JP3853077B2 - 分散法スタンパブルシートの膨張成形体および分散法スタンパブルシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散法スタンパブルシートの膨張成形体、および分散法スタンパブルシートに関する。特に、本発明は、80℃の温度下でも、表皮の接着性に優れる分散法スタンパブルシートの膨張成形体、およびこれを得るのに好適な分散法スタンパブルシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の成形上の優れた特性を生かしつつ高強度および高剛性を付与した繊維強化熱可塑性樹脂複合材として、スタンパブルシート(繊維強化熱可塑性樹脂シート)が知られている。
【0003】
このスタンパブルシートを得るための代表的な製造方法として、分散法があり、この分散法は、さらに乾式分散法と湿式分散法に大別される。
乾式分散法は、不連続繊維と熱可塑性樹脂粒子を気相中で分散させて不織布状の堆積物(ウエブ)を形成し、これを加熱加圧してシート状に固化させることにより、スタンパブルシートを製造する方法である(例えば、特開平2−169632号公報参照)。
一方、湿式分散法は、抄紙技術を応用したスタンパブルシートの製造方法であり、不連続繊維と熱可塑性樹脂粒子を液相中で分散させて不織布状の堆積物(ウエブ)を形成し、これを加熱加圧してシート状に固化させる方法である(例えば、特公昭55−9119号公報、特開昭60−58227号公報等参照)。
【0004】
この分散法によって得られるスタンパブルシート(分散法スタンパブルシート)は、シート状の成形材料であり、マトリックスを構成する熱可塑性樹脂の融点以上に加熱された後、所望の形状に賦形される。
【0005】
この分散法スタンパブルシートの成形方法としては、従来から膨張成形法が知られている(例えば、特開平4−33138号公報参照)。この膨張成形法は、分散法スタンパブルシート特有の性質を利用した成形方法であり、加熱した分散法スタンパブルシートを金型内に供給し、得られる成形品内に空隙が残存するように、金型のクリアランスを調整して圧縮し、冷却固化する方法である。これは、分散法スタンパブルシートにおいては、補強用繊維が単繊維に解繊して積み重なった状態で存在しているため、マトリックスである熱可塑性樹脂を溶融させると、補強用繊維の剛性などにより元のウエブの状態に戻ろうとして、ウエブの厚さ近くまで厚みが回復する特有の現象を示す性質を利用するものである。
【0006】
そして、この膨張成形法により得られる成形品は、膨張成形体と称される。この膨張成形体は、補強用繊維がランダムな方向に分散して交絡した三次元網目状の構造をなし、交差した補強用繊維の交点が熱可塑性樹脂により接着された、多孔質状の構造をなすものである。
【0007】
最近では、前述の膨張成形体が、自動車の天井用内装材料等の用途に使用されることも多くなっている。このような用途では、膨張成形品を基材とし、その少なくとも片面に、不織布やレザーなどを表皮として接着してなる部材を、自動車のの天井に装着するなどして使用されるのが一般的である。例えば、自動車の天井用内装材料として用いる場合、
(1)基材に貼合される表皮との接着性
(2)非通気性(注:基材の厚み方向に空気の流れが生じると、表皮の表面が汚れる。このため、非通気層を設けることで、表皮の表面の汚れを防止する。)が要求される。
【0008】
そこで、これらの要求を満足させる技術が、特開平8−229941号公報に提案されている。この技術は、スタンパブルシートの表面に3層フィルムを積層し、加熱して、製造したものであり、最外層のフィルムが表皮との接着剤として、中間層のフィルムが非通気層として働くものである。この技術によっては、非通気性と室温での表皮の剥離強度については満足できる特性を有するものが得られる。
【0009】
しかし、従来の膨張成形体は、スタンパブルシートと表皮を接着させるために、スタンパブルシートの外面に配設される接着剤層は、単一の層からなり、しかも融点が低い、例えば、90〜110℃の融点の接着剤からなるものであるため、常温での表皮の剥離強度は十分に満足できるものであったが、高温、例えば、80℃での剥離強度は不十分なものであった。自動車の車内の温度が、夏場には、80℃近くまで上昇するため、高温での表皮の接着性も重要になる。また、接着剤層が、高融点、例えば、融点が120〜130℃の接着剤からなる単一の層である場合は、常温および高温の両温度域において、表皮の剥離強度が不十分なものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、曲げ特性および非通気性においては従来品と同等の特性を有するとともに、室温のみならず、80℃における表皮の剥離強度に優れる膨張成形体、ならびにその膨張成形体を得るための材料として好適な分散法スタンパブルシートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、鋭意検討した結果、接着樹脂層を、融点の異なる2つの熱可塑性樹脂からなる2層構成とし、低融点の熱可塑性樹脂からなる層を外層に配置した構造の膨張成形体が、室温のみならず、80℃での表皮の剥離強度に優れるものを得ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は、補強用繊維および熱可塑性樹脂(r−1)を主成分とする多孔質材層と、該多孔質材層の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、前記熱可塑性樹脂(r−1)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−b)からなる第1接着性樹脂層(B)とを有し、さらに、該第1接着性樹脂層(B)の上層に前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなる第2接着性樹脂層(C)を有する分散法スタンパブルシートの膨張成形体を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記第2接着性樹脂層(C)の外面に、表皮層を有する分散法スタンパブルシートの膨張成形品をも提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、前記膨張成形体を得るために好適な材料として、熱可塑性樹脂(r−1)からなる基体中に補強用繊維が分散してなる繊維強化熱可塑性樹脂材料と、該繊維強化熱可塑性樹脂材料の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、前記熱可塑性樹脂(r−1)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−b)からなる第1接着性樹脂層(B)と、該第1接着性樹脂層(B)の上層に前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなる第2接着性樹脂層(C)とを有する分散法スタンパブルシートをも提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の膨張成形体および分散法スタンパブルシートについて詳細に説明する。
【0016】
本発明の膨張成形体は、多孔質材層と、該多孔質材層の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された第1接着性樹脂層と、さらに、その第1接着性樹脂層の上に積層された第2接着性樹脂層とを有するものである。
【0017】
本発明の膨張成形体において、多孔質材層は、補強用繊維と熱可塑性樹脂(r−1)を主成分とするものである。
多孔質材層を構成する成分である補強用繊維としては、無機繊維または有機繊維のいずれを用いてもよいし、これらを複合した繊維でもよい。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維やステンレス繊維などの金属繊維等が挙げられる。有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、木質繊維等が挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられる。これらの中でも、特に、低コストで高い補強効果が得られることから、ガラス繊維を用いることが好ましい。
【0018】
この補強用繊維の繊維長は、補強効果、膨張性、賦形性を確保するという点から、5〜30mmが好ましく、さらに好ましくは10〜26mmである。また、補強用繊維の直径は、補強効果と膨張性を確保するという点から、5〜30μmが好ましく、さらに好ましくは10〜25μmである。
また、補強用繊維と熱可塑性樹脂との濡れ性や接着性を改良するために、シランカップリング剤などによる処理が施されることが好ましい。
【0019】
多孔質材層のもう1つの主成分である熱可塑性樹脂(r−1)は、多孔質材層のマトリックスを構成する成分であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタールなど、あるいはエチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の共重合体、EPM、EPDM等の熱可塑性エラストマーなどを1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が、強度、剛性、成形性に優れることから、好ましく、特に、これらの特性のバランスがとれ、かつ、低価格であることから、ポリプロピレンが好ましい。さらに、ポリプロピレンの中でも、MFR(測定条件;JIS K6758に準拠、210℃、2.16kgf)が、1〜200g/10分の範囲のものが、強度、剛性および成形性の点から、好ましい。
【0020】
さらに、補強用繊維と熱可塑性樹脂(r−1)の接着性を向上させるために、熱可塑性樹脂(r−1)を、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物等の酸、エポキシ化合物等の種々の化合物で変性処理したものを併用することができる。変性は、グラフト共重合等によって行うことができる。例えば、ポリプロピレンに、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸等をグラフト共重合して得られる、分子内に酸無水物基、カルボキシル基等の変性基を有するものが、強度向上の点から、好ましい。
【0021】
本発明の膨張成形体において、多孔質材層における補強用繊維と熱可塑性樹脂(r−1)の含有割合は、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的強度の高い膨張成形体が得られることから、補強用繊維/熱可塑性樹脂(r−1)の重量比が、10/90〜70/30の範囲内が好ましい。
【0022】
また、多孔質材層の密度は、膨張成形における金型のクリアランスにより調整され、成形品全体の強度(耐荷重性)および剛性を高くすることができることから、好ましくは1〜0.1g/cm3 以下、より好ましくは0.8〜0.2g/cm3 である。
【0023】
本発明の膨張成形体は、この多孔質材層の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)を有するものである。非通気性樹脂層(A)は、多孔質材層の片面のみに積層されていてもよいし、両面に積層されていてもよい。この非通気性樹脂層(A)は、膨張成形体の非通気性を確保するとともに、この非通気性樹脂層の上層に積層される第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)を構成する熱可塑性樹脂(r−b)および(r−c)が多孔質材層中に含浸されるのを防止する役割を有するものである。なお、本発明において、非通気性とは、ASTM−D737に準拠して測定された通気度が0cc/cm2 ・secであるものをいう。
【0024】
この非通気性樹脂層(A)を構成する樹脂は、特に制限されず、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれの樹脂でもよい。特に、成形性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、前記の多孔質材層の主成分として用いられるものと同じものが使用できる。特に、分散法スタンパブルシートまたは膨張成形体の製造等の際の成形温度において溶融しないものが好ましく、さらに好ましくは、膨張成形体の多孔質材層の主成分である熱可塑性樹脂(r−1)よりも融点の高いものが好ましい。例えば、多孔質材層の熱可塑性樹脂(r−1)がポリプロピレンである場合には、非通気性樹脂層をポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等で構成することが好ましい。
【0025】
本発明の膨張成形体において、この非通気性樹脂層の厚さは、非通気性を確保するために、5μm以上が好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
【0026】
本発明の膨張成形体は、非通気性樹脂層(A)の上に、第1接着性樹脂層(B)と、さらにその上に積層された第2接着性樹脂層(C)とを有するものである。
第1接着性樹脂層(B)は、前記多孔質材層を構成する熱可塑性樹脂(r−1)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−b)からなるものである。特に、この熱可塑性樹脂(r−b)は、融点が110℃以上のものが好ましく、より好ましくは110〜120℃の範囲のものである。
【0027】
この熱可塑性樹脂(r−b)としては、前記の融点を有するものであれば、特に限定されない。例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系化合物等の化合物を1種単独または2種以上の組合せで含む、ホモ重合体または共重合体などが挙げられる。この熱可塑性樹脂(r−b)の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、あるいはエチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の共重合体などを挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂(r−b)は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
さらに、この熱可塑性樹脂(r−b)は、MFR(測定条件;JIS K6758に準拠、190℃、2.16kgf)が、3〜50g/10分の範囲のものが、接着性に優れることから、好ましい。
【0029】
また、本発明の膨張成形体において、第1接着性樹脂層の厚さは、接着性を確保するために、10μmが好ましく、さらに好ましくは20〜100μmの範囲である。
【0030】
さらに、本発明の膨張成形体は、前記第1接着性樹脂層(B)の上層に、さらに第2接着性樹脂層(C)を有するものである。この第2接着性樹脂層(C)は、前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなるものである。
この第2接着性樹脂層(C)は、前記第1接着性樹脂層(B)を構成する熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなるものである。特に、この熱可塑性樹脂(r−c)は、接着性を確保するために、融点が90℃以上のものが好ましく、さらに好ましくは90〜120℃の範囲のものである。
【0031】
この熱可塑性樹脂(r−c)としては、前記の融点を有するものであれば、特に限定されない。この熱可塑性樹脂(r−c)の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、あるいはこれらのオレフィンの共重合体や、アクリル酸、無水マレイン酸などで変性したものなどを挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂(r−c)は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
さらに、この熱可塑性樹脂(r−c)は、MFR(測定条件;JIS K678に準拠、190℃、2.16kgf)が、5〜100g/10分の範囲のものが、接着性に優れることから、好ましい。
【0033】
また、本発明の膨張成形体において、接着性を確保するために、第2接着性樹脂層の厚さは、通常、10μm以上が好ましく、さらに好ましくは20〜100μmの範囲である。
【0034】
本発明の膨張成形体は、図1に一例を示すとおり、補強用繊維と熱可塑性樹脂を主成分とする多孔質材層1の上層に非通気性樹脂層(A)2を有し、その非通気性樹脂層(A)2の上層に第1接着性樹脂層(B)3を有し、さらにその第1接着性樹脂層(B)3の上層に第2接着性樹脂層(C)4を有するものである。多孔質材層1が非通気性樹脂層2と接する部分(図1中に交叉する斜線で示す部分)には、熱可塑性樹脂(r−1)に富む層5が形成されることが好ましい。これにより、非通気性樹脂層(A)2と多孔質材層1との接着が強固になったり、膨張成形品の剛性が高くなる。
【0035】
また、本発明の膨張成形体は、第2接着性樹脂層(C)の外面に、さらに表皮層を有するものでもよい。例えば、図2に一例を示すとおり、補強用繊維と熱可塑性樹脂を主成分とする多孔質材層1の上層に非通気性樹脂層(A)2を有し、その非通気性樹脂層(A)2の上層に第1接着性樹脂層(B)3を有し、さらにその第1接着性樹脂層(B)3の上層に第2接着性樹脂層(C)4を有し、その第2接着性樹脂層(C)4の外面に表皮層6を有するものでもよい。本発明の膨張成形体において、この表皮層6は、膨張成形体の表面加飾、クッション性の付与、断熱性の付与等の種々の目的に応じて適宜配設される。この表皮層6は、膨張成形体の製造時に、溶融したり破れたりしないように耐熱性を有するものが好ましい。また、多孔質材層1が非通気性樹脂層(A)2と接する部分(図2中に交叉する斜線で示す部分)には、熱可塑性樹脂(r−1)に富む層5が形成されることが好ましい。これにより、非通気性樹脂層(A)2と多孔質材層1との接着が強固になったり、膨張成形品の剛性が高くなる。さらに、表皮層6を接着させる場合には、まず、第2接着性樹脂層(C)4を構成する熱可塑性樹脂(r−c)が融解して、表皮層6が濡れる。そして、熱可塑性樹脂(r−c)によって濡れた表皮層6は、第1接着性樹脂層(B)3との濡れ性が向上し、第1接着性樹脂層(B)3を構成する熱可塑性樹脂(r−b)が融解するとともに、表皮層6中への含浸が十分に促進される。そのため、室温のみならず、高温(80℃)における表皮の剥離強度の向上を実現することができる、と考えられる。
【0036】
本発明の膨張成形体に積層される表皮層を形成する表皮材の具体例としては、天然および合成繊維を素材とした織布、ニードルパンチ等を行った有機繊維不織布、起毛織布、編布、植毛布等(以下、「布等」と略する)、あるいはポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性オレフィン(TPO)、熱可塑性ポリエステルおよびエラストマー等からなる熱可塑性樹脂シートなど(以下、「シート等」と略する)が挙げられる。さらに、布等、シート等の(第2接着性樹脂層との)貼合面に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の樹脂発泡体、ポリアミド系、変性ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリオレフィン系等のフィルムが積層されていたり、さらにホットメルト接着剤が塗布されていていてもよい。特に、表皮層が第2接着性樹脂層または第1接着性樹脂層中にくい込む、または熱可塑性樹脂(r−b)または(r−c)が表皮に含浸されることにより、表皮層と接着性樹脂層との接着が良好になることから、表皮としては布等が特に好ましい。
また、表皮層の外面(非貼合面)には、シボ等の凹凸模様、印刷などが施されていてもよく、特に限定されない。
【0037】
本発明の膨張成形体の製造方法は、特に制限されず、従来、分散法スタンパブルシートの膨張成形体を製造するために常用されている膨張成形法にしたがって行うことができる。例えば、図1に示すような、表皮を有しない膨張成形体を製造するための好ましい方法として、下記の(a)〜(f)の方法が挙げられる。
(a)予め、熱可塑性樹脂(r−1)からなる基体中に補強用繊維が分散してなる繊維強化熱可塑性樹脂材料と、該繊維強化熱可塑性樹脂材料の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、前記熱可塑性樹脂(r−1)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−b)からなる第1接着性樹脂層(B)と、該第1接着性樹脂層(B)の上層に前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなる第2接着性樹脂層(C)とを有する分散法スタンパブルシートを製造しておき、この分散法スタンパブルシートを膨張成形する方法。
【0038】
(b)前記繊維強化熱可塑性樹脂材料に、本発明の膨張成形体の非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)のそれぞれを形成するための複数のフィルム層を有する多層フィルムを、非通気性樹脂層(A)を形成するフィルム層が、繊維強化熱可塑性樹脂材料側になるように積層して膨張成形用積層体を構成した後、この膨張成形用積層体を膨張成形する方法。
(c)予め繊維強化熱可塑性樹脂材料を、膨張成形して多孔質体を形成した後、該多孔質体の上に、本発明の膨張成形体の非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)のそれぞれを形成するための複数のフィルム層を有する多層フィルムを、非通気性樹脂層(A)を形成するフィルム層が、多孔質体側になるように積層して貼合する方法。
このとき、前記の(b)および(c)の方法においては、多層フィルムと、多孔質材層との接着性を向上させるため、多層フィルムを加熱しておくと、好ましい。
これらの方法の中でも、生産性、ハンドリング性などの点から、(a)の方法が好ましい。
【0039】
また、図2に示すように、表皮を有する膨張成形体を製造するための好ましい方法として、下記の(d)〜(f)の方法が挙げられる。
(d)予め、熱可塑性樹脂からなる基体中に補強用繊維が分散してなる繊維強化熱可塑性樹脂材料と、該繊維強化熱可塑性樹脂材料の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、第1接着性樹脂層(B)と、第2接着性樹脂層(C)とを有する構造の分散法スタンパブルシートを製造しておき、この分散法スタンパブルシートに表皮を貼合した後、膨張成形する方法。
この方法においては、表皮の接着性を向上させるため、表皮も予熱しておくことが、好ましい。
(e)前記繊維強化熱可塑性樹脂材料に、本発明の膨張成形体の非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)のそれぞれを形成するための複数のフィルム層を有する多層フィルムを、非通気性樹脂層(A)を形成するフィルム層が、繊維強化熱可塑性樹脂材料側になるように積層し、さらにその上層に表皮を積層して、膨張成形する方法。
【0040】
(f)予め、繊維強化熱可塑性樹脂材料を膨張成形して多孔質体を形成した後、該多孔質体の上に、本発明の膨張成形体の非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)のそれぞれを形成するための複数のフィルム層を有する多層フィルム、ならびに表皮を、非通気性樹脂層(A)を形成するフィルム層が、多孔質体側になるように積層し、さらにそのフィルム層の上に表皮を貼合させる方法。
前記の(e)および(f)の方法においては、多層フィルムと、多孔質材層との接着性、ならびに表皮と接着性樹脂層との接着性を向上させるため、表皮と多層フィルムを予熱しておくと、好ましい。
これらの方法の中でも、生産性、ハンドリング性などの点から、(d)の方法が好ましい。
【0041】
前記の(a)〜(f)の方法において、膨張成形は、被成形物を、膨張成形体の多孔質材層のマトリックスを構成する熱可塑性樹脂(r−1)の融点以上かつ分解点未満の温度(例えば、熱可塑性樹脂(r−1)としてポリプロピレンを用いた場合は、170〜230℃の範囲、好ましくは190〜210℃の範囲)に加熱した後、成形金型内に配置し、金型スペーサーの高さやプレスの型締め高さ等を調整し、圧縮することによって行うことができる。
【0042】
このとき、成形金型温度は、熱可塑性樹脂(r−1)の凝固点以下であればよく、ハンドリング性や生産性の点から、室温〜60℃が好ましい。また、成形圧力は、製品の形状により適宜調整されるが、過剰の圧力は補強用繊維を破断させるおそれがあるため、通常、0.5〜50kg/cm2 が好ましい。
【0043】
また、本発明は、前記の膨張成形体の製造に好適なスタンパブルシートとして、繊維強化熱可塑性樹脂材料と、該繊維強化熱可塑性樹脂材料の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、第1接着性樹脂層(B)と第2接着性樹脂層(C)とを有する分散法スタンパブルシートを提供するものである。この分散法スタンパブルシートにおいて、非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層および第2接着性樹脂層は、繊維強化熱可塑性樹脂材料の片面のみに積層されていてもよいし、両面に積層されていてもよく、膨張成形体の用途等に応じて適宜選択される。
【0044】
この分散法スタンパブルシートの構造の一例として、図3に示すものが挙げられる。この図3に示す分散法スタンパブルシート7は、熱可塑性樹脂からなる基体中に補強用繊維が分散してなる繊維強化熱可塑性樹脂材料8と、該繊維強化熱可塑性樹脂材料8の上層に積層された非通気性樹脂層(A)9と、該非通気性樹脂層(A)9の上に積層された第1接着性樹脂層(B)10と、さらに第1接着性樹脂層(B)10の上層に積層された第2接着性樹脂層(C)11とを有するものである。また、繊維強化熱可塑性樹脂材料8が非通気性樹脂層(A)9と接する部分(図3中に交叉する斜線で示す部分)には、熱可塑性樹脂(r−1)に富む層12が形成されることが好ましい。これにより、繊維強化熱可塑性樹脂材料8と非通気性樹脂層(A)9との接着が強固になったり、膨張成形して得られる膨張成形品の剛性が高くなる。
【0045】
本発明の分散法スタンパブルシートを構成する繊維強化熱可塑性樹脂材料は、湿式分散法および乾式分散法のいずれの方法で製造されたものでもよい。特に、補強用繊維および熱可塑性樹脂(r−1)の粒子が均一に分散したウエブが得られるため、補強用繊維の間に熱可塑性樹脂が均一に含浸して、均質な繊維強化熱可塑性樹脂材料が得られる点で、湿式分散法で製造されたものが好ましい。例えば、予め、繊維強化熱可塑性樹脂材料を単独で製造する場合には、補強用繊維のチョップドストランドと、粒子状や繊維状の熱可塑性樹脂(r−1)とを、泡液や界面活性剤水溶液に分散させ、この堆積物を乾燥して、ウエブを得る。このウエブは、補強用繊維と熱可塑性樹脂(r−1)等から構成され、補強用繊維の中に熱可塑性樹脂(r−1)が均一に分散したものである。次に、ウエブを、熱可塑性樹脂(r−1)の融点以上かつ分解点未満の温度(例えば、熱可塑性樹脂(r−1)としてポリプロピレンを用いた場合、170〜230℃、好ましくは190〜210℃)で加熱し、熱可塑性樹脂(r−1)を溶融させた後、冷却盤間で圧力(例えば、3〜50Kgf/cm2 )を加え、固化した繊維強化熱可塑性樹脂材料を得ることができる。
【0046】
また、本発明の分散法スタンパブルシートにおいて、繊維強化熱可塑性樹脂材料の少なくとも一面に積層する非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)は、前記の膨張成形体における非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)と同一のものである。
【0047】
本発明の分散法スタンパブルシートは、前記構造を有するものであれば、特に制限されず、いかなる方法で製造したものでもよい。ここで、図3に示す構造の分散法スタンパブルシートを製造するための好ましい方法として、下記の(g)および(h)の方法が挙げられる。
(g)前記ウエブの表面(片面または両面)に、非通気性樹脂層(A)、ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)を形成するための複数のフィルム層を有する多層フィルムを積層した後、加熱して熱可塑性樹脂(r−1)を溶融させた後、冷却盤間で圧力を加え、固化する方法。
(h)前記のようにして得られた繊維強化熱可塑性樹脂材料に、非通気性樹脂層(A)ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)を形成するための複数のフィルム層を有する多層フィルムを積層して、熱可塑性樹脂(r−1)および/または多層フィルムを加熱し、熱可塑性樹脂(r−1)を溶融させた後、冷却盤間で圧力を加え、固化する方法。
この2つの方法の中でも、生産性、ハンドリング性などの点から、(g)の方法が好ましい。
【0048】
これらの方法において、加熱温度は、ウエブまたは繊維強化熱可塑性樹脂材料に含まれる熱可塑性樹脂(r−1)の融点以上かつ分解点未満の温度(例えば、熱可塑性樹脂(r−1)としてポリプロピレンを用いた場合は、170〜230℃の範囲、好ましくは190〜210℃の範囲)であり、圧力は、例えば、3〜50Kgf/cm2 の範囲である。
【0049】
この分散法スタンパブルシートの製造において、用いられる多層フィルムは、本発明の膨張成形体の非通気性樹脂層(A)ならびに第1接着性樹脂層(B)および第2接着性樹脂層(C)のそれぞれを形成するための少なくとも3層のフィルム層を有するものである。
この多層フィルムの好ましいものとして、前記の熱可塑性樹脂(r−c)からなる第2接着性樹脂層(C)を形成するためのフィルム層(f−c)と、熱可塑性樹脂(r−b)からなる第1接着性樹脂層(B)を形成するためのフィルム層(f−b)と、非通気性樹脂層(A)を形成するためのフィルム層(f−a)と、繊維強化熱可塑性樹脂材料またはウエブの側に積層され、分散法スタンパブルシートの製造時に溶融する樹脂からなるフィルム層(f−d)との少なくとも4層を有するものが、好ましい。フィルム層(f−d)を構成する樹脂は、繊維強化熱可塑性樹脂材料のマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂(r−1)および本発明の膨張成形体の多孔質材層を構成する熱可塑性樹脂(r−1)と同じ種類のものが好ましい。
【0050】
このフィルム層(f−d)を構成する樹脂は、分散法スタンパブルシートの製造に際して、加熱、圧縮時に、ウエブに一部含浸され、繊維強化熱可塑性樹脂材料の樹脂層と接する側の内部表面に樹脂に富む層(図1〜3に示す層5または12)を形成して、サンドイッチ構造の積層体を形成し、その結果、本発明の膨張成形体および分散法スタンパブルシートの成形体の剛性、非通気性樹脂層との接着および非通気性を向上させる作用を担うものである。
【0051】
このフィルム層(f−d)を構成する樹脂は、ウエブを構成する熱可塑性樹脂(r−1)と接着性が良く、かつ加熱、圧縮時には、ウエブに一部のみが含浸されるような構成とするために、繊維強化熱可塑性樹脂材料、多孔質材料を構成する熱可塑性樹脂(r−1)と同じ種類のもので、かつ、溶融粘度が上記熱可塑性樹脂(r−1)よりも高いものが好ましい。
【0052】
ここで、溶融粘度は、分散法スタンパブルシートの製造時および膨張成形時の加熱温度において、このフィルム層(f−d)を構成する樹脂が示す溶融粘度である。この溶融粘度を高くする方法としては、分子量の大きい樹脂を用いたり、他の樹脂をブレンドしたり(例えば、ポリプロピレンに低密度ポリエチレンをブレンドする。)、あるいは炭酸カルシウムや酸化チタン、マイカ、カーボンブラック、ケイ酸マグネシウム等の無機フィラーを充填する方法が挙げられる。
なお、このフィルム層(f−d)を構成する樹脂として、ポリプロピレンを使う場合、そのポリプロピレンは、MFR(測定条件;JIS K6758に準拠、210℃、2.16kgf)が、20(g/10分)以下のものが好ましく、より好ましくは10(g/10分)以下のものである。
【0053】
多層フィルムにおけるフィルム層(f−d)の厚さは、10μm以上、より好ましくは20〜100μmの範囲である。
【0054】
また、分散法スタンパブルシートの製造時において、多層フィルムの加熱温度は、非通気性樹脂層(A)を形成するための、フィルム層(f−b)を構成する樹脂のみが溶融しない温度に調整するのが好ましい。
【0055】
前記4層のフィルム層を有する多層フィルムは、いずれの方法によって製造したものでもよく、特に制限されない。例えば、フィルム層(f−c)、フィルム層(f−b)、フィルム層(f−a)、およびフィルム層(f−d)を、それぞれ別個のフィルムとして製造し、接着剤を用いてラミネート処理により4層を積層して製造する方法、また、Tダイ、インフレーションダイ等を用いて共押出法によって、多層フィルムを製造する方法などのいずれの方法によって製造したものでもよい。また、共押出法においては、必要に応じて、各フィルム層を形成するそれぞれの樹脂の間に接着性樹脂を共押出して、多層フィルムを製造してもよい。
【0056】
また、本発明の膨張成形体または分散法スタンパブルシートにおいて、多孔質材層、繊維強化熱可塑性樹脂材料、非通気性樹脂層、第1接着性樹脂層、および第2接着性樹脂層には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、難燃剤、カーボンブラック、ケイ酸マグネシウム等の添加剤、あるいは着色剤等を含有させてもよい。
【0057】
また、本発明の膨張成形体および分散法スタンパブルシートにおいて、多孔質材料および繊維強化熱可塑性樹脂材料の形態は、膨張成形体または分散法スタンパブルシートの形状に合わせて、板状および板状のものを任意の形状に成形したものであり、非通気性樹脂層(A)、第1接着性樹脂層および第2接着性樹脂層は、その膨張成形体または分散法スタンパブルシートの少なくとも一方の平面部分に存在するものである。さらに、表皮、接着性樹脂層および非通気性樹脂層を片面のみに形成する場合には、表皮等を積層する側と反対側に、補強用繊維の表面浮き出しを防止するため、不織布や熱可塑性樹脂フィルムなどが貼合されていてもよい。
【0058】
本発明の膨張成形体は、軽量かつ高剛性で、表皮の接着性、ならびに非通気性に優れているため、各種の用途、特に天井材やドアトリムなどの自動車用内装材料として幅広く利用することができる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。
【0060】
(実施例1)
ポリプロピレン粒子(ホモポリプロピレン、融点162℃、MFR65g/10分)50重量%、ガラス繊維A(繊維長:25mm、繊維直径:13μm)25重量%およびガラス繊維B(繊維長:25mm、繊維直径:17μm)25重量%の割合となるように泡液中で混合分散し、脱泡後、乾燥して(湿式分散法)、目付700g/m2 のウエブを得た。
【0061】
得られたウエブの片面に、表1に示す構成の多層フィルムを、第一層がウエブの表面側になるように積層して積層体を形成した。この積層体を210℃で加熱した後、加熱された積層体を25℃の冷却盤間に配置し、3kgf/cm2 の圧力でプレス成形し、ガラス繊維とポリプロピレンとが一体的に緻密に固化し、片面に多層フィルムからなる層を有する分散法スタンパブルシートを得た。
【0062】
次に、この分散法スタンパブルシートを210℃に加熱した後、多層フィルム貼合面に、ポリエチレンテレフタレート系不織布(120℃に加熱)を積層して、膨張成形用金型(温度:室温)内に配置して、クリアランスが4.3mmになるように金型を型閉じして(圧力:1kgf/cm2 )、平板状の膨張成形体を得た。このとき、表皮が貼合された膨張成形体の多孔質剤層の密度は約0.3g/cm3 であった。
【0063】
得られた膨張成形体を、下記の表皮の剥離強度の測定、曲げ試験、および通気性試験に供した。結果を表2に示す。
【0064】
(表皮の剥離強度)
膨張成形体から、長さ150mm、幅25mmの剥離試験(Tピール試験)片を切り出し、端から50mmの長さで表皮を多孔質基材から剥離した後、表皮と多孔質基材とをそれぞれチャックに把持させて、180度の方向に引張速度50mm/minで引張試験を行った。剥離強度は、多孔質基材から表皮が剥離したときの引張荷重の平均値を幅25mmで除した値である。試験は23℃および80℃の各温度で行った。また、表皮の剥離強度と、剥離試験時の試験温度との関係を図4に図示した。
【0065】
(曲げ試験)
膨張成形体から、長さ150mm、幅50mmの試験片を切り出し、スパン100mm、クロスヘッドスピード50mm/minで表皮側から荷重をかける3点曲げ試験を実施し、最大荷重および弾性勾配を測定した。測定温度は23℃である。
(通気性試験)
ASTM−D737に準拠して通気度を評価した。
【0066】
(実施例2〜21、比較例1〜3)
各例において、表1に示すとおり、多層フィルムおよび表皮の種類を代えた以外は、実施例1と同様にして、膨張成形体を製造し、表皮の剥離強度の測定、曲げ試験、通気性試験に供した。結果を表2に示すとともに、表皮の剥離強度と、剥離試験時の試験温度との関係を図4に図示した。
【0067】
なお、実施例1〜21および比較例1〜3で得られた分散法スタンパブルシート、ならびに膨張成形体の断面を顕微鏡(200倍)で観察すると、全ての実施例および比較例において、分散法スタンパブルシートは図3に示す構造を有し、膨張成形体は図2に示す構造を有するものであった。
また、全ての実施例および比較例において、得られた膨張成形体の通気度は0cc/cm2 ・secであり、非通気性のものであった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【0071】
【0072】
表2に示す結果から、接着性樹脂層として、融点の異なる2つの接着樹脂を有し、低融点の接着性樹脂層を外層に配置した膨張成形体が、80℃での表皮との接着性に優れ、さらに、23℃での表皮との接着性、曲げ特性および非通気性が、ともに従来と同等以上のものであることがわかる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の膨張成形体は、従来品と同等またはそれ以上の曲げ特性、非通気性および室温での表皮の接着性を示すとともに、80℃でも優れた表皮接着性を有するものである。そのため、本発明の膨張成形体は、高温での表皮接着性が要求される天井材やドアトリム材などの自動車内装材、家電製品、建築材料などの幅広い分野に適用できるため、有用である。
また、本発明の分散法スタンパブルシートは、前記の膨張成形体を得るのに好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膨張成形体の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の膨張成形体の他の例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の分散法スタンパブルシートの一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 多孔質材層
2 非通気性樹脂層(A)
3 第1接着性樹脂層(B)
4 第2接着性樹脂層(C)
5 熱可塑性樹脂に富む層
6 表皮層
7 分散法スタンパブルシート
8 繊維強化熱可塑性樹脂材料
9 非通気性樹脂層(A)
10 第1接着性樹脂層(B)
11 第2接着性樹脂層(C)
12 熱可塑性樹脂に富む層
13 膨張成形体
Claims (5)
- 補強用繊維および熱可塑性樹脂(r−1)を主成分とする多孔質材層と、該多孔質材層の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、前記熱可塑性樹脂(r−1)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−b)からなる第1接着性樹脂層(B)とを有し、さらに、該第1接着性樹脂層(B)の上層に、前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなる第2接着性樹脂層(C)を有する分散法スタンパブルシートの膨張成形体。
- 前記第2接着樹脂層(C)の外面に、表皮層を有する請求項1に記載の分散法スタンパブルシートの膨張成形体。
- 前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点が110〜120℃であり、前記熱可塑性樹脂(r−c)の融点が90〜120℃である請求項1または2に記載の分散法スタンパブルシートの膨張成形体。
- 熱可塑性樹脂(r−1)からなる基体中に補強用繊維が分散してなる繊維強化熱可塑性樹脂材料と、該繊維強化熱可塑性樹脂材料の少なくとも一面に積層された非通気性樹脂層(A)と、該非通気性樹脂層(A)の上に積層された、前記熱可塑性樹脂(r−1)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−b)からなる第1接着性樹脂層(B)と、該第1接着性樹脂層(B)の上層に前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂(r−c)からなる第2接着性樹脂層(C)とを有する分散法スタンパブルシート。
- 前記熱可塑性樹脂(r−b)の融点が110〜120℃であり、前記熱可塑性樹脂(r−c)の融点が90〜120℃である請求項4に記載の分散法スタンパブルシート。
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