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JP3722170B2 - 乾燥食品用包材および乾燥食品の包装方法 - Google Patents

乾燥食品用包材および乾燥食品の包装方法 Download PDF

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JP3722170B2 JP21690196A JP21690196A JP3722170B2 JP 3722170 B2 JP3722170 B2 JP 3722170B2 JP 21690196 A JP21690196 A JP 21690196A JP 21690196 A JP21690196 A JP 21690196A JP 3722170 B2 JP3722170 B2 JP 3722170B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥食品用包材および乾燥食品の包装方法に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、乾燥状態にある各種の食品を酸化による品質の劣化から長期間に亙って保護するために有用な新規な包材、および該包材を使用して乾燥食品の酸化による品質の劣化を長期間に亙って防止出来る乾燥食品の包装方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、食品の保存中における酸化による品質の劣化を防止するための種々の方策およびその方策のために使用さるべき種々の包材、包装方法、添加物が提案されており、それらの提案のあるものは既に実用に供されている。
【0004】
例えば、酸素吸収活性のある物品を食品と接触状態または隣接状態で同一の包装系内に共存せしめる方法、およびそのために使用する酸素吸収活性のある物品に関する提案である。また、食品とは別途に酸素吸収活性のある物品を、いわゆる「別添品」として食品の包装中に挿入することにより食品の酸化を防止する方法ないし該「別添品」自体に関しても、多数の提案がなされている。
【0005】
さらに、酸素吸収活性のある物品を、独立した「別添品」としてではなく、食品の包材として使用する試みもある。
【0006】
例えば、特開平5−116213号公報には、「種々の製品の保存に際して腐敗、酸化劣化、サビの発生などを防止するため」に、「鉄粉と電解質からなる酸素吸収剤」を含む「樹脂組成物をシート加工した後」、「一軸方向に」「延伸された酸素吸収シート」に関する発明が開示されている。なお、この記載には、乾燥食品に特有の酸化防止に関する問題の解決手段あるいは金属鉄粉末を賦活する潮解性物質の作用、機能に関する示唆は含まれていない。
【0007】
この酸素吸収活性のある物品を包材自体として使用する着想は、「別添品」を使用する場合に発生する問題点、即ち、イ)包装工程に追加して、新たに別添のための工程の増加がある、ロ)別添のためのコスト、エネルギーの増加は不可避である、ハ)包装内に「別添品」が適正に挿入してあるか否かのチエック工程が必要となり、そのための多大な設備投資を要する、ニ)「別添品」を食品と誤認することによる事故、ホ)「別添品」の原料、包材に由来する資源の新たな消費が増加する、などの種々の問題点を、或る程度まで回避または軽減可能であるものと評価出来る。
【0008】
然しながら、現在、市販の酸素吸収活性のある包材は、相当量の水分を含有する食品の包材として使用した場合には、食品の酸化による劣化を効果的に防止できるとしても、乾燥食品の包材として使用する場合、酸化による劣化防止効果が期待する程度には確認できないと云う問題が存在する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑み、乾燥食品を酸化による劣化から保護し、長期間にわたり安定に保蔵可能な乾燥食品用包材を取得すること、および該包材を効果的に使用して乾燥食品を包装する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の(1)〜(9)の技術的知見を得た。
【0011】
(1) 現在、市販の酸素吸収活性のある包材は、金属鉄微細片等の酸素吸収剤を練合して成るプラスチック層を有するシート材料を加工、成形した構造物であるが、乾燥状態下では、それ自体の酸素吸収活性は微弱である。
【0012】
(2) その酸素吸収活性は、水蒸気または液体の水と接触することにより、初めて活発に発現する。
【0013】
(3) シート材料中の酸素吸収剤と水蒸気または液体の水と接触せしめるには、周辺雰囲気(保存すべき乾燥食品と接して周辺を取り巻く空気あるいはまたは乾燥食品の内部に含まれる空気)中に存在する水蒸気を選択的に吸着、濃縮して取得される水分を酸素吸収剤と接触せしめるとよい。
【0014】
(4) 周辺雰囲気より水蒸気を選択的に吸着、濃縮して水分を取得するためには、シート材料中の酸素吸収剤の近接部位に潮解性物質を共存せしめる方法が実際的である。換言すれば酸素吸収剤の酸素吸収活性の賦活には、直接に周辺雰囲気より水蒸気を選択的に吸着、濃縮して水分を取得するよりも、一旦、周辺雰囲気中の水蒸気を酸素吸収剤の近接部位に共存せしめた潮解性物質に吸着し、濃縮せしめた水分を利用する方法が効果的で実際的である。
【0015】
(5) 然しながら、一般の乾燥食品に含有される水分の量は限られているため、上述のように潮解性物質に吸着、濃縮した水分を利用する場合にあっても、なお、酸素吸収剤の酸素吸収活性を完全に賦活するためには、相当の時間を要する。乾燥食品を酸化による劣化から効果的に保護するためには、包装直後から速やかに酸素吸収剤の酸素吸収活性が予め設定した水準までに到達することが望ましいが、酸素吸収剤の酸素吸収活性の賦活を乾燥食品中の水分に依存する限り、酸素吸収活性を急速に賦活することは困難である。特に低温下の環境では酸素吸収活性を所望の速度で急速に賦活することは困難である。また、酸素吸収剤の有する潜在的な酸素吸収活性を100%完全に賦活することも困難である。
【0016】
(6) 包装直後より酸素吸収活性を急速に発揮せしめる為には、事前に適当な量の水分をシート材料中の酸素吸収剤に供給しておく必要がある。そのためには、予想される必要量の水分を保持した親水性の物質を、酸素吸収剤および潮解性物質を含む層を有するシート材料に近接させた状態とし、これを水分遮断性と酸素バリヤ−性を有する容器または被覆材を用いて脱気密封し、所定の温度下に所定の時間、保管する。この、所謂、養生処理により、親水性の物質に保持されていた水は、酸素吸収剤と潮解性物質とを含む層へ移行する。尚、この際、水分遮断性と酸素バリヤ−性を有する容器または被覆材を用いて親水性の物質とシート材料を脱気密封する理由は、養生処理の間にシート材料の潮解性物質が外気から過剰の水を吸収することを防止し、また、シート材料の酸素吸収剤が外気から多量の酸素を吸収して包材としての酸素吸収活性を低下させてしまうのを防止するためである。養生処理を経過したシート材料は、誘導期間を要することなく、乾燥食品を包装した直後から、脱酸素活性、即ち酸素吸収活性を発揮することになる。また、潮解性物質としては、その物質の飽和水溶液の水分活性が包装すべき乾燥食品の水分活性以下であるような潮解性物質を選択することにより、潮解性物質に移行・吸収された水が包装中の乾燥食品に再移行することが防止され、したがって乾燥食品に不所望の湿気を与えることや、あるいは乾燥食品の品質を損ねることなども防止することができる。
【0017】
(7) 上述の必要量の水分を保持した親水性の物質は、「別添品」として包装系に加えるのではなく、包材を構成する部材の一部として包材に組み込むことが実際的である。また、該包材の使用に当たっても取扱上簡便である。例えば、親水性の層と酸素吸収剤および潮解性物質を含む酸素吸収層とそれら2層の中間にあって全面を覆う位置にある水分・酸素遮断層との3層構造を含むシート材料をロ−ル状に巻き取り、このロ−ルを、水・酸素バリヤー性容器または被覆材中に脱気密封し、所定温度下で所定時間にわたり養生処理を行う。養生処理中にロール状態で互いに隣接する親水性の層から酸素吸収剤および潮解性物質を含む酸素吸収層へ水分が移行し、酸素吸収活性が賦活される。かくして、酸素吸収活性が賦活されたロ−ル状シート材料を密封容器または被覆材から取り出し、直ちにロ−ルからシート材料を繰り出して、親水性の層が被包装物品である乾燥食品から最も離れる側に位置するような向きで例えば袋形包材に成袋加工し、酸素吸収層が乾燥食品側に位置するようにして包装するとよい。尚、上述の3層構造を含むシート材料の酸素吸収層の表面は、酸素吸収剤および潮解性物質の崩落を阻止する目的で薄いフィルムにより被覆することが好ましく、このフィルムは養生処理に際して親水性の層から酸素吸収層への水分の移行を阻害しない材質とし、さらにはこのフィルムを、例えばヒートシールや高周波融着シールなどによる包材の封止に利用できるようにポリエチレンなどのプラスチックフィルムとするとよい。
【0018】
(8) 従来の認識、即ち、市販の酸素吸収活性のある包材は比較的高水準の水分を含有する食品の包材として使用した場合には食品の酸化による劣化を効果的に防止可能であるが、乾燥食品の包材として使用する場合には効果的な酸化劣化防止効果が確認出来ないとする認識は、酸素吸収活性のある包材の特性と被包装食品の水分含量との関係の解明を看過した結果であると考えられる。
【0019】
(9) 酸素吸収活性のある包材の使用に当たっては、包装の全ての部分について酸素吸収活性のある材料で構成された包材を使用する必要は無く、包装すべき乾燥食品の状態および予定される保蔵期間を勘案し、酸素吸収活性のある材料を部分的に使用して構成された包材を使用してもよい。
【0020】
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、請求項1に記載の第1発明は、親水層と、酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層と、これら親水性層と酸素吸収層との中間となる位置の全面に水分・酸素遮断層とを備え、前記潮解性物質の飽和水溶液の水分活性が包装すべき乾燥食品の水分活性以下であることを特徴とする乾燥食品用包材である。
【0021】
請求項2に記載の第2発明は、前記酸素吸収剤が金属鉄を含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥食品用包材である。
【0023】
請求項に記載の第発明は、前記酸素吸収剤および潮解性物質が接触して共存されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥食品用包材である。
【0024】
請求項記載の第発明は、前記親水層および酸素吸収層が可撓性であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥食品用包材である。
【0026】
請求項に記載の第発明は、親水層と酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層と、これら親水性層と酸素吸収層との中間となる位置の全面に水分・酸素遮断層とを備え、前記潮解性物質の飽和水溶液の水分活性が包装すべき乾燥食品の水分活性以下である包材を使用して、予め親水層の水分含量を調整し、包材をロール状に巻き取り、養生することによって親水層の水分を酸素吸収層に移行させ、しかる後、包装時に乾燥食品に対して前記酸素吸収層が内側となるようにして包材によって乾燥食品を包装することを特徴とする乾燥食品の包装方法である。
【0027】
請求項に記載の第発明は、前記包材として酸素吸収層に金属鉄を含む包材を使用して、乾燥食品を包装することを特徴とする請求項に記載の乾燥食品の包装方法である。
【0029】
請求項に記載の第発明は、前記酸素吸収剤および潮解性物質が接触して共存する包材を使用して、乾燥食品を包装することを特徴とする請求項に記載の乾燥食品の包装方法である。
【0030】
請求項に記載の第発明は、前記親水性の層と酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層とが可撓性である包材を使用して、乾燥食品を包装することを特徴とする請求項に記載の乾燥食品の包装方法である。
【0032】
【発明の実施の形態】
本願の第1発明ないし第6発明において構成が特定され、また、第7発明ないし第12発明において使用される乾燥食品用包材、即ち、基本的に親水性の層と酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層とを備えている乾燥食品用包材は、構造上、各種の天然高分子材料、合成高分子材料、金属材料のフイルム状物、シート状物、箔状物を積層し、相互の剥離が生じないように一体化して成る複合シート材料およびその加工品である。
【0033】
複合シートを構成する個々の層は、必要成分を個別の層の素材に均一に混合、練合、付着、含浸してなるフイルム、シート、織布、不織布、紙匹、金属箔などからなる。該複合シートを構成するには、予め複合シートを製造した上で必要成分を添加してもよいが、一般には個別の層に必要成分を添加した上で複合シートとして積層し、一体化する方法が採用される。
【0034】
もちろん、部分的に複合シートを構成し、さらに他のフイルム、シートなどを積層してもよい。また、該複合シートには必要成分を含む個々の層に加えて、複合シートの乾燥食品用包材として必要な諸性質を補強、改善する目的で追加のフイルム、シートなどを積層する場合がある。
【0035】
親水性の層は、水蒸気または水性溶液と接触せしめたときに必要量の水分を保持し得るフイルム、シート、織布、不織布、紙匹などである。
【0036】
親水性の層を構成する素材には、親水性のある各種の素材、例えばビスコース凝固膜(セロファン)、親水処理を加えたポリアミド繊維(ナイロン)、親水処理を加えた変性ポリビニルアルコール繊維(ビニロン)のフィルム、不織布などが挙げられる。特に好ましくは、軟包材の基材として一般的に使用されているクラフト紙、純白ロール、箔用紙等の紙類が挙げられる。
【0037】
本発明で使用する酸素吸収剤としては、金属鉄粉末、アルミニウム金属粉末、重亜硫酸ナトリウム、ビタミンC、ビタミンE、補酵素Q類等が挙げられる。これらの中で金属鉄粉末が最も実用的である。勿論、上記の他の酸素吸収剤を金属鉄粉末に代えて、または金属鉄粉末と併用して用いることが可能なことは云うまでもない。
【0038】
複合シート内では、酸素吸収剤と潮解性物質とは、近接する位置に存在する必要があるので、好ましくは予め潮解性物質を酸素吸収剤にコーテイングした後、同一のプラスチック・フイルム中に均一に分散せしめるとよい。
【0039】
また、酸素吸収剤と潮解性物質を単にブレンドしてプラスチック・フイルム中に分散させてもよい。
【0040】
酸素吸収剤と共存せしめる物質は、潮解性物質、即ち、周囲の雰囲気、近接する物品から水分を吸収して自らは吸収した水に溶解する物質である。この際、吸収した水は酸素吸収剤に接触して酸素吸収機能の賦活に利用されることが必要であり、単に水分を吸収するだけの乾燥剤、例えばゼオライト(Zeolite) などは共存せしめる物質として適当でない。
【0041】
複合シート内に共存する酸素吸収剤に対する潮解性物質の存在重量比は、2%以上100%以下が適当である。
【0042】
この範囲を越えて、多量の潮解性物質が存在するときは、吸着・濃縮された水分量が過剰となり、期待とは逆に、酸素吸収剤の酸素吸収能および酸素吸収速度を低下せしめる。
【0043】
この範囲に達しない少量の潮解性物質が存在するときは、吸着・濃縮された水分量は酸素吸収剤を賦活するに足る水分量に達せず、酸素吸収剤の酸素吸収能は充分に発揮されない。
【0044】
酸素吸収剤は、特に説明を加えるまでもなく、周辺の環境あるいは近接する物品から、脱酸素する機能を有する。
【0045】
なお、この酸素吸収剤の粒子は、微細な球形である場合や、微細な多孔性球形である場合、微細な楕円球形である場合、微細な薄片状である場合、微細な不定型である場合など、種々の形態を採り得る。
【0046】
潮解性物質は酸素吸収剤に水分を供給し、酸素吸収剤の酸素吸収能、脱酸素能を賦活し、促進する機能を有する。
【0047】
潮解性物質が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウムまたは塩化亜鉛である場合には、これらの物質が電解質である故、さらに酸素吸収剤の酸素吸収能、脱酸素能を促進する機能をもつことになる。
【0048】
潮解性物質としては、その飽和水溶液の水分活性が包装すべき乾燥食品の水分活性以下の物質を選択すべきである。
【0049】
なお、水分活性は、食品その他の物品中の自由水の量を反映する尺度として採用されている数値であって、以下の様に定義される。
【0050】
w =P/P0 =RH/100
但し、aw は水分活性、Pは食品その他の物品を密閉容器中に放置し水分平衡に達した後の容器中の水蒸気圧、P0 は純水の水蒸気圧、RHは食品その他の物品を密閉容器中に放置し水分平衡に達した後の容器中の相対湿度である。
【0051】
特に適当な潮解性物質として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウムまたは塩化亜鉛が挙げられる。但し、本発明はこれらの潮解性物質に限定されるものではなく、包装すべき乾燥食品の水分活性によっては、例えば塩化ナトリウム(食塩)なども使用できる。
【0052】
なお、酸素吸収剤および潮解性物質を分散せしめる基材となる物質には特に限定はなく、適度の柔軟性、可撓性を有する高分子物質を使用できる。例えばポリエチレンのフィルム、ポリプロピレンのフィルムなどが挙げられる。
【0053】
親水性の層のフィルムおよび吸収剤・潮解性物質共存含有層のフィルムは、それ自体としては耐引き裂き強度、耐衝撃強度、ガス・バリアー性など、包材としての必要な機能を十分に具えているとは云い得ないので、これらの層の上層および/または下層に各種の機能を有するフイルム状物、シート状物を積層し、複合フイルム全体として包材の機能を満足するように構成する。
【0054】
複合フイルムは、その単品で、あるいは多くの場合、他の素材と組合わせて、加工・成形する。例えば袋状容器、カートン箱、筒状容器に加工する。加工・成形に際して、複合フイルムが適度の可撓性を有していることが必要である。尚、被包装物品である乾燥食品は、粉末状、顆粒状、片状、キューブ状など、種々の形態をなす物品を含み、相当に硬質あるいは剛性を有する場合もあるが、複合フイルムが可撓性を有することにより、被包装物品との摩擦による複合フイルムの破損の発生を防止できる。
【0055】
複合フイルム全体に可撓性を具有せしめるためには、親水性層のフィルム、酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層のフィルムの素材(基材)を適宜選択し、更にこれら両層を支持・補強する層の素材(基材)あるいは後述の酸素遮断層、水分遮断層の素材(基材)にも適度の可撓性を有する物品を選択、使用する。
【0056】
表1に、水分含量を調整した親水性層のフィルムと酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルムと有するシート材料を構成するための各フイルム状物、シート状物の具備すべき必要な機能と積層位置関係を示す。表1中、上下の表示は、酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルムを中央部に位置せしめて構成したシート材料を包材に成形した場合、包装内容物である乾燥食品と接触する内側となる側を下層、成形した包材の外側となる側を上層と表示する。なお、同表「位置」欄中、「上、下」とあるのは、上層、下層の何れか一方、または上層と下層の両方に当該層(フイルム状物、シート状物)が存在することを意味する。また、同一のフイルム状物、シート状物に複数の機能を持たせることも可能である。
【0057】
【表1】
Figure 0003722170
【0058】
これら、個別のフイルム状物、シート状物の材質は、製造された複合シート材料が食品の包材として加工・成型されることを考慮して、食品包装用として適当な成分および材質の素材が選択される。また、親水性層のフィルムおよび酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルムと他のフイルム状物、シート状物との積層一体化方法およびその際に使用する接着剤、可塑剤などの補助材料についても同様な配慮が必要である。その材質は表1に記載する機能を充足し、食品の包材として適当と認められる材質の素材の範囲内である限り、格別の制限なく広く各種の素材が使用される。
【0059】
包装後、被包装物である乾燥食品を酸化から防御し、その品質を長く安定に保存するためには、酸素を含む外気の侵入を完全に阻止する必要がある。そのために、酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層の上層部分の位置、すなわち、包材に成形した場合に包装の外側となる部分の全面に、酸素の通過を遮断する層(酸素遮断層)を設ける。
【0060】
また、外気から過剰の水分を吸収することを防止するために、酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層の上層部分の位置、すなわち、包材に成形した場合に包装の外側となる部分の全面に、水分、水蒸気の通過を遮断する層(水分遮断層)を設ける。
【0061】
さらに、親水性の層と酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層との中間となる位置の全面に、水分及び酸素の通過を制御・遮断する層を設けるとよい。この様に設定することにより、各層を積層接着加工した後でも、親水性の層に保持される水分量を調節して養生処理により適量の水分を酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層へ移行させることが可能となる。
【0062】
酸素遮断層および水分遮断層は個々に設けてもよいが、酸素を遮断する機能及び水分を遮断する機能を併有する単一の層として設けてもよい。このような単一の層としてはアルミニウム箔層を例示することができる。
【0063】
フイルム状物、シート状物の製造方法については、以下に示す例に限定されるものではなく、実質的に例示するような層構造が形成されていればよい。例えば多層の共押出し設備による異種樹脂の同時押し出し成形なども、もちろん使用できる。
【0064】
図1は、親水性層のフィルムおよび酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルムを有する複合シート材料の構成の一例を例示する模式断面図である。図1中、1は酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルム、2は親水性層のフィルム、3は酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルムの下側(包材に成形した場合に包装の内側となる)に貼り合わされた水分透過性のフィルム、例えば該複合シート材料にヒート・シール性を付与するポリエチレン・フィルム、4は酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルムの上側(包材に成形した場合に包装の外側となる)に貼り合わされた該複合シート材料全体に酸素バリアー性および水分遮断性を付与するアルミニウム箔を示す。
【0065】
本発明の包材のシートを使用して乾燥食品を包装するに当たって、包材のシートの前処理を行うとよい。すなわち、親水性層に含まれる水分量を調整し、次いで親水性層に含まれる水分を酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層へ移行させるための処理を行う。親水性層に含まれる水分量を増加させるには、親水性層を含む複合シートを飽和水蒸気環境下に所定時間保持する方法、または複合シートに水を噴霧後過剰に付着した水分を払拭、除去する方法など、任意の方法を採用できる。また、親水性層に含まれる水分量を減少させるためには熱風乾燥処理等を行うとよい。
【0066】
水分含量を調節した親水性層と酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層とを含む複合シートは直ちにロール状に巻き取り、水分・酸素バリアー性を有する容器または被覆材により脱気密封し、しかる後、所定温度下で所定時間に亙って密封状態を保持する所謂養生処理を行う。このロール状態では、例えば図1に示した水分含量を調節した親水性層2と酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層1とが、水分透過性のフィルム3を介して隣接することになり、親水性層2からの水分がフィルム3を透過して酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層1に移行することになる。
【0067】
養生処理期間中には、親水性層の水分活性が酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層の水分活性と同一水準に達して相互に平衡を保つまで、親水性層から酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層への水分の移行が続行する。移行した水分は、酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層内で、一旦、潮解性物質の濃厚水溶液粒子を形成する。同濃厚水溶液粒子は、酸素吸収剤(例えば金属鉄粒子)と接触することにより、酸素吸収剤の吸収活性を賦活し増大せしめる。
【0068】
この場合、移行した水分が著しく過剰になると、乾燥食品を包装した際に酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層に移行した水が乾燥食品へ再移行し始め、乾燥食品に湿気を与えて、その品質を劣化させるという不都合が発生する恐れがある。一方、水分が少量に止まって不足するときは、酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層内の潮解性物質の濃厚水溶液粒子が酸素吸収剤を十分に賦活可能な量まで生成されない。従って、移行させる水の量は、潮解性物質を完全に溶解するに足る最小限の量に限定されるべきである。具体的には、使用する潮解性物質の種類および量を勘案して、予め親水性の層に保持させるべき水分量を決定する。
【0069】
本発明に係る包装方法おいては、少なくとも構造の一部分に、親水性の層と酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層とを有する複合シート材料を含む包材を使用して、好ましくは予め親水性の層中の水分量を調整したうえでその水分を酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層に移行せしめる処理(養生処理)を経た後に、包材によって乾燥食品を包装する。
【0070】
また、上記の潮解性物質は、その物質の飽和水溶液の水分活性が被包装物である乾燥食品の水分活性以下である潮解性物質の中から選択される。
【0071】
この際、乾燥食品を包装するための包材を構成する材料の全ての部分が、親水性層および酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層を有する複合シート材料で構成されている必要は無く、例えば包材の底面部分または側面部分のみをこの複合シート材料で構成してもよい。
【0072】
包材のどの部分をどの程度、このシート材料で構成するかは、包装すべき乾燥食品の水分含量、性質などを勘案して決定する。
【0073】
また、乾燥食品の包装に適合する包材の形態と構造は、包装すべき乾燥食品の性質、予想される保蔵条件、およびその期間を勘案して、適宜、選択される。
【0074】
例えば、片面が該シート材料で他面が透明なフィルム材料で構成された「四方貼合わせ袋」、蓋部のみが該シート材料で構成されたカップ型容器、本体部分に該シート材料を使用し蓋部は透明の水分および酸素遮断能を有する熱シール性シートで構成されたカップ型容器、本体部分に該シート材料を使用したチューブ型容器、プラスチック・ボトルまたはガラス製瓶のキャップ、プラスチック・ボトルの開口部またはガラス製瓶の開口部をシ−ルするパラコート蓋、貼合わせパウチ型容器、底面に非通気性のシートを本体部分に該シート材料を使用したスタンデイング・パウチ型容器、本体部分に該シート材料を使用したトレー型容器等、種々の容器の形態を採用し得る。
【0075】
本発明の包装方法において、包装の対象となる食品は乾燥状態にある食品である。この場合の乾燥状態は、狭義に理解すべきではなく、通常の乾燥食品に加えて半乾燥食品をも対象とする。それらの乾燥食品、半乾燥食品を例示すれば次の通りである。
【0076】
(1) 魚介類加工品:干貝柱、畳鰯、鯣、鯣加工品、魚田麩、魚肉振掛け
(2) 珍味食品類:ビーフ・ジャーキー、ミックス・ナッツ、焼海苔
(3) ナッツ食品類:ピーナッツ、アーモンド、アーモンド・フレーク、カシュー・ナッツ、ガルバンソー
(4) スナック食品類:ポテト・チップス、シュー・ストリング、ポップ・コーン
(5) シリアル食品類:コーン・フレークス、ミューズレー
(6) 嗜好品類:粉末インスタント・コーヒー、粉末インスタント・テイー、コーヒー豆、紅茶(葉)、緑茶(葉)、烏竜茶(葉)
(7) 乾麺・パスタ類:乾饂飩、乾素麺、マカロニ、スパゲッティー、インスタント・ラーメン、ビーフン、春雨、乾パン、粉末インスタント・ポタージュ・スープ、クルトン
(8) 穀類・穀粉類:搗精白米、寒梅粉、ホットケーキ・プレミックス、小麦胚芽
(9) 乾燥野菜類:干椎茸、乾燥ゼンマイ、凍結乾燥葱、切干大根、乾海苔、乾若布、乾鹿尾菜、当り胡麻粉末
(10) 菓子類:バウム・クーヘン、カステラ、銅鑼焼き、ビスケット、クラッカ−、クッキー、花林糖、おこし、落雁、素甘、練切り、羊羮、最中、五家宝、諸越
(11) 米菓類:柿の種、草加煎餅、瓦煎餅、おかき、油揚げおかき
(12) 乳製品類:パルメザン・チーズ粉末、脱脂粉乳、調整粉乳
(13) 調味料類:魚節粉末とグルタミン酸モノナトリウムなどからなる顆粒調味料、削り魚節、焼干し、煮干し、昆布粉末、粉末胡椒、粒胡椒
【0077】
以下、実施例により本発明の方法について説明する。尚、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例の記載中、特記しない限り、「部」は重量部を、「%」は重量/重量%を示す。
【0078】
【実施例】
実施例1=顆粒調味料の包装および保存試験=
(1−1)「金属鉄粉末・潮解性物質共存含有層フィルムの製造」
相対湿度30%以下の乾燥条件下、線状低密度ポリエチレン・ビーズ75部に粒径5μの球状の純軟鋼鉄20部および粒径20μの塩化カルシウム無水物粉末5部を添加した。尚、塩化カルシウムの飽和水溶液の水分活性は0.3である。この樹脂混合物をタンブラー・ミキサ−で予混合した後、バンバリー混練機により120℃で8分間混練してフィルム用混合物を取得した。
【0079】
このフィルム用混合物を60mmφ押出機によりTダイ成形し、260℃の加工温度で厚さ30μのフィルムに成形加工した。
【0080】
(1−2)「クラフト紙を親水性層とする紙−アルミ箔ラミネートの製造」
坪量50g/m2 のクラフト紙と厚さ7μのアルミ箔を、ラミネート貼りで貼り合わせた。
【0081】
(1−3)「包材シートへの加工」
クラフト紙−アルミ箔ラミネート・フィルムのアルミ箔側に、上記の金属鉄粉末・潮解性物質共存層を含むフィルムをラミネート貼りで貼り合わせた。さらにその貼り合わせたフィルムの金属鉄粉末・潮解性物質共存層の面に厚さ15μのポリエチレン・フィルムをラミネート貼りで貼り合わせた。
【0082】
(1ー4)「親水性層の調湿処理および調湿した親水性層から金属鉄粉末・潮解性物質共存層への水の移行処理」
上記のクラフト紙層の水分は7%であった。このクラフト紙層側に飽和水蒸気を当てながらロール状に巻き取った。このときのクラフト紙層の水分は9%になっていた。直ちにそのロール状シートをアルミ箔ポリエチレン・ラミネート・フィルムから成る袋に収容して脱気密封し、しかる後、25℃で7日間保管した。この養生期間中にクラフト紙層から金属鉄粉末・潮解性物質共存層への水の移行が起き、養生期間の終期にはクラフト紙層中の水分は3%に減少いていた。すなわち、この複合シート中で1m2 当たり3gの水がクラフト紙層から金属鉄粉末・潮解性物質共存層へ移行したことになる。
【0083】
(1−5)「包材への加工および成形」
前項の如く、水の移行処理を行ったシートを密封袋から取り出した後、直ちに包材シートの上面が容器の外側となる様に、製袋機により連続的にスタンデング・パウチに加工し、成形した。得られたスタンデング・パウチの空容量は150mLであった。
【0084】
(1−6)「スタンデング・パウチへの顆粒状調味料の充填包装」
パウチの成形工程に連続して、前項で成形したスタンデング・パウチの内部に自動計量装置を経由した魚節粉末、ヌクレオチド・ナトリウム塩およびグルタミン酸ナトリウム塩を主成分とする水分活性0.35の顆粒状調味料を充填し、開口部を加熱溶着により封鎖した。パウチ1個当たりの充填量は100g/個とした。
【0085】
(1−7)「対照包装品の試作」
塩化カルシウムの代わりに食塩を用いた他は前記1−1、1−2、1−3におけると全く同一の条件で包材シートを試作した。なお、食塩の飽和水溶液の水分活性は0.75である。このシートに1−4と同様の工程により調湿処理を行った。当初、クラフト紙層(親水性層)の水分含量は7%であったが、この調湿処理により水分含量は9%に増加した。次いで水の移行処理を行ったところ、クラフト紙層の水分含量は8%に減少した。その後、1−5および1−6と同様の工程を経過して、対照包装品を試作した。
【0086】
(1−8)「試験包装品および対照包装品の保存」
1−6および1−7で製作した試験包装品と対照包装品の各20個を無作為に選択してダンボール箱に収容し、5℃に保ってある部屋に保存した。
【0087】
(1−9)「保存試験による試験包装品および対照包装品の評価」
ダンボール箱に収容した試験包装品及び対照包装品より各2個を、包装直後、1週間後、3月後、6月後および12月後に、それぞれ無作為に取出した。パウチを開封し、内容物より10gを分取し、耐熱ガラス製のポット中に入れ、1500mLの80℃に保ってある熱水に溶解して、試験包装品の調味液ならびに対照包装品の調味液を取得した。
【0088】
これらの調味液を室温(20℃)まで放冷し、直ちに7名のパネラ−による官能試験に付した。この試験は、試験包装品の調味液および対照包装品の調味液について、何れが試験品あるいは対照品であるかを明示することなく、両者を比較し、その間の差異の有無、ならびに呈味の好ましさ、および香味の好ましさについて、最高点を5点とする5点法による採点評価を問う試験方法によって実施した。
【0089】
表2に試験包装品の調味液および対照包装品の調味液について、各保存期間経過後における官能試験の評定結果を示す。表2中、官能試験の結果の数値は、各パネラ−の付与した評点より最大の評点および最小の評点の各一個を控除した5個の評点の平均値を四捨五入した数値である。
【0090】
【表2】
Figure 0003722170
【0091】
表2に示す通り、官能試験の評定結果では、試験包装品の呈味の好ましさは保存12か月を経過しても全く変化が認められず、香味の好ましさは保存12か月後に初めて僅少の変化を見たに留った。対照包装品の呈味の好ましさは6か月以降変化し、12か月後には明瞭な劣化を認めた。香味の好ましさは保存3か月後以降変化し、12か月後には明瞭な魚腥臭を認めた。また、対照包装品では、包装状態を分析、観察の結果、前処理におけるクラフト紙層(親水性層)から金属鉄粉末・潮解性物質共存層への水の移行が充分に行われず、さらに移行した水もまた、保存試験期間中の比較的早い時期に被包装物である顆粒状調味料へ再移行した様子が認められた。このため、金属鉄粉末・潮解性物質共存層中に存在すべき水分量が不足し、同層における酸素吸収活性の発現が不充分であったと推定された。
【0092】
実施例2=「ミックス・ナッツ」の包装および保存試験=
(2−1)「包材シート材の調製」
実施例1の1−1と同様の方法により製造した金属鉄粉末・潮解性物質共存含有層フィルムおよび1−2と同様の方法により製造したクラフト紙を親水性層とするクラフト紙−アルミニウム箔ラミネート・フィルムおよびその他のフィルムより、1−3の方法に準じて包材シート材を製造した。
【0093】
(2ー2)「親水性層の調湿と親水性層から金属鉄粉末・潮解性物質共存含有層フィルムへの水の移行処理」
前項の方法により製造したシート材中のクラフト紙層(親水性層)の水分含量は7%であった。本シートのクラフト紙層側に飽和水蒸気をあてながらロール状に巻き取った。このときクラフト紙層の水分含量は9%に増加していた。直ちにこのロール状に巻き取ったシートをアルミニウム箔ポリエチレン・ラミネート・フィルム製の袋に収容した後、脱気密封包装した。同包装物を25℃に7日間保持し、養生工程を経過せしめた。この期間経過後のクラフト紙層の水分含量は3%に減少しており、同期間中にクラフト紙層から金属鉄粉末・潮解性物質共存含有層への水分の移行のあったことが認められた。なお、この際の水分の移行量ははシート1m2 当たり3gと算定された。
【0094】
(2ー3)「包材への加工および成形」
前項の方法により製造、養生処理したシート材を袋から取り出し、長方形の片状に切断した。切断した二枚の片状のシートを各々のクラフト紙層側が対面するように重ね、両片状シートの間の周縁三方に、透明なポリエステル12μ、エチレンビニルアルコール25μ、ポリエチレン30μの3層よりなるフィルムを挟み、熱溶着により幅1.5cmの連続シームを形成して貼合わせた。この貼合わせ加工で成形された袋の内法は18.5×32.5cmであった。
【0095】
(2−4)「貼合わせ袋にミックス・ナッツを充填包装」
湿度制御環境下、貼合わせ袋および「ミックス・ナッツ」を連続式自動計量包装装置の各々のホッパー部に供給し、貼合わせ袋内に「ミックス・ナッツ」を連続的に充填し、開口部を熱溶着により封鎖した。貼合わせ袋1個当たりの充填量は300g/個であった。
【0096】
なお、「ミックス・ナッツ」の各ナッツの混合比は、バター・ピーナッツ30%、ジャイアント・コーン20%、アーモンド・スライス10%、ガルバンソー20%およびカシュー・ナッツ20%とした。また本「ミックス・ナッツ」の水分活性は約0.4であった。
【0097】
(2−5)「対照包装品の試作」
塩化カルシウムの代わりに食塩を用いた他は実施例1の1−1、1−2、1−3、1−4におけると全く同一の条件で試作した包材シ−トにより、2−2、2−3、2−4と同様の工程を経過して、対照包装品を試作した。
【0098】
(2−6)「試験包装品および対照包装品の保存」
2−4および2−5で製作した試験包装品と対照包装品の各10個を無作為に選択してダンボール箱に収容し、四月以降1年間、遮光下、室内に保存した。この期間、温度あるいは湿度の制御、管理は特に行っていない。
【0099】
(2−7)「保存試験による試験包装品および対照包装品の評価」
ダンボール箱に収容した試験包装品及び対照包装品より各1個を、包装直後、1週間後、3月後、6月後および12月後にそれぞれ無作為に取り出した。開封し、官能評価試験に付した。評価項目は「ミックス・ナッツ」を構成する各ナッツの一粒を取り、口に含んで咀嚼したときの呈味および香味並びに食感および全体の総合的評価の4項目とした。採点は1−7に準ずる。
【0100】
表3に各保存期間経過後における試験包装品または対照包装品の各保存期間経過後における官能試験の評定結果(呈味および香味)を示す。表3中、官能試験の結果の数値は、各パネラ−の付与した評点より最大の評点および最小の評点の各一個を控除した5個の評点の平均値を四捨五入した数値である。
【0101】
【表3】
Figure 0003722170
【0102】
表3に示す通り、官能試験の評定結果では、試験包装品の呈味の好ましさは保存12か月を経過してもほとんど変化が認められず、香味の好ましさは保存12か月後に初めて僅かな変化を見たに留った。対照包装品の呈味の好ましさは早くも1週間後には変化し、12か月後には明瞭な劣化を認めた。香味の好ましさも1週間後に変化が認められ、6か月後、12か月後には呈味、香味ともに劣化が明瞭となった。この結果は、実施例1の場合と同様に、対照包装品にあっては包装後、保存期間中の酸素の吸収が充分に行われなかったことを示している。
【0103】
【発明の効果】
本願発明の乾燥食品用包材は、高い乾燥度の乾燥食品についても、比較的高い含水量の食品の場合と同様に、長期間に亙り内容物の酸化による品質劣化を有効に防止可能であると云う効果を有する。
【0104】
また、本願発明の乾燥食品用包材は、常温下にあっては勿論、冬期の低温下の温度にあっても、均一、且つ、有効に酸素吸収活性が活性化されていると云う効果を有する。
【0105】
さらに、本願発明の乾燥食品の包装方法は、上述の乾燥食品用包材を使用することにより、包装した乾燥食品を、酸化による品質の劣化から長期間に亙って、安全に保護可能であると云う効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乾燥食品用包材の一つの実施形態における構成を示す部分模式断面図である。
【符号の説明】
1:酸素吸収剤・潮解性物質共存含有層フィルム
2:親水性層フィルム
3:ポリエチレン・フィルム
4:アルミニウム箔

Claims (8)

  1. 親水層と、酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層と、これら親水性層と酸素吸収層との中間となる位置の全面に水分・酸素遮断層とを備え、前記潮解性物質の飽和水溶液の水分活性が包装すべき乾燥食品の水分活性以下であることを特徴とする乾燥食品用包材。
  2. 前記酸素吸収剤が金属鉄を含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥食品用包材。
  3. 前記酸素吸収剤および潮解性物質が接触して共存されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥食品用包材。
  4. 前記親水層および酸素吸収層が可撓性であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥食品用包材。
  5. 親水層と酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層と、これら親水性層と酸素吸収層との中間となる位置の全面に水分・酸素遮断層とを備え、前記潮解性物質の飽和水溶液の水分活性が包装すべき乾燥食品の水分活性以下である包材を使用して、予め親水性層の水分含量を調整し、包材をロール状に巻き取り、養生することによって親水性層の水分を酸素吸収層に移行させ、しかる後、包装時に乾燥食品に対して前記酸素吸収層が内側となるようにして包材によって乾燥食品を包装することを特徴とする乾燥食品の包装方法。
  6. 前記包材として酸素吸収層に金属鉄を含む包材を使用して、乾燥食品を包装することを特徴とする請求項に記載の乾燥食品の包装方法。
  7. 前記酸素吸収剤および潮解性物質が接触して共存する前記包材を使用して、乾燥食品を包装することを特徴とする請求項に記載の乾燥食品の包装方法。
  8. 前記親水層と酸素吸収剤および潮解性物質を含有する酸素吸収層とが可撓性である包材を使用して、乾燥食品を包装することを特徴とする請求項に記載の乾燥食品の包装方法。
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