。
【0030】
シード高分子(PA)の微粒子の平均粒子径としては、特に限定されず、1μm未満のサブミクロンサイズ(例えば、50〜900nm程度)であってもよいが、平均粒子径が1〜50μm程度、特に1〜10μm程度のミクロンサイズであるのが好ましい。勿論、更に大きい粒子径であってもかまわない。また、シード高分子(PA)の微粒子は、粒子径が揃った単分散状態であるのが好ましいが、単分散状態でなくてもよい。
【0031】
尚、本明細書において、シード粒子、本発明の表面凹部を多数有する高分子微粒子等の微粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡写真の画像処理法により測定されたものである。
【0032】
シード高分子(PA)の微粒子は、それを構成するモノマー(A)から、従来公知の慣用されている乳化重合方法、分散重合方法等により、容易に製造することができる。また、単分散状態のシード高分子(PA)の微粒子も従来公知の方法、例えば、 コロイド・アンド・ポリマー・サイエンス(Colloid & Polymer Science), 267, 193 (1989)に記載の方法に従い、製造することができる。
【0033】
シード高分子(PA)の分子量範囲としては、特に限定されず、広い範囲から適宜選択すればよく、一般には、重量平均分子量で100000〜1000000程度、特に200000〜500000程度であることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0034】
媒体 (M)
本発明で使用する媒体(M)としては、まず、上記シード高分子(PA)の微粒子を実質上溶解することなく分散させることができる媒体であることが要求される。
【0035】
更に、媒体(M)は、上記シード高分子(PA)に対してよりも、モノマー(B)の重合により得られるポリマー(PB)に対する親和性が低いか又は同等であることが要求される。
【0036】
ここで、ポリマー(PB)が、シード粒子高分子(PA)に比べて、上記媒体(M)との親和性が低いか又は同等であるという条件が満たされているかどうかの判定は、例えば、シード粒子高分子(PA)の0.01重量%トルエン溶液と媒体(M)との界面張力をγAとし、ポリマー(PB)の0.01重量%トルエン溶液と媒体(M)との界面張力をγBとした場合に、γA<γBであるか又はγA=γBである関係を充足するかどうかを確認することにより行うことができる。
【0037】
更に、媒体(M)は、上記有機溶媒(S)を全く溶解しないものであるか実質上溶解しないことが要求される。即ち、媒体(M)は、有機溶媒(S)を溶解しないか又は部分溶解するものである。
【0038】
かかる媒体(M)としては、例えば、水溶性有機溶媒と少量の水との混合物が例示できる。水溶性有機溶媒としては、アセトン、アルコール、特に、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級飽和脂肪族アルコール等が使用でき、これらは1種単独で使用することもでき或いは2種以上を混合して使用することもできる。上記混合溶媒のうちでも、特に、炭素数1〜3の低級飽和脂肪族アルコール(特にメタノール、エタノール)80〜70重量%と水20〜30重量%とからなる混合溶媒が好ましい。
【0039】
媒体(M)の使用量は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、シードポリマー(PA)の微粒子100重量部に対して、500〜5000重量部、特に1000〜2000重量部であるのが好ましい。
【0040】
シード粒子としてのポリマー(PA)の微粒子を媒体(M)に分散させるには、分散剤をシード粒子に対して5wt%前後の量で使用して、常法に従って分散させればよい。分散剤としては、この分野で慣用されているものであれば特に限定なく使用できるが、例えば、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等を使用するのが好ましい。
【0041】
上記分散剤は、分散重合の際に使用する分散剤と同じであるのが好ましいが、異なっていてもよい。
【0042】
モノマー (B)
本発明で後重合に使用するモノマー(B)としては、次の条件を充足するようなモノマーである:
(i) 媒体(M)に溶解するモノマーであること、
(ii)該モノマー(B)から得られるポリマー(PB)が、シード粒子高分子(PA)に比
べて、上記媒体(M)との親和性が低いか又は同等であること、及び、
(iii)該モノマー(B)から得られるポリマー(PB)が、シード粒子高分子(PA)と
は異なること。
【0043】
ここで、ポリマー(PB)がシード粒子高分子(PA)に比べて上記媒体(M)との親和性が低いか又は同等であるという条件が満たされているかどうかの判定は、前記「媒体(M)」の項で記載したようにして行うことができる。
【0044】
また、モノマー(B)は、シード粒子高分子(PA)とは異なるポリマー(PB)を与えるものであり、特に、シード粒子高分子(PA)に比し、構成モノマーの種類及び/又は組成において異なるポリマー(PB)を与えるものが好ましく使用できる。
【0045】
より具体的には、モノマー(B)としては、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル、スチレン等に代表される芳香族ビニル、シアン化ビニル、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、ハロゲン化ビニル、共役ジエン、カルボン酸ビニルエステル及びエチレン性不飽和カルボン酸アミド等から選ばれるラジカル重合性モノマーを例示できる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0046】
上記モノマーのうちでも、特に、モノマー(B)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル等のアクリル酸のC1−C8アルキルエステル(特にC1−C4アルキルエステル)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸のC1−C8アルキルエステル(特にC1−C4アルキルエステル)、スチレン、α-メチルスチレン,ビニルトルエン,ジメチルスチレン等の芳香族ビニルが好ましい。
【0047】
モノマー(B)の使用量は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、シードポリマー粒子100重量部に対して、10〜200重量部、特に30〜70重量部であるのが好ましい。
【0048】
有機溶媒 (S)
本発明で使用する有機溶媒(S)は、シード高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、後重合するポリマー(PB)の良溶媒であることがまず必要である。換言すると、有機溶媒(S)は、シード高分子(PA)には吸収されにくいが、後重合により得られるポリマー(PB)には吸収されるような有機溶媒である。
【0049】
シード高分子(PA)と後重合するポリマー(PB)の特定の組み合わせに対して、いかなる有機溶媒が、本発明の有機溶媒(S)として使用できるか否かの判定は、有機溶媒(S)に、別途調製したポリマー(PA)とポリマー(PB)を添加し、どちらか一方のみを溶解するかどうかを観察することにより行うことができる。典型的には、貧溶媒は、シードポリマー(PA)を完全には溶解しないが若干は膨潤する溶媒であり、非溶媒はシードポリマー(PA)を実質上全く溶解しない溶媒である。また、良溶媒は、ポリマー(PB)を完全に溶解する溶媒である。
【0050】
また、溶媒(S)は、前記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機溶媒であることが必要である。溶媒(S)が媒体(M)に完全溶解してしまうとポリマー(PB)に吸収されるより媒体(M)中に存在している方が多くなり、一般的には、大きな深い凹部が出来なくなってしまう傾向がある。
【0051】
なお、有機溶媒(S)も、モノマー(B)を溶解するものであるのが好ましい。
【0052】
上記条件を充足する有機溶媒(S)としては、シード高分子(PA)とモノマー(B)との組み合わせにより広い範囲のものを使用できる。特に、シード高分子(PA)が(メタ)アクリル酸C1−C8アルキルエステルのポリマーであり、モノマー(B)がスチレン等の前記芳香族ビニルである場合、有機溶媒(S)としては、シクロヘキサン等の炭素数5〜8程度の単環式の環状アルカン又はデカリン等の炭素数8〜12程度の二環式の環状アルカン等が好ましく使用できる。また、シード高分子(PA)がスチレン等の前記芳香族ビニルのポリマーであり、モノマー(B)が(メタ)アクリル酸C1−C8アルキルエステルである場合、有機溶媒(S)としては、オクタノール等の炭素数7〜12程度の飽和脂肪族高級アルコール等が好ましく使用できる。
【0053】
有機溶媒(S)の使用量は、広い範囲から適宜選択すればよいが、一般には、シード高分子(PA)の微粒子100重量部に対して、10〜1000重量部、特に50〜300重量部、殊に100〜200重量部とするのが好ましい。
【0054】
開始剤
本発明で使用する開始剤としては、上記媒体(M)に溶解し、ラジカル重合性のモノマーの重合を開始させる開始剤であれば、特に限定されることなく使用できる。
【0055】
開始剤としては、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、tert-ブチルパーオキサイド等の過酸化物、レドックス系の開始剤等が使用できる。
【0056】
重合開始剤の使用量は、モノマー(B)の重合に有効な量であれば特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、モノマー(B)100重量部に対して、0.1〜5重量部、特に0.5〜2重量部であるのが好ましい。
【0057】
分散剤
本発明で使用する分散剤は、シード粒子の分散状態を安定化する目的で使用する。分散剤としては、従来から分散重合を行うに当たって慣用されている分散剤がいずれも使用でき、特に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が使用できるが、これらに限定されない。
【0058】
また、上記分散剤としては、シード粒子を製造する際に使用した分散剤をそのまま使用することができ、或いは、シード粒子製造後に追加的に添加してもよい。
【0059】
分散剤の使用量は、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、シード粒子100重量部に対して1〜20重量部、特に3〜10重量部とするのが好ましい。
【0060】
シード分散重合
本発明では、前記従来法とは異なり、モノマー(B)をシード高分子(PA)に吸収させる工程を行うことなく、シード分散重合を行う。即ち、上記シード粒子としての高分子(PA)の微粒子を分散させた媒体(M)に、モノマー(B)、有機溶媒(S)及び重合開始剤及び分散剤を添加し、得られた系をシード分散重合法に供することよりモノマー(B)を重合させる。
【0061】
重合は、上記系を撹拌下加熱することにより行われる。撹拌条件は特に限定されないが、例えば、50〜200rpm程度の回転速度を有する撹拌装置を用いて行うのが好ましい。重合温度としては、使用するモノマー(B)の種類等に応じて広い範囲から選択できるが、一般には、30〜90℃、特に40〜70℃とするのが好ましい。重合時間は、重合条件により変わり得るが、一般には、3〜24時間程度である。重合は、不活性ガス、例えば窒素ガス、アルゴンガス等の雰囲気中で行うのが好ましい。
【0062】
この重合反応により、ポリマー(PB)及び有機溶媒(S)を含有するドメインが多数表層部に形成されたポリマー(PA)の微粒子である複合高分子微粒子が生成する。シード分散重合反応終了後、得られた複合高分子微粒子を重合反応混合物から単離する。単離方法としては、従来から慣用されている方法、例えば、濾過、遠心分離等が使用できる。
【0063】
単離後、得られた複合高分子微粒子から、溶媒(S)の除去処理を行う。該除去処理としては、単離された複合高分子微粒子から溶媒(S)が除去できる限り、どのような方法でもよく、例えば、乾燥処理、溶媒を用いた洗浄又は抽出処理等を採用できる。
【0064】
上記乾燥処理としては、ドメイン12から有機溶媒(S)が蒸発すると共にポリマー(PB)の層がドメイン12の底部に付着して凹部ないしくぼみ16が形成される方法であればどのような条件でもよく、例えば、温度0〜90℃程度、圧力1〜1×105 Pa程度の減圧又は常圧で、所望の深さの凹部が形成されるまで、乾燥する方法を例示できる。
【0065】
また、上記溶媒を用いた洗浄又は抽出処理は、所望の深さの凹部が形成されるまで、上記複合高分子微粒子を、上記溶媒(S)とのなじみのよい有機溶媒に、浸漬等の方法で接触させればよい。
【0066】
上記除去処理を行うと、図3のドメイン12から有機溶媒(S)が除去されると共にポリマー(PB)の層がドメイン12の底部に付着して凹部ないしくぼみ16が形成され、こうして本発明の表面凹部を多数有するゴルフボール状高分子微粒子18が容易に製造される。
【0067】
本発明のゴルフボール状高分子微粒子
こうして得られる本発明のゴルフボール状高分子微粒子は、表面に多数の凹部ないしくぼみを有するものである。「多数」とは、2個以上であるが、本発明のゴルフボール状高分子微粒子は、一般には、一つの微粒子当たり、50〜400個程度、特に60〜200個程度の凹部ないしくぼみを有している。
【0068】
また、上記多数の凹部ないしくぼみは、ほぼ規則的に本発明微粒子の表面に配列されている。凹部ないしくぼみの形態は、粒子の中心に向かって椀状にへこんだ形態である。
【0069】
凹部ないしくぼみは、その開口部の直径(高分子微粒子の表面の開口部の直径)が小さいものから大きいものまでの種々の直径を有する凹部が混在しているが、凹部開口部の平均直径(高分子微粒子の表面の開口部の平均直径)は、一般には、10〜500nm程度、特に、50〜400nmである。凹部ないしくぼみの平均深さは5〜250nm程度、特に25〜200nmである。
【0070】
尚、本明細書において、凹部平均直径及び平均深さは、粒子超薄切片の電子顕微鏡写真の画像解析法により求めた値である。
【0071】
また、本発明の凹部を有するゴルフボール状高分子微粒子は、その凹部が従来品に比べて深いという特徴がある。即ち、従来法で製造されたゴルフボール状微粒子にあっては、凹部の開口部直径(d)に比べて、深さ(f)が約1/4以下と小さく、f/d=約0.25以下、特に0.1〜0.25程度であるの対して、本発明の高分子微粒子にあっては、凹部直径(D)に対する深さ(F)の比は、凹部の直径を問わずほぼ一定であり、凹部直径(D)に対する深さ(F)の比F/Dは、通常、0.5以上、特に0.5〜1程度になっている。
【0072】
このように、本発明で得られるゴルフボール状高分子微粒子において、凹部ないしくぼみの大きさ及び深さが十分なものであるため、従来法のように、ポリマー(PB)の層を選択的に溶解する溶媒で溶解除去する工程が不要である。勿論かかる工程を行ってもよいが、通常その必要性は低い。
【0073】
本発明製造法においては、得られるゴルフボール状微粒子の平均粒子径は、原料として用いたシードポリマー(PA)の平均粒子径とほぼ同様であるか若干大きいのが通常である。従って、本発明では、1μm未満のサブミクロンサイズ(例えば、50〜900nm程度)のゴルフボール状高分子微粒子も製造でき、また、平均粒子径が1〜50μm程度、特に1〜10μm程度のミクロンサイズのゴルフボール状高分子微粒子も製造できる。更に大きい粒子径のものも製造可能である。
【0074】
本発明のゴルフボール状高分子微粒子は、真球状の有機顔料に比し、高い光散乱能を有するため白色度、隠蔽力が高く、有機顔料として有用であり、また、多数の凹部ないしくぼみを有している結果、比表面積が大幅に大きくなるため、診断薬用担体、化粧品分野等において有利に使用できる。
【0075】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明をより一層詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0076】
実施例1 本発明のゴルフボール状高分子微粒子の製造
シード高分子(PA)として、分散重合法により製造したポリメタクリル酸メチル粒子(平均粒子径=1.64μm、重量平均分子量=300000)0.5gを、媒体(M)としてのメタノール/水(4/1、W/W)混合媒体12gに分散させた。分散剤としてはポリビニルピロリドンを0.03g使用した。得られた分散液に、モノマー(B)としてスチレン0.3g、有機溶媒(S)としてデカリン0.9g及び開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.02gを溶解させた。次いで、窒素ガス雰囲気中50℃で24時間撹拌させて、シード分散重合を完了させた。
【0077】
得られた重合反応混合物から、生成高分子微粒子を、遠心分離機を用いて単離し、圧力1×105Pa、温度25℃にて減圧乾燥することにより、本発明の凹部を多数有する高分子微粒子を得た。
【0078】
得られた高分子微粒子のSEM写真を図5に示す。得られた高分子微粒子は、平均粒子径2μm、高分子微粒子1個当たりの凹部の平均数130個、凹部平均直径100nm、凹部平均深さは凹部平均直径の1/2以上(最大深さは凹部平均直径の約1倍)であった。
【0079】
比較例1
有機溶媒(S)としてのデカリンを使用しない以外は実施例1と同様にして分散重合を行ない、重合反応混合物から生成高分子微粒子を実施例1と同様にして単離し、乾燥した。こうして得られた高分子微粒子には、表面凹部が全く観察されなかった。
【0080】
実施例2
(1)シード高分子微粒子の製造
メタクリル酸メチル24g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.36g、ポリビニルピロリドン5.6g、トリカプリルトリメチルアンモニウムクロライド1.6g、メタノール179.2g及び水44.8gからなる系を、窒素雰囲気中、46℃で、120rpmの撹拌条件下、24時間重合を行うことにより、シード高分子微粒子(平均粒子径=1.64μm、重量平均分子量=300000)を得た。
【0081】
(2) 本発明のゴルフボール状高分子微粒子の製造
シード高分子(PA)として、上記(1)で製造したポリメタクリル酸メチル粒子(平均粒子径=1.64μm、重量平均分子量=300000)0.6gを、媒体(M)としてのメタノール9.6g及び水2.4gからなる混合媒体に分散させた。分散剤としては、ポリビニルピロリドンを0.03g使用した。
【0082】
得られた分散液に、モノマー(B)としてスチレン0.3g、有機溶媒(S)としてデカリン0.3g(a)、0.6g(b)、0.9g(c)又は1.2g(d)及び開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4.7mgを溶解させた。
【0083】
窒素ガス雰囲気中60℃で120rpmの撹拌条件下24時間撹拌させて、シード分散重合を完了した。
【0084】
得られた重合反応混合物から、生成高分子微粒子を、遠心分離器を用いて単離し、圧力1×105Pa、温度25℃にて減圧乾燥することにより、本発明の凹部を多数有する高分子微粒子を得た。
【0085】
得られた高分子微粒子のSEM写真を図6の(a)〜(d)に示す。図6の(a)〜(d)は、デカリンの使用量(a)〜(d)に対応するものであり、図6において、ポリメタクリル酸メチル/デカリンの重量比は、(a)2/1、(b)1/1、(c)2/3及び(d)1/2である。なお、図6(a)の拡大図を、図7に示す。また、これら(a)〜(d)の重量比で得られた高分子微粒子の平均粒子径、高分子微粒子1個当たりの凹部の平均数、凹部平均直径、凹部平均深さを下記表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0003861162
【0087】
図6の(a)〜(d)及び表1からみて、明瞭な凹部ないしくぼみを有するゴルフボール状高分子微粒子を得る観点からは、デカリンの使用量を、シード高分子(PA)100重量部に対して、50〜200重量部又はそれ以上とすることが好ましいことが判る。
【0088】
比較例2
特開平6−287244号の実施例2の方法に準じて、下記操作を行い、従来のゴルフボール様高分子複合微粒子を製造した。
(1)ポリスチレン粒子の作製
水/エタノール(25/75、重量/重量)混合媒体中、70℃、N2雰囲気中でスチレンを乳化剤の不存在下に乳化重合して、ポリスチレン粒子のエマルジョンを得た。
(2)アクリル酸ブチルのシード重合
上記(1)で得たポリスチレン微粒子のエマルジョン6g(固形分換算)にアクリル酸ブチル2570mgを混合し、0℃で24時間放置し、アクリル酸ブチルをポリスチレン粒子に吸収させて膨潤微粒子とした。その後、過硫酸カリウム200mgを開始剤として、エタノール/水(10/90、重量/重量)混合媒体中で70℃、24時間重合を行いポリスチレン/ポリアクリル酸ブチル複合微粒子を得た。
【0089】
該微粒子の物性は、平均粒径:600nm、平均凹部数:50個、平均凹部直
径:80nm、凹部の平均深さ:20nmであった。
【0090】
【発明の効果】
本発明では、次のような優れた効果が奏される:
(1)本発明製造法により得られるゴルフボール状高分子微粒子において、凹部
ないしくぼみの大きさ及び深さが十分なものである。
【0091】
(2)そのため、本発明製造法では、通常、ポリマー(PB)の層を選択的に溶解す
る溶媒で溶解除去する工程が実質上必要とされない。
【0092】
(3)更に、本発明製造法により得られる凹部ないしくぼみが深いので、光散乱性が高く、比表面積が高い。そのため、本発明製造法で得られるゴルフボール状高分子微粒子を有機顔料として使用した場合、白色度、隠蔽力が高く、
また、物質の吸着能が高く、担体として有用性が高い。
【0093】
(4)シード高分子(PA)にモノマー(B)を吸収させる必要がないので、単に前記 各成分を用いてシード分散重合を行うだけで、容易に且つ効率よくゴルフボ
ール状高分子微粒子を製造できる。
【0094】
(5)シード高分子(PA)の粒子径を選択することにより、サブミクロンサイズの小さな平均粒子径を有するゴルフボール状高分子微粒子のみならず、平均粒子径が1〜50μm、特に1〜10μmのゴルフボール状高分子微粒子を製造することができる。また、シード高分子(PA)が単分散状態で用いることにより、得られる本発明のゴルフボール状高分子微粒子も単分散状態とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のシード乳化重合法によるゴルフボール状微粒子の生成機構を示す模式図である。
【図2】本発明のシード分散重合法において、モノマー(B)の重合に伴いポリマー(PB)が析出してシード粒子に付着した状態を示す模式図である。
【図3】本発明のシード分散重合法において、シードポリマーの粒子及びその表面から内側に入り込んだドメインを示す模式図である。
【図4】本発明のシード分散重合法により得られる、表面に凹部を有する高分子微粒子の模式図である。
【図5】実施例1で得られた本発明の表面に凹部を有する高分子微粒子の構造を示す図面代用写真である。
【図6】実施例2で得られた本発明の表面に凹部を有する高分子微粒子の構造を示す図面代用写真であり、図6の(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、ポリメタクリル酸メチル/デカリンの重量比=2/1、1/1、2/3及び1/2で得られた高分子微粒子を示す。
【図7】図6の(a)の拡大図である。
【符号の説明】
1 シード粒子
2 ドメイン
3 モノマー吸収ドメイン
4 くぼみ
10 シード粒子
12 ドメイン
14 ポリマー(PB)の層
16 凹部ないしくぼみ
18 本発明のゴルフボール状高分子微粒子

Claims (5)

  1. 高分子(PA)の微粒子をシード粒子として分散させた媒体(M)において、
    (i) 該媒体(M)に溶解するモノマーであって、シード粒子高分子(PA)とは異なると共にシード粒子高分子(PA)との間に下記の関係を有するポリマー(PB)を与えるモノマー(B)、
    ポリマー (PB) :シード粒子高分子 (PA) 0.01 重量%トルエン溶液と媒体( M) との界面張力をγ A とし、ポリマー (PB) 0.01 重量%トルエン溶液と媒体( M) との界面張力をγ B とした場合に、γ A <γ B であるか又はγ A =γ B である関係を充足する
    (ii)シード粒子高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、ポリマー(PB)の良溶媒であって、且つ、上記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機溶媒(S)、
    (iii)上記媒体(M)に溶解する重合開始剤、及び
    (iv)分散剤
    を存在させ、シード分散重合法によりモノマー(B)を重合させ、得られる複合高分子微粒子中の溶媒(S)の除去処理を行うことを特徴とする表面に多数の凹部を有する高分子微粒子の製造方法。
  2. シード粒子としての高分子(PA)の微粒子が、単分散状態にある請求項1に記載の製造方法。
  3. シード粒子高分子(PA)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル及び芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーから得られるポリマー又はコポリマーであり、
    媒体(M)が、(a)アセトン及び炭素数1〜3の低級飽和脂肪族アルコールから選ばれた少なくとも1種の水溶性有機溶媒と少量の水との混合溶媒であり、
    モノマー(B)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル、芳香族ビニル、シアン化ビニル、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、ハロゲン化ビニル、共役ジエン、カルボン酸ビニルエステル及びエチレン性不飽和カルボン酸アミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であって、且つ、シードポリマー(PA)とは異なるポリマー(PB)を与えるモノマーであり、
    有機溶媒(S)が、上記シード粒子高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、上記ポリマー(PB)の良溶媒であって、且つ、上記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機溶媒である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. シード高分子(PA)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル及び芳香族ビニルから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーから得られるポリマー又はコポリマーであり、
    媒体(M)が、(a)炭素数1〜3の低級飽和脂肪族アルコールから選ばれた少なくとも1種80〜70重量%と水20〜30重量%とからなる混合溶媒であり、
    モノマー(B)が、アクリル酸のC1−C8アルキルエステル、メタクリル酸のC1−C8アルキルエステル及び芳香族ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種であって、且つ、シードポリマー(PA)とは異なるポリマー(PB)を与えるモノマーであり、
    有機溶媒(S)が、上記シード粒子高分子(PA)の貧溶媒又は非溶媒であるが、上記ポリマー(PB)の良溶媒であって、且つ、上記媒体(M)に不溶であるか又は部分溶解する有機溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 表面に多数の凹部を有する高分子微粒子の平均粒子径が、50nm〜50ミクロンである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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