JP3717362B2 - トランクス型の使い捨てパンツ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランクス型の使い捨てパンツに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平６−６３０７２号公報は、別体に形成された前後身頃各々を互いに重ね合わせ、それら身頃の股下域に身頃の腰周りの側へ凸曲する接合線を施して前後身頃を接合し、股下域の内面に縦方向へ長い吸液性パネルを取り付けたトランクス型の使い捨てパンツを開示している。おむつは、股下域に吸液性パネルを取り付けているので、股下域で排泄物を吸収することができる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のパンツは、縦方向へ長い吸液性パネルが所要の幅寸法を有して股下域に水平に取り付けられている。パンツでは、着用者の股間によって圧迫されたパネルの両側縁部が着用者の肌に強く当接し、着用者に違和感を与える。また、パネルの両側縁部には、排泄物を堰き止める障壁がなく、パネルの上面を拡散した排泄物が股下域の両側から漏れてしまうことがある。
【０００４】
本発明の課題は、着用者に違和感を与えることがなく、排泄物が股下域の両側から漏れてしまうことを防ぐことができるトランクス型の使い捨てパンツを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明が前提とするところは、上部に胴周り開口と、下部に左右一対の脚周り開口とを有し、前記胴周り開口の周縁部に該胴周り開口の周り方向へ弾性的な伸縮性を有するトランクス型の使い捨てパンツである。
【０００６】
かかる前提において、本発明が特徴とするところは、前記パンツが、互いに対向する一対のインナーシートと、前記インナーシート各々の外側に位置する一対のアウターシートとから構成され、前記インナーシートと前記アウターシートとが、互いに並行して横方向へ延びる上下端部と、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部とを備え、前記インナーシートが、該インナーシートの前後側部の間に形成されて前記上端部から前記下端部へ向って凹む凹部と、前記凹部の底近傍における該インナーシートの対向面各々に取り付けられたマット状の吸液性パネルとを有し、前記インナーシート各々の対向面が、前記凹部と並行して延びていて前記吸液性パネルの下方をとおる接合線で固着され、前記インナーシートと前記アウターシートとの対向面が、それらシートの前記前後側部に沿って固着されていることにある。
【０００７】
本発明の実施の態様の一例としては、前記インナーシート各々の対向面が、該インナーシートの上端部と前記上端部近傍における前記前後側部の部分とのうちの少なくとも該前後側部の部分に沿って固着されている。
【０００８】
本発明の実施の態様の他の一例として、前記凹部の底における前記インナーシート各々には、前記吸液性パネルの上方に位置して前記横方向へ延びる弾性伸縮性部材が伸長状態で取り付けられている。
【０００９】
本発明の実施の態様の他の一例として、前記凹部の底における前記インナーシート各々には、前記吸液性パネルの上方に位置して前記横方向へ延びる液抵抗性の側部シートが取り付けられ、前記側部シートが、不織布からなり、前記横方向へ延びていて前記インナーシートに固着された固定端部と、前記固定端部の上方に位置して前記凹部を横切る自由端部と、前記縦方向へ延びていて前記凹部における前記インナーシートに固着された固定両側部とを備え、前記自由端部には、前記横方向へ延びる弾性伸縮性部材が伸長状態で取り付けられている。
【００１０】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記インナーシートと前記アウターシートとの少なくとも一方が不織布で形成されている。
【００１１】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照して、本発明に係るトランクス型の使い捨てパンツの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１２】
図１，２は、使い捨てパンツ１の部分破断斜視図と、図１のパンツ１の分解斜視図とであり、図２では、インナーシート２Ａ，２Ｂ各々が互いに面対称に対向配置され、アウターシート３Ａ，３Ｂ各々がシート２Ａ，２Ｂの外側において互いに面対称に配置されている。インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとの間には、側部シート４Ａ，４Ｂ各々が配置されている。
【００１３】
パンツ１は、対称な一対のインナーシート２Ａ，２Ｂと、対称な一対のアウターシート３Ａ，３Ｂと、対称な一対の液抵抗性の側部シート４Ａ，４Ｂと、一対のマット状の吸液性パネル５Ａ，５Ｂとから構成されている。
【００１４】
パンツ１では、インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとがパンツ１の上部に胴周り開口６と、パンツ１の下部に左右一対の脚周り開口７とを画成している。胴周り開口６の周縁部には、周り方向へ延びるフィルム状の胴周り用弾性伸縮性部材８が伸長状態で取り付けられている。
【００１５】
インナーシート２Ａ，２Ｂは、互いに並行して横方向へ延びる上下端部２ａ，２ｂと、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部２ｃ，２ｄとを有する。インナーシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２ｄの間には、上端部２ａから下端部２ｂへ向って凹む凹部９が形成されている。凹部９は、互いに対向して縦方向へ延びるシート２Ａ，２Ｂの対辺９ａと、対辺９ａの下方を横方向へ延びるシート２Ａ，２Ｂの底辺９ｂとによって画成されている。
【００１６】
インナーシート２Ａ，２Ｂ各々の底辺９ｂ近傍には、側部シート４Ａ，４Ｂがパネル５Ａ，５Ｂの上方を横方向へ延びている。インナーシート２Ａ，２Ｂの後側部２ｄは、上端部２ａから下端部２ｂへ向うにつれて、前側部２ｃと後側部２ｄとの間の寸法を二分して縦方向へ延びる中心線Ｙ１へ次第に近づくように弧を画いて延びている。
【００１７】
パネル５Ａ，５Ｂは、インナーシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２ｄと下端部２ｂと底辺９ｂとに囲繞された部位に配置され、シート２Ａ，２Ｂ各々の対向面に固着されている。
【００１８】
側部シート４Ａ，４Ｂは、横方向へ長い矩形のもので、インナーシート２Ａ，２Ｂの底辺９ｂ近傍に固着された固定端部４ａと、固定端部４ａの上方に位置して凹部９を横切る自由端部４ｂと、インナーシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２ｄと並行して縦方向へ延びていてシート２Ａ，２Ｂの対辺９ａ近傍に固着された固定両側部４ｃとを有する。自由端部４ｂには、横方向へ延びる弾性伸縮性部材１０が自由端部４ｂの一部に被覆された状態で伸長下に取り付けられている。
【００１９】
アウターシート３Ａ，３Ｂは、互いに並行して横方向へ延びる上下端部３ａ，３ｂと、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部３ｃ，３ｄとを有する。アウターシート３Ａ，３Ｂの後側部３ｄは、上端部３ａから下端部３ｂへ向うにつれて、前側部３ｃと後側部３ｄとの間の寸法を二分して縦方向へ延びる中心線Ｙ２へ次第に近づくように弧を画いて延びている。インナーシート２Ａ，２Ｂと対向するアウターシート３Ａ，３Ｂの対向面各々には、シート３Ａ，３Ｂの上端部３ａに沿って横方向へ延びる胴周り用弾性部材８が取り付けられている。
【００２０】
図２の分解斜視図からパンツ１を作成するには、インナーシート２Ａ，２Ｂの中心線Ｙ１を互いに一致させてシート２Ａ，２Ｂ各々を重ね合わせ、シート２Ａ，２Ｂ各々の対向面を、凹部９と並行して延びていてシート２Ａ，２Ｂの上端部２ａから下端部２ｂへ向って弧を画く接合線１１で連続的または間欠的に接合する。接合線１１は、パネル５Ａ，５Ｂとシート２Ａ，２Ｂの下端部２ｂとの間を曲折して延びている。
【００２１】
インナーシート２Ａ，２Ｂの対向面を固着した後は、側部シート４Ａ，４Ｂの固定端部４ａの一部を側部シート４Ａ，４Ｂの内面の側へ折曲し、固定端部４ａをシート２Ａ，２Ｂ各々の外面における底辺９ｂ近傍に固着するとともに、弾性部材１０を伸長させた状態で、側部シート４Ａ，４Ｂの固定両側部４ｃをシート２Ａ，２Ｂの対辺９ａ近傍に固着する。
【００２２】
インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとは、胴周り用弾性部材８の伸長状態を維持しつつ、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの中心線Ｙ１，Ｙ２を互いに一致させてシート２Ａ，２Ｂとシート３Ａ，３Ｂとを重ね合わせる。このとき、インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとの上下端部２ａ，３ａ，２ｂ，３ｂと前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄとが一致した状態で重なり合う。
【００２３】
インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとは、一方のシート２Ａと一方のシート３Ａとの対向面を、それらシート２Ａ，３Ａの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄに沿って延びる接合線１２で連続的または間欠的に接合し、他方のシート２Ｂと他方のシート３Ｂとの対向面を、それらシート２Ｂ，３Ｂの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄに沿って延びる接合線１２で連続的または間欠的に接合する。
【００２４】
図３，４は、図１のＡ−Ａ線矢視断面を示す斜視図と、図１のＢ−Ｂ線矢視断面図とである。互いに重なり合うインナーシート２Ａ，２Ｂは、シート２Ａ，２Ｂの対辺９ａがパンツ１の内側へ向って重なり合っている。インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとは、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側縁２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄがパンツ１の外側へ向って重なり合っている。
【００２５】
パンツ１では、側部シート４Ａ，４Ｂの自由端部４ｂに取り付けられた弾性部材１０が収縮すると、側部シート４Ａ，４Ｂ各々と底辺９ｂから接合線１１へ至るインナーシート２Ａ，２Ｂの対向面各々とがパンツ１の横方向外方へ拡開し、それらシート２Ａ，２Ｂ，４Ａ，４Ｂがパンツ１の上方へ向って開口するポケットＰを形成する。
【００２６】
パンツ１では、側部シート４Ａ，４Ｂの固定端部４ａがシート４Ａ，４Ｂの内面の側へ折曲されてインナーシート２Ａ，２Ｂの外面に固着されており、側部シート４Ａ，４Ｂの自由端部４ｂがパンツ１の横方向外方へ傾倒しようとするので、ポケットＰが大きく口を開けることができる。
【００２７】
ポケットＰでは、ポケットＰを形成する側部シート４Ａ，４Ｂとインナーシート２Ａ，２Ｂとが障壁となる。ポケットＰに排泄された排泄物は、ポケットＰの内部に位置するパネル５Ａ，５Ｂに吸収される。股下からの排泄物の漏出は障壁によって阻止される。パネル５Ａ，５Ｂは、インナーシート２Ａ，２Ｂと並行して略垂直に延びているので、着用者の股間において嵩張ることはなく、パネル５Ａ，５Ｂが股下で水平に延びる場合と比較して、着用者に違和感を与えることはない。
【００２８】
図５，６は、図１とは異なる態様の使い捨てパンツ１の部分破断斜視図と、図５のパンツ１の分解斜視図であり、図６では、インナーシート２Ａ，２Ｂ各々が互いに面対称に対向配置され、アウターシート３Ａ，３Ｂ各々がシート２Ａ，２Ｂの外側に位置して互いに面対称に配置されている。
【００２９】
パンツ１は、対称な一対のインナーシート２Ａ，２Ｂと、対称な一対のアウターシート３Ａ，３Ｂと、一対のマット状の吸液性パネル５Ａ，５Ｂとから構成され、上部に胴周り開口６と、下部に左右一対の脚周り開口７とを有する。胴周り開口６の周縁部には、周り方向へ延びるフィルム状の胴周り用弾性伸縮性部材８が伸長状態で取り付けられている。
【００３０】
インナーシート２Ａ，２Ｂは、互いに並行して横方向へ延びる上下端部２ａ，２ｂと、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部２ｃ，２ｄとを有する。インナーシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２ｄの間には、それらシート２Ａ，２Ｂの上端部２ａから下端部２ｂへ向って凹む凹部９が形成されている。インナーシート２Ａ，２Ｂの後側部２ｄは、上端部２ａから下端部２ｂへ向うにつれて、中心線Ｙ１へ次第に近づくように弧を画いて延びている。
【００３１】
インナーシート２Ａ，２Ｂ各々の底辺９ｂ近傍には、パネル５Ａ，５Ｂの上方において横方向へ延びる弾性伸縮性部材１３がインナーシート２Ａ，２Ｂの一部に被覆された状態で伸長下に取り付けられている。
【００３２】
パネル５Ａ，５Ｂは、インナーシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２ｄと下端部２ｂと底辺９ｂとに囲繞された部位に配置され、シート２Ａ，２Ｂ各々の対向面に固着されている。
【００３３】
アウターシート３Ａ，３Ｂは、互いに並行して横方向へ延びる上下端部３ａ，３ｂと、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部３ｃ，３ｄとを有する。アウターシート３Ａ，３Ｂの後側部３ｄは、上端部３ａから下端部３ｂへ向うにつれて、中心線Ｙ２へ次第に近づくように弧を画いて延びている。インナーシート２Ａ，２Ｂと対向するアウターシート３Ａ，３Ｂの対向面各々には、上端部３ａに沿って横方向へ延びる胴周り用弾性部材８が取り付けられている。
【００３４】
図６の分解斜視図からパンツ１を作成するには、インナーシート２Ａ，２Ｂの中心線Ｙ１を互いに一致させてシート２Ａ，２Ｂ各々を重ね合わせ、インナーシート２Ａ，２Ｂ各々の対向面を、凹部９と並行して延びていてシート２Ａ，２Ｂの上端部２ａから下端部２ｂへ向って弧を画く接合線１１で連続的または間欠的に接合する。さらに、インナーシート２Ａ，２Ｂの上端部２ａ近傍における前後側部２ｃ，２ｄの部分に沿って延びる接合線１４で連続的または間欠的に接合する。接合線１１は、パネル５Ａ，５Ｂとシート２Ａ，２Ｂの下端部２ｂとの間を曲折して延びている。
【００３５】
インナーシート２Ａ，２Ｂの対向面を固着した後は、胴周り用弾性部材８の伸長状態を維持しつつ、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの中心線Ｙ１，Ｙ２を互いに一致させてシート２Ａ，２Ｂとシート３Ａ，３Ｂとを重ね合わせ、一方のシート２Ａと一方のシート３Ａとの対向面を、それらシート２Ａ，３Ａの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄに沿って延びる接合線１２で連続的または間欠的に接合し、他方のシート２Ｂと他方のシート３Ｂとの対向面を、それらシート２Ｂ，３Ｂの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄに沿って延びる接合線１２で連続的または間欠的に接合する。
【００３６】
パンツ１は、シート２Ａ，２Ｂの上端部２ａ近傍における前後側部２ｃ，２ｄの部分が接合線１４で固着されているので、部分が接合されていない場合と比較してパンツ１の周り方向における接合強度を向上させることができる。パンツ１は、それを着用したときにパンツ１の胴周りが周り方向外方へ伸長されたとしても、インナーシート２Ａ，２Ｂ各々が接合線１１において剥離してしまうことがない。
【００３７】
図７，８は、図５のＤ−Ｄ線矢視断面を示す斜視図と、図５のＣ−Ｃ線矢視断面図とである。互いに重なり合うインナーシート２Ａ，２Ｂは、シート２Ａ，２Ｂの対辺９ａがパンツ１の内側へ向ってに重なり合っている。インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとは、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側縁２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄがパンツ１の外側へ向って重なり合っている。
【００３８】
パンツ１では、弾性部材１３が収縮すると、底辺９ｂから接合線１１へ至るインナーシート２Ａ，２Ｂの対向面各々がパンツ１の横方向外方へ拡開し、シート２Ａ，２Ｂがパンツ１の上方へ向って開口するポケットＰを形成する。
【００３９】
ポケットＰでは、ポケットＰを形成するインナーシート２Ａ，２Ｂが障壁となる。ポケットＰに排泄された排泄物は、ポケットＰの内部に位置するパネル５Ａ，５Ｂに吸収される。股下からの排泄物の漏出は障壁によって阻止される。パネル５Ａ，５Ｂは、インナーシート２Ａ，２Ｂと並行して略垂直に延びているので、着用者の股間において嵩張ることはなく、着用者に違和感を与えることはない。
【００４０】
インナーシート２Ａ，２Ｂ各々の対向面は、上端部２ａにおいて固着されていないので、弾性部材８の収縮力で着用者の胴周りを締め付けたときに、シート２Ａ，２Ｂの上端部２ａ近傍が着用者の肌に圧接した場合でも、硬い感触を与えることがない。
【００４１】
図１と図５とに示すパンツ１では、シート２Ａ，２Ｂが対辺９ａの縁をわずかに残して固着されているので、シート２Ａ，２Ｂの縁が着用者の股下に接した場合でも、接合部位での剛性が縁によって緩和され、着用者の皮膚に対する刺激を少なくすることができる。
【００４２】
インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとの対向面は、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄの縁をわずかに残して固着されているので、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄの縁が着用者の腕に接した場合でも、接合部位での剛性が縁によって緩和され、着用者の皮膚に対する刺激を少なくすることができる。
【００４３】
インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとは、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側部２ｃ，３ｃ，２ｄ，３ｄのうちの双方が上端部２ａ，３ａから下端部２ｂ，３ｂへ向かって中心線Ｙ１，Ｙ２へ次第に近づくように弧を画いて延びていてもよいし、中心線Ｙ１，Ｙ２へ次第に近づくように直状に延びていてもよい。
【００４４】
インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとのうちの一方または双方には、熱可塑性繊維で形成した不織布を使用することができる。側部シート４Ａ，４Ｂには、熱可塑性繊維で形成した不織布を使用することができる。不織布には、開口を形成して透湿性を向上させたものや不織布のシート面に凹凸を形成してクッション性を向上させたものを使用することもできる。着用者の股下に接するインナーシート２Ａ，２Ｂには、吸液性、透湿性、柔軟性に優れた素材、たとえば、レーヨンやコットン等の繊維を含む不織布を使用することが好ましい。
【００４５】
また、高い耐水性を有するメルトブローン不織布の両シート面を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド不織布のシート面で挟んだ複合不織布（ＳＭＳ不織布）を使用することもできる。ＳＭＳ不織布は、メルトブローン不織布をスパンボンド不織布で挟んだ後、プレス加工の技術を利用してメルトブローン不織布とスパンボンド不織布とを互いに固着して製造される。ＳＭＳ不織布を使用することで、高い強度と高い耐水性とを有し、かつ、肌触りが良いパンツ１を製造することができる。
【００４６】
アウターシート３Ａ，３Ｂには、シート３Ａ，３Ｂの横方向、または、横方向と縦方向との双方に伸縮性を有する不織布を使用することもできる。この場合は、シート３Ａ，３Ｂの上端部３ａに取り付けられた胴周り用弾性部材８を省くことができる。
【００４７】
弾性部材８，１０，１３としては、合成ゴム、天然ゴム、合成ゴムを配合した伸縮性フィルム、合成ゴムを主成分としたスパンボンド不織布やメルトブローン不織布等を使用することができる。弾性部材８，１０，１３が不織布に包被された状態で不織布に伸長下に固着された複合材料を使用することもできる。
【００４８】
胴周り用弾性部材８は、アウターシート３Ａ，３Ｂの外面に取り付けられていてもよい。パンツ１では、シート３Ａ，３Ｂの対向面に取り付けられた弾性部材８の露出部位を不織布で被覆し、弾性部材８が着用者の肌に接触しないようにしてもよい。
【００４９】
吸液性パネル５Ａ，５Ｂは、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物であり、所要の厚みに圧縮され、全体がティシュペーパ等の透水性シート（図示せず）によって被覆されている。パネル５Ａ，５Ｂの接合や弾性部材８，１０，１３の取り付け、シート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂ，４Ａ，４Ｂの固着には、ホットメルト接着剤等の接着剤や粘着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱融着の技術を利用することができる。
【００５０】
【発明の効果】
本発明に係るトランクス型の使い捨てパンツによれば、インナーシート各々を互いに重ね合わせた状態でインナーシート各々の対向面を接合するとともに、インナーシートとアウターシートとを互いに重ね合わせた状態でそれらシートの対向面を接合しているだけの簡単な構造なので、容易に製造することができ、再使用することがない使い捨てに適している。
【００５１】
インナーシートの底辺近傍に側部シートを固着したパンツでは、側部シート各々に取り付けられた弾性部材の収縮で、側部シート各々と底辺から接合線へ至るインナーシートの対向面各々とがパンツの横方向外方へ拡開し、それらシートがパンツの上方へ向って開口するポケットを形成する。ポケットでは、吸液性パネルが存在し、側部シート各々とインナーシート各々とが障壁を形成するので、ポケットに排泄された排泄物がパネルに吸収されるとともに、排泄物の漏出が障壁によって阻止され、排泄物が股下から漏れてしまうことを防ぐことができる。
【００５２】
インナーシートの底辺近傍に弾性部材を取り付けたパンツでは、インナーシートに取り付けられた弾性部材の収縮で、底辺から接合線へ至るインナーシートの対向面各々がパンツの横方向外方へ拡開し、インナーシートがパンツの上方へ向って開口するポケットを形成する。ポケットでは、吸液性パネルが存在し、インナーシート各々が障壁を形成するので、ポケットに排泄された排泄物がパネルに吸収されるとともに、排泄物の漏出が障壁によって阻止され、排泄物が股下から漏れてしまうことを防ぐことができる。
【００５３】
パネルは、インナーシートと並行して略垂直に延びているので、着用者の股間において嵩張ることはなく、パネルが股下で水平に延びる場合と比較して、着用者に違和感を与えることはない。
【００５４】
インナーシート各々の対向面がインナーシートの上端部近傍における前後側部の部分に沿って固着されたパンツは、部分が接合されていない場合と比較してパンツの周り方向における接合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】前方から示すトランクス型の使い捨てパンツの斜視図。
【図２】図１のパンツの分解斜視図。
【図３】図１のパンツのＡ−Ａ線矢視断面を示す斜視図。
【図４】図１のパンツのＢ−Ｂ線矢視断面図。
【図５】前方から示す図１とは異なる態様のトランクス型の使い捨てパンツの斜視図。
【図６】図５のパンツの分解斜視図。
【図７】図５のパンツのＣ−Ｃ線矢視断面を示す斜視図。
【図８】図５のパンツのＤ−Ｄ線矢視断面図。
【符号の説明】
１ トランクス型の使い捨てパンツ
２Ａ，２Ｂ インナーシート
２ａ 上端部
２ｂ 下端部
２ｃ 前側部
２ｄ 後側部
３Ａ，３Ｂ アウターシート
３ａ 上端部
３ｂ 下端部
３ｃ 前側部
３ｄ 後側部
４Ａ，４Ｂ 側部シート
４ａ 固定端部
４ｂ 自由端部
４ｃ 固定両側部
５Ａ，５Ｂ 吸液性パネル
６ 胴周り開口
７ 脚周り開口
９ 凹部
１０ 弾性伸縮性部材
１１ 接合線
１３ 弾性伸縮性部材

Claims (5)

1. 上部に胴周り開口と、下部に左右一対の脚周り開口とを有し、前記胴周り開口の周縁部に該胴周り開口の周り方向へ弾性的な伸縮性を有するトランクス型の使い捨てパンツにおいて、
   前記パンツが、互いに対向する一対のインナーシートと、前記インナーシート各々の外側に位置する一対のアウターシートとから構成され、前記インナーシートと前記アウターシートとが、互いに並行して横方向へ延びる上下端部と、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部とを備え、
   前記インナーシートが、該インナーシートの前後側部の間に形成されて前記上端部から前記下端部へ向って凹む凹部と、前記凹部の底近傍における該インナーシートの対向面各々に取り付けられたマット状の吸液性パネルとを有し、前記インナーシート各々の対向面が、前記凹部と並行して延びていて前記吸液性パネルの下方をとおる接合線で固着され、
   前記インナーシートと前記アウターシートとの対向面が、それらシートの前記前後側部に沿って固着されていることを特徴とする前記パンツ。
2. 前記インナーシート各々の対向面が、該インナーシートの上端部と前記上端部近傍における前記前後側部の部分とのうちの少なくとも該前後側部の部分に沿って固着されている請求項１記載のパンツ。
3. 前記凹部の底における前記インナーシート各々には、前記吸液性パネルの上方に位置して前記横方向へ延びる弾性伸縮性部材が伸長状態で取り付けられている請求項１または請求項２に記載のパンツ。
4. 前記凹部の底における前記インナーシート各々には、前記吸液性パネルの上方に位置して前記横方向へ延びる液抵抗性の側部シートが取り付けられ、前記側部シートが、不織布からなり、前記横方向へ延びていて前記インナーシートに固着された固定端部と、前記固定端部の上方に位置して前記凹部を横切る自由端部と、前記縦方向へ延びていて前記凹部における前記インナーシートに固着された固定両側部とを備え、前記自由端部には、前記横方向へ延びる弾性伸縮性部材が伸長状態で取り付けられている請求項１または請求項２に記載のパンツ。
5. 前記インナーシートと前記アウターシートとの少なくとも一方が不織布で形成されている請求項１ないし請求項４いずれかに記載のパンツ。

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